【実施例】
【0031】
図1は、本発明の一実施例であるマイクロ波ECR(Electron Cyclotron Resonace)エッチング装置を示している。上部が開放された真空容器101の上部に、真空容器101内にエッチングガスを封入するための誘電体窓103(例えば石英製)を設置することにより処理室104を形成する。真空容器101の上部には、真空容器101内にエッチングガスを導入するためのシャワープレート102(例えば石英製)を設置し、シャワープレート102にはエッチングガスを流すためのガス供給装置117が接続される。
【0032】
また、真空容器101には真空排気口106を介し真空排気装置108が接続されている。プラズマ生成装置として、電磁波発生用電源109が設置される。プラズマを生成するための電力を処理室104に伝送するため、誘電体窓103の上方には電磁波を放射する導波管107(または導波管とアンテナ)が設けられる。導波管107(または導波管とアンテナ)へ伝送される電磁波は電磁波発生用電源109から発振させる。電磁波の周波数は特に限定されないが、本実施例では2.45GHzのマイクロ波を使用する。処理室104の外周部には、磁場を形成する磁場発生コイル110が設けてあり電磁波発生用電源109より発振された電力は、形成された磁場との相互作用により処理室104内に高密度プラズマを生成する。
【0033】
また、誘電体窓103に対向して真空容器101の下部にはウエハ載置用電極111が設けられる。ウエハ載置用電極111は電極表面が溶射膜(図示省略)で被覆されており、高周波フィルター回路115を介して直流電源116が接続されている。さらに、ウエハ載置用電源111には、マッチング回路113を介して高周波電源114が接続される。処理室104内に搬送されたウエハ112は、直流電源116から印加される直流電圧の静電気力でウエハ載置用電極111上に吸着され、処理室104内に所望のエッチングガスを供給した後、真空容器101内を所定の圧力とし、処理室104内にプラズマを発生させる。ウエハ載置用電極111に接続された高周波電源114から高周波電力を印加することにより、プラズマからウエハ112へイオンを引き込み、ウエハ112がエッチング処理される。
【0034】
また、処理室104内部にプラズマを任意の繰り返し周波数で繰り返されHighとLowの2値を有するパルス的に生成させる場合、電磁波発生用電源109は、処理室104内部へ任意の繰り返し周波数で繰り返されHighとLowの2値を有するパルスにより変調された高周波電力を供給する。
【0035】
プラズマを間欠的に生成させるため、所定の時間範囲(例えば周期として表現した場合、1マイクロ秒から1秒等、周波数として表現した場合、1MHzから1Hz等)で、電磁波発生用電源109からエネルギを供給しプラズマを生成させ、処理室104内部のイオンやラジカルの生成量を増加し、また所定の時間範囲(例えば周期として表現した場合、1マイクロ秒から1秒等、周波数として表現した場合、1MHzから1Hz等)で、電磁波発生用電源109からエネルギの供給を断ち、処理室104内部のイオンやラジカルの生成量を低下させる。
【0036】
電磁波発生用電源109から供給するエネルギとしては、電磁波発生用電源109より発振される電力を用いる。電磁波の周波数は特に限定されないが、本実施例では2.45GHzのマイクロ波を使用する。マイクロ波を用いると、電磁波発生用電源109より発振される電力は、マイクロ波電力となる。
【0037】
処理室104内部にプラズマを間欠的に生成させる場合の一例である矩形変調されたマイクロ波電力の時間依存性グラフを
図11に示す。マイクロ波電圧曲線1101は電磁波発生用電源109より発振されたマイクロ波電圧波形の時間依存性であり、
図11(1)に示すように2.45GHzで概略正弦波を形成する。処理室104の内部にプラズマを間欠的に生成させる場合、マイクロ波電圧波形は矩形変調されるため、時間軸を拡大すると、
図11(2)に示すようにマイクロ波電圧波形が出力されている時間(オン時)と出力されていない時間(オフ時)が交互に繰り返される。また
図11(2)に示すような矩形変調されたマイクロ波電圧波形をマイクロ波電力波形に変換すると
図11(3)のようになる。マイクロ波電力曲線1102は電磁波発生用電源109より発振されたマイクロ波電力波形の時間依存性である。
【0038】
マイクロ波電力を供給している一定の時間幅Bにおけるマイクロ波電力値をAとし(以後、矩形変調オン時の電力値と表す)、一定の間隔を表わす周波数値である周波数(Hz)を周期としてCとし、一定の間隔においてマイクロ波を出力している時間をBとし、周期CにおけるB時間の割合をデューティー比(%)と定義する。また、一周期Cにおける平均マイクロ波電力は、矩形変調オン時の電力値とデューティー比の積として求められる。
【0039】
さらに
図1に示すエッチング処理装置には、真空排気装置108、ガス供給装置117、電磁波発生用電源109、磁場発生コイル110、直流電源116、高周波電源114等を制御する制御装置(図示省略)が接続してある。制御装置には、制御対象の各装置や各電源の制御プログラムや制御変数を記録するコンピュータ利用可能な記録媒体が接続され、記録された制御プログラムや制御変数に応じて、これらの装置や電源が動作し、ウエハ112がエッチング処理される。
【0040】
図1に示すようなエッチング処理装置を用いて、生成されたプラズマに含まれるラジカルやイオンによって、ウエハ112表面の不必要な部分を化学的または物理的に除去するとき、エッチング処理中の制御変数は一定ではなく、ウエハ112表面の被エッチング材料やその膜厚、エッチング形状によって、プラズマ処理中の制御変数は変化する。これら一定ではない制御変数を制御プログラムにおいて規定、入力するため、一般的なエッチング処理装置では、レシピと呼ばれる制御変数を管理する表が用いられる。
【0041】
図2に一般的なエッチング処理装置におけるレシピの一例を示す。
図2に示すように、エッチング処理装置において制御装置によって制御される各装置や各電源の制御変数がレシピに規定され、各ステップ(本実施例では各ステップは、時間で区分されている。例えば、各ステップは、エッチングしたい材料の膜厚やプラズマからの発光強度でもよい。)ごとに、その制御変数の値が規定、入力される。
【0042】
制御プログラムは、
図2に示すようなレシピを読み込み、レシピに従って、エッチング処理装置の各装置や各電源を制御する。本実施例においては、先述の通り、プラズマを生成するエネルギの供給を規則的に断ったり続けたりする電磁波発生用電源109を制御する制御変数として、たとえば、
図2のレシピに示すような、電磁波発生用電源109より発振される電力であるマイクロ波電力(W)、一定の間隔である周期においてマイクロ波が出力している時間幅の割合であるデューティー比(%)、一定の間隔を表わす周波数値である周波数(Hz)を用いる。
【0043】
従来のエッチング処理装置では、電磁波発生用電源109より発振される電力であるマイクロ波電力(W)、一定の間隔である周期においてマイクロ波が出力している時間幅の割合であるデューティー比(%)、一定の間隔を表わす周波数値である周波数(Hz)を用いた場合、エッチング形状を高精度に制御できないため、半導体デバイスの電気的特性や性能が劣化するという課題が発生していた。その課題を
図3、
図4、
図5を用いて説明する。
【0044】
図3に従来のプラズマ処理装置で、特に従来の電磁波発生用電源109を制御する制御変数として先述のような、電磁波発生用電源109より発振される電力であるマイクロ波電力(W)、一定の間隔である周期においてマイクロ波が出力している時間幅の割合であるデューティー比(%)、一定の間隔を表わす周波数値である周波数(Hz)を用いたときのマイクロ波電力(W)の時間依存性のグラフを示す。
【0045】
曲線301、302、303は、いずれも制御変数であるマイクロ波電力(W)を、例えば、1000Wとし、周波数(Hz)を10kHzとした時のマイクロ波電力(W)の時間依存性である。曲線301は、デューティー比(%)が20%。曲線302は、デューティー比(%)が50%。曲線303は、デューティー比(%)が80%である。
【0046】
従来のプラズマ処理装置、特に従来の電磁波発生用電源109の発振したマイクロ波電力の制御方法では、マイクロ波電力検出器やマイクロ波電力検出器を含めた制御回路の応答速度が遅く、一般的に数100ミリ秒から数秒のフィードバック制御時間が必要だった。よって本実施例で示すように、プラズマを間欠的に生成させるため、所定の時間範囲において、プラズマを生成するエネルギの供給を規則的に断ったり続けたりさせる場合、所定の時間範囲ごとに電磁波の出力電力を制御することができず、時間平均された出力電力を制御していた。
【0047】
つまり、制御変数であるマイクロ波電力(W)を1000Wとレシピに入力しても、デューティー比(%)が20%のとき、矩形変調オン時電力は5000Wとなっていた。デューティー比(%)が50%のとき、矩形変調オン時電力は2000W。デューティー比(%)が80%のとき、矩形変調オン時電力は1250Wとなっていた。レシピに規定、入力したマイクロ波電力(W)は、デューティー比(%)の規定、入力によって変化し、プラズマにエネルギを供給している時間範囲におけるマイクロ波電力とレシピに入力したマイクロ波電力(W)とが異なっていた。
【0048】
図4にプラズマエッチング処理装置における、エッチング選択比のマイクロ波電力依存性の一例を示す。ここでの、エッチング選択比は、被エッチング材料501のエッチング速度に対する、エッチングしない材料のエッチング速度(例えば、マスク材料502や被エッチング層の下地等)として表す。
【0049】
例えば、被エッチング材料501として、ポリシリコン膜、マスク材料502としてシリコン酸化膜等である。エッチング選択比は、プラズマを生成するマイクロ波電力によって変化する。
図4に示すとおり、マイクロ波電力を増加させると、エッチング選択比は増加し、最適なマイクロ波電力で最大のエッチング選択比となった後、マイクロ波電力の増加とともに、エッチング選択比は低下する。
【0050】
図5にエッチング形状の断面図の一例を示す。
図5(1)はエッチング処理前の形状であり、被エッチング材料501(例えば、ポリシリコン膜等)に、マスク材料502(例えば、シリコン酸化膜等)が成膜される。
【0051】
図5(2)は、プラズマを生成するマイクロ波電力が比較的低いときのエッチング形状を示し、
図4のグラフにおけるA点である。生成されたプラズマのイオンとラジカルの生成量は少なく、被エッチング材料501もマスク材料502もエッチング速度が大きく、選択比が比較的小さい。
【0052】
図5(3)は、プラズマを生成するマイクロ波電力が最適なときのエッチング形状を示し、
図4のグラフにおけるB点である。生成されたプラズマのイオンとラジカルの生成量が最適化され、被エッチング材料501のエッチング速度は大きく、マスク材料のエッチング速度は抑制され、エッチング選択比が最も高くなる。
【0053】
図5(4)は、プラズマを生成するマイクロ波電力が比較的高い場合のエッチング形状を示し、
図4のグラフにおけるC点である。生成されたプラズマのイオンとラジカルの生成量が過度となり、被エッチング材料501のエッチング速度が抑制されてしまい、エッチング選択比が比較的小さい。
【0054】
一般的に所望されるエッチング形状は、被エッチング材料501のエッチング速度が大きく、マスク材料のエッチング速度が抑えられ、エッチング選択比の高い形状である。
図5においては、
図5(3)の断面形状が所望のエッチング形状となる。つまり、最適な所望のエッチング形状やそのエッチング形状を得る最適なエッチング選択比は、マイクロ波電力に依存し、最適なマイクロ波電力でエッチング処理する必要がある。
【0055】
図3で示す通り、従来のプラズマ処理装置では、
図2に示すようにレシピにマイクロ波電力を入力しても、デューティー比によってマイクロ波電力が変化し、
図4のB点に示すような最適なマイクロ波電力にならず、
図5(3)に示すような所望のエッチング形状を維持できない。エッチング形状を高精度に制御できないため、半導体デバイスの電気的特性や性能が劣化、歩留まりを低下させるという課題が発生していた。そのため、エッチング処理装置の使用者は、プラズマを間欠的に生成しエッチング処理を行うとき、矩形変調オン時電力が最適な出力電力となるよう、レシピに予め計算しておいたマイクロ波電力、デューティー比を入力しなければならず、設定入力が煩雑になり、誤入力も多かった。
【0056】
そこで、本実施例では、プラズマを間欠的に生成しエッチング処理を行うとき、レシピに規定、入力するマイクロ波電力を矩形変調オン時電力とし、その出力電力を所望のエッチング形状を得るための最適な出力電力として規定、入力する。
【0057】
図6に、本実施例のプラズマ処理装置において、特に電磁波発生用電源109のマイクロ波電力を一定の間隔で供給したり遮断したりするように制御する制御変数として、電磁波発生用電源109がマイクロ波電力を供給している矩形変調オン時電力(W)、一定の間隔である周期においてマイクロ波が出力している時間幅の割合であるデューティー比(%)、一定の間隔を表わす周波数値である周波数(Hz)を用いたときのマイクロ波電力(W)の時間依存性のグラフを示す。
【0058】
マイクロ波電力曲線601、602、603は、いずれも制御変数であるマイクロ波電力(W)を、例えば、1000Wとし、周波数(Hz)を10kHzとした時のマイクロ波電力(W)の時間依存性である。マイクロ波電力曲線301は、デューティー比(%)が20%。曲線302は、デューティー比(%)が50%。マイクロ波電力曲線303は、デューティー比(%)が80%である。
【0059】
本実施例のプラズマ処理装置、特に本実施例の電磁波発生用電源109の発振した電力の制御方法では、制御の応答速度を速くし、数マイクロ秒から数ミリ秒のフィードバック制御時間とした。本実施例で示すように、プラズマを間欠的に生成させるため、所定の時間範囲において、プラズマを生成するエネルギの供給を規則的に断ったり続けたりさせる場合、所定の時間範囲ごとに電磁波の出力電力を制御することができ、矩形変調オン時電力を制御できる。
【0060】
つまり、マイクロ波電力曲線601、602、603に示す通り、制御変数であるマイクロ波電力(W)を1000Wとレシピに入力し、デューティー比(%)を変化させても、矩形変調オン時電力は1000Wとなり、レシピに規定、入力したマイクロ波電力(W)と、プラズマにエネルギを供給している時間範囲におけるマイクロ波電力とが一致する。
【0061】
よって、レシピに規定、入力したマイクロ波電力をエッチング処理に最適なマイクロ波電力とし、所望のエッチング形状を得ることができ、エッチング形状を高精度に制御できる。これにより半導体デバイスの電気的特性や性能が向上、歩留まりを向上できる。また、エッチング処理装置の使用者は、プラズマを間欠的に生成しエッチング処理を行うとき、レシピに入力するマイクロ波電力が、一定の間隔においてマイクロ波を出力している時間幅の出力電力となり、エッチング処理に最適な出力電力となるため、設定入力が簡易となり、誤入力も少なくなる。
【0062】
さらに、所望のエッチング形状を得るための最適な選択比を維持し、最適なエッチング形状(ここでの形状は、側壁角度、アスペクト比、マスク高さ、マスクファセット等を表わす)を維持したまま、デューティー比や周波数を変化させることもできる。デューティー比や周波数を変化させると、プラズマを生成するエネルギの供給を断った時間を制御することが可能となる。このプラズマを生成するエネルギの供給を断った時間は、ラジカルとイオンの生成量が変化する。
【0063】
一般的にエネルギの供給を断った時間は、イオンの生成量に対してラジカルの生成量が増加する。イオンに対するラジカルの生成量が増加すると、一般的にエッチング形状における横方向の物理または化学反応が増加する。エッチング性能の強いラジカルが増加したときは横方向のエッチングが進行、堆積性能の強いラジカルが増加したときは横方向の堆積が進行する。
【0064】
つまり、本実施例では、所望のエッチング形状を得るための最適な選択比を維持し、最適なエッチング形状を維持したままデューティー比や周波数を変化させることで、エッチング形状をさらに高精度に制御できるという効果がある。同様にCDを高精度に制御できるという効果がある。
【0065】
先述した本実施例の電磁波発生用電源109の発振した電力の制御方法は、近年の半導体デバイスの高性能化、高速化に伴い、制御応答速度が高速化したことにより可能となった。そのフィードバック制御時間を数マイクロ秒から数ミリ秒とすることができる。
【0066】
また先述の制御応答速度の高速化の代わりに、一定の間隔において電磁波を出力している時間のみ、フィードバック制御を行い、一定の間隔において電磁波を出力していない時間は、フィードバック制御を行わない制御方式としても同様の作用と効果が得られる。
【0067】
さらにプラズマを間欠的に生成しエッチング処理を行うとき、その一定の間隔は周波数において、1Hz以上1MHz未満、周期として、1マイクロ秒以上1秒未満であることが望ましい。プラズマを生成するプラズマ発生用電源において、近年の半導体デバイスのスイッチング周波数は1MHz程度が限界であり、また、1Hz以下で間欠的にプラズマを生成してもイオンやラジカルの生成量を精度よく制御できない。
【0068】
また従来の電磁波発生用電源109の発振した電力の制御方法においても、レシピに入力された一定の間隔において電磁波を出力している時間幅の出力電力をレシピに入力されたデューティー比で乗算した時間平均出力電力で、電磁波発生用電源109が発振する電力をフィードバック制御しても同様の効果が得られる。レシピに入力または記述されたマイクロ波電力とデューティー比の制御変数を用いて、レシピに入力された一定の間隔における時間平均電力値を演算し、プラズマ生成装置である電磁波発生用電源109の制御変数として演算された時間平均電力値を用いてもよい。
【0069】
本実施例では、
図6に示されるようにマイクロ波電力の時間依存性を矩形波状としたが、例えば、鋸波状、振幅変調状(AM状)、周波数変調状(FM状)、概略矩形波状等、プラズマを間欠的に生成できれば、いずれであっても同様の作用と効果を得ることができる。また本発明の電磁波発生用電源109の制御方式における一例を
図10に示す。
【0070】
プラズマ生成装置として、電磁波発生用電源109がプラズマ処理装置に接続され、プラズマを生成するための電力を処理室104に伝送するため、電磁波を放射する導波管107(またはアンテナ)が設けられる。電磁波の周波数は特に限定されないが、本実施例では2.45GHzのマイクロ波を使用する。
【0071】
電磁波発生用電源109からプラズマを生成するために出力されるマイクロ波電力をモニタするために高周波電力検出器1002が導波管107に接続される。さらに高周波電力検出器1002のモニタ出力信号を高速でプラズマ処理装置の制御装置1001が取り扱えるディジタル信号に変換することが可能な高速アナログ/ディジタル変換器1003が高周波電力検出器1002に接続される。通常、エッチング処理装置には、真空排気装置108、ガス供給装置117、電磁波発生用電源109、磁場発生コイル110、直流電源116、高周波発生用電源109等を制御する制御装置1001が接続してある。
【0072】
制御装置1001には、制御対象の各装置や各電源の制御プログラムや制御変数を記録するコンピュータ利用可能な記録媒体1004が接続され、記録された制御プログラムや制御変数に応じて、これらの装置や電源が動作し、ウエハ112がエッチング処理される。高速アナログ/ディジタル変換器1003により制御装置1001が取り扱えるようになったディジタル信号を制御装置1001に入力し、記録媒体1004に入力、規定してある電磁波発生用電源109を制御する制御変数と比較することで、制御装置1001から電磁波発生用電源109に制御信号を出力する。
【0073】
従来のプラズマ処理装置、特に従来の電磁波発生用電源109の発振した電力の制御方法では、制御の応答速度が遅く、一般的に数100ミリ秒から数秒のフィードバック制御時間が必要だった。よって本実施例で示すように、プラズマを間欠的に生成させるため、所定の時間範囲において、プラズマを生成するエネルギの供給を規則的に断ったり続けたりさせる場合、所定の時間範囲ごとに電磁波の出力電力を制御することができず、時間平均された出力電力を制御していた。つまり、制御変数であるマイクロ波電力(W)を1000Wとレシピに入力しても、デューティー比(%)が20%のとき、矩形変調オン時電力は5000Wとなっていた。レシピに規定、入力したマイクロ波電力(W)は、デューティー比(%)の規定、入力によって変化し、プラズマにエネルギを供給している時間範囲におけるマイクロ波電力とレシピに入力したマイクロ波電力(W)とが異なっていた。
【0074】
本実施例のプラズマ処理装置、特に本実施例の電磁波発生用電源109の発振した電力の制御方法では、高速のアナログ/ディジタル変換器1003を接続することで、制御系の応答速度を速くすることができ、数マイクロ秒から数ミリ秒のフィードバック制御時間が可能となる。
【0075】
本実施例で示すように、プラズマを間欠的に生成させるため、所定の時間範囲において、プラズマを生成するエネルギの供給を規則的に断ったり続けたりさせる場合、所定の時間範囲ごとに電磁波の出力電力を制御することができ、矩形変調オン時電力を制御できる。つまり制御変数であるマイクロ波電力(W)を1000Wとレシピに入力し、デューティー比(%)を変化させても、矩形変調オン時電力は1000Wとなり、レシピに規定、入力したマイクロ波電力(W)と、プラズマにエネルギを供給している時間範囲におけるマイクロ波電力とが一致する。
【0076】
先述した高速のディジタル変換器は、近年の半導体デバイスの高性能化、高速化に伴い、制御応答速度が高速化したことにより可能となった。そのフィードバック制御時間を数マイクロ秒から数ミリ秒とすることができる。
【0077】
また先述の制御応答速度の高速化の代わりに、一定の間隔において電磁波を出力している時間のみ、フィードバック制御を行い、一定の間隔において電磁波を出力していない時間は、フィードバック制御を行わない制御方式としても同様の作用と効果が得られる。
【0078】
さらにプラズマを間欠的に生成しエッチング処理を行うとき、その一定の間隔は周波数において、1Hz以上1MHz未満、周期として、1マイクロ秒以上1秒未満であることが望ましい。プラズマを生成するプラズマ発生用電源において、近年の半導体デバイスのスイッチング周波数は1MHz程度が限界であり、また、1Hz以下で間欠的にプラズマを生成してもイオンやラジカルの生成量を精度よく制御できない。よってそのマイクロ波電力をモニタする高速アナログ/ディジタル変換器1003のサンプリング周波数もエリアシングを考慮し、2Hz以上2MHz未満であることが望ましい。
【0079】
また高周波電力検出器1002は、様々な方式が考えられるが、高速応答性を満足するためにはショットキーダイオード型高周波電力検出器1002であることが望ましい。
【0080】
さらに本実施例のプラズマ処理装置において、特に電磁波発生用電源109のマイクロ波電力を一定の間隔で供給したり遮断したりするように制御する制御変数として、電磁波発生用電源109がマイクロ波電力を供給している矩形変調オン時電力(W)、一定の間隔である周期においてマイクロ波が出力している時間幅の割合であるデューティー比(%)、一定の間隔を表わす周波数値である周波数(Hz)は、プラズマ処理装置に接続されたモニタの出力であるモニタ値によって変化させてもよい。
【0081】
例えば、各膜層のエッチング処理の終点を検出して、先述の制御変数を変化させる。エッチング処理の終点検出方法としては、プラズマ発光の被エッチング材料502に起因する発光種、エッチングにより消費されるエッチャントに起因する発光種、あるいは被エッチング材料502の下層材料に起因する発光種等の発光時間変化から求めることが一般的である。モニタ値の変化によって制御変数を変化させても、同様の作用と効果を得ることができる。
【0082】
図7に、本実施例で用いた、電磁波発生用電源109がマイクロ波電力を供給している矩形変調オン時電力(W)、一定の間隔である周期においてマイクロ波が出力している時間幅の割合であるデューティー比(%)、一定の間隔を表わす周波数値である周波数(Hz)を示す。曲線701は、マイクロ波電力(W)の時間依存性である。
【0083】
電磁波発生用電源109より発振される電力であるマイクロ波電力を一定の間隔においてマイクロ波を出力している時間幅の出力電力(W)をaとし(矩形変調オン時電力)、一定の間隔を表わす周波数値である周波数(Hz)を周期としてcとし、一定の間隔においてマイクロ波を出力している時間をbとし、周期cにおけるb時間の割合をデューティー比(%)とした。デューティー比(%)をレシピに入力する代わりに、一定の間隔においてマイクロ波を出力している時間であるbをレシピに入力しても同様の作用と効果が得られる。
【0084】
また、
図8に示す通り、一定の間隔を表わす周波数値である周波数(Hz)を周期としてcとし、一定の間隔において電磁波を出力していない時間をbとし、周期cにおけるb時間の割合をデューティー比(%)としても同様の作用と効果が得られる。デューティー比(%)をレシピに入力する代わりに、一定の間隔において電磁波を出力していない時間であるbをレシピに入力しても同様の作用と効果が得られる。
【0085】
また、
図9に示す通り、一定の間隔を表わす周波数値である周波数(Hz)を周期としてcとしレシピに入力する代わりに、一定の間隔においてマイクロ波を出力している時間bと一定の間隔においてマイクロ波を出力していない時間をdとをレシピに入力しても同様の作用と効果が得られる
【0086】
本実施例では、被エッチング材料502をポリシリコン膜としたが、被エッチング材料502としては、ポリシリコン膜だけでなく、窒化シリコン膜、フォトレジスト膜、反射防止有機膜、反射防止無機膜、有機系材料、無機系材料、シリコン酸化膜、窒化シリコン酸化膜、Low−k材料、High−k材料、アモルファスカーボン膜、Si基板、メタル材料等においても同等の効果が得られる。
【0087】
また、エッチングを実施するガスとしては、例えば、塩素ガス、臭化水素ガス、四フッ化メタンガス、三フッ化メタン、二フッ化メタン、アルゴンガス、ヘリウムガス、酸素ガス、窒素ガス、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、アンモニア、八フッ化プロパン、三フッ化窒素、六フッ化硫黄ガス、メタンガス、四フッ化シリコンガス、四塩化シリコンガス、塩素ガス、臭化水素ガス、四フッ化メタンガス、三フッ化メタン、二フッ化メタン、アルゴンガス、ヘリウムガス、酸素ガス、窒素ガス、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、アンモニア、八フッ化プロパン、三フッ化窒素、六フッ化硫黄ガス、メタンガス、四フッ化シリコンガス、四塩化シリコンガスヘリウムガス、ネオンガス、クリプトンガス、キセノンガス、ラドンガス等が使用できる。
【0088】
以上の実施例ではマイクロ波ECR放電を利用したエッチング処理装置を例に説明したが、他の放電(有磁場UHF放電、容量結合型放電、誘導結合型放電、マグネトロン放電、表面波励起放電、トランスファー・カップルド放電)を利用したドライエッチング装置においても同様の作用効果がある。また上記各実施例では、エッチング処理装置について述べたが、プラズマ処理を行うその他のプラズマ処理装置、例えばプラズマCVD装置、アッシング装置、表面改質装置等についても同様の作用効果がある。
【0089】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。