【実施例】
【0045】
[実施例1]
化合物(III)の調製
【0046】
【化4】
TsOHは、式CH
3C
6H
4SO
3を有するp−トルエンスルホン酸である。TsOHは一水和物を指す。反応器に化合物(IIa)(100.0g)および無水テトラヒドロフラン(THF)(320g)を充填した。生じた懸濁液を−20±3℃に冷却し、リチウムヘキサメチルジシラジド(LiHMDS)(475.6g、THF中1.3M溶液)を55分間かけて添加して、−20±3℃で20分間撹拌した。次にTHF中のα−ブロモ−m−トルニトリル(THF 181g中65.1g)を、温度を−20±3℃に維持しながら40分間かけて反応器に充填し、さらに30分間撹拌した。安息香酸(126.6g)を固体として反応器に充填した。次に水(1000g)を添加し、混合物を65±3℃のジャケット温度および200−233mbarの真空度で蒸留した。57℃の一定なポット温度および45℃の一定なヘッド温度に蒸留した後、蒸留を停止した。トルエン(432g)を熱溶液に添加し、10±2℃まで冷却しながら撹拌した。次に生じた懸濁液をろ過し、ろ過ケーキを水(250g)およびトルエン(432g)で洗浄した。化合物(III)を窒素流下に45−50℃、約350mbar真空度で、一定重量になるまで24時間乾燥した。単離した固体の重量は76.0gであった(収率62.0%)。
【0047】
[実施例2]
化合物(V)の調製
【0048】
【化5】
化合物(III)をジクロロメタンと炭酸ナトリウム水溶液との間で分配した。有機相((III)の遊離塩基を含有する。)をさらなる炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、減圧下で蒸留して、溶媒をジメチルホルムアミド(DMF)と交換した。この溶液を(III)の重量/重量含量に関して検定した。DMF中の(IV)((III)に対して1.0当量)の懸濁液に、2当量の4−メチルモルホリンおよび1.1当量のO−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)を添加した。この混合物を、エステルの活性化が完了するまで周囲温度で撹拌した(約90分間)。化合物(III)(1当量)のDMF溶液を添加し、生じた溶液を一晩撹拌して、この後、HPLCは反応が完了したことを示した。水を75℃で添加し、混合物を冷却して生成物を結晶化させた。混合物を5℃に冷却し、ろ過して、ろ過ケーキを水で洗浄した。生成物を減圧下に70℃で乾燥した。
【0049】
[実施例3]
化合物(VI)の調製
【0050】
【化6】
十分に撹拌された反応器中で、ジクロロメタン450mL中の化合物(V)45gを水450g中のモノペルオキシフタル酸マグネシウム61g(利用可能な酸素に基づき66.4%、1.5当量)と、反応が完了するまで少なくとも5時間反応させた。相を分離し、有機相を等容量の水、5%重炭酸ナトリウム水溶液および水で連続的に洗浄した。生じた溶液を約40重量%溶液に濃縮し、メチルイソブチルケトン(MIBK)180gで希釈した。さらに蒸留して残留ジクロロメタンを除去し、適切な結晶を用いて種入れして、冷却し、生成物を結晶固体として得た。結晶をろ過し、MIBK 30gで洗浄して、減圧下に50℃で乾燥し、化合物(VI)41.8gを得た(収率89.3%)。
【0051】
[実施例4]
化合物(VII)の調製
【0052】
【化7】
200mLのジャケット付き反応フラスコに化合物(VI)(50.0g、116mmol)およびメタノール(50mL)を充填した。この混合物を−5℃に冷却し、部分的真空(約100torr)を確立した後、密封した。反応温度を0℃未満に維持しながら無水HCl(52.2g、1.43mol)を添加した。反応物を閉鎖条件下に0±1℃で撹拌した。16時間後、反応が完了した(HPLCにより2 A%(VI)未満)。中間体生成物溶液に、温度を5℃未満に維持しながら無水メタノール(100mL)を添加した。0℃未満の温度を保持しながら溶液をNH
3(27.7g、1.62mol)で処理した。混合物を室温に温める前に、蒸留水に溶解したアリコートのpH検査を行った(8−10のpHはアンモニアの十分な変化を示す。)。反応物を20℃で一晩撹拌し、この時点で反応が完了した。
【0053】
[実施例5]
溶媒添加による化合物(VIII)の調製
【0054】
【化8】
実施例4からの塩化アンモニウムスラリーに2−ブタノール(840mL)を添加し、生じた混合物を70℃に温めながら1時間撹拌した。塩化アンモニウムを熱ろ過によって除去し、ケーキを2−ブタノール160mL中のメタノール20mLの溶液で洗浄した。ろ液を合わせ、種結晶0.5gを添加した。混合物を周囲温度で一晩撹拌した。スラリーを−15℃に冷却し、完全な結晶化を確実にするため2時間保持した。固体をろ過し、反応器およびケーキを2−ブタノール165mLで洗浄した。固体を減圧下に45℃から50℃で窒素ブリードを行って乾燥し、化合物(VIII)44.3g(73.2%)をオフホワイト色結晶固体として得た。
【0055】
[実施例6]
安息香酸塩の調製
実施例5で調製した化合物(一塩酸塩−ヘミ2−ブタノール溶媒和物)4gを熱水80mlに溶解し、固体安息香酸ナトリウム1.11gを添加することによって材料を調製した。撹拌しながら、混合物を一晩冷却した。得られた沈殿物をろ過し、水で洗浄して、減圧下に40℃で6時間乾燥した。収率は79.4%であった。
【0056】
NMRデータは、得られた塩が安息香酸とメチル(2R,3R)−2−{3−[アミノ(イミノ)メチル]ベンジル}−3−{[4−(1−オキシドピリジン−4−イル)ベンゾイル]アミノ}ブタノエ−トの1:1比率であり、以下の図式に例示する構造を示すことを確認した:
【0057】
【化9】
【0058】
【表1】
DMSO はジメチルスルホキシドを意味する。
【0059】
NMR化学シフトの完全な帰属については表1参照。
【0060】
【表2】
【0061】
または、水100mL中の実施例4で調製した化合物5.0gの溶液に安息香酸ナトリウム2.2gを添加した。混合物を、均一になるまで蒸気浴で加熱した。炭(約2g)を添加し、この混合物をセライト(登録商標)でろ過して、水20mLで洗浄した。直ちに結晶化が始まった。2時間冷却した後、固体を収集し、水で洗浄した。固体を50℃で真空オーブンにおいて3日間乾燥した後、3.9g(67%)を収集した。
1H NMRは、塩を安息香酸とメチル(2R,3R)−2−{3−[アミノ(イミノ)メチル]ベンジル}−3−{[4−(1−オキシドピリジン−4−イル)ベンゾイル]アミノ}ブタノエ−トの1:1比率と確認した。
【0062】
[実施例7]
示差走査熱量測定(DSC)
Mettler DSC822e(モジュールDSC822e/700/109/414935/0025)を用いてDSC測定を実施した。密閉用の蓋とピンホールを備えた40μLアルミニウムるつぼを使用した。すべての測定は、50mL/分の窒素ガス流中、10°/分の加熱速度で実施した。測定したデータはSTARe V8.10ソフトウェアによって評価した。
【0063】
使用した結晶形態は実施例6で調製したものであり、25℃から300℃までの加熱の間に216.01℃で初期ピークおよび221.15℃でピークを示した。
【0064】
[実施例8]
結晶形態の調製
エタノール2mL中の実施例6で調製した式Iの安息香酸塩0.190gの溶液を65℃から0℃まで急速に冷却することによって結晶形態を調製した。沈殿が生じなかったので、試料を0℃で一晩放置した。沈殿物を真空ろ過によって単離し、この後減圧下に25℃で乾燥した。
【0065】
または、エタノール5.0mL中の実施例6で調製した式Iの安息香酸塩0.200 gの撹拌溶液を、18時間で65℃から10℃まで制御冷却することによって結晶形態を調製した。沈殿物を真空ろ過によって単離した。
【0066】
または、2−プロパノール15mLおよび水1.0mL中の実施例6で調製した式Iの安息香酸塩0.201gの撹拌溶液を、18時間で65℃から10℃まで制御冷却することによって結晶形態を調製した。沈殿が生じなかったので、溶媒を65℃で蒸発させた。
【0067】
または、実施例6で調製した式Iの安息香酸塩0.217gを約65℃でエタノール5.0mL中に溶解することによって結晶形態を調製した。次に溶媒を同じ温度で一晩撹拌溶液から蒸発させた。固体残留物を減圧下に室温で乾燥した。
【0068】
または、実施例6で調製した式Iの安息香酸塩0.197gを約65℃で2−プロパノール10mLおよび水1.0mLに溶解することによって結晶形態を調製した。次に溶媒を同じ温度で一晩、撹拌溶液から蒸発させた。固体残留物を減圧下に室温で乾燥した。
【0069】
[実施例9]
動的蒸気吸着(DVS)
水分吸着/脱着等温線をSurface Measurement SystemsからのDVS−1000で記録した。2サイクルを25℃で実施し、試料を最初に乾燥窒素ガスで処理して、次に相対湿度を0%から95%まで段階的に上昇させ、この後再び0%に低下させて、試料の重量を測定した。両サイクルについての典型的な総測定時間は約20から30時間であった。
【0070】
実施例8で調製したメチル(2R,3R)−2−{3−[アミノ(イミノ)メチル]ベンジル}−3−{[4−(1−オキシドピリジン−4−イル)ベンゾイル]アミノ}ブタノエ−トの安息香酸塩についての測定データを以下の表2に示す。
【0071】
【表3】
【0072】
「RH」は相対湿度を意味する。空気−水混合物の相対湿度は、指示温度での飽和水蒸気圧に対する混合物中の水蒸気の部分圧の比率と定義される。
【0073】
DVSは、メチル(2R,3R)−2−{3−[アミノ(イミノ)メチル]ベンジル}−3−{[4−(1−オキシドピリジン−4−イル)ベンゾイル]アミノ}ブタノエ−トの安息香酸塩に関して80%RHで1.1%および95%RHで2.0%の中等度の水分取り込みを示す。
【0074】
DVS比較実験:
実施例5で調製したメチル(2R,3R)−2−{3−[アミノ(イミノ)メチル]ベンジル}−3−{[4−(1−オキシドピリジン−4−イル)ベンゾイル]アミノ}ブタノエ−ト一塩酸塩−ヘミ2−ブタノール溶媒和物。
【0075】
実施例5で調製したメチル(2R,3R)−2−{3−[アミノ(イミノ)メチル]ベンジル}−3−{[4−(1−オキシドピリジン−4−イル)ベンゾイル]アミノ}ブタノエ−ト一塩酸塩−ヘミ2−ブタノール溶媒和物についての測定データを以下の表3に示す。
【0076】
【表4】
【0077】
DVSは、メチル(2R,3R)−2−{3−[アミノ(イミノ)メチル]ベンジル}−3−{[4−(1−オキシドピリジン−4−イル)ベンゾイル]アミノ}ブタノエ−ト一塩酸塩−ヘミ2−ブタノール溶媒和物に関して60%RHで3.69%、80%RHで17.79%、90%RHで26.66%および95%RHで34.13%の強い水分取り込みを示す。
【0078】
[実施例10]
示差走査熱量測定(DSC)
Mettler DSC822e(モジュールDSC822e/700/109/414935/0025)を用いてDSC測定を実施した。密閉用の蓋とピンホールを備えた40μLアルミニウムるつぼを使用した。すべての測定は、50mL/分の窒素ガス流中、10°/分の加熱速度で実施した。測定したデータはSTARe V8.10ソフトウェアによって評価した。
【0079】
使用した結晶形態は実施例8で調製したものであり、25℃から300℃までの加熱の間に225.57℃で初期ピークおよび229.02℃でピークを示した。
[実施例11]
X線粉末回折(XRPD)
X線粉末回折を、CuKα
1線(波長は1.54060オングストロームである。)および線形位置敏感型検出器を用いてStoe Stadi−P透過回折計で実施した。特に明記しない限り、X線粉末回折は室温で実施した。試料は平らな標本で検討した。測定したデータを、WinXPOW V2.12ソフトウェアを用いて評価し、プロットした。
【0080】
実施例8で調製したメチル(2R,3R)−2−{3−[アミノ(イミノ)メチル]ベンジル}−3−{[4−(1−オキシドピリジン−4−イル)ベンゾイル]アミノ}ブタノエ−トの安息香酸塩の観察されたX線粉末回折パターンを
図1に表示する(
図1)。図に示されているX線粉末回折パターンはバックグラウンドを差し引いている。
【0081】
°(度)で表した2θ(2シータ)角度は特徴的な反射の数として特定される。°で表した2θ角度は
図1において以下の値を有しており、相対強度を括弧内に示す:
【0082】
【表5】