(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記単位脱着工程を少なくとも何れか2つの吸着塔において同時に実行している間に、残りの少なくとも1つの吸着塔において内圧を上昇させる昇圧工程と前記吸着工程を実行する請求項1に記載の回収ガスの発生流量平準化方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示す本発明の
第1比較例の回収ガス発生装置X1は、圧力変動吸着法を利用して混合ガスから分離した回収成分を含む回収ガスを発生させるもので、第1の吸着塔A、第2の吸着塔B、及び第3の吸着塔Cを備える。各吸着塔A、B、Cに、混合ガスに含まれる回収成分に対し吸着選択性を有する吸着剤が収納される。例えば、二酸化炭素に対して選択吸着性を有するNa- X型ゼオライトを吸着剤として用いることで、高吸着成分となる二酸化炭素を回収成分とすることができる。また一酸化炭素に対しては選択吸着性を有するNa−モルデナイト型ゼオライトを吸着剤として用いることで、高吸着成分となる一酸化炭素を回収成分とすることができる。
【0022】
各吸着塔A、B、Cは、混合ガスの供給源1に昇圧装置2を介して接続されている。混合ガスとして、例えば製鉄所において副生される転炉ガスのような二酸化炭素を回収成分として含むガスや、メタノール等の分解ガスのような一酸化炭素を回収成分として含むガスが用いられる。混合ガスの供給源1は、例えば混合ガスを充填した容器、転炉ガスの排出設備等とされる。
【0023】
昇圧装置2は、各吸着塔A、B、Cの内圧増加手段として機能するもので、本
比較例ではコンプレッサーが用いられる。昇圧装置2の入口は、混合ガスの供給源1に接続される。昇圧装置2の出口は、吸着塔Aの一端側のゲート口3aに第1の混合ガス流路4aを介して接続され、吸着塔Bの一端側のゲート口3bに第2の混合ガス流路4bを介して接続され、吸着塔Cの一端側のゲート口3cに第3の混合ガス流路4cを介して接続される。
【0024】
混合ガス流路4a、4b、4cそれぞれは、供給用開閉手段5により個別に開閉される。本
比較例においては、供給用開閉手段5として混合ガス流路4aを開閉する供給用の第1の開閉弁5aと、混合ガス流路4bを開閉する供給用の第2の開閉弁5bと、混合ガス流路4cを開閉する供給用の第3の開閉弁5cが設けられている。
【0025】
これにより、吸着塔A、B、Cそれぞれに、加圧された混合ガスを混合ガス流路4a、4b、4cを介して導くことができる。各吸着塔A、B、Cにおいて加圧された混合ガスを導入することで昇圧工程を行い、また、混合ガスの一部を加圧下で吸着剤により吸着する吸着工程を行うことができる。なお、各吸着塔A、B、Cの内圧が昇圧工程により上昇することで、吸着工程が開始される。
【0026】
吸着工程において吸着剤により吸着されなかったガスは、吸着オフガスとして吸着塔A、B、Cから排出され、吸着オフガス容器6に導入される。すなわち、吸着オフガス容器6が、吸着塔Aの他端側ゲート口7aに第1の吸着オフガス流路8aを介して接続され、吸着塔Bの他端側ゲート口7bに第2の吸着オフガス流路8bを介して接続され、吸着塔Cの他端側ゲート口7cに第3の吸着オフガス流路8cを介して接続される。これにより、吸着オフガスは吸着オフガス流路8a、8b、8cを介して吸着塔A、B、Cから排出される。
【0027】
吸着オフガス流路8a、8b、8cそれぞれは、排出用開閉手段9によって個別に開閉される。本
比較例においては、排出用開閉手段9として吸着オフガス流路8aを開閉する排出用の第1の開閉弁9aと、吸着オフガス流路8bを開閉する排出用の第2の開閉弁9bと、吸着オフガス流路8cを開閉する排出用の第3の開閉弁9cが設けられている。なお、吸着オフガス容器6内は大気圧とされ、各吸着塔A、B、Cと吸着オフガス容器6との間に、吸着塔A、B、Cでの吸着圧力を調節する圧力調節弁等の圧力調節手段(図示省略)が設けられる。
【0028】
吸着塔A、B、Cの内部を減圧するため、減圧装置として第1の真空ポンプ10aと第2の真空ポンプ10bが設けられている。
真空ポンプ10aの入口は、吸着塔Aのゲート口3aに第1回収用の第1の回収ガス流路11aを介して混合ガス流路4aと並列に接続され、吸着塔Bのゲート口3bに第1回収用の第2の回収ガス流路11bを介して混合ガス流路4bと並列に接続され、吸着塔Cのゲート口3cに第1回収用の第3の回収ガス流路11cを介して混合ガス流路4cと並列に接続される。
真空ポンプ10bの入口は、吸着塔Aのゲート口3aに第2回収用の第1の回収ガス流路11a′を介して混合ガス流路4a、回収ガス流路11aと並列に接続され、吸着塔Bのゲート口3bに第2回収用の第2の回収ガス流路11b′を介して混合ガス流路4b、回収ガス流路11bと並列に接続され、吸着塔Cのゲート口3cに第2回収用の第3の回収ガス流路11c′を介して混合ガス流路4c、回収ガス流路11cと並列に接続される。
【0029】
回収ガス流路11a、11b、11c、11a′、11b′、11c′それぞれは、回収用開閉手段12により個別に開閉される。本
比較例においては、回収用開閉手段12として回収ガス流路11aを開閉する第1回収用の第1の開閉弁12aと、回収ガス流路11bを開閉する第1回収用の第2の開閉弁12bと、回収ガス流路11cを開閉する第1回収用の第3の開閉弁12cと、回収ガス流路11a′を開閉する第2回収用の第1の開閉弁12a′と、回収ガス流路11b′を開閉する第2回収用の第2の開閉弁12b′と、回収ガス流路11c′を開閉する第2回収用の第3の開閉弁12c′とが設けられている。
【0030】
これにより、吸着塔A、B、Cそれぞれを真空ポンプ10a、10bそれぞれにより個別に減圧し、各吸着塔A、B、Cにおいて吸着剤に吸着された混合ガスの一部を、減圧下で吸着剤から脱着させる脱着工程を行うことができる。また、吸着剤からの脱着ガスを、回収成分を混合ガスよりも高濃度に含む回収ガスとして、脱着工程が実行されている吸着塔A、B、Cから流出させ、流出する回収ガスを真空ポンプ10a、10bそれぞれに回収ガス流路11a、11b、11c、11a′、11b′、11c′を介して導くことができる。
【0031】
真空ポンプ10a、10bそれぞれの出口は、流量計15a、15bを介してバッファタンク16に接続され、バッファタンク16は回収容器17に接続されている。これにより、各吸着塔A、B、Cから流出する回収ガスをバッファタンク16に一時的に収容した後に、バッファタンク16から適宜抽出することで回収容器17に回収することができる。
【0032】
図2に示すように、開閉弁5a、5b、5c、9a、9b、9c、12a、12b、12c、12a′、12b′、12c′は、自動制御されるように制御装置18に接続される自動弁とされ、制御装置18に記憶されたプログラムに従い予め定められた順序で開閉され、これにより、吸着塔A、B、Cそれぞれにおいて、吸着工程と脱着工程とが交互に繰り返される。
制御装置18による供給用開閉手段5、排出用開閉手段9、および回収用開閉手段12の開閉順序は、脱着工程を脱着開始時点からの実行順に分割された2つの単位脱着工程として、単位脱着工程が何れか2つの吸着塔において同時に実行され、且つ、同時に実行する単位脱着工程それぞれの脱着開始時点からの実行順が互いに異なるように、吸着塔A、B、Cそれぞれにおける脱着開始時点が相異なるものとされ、且つ、単位脱着工程を実行している吸着塔それぞれの内部が、互いに連通することがないように独立して減圧され、且つ、何れか2つの吸着塔において単位脱着工程が実行されている間に、残りの吸着塔において昇圧工程と吸着工程が実行されるように設定される。
【0033】
本
比較例では、以下の表1に示すように、脱着工程を2分割し、脱着開始時点からの実行順が1番目の第1単位脱着工程と、2番目の第2単位脱着工程とから構成される。そして、吸着塔Bにおいて第2単位脱着工程を実行し、同時に吸着塔Cにおいて第1単位脱着工程を実行している間に、吸着塔Aにおいて昇圧工程と吸着工程を実行し、次に、吸着塔Aにおいて第1単位脱着工程を実行し、同時に吸着塔Cにおいて第2単位脱着工程を実行している間に、吸着塔Bにおいて昇圧工程と吸着工程を実行し、次に、吸着塔Aにおいて第2単位脱着工程を実行し、同時に吸着塔Bにおいて第1単位脱着工程を実行している間に、吸着塔Cにおいて昇圧工程と吸着工程を実行し、これが繰り返される。
【0035】
詳述すると、吸着塔Aにおいては、開閉弁5a、9aを開き、開閉弁12a、12a′を閉じることで、昇圧工程と吸着工程とが実行され、次に、開閉弁5a、9a、12a′を閉じ、開閉弁12aを開くことで、第1単位脱着工程が実行され、次に、開閉弁5a、9a、12aを閉じ、開閉弁12a′を開くことで、第2単位脱着工程が実行され、これが繰り返される。
【0036】
吸着塔Bにおいては、開閉弁5b、9bを開き、開閉弁12b、12b′を閉じることで、昇圧工程と吸着工程とが実行され、次に、開閉弁5b、9b、12b′を閉じ、開閉弁12bを開くことで、第1単位脱着工程が実行され、次に、開閉弁5b、9b、12bを閉じ、開閉弁12b′を開くことで、第2単位脱着工程が実行され、これが繰り返される。
【0037】
吸着塔Cにおいては、開閉弁5c、9cを開き、開閉弁12c、12c′を閉じることで、昇圧工程と吸着工程とが実行され、次に、開閉弁5c、9c、12c′を閉じ、開閉弁12cを開くことで、第1単位脱着工程が実行され、次に、開閉弁5c、9c、12cを閉じ、開閉弁12c′を開くことで、第2単位脱着工程が実行され、これが繰り返される。
【0038】
吸着塔Aにおける脱着開始時点である第1単位脱着工程の開始時点で、吸着塔Bにおいて昇圧工程が開始されると共に吸着塔Cにおいて第2単位脱着工程が開始され、且つ、吸着塔Bにおける脱着開始時点である第1単位脱着工程の開始時点で、吸着塔Aにおいて第2単位脱着工程が開始されると共に吸着塔Cにおいて昇圧工程が開始され、且つ、吸着塔Cにおける脱着開始時点である第1単位脱着工程の開始時点で、吸着塔Aにおいて昇圧工程が開始されると共に吸着塔Bにおいて第2単位脱着工程が開始されるように、供給用開閉手段5、排出用開閉手段9、および回収用開閉手段12の開閉順序が設定される。なお、回収ガス発生装置X1の運転開始時は吸着塔A、B、Cの何れか1つから順に運転を開始し、運転終了時は吸着塔A、B、Cの何れか1つから順に運転を終了すればよい。
【0039】
第1比較例によれば、同時に実行される第1、第2単位脱着工程それぞれの脱着開始時点からの実行順は互いに異なる。また、脱着工程が実行されている各吸着塔A、B、Cから流出する回収ガスの個々の流量は、脱着開始時点からの時間経過に伴い増加して最大値に達した後に減少する。よって、脱着開始時点からの実行順が互いに異なる単位脱着工程が同時に実行されている2つの吸着塔それぞれから流出する回収ガスの個々の流量は、互いに異なることになる。さらに、単位脱着工程を実行している吸着塔それぞれの内部を、互いに連通することがないように独立して減圧することで、単位脱着工程を実行している吸着塔それぞれの内圧が互いに影響されることはない。
【0040】
図3は、
第1比較例における回収ガスの流量と時間との関係を示し、実線は吸着塔Aから流出する回収ガスの流量と時間との関係、一点鎖線は吸着塔Bから流出する回収ガスの流量と時間との関係、二点鎖線は吸着塔Cから流出する回収ガスの流量と時間との関係、破線は、単位脱着工程が同時に実行されている2つの吸着塔から流出する回収ガスの合計流量と時間との関係を示す。
図3から明らかなように、吸着塔A、B、Cそれぞれにおける個別の回収ガス流量の変動幅δ1に対し、単位脱着工程が同時に実行されている2つの吸着塔から流出する回収ガスの合計流量の変動幅δ2は小さくなる。すなわち、脱着工程が実行されている2つの吸着塔から流出される回収ガスの流量の最大値と最小値との比は、各吸着塔A、B、Cから流出する回収ガスの個々の流量の最大値と最小値との比よりも小さくなる。このため、回収ガスの流量を平準化し、バッファタンク16を小型化できる。
【0041】
図4は
第2比較例の回収ガス発生装置X2を示す。以下、
第1比較例との相違を説明し、
第1比較例と同様部分は同一符号で示して説明を省略する。
【0042】
本
比較例の回収ガス発生装置X2は、
第1比較例よりも吸着塔の数を1つ多くして4とするため、第4の吸着塔Dを備える。昇圧装置2の出口は、
第1比較例と同様に吸着塔A、B、Cのゲート口3a、3b、3cに接続されると共に、吸着塔Dの一端側のゲート口3dに第4の混合ガス流路4dを介して接続される。供給用開閉手段5として、混合ガス流路4dを開閉する供給用の第4の開閉弁5dが設けられている。
【0043】
吸着オフガス容器6は、
第1比較例と同様に吸着塔A、B、Cのゲート口7a、7b、7cに接続されると共に、吸着塔Dの他端側ゲート口7dに第4の吸着オフガス流路8dを介して接続される。排出用開閉手段9として、吸着オフガス流路8dを開閉する排出用の第4の開閉弁9dが設けられる。吸着塔Dと吸着オフガス容器6との間に、吸着塔Dでの吸着圧力を調節する圧力調節手段(図示省略)が設けられる。
【0044】
吸着塔A、B、C、Dの内部を減圧するため、減圧装置として真空ポンプ10a、10bに加えて第3の真空ポンプ10cが設けられている。
真空ポンプ10aの入口は、
第1比較例と同様に吸着塔A、B、Cのゲート口3a、3b、3cに接続されると共に、吸着塔Dのゲート口3dに、第1回収用の第4の回収ガス流路11dを介して混合ガス流路4dと並列に接続され、また、第2回収用の第4の回収ガス流路11d′を介して混合ガス流路4d、回収ガス流路11dと並列に接続される。
真空ポンプ10cの入口は、吸着塔Aのゲート口3aに第3回収用の第1の回収ガス流路11a″を介して混合ガス流路4a、回収ガス流路11a、11a′と並列に接続され、吸着塔Bのゲート口3bに第3回収用の第2の回収ガス流路11b″を介して混合ガス流路4b、回収ガス流路11b、11b′と並列に接続され、吸着塔Cのゲート口3cに第3回収用の第3の回収ガス流路11c″を介して混合ガス流路4c、回収ガス流路11c、11c′と並列に接続され、吸着塔Dのゲート口3dに第3回収用の第4の回収ガス流路11d″を介して混合ガス流路4d、回収ガス流路11d、11d′と並列に接続される。第3の真空ポンプ10cの出口は流量計15cを介してバッファタンク16に接続される。
【0045】
回収ガス流路11a、11b、11c、11d、11a′、11b′、11c′、11d′、11a″、11b″、11c″、11d″それぞれは、回収用開閉手段12により個別に開閉される。本
比較例においては、回収用開閉手段12として
第1比較例の開閉弁に追加して、回収ガス流路11dを開閉する第1回収用の第4の開閉弁12dと、回収ガス流路11d′を開閉する第2回収用の第4の開閉弁12d′と、回収ガス流路11a″を開閉する第3回収用の第1の開閉弁12a″と、回収ガス流路11b″を開閉する第3回収用の第2の開閉弁12b″と、回収ガス流路11c″を開閉する第3回収用の第3の開閉弁12c″と、回収ガス流路11d″を開閉する第3回収用の第4の開閉弁12d″とが設けられている。
これにより、吸着塔Dにおいて、吸着塔A、B、Cと同様に昇圧工程、吸着工程、脱着工程を実行できる。また、脱着工程が実行されている吸着塔A、B、C、Dから流出する回収ガスを、真空ポンプ10a、10b、10cそれぞれに、回収ガス流路11a、11b、11c、11d、11a′、11b′、11c′、11d′、11a″、11b″、11c″、11d″を介して導くことができる。
【0046】
開閉弁5d、9d、12d、12d′、12a″、12b″、12c″、12d″も自動弁とされ、
第1比較例の開閉弁に追加して制御装置18に接続され(図示省略)、制御装置18に記憶されたプログラムに従い予め定められた順序で開閉される。これにより、吸着塔A、B、C、Dそれぞれにおいて、吸着工程と脱着工程とが交互に繰り返される。
【0047】
制御装置18による供給用開閉手段5、排出用開閉手段9、および回収用開閉手段12の開閉順序は、脱着工程を脱着開始時点からの実行順に分割された3つの単位脱着工程として、単位脱着工程が3つの吸着塔において同時に実行され、同時に実行する単位脱着工程それぞれの脱着開始時点からの実行順が互いに異なるように、吸着塔A、B、C、Dそれぞれにおける脱着開始時点が相異なるものとされ、且つ、単位脱着工程を実行している吸着塔それぞれの内部が、互いに連通することがないように独立して減圧されるように設定され、且つ、何れか3つの吸着塔において単位脱着工程が実行されている間に、残りの吸着塔において昇圧工程と吸着工程が実行されるように設定される。
【0048】
本
比較例では、以下の表2に示すように、脱着工程を3分割し、脱着開始時点からの実行順が1番目の第1単位脱着工程と、2番目の第2単位脱着工程と、3番目の第3単位脱着工程とから構成される。そして、吸着塔Bにおいて第3単位脱着工程を実行し、同時に吸着塔Cにおいて第2単位脱着工程を実行し、同時に吸着塔Dにおいて第1単位脱着工程を実行している間に、吸着塔Aにおいて昇圧工程と吸着工程を実行する。次に、吸着塔Aにおいて第1単位脱着工程を実行し、同時に吸着塔Cにおいて第3単位脱着工程を実行し、同時に吸着塔Dにおいて第2単位脱着工程を実行している間に、吸着塔Bにおいて昇圧工程と吸着工程を実行する。次に、吸着塔Aにおいて第2単位脱着工程を実行し、同時に吸着塔Bにおいて第1単位脱着工程を実行し、同時に吸着塔Dにおいて第3単位脱着工程を実行している間に、吸着塔Cにおいて昇圧工程と吸着工程を実行する。次に、吸着塔Aにおいて第3単位脱着工程を実行し、同時に吸着塔Bにおいて第2単位脱着工程を実行し、同時に吸着塔Cにおいて第1単位脱着工程を実行している間に、吸着塔Dにおいて昇圧工程と吸着工程を実行し、これが繰り返される。
【0050】
詳述すると、吸着塔Aにおいては、開閉弁5a、9aを開き、開閉弁12a、12a′、12a″を閉じることで、昇圧工程と吸着工程とが実行され、次に、開閉弁5a、9a、12a′、12a″を閉じ、開閉弁12aを開くことで、第1単位脱着工程が実行され、次に、開閉弁5a、9a、12a、12a″を閉じ、開閉弁12a′を開くことで、第2単位脱着工程が実行され、次に、開閉弁5a、9a、12a、12a′を閉じ、開閉弁12a″を開くことで、第3単位脱着工程が実行され、これが繰り返される。
【0051】
吸着塔Bにおいては、開閉弁5b、9bを開き、開閉弁12b、12b′、12b″を閉じることで、昇圧工程と吸着工程とが実行され、次に、開閉弁5b、9b、12b′、12b″を閉じ、開閉弁12bを開くことで、第1単位脱着工程が実行され、次に、開閉弁5b、9b、12b、12b″を閉じ、開閉弁12b′を開くことで、第2単位脱着工程が実行され、次に、開閉弁5b、9b、12b、12b′を閉じ、開閉弁12b″を開くことで、第3単位脱着工程が実行され、これが繰り返される。
【0052】
吸着塔Cにおいては、開閉弁5c、9cを開き、開閉弁12c、12c′、12c″を閉じることで、昇圧工程と吸着工程とが実行され、次に、開閉弁5c、9c、12c′、12c″を閉じ、開閉弁12cを開くことで、第1単位脱着工程が実行され、次に、開閉弁5c、9c、12c、12c″を閉じ、開閉弁12c′を開くことで、第2単位脱着工程が実行され、次に、開閉弁5c、9c、12c、12c′を閉じ、開閉弁12c″を開くことで、第3単位脱着工程が実行され、これが繰り返される。
【0053】
吸着塔Dにおいては、開閉弁5d、9dを開き、開閉弁12d、12d′、12d″を閉じることで、昇圧工程と吸着工程とが実行され、次に、開閉弁5d、9d、12d′、12d″を閉じ、開閉弁12dを開くことで、第1単位脱着工程が実行され、次に、開閉弁5d、9d、12d、12d″を閉じ、開閉弁12d′を開くことで、第2単位脱着工程が実行され、次に、開閉弁5d、9d、12d、12d′を閉じ、開閉弁12d″を開くことで、第3単位脱着工程が実行され、これが繰り返される。
【0054】
吸着塔Aにおける脱着開始時点である第1単位脱着工程の開始時点で、吸着塔Bにおいて昇圧工程が開始され、吸着塔Cにおいて第3単位脱着工程が開始され、吸着塔Dにおいて第2単位脱着工程が開始される。且つ、吸着塔Bにおける脱着開始時点である第1単位脱着工程の開始時点で、吸着塔Aにおいて第2単位脱着工程が開始され、吸着塔Cにおいて昇圧工程が開始され、吸着塔Dにおいて第3単位脱着工程が開始される。且つ、吸着塔Cにおける脱着開始時点である第1単位脱着工程の開始時点で、吸着塔Aにおいて第3単位脱着工程が開始され、吸着塔Bにおいて第2単位脱着工程が開始され、吸着塔Dにおいて昇圧工程が開始される。且つ、吸着塔Dにおける脱着開始時点である第1単位脱着工程の開始時点で、吸着塔Aにおいて昇圧工程が開始され、吸着塔Bにおいて第3単位脱着工程が開始され、吸着塔Cにおいて第2単位脱着工程が開始されるように、供給用開閉手段5、排出用開閉手段9、および回収用開閉手段12の開閉順序が設定される。なお、回収ガス発生装置X2の運転開始時は吸着塔A、B、C、Dの何れか1つから順に運転を開始し、運転終了時は吸着塔A、B、C、Dの何れか1つから順に運転を終了すればよい。
【0055】
第2比較例によれば、同時に実行される第1、第2、第3単位脱着工程それぞれの脱着開始時点からの実行順は互いに異なる。また、脱着工程が実行されている各吸着塔A、B、C、Dから流出する回収ガス個々の流量は、脱着開始時点からの時間経過に伴い増加して最大値に達した後に減少する。よって、脱着開始時点からの実行順が互いに異なる単位脱着工程が同時に実行されている3つの吸着塔それぞれから流出する回収ガスの個々の流量は、互いに異なることになる。さらに、単位脱着工程を実行している吸着塔それぞれの内部を、互いに連通することがないように独立して減圧することで、単位脱着工程を実行している吸着塔それぞれの内圧が互いに影響されることはない。
【0056】
図5は、
第2比較例における回収ガスの流量と時間との関係を示し、実線は吸着塔Aから流出する回収ガスの流量と時間との関係、一点鎖線は吸着塔Bから流出する回収ガスの流量と時間との関係、二点鎖線は吸着塔Cから流出する回収ガスの流量と時間との関係、三点鎖線は吸着塔Dから流出する回収ガスの流量と時間との関係、破線は、単位脱着工程が同時に実行されている3つの吸着塔から流出する回収ガスの合計流量と時間との関係を示す。
図5から明らかなように、吸着塔A、B、C、Dそれぞれにおける個別の回収ガス流量の変動幅δ3に対し、単位脱着工程が同時に実行されている3つの吸着塔から流出する回収ガスの合計流量の変動幅δ4は小さくなる。すなわち、脱着工程が実行されている3つの吸着塔から流出される回収ガスの流量の最大値と最小値との比は、各吸着塔A、B、C、Dから流出する回収ガスの個々の流量の最大値と最小値との比よりも小さくなる。このため、回収ガスの流量を平準化し、バッファタンク16を小型化できる。
【0057】
図6は
第1実施形態の回収ガス発生装置X3を示し、以下、
第1比較例との相違を説明し、
第1比較例と同様部分は同一符号で示して説明を省略する。
【0058】
本実施形態の回収ガス発生装置X3は、
第1比較例よりも吸着塔の数を1つ多くして4とするため、第4の吸着塔Dを備える。昇圧装置2の出口は、
第1比較例と同様に吸着塔A、B、Cのゲート口3a、3b、3cに接続されると共に、吸着塔Dの一端側のゲート口3dに第4の混合ガス流路4dを介して接続される。供給用開閉手段5として、混合ガス流路4dを開閉する供給用の第4の開閉弁5dが設けられている。
【0059】
吸着オフガス容器6は、
第1比較例と同様に吸着塔A、B、Cのゲート口7a、7b、7cに接続されると共に、吸着塔Dの他端側ゲート口7dに第4の吸着オフガス流路8dを介して接続される。排出用開閉手段9として、吸着オフガス流路8dを開閉する排出用の第4の開閉弁9dが設けられる。吸着塔Dと吸着オフガス容器6との間に、吸着塔Dでの吸着圧力を調節する圧力調節手段(図示省略)が設けられる。
【0060】
真空ポンプ10aの入口は、
第1比較例と同様に吸着塔A、B、Cのゲート口3a、3b、3cに接続されると共に、吸着塔Dのゲート口3dに、第1回収用の第4の回収ガス流路11dを介して混合ガス流路4dと並列に接続され、また、第2回収用の第4の回収ガス流路11d′を介して混合ガス流路4d、回収ガス流路11dと並列に接続される。
【0061】
回収ガス流路11a、11b、11c、11d、11a′、11b′、11c′、11d′それぞれは、回収用開閉手段12により個別に開閉される。本実施形態においては、回収用開閉手段12として
第1比較例の開閉弁に追加して、回収ガス流路11dを開閉する第1回収用の第4の開閉弁12dと、回収ガス流路11d′を開閉する第2回収用の第4の開閉弁12d′とが設けられている。
これにより、吸着塔Dにおいて、吸着塔A、B、Cと同様に昇圧工程、吸着工程、脱着工程を実行できる。また、脱着工程が実行されている吸着塔A、B、C、Dから流出する回収ガスを、真空ポンプ10a、10bそれぞれに、回収ガス流路11a、11b、11c、11d、11a′、11b′、11c′、11d′を介して導くことができる。
【0062】
吸着工程と脱着工程の間において、吸着剤に吸着されなかったガスを脱着ガスの導入により吸着塔A、B、C、Dから流出させる洗浄工程を実行するため、各吸着塔A、B、C、Dにバッファタンク16から脱着ガスの一部が洗浄ガスとして導入される。洗浄ガスの一部は、吸着剤により吸着されなかったガスと共に洗浄オフガスとして吸着塔A、B、C、Dから排出され、洗浄オフガス容器20に導入される。
【0063】
すなわち、バッファタンク16に圧縮ポンプ21の入口が接続され、圧縮ポンプ21の出口は、吸着塔Aのゲート口3aに第1の洗浄ガス流路22aを介して混合ガス流路4a、回収ガス流路11a、11a′と並列に接続され、吸着塔Bのゲート口3bに第2の洗浄ガス流路22bを介して混合ガス流路4b、回収ガス流路11b、11b′と並列に接続され、吸着塔Cのゲート口3cに第3の洗浄ガス流路22cを介して混合ガス流路4c、回収ガス流路11c、11c′と並列に接続され、吸着塔Dのゲート口3dに第4の洗浄ガス流路22dを介して混合ガス流路4d、回収ガス流路11d、11d′と並列に接続される。これにより、洗浄ガス流路22a、22b、22c、22dそれぞれは、吸着塔A、B、C、Dから流出する脱着ガスの一部を洗浄ガスとして、吸着塔A、B、C、Dそれぞれに還流させることができる。また、圧縮ポンプ21は洗浄ガスを吸着塔A、B、C、Dに導入するために加圧する加圧手段として機能する。
【0064】
洗浄ガス流路22a、22b、22c、22dそれぞれは、洗浄用開閉手段23により個別に開閉される。本実施形態においては、洗浄用開閉手段23として洗浄ガス流路22aを開閉する洗浄用の第1の開閉弁23aと、洗浄ガス流路22bを開閉する洗浄用の第2の開閉弁23bと、洗浄ガス流路22cを開閉する洗浄用の第3の開閉弁23cと、洗浄ガス流路22dを開閉する洗浄用の第4の開閉弁23dとが設けられている。
【0065】
洗浄オフガス容器20は、吸着塔Aの他端側ゲート口7aに第1の洗浄オフガス流路25aを介して接続され、吸着塔Bの他端側ゲート口7bに第2の洗浄オフガス流路25bを介して接続され、吸着塔Cの他端側ゲート口7cに第3の洗浄オフガス流路25cを介して接続され、吸着塔Dの他端側ゲート口7dに第4の洗浄オフガス流路25dを介して接続される。
【0066】
洗浄オフガス流路25a、25b、25c、25dそれぞれは、洗浄オフガス用開閉手段26により個別に開閉される。本実施形態においては、洗浄オフガス用開閉手段26として洗浄オフガス流路25aを開閉する洗浄オフガス用の第1の開閉弁26aと、洗浄オフガス流路25bを開閉する洗浄オフガス用の第2の開閉弁26bと、洗浄オフガス流路25cを開閉する洗浄オフガス用の第3の開閉弁26cと、洗浄オフガス流路25dを開閉する洗浄オフガス用の第4の開閉弁26dとが設けられている。
これにより、吸着塔A、B、C、Dそれぞれに脱着ガスを洗浄ガスとして個別に導入し、洗浄オフガスを吸着塔A、B、C、Dから個別に排出できる。
【0067】
開閉弁5d、9d、12d、12d′、23a、23b、23c、23d、26a、26b、26c、26dも自動弁とされ、
第1比較例の開閉弁に追加して制御装置18に接続され(図示省略)、制御装置18に記憶されたプログラムに従い予め定められた順序で開閉される。これにより、吸着塔A、B、C、Dそれぞれにおいて、吸着工程と脱着工程とが交互に繰り返され、さらに、昇圧・吸着工程と脱着工程の間に洗浄工程が実行される。
【0068】
制御装置18による供給用開閉手段5、排出用開閉手段9、回収用開閉手段12、洗浄用開閉手段23および洗浄オフガス用開閉手段26の開閉順序は、脱着工程を脱着開始時点からの実行順に分割された2つの単位脱着工程として、単位脱着工程が2つの吸着塔において同時に実行され、且つ、同時に実行する単位脱着工程それぞれの脱着開始時点からの実行順が互いに異なるように、吸着塔A、B、C、Dそれぞれにおける脱着開始時点が相異なるものとされ、且つ、単位脱着工程を実行している吸着塔それぞれの内部が、互いに連通することがないように独立して減圧され、且つ、何れか2つの吸着塔において単位脱着工程が実行されている間に、残りの2つの吸着塔の中の一方において昇圧工程と吸着工程が実行され、残りの2つの吸着塔の中の他方において洗浄工程が実行されるように設定される。
【0069】
本実施形態では、以下の表3に示すように、脱着工程を2分割し、脱着開始時点からの実行順が1番目の第1単位脱着工程と、2番目の第2単位脱着工程とから構成される。そして、吸着塔Bにおいて第2単位脱着工程を実行し、同時に吸着塔Cにおいて第1単位脱着工程を実行している間に、吸着塔Dにおいて洗浄工程を実行し、同時に吸着塔Aにおいて昇圧工程と吸着工程を実行する。次に、吸着塔Cにおいて第2単位脱着工程を実行し、同時に吸着塔Dにおいて第1単位脱着工程を実行している間に、吸着塔Aにおいて洗浄工程を実行し、同時に吸着塔Bにおいて昇圧工程と吸着工程を実行する。次に、吸着塔Aにおいて第1単位脱着工程を実行し、同時に吸着塔Dにおいて第2単位脱着工程を実行している間に、吸着塔Bにおいて洗浄工程を実行し、同時に吸着塔Cにおいて昇圧工程と吸着工程を実行する。次に、吸着塔Aにおいて第2単位脱着工程を実行し、同時に吸着塔Bにおいて第1単位脱着工程を実行している間に、吸着塔Cにおいて洗浄工程を実行し、同時に吸着塔Dにおいて昇圧工程と吸着工程を実行し、これが繰り返される。
【0071】
詳述すると、吸着塔Aにおいては、開閉弁5a、9aを開き、開閉弁12a、12a′、23a、26aを閉じることで、昇圧工程と吸着工程とが実行され、次に、開閉弁5a、9a、12a、12a′を閉じ、開閉弁23a、26aを開くことで、洗浄工程が実行され、次に、開閉弁5a、9a、12a′、23a、26aを閉じ、開閉弁12aを開くことで、第1単位脱着工程が実行され、次に、開閉弁5a、9a、12a、23a、26aを閉じ、開閉弁12a′を開くことで、第2単位脱着工程が実行され、これが繰り返される。
【0072】
吸着塔Bにおいては、開閉弁5b、9bを開き、開閉弁12b、12b′、23b、26bを閉じることで、昇圧工程と吸着工程とが実行され、次に、開閉弁5b、9b、12b、12b′を閉じ、開閉弁23b、26bを開くことで、洗浄工程が実行され、次に、開閉弁5b、9b、12b′、23b、26bを閉じ、開閉弁12bを開くことで、第1単位脱着工程が実行され、次に、開閉弁5b、9b、12b、23b、26bを閉じ、開閉弁12b′を開くことで、第2単位脱着工程が実行され、これが繰り返される。
【0073】
吸着塔Cにおいては、開閉弁5c、9cを開き、開閉弁12c、12c′、23c、26cを閉じることで、昇圧工程と吸着工程とが実行され、次に、開閉弁5c、9c、12c、12c′を閉じ、開閉弁23c、26cを開くことで、洗浄工程が実行され、次に、開閉弁5c、9c、12c′、23c、26cを閉じ、開閉弁12cを開くことで、第1単位脱着工程が実行され、次に、開閉弁5c、9c、12c、23c、26cを閉じ、開閉弁12c′を開くことで、第2単位脱着工程が実行され、これが繰り返される。
【0074】
吸着塔Dにおいては、開閉弁5d、9dを開き、開閉弁12d、12d′、23d、26dを閉じることで、昇圧工程と吸着工程とが実行され、次に、開閉弁5d、9d、12d、12d′を閉じ、開閉弁23d、26dを開くことで、洗浄工程が実行され、次に、開閉弁5d、9d、12d′、23d、26dを閉じ、開閉弁12dを開くことで、第1単位脱着工程が実行され、次に、開閉弁5d、9d、12d、23d、26dを閉じ、開閉弁12d′を開くことで、第2単位脱着工程が実行され、これが繰り返される。
【0075】
吸着塔Aにおける脱着開始時点である第1単位脱着工程の開始時点で、吸着塔Bにおいて洗浄工程が開始され、吸着塔Cにおいて昇圧工程が開始され、吸着塔Dにおいて第2単位脱着工程が開始され、且つ、吸着塔Bにおける脱着開始時点である第1単位脱着工程の開始時点で、吸着塔Aにおいて第2単位脱着工程が開始され、吸着塔Cにおいて洗浄工程が開始され、吸着塔Dにおいて昇圧工程が開始され、且つ、吸着塔Cにおける脱着開始時点である第1単位脱着工程の開始時点で、吸着塔Aにおいて昇圧工程が開始され、吸着塔Bにおいて第2単位脱着工程が開始され、吸着塔Dにおいて洗浄工程が開始され、且つ、吸着塔Dにおける脱着開始時点である第1単位脱着工程の開始時点で、吸着塔Aにおいて洗浄工程が開始され、吸着塔Bにおいて昇圧工程が開始され、吸着塔Cにおいて第2単位脱着工程が開始されるように、供給用開閉手段5、排出用開閉手段9、回収用開閉手段12、洗浄用開閉手段23および洗浄オフガス用開閉手段26の開閉順序が設定される。なお、回収ガス発生装置X3の運転開始時は吸着塔A、B、C、Dの何れか1つから順に運転を開始し、運転終了時は吸着塔A、B、C、Dの何れか1つから順に運転を終了すればよい。
【0076】
第1実施形態によれば、同時に実行される第1、第2単位脱着工程それぞれの脱着開始時点からの実行順は互いに異なる。また、脱着工程が実行されている各吸着塔A、B、C、Dから流出する回収ガスの個々の流量は、脱着開始時点からの時間経過に伴い増加して最大値に達した後に減少する。よって、脱着開始時点からの実行順が互いに異なる単位脱着工程が同時に実行されている2つの吸着塔それぞれから流出する回収ガスの個々の流量は、互いに異なることになる。さらに、単位脱着工程を実行している吸着塔それぞれの内部を、互いに連通することがないように独立して減圧することで、単位脱着工程を実行している吸着塔それぞれの内圧が互いに影響されることはない。
【0077】
図7は、
第1実施形態における回収ガスの流量と時間との関係を示し、実線は吸着塔Aから流出する回収ガスの流量と時間との関係、一点鎖線は吸着塔Bから流出する回収ガスの流量と時間との関係、二点鎖線は吸着塔Cから流出する回収ガスの流量と時間との関係、三点鎖線は吸着塔Dから流出する回収ガスの流量と時間との関係、破線は、単位脱着工程が同時に実行されている2つの吸着塔から流出する回収ガスの合計流量と時間との関係を示す。
図7から明らかなように、吸着塔A、B、C、Dそれぞれにおける個別の回収ガス流量の変動幅δ5に対し、単位脱着工程が同時に実行されている2つの吸着塔から流出する回収ガスの合計流量の変動幅δ6は小さくなる。すなわち、脱着工程が実行されている2つの吸着塔から流出される回収ガスの流量の最大値と最小値との比は、各吸着塔A、B、C、Dから流出する回収ガスの個々の流量の最大値と最小値との比よりも小さくなる。このため、回収ガスの流量を平準化し、バッファタンク16を小型化できる。さらに洗浄工程も実施できる。
【0078】
図8は
第2実施形態の回収ガス発生装置X4を示す。以下、
第1実施形態との相違を説明し、
第1実施形態と同様部分は同一符号で示して説明を省略する。
【0079】
本実施形態の回収ガス発生装置X4は、
第1実施形態よりも吸着塔の数を1つ多くして5とするため、第5の吸着塔Eを備える。昇圧装置2の出口は、
第1実施形態と同様に吸着塔A、B、C、Dのゲート口3a、3b、3c、3dに接続されると共に、吸着塔Eの一端側のゲート口3eに第5の混合ガス流路4eを介して接続される。供給用開閉手段5として、混合ガス流路4eを開閉する供給用の第5の開閉弁5eが設けられている。
【0080】
吸着オフガス容器6は、
第1実施形態と同様に吸着塔A、B、C、Dのゲート口7a、7b、7c、7dに接続されると共に、吸着塔Eの他端側ゲート口7eに第5の吸着オフガス流路8eを介して接続される。排出用開閉手段9として、吸着オフガス流路8eを開閉する排出用の第5の開閉弁9eが設けられる。吸着塔Eと吸着オフガス容器6との間に、吸着塔Eでの吸着圧力を調節する圧力調節手段が設けられる。
【0081】
吸着塔A、B、C、D、Eの内部を減圧するため、減圧装置として真空ポンプ10a、10bに加えて第3の真空ポンプ10cが設けられている。
真空ポンプ10aの入口は、
第1実施形態と同様に吸着塔A、B、C、Dのゲート口3a、3b、3c、3dに接続されると共に、吸着塔Eのゲート口3eに、第1回収用の第5の回収ガス流路11eを介して混合ガス流路4eと並列に接続され、また、第2回収用の第5の回収ガス流路11e′を介して混合ガス流路4e、回収ガス流路11eと並列に接続される。
真空ポンプ10cの入口は、吸着塔Aのゲート口3aに第3回収用の第1の回収ガス流路11a″を介して混合ガス流路4a、回収ガス流路11a、11a′と並列に接続され、吸着塔Bのゲート口3bに第3回収用の第2の回収ガス流路11b″を介して混合ガス流路4b、回収ガス流路11b、11b′と並列に接続され、吸着塔Cのゲート口3cに第3回収用の第3の回収ガス流路11c″を介して混合ガス流路4c、回収ガス流路11c、11c′と並列に接続され、吸着塔Dのゲート口3dに第3回収用の第4の回収ガス流路11d″を介して混合ガス流路4d、回収ガス流路11d、11d′と並列に接続され、吸着塔Eのゲート口3eに第3回収用の第5の回収ガス流路11e″を介して混合ガス流路4e、回収ガス流路11e、11e′と並列に接続される。第3の真空ポンプ10cの出口は流量計15cを介してバッファタンク16に接続される。
【0082】
回収ガス流路11a、11b、11c、11d、11e、11a′、11b′、11c′、11d′11e′、11a″、11b″、11c″、11d″、11e″それぞれは、回収用開閉手段12により個別に開閉される。本実施形態においては、回収用開閉手段12として
第1実施形態の開閉弁に追加して、回収ガス流路11eを開閉する第1回収用の第5の開閉弁12eと、回収ガス流路11e′を開閉する第2回収用の第5の開閉弁12e′と、回収ガス流路11a″を開閉する第3回収用の第1の開閉弁12a″と、回収ガス流路11b″を開閉する第3回収用の第2の開閉弁12b″と、回収ガス流路11c″を開閉する第3回収用の第3の開閉弁12c″と、回収ガス流路11d″を開閉する第3回収用の第4の開閉弁12d″と、回収ガス流路11e″を開閉する第3回収用の第5の開閉弁12e″とが設けられている。
これにより、吸着塔Eにおいて、吸着塔A、B、C、Dと同様に昇圧工程、吸着工程、脱着工程を実行できる。また、脱着工程が実行されている吸着塔A、B、C、D、Eから流出する回収ガスを、真空ポンプ10a、10b、10cそれぞれに、回収ガス流路11a、11b、11c、11d、11e、11a′、11b′、11c′、11d′11e′、11a″、11b″、11c″、11d″、11e″を介して導くことができる。
【0083】
吸着塔Eに洗浄ガスを導入するため、圧縮ポンプ21の出口は、吸着塔Eのゲート口3aに第5の洗浄ガス流路22eを介して混合ガス流路4e、回収ガス流路11e、11e′、11e″と並列に接続される。
【0084】
洗浄ガス流路22a、22b、22c、22d、22eそれぞれは、洗浄用開閉手段23により個別に開閉される。本実施形態においては、洗浄用開閉手段23として
第1実施形態の開閉弁に追加して、洗浄ガス流路22eを開閉する洗浄用の第5の開閉弁23eが設けられている。
【0085】
洗浄オフガス容器20は、吸着塔Eの他端側ゲート口7aに第5の洗浄オフガス流路25eを介して接続される。
洗浄オフガス流路25a、25b、25c、25d、25eそれぞれは、洗浄オフガス用開閉手段26により個別に開閉される。本実施形態においては、洗浄オフガス用開閉手段26として
第1実施形態の開閉弁に追加して、洗浄オフガス流路25eを開閉する洗浄オフガス用の第5の開閉弁26eが設けられている。
【0086】
これにより、吸着塔A、B、C、D、Eそれぞれに脱着ガスの一部を洗浄ガスとして個別に導入し、洗浄オフガスを吸着塔A、B、C、D、Eから個別に排出できる。
【0087】
開閉弁5e、9e、12e、12e′、12a″、12b″、12c″、12d″、12e″、23e、26eも自動弁とされ、
第1実施形態の開閉弁に追加して制御装置18に接続され(図示省略)、制御装置18に記憶されたプログラムに従い予め定められた順序で開閉される。これにより、吸着塔A、B、C、D、Eそれぞれにおいて、吸着工程と脱着工程とが交互に繰り返される。
【0088】
制御装置18による供給用開閉手段5、排出用開閉手段9、回収用開閉手段12、洗浄用開閉手段23および洗浄オフガス用開閉手段26の開閉順序は、脱着工程を脱着開始時点からの実行順に分割された3つの単位脱着工程として、単位脱着工程が3つの吸着塔において同時に実行され、且つ、同時に実行する単位脱着工程それぞれの脱着開始時点からの実行順が互いに異なるように、吸着塔A、B、C、D、Eそれぞれにおける脱着開始時点が相異なるものとされ、且つ、単位脱着工程を実行している吸着塔それぞれの内部が、互いに連通することがないように独立して減圧され、且つ、何れか3つの吸着塔において単位脱着工程が実行されている間に、残りの2つの吸着塔の中の一方において昇圧工程と吸着工程が実行され、残りの2つの吸着塔の中の他方において洗浄工程が実行されるように設定される。
【0089】
本実施形態では、以下の表4に示すように、脱着工程を3分割し、脱着開始時点からの実行順が1番目の第1単位脱着工程と、2番目の第2単位脱着工程と、3番目の第3単位脱着工程とから構成される。そして、吸着塔Bにおいて第3単位脱着工程を実行し、同時に吸着塔Cにおいて第2単位脱着工程を実行し、同時に吸着塔Dにおいて第1単位脱着工程を実行している間に、吸着塔Aにおいて昇圧工程と吸着工程を実行し、同時に吸着塔Eにおいて洗浄工程を実行する。次に、吸着塔Cにおいて第3単位脱着工程を実行し、同時に吸着塔Dにおいて第2単位脱着工程を実行し、同時に吸着塔Eにおいて第1単位脱着工程を実行している間に、吸着塔Aにおいて洗浄工程を実行し、同時に吸着塔Bにおいて昇圧工程と吸着工程を実行する。次に、吸着塔Aにおいて第1単位脱着工程を実行し、同時に吸着塔Dにおいて第3単位脱着工程を実行し、同時に吸着塔Eにおいて第2単位脱着工程を実行している間に、吸着塔Bにおいて洗浄工程を実行し、同時に吸着塔Dにおいて昇圧工程と吸着工程を実行する。次に、吸着塔Aにおいて第2単位脱着工程を実行し、同時に吸着塔Bにおいて第1単位脱着工程を実行し、同時に吸着塔Eにおいて第3単位脱着工程を実行している間に、吸着塔Cにおいて洗浄工程を実行し、同時に吸着塔Dにおいて昇圧工程と吸着工程を実行する。次に、吸着塔Aにおいて第3単位脱着工程を実行し、同時に吸着塔Bにおいて第2単位脱着工程を実行し、同時に吸着塔Cにおいて第1単位脱着工程を実行している間に、吸着塔Dにおいて洗浄工程を実行し、同時に吸着塔Eにおいて昇圧工程と吸着工程を実行し、これが繰り返される。
【0091】
詳述すると、吸着塔Aにおいては、開閉弁5a、9aを開き、開閉弁12a、12a′、12a″、23a、26aを閉じることで、昇圧工程と吸着工程とが実行され、次に、開閉弁5a、9a、12a、12a′、12a″を閉じ、開閉弁23a、26aを開くことで、洗浄工程が実行され、次に、開閉弁5a、9a、12a′、12a″、23a、26aを閉じ、開閉弁12aを開くことで、第1単位脱着工程が実行され、次に、開閉弁5a、9a、12a、12a″、23a、26aを閉じ、開閉弁12a′を開くことで、第2単位脱着工程が実行され、次に、開閉弁5a、9a、12a、12a′、23a、26aを閉じ、開閉弁12a″を開くことで、第3単位脱着工程が実行され、これが繰り返される。
【0092】
吸着塔Bにおいては、開閉弁5b、9bを開き、開閉弁12b、12b′、12b″、23b、26bを閉じることで、昇圧工程と吸着工程とが実行され、次に、開閉弁5b、9b、12b、12b′、12b″を閉じ、開閉弁23b、26bを開くことで、洗浄工程が実行され、次に、開閉弁5b、9b、12b′、12b″、23b、26bを閉じ、開閉弁12bを開くことで、第1単位脱着工程が実行され、次に、開閉弁5b、9b、12b、12b″、23b、26bを閉じ、開閉弁12b′を開くことで、第2単位脱着工程が実行され、次に、開閉弁5b、9b、12b、12b′、23b、26bを閉じ、開閉弁12b″を開くことで、第3単位脱着工程が実行され、これが繰り返される。
【0093】
吸着塔Cにおいては、開閉弁5c、9cを開き、開閉弁12c、12c′、12c″、23c、26cを閉じることで、昇圧工程と吸着工程とが実行され、次に、開閉弁5c、9c、12c、12c′、12c″を閉じ、開閉弁23c、26cを開くことで、洗浄工程が実行され、次に、開閉弁5c、9c、12c′、12c″、23c、26cを閉じ、開閉弁12cを開くことで、第1単位脱着工程が実行され、次に、開閉弁5c、9c、12c、12c″、23c、26cを閉じ、開閉弁12c′を開くことで、第2単位脱着工程が実行され、次に、開閉弁5c、9c、12c、12c′、23c、26cを閉じ、開閉弁12c″を開くことで、第3単位脱着工程が実行され、これが繰り返される。
【0094】
吸着塔Dにおいては、開閉弁5d、9dを開き、開閉弁12d、12d′、12d″、23d、26dを閉じることで、昇圧工程と吸着工程とが実行され、次に、開閉弁5d、9d、12d、12d′、12d″を閉じ、開閉弁23d、26dを開くことで、洗浄工程が実行され、次に、開閉弁5d、9d、12d′、12d″、23d、26dを閉じ、開閉弁12dを開くことで、第1単位脱着工程が実行され、次に、開閉弁5d、9d、12d、12d″、23d、26dを閉じ、開閉弁12d′を開くことで、第2単位脱着工程が実行され、次に、開閉弁5d、9d、12d、12d′、23d、26dを閉じ、開閉弁12d″を開くことで、第3単位脱着工程が実行され、これが繰り返される。
【0095】
吸着塔Eにおいては、開閉弁5e、9eを開き、開閉弁12e、12e′、12e″、23e、26eを閉じることで、昇圧工程と吸着工程とが実行され、次に、開閉弁5e、9e、12e、12e′、12e″を閉じ、開閉弁23e、26eを開くことで、洗浄工程が実行され、次に、開閉弁5e、9e、12e′、12e″、23e、26eを閉じ、開閉弁12eを開くことで、第1単位脱着工程が実行され、次に、開閉弁5e、9e、12e、12e″、23e、26eを閉じ、開閉弁12e′を開くことで、第2単位脱着工程が実行され、次に、開閉弁5e、9e、12e、12e′、23e、26eを閉じ、開閉弁12e″を開くことで、第3単位脱着工程が実行され、これが繰り返される。
【0096】
吸着塔Aにおける脱着開始時点である第1単位脱着工程の開始時点で、吸着塔Bにおいて洗浄工程が開始され、吸着塔Cにおいて昇圧工程が開始され、吸着塔Dにおいて第3単位脱着工程が開始され、吸着塔Eにおいて第2単位脱着工程が開始される。且つ、吸着塔Bにおける脱着開始時点である第1単位脱着工程の開始時点で、吸着塔Aにおいて第2単位脱着工程が開始され、吸着塔Cにおいて洗浄工程が開始され、吸着塔Dにおいて昇圧工程が開始され、吸着塔Eにおいて第3単位脱着工程が開始される。且つ、吸着塔Cにおける脱着開始時点である第1単位脱着工程の開始時点で、吸着塔Aにおいて第3単位脱着工程が開始され、吸着塔Bにおいて第2単位脱着工程が開始され、吸着塔Dにおいて洗浄工程が開始され、吸着塔Eにおいて昇圧工程が開始される。且つ、吸着塔Dにおける脱着開始時点である第1単位脱着工程の開始時点で、吸着塔Aにおいて昇圧工程が開始され、吸着塔Bにおいて第3単位脱着工程が開始され、吸着塔Cにおいて第2単位脱着工程が開始され、吸着塔Eにおいて洗浄工程が開始される。且つ、吸着塔Eにおける脱着開始時点である第1単位脱着工程の開始時点で、吸着塔Aにおいて洗浄工程が開始され、吸着塔Bにおいて昇圧工程が開始され、吸着塔Cにおいて第3単位脱着工程が開始され、吸着塔Dにおいて第2単位脱着工程が開始されるように、供給用開閉手段5、排出用開閉手段9、回収用開閉手段12、洗浄用開閉手段23および洗浄オフガス用開閉手段26の開閉順序が設定されている。なお、回収ガス発生装置X4の運転開始時は吸着塔A、B、C、D、Eの何れか1つから順に運転を開始し、運転終了時は吸着塔A、B、C、D、Eの何れか1つから順に運転を終了すればよい。
【0097】
第2実施形態によれば、同時に実行される第1、第2、第3単位脱着工程それぞれの脱着開始時点からの実行順は互いに異なる。また、脱着工程が実行されている各吸着塔A、B、C、D、Eから流出する回収ガスの個々の流量は、脱着開始時点からの時間経過に伴い増加して最大値に達した後に減少する。よって、脱着開始時点からの実行順が互いに異なる単位脱着工程が同時に実行されている3つの吸着塔それぞれから流出する回収ガスの個々の流量は、互いに異なることになる。さらに、単位脱着工程を実行している吸着塔それぞれの内部を、互いに連通することがないように独立して減圧することで、単位脱着工程を実行している吸着塔それぞれの内圧が互いに影響されることはない。
【0098】
図9は、
第2実施形態における回収ガスの流量と時間との関係を示し、実線は吸着塔Aから流出する回収ガスの流量と時間との関係、一点鎖線は吸着塔Bから流出する回収ガスの流量と時間との関係、二点鎖線は吸着塔Cから流出する回収ガスの流量と時間との関係、三点鎖線は吸着塔Dから流出する回収ガスの流量と時間との関係、一点二短鎖線は吸着塔Eから流出する回収ガスの流量と時間との関係、破線は、単位脱着工程が同時に実行されている3つの吸着塔から流出する回収ガスの合計流量と時間との関係を示す。
図9から明らかなように、吸着塔A、B、C、D、Eそれぞれにおける個別の回収ガス流量の変動幅δ7に対し、単位脱着工程が同時に実行されている3つの吸着塔から流出する回収ガスの合計流量の変動幅δ8は小さくなる。すなわち、脱着工程が実行されている3つの吸着塔から流出される回収ガスの流量の最大値と最小値との比は、各吸着塔A、B、C、D、Eから流出する回収ガスの個々の流量の最大値と最小値との比よりも小さくなる。このため、回収ガスの流量を平準化し、バッファタンク16を小型化できる。さらに洗浄工程も実施できる。
【0099】
図10は、
第3比較例の回収ガス発生装置Yを示す。以下、
第1比較例との相違を説明し、
第1比較例と同様部分は同一符号で示して説明を省略する。回収ガス発生装置Yは、吸着塔の数が2とされ、第3の吸着塔Cを備えておらず、これに伴い、混合ガス流路4c、開閉弁5c、吸着オフガス流路8c、開閉弁9c、回収ガス流路11c、開閉弁12cを備えていない。また、第2の真空ポンプ10bを備えておらず、これに伴い、回収ガス流路11a′、11b′、11c′、開閉弁12a′、12b′、12c′、流量計15bを備えていない。脱着工程は分割されず、吸着塔A、Bの何れか一方で昇圧工程、吸着工程が実行されている時に、他方で、脱着工程が実行される。
【0100】
図11は、
第3比較例における回収ガスの流量と時間との関係を示し、実線は吸着塔Aから流出する回収ガスの流量と時間との関係、一点鎖線は吸着塔Bから流出する回収ガスの流量と時間との関係の一部を示す。吸着塔Bから流出する回収ガスの流量と時間との関係は吸着塔Aにおけると同様である。
図11から明らかなように、脱着工程が実行されている吸着塔から流出される回収ガスの流量は、従来技術と同様に平準化することができない。
【0101】
図12は、
第4比較例の回収ガス発生装置Zを示す。以下、
第1実施形態との相違を説明し、
第1実施形態と同様部分は同一符号で示して説明を省略する。回収ガス発生装置Zは、吸着塔の数が3とされ、第4の吸着塔Dを備えておらず、これに伴い、混合ガス流路4d、開閉弁5d、吸着オフガス流路8d、開閉弁9d、回収ガス流路11d、11d′、開閉弁12d、12d′、洗浄ガス流路22d、開閉弁23d、洗浄オフガス流路25d、開閉弁26dを備えていない。また、第2の真空ポンプ10bを備えておらず、これに伴い、回収ガス流路11a′、11b′、11c′、開閉弁12a′、12b′、12c′、流量計15bを備えていない。脱着工程は分割されず、吸着塔A、B、Cの中の何れか1つで脱着工程が実行されている間に、残りの2つの吸着塔の中の一方において昇圧工程と吸着工程が実行され、残りの2つの吸着塔の中の他方において洗浄工程が実行される。
【0102】
図13は、
第4比較例における回収ガスの流量と時間との関係を示し、実線は吸着塔Aから流出する回収ガスの流量と時間との関係、一点鎖線は吸着塔Bから流出する回収ガスの流量と時間との関係の一部を示す。吸着塔B、Cから流出する回収ガスの流量と時間との関係は吸着塔Aにおけると同様である。
図13から明らかなように、脱着工程が実行されている吸着塔から流出される回収ガスの流量は、従来技術と同様に平準化することができない。
【0103】
(比較例1)
第1比較例の回収ガス発生装置X1を用いて、圧力変動吸着法により混合ガスから分離した二酸化炭素を高濃度に含む回収ガスを発生させた。
吸着塔A、B、Cは、呼び径65A(内径70mm)、長さ500mmの円管により構成される円筒状容器とし、内部に吸着剤としてNa−X型ゼオライト(東ソー(株)製ゼオラムF−9HA)を2.0リットル充填した。
二酸化炭素35vol%、窒素65vol%の組成となるように二酸化炭素と窒素を混合したガスを、混合ガスとして回収ガス発生装置X1へ500リットル/hr(標準状態換算)の流量で供給した。
各吸着塔A、B、C内において、吸着工程における最高圧力は100kPa(ゲージ圧)、脱着工程における最低圧力は−95kPa(ゲージ圧)とした。吸着工程(昇圧工程含む)の1回の時間は100秒とした。脱着工程は第1単位脱着工程と第2単位脱着工程とに2分割し、単位脱着工程それぞれの1回の時間は100秒とした。
第1比較例に従い吸着工程と脱着工程を繰り返すことで、208リットル/hr(標準状態換算)の流量で回収ガスを発生させたところ、回収ガスの二酸化炭素純度は80vol%、回収率は純分換算で95%であった。そして、同時に単位脱着工程を実行する2つの吸着塔から流出する回収ガスの合計流量の最大値と最小値は、無次元の相対値で表すと最小値が2.2、最大値が6であり、回収ガス流量がゼロになることはなかった。
尚、ガス分析はガスクロマトグラフィー(TCD)で行なった。
【0104】
(比較例2)
第2比較例の回収ガス発生装置X2を用いて、圧力変動吸着法により混合ガスから分離した二酸化炭素を高濃度に含む回収ガスを発生させた。
本
比較例では、
比較例1の吸着塔A、B、Cと同一形状、同一寸法で同一吸着剤を充填した吸着塔Dを追加し、脱着工程を第1単位脱着工程と第2単位脱着工程と第3単位脱着工程に3分割し、単位脱着工程それぞれの1回の時間を100秒とした。他は
比較例1と同様の条件で
第2比較例に従い吸着工程と脱着工程を繰り返すことで、208リットル/hr(標準状態換算)の流量で回収ガスを発生させたところ、回収ガスの二酸化炭素純度は80vol%、回収率は純分換算で95%であった。そして、同時に単位脱着工程を実行する3つの吸着塔から流出する回収ガスの合計流量の最大値と最小値は、無次元の相対値で表すと最小値が4、最大値が5.2であり、回収ガス流量がゼロになることはなかった。
【0105】
(比較例3)
第3比較例の回収ガス発生装置Yを用いて、圧力変動吸着法により混合ガスから分離した二酸化炭素を高濃度に含む回収ガスを発生させた。
本比較例では、
比較例1と同一形状、同一寸法で同一吸着剤を充填した2つの吸着塔A、Bを用い、脱着工程は分割することなく1回の時間は100秒とした。他は
比較例1と同様の条件で
第3比較例に従い吸着工程と脱着工程を繰り返すことで、208リットル/hr(標準状態換算)の流量で回収ガスを発生させたところ、回収ガスの二酸化炭素純度は80vol%、回収率は純分換算で95%であった。そして、脱着工程を実行する1つの吸着塔から流出する回収ガスの流量の最大値と最小値は、無次元の相対値で表すと最小値が0、最大値が10であり、回収ガス流量がゼロになることがあった。
【0106】
比較例
3における回収ガス流量の変動幅は10であるのに対し、
比較例1における回収ガス流量の変動幅は3.8であり、また、
比較例2における回収ガス流量の変動幅は1.2である。すなわち
比較例1、2によれば、比較例
3よりも回収ガス流量の変動幅が小さく、回収ガスの流量の最大値と最小値との比が小さいので、脱着工程が実行されている吸着塔から流出される回収ガスの流量が平準化されるのを確認できる。
【0107】
(実施例1)
第1実施形態の回収ガス発生装置X3を用いて、圧力変動吸着法により混合ガスから分離した二酸化炭素を高濃度に含む回収ガスを発生させた。
吸着塔A、B、C、Dは、呼び径65A(内径70mm)、長さ500mmの円管により構成される円筒状容器とし、内部に吸着剤としてNa−X型ゼオライト(東ソー(株)製ゼオラムF−9HA)を2.0リットル充填した。
二酸化炭素35vol%、窒素65vol%の組成となるように二酸化炭素と窒素を混合したガスを、混合ガスとして回収ガス発生装置X1へ500リットル/hr(標準状態換算)の流量で供給した。
各吸着塔A、B、C、D内において、吸着工程における最高圧力は100kPa(ゲージ圧)、脱着工程における最低圧力は−95kPa(ゲージ圧)とした。吸着工程(昇圧工程含む)の1回の時間は100秒とした。洗浄工程も100秒とし、10kPa(ゲージ圧)の圧力で平均流量が60リットル/hr(標準状態換算)の流量で行った。脱着工程は第1単位脱着工程と第2単位脱着工程とに2分割し、単位脱着工程それぞれの1回の時間は100秒とした。
第1実施形態に従い吸着工程、洗浄工程、脱着工程を繰り返すことで、125リットル/hr(標準状態換算)の流量で回収ガスを発生させたところ、回収ガスの二酸化炭素純度は98vol%、回収率は純分換算で70%であった。そして、同時に単位脱着工程を実行する2つの吸着塔から流出する回収ガスの合計流量の最大値と最小値は、無次元の相対値で表すと最小値が2.1、最大値が4.5であり、回収ガス流量がゼロになることはなかった。
【0108】
(実施例2)
第2実施形態の回収ガス発生装置X4を用いて、圧力変動吸着法により混合ガスから分離した二酸化炭素を高濃度に含む回収ガスを発生させた。
本実施例では、実施例
1の吸着塔A、B、C、Dと同一形状、同一寸法で同一吸着剤を充填した吸着塔Eを追加し、脱着工程を第1単位脱着工程と第2単位脱着工程と第3単位脱着工程に3分割し、単位脱着工程それぞれの1回の時間を100秒とした。他は実施例
1と同様の条件で
第2実施形態に従い吸着工程、洗浄工程、脱着工程を繰り返すことで、125リットル/hr(標準状態換算)の流量で回収ガスを発生させたところ、回収ガスの二酸化炭素純度は98vol%、回収率は純分換算で70%であった。そして、同時に単位脱着工程を実行する3つの吸着塔から流出する回収ガスの合計流量の最大値と最小値は、無次元の相対値で表すと最小値が3.0、最大値が3.7であり、回収ガス流量がゼロになることはなかった。
【0109】
(比較例4)
第4比較例の回収ガス発生装置Zを用いて、圧力変動吸着法により混合ガスから分離した二酸化炭素を高濃度に含む回収ガスを発生させた。
本比較例では、実施例
1と同一形状、同一寸法で同一吸着剤を充填した3つの吸着塔A、B、Cを用い、脱着工程は分割することなく1回の時間は100秒とした。他は実施例
1と同様の条件で
第4比較例に従い吸着工程、洗浄工程、脱着工程を繰り返すことで、125リットル/hr(標準状態換算)の流量で回収ガスを発生させたところ、回収ガスの二酸化炭素純度は98vol%、回収率は純分換算で70%であった。そして、脱着工程を実行する1つの吸着塔から流出する回収ガスの流量の最大値と最小値は、無次元の相対値で表すと最小値が0、最大値が8.2であり、回収ガス流量がゼロになることがあった。
【0110】
比較例
4における回収ガス流量の変動幅は8.2であるのに対し、実施例
1における回収ガス流量の変動幅は2.4であり、また、実施例
2における回収ガス流量の変動幅は0.7である。すなわち実施例
1、2によれば、比較例
4よりも回収ガス流量の変動幅が小さく、回収ガスの流量の最大値と最小値との比が小さいので、脱着工程が実行されている吸着塔から流出される回収ガスの流量が平準化されるのを確認できる。
【0111】
本発明は上記実施形態や実施例に限定されない。
例えば、回収成分を一酸化炭素、二酸化炭素以外としてもよい。
また、上記
第1、第2比較例、第1、第2実施形態では一の脱着工程における分割された複数の単位脱着工程それぞれを、互いに異なる真空ポンプを用いて実行したが、一の脱着工程における分割された複数の単位脱着工程それぞれを、同一の真空ポンプを用いて実行してもよい。例えば
図1の構成において、各吸着塔A、B、Cにおいて、昇圧・吸着工程の後に第1および第2の単位脱着工程を第1の真空ポンプ10aによって実行し、次に、昇圧・吸着工程の後に第1および第2の単位脱着工程を第2の真空ポンプ10aによって実行することを繰り返す。詳述すると、吸着塔Aで第1の単位脱着工程を第1の真空ポンプ10aによって実行する時は、吸着塔Cで第2の単位脱着工程を第2の真空ポンプ10bによって実行し、吸着塔Bで昇圧・吸着工程を実行する。次に、吸着塔Aで第2の単位脱着工程を第1の真空ポンプ10aによって実行する時は、吸着塔Bで第1の単位脱着工程を第2の真空ポンプ10bによって実行し、吸着塔Cで昇圧・吸着工程を実行する。次に、吸着塔Bで第2の単位脱着工程を第2の真空ポンプ10bによって実行する時は、吸着塔Cで第1の単位脱着工程を第1の真空ポンプ10aによって実行し、吸着塔Aで昇圧・吸着工程を実行する。次に、吸着塔Cで第2の単位脱着工程を第1の真空ポンプ10aによって実行する時は、吸着塔Aで第1の単位脱着工程を第2の真空ポンプ10bによって実行し、吸着塔Bで昇圧・吸着工程を実行する。次に、吸着塔Aで第2の単位脱着工程を第2の真空ポンプ10bによって実行する時は、吸着塔Bで第1の単位脱着工程を第1の真空ポンプ10aによって実行し、吸着塔Cで昇圧・吸着工程を実行する。次に、吸着塔Bで第2の単位脱着工程を第1の真空ポンプ10aによって実行する時は、吸着塔Cで第1の単位脱着工程を第2の真空ポンプ10bによって実行し、吸着塔Aで昇圧・吸着工程を実行する。これを繰り返すように供給用開閉手段5、排出用開閉手段9、回収用開閉手段12の開閉順序を設定する。すなわち、第1
比較例、
第1実施形態においては、一つの脱着工程において第1単位脱着工程を実行する真空ポンプにより第2単位脱着工程を実行するようにしてもよく、また、第2
比較例、
第2実施形態においては、一つの脱着工程において第1単位脱着工程を実行する真空ポンプにより第2、第3単位脱着工程を実行するようにしてもよい。