(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1から11のいずれかに記載のアレイの使用方法であって、前記アレイにおける糖ペプチドに検出対象物質を接触させ、前記糖ペプチドと前記検出対象物質との結合を検出する工程を含む方法。
請求項1から11のいずれかに記載のアレイの使用方法であって、前記アレイにおける糖ペプチドに被検材料を接触させ、前記糖ペプチドと前記被検材料との結合を検出することにより、前記被検材料が前記糖ペプチドと結合する能力を有することを検出する方法。
請求項1から11のいずれかに記載のアレイの使用方法であって、前記アレイにおける糖ペプチドに被検材料を接触させ、前記糖ペプチドと前記被検材料との結合を検出することにより、前記被検材料中に前記糖ペプチドと結合する能力を有する物質が存在することを検出する方法。
【背景技術】
【0003】
遺伝子活性の評価や、薬物効果の分子レベルでの生理的プロセスを解読するための試みは、伝統的にゲノミクスに焦点が当てられてきたが、プロテオミクスは、細胞の生物学的機能についてより詳細な情報を提供する。プロテオミクスは、遺伝子レベルというよりもむしろ、蛋白質レベルでの発現を検出しそして定量することによる、遺伝子活性の定性的かつ定量的な測定を含む。また、蛋白質の翻訳後修飾、蛋白質間の相互作用など遺伝子にコードされない事象の研究を含む。一方、近年、糖鎖が生体内の第3の鎖として注目を浴びるようになってきている。特に、細胞分化やガン化、免疫反応や受精などとの関わりが研究され、新たな医薬や医療材料を創製しようとする試みが続けられている。また、糖鎖は多くの毒素、ウイルスおよびバクテリアなどの受容体であり癌のマーカーとしても注目されており、最近では癌細胞の転移やアルツハイマー病の原因と考えられているアミロイド蛋白質との相互作用も報告されている。
【0004】
「生命の設計図」であるゲノムの構造が明らかにされ、膨大なゲノム情報の入手が可能となった今日、プロテオミクス研究や糖鎖の研究はますます盛んになっており、それに伴って生理活性物質検出の迅速高効率(ハイスループット)化が求められている。そのため、この目的の分子アレイとして、抗体、糖ペプチド、糖鎖といった、糖を有する生理活性物質を固定化した基材の開発・研究が進められている。抗体チップなどを含むプロテインチップや糖鎖チップなどはその好例である。
【0005】
しかし、プロテインチップなどは一般にDNAチップの延長線上に位置付けられて開発がなされているため、ガラス基板上に蛋白質、またはそれを捕捉する分子をチップ表面に固定化する検討がなされている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
蛋白質等の検体の検出および定量において一般的に用いられている方法にサンドイッチ法がある。この方法は、固相に抗体(一次抗体)を結合させ、不溶化した抗体に標的となる蛋白質をトラップさせ、次いで標的蛋白質の別のエピトープを認識して結合する標識抗体(二次抗体)を反応させて、この標識物を測定することで蛋白質を定量的に測定する方法である(例えば特許文献1参照)。しかしこの方法では、例えばプロテインチップのように、一度に大量種の蛋白質を検出しようとした場合、各々の標的蛋白質に対して互いに競合しない複数種の抗体が必要となるため、条件の最適化は解決すべき多くの問題を含んでいる。
【0007】
また、蛋白質を捕捉する分子(以下、捕捉分子ともいう)を基板上に固定化した後、例えばサンドイッチ法のように前記表面上で他の蛋白質(抗原抗体反応の場合、抗原に相当)と反応させ、更に、標識された蛋白質を反応させ最終的に検出機等で検出する場合、捕捉分子が固定されていない部分に前記分子以外の蛋白質、すなわち、抗原や標識された蛋白質が固定されると、検出時にノイズとなり信号対雑音比(S/N比)を低下させる原因となり、検出精度を低下させる(例えば特許文献2参照)。特に、本発明者らが行った実験では、臨床診断等で用いられる血清や血漿においては、夾雑蛋白質の非特異的吸着が多くノイズが高く出てしまい、S/N比が低くなる傾向にあった。
【0008】
このため通常のサンドイッチ法では、一次抗体を固定化した後に抗原および二次抗体の非特異的吸着を防止するため、吸着防止剤のコーティングが行われるが、これらの非特異的吸着防止能は十分でない。また、一次抗体を固定化した後に吸着防止剤をコーティングするため、固定化した蛋白質の上にコーティングされてしまう場合があり、二次抗体と反応できないという問題があった。このため、一次抗体固定化後の吸着防止剤コーティング工程がなく、かつ生理活性物質の非特異的吸着量の少ないバイオチップが求められている。
【0009】
一方、一次抗体を固定化する際、抗体の抗原結合部位が機能しやすいように固定化することが重要である。たとえば特許文献2には、特定の固定化物質を、基板に作製した微細穴に結合させる方法が記載されている。しかし、この方法では、固定化物質が抗体の場合、アミノ基末端(N末端)を用いて基板とペプチド結合させることになり、抗原結合部位が十分に機能しない場合があった。
【0010】
そこで、本願出願人は、吸着防止剤をコーティングすることなく、生体分子の非特異的な吸着・結合を抑制し、種々の生理活性物質を固定化できるバイオアッセイ用高分子化合物およびこれを用いた基材を開発した(特許文献3)。この基材においては、その表面が、生体分子の非特異的吸着を抑制するためのホスホリルコリン基を有するユニット、基材との結合のための疎水性基を有するユニット、および、目的の物質を結合させるための一級アミノ基を有するユニットの3つのユニットを含む高分子化合物で被覆されており、この高分子化合物の一級アミノ基と、目的の物質におけるアルデヒド基との結合により、目的の物質を基材に固定化させることができる。
【0011】
しかしながら、前記基材において糖ペプチドを固定化する際には、副反応物や夾雑物の混入を回避しつつ、固定化の効率を高めるためのさらなる改善が望まれていた。
【0012】
なお、非特許文献1には、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステルで活性化したガラス基板表面に対し、糖ペプチドに含まれるアミノ基を反応させてアミド結合を形成する化学反応により、糖ペプチドがガラス基板に固定化されたアレイについて記載されている。しかしながら、このような方法で糖ペプチドアレイを作製する場合には、糖ペプチド内に基板に対する反応点が複数存在するため、固定化した糖ペプチドの配向制御が困難であり、また、副反応物や夾雑物の混入の問題や、検出対象物質の基材への非特異的吸着の問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、検出対象物質と糖ペプチドとの結合の検出に有用な糖ペプチドが固定化されたアレイを提供することにある。さらなる本発明の目的は、吸着防止剤をコーディングすることなく検出対象物質の非特異的な吸着・結合を抑制することが可能な、前記糖ペプチドが固定化されたアレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ペプチド部分にカルボニル基を有する分子を結合させた糖ペプチドが、前記カルボニル基を介して効率的に、一級アミノ基を有するユニットを含む高分子化合物で被覆された基材に固定化しうることを見出した。特に、本発明者らは、糖ペプチドアレイの基材として、一級アミノ基を有するユニット、親水性を保持するためのユニット、および疎水性基を有するユニットを含む高分子化合物で被覆された基材を用いると、効率的に糖ペプチドを固定化しうるとともに、検出対象物質の非特異的な吸着・結合を効果的に抑制しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】
本発明は、より詳しくは、以下の発明を提供するものである。
(1)
ペプチド部分のN末端にカルボニル基を有する分子が導入された糖ペプチドが基材に固定化されてい
るアレイであって、
前記基材は、一級アミノ基を有するユニットを含む高分子化合物で被覆されており、前記カルボニル基と前記一級アミノ基の結合により、
前記糖ペプチドが基材に固定化されているアレイ。
(2) 基材における高分子化合物が、さらに、ホスホリルコリン基を有するユニットおよび疎水性基を有するユニットを含む、(1)に記載のアレイ。
(3) 高分子化合物が、下記一般式〔1〕で表されるものである、(2)に記載のアレイ。
【0018】
【化1】
【0019】
(式中R1、R2、R3は水素原子またはメチル基を、R4は疎水性基を示す。Xは炭素数1〜10のアルキレンオキシ基を示し、pは1〜20の整数を示す。pが2以上20以下の整数である場合、繰り返されるXは、同一であっても、または異なっていてもよい。Yはアルキレングリコール残基を含むスペーサーであり、Zは酸素原子、NH、NH(C=O)NH、またはNH(C=S)NHである。l、m、nは自然数(ここで自然数とは、1以上の整数のことをいう)である。)
(4) 一般式〔1〕において、Yが下記一般式〔2〕又は〔3〕である、(3)に記載のアレイ。
【0020】
【化2】
【0021】
(式中q、rは1〜20の整数)
【0022】
【化3】
【0023】
(式中q、rは1〜20の整数)
(5) 高分子化合物における一級アミノ基が、オキシルアミノ基および/またはヒドラジド基である、(1)から(4)のいずれかに記載のアレイ。
(6) 高分子化合物における一級アミノ基を有するユニットの含有量が、高分子化合物の全ユニットの20mol%以上、40mol%以下である、(1)から(5)のいずれかに記載のアレイ。
(7) 一般式〔1〕において、Xがエチレンオキシ基である、(3)に記載のアレイ。
(8) 高分子化合物の主鎖が(メタ)アクリル骨格である、(1)〜(7)のいずれか記載のアレイ。
(9) 疎水性基R4が炭素数2〜10のアルキル基である、(3)に記載のアレイ。
(10) 疎水性基R4が環状アルキル基である、(9)に記載のアレイ。
(11) 環状アルキル基がシクロヘキシル基である、(10)に記載のアレイ。
(12) (1)から(11)のいずれかに記載のアレイの使用方法であって、前記アレイにおける糖ペプチドに検出対象物質を接触させ、前記糖ペプチドと前記検出対象物質との結合を検出する工程を含む方法。
(13) (1)から(11)のいずれかに記載のアレイの使用方法であって、前記アレイにおける糖ペプチドに被検材料を接触させ、前記糖ペプチドと前記被検材料との結合を検出することにより、前記被検材料が前記糖ペプチドと結合する能力を有することを検出する方法。
(14) (1)から(11)のいずれかに記載のアレイの使用方法であって、前記アレイにおける糖ペプチドに被検材料を接触させ、前記糖ペプチドと前記被検材料との結合を検出することにより、前記被検材料中に前記糖ペプチドと結合する能力を有する物質が存在することを検出する方法。
【発明の効果】
【0024】
本発明の糖ペプチドアレイを用いれば、検出対象物質と糖ペプチドとの相互作用を効率的に検出することが可能である。特に、この糖ペプチドアレイにおいて、一級アミノ基を有するユニット、親水性を保持するためのユニット、および疎水性基を有するユニットを含む高分子化合物で被覆された基材を用いることにより、効率的に糖ペプチドを固定化しうるとともに、検出対象物質の非特異的な吸着・結合を抑制することが可能である。また、本発明の糖ペプチドアレイは、糖ペプチドに人為的に導入したカルボニル基を介して固定化されるため、前記カルボニル基は検出対象物質と糖ペプチドとの相互作用に影響のない任意の箇所に導入することが可能であり、糖ペプチドの機能保持に有利である。このような利点は、非特異的吸着により糖ペプチドを固定化する従来法や活性エステル処理した基材を用いて糖ペプチドを固定化する従来法ではもたらすことが困難な、本発明に特有の効果である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、糖ペプチドが基材に固定化されている糖ペプチドのアレイであって、糖ペプチドは、そのペプチド部分にカルボニル基を有する分子が結合されており、基材は、一級アミノ基を有するユニットを含む高分子化合物で被覆されており、前記カルボニル基と前記一級アミノ基の結合により、糖ペプチドが基材に固定化されているアレイを提供する。なお糖ペプチドアレイとは、通常は複数種類の糖ペプチドが基材の複数個所に固定化されているアレイのことを言うが、本願において糖ペプチドアレイとは、単一種類の糖ペプチドが基材の1箇所だけに固定化されているものや、複数種類の糖ペプチドが基材の1箇所だけに固定化されているもの、単一種類の糖ペプチドが基材の複数個所に固定化されているものも含む。
【0027】
本発明の糖ペプチドアレイは、検出対象物質と糖ペプチドとの結合の検出に用いることが可能であり、例えば、臨床検査、予後診断、薬物効果判定、ワクチン、早期発見、免疫学的予防、免疫学的治療、食品・農薬等の安全性評価、在宅医療、僻地医療などに有用である。
【0028】
本発明に用いるカルボニル基を有する分子における「カルボニル基」としては、ケトン基およびアルデヒド基が挙げられる。
【0029】
前記カルボニル基を有する分子は、糖ペプチドのペプチド部分のN末端あるいはC末端に結合されていてもよく、また、その他の部位に結合されていてもよいが、好ましくは、N末端あるいはC末端に結合されている。糖ペプチドの合成において、固相樹脂に担持したC末端アミノ酸からN末端側へとペプチド鎖を伸長させる場合(定法の場合)、N末端に前記カルボニル基を有する分子を導入することが、糖ペプチドの合成の効率の観点から、特に好ましい。この場合、伸長が不完全なペプチド鎖は合成途中でN末端がキャッピングされるため基材に固定化されず、完全長まで伸長したペプチド鎖のみが基材に固定化される。このため、N末端に前記カルボニル基を有する分子を導入する態様には、完全長まで伸長したペプチド鎖の精製効果がある。
【0030】
本発明の糖ペプチドアレイにおける基材は、一級アミノ基を有するユニットを含む高分子化合物で被覆されたものであるが、前記高分子化合物は、さらに、親水性を保持するためのユニットおよび疎水性基を有するユニットを含むことが好ましい。この形態の基材においては、親水性を保持するためのユニットが検出対象物質の基材への物理的吸着(非特異的吸着)を抑制する役割を、疎水性基を有するユニットが高分子化合物を基材に結合させる役割を、それぞれ果たす。
【0031】
本発明の高分子化合物に含まれる一級アミノ基を有するユニットは、特に構造を限定されるものではないが、下記一般式〔1〕の構成単位の右部の構成単位で表されるように、(メタ)アクリル残基とオキシルアミノ残基を含むスペーサーYを介した構造であることが好ましい。オキシルアミノ基の場合、Zは酸素原子を、ヒドラジド基の場合、ZはNHを、セミカルバジド基の場合、ZはNH(C=O)NHを、チオセミカルバジドの場合、NH(C=S)NHを示す。nは本来自然数であるが、各成分の組成割合として標記される場合がある。アルキレングリコール残基を含むスペーサーYの構造は、特に制限されるものではないが、下記一般式〔2〕または〔3〕であることが好ましく、より好ましくは〔2〕である。なお、式〔2〕、〔3〕中、q、rは1〜20の整数である。
【0035】
本発明の高分子化合物に含まれる一級アミノ基を有するユニットの組成割合は(l,m,nの和に対するnの比率)は、高分子の全ユニットに対して、1〜94mol%が好ましくより好ましくは2〜90mol%、最も好ましくは、20〜40mol%である。組成値が下限地を下回ると糖ペプチドを十分量固定化できなくなる。また、上限値を上回ると非特異吸着が増加する。
【0036】
高分子化合物に含まれる親水性のユニットはホスホリルコリン基に代表されるもので、特に構造を限定するものではないが、前記一般式〔1〕のユニットは、構成単位の左部の構成単位で示されように、(メタ)アクリル残基とホスホリルコリン基が炭素数1〜10のアルキレンオキシ基Xの連鎖を介して結合した構造であることが最も好ましい。中でもXはエチレンオキシ基であることが最も好ましい。式中のアルキレンオキシ基の繰り返し数は1〜20の整数であり、繰り返し数2以上20以下の場合は、繰り返されるアルキレンオキシ基の炭素数は同一であっても、異なっていてもよい。lは本来自然数であるが、各構成成分の組成割合として表記される場合がある。
【0037】
高分子化合物に含まれるホスホリルコリン基を有するユニットの組成割合は(l,m,nの和に対するlの比率)は、高分子の全ユニットに対して、5〜98mol%が好ましくより好ましくは10〜80mol%、最も好ましくは、10〜80mol%である。組成比が下限値を下回ると親水性が弱くなり非特異吸着が多くなる。一方、上限値を上回ると水溶性が高まり、アッセイ中に高分子化合物が溶出してしまう可能性がある。
【0038】
本発明の高分子化合物に含まれる疎水性基を有するユニットは、特に構造を限定しないが、前記一般式[1]の構成単位の中央部の構成単位で表されるように、(メタ)アクリル基残基に疎水性基が結合した構造であることが好ましい。疎水基は特に限定されないが、アルキル基や芳香族類が挙げられる。より好ましくは、前記アルキル基が炭素数2〜10のアルキル基である。アルキル基は特に構造を限定されるものではなく、直鎖であっても、分岐していても、環状になっていてもよい。高分子化合物に疎水性基を有するユニットが含まれていることにより、プラスチックなど、疎水性の基材に対しても濡れ性が向上し、ムラなく塗布できるようになる。また、疎水性が増すことから、アッセイ中に前記高分子化合物が溶出してしまうことを防止することができる。式中、mは本来自然数であるが、各構成成分の組成割合として表記される場合がある。
【0039】
高分子化合物に含まれる疎水性基を有するユニットの組成割合は(l,m,nの和に対するmの比率)は、高分子の全ユニットに対して、10〜90mol%が好ましく、より好ましくは10〜80mol%、最も好ましくは、20〜80mol%である。上限値を上回ると非特異吸着が増加する恐れが出てくる。
【0040】
本発明の高分子化合物の合成方法は、特に限定されるものではないが、合成の容易さから、少なくとも一級アミノ基を予め保護基にて保護したモノマー、ホスホリルコリン基を有するモノマー、疎水性基を有するモノマーをラジカル共重合する工程、前記工程により得られた高分子化合物から保護基を除去する工程、を含む製造方法が好ましい。あるいは、少なくとも一級アミノ基を導入しうる官能基を有するモノマー、ホスホリルコリン基を有するモノマー、および疎水性基を有するモノマーをラジカル共重合する工程、前記工程により得られた高分子化合物に一級アミノ基を導入する工程、を含む製造方法が好ましい。
【0041】
一級アミノ基を予め保護基にて保護したモノマーは、特に構造を限定しないが、下記一般式[4](式中、R3は水素原子またはメチル基、Yはアルキレングリコール残基を含むスペーサー、Zは酸素原子またはNH、Wは保護基を示す。)で表されるように、(メタ)アクリル基と、オキシルアミノ基またはヒドラジド基が、アルキレングリコール残基を含むスペーサーYを介した構造であることが好ましい。
【0043】
保護基Wとしてはアミノ基を保護基できるものであれば何ら制限を受けるものではなく、任意に用いることができる。なかでもt―ブトキシカルボニル基(Boc基)やベンジロキシカルボニル基(Z基、Cbz基)、9−フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc基)などが好適に用いられる。
【0044】
具体的なモノマーの例としては、下記式で表されるものが挙げられる。
【0046】
脱保護化は、トリフルオロ酢酸や塩酸、無水フッ化水素を用いれば、一般的な条件で行うことができる。
【0047】
ホスホリルコリン基を有するモノマーとしては、特に構造を限定しないが、例えば2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチルホスホリルコリン、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルホスホリルコリン、10−(メタ)アクリロイルオキシエトキシノニルホスホリルコリン、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリンなどが挙げられるが、入手性から2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが好ましい。
【0048】
疎水性基を有するモノマーの具体的な例としては、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ネオペンチル(メタ)アクリレート、iso−ネオペンチル(メタ)アクリレート、sec−ネオペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、iso−ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、iso−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、iso−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、iso−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、iso−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、iso−テトラデシル(メタ)アクリレート、n−ペンタデシル(メタ)アクリレート、iso−ペンタデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキサデシル(メタ)アクリレート、iso−ヘキサデシル(メタ)アクリレート、n−オクタデシル(メタ)アクリレート、iso−オクタデシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのなかでも好ましいのは、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n―ブチルメタクリレート、n−ドデシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレートである。
【0049】
一方、高分子化合物を重合した後に一級アミノ基を導入する方法としては、何ら制限を受けるものではないが、少なくともホスホリルコリン基を有するモノマー、疎水性基を有するモノマー、およびアルコキシ基を有するモノマーをラジカル共重合した後に、前記高分子化合物に導入されたアルコキシ基とヒドラジンを反応させて、ヒドラジド基を生成する方法が簡便で好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、t−ブトキシ基などが好適である。
【0050】
具体的なアルコキシ基を有するモノマーの例としては、下記式で表されるものが挙げられる。
【0052】
本発明の高分子化合物の合成溶媒としては、それぞれのモノマーが溶解するものであればよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブチルアルコール、n−ペンタノールなどのアルコール類、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどを挙げることができる。これらの溶媒は、単独または2種以上の組み合わせで用いられる。
【0053】
重合開始剤としては通常のラジカル開始剤ならいずれでもよく、例えば、2,2’−アゾビスイソブチルニトリル(以下「AIBN」ともいう)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)などのアゾ化合物、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリルなどの有機過酸化物などを挙げることができる。
【0054】
本発明の高分子化合物の分子量は、高分子化合物と未反応の単量体との分離精製が容易になることから、数平均分子量は5000以上が好ましく、10000以上がより好ましい。
【0055】
脱保護は前述のトリフルオロ酢酸や塩酸、無水フッ化水素を用いれば、一般的な条件で行うことができるが、脱保護の時期に関しては、以下の通りである。
【0056】
通常は重合が完了し、高分子化合物が作製できた段階で行うことが一般的であり、重合終了後に脱保護を行うことで前記高分子化合物を得ることができる。
【0057】
一方、本発明においては、基材表面に前記高分子化合物を被覆することにより糖ペプチドの非特異的吸着を抑制する性質、及び糖ペプチドを固定化する性質を容易に付与することが可能である。
【0058】
この場合、脱保護を行った一級アミノ基を持つ高分子化合物を被覆することも可能であるが、反応性の高い一級アミノ基を持つ高分子材料を溶液にして被覆することは、場合によっては作業中に一級アミノ基が反応して不活化することも考えられる。
【0059】
従って、脱保護する直前で高分子化合物を精製し、基材表面を被覆した後に、脱保護の反応を行い、基材表面上に一級アミノ基が存在する状態を形成することが望ましい。
【0060】
基材表面への高分子化合物の被覆は、例えば有機溶剤に高分子化合物を0.05〜50重量%濃度になるように溶解した高分子溶液を調製し、浸漬、吹きつけなどの公知の方法で基材表面に塗布した後、室温下ないしは加温下にて乾燥させることにより行われる。
【0061】
有機溶剤としてはエタノール、メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブチルアルコール、n−ペンタノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、シクロヘキサノンなどを挙げることができる。これらの溶媒は、単独または2種以上の組み合わせで用いられる。中でも、エタノール、メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブチルアルコール、n−ペンタノールシクロヘキサノールなどのアルコール類がプラスチック基材を変性させず、乾燥させやすいため好ましい。
【0062】
本発明に用いる基材としては、スライド形状基板、96穴プレート、容器、マイクロフルイディスク基板が好ましい。例えばプラスチック製基板、ガラス製基板、金属蒸着膜を有する基板などがあげられる。プラスチック製基板の具体例としては、ポリスチレン、環状ポリオレフィンポリマー、シクロオレフィンポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートを素材とした基板などがあげられる。
【0063】
特に、蛍光観察に用いる基材としては、環状ポリオレフィンポリマー、シクロオレフィンポリマーが有用である。前記基材を用いる場合においては、前記高分子化合物の疎水基が、シクロヘキシル基であると、基材との相互作用が良好で、同じ組成比の高分子材料を他の基材(例えばポリスチレンやガラス基材)に塗布した場合に比べ、吸着量が高くバックグランド値が低い良好な結果となる。
【0064】
また、環状ポリオレフィンポリマーに、前記高分子化合物を塗布する場合、アミノオキシモノマー100mol%の高分子化合物に関しては、塗布することができない。一方、ポリスチレンポリマーには塗布可能であるが、夾雑物の非特異的吸着は抑制されず汎用性に乏しい。
【0065】
糖ペプチドの基材への固定化方法としては、スポッターを使用して糖ペプチドが溶解した溶液を点着する方法、糖ペプチドが溶解した溶液を容器などに分注して固定化する方法などがある。
【0066】
糖ペプチドを溶解する溶液としては各種緩衝材が好適に用いられる。特に限定されないが、たとえば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素二カリウム、トリス塩酸緩衝剤、トリス酢酸緩衝剤、PBS緩衝剤、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、HEPES(N−2−hydroxyethylpiperazine−N’−ethanesulphonic acid)緩衝剤、MOPS(3−(N−morpholino)propanesulphonic acid)緩衝剤などが用いられる。
【0067】
糖ペプチドを溶解する場合、溶液のpHとしては、2〜8であることが好ましい。糖ペプチドの溶液中の濃度としては特に限定されないが、0.0001mg/mlから10mg/mlであることが好ましい。糖ペプチドの溶液を固定化する温度としては0℃から100℃が好ましい。
【0068】
また、本発明は、このようにして作製された糖ペプチドアレイの使用方法であって、前記アレイにおける糖ペプチドに検出対象物質を接触させ、前記糖ペプチドと前記検出対象物質との結合を検出する工程を含む方法をも提供する。前記結合の検出のため、検出対象物質は、必要に応じて標識されていてもよい。標識としては検出可能であれば特に制限はないが、例えば、蛍光色素、放射性物質、化学発光物質、酵素、補酵素を用いることが可能であり、具体的には、フルオレセイン、ローダミン、ダンシルクロリド、ルシフェラーゼ、ラジオアイソトープ、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、リゾチーム、ビオチン/アビジンなどが挙げられる。
また、本発明は、このようにして作製された糖ペプチドアレイの使用方法であって、前記アレイにおける糖ペプチドに被検材料を接触させ、前記糖ペプチドと前記被検材料との結合を検出することにより、前記被検材料が前記糖ペプチドと結合する能力を有することを検出する方法や、前記アレイにおける糖ペプチドに被検材料を接触させ、前記糖ペプチドと前記被検材料との結合を検出することにより、前記被検材料中に前記糖ペプチドと結合する能力を有する物質が存在することを検出する方法をも提供する。前記結合の検出のため、前記被検材料は、必要に応じて標識されていてもよい。標識としては検出可能であれば特に制限はないが、例えば、蛍光色素、放射性物質、化学発光物質、酵素、補酵素を用いることが可能であり、具体的には、フルオレセイン、ローダミン、ダンシルクロリド、ルシフェラーゼ、ラジオアイソトープ、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、リゾチーム、ビオチン/アビジンなどが挙げられる。
【実施例】
【0069】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0070】
[実施例1] MUC1糖ペプチドの合成
以下のアミノ配列のオリゴペプチドを、文献(特開2006−63055号公報)に記載の方法に従って合成した。
【0071】
配列1:5-oxo linker-GVTSAPD
TRPAPG
STAPPAHGVT-NH
2/配列番号:1
配列2:5-oxo linker-STAPPAHGVTGV
TSAPD
TRPAPGSTA-NH
2/配列番号:2
配列1のN(アミノ)末端に導入された5-oxyhexanoyl側から8、14、15位のトレオニン(T)およびセリン(S)の水酸基に、単糖のN−アセチルガラクトサミン(Tn)、二糖のガラクトース−N−アセチルガラクトサミン(T:Galβ1→3GalNAc)、三糖のN−アセチルノイラミン酸−ガラクトース−N−アセチルガラクトサミン(Sialyl−T:NeuAcα2→3Galβ1→3GalNAc)を結合し、下記表1に記載の化合物を作製した。
【0072】
同様に、配列2のN(アミノ)末端に導入された5-oxyhexanoyl側から13,14,18位のトレオニン(T)およびセリン(S)の水酸基に、単糖のN−アセチルガラクトサミン(Tn)、二糖のガラクトース−N−アセチルガラクトサミン(T:Galβ1→3GalNAc)、三糖のN−アセチルノイラミン酸−ガラクトース−N−アセチルガラクトサミン(Sialyl−T:NeuAcα2→3Galβ1→3GalNAc)を結合し、下記表1に記載の化合物を作製した。
【0073】
【表1】
【0074】
[実施例2] ポリマーの合成
(1) 高分子化合物の合成
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)、n−ブチルメタクリレート(BMA)、N−[2−[2−[2−(t−ブトキシカルボニルアミノオキシアセチルアミノ)エトキシ]エトキシ]エチル]−メタクリルアミド(OA、式[5]で示した化合物)をそれぞれ順に0.25mol/L、0.55mol/L、0.20mol/Lになるようにエタノールに溶解させ、モノマー混合溶液を作製した。そこにさらにAIBNを0.01mol/Lになるように添加し、均一になるまで撹拌した。その後、アルゴンガス雰囲気下、60℃で6時間反応させた後、反応溶液をジエチルエーテル中に滴下し、沈殿を回収した。得られた高分子化合物を1H―NMRで測定し、この高分子化合物の組成比を算出した。表2に結果を示した。
【0075】
【表2】
【0076】
(2) 高分子化合物の脱保護
前記高分子化合物を2NのHCl−ジオキサン−エタノール溶液で室温4時間処理することにより、BOC基の除去を行った。脱保護後の高分子化合物の1H―NMR測定を行い、BOC基のトリメチルに起因するピークが消失していることより脱保護を確認した。
【0077】
(3) 糖ペプチド固定化用基板の作製
飽和環状ポリオレフィン樹脂(5−メチル−2−ノルボルネンの開環重合体の水素添加物、MFR(Melt flow rate):21g/10分、水素添加率:実質的に100%、熱変形温度123℃)をスライドガラス形状(寸法:75mm×25mm×1mm)に加工して固相基板を作成した。この固相基板を前期2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)、n−ブチルメタクリレート(BMA)、N−[2−[2−[2−(t−ブトキシカルボニルアミノオキシアセチルアミノ)エトキシ]エトキシ]エチル]−メタクリルアミド(OA)の共重合体(各基はモル%で26:66:8)の0.3重量%エタノール溶液に浸漬し、乾燥することにより、基板表面に上記高分子物質を含む層を導入した。
【0078】
[実施例3] MUC1糖ペプチドアレイの作製
前記で得られた糖ペプチドを0.5Mの酢酸バッファー中に0.5mMの濃度になるように調製した溶液を、自動スポッターを用いて
図1のようにスポットし、80℃で1時間静置して固定化した。固定化後、超純水による洗浄を行った。
【0079】
[実施例4] MUC1糖ペプチドアレイの検出
前記MUC1糖ペプチドアレイを以下の方法で測定した。6種類の抗MUC1モノクローナル抗体(VU−3D1、Ma552、VU−12E1、VU11E2,SM2、VU−3C6)の溶液を、各スポット部分に100μL分注し、室温で1時間反応させた。反応後、下記の洗浄液で5回洗浄した。
【0080】
洗浄液:50mM Tris・HCl(pH7.5)、100mM NaCl、1mM CaCl
2、MnCl
2、MgCl
2、0.05%TritonX−100(試薬はすべて和光純薬製)
次に、1μg/mLのCy3−Labeled Goat Anti−Mouse IgG(H+L)を各スポットに100μL分注し、室温で1時間反応させた。反応後、上記の洗浄液で5回洗浄した。
【0081】
マイクロアレイスキャナー「ScanArray」(Packard BioChip Technologies社製)を用いて、蛍光測定した。
【0082】
その結果、6種類の抗体において、抗原として用いた糖ペプチドとの反応性が異なることが判明した(
図2)。VU−3C6抗体またはVU−12E1抗体を用いた場合ではすべてのスポットで蛍光発光が観察されているのに対して、Ma552抗体、VU−11E2抗体、VU−3D1抗体、またはSM3抗体を用いた場合には、修飾糖鎖が長くなるにつれて反応性が低下していた。
【0083】
以下、基材を被覆する高分子化合物についての参考例を示す。
【0084】
<参考例1> アミノオキシ基含有量の比較(96ウェルプレート)
(1)糖鎖捕捉基材の作製
糖鎖捕捉高分子材料を表面に形成させる基材として、96ウェルプレートを使用した。前記96ウェルプレートは住友ベークライトにおいて環状ポリオレフィン樹脂で成形したものを使用した。
糖鎖捕捉高分子化合物として2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン−ブチルメタクリレート−N−[2−[2−[2−(t−ブトキシカルボニルアミノオキシ−アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ]エチル]-メタクリルアミド共重合体を用い、前記高分子化合物の1.0重量%エタノール溶液150uLを96ウェルプレートの各ウェルに分注して30分静置した後に溶液を抜き取り乾燥させ、溶媒を蒸散させて基材表面に塗布した。高分子化合物として、アミノオキシ基の含有量が14、16、20%の3種類を合成し、用いた。乾燥後、2M HClを分注し、37℃で2時間処理してBoc基を脱保護し糖鎖捕捉高分子化合物を表面に持つ96ウェルプレートを作製した。
(2)糖鎖固定化
二糖のラクトース(和光純薬、124−00092)を300mMの酢酸ナトリウムバッファー(pH4.0)で1mg/mLに調製し、ラクトース溶液を作製した。作製したラクトース溶液を、前記の糖鎖捕捉用96ウェルプレートに200μL分注し、65℃で16時間反応させた。反応後、溶媒で未反応ラクトースを除去した。
(3)固定糖鎖の検出
ラクトースと特異的に反応するRCA120レクチンをビオチン標識したもの(Biotin標識RCA120レクチン(Vector社製、B−1085))を下記の溶媒で0.5μg/mLに調製した。
【0085】
溶媒:50mM Tris・HCl(pH7.5)、100mM NaCl、1mM CaCl
2、MnCl
2、MgCl
2、0.05% Tween20(試薬はすべて和光純薬社製)
各ウェルに100μLづつ分注して室温で2時間反応させた。反応後、下記洗浄液で3回、ウェル内を洗浄した。
【0086】
洗浄液:50mM Tris・HCl(pH7.5)、100mM NaCl、1mM CaCl
2、MnCl
2、MgCl
2、0.05% TritonX−100(試薬はすべて和光純薬製)
ペルオキシダーゼ標識アビジン(MP Biomedicals社製、191370)を下記の溶媒で0.5μg/mLに調製した。
【0087】
溶媒:50mM Tris・HCl(pH7.5)、100mM NaCl、1mM CaCl
2、MnCl
2、MgCl
2、0.05% Tween20(試薬はすべて和光純薬社製)。
【0088】
ペルオキシダーゼ溶液100μLを、前記のラクトースを固定化した96ウェルプレートに分注し、室温で1時間反応させた。反応終了後、洗浄液で各ウェルを3回洗浄した。
【0089】
固相化されたぺルオキシダーゼ量の測定においては、ペルオキシダーゼ用発色キット(住友ベークライト社製、ML−1120T)を用いて15分間発色させた後、マイクロプレートリーダー(TECAN社製Infinit200)で測定波長450nmの吸光度を測定した。
【0090】
結果を表3に示す。
【0091】
【表3】
【0092】
<参考例2> 疎水性残基の構造比較(バックグランド比較、96ウェルプレート)
参考例1で用いた環状ポリオレフィン製96ウェルマイクロプレート(住友ベークライト社製)を使用した。参考例1の糖鎖捕捉高分子化合物のブチルメタクリレートを、シクロヘキシルメタクリレートまたはn−ヘキシルメタクリレートに代えて合成した高分子化合物を参考例1と同様の方法で塗布し、Boc基を脱保護した。Biotin標識RCA120レクチンを反応させ、さらにペルオキシダーゼ標識アビジンを反応させた。その後、ペルオキダーゼ発色キットで発色させ、吸光度を測定した。
【0093】
結果を表4に示す。
【0094】
【表4】
【0095】
直鎖アルキル基であるブチル基およびn−ヘキシル基においても低いバックグランド値が得られたが、環状アルキル基であるシクロヘキシル基においては、さらに低いバックグランド値が得られた。
【0096】
<参考例3> 疎水性残基の構造比較(シグナル値比較、96ウェルプレート)
参考例1、2で用いた環状ポリオレフィン製96ウェルマイクロプレート(住友ベークライト社製)を使用した。参考例1の糖鎖捕捉高分子化合物のブチルメタクリレートをシクロヘキシルメタクリレートに代えて合成した高分子化合物を、参考例1と同様の方法で塗布し、Boc基を脱保護した。
(1)糖鎖固定化
マンノトリオース(Dextra、M336)を下記の溶媒を用いて10μg/mLに調製した。96ウェルプレートの各ウェルに100μLづつ分注し、80℃、1時間反応させた。
【0097】
溶媒:2% AcOH/CH
3CN:水=75:25
反応終了後、洗浄して未反応のマンノトリオースを除去した。
(2)固定糖鎖の検出
マンノトリオースと特異的に反応するBiotin標識ConAレクチン(SIGMA社製、C2272)を下記の溶媒で250ng/mLに調製した。
【0098】
溶媒:50mM Tris・HCl(pH7.5)、100mM NaCl、1mM CaCl
2、MnCl
2、MgCl
2、0.05% Tween20。
【0099】
各ウェルに100μLづつ分注して室温で2時間反応させた。反応後、下記洗浄液で3回、ウェル内を洗浄した。
【0100】
洗浄液:50mM Tris・HCl(pH7.5)、100mM NaCl、1mM CaCl
2、MnCl
2、MgCl
2、0.05% TritonX−100
ペルオキシダーゼ標識アビジン(MP Biomedicals社製、191370)を下記の溶媒で0.5μg/mLに調製した。
【0101】
溶媒:50mM Tris・HCl(pH7.5)、100mM NaCl、1mM CaCl
2、MnCl
2、MgCl
2、0.05%Tween20。
【0102】
ペルオキシダーゼ溶液100μLを、前記のラクトースを固定化した96ウェルプレートに分注し、室温で1時間反応させた。反応終了後、洗浄液で各ウェルを3回洗浄した。固相化されたぺルオキシダーゼ量の測定においては、TMB(Bio−Rad社製、172−1067)で15分発色させ、450nmで吸光度を測定した。
【0103】
結果を表5に示す。
【0104】
【表5】
【0105】
環状アルキル基であるシクロヘキシル基において高い吸光度値を得ることができた。