(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような装置の場合、本体部における被処理物の搬送方向下流側の端部よりも搬送方向上流側に加熱手段が配置されているため、内部空間の温度は、内部空間における加熱手段に対応した領域(以下、高温領域とも記す)よりも被処理物の搬送方向下流側の領域(以下、低温領域とも記す)で急激に低下することになる。このため、内部空間における高温領域の温度を揮発性物質が揮発する揮発温度に設定し、高温領域で揮発性物質を揮発させたとしても、揮発した状態の揮発性物質は、低温領域に流入した際に、凝縮(固化、又は、液化)して被処理物に再付着することになる。このため、被処理物からの揮発性物質の除去を効果的に行うことが困難となっている。
【0006】
これに対し、高温領域の温度を揮発温度よりも高い温度に設定することで、内部空間の温度が低温領域においても揮発温度以上に維持されるようにすることは可能であるが、過剰なエネルギーが必要になるため、好ましくない。また、このような高温に耐えうるような加熱装置の構成が必要になるため、設備が大型化、複雑化してしまい、好ましくない。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み、揮発性物質を含有する被処理物から効果的に揮発性物質を除去することが可能な揮発性物質の除去装置及び除去方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る揮発性物質の除去装置は、揮発性物質を含有する被処理物が供給される内部空間を備えた本体部と、内部空間に供給された被処理物を加熱する加熱手段とを備え、前記本体部は、内部空間に被処理物を供給するための本体供給部と、内部空間から被処理物を排出させるための本体排出部とを備えると共に本体供給部側から本体排出部側に向かって被処理物を搬送可能に構成されており、前記加熱手段は、本体部における本体排出部よりも本体供給部側の領域に配置され、内部空間における加熱手段に対応する領域
である高温領域の温度と、該
高温領域内に位置する被処理物の温度とを揮発性物質が揮発する揮発温度以上に上昇させるように構成されている揮発性物質の除去装置であって、前記内部空間における揮発温度以上になる領域に配置されて該領域から揮発した状態の揮発性物質を内部空間の外側に排出する揮発性物質排出手段と、該揮発性物質排出手段による内部空間からの揮発性物質の排出に伴って内部空間にガスを供給するガス供給部とを更に備
えており、前記揮発性物質排出手段は、内部空間で揮発した揮発性物質を内部空間の外側へ導く導通部と、該導通部に連結されると共に内部空間で揮発した揮発性物質を導通部を介して内部空間の外側へ吸引する吸引手段とを備え、前記導通部は、被処理物の搬送方向における前記高温領域の全域に亘って配置されると共に、前記高温領域に配置される部分の全体が揮発した状態の揮発性物質と被処理物とを分離するフィルタ材から形成されることを特徴とする。
【0009】
斯かる構成によれば、内部空間における加熱手段に対応する領域(以下、高温領域とも記す)では、該領域の温度及び該領域内に位置する被処理物の温度は、揮発温度以上に上昇する。そして、高温領域において、揮発性物質は、被処理物から揮発すると共に、揮発した状態で維持される。そして、高温領域に配置された揮発性物質排出手段によって、揮発した状態の揮発性物質が高温領域から内部空間の外側に排出される。
【0010】
ここで、内部空間の温度及び内部空間内の被処理物の温度は、高温領域よりも本体排出部側の領域(以下、低温領域とも記す)では、該領域の温度及び該領域内に位置する被処理物の温度が揮発温度未満に低下する。しかしながら、上記のように、高温領域において揮発性物質が内部空間の外側に排出されているため、低温領域に揮発した状態で移動する揮発性物質の量が低減される。
【0011】
これにより、揮発した状態の揮発性物質が低温領域において凝縮(固化や液化)して被処理物に、再度付着する量が低減される。このため、被処理物からの揮発性物質の除去を効果的に行うことができ、本体排出部から排出された被処理物(以下、処理物とも記す)中の揮発性物質の含有量を低減することができる。
【0012】
前記揮発性物質排出手段は、被処理物よりも上方側に配置されることが好ましい。
【0013】
斯かる構成によれば、被処理物から揮発した揮発性物質は、通常、被処理物よりも上方へ移動するため、被処理物よりも上方側に揮発性物質排出手段が配置されることで、揮発した揮発性物質をより効果的に除去することが可能となる。ここで、「被処理物よりも上方側」とは、内部空間に供給された被処理物のうち、内部空間内を浮遊することなく本体部の供給部側から排出部側に向かって搬送される被処理物よりも上方側であることを意味する。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、揮発性物質を含有する被処理物から効果的に揮発性物質を除去することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る揮発性物質の除去装置及び除去方法の実施形態について、
図1及び2を参照しつつ説明する。
【0018】
本実施形態に係る揮発性物質の除去装置(以下、除去装置とも記す)1は、揮発性物質を含有する被処理物を加熱することによって被処理物から揮発性物質を除去するものであり、本実施形態に係る揮発性物質の除去方法において使用されるものである。被処理物としては、特に限定されるものではなく、例えば、揮発性物質を含有する廃棄物(焼却灰、各種の汚泥、廃プラスチック等)や、セメント製造用の個体原料や燃料、セメント製造設備の排ガス処理系統(例えば、キルン排ガス系統に設置されている予熱器、沈降室、スタビライザー、ミル、ドライヤー、集塵器等)で捕集されるダスト(例えば、セメント原料として利用されるもの)等が挙げられる。
【0019】
除去装置1は、
図1に示すように、被処理物を加熱して被処理物から揮発性物質を揮発させると共に被処理物と揮発性物質とを分離する揮発性物質分離部2と、該揮発性物質分離部2に被処理物を供給する被処理物供給部3と、揮発性物質分離部2から排出される被処理物(以下、処理物とも記す)を回収する処理物回収部4とを備えている。
【0020】
揮発性物質分離部2は、被処理物を加熱することによって被処理物から揮発性物質を揮発させると共に、揮発した状態の揮発性物質を後述する内部空間2Rの外側へ排出するように構成されている。具体的には、揮発性物質分離部2は、被処理物を供給する内部空間2Rを備えた本体部2aと、該内部空間2Rに供給された被処理物を加熱する加熱手段2bと、内部空間2Rの外側に揮発性物質を排出する揮発性物質排出手段2cとを備えている。また、揮発性物質分離部2は、内部空間2R内へガスを供給するガス供給部2dを更に備えている。
【0021】
本体部2aは、筒状(具体的には、円筒状)の形状を有し、軸方向が長手となるように形成されている。また、本体部2aは、軸方向の両端部に開口部2g,2hを備えている。そして、本体部2aは、該開口部2g,2hから内部空間2Rへの被処理物の供給及び排出を行うように構成されている。具体的には、本体部2aの軸方向の一端側の開口部2gは、内部空間2Rに被処理物を供給する本体供給部2gとなっている。一方、他端側の開口部2hは、内部空間2R内の被処理物を本体部2aの外側に排出させる本体排出部2hとなっている。
【0022】
本体部2aは、水平面に対して軸線が傾斜するように配置されている。具体的には、本体部2aは、本体供給部2gが本体排出部2hよりも上方側に位置するように配置されている。また、本体部2aは、軸線を中心に回転可能に構成されている。具体的には、本体部2aは、一端側に設置されて本体部2aを回転させる本体回転手段Kと、他端側に設置されて本体部2aを支持する本体支持手段Sとによって回転可能に構成されている。本体回転手段Kは、本体部2aの外周面に周方向に沿って備えられた回転ギアK1と、該回転ギアK1と噛み合って本体部2aを回転させる力を回転ギアK1に与える駆動機構K2とから構成されている。本体支持手段Sは、本体部2aの外周面に周方向に沿って備えられた支持部S1と、該支持部S1を本体部2aの軸線を中心に回転自在に支持する回転支持部S2とから構成されている。
【0023】
加熱手段2bは、本体部2aにおける本体排出部2hよりも本体供給部2g側の領域に配置されている。具体的には、加熱手段2bは、本体供給部2gと本体排出部2hとの間における本体供給部2g及び本体排出部2hから離間した領域に配置されている。本実施形態では、加熱手段2bは、前記回転ギアK1と前記支持部S1との間に配置されている。
【0024】
また、加熱手段2bは、自身から熱を放出することで、内部空間2Rに熱を供給可能に構成されている。本実施形態では、加熱手段2bは、内部空間2Rの外側から内部空間2Rへ熱を供給可能に構成されている。具体的には、加熱手段2bは、本体部2aの外側に配置され、本体部2aの外周面を全周に亘って覆うように形成されている。そして、加熱手段2bは、自身から熱を放出することで、本体部2aを介して、内部空間2R内の被処理物を加熱可能に構成されている。具体的には、加熱手段2bは、自身から熱を放出することで、本体部2aを介して、内部空間2Rの温度を上昇させると共に、内部空間2Rの温度上昇によって内部空間2R内の被処理物を加熱するように構成されている。更に、加熱手段2bは、内部空間2Rを形成する本体部2aの内周面上に配置された被処理物のうち、加熱手段2bに対応する領域2RHに位置する被処理物に、本体部2aを介して熱を供給することで、斯かる領域2RHに位置する被処理物を加熱するように構成されている。つまり、加熱手段2bは、本体部2a及び内部空間2Rを介して、内部空間2R内の被処理物を間接的に加熱するように構成されている。加熱手段2bとしては、例えば、電熱器や熱風発生器等の外熱ジャケットなどを用いることができる。
【0025】
また、加熱手段2bは、内部空間2Rにおける加熱手段2bに対応する領域(以下、高温領域とも記す)2RHの温度と、該領域2RH内に位置する被処理物の温度とを所定の温度にまで上昇させるように構成されている。内部空間2Rにおける高温領域2RHの温度、及び、高温領域2RHに位置する被処理物の温度としては、揮発性物質が揮発する揮発温度以上に設定される。具体的には、揮発温度としては、被処理物に含有される揮発性物質の性質(揮発性)に応じて適宜設定することができ、内部空間2Rの気圧が大気圧と等しい場合には、揮発性物質の沸点よりも高い温度にすることが好ましい。例えば、高温領域2RHの温度としては、250℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましい。また、高温領域2RHの温度としては、500℃以下であることが好ましく、400℃以下であることがより好ましい。このような温度に設定することで、水銀や水銀化合物(塩化水銀(II)など)等の揮発性物質を特に効果的に揮発させることができる。
【0026】
また、加熱手段2bによって内部空間2Rに熱が供給されることで、内部空間2Rには温度差が生じることになる。具体的には、内部空間2Rにおける高温領域2RHの温度は、高温領域2RHよりも本体排出部2h側の領域(以下、低温領域とも記す)2RLの温度よりも高い温度になる。より詳しくは、高温領域2RHの温度は、揮発性物質が揮発する揮発温度以上に維持されると共に、低温領域2RLにおいては、揮発温度未満に低下する。これは、高温領域2RHが加熱手段2bに対応する(重なる)領域であるため、加熱手段2bからの熱によって高温領域2RHの温度が効果的に揮発温度以上に維持される。これに対し、低温領域2RLは、加熱手段2bに対応する(重なる)領域ではないため、加熱手段2bからの熱が供給され難く、揮発温度を維持することが困難となる。このため、内部空間2Rの温度は、低温領域2RLにおいて、高温領域2RHよりも低下することになる。
【0027】
揮発性物質排出手段2cは、内部空間2Rで揮発した揮発性物質を内部空間2Rの外側へ導く導通部21cを備えている。また、揮発性物質排出手段2cは、揮発した状態の揮発性物質を内部空間2Rから吸引可能に構成されている。具体的には、揮発性物質排出手段2cは、導通部21cに連結されて内部空間2Rから揮発した状態の揮発性物質を吸引する吸引手段(図示せず)を更に備えている。
【0028】
また、揮発性物質排出手段2c(具体的には、導通部21c)は、内部空間2Rにおける加熱手段2bに対応する領域(高温領域2RH)に配置されている。また、揮発性物質排出手段2c(具体的には、導通部21c)は、内部空間2R内の被処理物よりも上方に配置されることが好ましい。内部空間2R内の被処理物よりも上方とは、内部空間2Rに供給された被処理物のうち、内部空間2R内を浮遊することなく本体供給部2g側から本体排出部2h側へ搬送されるものよりも上方であることをいう。
【0029】
導通部21cは、揮発した状態の揮発性物質を流通させる流路を備えている。具体的には、導通部21cは、筒状(本実施形態では、一端部が閉鎖された筒状)の形状を有し、軸線に沿って長手となるように形成されている。そして、導通部21cの内部には、軸線に沿って前記流路が形成されている。
【0030】
導通部21cは、本体部2aの軸線に沿って内部空間2Rに配置されている。具体的には、導通部21cは、一端側が内部空間2R内に位置すると共に、他端側が本体排出部2hから本体部2aの外側に延出した状態となっている。更に、導通部21cにおける内部空間2R内に位置する部分は、高温領域2RHから低温領域2RLに亘って配置されている。具体的には、導通部21cにおける内部空間2R内に位置する部分は、本体部2aの軸方向に沿って高温領域2RH及び低温領域2RLの全域に亘って配置されている。
【0031】
本実施形態では、導通部21cは、揮発した状態の揮発性物質と被処理物とを分離するフィルタ材を用いて形成されている。該フィルタ材は、被処理物を通過させずに揮発した状態の揮発性物質のみを通過させる微細構造(目開き0.1〜20μm程度の複数の細孔)を有するものが好ましい。本実施形態では、導通部21cは、高温領域2RHに位置する部分のみがフィルタ材を用いて形成されている。また、導通部21cは、低温領域2RLに位置する部分と本体部2aから延出した部分とが前記細孔を有さない(揮発性物質及び被処理物を通過させない)材料を用いて形成されている。
【0032】
つまり、本実施形態では、導通部21cは、内部空間2Rにおける高温領域2RHにおいて揮発した状態の揮発性物質と被処理物とを分離するように構成されている。これにより、内部空間2Rから揮発した状態の揮発性物質を吸引した際に、高温領域2RH内の揮発性物質が低温領域2RL側に吸い寄せられ、低温領域2RLに流入してしまうのが防止される。フィルタ材としては、特に限定されるものではないが、内部空間2Rにおける高温領域2RHの温度において耐熱性を有するものを用いることが好ましく、例えば、セラミックフィルター等を用いることができる。
【0033】
ガス供給部2dは、本体供給部2g側から内部空間2R内にガスを供給するように構成されている。具体的には、ガス供給部2dは、上述のように、揮発性物質排出手段2cによって内部空間2Rから揮発性物質が吸引される場合、内部空間2Rから吸い出されるガス量に応じた量のガスを内部空間2Rに供給するように構成されている。これにより、内部空間2Rが過度に減圧されてしまうのが防止される。
【0034】
また、被処理物の一部が内部空間2R内で浮遊している場合(例えば、被処理物が微粉末である場合)には、内部空間2Rにガスが供給されることによって、浮遊している被処理物が本体供給部2g側から本体排出部2h側へ搬送される。
【0035】
ガス供給部2dは、ガスが供給されるガス供給空間2dRを内部に備え、本体供給部(開口部)2gを覆うように形成された箱部2eと、ガス供給空間2dRにガスを供給するガス供給管2fとを備えている。箱部2eは、本体部2aの外側から内部空間2Rに空気が流入するのを防止するように、本体部2aの本体供給部2g側にガスシール機構を介して連結されている。また、箱部2eは、本体部2aが軸周りに回転自在となるように、本体供給部2gに連結されている。そして、箱部2eは、ガス供給空間2dRが内部空間2Rに連通するように構成されている。一方、ガス供給管2fは、ガス供給空間2dRに連通すると共にガスが流通する流路を備えている。これにより、ガス供給管2fからガス供給空間2dRへガスを供給すると共に、ガス供給空間2dR内から内部空間2Rへガスを供給可能となる。内部空間2R内に供給されるガスとしては、特に限定されるものではなく、空気や不活性ガス(窒素やアルゴン)等を用いることができる。また、ガス供給管2fは、ガス供給管2fの前記流路にガスを供給するガス供給設備に連結されてもよく、ガスとして空気を用いる場合には、ガス供給管2fの前記流路が外部へ開放するように構成されてもよい。
【0036】
被処理物供給部3は、被処理物を内部空間2R内へ搬送する被処理物搬送路3aと、該被処理物搬送路3aに被処理物を投入する被処理物投入部3bとを備えている。被処理物搬送路3aは、筒状の形状を有し、一端側に被処理物投入部3bが連結されている。一方、被処理物搬送路3aの他端側は、箱部2e内に挿通されると共に本体供給部2gから内部空間2R内に挿入されている。これにより、被処理物投入部3bから投入された被処理物が被処理物搬送路3aを介して本体部2aへ搬送されて、内部空間2R内に供給可能となっている。
【0037】
処理物回収部4は、本体排出部2hから排出される処理物を回収可能に構成されている。具体的には、処理物回収部4は、本体排出部(開口部)2hを覆うように形成されると共に、内部空間2Rと連通して本体部2aから排出される処理物を回収する回収空間4Rを内部に備えている。また、処理物回収部4は、本体部2aの外側から内部空間2Rに空気が流入するのを防止するように、本体部2aの本体排出部2h側にガスシール機構を介して連結されている。また、処理物回収部4は、本体部2aが軸周りに回転自在となるように、本体部2aの本体排出部2h側に連結されている。本実施形態では、処理物回収部4は、回収空間4Rが下方に向かって開放するように形成されており、回収された処理物を下方に向かって排出するように構成されている。
【0038】
なお、被処理物投入部3bや処理物回収部4には、本体部2aの内部空間への空気の吸込みを防止するため、ダブルダンパ等のシール機構(図示せず)が設けられることが好ましい。
【0039】
次に、本実施形態に係る揮発性物質の除去方法について、
図2を参照しつつ説明する。まず初めに、加熱手段2bから内部空間2Rに(本体部2aを介して)熱を供給し、内部空間2Rの温度を上昇させる。具体的には、加熱手段2bから内部空間2Rに熱を供給することで、高温領域2RHの温度が揮発温度以上となるように内部空間2Rの温度を上昇させる。なお、内部空間2Rの温度は、高温領域2RHにおいては、揮発温度以上に維持されている。
【0040】
次に、被処理物投入部3bから被処理物搬送路3aに被処理物P1を投入し、被処理物搬送路3aを介して被処理物P1を内部空間2R内に供給する。内部空間2Rに供給された被処理物P1は、本体供給部2g側から本体排出部2h側に向かって(本体部2aの軸方向に沿って)搬送される。具体的には、本体供給部2gから内部空間2Rに供給された被処理物P1は、内部空間2Rを形成する本体部2aの内周面上に載置される。この状態において上述のように本体部2aを回転させることで、被処理物P1が本体供給部2g側(上方側)から本体排出部2h側(下方側)へ向かって搬送される。
また、被処理物P1の一部が内部空間2Rを浮遊している場合(上述のようなダストが被処理物P1である場合)には、ガス供給部2dから供給されるガスによって浮遊する被処理物P1が本体供給部2g側から本体排出部2h側に向かって搬送される。
【0041】
被処理物P1は、内部空間2R内を搬送されつつ加熱される。具体的には、被処理物P1は、内部空間2Rにおける本体排出部2hよりも本体供給部2g側の領域において加熱手段2bからの熱によって加熱されて温度上昇する。より詳しくは、被処理物P1は、高温領域2RHにおいて揮発温度以上に温度上昇すると共に、高温領域2RH内においては揮発温度以上に維持される。これにより、被処理物P1から揮発性物質が揮発する。
【0042】
高温領域2RHにおいて揮発した状態の揮発性物質を揮発性物質排出手段2cによって内部空間2Rの外側に排出する。具体的には、高温領域2RHでは、揮発性物質が揮発した状態で維持されるため、導通部21cにおける高温領域2RHに配置された部分(フィルタ材を用いて形成された部分)から揮発した状態の揮発性物質が導通部21c内の流路に吸引される。そして、該流路を通じて内部空間2Rの外側に揮発性物質が排出される。この際、導通部21cにおける高温領域2RHに配置された部分がフィルタ材を用いて形成されていることで、被処理物P1の一部が内部空間2Rを浮遊しているような場合(例えば、被処理物P1が上記のダストのような微粒子状である場合)であっても、被処理物P1が導通部21cの流路に流入しないため、被処理物P1と揮発性物質とが効果的に分離される。
【0043】
被処理物P1は、内部空間2Rにおける高温領域2RHを通過した後、低温領域2RLを通過する。低温領域2RLでは、内部空間2Rの温度が高温領域2RHよりも低下(具体的には、揮発温度未満に低下)すると共に、被処理物P1の温度も低下(具体的には、揮発温度未満に低下)する。しかしながら、高温領域2RHにおいて揮発した状態の揮発性物質が内部空間2Rの外側に排出されているため、低温領域2RLに揮発した状態の揮発性物質が流入して凝集(固化、又は、液化)し、被処理物P1に大量に付着することがない。
【0044】
低温領域2RLを通過した被処理物P1は、本体排出部2hから処理物P2として排出される。排出された処理物P2は、処理物回収部4の回収空間4Rで回収され、下方に向かって排出される。回収された処理物は、例えば、セメント等の原料として利用したり、燃焼用の燃料として利用したりすることができる。
【0045】
上記したように、本実施形態の除去装置1及び除去方法によれば、内部空間2Rにおける高温領域2RHでは、該領域の温度及び該領域内に位置する被処理物P1の温度が揮発温度以上に上昇し、被処理物P1から揮発性物質が揮発すると共に、揮発した状態で維持される。そして、高温領域2RHに配置された揮発性物質排出手段2cによって、揮発した状態の揮発性物質が高温領域2RHから内部空間2Rの外側に排出される。
【0046】
ここで、内部空間2Rの温度は、低温領域2RLでは、該領域の温度及び該領域内に位置する被処理物P1の温度が揮発温度未満に低下する。しかしながら、上記のように、高温領域2RHにおいて揮発性物質が内部空間2Rの外側に排出されているため、低温領域2RLに揮発した状態で移動する揮発性物質の量が低減される。
【0047】
これにより、揮発した状態の揮発性物質が低温領域2RLにおいて凝縮(固化や液化)して被処理物P1に、再度付着する量が低減される。このため、被処理物P1からの揮発性物質の除去を効果的に行うことができ、本体排出部2hから排出された処理物P2中の揮発性物質の含有量を低減することができる。
【0048】
斯かる構成によれば、被処理物P1から揮発した揮発性物質は、通常、被処理物P1よりも上方へ移動するため、被処理物P1よりも上方側に揮発性物質排出手段2cが配置されることで、揮発した揮発性物質をより効果的に除去することが可能となる。
【0049】
ここで、「被処理物P1よりも上方側」とは、内部空間2Rに供給された被処理物P1のうち、内部空間2R内を浮遊することなく本体部の供給部側から排出部側に向かって搬送される被処理物P1よりも上方側であることを意味する。
【0050】
本発明に係る揮発性物質の除去装置、及び、揮発性物質の除去方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0051】
例えば、上記実施形態では、本体部2aが軸線を中心に回転可能に構成されているが、これに限定されるものではなく、本体部が回転しないように構成されてもよい。具体的には、本体部が回転しない構成において、内部空間2Rに設置された搬送手段(コンベア等)によって被処理物P1が本体供給部2g側から本体排出部2h側へ搬送されるようにしてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、加熱手段2bが本体部2aの外側に配置されているが、これに限定されるものではなく、加熱手段2bが内部空間2Rに配置されてもよい。具体的には、上述のように本体部が回転しない構成において、内部空間2Rにおける被処理物P1の搬送方向の一部の領域に加熱手段(バーナー等)を設置し、該加熱手段上を被処理物P1が搬送手段によって搬送されるようにしてもよい。斯かる場合、内部空間2Rにおいて、被処理物P1が下方から加熱手段によって加熱されると共に、加熱手段の上方に高温領域が形成される。
【0053】
また、上記実施形態では、導通部21cがフィルタ材を用いて形成されているが、これに限定されるものではなく、導通部における高温領域2RHに配置された部分に一つ又は複数の開口部が形成され、該開口部から揮発した状態の揮発性物質を導通部の流路内に導入可能に構成されてもよい。このような導通部は、被処理物P1が内部空間2Rで浮遊しないような場合に用いることができる。この場合、被処理物P1が導通部の流路に吸引されることがないため、被処理物P1と揮発性物質とを導通部で分離する必要がない。このため、上記のような開口部を有する導通部を用いることができる。
【0054】
また、上記実施形態では、揮発性物質排出手段2cによって、内部空間2Rから揮発した状態の揮発性物質が吸引されているが、これに限定されてものではなく、揮発した状態の揮発性物質が吸引されることなく導通部21cの流路を通って内部空間2Rの外側に排出されるようにしてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、導通部21cにおける高温領域2RHに位置する部分のみがフィルタ材を用いて形成されているが、これに限定されるものではなく、導通部における内部空間2Rに位置する部分の全体がフィルタ材を用いて形成されてもよい。
【実施例】
【0056】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0057】
<実施例>
1.除去装置
図1及び2に示す除去装置1と同一の構成を有する除去装置(坂下製作所社製 傾斜回転炉)を用いた。該装置における本体部2aの全長(本体供給部2gと本体排出部2hとの間の距離)は、2200mmであった。また、内部空間2Rの体積は、0.08m
3であった。加熱手段2bとしては、電気炉を用い、本体供給部2gから460mmの位置と1580mmの位置との間の領域の内部空間2Rに熱を供給するように加熱手段2bが配置されている。
また、揮発性物質排出手段2cとしては、内部空間2Rに配置される部分の全体がフィルタ材(イソライト工業社製 製品名:イソフィル)を用いて筒状に形成された導通部21cと、該導通部21cに連結された吸引手段(武藤電気社製 製品名:MA−1/6)とを備えるものを用いた。そして、該導通部21cの一端側が内部空間2Rにおける高温領域2RHに位置すると共に、他端側が本体部2aから延出した状態となるように、内部空間2R内に導通部21cを配置し、導通部21cの他端部に吸引手段を連結した。
【0058】
2.被処理物
セメント製造設備の電気集塵器で回収されたダスト(水銀を含有するもの)を被処理物P1として用いた。
【0059】
3.処理条件
(1)内部空間2Rの温度
高温領域2RHの温度が400℃となるように内部空間2Rの温度を設定した。そして、本体供給部2gと本体排出部2hとの間の内部空間2Rの温度を所定間隔で測定し、測定結果を
図3に示した。温度の測定には、K型熱電対を用いた。
(2)搬送速度
内部空間2R内での被処理物の搬送速度を一定にすると共に、被処理物が高温領域2RHに入ってから通過するまでの時間を15分に設定した。
(3)吸引条件
揮発性物質排出手段2cによる揮発性物質の吸引条件を約60L/分とした。
【0060】
4.揮発性物質の除去
上記の条件において、4つの被処理物P1のそれぞれについて、各被処理物P1を内部空間2Rに供給して加熱し、被処理物P1から揮発性物質を揮発させると共に、揮発した揮発性物質を揮発性物質排出手段2cによって吸引し、内部空間2Rの外側に揮発性物質を排出した。そして、本体排出部2hから処理物P2を得た。
【0061】
5.揮発性物質の含有量の測定
内部空間2Rに供給される前の各被処理物P1の水銀の含有量Cs(ppm)を測定した。また、本体部2aから排出された各処理物P2の水銀の含有量Cx(ppm)を測定した。なお、水銀の含有量の測定は、日本インスツルメンツ社製 製品名:MA−2000を用いて、加熱気化モードの条件で測定した。
【0062】
6.揮発性物質の除去率
内部空間2Rに供給される前の各被処理物の水銀の含有量Csに対する各処理物P2の水銀の含有量Cxの低下率を下記の(1)式を用いて算出し、水銀の除去率W(%)とした。除去率Wの算出結果については、
図4に示す通りである。
W=(Cs−Cx)/Cs×100・・・(1)
【0063】
<比較例>
1.被処理物の加熱処理
揮発性物質排出手段2cを内部空間2Rに配置しなかったこと以外は、実施例と同一の装置を用い、実施例と同一条件で被処理物の加熱を行った。
【0064】
2.揮発性物質の含有量の測定
内部空間2Rに供給される前の被処理物P1の水銀の含有量Cs(ppm)を測定した。また、内部空間2Rにおける高温領域2RH及び低温領域2RLに位置する被処理物P1に対して、搬送方向に沿った複数箇所から試料を採取した。そして、各試料中の水銀の含有量Cx(ppm)を測定した。なお、実施例と同一の装置及び条件によって水銀の含有量の測定を行った。
【0065】
3.揮発性物質の除去率
実施例と同一の方法によって除去率Wを算出した。除去率Wの算出結果については、
図4に示す通りである。
【0066】
<まとめ>
図3をみると、内部空間2Rの温度は、高温領域2RHでは、水銀の揮発温度(沸点)以上(約400℃)に維持されているが、低温領域2RLでは、揮発温度未満に急激に低下してしまうことが認められる。
【0067】
そして、
図4を見ると、比較例では、高温領域2RHにおいて除去率Wが90%以上となっているのに対し、低温領域2RLでは、除去率Wが80%未満に低下してしまうことが認められる。特に、高温領域2RHから離れるに従って除去率Wが著しく低下することが認められる。これは、高温領域2RHで揮発した揮発性物質が揮発した状態で低温領域2RLに移動することにより、斯かる揮発性物質が凝集(固化、又は、液化)して被処理物に再付着したためである。
【0068】
これに対し、実施例では、得られた処理物P2の水銀の除去率Wは、80%以上となることが認められる。これは、高温領域2RHに配置された揮発性物質排出手段2c(具体的には、導通部21c)によって、揮発した状態の揮発性物質が内部空間2Rの外側に排出されるため、低温領域2RLに揮発した状態で移動する揮発性物質の量が低減されたからである。これにより、低温領域2RLにおいて揮発性物質が凝集して被処理物に再付着する量が低減され、得られた処理物P2における水銀の除去率Wが高くなっている。
【0069】
以上のように、高温領域2RHに揮発性物質排出手段2cを配置して、斯かる領域2RHで揮発した状態の揮発性物質を内部空間2Rの外側に排出することで、低温領域2RLにおいて揮発性物質が被処理物に再付着する量を低減することができるため、被処理物P1からの揮発性物質の除去を効果的に行うことができる。これにより、内部空間2Rから排出される処理物P2の水銀の含有量を低減することができる。