(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
入射光のうち、第1光成分を光電変換して残りの光成分を透過する第1光電変換部と、第2光成分を光電変換して残りの光成分を透過する第2光電変換部と、第3光成分を光電変換して残りの光成分を透過する第3光電変換部とを有する第1撮像素子と、
前記第1撮像素子を透過した光成分のうち、赤の光成分を光電変換する第4光電変換部と、緑の光成分を光電変換する第5光電変換部と、青の光成分を光電変換する第6光電変換部とを有する第2撮像素子と
を備え、
前記第1光電変換部が光電変換する光成分と前記第4光電変換部が光電変換する光成分、前記第2光電変換部が光電変換する光成分と前記第5光電変換部が光電変換する光成分、および、前記第3光電変換部が光電変換する光成分と前記第6光電変換部が光電変換する光成分は、それぞれ補色関係を有する固体撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る固体撮像装置および電子カメラの実施形態について図面を用いて詳しく説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る固体撮像素子101の概要を示す図である。
図1において、固体撮像素子101は、通常の固体撮像素子と同様にフォトダイオードにより光電変換を行う第一撮像素子102と、第一撮像素子102の入射光側の同一光路上に配置された第二撮像素子103とを有する。第二撮像素子103は、特定光を透過し、非透過光を光電変換する有機光電膜により構成され、第二撮像素子103を透過した特定光は第一撮像素子102で受光される。ここで、第一撮像素子102と第二撮像素子103は同一の半導体基板上に形成され、各画素位置は一対一に対応する。例えば第一撮像素子102の1行1列目の画素は、第二撮像素子103の1行1列目の画素に対応する。
【0012】
図2(a)は、第二撮像素子103の画素配列の一例を示す図である。
図2(a)において、水平方向をx軸、垂直方向をy軸とし、画素Pの座標をP(x,y)と表記する。
図2(a)の第二撮像素子103の例では、奇数行の各画素にMg(マジェンタ)とYe(イエロー)の光を光電変換する有機光電膜を交互に配置し、偶数行の各画素にCy(シアン)とMg(マジェンタ)の光を光電変換する有機光電膜を交互に配置している。そして、各画素で受光されない光は透過される。例えば画素P(1,1)はMgの光を光電変換してMgの補色(G:グリーン)の光を透過する。同様に、画素P(2,1)はYeの光を光電変換してYeの補色(B:ブルー)の光を透過し、画素P(1,2)はCyの光を光電変換してCyの補色(R:レッド)の光を透過する。尚、後で詳しく説明するが、第二撮像素子103の各画素は、位相差AF方式に対応するペアとなる焦点検出用画素で構成される。
【0013】
図2(b)は、第一撮像素子102の画素配列の一例を示す図である。尚、
図2(b)の各画素位置は、
図2(a)と同じである。例えば第二撮像素子103の画素(1,1)は、第一撮像素子102の画素(1,1)に対応する。
図2(b)おいて、第一撮像素子102には、カラーフィルターなどは設けられておらず、第二撮像素子103を透過する特定光(有機光電膜で吸収されて光電変換される光の補色)を光電変換する。従って、
図2(c)に示すように、第一撮像素子102により、奇数行の各画素にG(グリーン)とB(ブルー)の色成分、偶数行の各画素にR(レッド)とG(グリーン)の色成分の画像が得られる。例えば画素P(1,1)では第二撮像素子103のMgの補色のG成分の画像が得られる。同様に、画素P(2,1)ではYeの補色のB成分の画像、画素P(1,2)ではCyの補色のR成分の画像がそれぞれ得られる。
【0014】
このように、本実施形態に係る固体撮像素子101は、有機光電膜で構成される第二撮像素子103が従来のカラーフィルタの役割を果たし、第一撮像素子102により第二撮像素子103の補色画像を得ることができる。
図2の例では、第一撮像素子102からベイヤー配列の画像が得られる。尚、
図2ではベイヤー配列の例を示したが、他の配列であっても第一撮像素子102と第二撮像素子103の各画素が補色関係になるように配置することにより、同様に実現できる。
【0015】
特に、本実施形態に係る固体撮像素子101では、従来の単板式の撮像素子で必要であったカラーフィルタの代わりに有機光電膜を用いるため、カラーフィルタで吸収されてしまっていた入射光を第二撮像素子103により有効に利用することができる。
【0016】
また、本実施形態に係る固体撮像素子101では、第一撮像素子102に画像用画素を配置し、第二撮像素子103に焦点検出用画素を全面に均等に配置しているので、画像用画素の一部に焦点検出用画素を配置する従来技術のように複雑な画素補間処理を行う必要がなく、第二撮像素子103からは焦点検出用信号、第一撮像素子102からはカラー画像信号をそれぞれ独立して得ることができる。
【0017】
図3は、第一撮像素子102の回路例を示す図である。
図3において、第一撮像素子102は、二次元状に配置された画素P(x,y)と、垂直走査回路151と、水平出力回路152と、電流源PWとを有する。尚、
図3の例では、わかり易いように、2行2列の4画素の構成を示したが、実際には1000万画素程度の画素が二次元状に配置されている。
【0018】
図3において、垂直走査回路151は、各画素から信号を読み出すためのタイミング信号(φTx(y)、φR(y)、φSEL(y))を出力する。例えば1行目の画素P(1,1)、P(2,1)にタイミング信号φTx(1)、φR(1)、φSEL(1)が与えられる。そして、各列に配置された電流源PW(1)およびPW(2)にそれぞれ接続される垂直信号線VLINE(1)、VLINE(2)各画素から信号が読み出され、水平出力回路152に一時的保持される。そして、水平出力回路152に行毎に一時的保持された各画素の信号は、順番に外部に出力される(出力信号Vout)。尚、
図3では描いていないが、各画素から垂直信号線VLINE(x)を介して水平出力回路152に読み出すときに、画素間の信号のバラつきを除去するための相関二重サンプリング回路(CDS回路)を配置してもよい。
【0019】
図4は、第二撮像素子103の回路例を示す図である。
図4において、第二撮像素子103は、二次元状に配置された画素P(x,y)と、垂直走査回路161と、水平出力回路162と、水平出力回路163と、電流源PW_Aと、電流源PW_Bとを有する。尚、
図4の例では、
図3と同様に、2行2列の4画素で構成されるが、実際には1000万画素程度の画素が二次元状に配置されている。また、
図4の各画素P(x,y)は、
図3の各画素P(x,y)に対応する。特に、第二撮像素子103は、1つの画素位置に受光部PC_A(x,y)と受光部PC_B(x,y)の2つの有機光電膜による光電変換部を有し、位相差AF方式のペアとなる一対の画素を構成する。
【0020】
図4において、垂直走査回路161は、各画素から信号を読み出すためのタイミング信号(φR_A(y)、φR_B(y)、φSEL_A(y)、φSEL_B(y))が出力される。例えば1行目の受光部PC_A(1,1)とP_A(2,1)にタイミング信号φR_A(1)、φSEL_A(1)が与えられ、受光部PC_B(1,1)とP_B(2,1)にタイミング信号φR_B(1)、φSEL_B(1)が与えられる。そして、受光部PC_A(1,1)およびP_A(2,1)の信号は、各列に配置された電流源PW_A(1)およびPW_A(2)にそれぞれ接続される垂直信号線VLINE_A(1)およびVLINE_A(2)に読み出され、水平出力回路_A162に一時的保持される。水平出力回路_A162に行毎に一時的保持された各画素の信号は、順番に外部に出力される(出力信号Vout_A)。同様に、受光部PC_B(1,1)およびP_B(2,1)の信号は、各列に配置された電流源PW_B(1)およびPW_B(2)にそれぞれ接続される垂直信号線VLINE_B(1)およびVLINE_B(2)に読み出され、水平出力回路_B162に一時的保持される。水平出力回路_B162に行毎に一時的保持された各画素の信号は、順番に外部に出力される(出力信号Vout_B)。
【0021】
以上、第一撮像素子102および第二撮像素子103の回路例を
図3および
図4でそれぞれ別々に説明したが、実際には同一の半導体基板上に形成され、1つの固体撮像素子101を構成する。
[固体撮像素子101の画素の回路例]
次に、固体撮像素子101の画素の回路例について説明する。
図5は、二次元状に配置された1つの画素P(x,y)の回路例を示す図である。
図5において、画素P(x,y)は、第一撮像素子102を構成するための回路として、フォトダイオードPDと、転送トランジスタTxと、リセットトランジスタRと、出力トランジスタSFと、選択トランジスタSELとを有する。フォトダイオードPDは、入射光の光量に応じた電荷を蓄積し、転送トランジスタTxは、フォトダイオードPDに蓄積された電荷を出力トランジスタSF側の浮遊拡散領域(FD部)に転送する。出力トランジスタSFは選択トランジスタSELを介して電流源PWとソースホロワを構成し、FD部に蓄積された電荷に応じた電気信号を出力信号OUTとして垂直信号線VLINEに出力する。尚、リセットトランジスタRは、FD部の電荷を電源電圧Vccにリセットする。
【0022】
また、第二撮像素子103を構成するための回路として、有機光電膜による受光部PCと、リセットトランジスタR_A,R_Bと、出力トランジスタSF_A,SF_Bと、選択トランジスタSEL_A,SEL_Bとを有する。有機光電膜による受光部PCは、
図2(a)で説明したように、非透過光の光量に応じた電気信号に変換し、選択トランジスタSEL_A,SEL_Bを介して電流源PW_AおよびPW_Bとそれぞれソースホロワを構成する出力トランジスタSF_A,SF_Bを介して出力信号OUT_A,OUT_Bとして垂直信号線VLINE_A,VLINE_Bにそれぞれ出力する。尚、リセットトランジスタR_A,R_Bは、受光部PCの出力信号をリファレンス電圧Vrefにリセットする。また、有機光電膜の動作用として高電圧Vpcが与えられている。ここで、各トランジスタはMOS_FETで構成される。
【0023】
ここで、
図5の回路の動作について、
図6のタイミングチャートを用いて説明する。
図6は、
図5のタイミング信号の一例を示した図である。
図6(a)は、第一撮像素子102の動作タイミングを示す図で、先ずタイミングT1で選択信号φSELが”High”になり、選択トランジスタSELがオンする。次にタイミングT2でリセット信号φRが”High”になり、FD部で電源電圧Vccにリセットされ、出力信号OUTもリセットレベルになる。そして、リセット信号φRが”Low”になった後、タイミングT3で転送信号φTxが”High”になり、フォトダイオードPDに蓄積された電荷がFD部に転送され、出力信号OUTが電荷量に応じて変化し始め、安定する。そして、転送信号φTxが”Low”になり、画素から垂直信号線VLINEに読み出される出力信号OUTの信号レベルが確定する。そして、垂直信号線VLINEに読み出された各画素の出力信号OUTは、水平出力回路_152に行毎に一時的に保持された後、出力信号Voutとして固体撮像素子101から出力される。このようにして、第一撮像素子102の各画素から信号が読み出される。
【0024】
図6(b)は、第二撮像素子103の動作タイミングを示す図で、先ずタイミングT11で選択信号φSEL_A(またはφSEL_B)が”High”になり、選択トランジスタSEL_A(またはSEL_B)がオンする。次にタイミングT12でリセット信号φR_A(またはφR_B)が”High”になり、出力信号OUT_A(またはφOUT_B)もリセットレベルになる。そして、タイミングT13でリセット信号φR_A(またはφR_B)が”Low”になった直後から有機光電膜による受光部PCの電荷蓄積が開始され、電荷量に応じて出力信号OUT_A(または出力信号OUT_B)が変化する。そして、水平出力回路_A162(または水平出力回路_B163)に行毎に一時的に保持された後、出力信号Vout_A(または出力信号Vout_B)として固体撮像素子101から出力される。このようにして、第二撮像素子103の各画素から信号が読み出される。
【0025】
図7(a)は、固体撮像素子101の半導体レイアウトの一例である。尚、
図7(a)は、先に説明した
図2および
図4の各画素P(1,1)から画素P(2,2)に対応する。
【0026】
図7(b)は、
図7(a)の画素P(1,1)および画素(2,1)を水平方向に切断線A−Bで切断したときの断面図である。また、
図8(b)は、切断線A−Bの画素位置がわかり易いように描いた図で、
図4の受光部PC_A(1,1)および受光部P_A(2,1)の部分を切断する。
図8(a)は、
図7(b)を拡大した図で、第一撮像素子102および第二撮像素子103の同じ位置の画素P(1,1)は、同一のマイクロレンズML(1,1)から入射する被写体光を受光する。ここで、
図8(a)において、配線層301は3層構造になっているが2層構造であってもよい。そして、第二撮像素子103の出力信号は、配線層301を介して信号出力端302から取り出される。尚、信号出力端302の両側は分離層303,304が配置されている。また、分離層303,304を隔ててフォトダイオードPD(1,1)およびPD(2,1)が配置されている。
【0027】
図7(c)は、
図7(a)の画素P(2,1)および画素(2,2)を垂直方向に切断線C−Dで切断したときの断面図である。また、
図9(b)は、切断線C−Dの画素位置がわかり易いように描いた図で、
図4の受光部PC_A(2,1),PC_B(2,1),PC_A(2,2)およびPC_B(2,2)の部分を切断する。
図9(a)は、
図7(c)を拡大した図で、第一撮像素子102および第二撮像素子103の同じ位置の画素P(2,1)および画素P(2,2)は、同一のマイクロレンズML(2,1)およびML(2,2)から入射する被写体光をそれぞれ受光する。ここで、
図8(b)と異なる部分は、第二撮像素子103の画素P(2,1)は、受光部PC_A(2,1)と受光部PC_B(2,1)とに分割され、画素P(2,2)は、受光部PC_A(2,2)と受光部PC_B(2,2)とに分割されていることである。そして、受光部PC_A(2,1)と受光部PC_B(2,1)はペアとなる光学系の瞳位置の像をそれぞれ受光し、位相差AF方式による焦点検出を行うことができる。同様に、受光部PC_A(2,2)と受光部PC_B(2,2)はペアとなる光学系の瞳位置の像をそれぞれ受光する。尚、位相差AF方式については周知の技術なので詳細な説明は省略する。
【0028】
ここで、
図9(b)において、
図8(b)の配線層301は、配線層301Aと配線層301Bとを有し、配線層301Aは有機光電膜の受光部PC_A(2,1)の信号を信号出力端305Aに出力し、配線層301Bは有機光電膜の受光部PC_B(2,1)の信号を信号出力端305Bに出力する。
図8(b)の配線層301では、配線層301Aと配線層301Bとが重なっているため1つしか見えていない。同様に、画素P(2,2)の有機光電膜の受光部PC_A(2,2)の信号は信号出力端306Aに出力され、受光部PC_B(2,2)の信号は信号出力端306Bに出力される。そして、読み出し回路307には、出力トランジスタ、選択トランジスタ、リセットトランジスタなどの読み出し回路が配置され、固体撮像素子101から外部に各画素の信号が出力される。
【0029】
図10は、
図7(a)の画素P(1,1)のレイアウト図を拡大した図である。
図10において、フォトダイオードPDの周辺に配置される回路は、斜線で示した部分がゲート電極、ゲート電極の両側の白い部分がn領域で構成されるNMOS型のトランジスタを示している。
図10において、第一撮像素子102のフォトダイオードPDに蓄積された電荷は、転送信号φTxが転送トランジスタのゲート電極に与えられると、FD部に転送される。FD部は出力トランジスタSFのゲート電極に接続されて電気信号に変換され、選択信号φSELが選択トランジスタSELのゲート電極に与えられると、垂直信号線VLINEに読み出される。尚、リセット信号φRがリセットトランジスタRのゲート電極に与えられると、FD部の電荷を電源電圧Vccにリセットする。
【0030】
一方、
図10において、有機光電膜の受光部PC_A(1,1)の透明電極から出力される電気信号は、出力トランジスタSF_Aのゲート電極に接続され、選択信号φSEL_Aが選択トランジスタSEL_Aのゲート電極に与えられると、垂直信号線VLINE_Aに読み出される。同様に、受光部PC_B(1,1)の透明電極から出力される電気信号は、出力トランジスタSF_Bのゲート電極に接続され、選択信号φSEL_Bが選択トランジスタSEL_Bのゲート電極に与えられると、垂直信号線VLINE_Bに読み出される。尚、リセット信号φR_A(またはφR_B)がリセットトランジスタR_A(またはR_B)のゲート電極に与えられると、受光部PC_A(1,1)(またはPC_B(1,1))の信号電圧をリファレンス電圧Vrefにリセットする。尚、有機光電膜は、対向する透明電極から入射光量に応じた電気信号を取り出すための高電圧Vpcが入射光側の透明電極に与えられる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係る固体撮像素子101は、従来のフォトダイオードによる光電変換を行う第一撮像素子102と、有機光電膜による光電変換を行う第二撮像素子103とを有し、第一撮像素子102から画像用信号を取得し、第二撮像素子103から位相差AF方式に対応する焦点検出用信号を取得することができる。
【0032】
これにより、固体撮像素子101は、従来のように画像用画素の一部に焦点検出用画素を配置する必要がなく、縦スジや横スジの偽信号による画質の劣化や高度な画素補間処理が不要になる。また、画像用の第一撮像素子102と焦点検出用の第二撮像素子103とを同じマイクロレンズの入射光を用いるように積層して配置するので、従来のように入射光を画像用撮像素子と焦点検出用撮像素子とに分割するための複雑な光学系が不要になる。特に、本実施形態に係る固体撮像素子101は、第一撮像素子102と第二撮像素子103の2つの撮像素子を用いながら、プリズムやミラーなどの光学装置を必要としないため、カメラを構成する場合の光学系の配置や設計が容易である。また、プリズムやミラー等を用いる2板式撮像装置では、2枚の撮像素子までの光路長の調整などが必須であったが、本実施形態に係る固体撮像素子101では光路が1つであるため、調整が不要である。
【0033】
さらに、第二撮像素子103と第一撮像素子102とは互いに補色関係にある色成分を検出し、第二撮像素子103の有機光電膜を第一撮像素子102のカラーフィルタとして兼用することができ、入射光を無駄にすることなく効率良く活用することができる。
【0034】
このように、本実施形態に係る固体撮像素子101は、高度な画素補間処理や複雑な光学系を用いることなく、高速動作が可能な位相差AF方式を実現できる。
【0035】
尚、上記の例では、
図11(a)に示すように、位相差AF方式に対応するペアとなる受光部PC_A(x,y)およびPC_B(x,y)を第二撮像素子103の各画素P(x,y)に配置するようにしたが、別の方法として
図11(b)に示すように、受光部PC_A(x,y)または受光部PC_B(x,y)を片側だけを1つの画素P(x,y)に配置するようにしてもよい。或いは、
図11(c)に示すように、瞳分割方向が縦方向、横方向、斜め方向など様々な方向の焦点検出用画素が混在するようにしてもよい。いずれの場合であっても、本実施形態に係る固体撮像素子101は、画像用信号を第一撮像素子102で撮像し、焦点検出用信号を第二撮像素子103で取得するので、撮影画像の画質に影響することなく、撮影画面内のどの位置でも高速な位相差AFによるフォーカス検出を行うことができる。
【0036】
ここで、第二撮像素子103は、
図2で説明したように、Mg,YeおよびCyの三色に対応する画素が混在しているので、異なる色成分の画素から得られる焦点検出用信号が異なる場合が考えられる。そこで、焦点検出を行う際に、同じ色成分の画素から得られる焦点検出用信号を利用して位相差AF方式によるフォーカス検出を行うようにしてもよい。例えば
図2(a)の場合は、画素数の多いMgの画素(奇数行の場合は奇数列の画素、偶数行の場合は偶数列の画素)から得られる焦点検出用信号だけを利用する。或いは、Mg,YeおよびCyの三色に対応する画素間の誤差を予め測定しておき、位相差AF処理を行うときに誤差補正を行うようにしてもよい。
【0037】
また、第二撮像素子103の出力信号を焦点検出用だけでなく、ホワイトバランス制御に利用するようにしてもよい。
【0038】
(変形例1)
図12は、
図2で説明した画素の色配列の変形例1を示す図である。
図2の例では、第二撮像素子103の有機光電膜をMg,YeおよびCyの三色に対応するようにし、第一撮像素子102でR,GおよびBの三色の画像信号を検出できるようにしたが、
図12に示すように、第二撮像素子103の有機光電膜をR,GおよびBの三色に対応するようにし、第一撮像素子102でMg,YeおよびCyの三色の画像信号を検出できるようにしてもよい。尚、この場合でも、第一撮像素子102と第二撮像素子103が光電変換する色成分は互いに補色関係になっている。
【0039】
(変形例2)
図13は、
図2で説明した画素の色配列の変形例2を示す図である。
図2の例では、第二撮像素子103の各画素に位相差AF方式に対応するペアとなる受光部を配置したが、
図13の変形例では、第二撮像素子103の画素の一部に位相差AF方式に対応するペアとなる受光部を配置している。これにより、固体撮像素子101の回路規模を小さくすることができる。
【0040】
(電子カメラの例)
次に、固体撮像素子101を搭載する電子カメラ201の一例を
図14に示す。
図14において、電子カメラ101は、光学系202と、固体撮像素子101と、画像バッファ203と、画像処理部204と、制御部205と、表示部206と、メモリ207と、操作部208と、メモリカードIF209とで構成される。
【0041】
光学系202は、固体撮像素子101に被写体像を結像する。固体撮像素子101は、先に説明したように、第一撮像素子102と第二撮像素子103とを有し、第一撮像素子102で撮影される画像用信号は、画像バッファ203に取り込まれ、第二撮像素子103で取得される焦点検出用信号は、制御部205に入力される。制御部205は、操作部208によるユーザの操作に応じて電子カメラ201全体の制御を行う。例えば操作部208のレリーズボタンが半押しされると、制御部205は、第二撮像素子103から取得した焦点検出信号により位相差AF方式によるフォーカス検出を行って光学系202のフォーカス位置を制御する。そして、ユーザが操作部208のレリーズボタンを全押しすると、制御部205は、フォーカス制御後に第一撮像素子102により撮影され画像を画像バッファ203に取り込む。さらに、画像バッファ203に取り込まれた画像は、画像処理部204によりホワイトバランス処理、色補間処理、輪郭強調処理、ガンマ補正処理などが施され、表示部206に表示されたり、メモリカードIF209を介してメモリカード209aに保存される。
【0042】
このように、本実施形態に係る固体撮像素子101を電子カメラ201に搭載することにより、画像処理部204で高度な画素補間処理を行ったり、光学系202を入射光を分割するような複雑な構成にする必要がなく、高速動作が可能な位相差AF方式を実現できる。
【0043】
尚、本発明に係る固体撮像装置について、各実施形態で例を挙げて説明してきたが、その精神またはその主要な特徴から逸脱することなく他の多様な形で実施することができる。そのため、上述した実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明は、特許請求の範囲によって示されるものであって、本発明は明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内である。