(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1〜4に記載の個包装製品は、個包装製品内の吸収性物品を隠すような着色がなされていないので、個包装製品の外側から、中の吸収性物品を視認することができ、他人に見られないように、さらにポーチ等に入れてバッグ等に収める必要があった。
従って、本発明は、個包装製品の外側から、吸収性物品を目視により視認することが難しく、さらに他の個包装製品に色移りしにくく、バッグ、ポケット等に入れて簡易に持ち運ぶことができる個包装製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、吸収性物品が、包装シートにより包装されている個包装製品であって、上記包装シートが、上記吸収性物品側の内面に着色部を有し、上記個包装製品の外側から上記着色部を目視により視認することができるが、上記個包装製品の外側から上記吸収性物品を目視により視認することができないことを特徴とする個包装製品により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
具体的には、本発明は以下の態様に関する。
[態様1]
吸収性物品が、包装シートにより包装されている個包装製品であって、
上記包装シートが、上記吸収性物品側の内面に着色部を有し、上記個包装製品の外側から上記着色部を目視により視認することができるが、上記個包装製品の外側から上記吸収性物品を目視により視認することができない、
ことを特徴とする、上記個包装製品。
【0010】
[態様2]
上記吸収性物品が、非肌当接面に粘着部を有し、上記吸収性物品が、上記粘着部を間に挟んで、上記包装シートの内面に固定されるとともに、上記吸収性物品及び包装シートを、上記吸収性物品を内側にして折り畳むことにより形成された、態様1に記載の個包装製品。
[態様3]
上記包装シートの内面の着色部が、上記吸収性物品を、上記包装シートから簡易に剥離することができるような剥離機能をさらに有する、態様2に記載の個包装製品。
【0011】
[態様4]
上記包装シートの内面の着色部が、単一の着色材料で、その単位面積当りの量を変化させながら、上記包装シートの内面を被覆することにより形成され、上記包装シートの内面の着色部が、上記包装シートの内面に、あらかじめ定められた模様を形成している、態様1〜3のいずれか一項に記載の個包装製品。
【0012】
[態様5]
上記包装シートの内面の着色部が、色彩の異なる複数の着色材料で、上記包装シートの内面を被覆することにより形成され、上記包装シートの内面の着色部が、上記包装シートの内面に、あらかじめ定められた模様を形成している、態様1〜3のいずれか一項に記載の個包装製品。
[態様6]
上記包装シートが、上記着色部を、上記吸収性物品側の内面全体に有する、態様1〜5のいずれか一つに記載の個包装製品。
【0013】
[態様7]
上記包装シートの内面の着色部の、上記粘着部と接する面が、剥離部で被覆されている、態様1又は2に記載の個包装製品。
[態様8]
上記包装シートの内面の着色部の、上記粘着部と接する面に、剥離シートが接着されている、態様1又は2に記載の個包装製品。
【0014】
[態様9]
上記包装シートが、上記内面と反対側の外面に、着色部をさらに有する、態様1〜8のいずれか一つに記載の個包装製品。
[態様10]
上記包装シートの外面の着色部が、上記包装シートの内面の着色部の面積よりも小さい面積を有する、態様9に記載の個包装製品。
【0015】
[態様11]
上記吸収性物品が、上記包装シート側の、吸収性物品の外面に着色部をさらに有し、上記包装シートが、上記包装シートの内面の着色部と、所望による、上記包装シートの外面の着色部とを、上記個包装製品の外側から、上記吸収性物品の外面の着色部を目視により視認することができないように有する、態様1〜10のいずれか一つに記載の個包装製品。
【発明の効果】
【0016】
本発明の個包装製品は、個包装製品の外側から、吸収性物品を目視により視認することが難しく、さらに他の個包装製品に色移りしにくく、バッグ、ポケット等に入れて簡易に持ち運ぶことができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の個包装製品について、以下、詳細に説明する。
図1は、本発明の個包装製品の実施形態の1つの展開図である。
図1に示される個包装製品1は、吸収体3を有する生理用ナプキンとしての吸収性物品2と、吸収性物品2を包装する包装シート6と、タブ10とを含む。吸収性物品2は、非肌当接面5に粘着部(図示せず)を有し、吸収性物品2が、粘着部(図示せず)を間に挟んで、包装シート6の内面7に固定されるとともに、吸収性物品2及び包装シート6を、吸収性物品2を内側にして折り畳むことにより、個包装製品1が形成される。
【0019】
包装シート6は、第1着色部9を有し、吸収性物品2の内面7に、個包装製品1の外側から、第1着色部9を目視により視認することができるが、個包装製品1の外側から吸収性物品2を目視により視認することができない。また、
図1には、吸収性物品の肌当接面4、及び包装シート6の外面8が示されている。
なお、本明細書において、「包装シートの内面の着色部」を、他の着色部との区別を簡潔にするために、「第1着色部」と称する場合がある。
なお、
図1に示される、a−a,b−b,c−c,及びd−dは、個包装製品1の折り畳み線である。
【0020】
本明細書において、「個包装製品の外側から吸収性物品を目視により視認することができない」とは、本発明の個包装製品をさっと観察した場合に、個包装製品の中に吸収性物品が含まれることを理解できないことを意味する。本発明の個包装製品は、バッグ、ポケット等に入れて簡易に持ち運ぶことを想定しているので、そのような状況下で、バッグ、ポケット等からさっと取り出した場合、バッグの中を見られた場合等に、個包装製品の中に吸収性物品が含まれていることを他人が理解できないことが肝要だからである。
従って、例えば、本発明の個包装製品をじっくり観察した結果、個包装製品の中に含まれる吸収性物品が、模様の薄い部分から透けて見えること、個包装の開口部から吸収性物品らしきものが見えること等により個包装製品の中に吸収性物品が含まれることを理解できることは、上述の目視により視認することができることには含まれない。
【0021】
個包装製品の外側から吸収性物品を目視により視認することができないようにするためには、例えば、包装シートが、その内面全体に第1着色部を有することが挙げられる。
また、個包装製品の外側から吸収性物品を目視により視認することができないようにするためには、第1着色部及び所望による第2着色部を有する包装シートの可視光透過率が、約75%以下であることが好ましく、約65%以下であることがより好ましく、そして約60%以下であることがさらに好ましい。透過率が約75%を超えると、場合によっては、個包装製品の外側から吸収性物品を目視により視認することができる。
なお、上記可視光透過率の下限は、0%である。例えば、包装シートの素材そのものの可視光透過率が高いが、第1着色部の隠蔽性が高いことにより可視光透過率が0%となる実施形態も、個包装製品の外側から着色部を目視により視認することができるが、個包装製品の外側から吸収性物品を目視により視認することができないので、本発明の実施形態に含まれる。
【0022】
図2は、
図1に示される個包装製品1のX−X断面の断面図である。
図2に示される個包装製品1では、包装シート6が、その内面7に、第1着色部9を有し、吸収性物品2が、粘着部11を間に挟んで、包装シート6の内面7に固定されている。
【0023】
図3は、
図1及び
図2に示される個包装製品の折り畳み構造を説明するための図である。
図3に示される個包装製品1では、吸収性物品2が、粘着部(図示せず)を間に挟んで、包装シート6の内面7に固定されている。吸収性物品2及び包装シート6は、最初に、
図3(i)に示されるように、折り畳み線a−aに沿って、吸収性物品2及び包装シート6の、折り畳み線a−aより左側の左方領域が、折り畳み線a−a及び折り畳み線b-bにより画定される領域上に折り畳まれる。
なお、上記左方領域では、第1着色部9が、包装シート6を通して観察される。
【0024】
次いで、
図3(ii)に示されるように、折り畳み線b−bに沿って、吸収性物品2及び包装シート6の、折り畳み線b−bより右側の右方領域が、上記中間領域において、上記左方領域の包装シート6の外面8の上に折り畳まれる。
なお、上記左方領域及び右方領域では、第1着色部9が、包装シート6を通して観察される。
【0025】
同様に、
図3(iii)に示されるように、折り畳み線c−cに沿って、吸収性物品2及び包装シート6の下側の下方領域が、折り畳み線c−c及び折り畳み線d−dにより画定される中間領域上に折り畳まれ、次いで、
図3(iv)に示されるように、折り畳み線d−dに沿って、吸収性物品2及び包装シート6の上側の上方領域が、上記中間領域に折り畳まれ、さらにタブ10で固定されることにより、個包装製品1が形成される。
なお、
図3(iv)に示される個包装製品1では、第1着色部9は、全て、包装シート6を通して観察される。
なお、本発明の個包装製品が折り畳み構造を有する場合には、上記折り畳み構造は、タブ、ホットメルト接着剤等により、適宜固定されることができる。
【0026】
図3(iv)に示されるように、本発明の個包装製品では、個包装製品の外側から第1着色部を目視により視認することができるが、個包装製品の外側から吸収性物品を目視により視認することができない。
なお、
図1〜3に示される実施形態では、包装シートの内面全体に第1着色部が形成されているが、本発明の個包装製品では、個包装製品の外側から吸収性物品を目視により視認することができなければ、特に包装シートの内面全体に第1着色部が形成されていなくともよい。例えば、包装シートの中で、個包装製品の形態において外部から視認される領域、例えば、
図3における折り畳み線a−a及び折り畳み線b−bで画定される領域内にのみ第1着色部が形成されていてもよい。
【0027】
図1では、吸収性物品2が、粘着部を間に挟んで、包装シート6の内面7に固定されているが、
図1のように、吸収性物品が包装シートの内面に固定されている実施形態では、個包装製品の内部で、吸収性物品が包装シートと異なる方向に動くことが少ない、すなわち、吸収性物品が包装シートの内面の第1着色部と擦れることが少ないので、包装シートの内面の第1着色部の色彩が、吸収性物品に色移りすることは少ない。
【0028】
図2では、個包装製品1は、吸収性物品2及び包装シート6を、4回折り畳むことにより形成されているが、本発明においては、吸収性物品及び/又は包装シートは折り畳まれなくともよく、あるいは吸収性物品及び/又は包装シートが折り畳まれる場合であっても、その折り畳み回数は、特に制限されるものではない。
【0029】
図4は、本発明の個包装製品の実施形態の一つである、三つ折り型の個包装製品の例を示す図である。
図4に示される個包装製品1は、長手方向と直交する2つの折り畳み線である、折り畳み線a−a及び折り畳み線b−bで吸収性物品2及び包装シート6を折り畳むとともに、ヒートシール12で長手方向の側面をシールすることにより形成されたものであるが、説明のため、タブ10を持ち上げた状態が示されている。
【0030】
図1では、吸収性物品2が、粘着部を間に挟んで、包装シート6の内面7に固定されている実施形態が示されているが、本発明の個包装製品では、吸収性物品が、包装シートの内面に固定されている実施形態に限定されない。
図5は、本発明の個包装製品の実施形態の1つを示す図である。
図5は、吸収性物品が、包装シートの内面に固定されていない個包装製品の例である。
【0031】
図5(a)は、吸収性物品がタンポンである個包装製品の例である。
図5(a)に示される個包装製品1では、タンポンとしての吸収性物品2が、第1着色部9を有する内面7を内側にし且つ外面8を外側にして2つ折りにされた包装シート6の間に配置され、そして包装シート6の二つ折りにした部分以外の三方を、ヒートシール12でシールすることにより、個包装製品1が形成されている。
【0032】
図5(b)は、吸収性物品が陰唇間パッドである個包装製品の例である。
図5(b)に示される個包装製品1では、陰唇間パッドとしての吸収性物品2が、第1着色部9を有する内面7を内側にし且つ外面8を外側にした2枚の包装シート6の間に配置され、そして包装シート6の四方を、ヒートシール12でシールすることにより、個包装製品1が形成されている。
図5に示される個包装製品では、個包装製品の外側から第1着色部を目視により視認することができるが、個包装製品の外側から吸収性物品を目視により視認することができない。
【0033】
図1〜3に示される実施形態では、第1着色部9が、吸収性物品2を、包装シート6から簡易に剥離することができるような剥離機能をさらに有する。このような剥離機能を有する第1着色部は、顔料及び/又は染料等の着色成分、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、オクタデシルイソシアネート等の剥離成分、所望による、アクリル、ポリエステル等の基体樹脂等を含む着色材料で包装シートを被覆することにより形成されうる。
【0034】
上記着色成分としては、水で濡れた際の色移り等がないようにするために、顔料であることが好ましく、上記顔料として、例えば、無機顔料、例えば、酸化コバルト、二酸化チタン、チタンブラック及びチタニウムイエロー、有機顔料、例えば、アゾ系顔料及びフタロシアニン系顔料、並びに蛍光顔料、例えば、カルシウム、バリウム、マグネシウム、カドミウム等の酸化物、硫化物、けい酸塩、リン酸塩、タングステン酸塩等を主成分とするものが挙げられる。
【0035】
本発明の効果を奏するための着色成分の量は、着色成分の種類、量、大きさ等によって変わるものであり、さらに後述の、包装シートの外面の着色部等によっても変化するが、概ね、第1着色部中に、上記着色成分が、約1〜約30質量%であり、約2〜約20質量%が好ましく、そして約3〜約10質量%がより好ましい。
【0036】
上記着色材料は、形成される第1着色部が、吸収性物品に色移りしないように、架橋性官能基等を含む硬化性材料であること、例えば、熱硬化性、放射線硬化性、例えば、UV硬化性材料等であることが好ましい。上記着色材料としては、第1着色部が形成される包装シートが、融点及び/又はガラス転移温度の低いシートであるのが一般的であることを考慮すると、包装シートを変形させない、放射線硬化性、例えば、UV硬化性材料であることが好ましい。
【0037】
上述のように、第1着色部に剥離機能を付与することにより、後述の剥離部、剥離シート等を別途形成する工程がなくなるため製造コストが下がる、粘着部と剥離領域との位置合わせが不要になることから製造速度が上がる、剥離シートが不要になることから、ゴミが減る等の利点がある。
【0038】
第1着色部は、個包装製品の外側から第1着色部を目視により視認することができるが、個包装製品の外側から吸収性物品を目視により視認することができないようなものであれば、特に制限されず、例えば、単一色、例えば、ピンク、水色等を有することができ、又は第1着色部が、模様を有していてもよい。
【0039】
第1着色部を
包装シートの内面に形成する方法としては、特に制限されず、例えば、単一色を有する第1着色部を形成する場合には、ロールコート、スプレーコート等の手段を用いて、上記着色材料で
包装シートをコーティングすることにより、第1着色部を形成することができる。
【0040】
また、印刷等の手段を用いて、
包装シートの内面に第1着色部を形成することができる。例えば、グラビア印刷を用いて、単一の着色材料で、その単位面積当りの量を変化させながら、上記包装シートを被覆することにより、あらかじめ定められた模様を有する第1着色部を形成させることができる。グラビア印刷等の手段は、単位面積当りの量を変化させることにより、単一の着色材料から模様を形成されることができるので、製造コストの観点から利点がある。
【0041】
あるいは、スクリーン印刷、フレキソ印刷等の手段を用いて、色彩の異なる複数の着色材料で、上記包装シートを被覆することにより、あらかじめ定められた模様を有する第1着色部を形成させることができる。
【0042】
本発明の個包装製品では、包装シートが、その内面に第1着色部を有し、個包装製品の外側から第1着色部を目視により視認することができるが、個包装製品の外側から吸収性物品を目視により視認することができない。第1着色部が、上記作用を有するためには、第1着色部が、中にある吸収性物品を隠蔽するような一定の隠蔽性を有する必要がある。上記隠蔽性は、第1着色部に含まれる顔料及び/又は染料等の着色成分の種類、量、大きさ等によって主に決まり、概ね、上述の着色成分を上述の量含むことにより、一定の隠蔽性が得られる。
【0043】
図1〜3に示される実施形態では、第1着色部が、吸収性物品を、包装シートから簡易に剥離することができるような剥離機能を有するが、本発明の個包装製品は、第1着色部が剥離機能を有しない場合には、剥離部又は剥離シートをさらに含むことができる。
図6は、剥離部又は剥離シートを含む個包装製品の例を示す図である。
【0044】
図6(a)に示される個包装製品1では、包装シート6が、その内面7に、第1着色部9を有し、第1着色部9の上に、剥離部13が被覆され、吸収性物品2が、剥離部13及び粘着部11を間に挟んで、包装シート6の内面7に固定されている。
上記剥離部は、当業界で公知の手段、例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、オクタデシルイソシアネート等の剥離成分、所望による、アクリル、ポリエステル等の基体樹脂等を含む剥離材料で、第1着色部を被覆し、上記剥離部の上に、非肌当接面に粘着部を有する吸収性物品を固定することにより形成されうる。
【0045】
図6(b)に示される個包装製品1では、包装シート6が、その内面7に、第1着色部9を有し、第1着色部9の上に、剥離シート14が接着され、吸収性物品2が、剥離シート14及び粘着部11を間に挟んで、包装シート6の内面7に固定されている。
上記離型シートとしては、当技術分野で、通常用いられている離型シート、例えば、低表面エネルギーを有するシート、例えば、シリコーン系化合物、フッ素系化合物等がコーティングされたシート、テフロン(商標)シートを挙げることができる。
【0046】
図1〜3に示される実施形態では、包装シートが、その内面と反対側の外面に、着色部を有しないが、本発明の個包装製品においては、包装シートが、包装シートの外面の着色部を有することができる。
本明細書において、「包装シートの外面の着色部」を、他の着色部との区別を簡潔にするために、「第2着色部」と称する場合がある。
図7は、包装シートの外面に、第2着色部を有する個包装製品の例を示す図である。
図7に示される個包装製品1は、
図3に示すように4回折り畳まれるとともに、タブ10で固定することにより形成されたものであり、包装シート6は、その外面8に、一定の間隔をおいて連続して配置されている、複数のドットから成る第2着色部15を有する。
【0047】
第1着色部及び第2着色部は、同一の模様を有していてもよく、又は
図7に示されるように異なる模様を有していてもよい。吸収性物品として生理用ナプキン、タンポン、陰唇間パッド、又はパンティーライナーを含む個包装製品の場合には、整理中の憂鬱な気分を緩和させるために、第1着色部と第2着色部の模様を変えてもよい。
また、第2着色部を、例えば、より明度の低い小さな模様とすることで、看る者の視線を第2着色部にそらし、個包装製品の中の吸収性物品に気づかせないことができる。
【0048】
包装シートの外面の第2着色部は、包装シートの内面の第1着色部の面積よりも小さい面積を有することが好ましい。
第2着色部の面積を大きくすると、製造時の製造ライン等との摩擦、販売時の個包装製品同士の摩擦、購入後のバッグ内での摩擦等により、着色材料の色彩が他に移る色移り等の問題が生じうるからである。さらに、本発明の個包装製品のデザイン性を損ねないために、第2着色部が、第1着色部の面積よりも小さい面積を有することが好ましい。
【0049】
図1〜3に示される個包装製品では、吸収性物品が着色部を有しないが、本発明の個包装製品では、吸収性物品が、包装シート側の外面に、吸収性物品の外面の着色部をさらに有し、包装シートが、第1着色部と、所望による第2着色部とを、個包装製品の外側から、上記吸収性物品の外面の着色部を目視により視認することができないように有することができる。
本明細書において、「吸収性物品の外面の着色部」を、他の着色部との区別を簡潔にするために、「第3着色部」と称する場合がある。
【0050】
図8は、本発明の個包装製品の実施形態の1つの展開図である。
図8に示される個包装製品1は、吸収体3を有する生理用ナプキンとしての吸収性物品2と、吸収性物品2を包装する包装シート6と、タブ10とを含む。吸収性物品2は、バックシートである非肌当接面5に粘着部(図示せず)を有し、非肌当接面5に、あらかじめ定められた模様から成る第3着色部16が形成されている。また、
図8に示される個包装製品1では、包装シート6が、その外面8に、複数のドットが角千鳥型に配置された第2着色部15を有する。
図8に示される個包装製品1では、吸収性物品2が、粘着部(図示せず)を間に挟んで、包装シート6の内面7に固定されるとともに、吸収性物品2及び包装シート6を、吸収性物品2を内側にして折り畳むことにより、個包装製品1が形成される。
【0051】
第3着色部は、使用者の生理中の憂鬱な気分を緩和させるために、生理用ナプキンのバックシート、ウィングの補強シート等の非肌当接面に付されることが多い。しかし、使用前に、個包装製品の外側から第3着色部が見えると、生理を意識する場合があるので、第3着色部は、個包装製品の外側から見えない方が好ましい。
【0052】
包装シートが、第1着色部と、所望による第2着色部とを、個包装製品の外側から、上記吸収性物品の外面の着色部を目視により視認することができないように有するためには、例えば、(i)第1着色部及び/又は第2着色部の隠蔽性を高くして、第3着色部を外部から物理的に見えにくくすること、(ii)第1着色部及び/又は第2着色部の色彩を、第3着色部の色彩と同系色にして、第3着色部を外部から視認させにくくすること、(iii)第3着色部の彩度を下げることにより、第3着色部を外部から視認させにくくすること等が挙げられる。
【0053】
本発明に用いられる吸収性物品としては、個包装形態で販売されうるものであれば、特に制限されず、例えば、生理用ナプキン、パンティーライナー、陰唇間パッド、紙オムツ及びタンポンが挙げられる。
【0054】
本発明に用いられる包装シートとしては、吸収性物品を個包装するために当技術分野で用いられるものであれば特に制限されないが、例えば、織布、不織布、フェルト、パイル、フィルム、紙、及びこれらのラミネート等を挙げることができる。
上記包装シートに、顔料、染料等の着色成分を含ませて、包装シートの可視光透過率、色彩等を変化させることができる。包装シートの可視光透過率、色彩等を変化させることにより、個包装製品を開封する前と後とで、第1着色部の色彩、模様等の見た目を変えることができ、生理等の際の憂鬱さを軽減することができる。
【0055】
本発明に用いられる粘着部としては、当技術分野で通常用いられている粘着剤、例えば、ホットメルト粘着剤、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)系ホットメルト粘着剤、エチレン・酢酸ビニル共重合体系ホットメルト粘着剤、合成ゴム(例えば、スチレン系コポリマー、ブタジエン系コポリマー、イソプレン系コポリマー)系ホットメルト粘着剤、アクリル樹脂系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤等が挙げられる。
【実施例】
【0056】
以下、例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
[例1]
ピンク、青及び黄色系の着色材料を、ポリエチレン製のフィルム上に、グラビア印刷機を用いて、セルの大きさを変化させて塗工することにより、包装シートNo.1〜12を形成した。
包装シートNo.1〜12の透過率を測定した。
上記透過率は、日本電色工業株式会社製の交照側光方式色差計A300/ZE−2000型を用いて測定された。
同一の包装シートを、場所を変えて5回測定し、その平均値を結果とした。結果を表1に示す。
【0057】
[例2]
上記包装シートNo.1〜12に、市販の生理用ナプキンを粘着剤で貼り付け、
図3のように生理用品を内側にして折り畳むことにより個包装製品を形成した。そして10名の被験者に、上記個包装製品をさっと観察してもらい、個包装製品内の生理用ナプキンを視認できるか否か判断してもらった。結果を、表1に示す。なお、視認性の10%の値は、1名の被験者が、個包装製品内の生理用ナプキンを視認できたことを意味する。
【0058】
[例3]
8種の市販の個包装型生理用ナプキン(市販品A〜H)を収集し、それらの包装シート(No.13〜20)の透過率を、例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
なお、市販の個包装生理用ナプキンの包装シートは、包装シートの外面に着色部が設けられているものであるか、包装シート自体が着色されているものであるか、又はその組み合わせであった。
【0059】
[例4]
包装シートNo.13〜20に、例2と同種の吸収性物品を粘着剤で貼り付け、例2と同様に視認性を評価した。結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
以上より、透過率が75%程度であれば、80%の被験者が、個包装製品の外側から吸収性物品を視認できないことが分かり、そして透過率が60%以下であれば、100%の被験者が、着色部の色とは無関係に、個包装製品の外側から吸収性物品を視認できないことが分かった。