(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記ノズルが前記基板の前記周縁部に対応する位置に達した後、前記基板の回転数を上昇させて、その後、前記基板に乾燥液を供給するように、前記回転駆動部および前記乾燥液供給機構を制御することを特徴とする請求項4に記載の基板処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、SC1液による薬液洗浄が行われる際、ウエハが収容されたチャンバ内の雰囲気に、アンモニアが浮遊する。このアンモニアは、DHF液による薬液洗浄時にDHFと結合し、フッ化アンモニウム(NH
4F)が生成される。生成されたフッ化アンモニウムは、リンス処理時に、ウエハ表面に形成された純水の液膜内に入り込む。その後の乾燥処理時には、ウエハ表面上の純水がIPA液に置換された後ウエハが乾燥されるが、純水中に残っているフッ化アンモニウムが、乾燥後にウエハ表面に残存する場合があった。このため、ウエハ表面にフッ化アンモニウムによるパーティクル(薬液などの析出によって生じる筋状のウォーターマーク等)が形成される場合があった。
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、基板の表面にパーティクルが発生することを抑制することができる基板処理方法、この基板処理方法を実行するためのコンピュータプログラムが記録された記録媒体、および基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基板を薬液処理する工程と、前記薬液処理する工程の後、前記基板を回転させながら、当該基板にリンス液を供給するリンス処理工程と、前記リンス処理工程の後、前記基板を回転させながら、前記基板を乾燥する乾燥処理工程と、を備え、前記乾燥処理工程は、前記基板の中心部にリンス液を供給しながら、前記基板の回転数を前記リンス処理工程時の前記基板の回転数より低い第1の回転数まで低下させる工程と、前記基板の回転数を前記第1の回転数まで低下させる工程の後、リンス液を供給するリンス液供給位置を、前記基板の前記中心部から周縁部に向けて移動させる工程と、前記リンス液供給位置を移動させる工程の後、前記基板に乾燥液を供給する工程と、を有することを特徴とする基板処理方法である。
【0008】
本発明による基板処理方法において、前記リンス液供給位置を移動させる工程において、前記基板の回転数を前記第1の回転数より低い第2の回転数まで低下させる、ようにしてもよい。
【0009】
本発明による基板処理方法において、前記リンス液供給位置を移動させる工程において、前記基板の回転数が、前記第2の回転数まで低下した後、当該基板の回転数を、当該第2の回転数に維持する、ようにしてもよい。
【0010】
本発明による基板処理方法において、前記リンス液供給位置を移動させる工程において、前記基板の回転数が前記第2の回転数まで低下した後、前記リンス液供給位置が当該基板の前記周縁部に達すると共に、当該基板に対するリンス液の供給を停止し、その後、当該基板の回転数を、所定時間、当該第2の回転数に維持する、ようにしてもよい。
【0011】
本発明による基板処理方法において、前記リンス液供給位置を移動させる工程において、前記第1の回転数に低下した前記基板の回転数を、当該第1の回転数に維持する、ようにしてもよい。
【0012】
本発明による基板処理方法において、前記リンス液供給位置を移動させる工程において、前記リンス液供給位置が前記基板の前記周縁部に達した後、当該基板に対するリンス液の供給を停止し、その後、当該基板の回転数を、所定時間、前記第1の回転数に維持する、ようにしてもよい。
【0013】
本発明による基板処理方法において、前記基板に乾燥液を供給する工程において、前記基板の回転数を上昇させ、その後、前記基板に乾燥液を供給する、ようにしてもよい。
【0014】
本発明は、基板処理方法を実行するためのコンピュータプログラムが記録された記録媒体であって、前記基板処理方法は、基板を薬液処理する工程と、前記薬液処理する工程の後、前記基板を回転させながら、当該基板にリンス液を供給するリンス処理工程と、前記リンス処理工程の後、前記基板を回転させながら、前記基板を乾燥する乾燥処理工程と、を備え、前記乾燥処理工程は、前記基板の中心部にリンス液を供給しながら、前記基板の回転数を前記リンス処理工程時の前記基板の回転数より低い第1の回転数まで低下させる工程と、前記基板の回転数を前記第1の回転数まで低下させる工程の後、リンス液を供給するリンス液供給位置を、前記基板の前記中心部から周縁部に向けて移動させる工程と、前記リンス液供給位置を移動させる工程の後、前記基板に乾燥液を供給する工程と、を有することを特徴とする記録媒体である。
【0015】
本発明は、基板を保持する回転自在な基板保持部と、前記基板保持部を回転駆動する回転駆動部と、前記基板保持部に保持された前記基板に薬液を供給する薬液供給機構と、前記基板保持部に保持された前記基板に、ノズルを介してリンス液を供給するリンス液供給機構と、前記基板保持部に保持された前記基板に、乾燥液を供給する乾燥液供給機構と、前記ノズルを、前記基板の中心部に対応する位置と当該基板の周縁部に対応する位置との間で移動させるノズル駆動部と、前記回転駆動部、前記薬液供給機構、前記リンス液供給機構、前記乾燥液供給機構、および前記ノズル駆動部、を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、回転する前記基板の前記中心部に前記リンス液供給機構により前記基板にリンス液を供給した後、前記基板の前記中心部にリンス液を供給しながら前記基板の回転数を第1の回転数まで低下させ、当該基板の回転数が前記第1の回転数まで低下した後、前記基板にリンス液を供給しながら、前記ノズルを、当該基板の前記中心部に対応する位置から当該基板の前記周縁部に対応する位置に向けて移動させ、前記ノズルが前記基板の前記周縁部に対応する位置に達した後、前記乾燥液供給機構により前記基板に乾燥液を供給するように、前記回転駆動部、前記リンス液供給機構、前記乾燥液供給機構および前記ノズル駆動部を制御することを特徴とする基板処理装置である。
【0016】
本発明による基板処理装置において、前記制御部は、前記基板にリンス液を供給しながら前記ノズルを移動させる際、前記基板の回転数を前記第1の回転数より低い第2の回転数まで低下させるように、前記回転駆動部を制御する、ようにしてもよい。
【0017】
本発明による基板処理装置において、前記制御部は、前記基板の回転数が、前記第2の回転数まで低下した後、当該基板の回転数を、当該第2の回転数に維持するように、前記回転駆動部を制御する、ようにしてもよい。
【0018】
本発明による基板処理装置において、前記制御部は、前記基板の回転数が前記第2の回転数まで低下した後、前記ノズルが当該基板の前記周縁部に対応する位置に達すると共に、当該基板に対するリンス液の供給を停止し、その後、当該基板の回転数を、所定時間、前記第2の回転数に維持するように、前記回転駆動部、前記リンス液供給機構、および前記ノズル駆動部を制御する、ようにしてもよい。
【0019】
本発明による基板処理装置において、前記制御部は、前記基板にリンス液を供給しながら前記ノズルを移動させる際、前記第1の回転数に低下した前記基板の回転数を、当該第1の回転数に維持するように、前記回転駆動部を制御する、ようにしてもよい。
【0020】
本発明による基板処理装置において、前記制御部は、前記ノズルが前記基板の前記周縁部に対応する位置に達した後、当該基板に対するリンス液の供給を停止し、その後、当該基板の回転数を、所定時間、前記第1の回転数に維持するように、前記回転駆動部および前記リンス液供給機構を制御する、ようにしてもよい。
【0021】
本発明による基板処理装置において、前記制御部は、前記ノズルが前記基板の前記周縁部に対応する位置に達した後、前記基板の回転数を上昇させて、その後、前記基板に乾燥液を供給するように、前記回転駆動部および前記乾燥液供給機構を制御する、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、基板の表面にパーティクルが発生することを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、
図1乃至
図6を参照して、本発明の実施の形態における基板処理方法、この基板処理方法を実行するためのコンピュータプログラムが記録された記録媒体、および基板処理装置について説明する。
【0025】
まず、
図1および
図2により、基板処理装置1の全体構成について説明する。
【0026】
図1に示すように、基板処理装置1は、処理容器10と、この処理容器10内に設けられ、洗浄処理を行う基板(例えば、半導体ウエハ、以下単にウエハWと記す)を保持する回転自在なスピンチャック(基板保持部)20と、このスピンチャック20を回転駆動する回転駆動部(モータ)25と備えている。
【0027】
このうち、処理容器10には、
図2に示すように、ウエハWの搬入出口11が設けられている。この搬入出口11には、開閉自在なシャッタ12が設けられており、ウエハWの搬入出時に開くようになっている。このシャッタ12は、処理容器10の内側に設けられており、処理容器10内の圧力が高くなった場合においても、処理容器10内の雰囲気が外方に漏洩することを防止している。なお、シャッタ12には、後述する制御部80が接続されており、シャッタ12は、制御部80からの制御信号に基づいて、開閉するようになっている。
【0028】
図1に示すように、スピンチャック20は、回転プレート21と、この回転プレート21の周縁部に設けられ、ウエハWを保持する保持部材22とを有している。このうち、保持部材22は、回転プレート21の周縁部において、略等間隔に配置され、ウエハWを略水平に保持するようになっている。
【0029】
回転駆動部25は、スピンチャック20の回転プレート21に、回転駆動軸26を介して連結されている。この回転駆動部25には、制御部80が接続されており、制御部80からの制御信号に基づいて回転駆動部25が駆動されることにより、回転プレート21を回転させ、保持部材22に保持されたウエハWが、その中心を回転中心として、略水平面内で回転するようになっている。
【0030】
スピンチャック20に保持されたウエハWの上方に、ウエハWに薬液または純水を供給する洗浄液ノズル30と、ウエハWに乾燥液を供給する乾燥液ノズル31と、ウエハWに不活性ガスを供給するガスノズル32とが設けられている。これら洗浄液ノズル30、乾燥液ノズル31、およびガスノズル32は、ノズルアーム33およびガイドレール34を介して、ノズル駆動部35に連結されている。このうちガイドレール34は、処理容器10内に略水平に配置されており、ノズルアーム33の基端部は、このガイドレール34に沿って略水平に移動自在となるように、ガイドレール34に取り付けられている。このようにして、ノズル駆動部35を駆動することにより、各ノズル30、31、32は、ウエハWの上方において、ウエハWの中心部に対応する位置(ウエハWの中心部の上方位置)と、ウエハWの周縁部に対応する位置(ウエハWの周縁部の上方位置)との間で、略水平方向に、一体に移動するようになっている。さらには、各ノズル30、31、32は、ウエハWの周縁部に対応する位置から、ウエハWの周縁外方の上方位置(退避位置)との間においても、一体に移動するようになっている。なお、ノズル駆動部35には、制御部80が接続されており、制御部80からの制御信号に基づいてノズル駆動部35が駆動されるようになっている。
【0031】
洗浄液ノズル30、乾燥液ノズル31、およびガスノズル32は、連結部材36に、互いに近接して、整列して取り付けられている。この連結部材36とノズルアーム33の先端部との間に、各ノズル30、31、32を一体に昇降させる昇降駆動部37が介在されている。また、連結部材36と昇降駆動部37との間に、昇降軸38が連結されている。
なお、昇降駆動部37には、制御部80が接続されており、制御部80からの制御信号に基づいて昇降駆動部37が駆動され、各ノズル30、31、32が昇降するようになっている。このようにして、ウエハWに対する各ノズル30、31、32の高さを調節可能に構成されている。
【0032】
また、洗浄液ノズル30、乾燥液ノズル31、およびガスノズル32は、スピンチャック20に保持されたウエハWの半径方向に直線状に配置されており、各ノズル30、31、32が、ウエハWの中心部の上方に移動可能となるように、ノズルアーム33に一体に取り付けられている。
【0033】
洗浄液ノズル30に、薬液供給機構40が連結されており、スピンチャック20に保持されたウエハWに、洗浄液ノズル30を介して薬液が吐出(供給)されるようになっている。本実施の形態における薬液供給機構40は、洗浄液ノズル30にSC1供給ライン41を介して連結され、ウエハWにアンモニア過水(SC1液)を供給するSC1供給源42と、洗浄液ノズル30にDHF供給ライン43を介して連結され、ウエハWに希フッ酸(DHF液)を供給するDHF供給源44とを有している。このうちSC1供給ライン41にSC1開閉弁45が設けられており、DHF供給ライン43にDHF開閉弁46が設けられている。また、SC1開閉弁45およびDHF開閉弁46には、制御部80が接続されており、各開閉弁45、46は、制御部80からの制御信号に基づいて、開閉するようになっている。
【0034】
また、洗浄液ノズル30に、リンス液供給機構50が連結されており、スピンチャック20に保持されたウエハWに、洗浄液ノズル30を介して純水(リンス液)が吐出(供給)されるようになっている。リンス液供給機構50は、洗浄液ノズル30に、リンス液供給ライン51を介して連結され、ウエハWに純水を供給するリンス液供給源52と、リンス液供給ライン51に設けられたリンス液開閉弁53とを有している。なお、リンス液開閉弁53には、制御部80が接続されており、リンス液開閉弁53は、制御部80からの制御信号に基づいて、開閉するようになっている。
【0035】
なお、SC1供給ライン41、DHF供給ライン43、リンス液供給ライン51は、各開閉弁45、46、53と洗浄液ノズル30との間で合流するようになっている。
【0036】
乾燥液ノズル31に、乾燥液供給機構60が連結されており、スピンチャック20に保持されたウエハWに、乾燥液ノズル31を介して乾燥液が吐出(供給)されるようになっている。乾燥液供給機構60は、乾燥液ノズル31に乾燥液供給ライン61を介して連結され、ウエハWに、純水よりも揮発性の高いイソプロピルアルコール(IPA)からなる乾燥液を供給する乾燥液供給源62と、乾燥液供給ライン61に設けられた乾燥液開閉弁63とを有している。なお、乾燥液開閉弁63には、制御部80が接続されており、乾燥液開閉弁63は、制御部80からの制御信号に基づいて、開閉するようになっている。
【0037】
ガスノズル32に、不活性ガス供給機構70が連結されており、スピンチャック20に保持されたウエハWに、ガスノズル32を介して不活性ガスが吐出(供給)されるようになっている。不活性ガス供給機構70は、ガスノズル32にガス供給ライン71を介して連結され、ウエハWに、不活性ガスとして窒素ガス(N
2ガス)を供給するガス供給源72と、ガス供給ライン71に設けられたガス開閉弁73とを有している。なお、ガス開閉弁73には、制御部80が接続されており、ガス開閉弁73は、制御部80からの制御信号に基づいて、開閉するようになっている。
【0038】
上述したように、回転駆動部25、ノズル駆動部35、薬液供給機構40のSC1開閉弁45およびDHF開閉弁46、リンス液供給機構50のリンス液開閉弁53、乾燥液供給機構60の乾燥液開閉弁63、並びに不活性ガス供給機構70のガス開閉弁73に、これらを制御する制御部80が接続されている。
【0039】
このような制御部80は、後述する乾燥処理工程時に乾燥液供給機構60によりウエハWにIPA液を供給する前にリンス液供給機構50によりウエハWに純水を供給し、純水を供給する際、ウエハWの回転数を低下させ、ウエハWの回転数が第1の回転数まで低下した後、洗浄液ノズル30を、ウエハWの中心部に対応する位置からウエハWの周縁部に対応する位置に向けて移動させながら、ウエハWに純水を供給するように、回転駆動部25、リンス液供給機構50のリンス液開閉弁53、乾燥液供給機構60の乾燥液開閉弁63、およびノズル駆動部35を制御する。
【0040】
また、制御部80は、洗浄液ノズル30を移動させる際、ウエハWの回転数を更に低下させ、ウエハWの回転数が第1の回転数よりも低い第2の回転数まで低下した後、ウエハWの回転数を第2の回転数に維持する共に、洗浄液ノズル30をウエハWの周縁部に対応する位置に到達させて停止させ、ウエハWに対する純水の供給を停止し、その後、ウエハWの回転数を、所定時間、第2の回転数に維持するように、回転駆動部25、リンス液供給機構50のリンス液開閉弁53、およびノズル駆動部35を制御する。
【0041】
さらに、制御部80は、乾燥液供給機構60によりウエハWにIPA液を供給する前に、ウエハWの回転数を上昇させるように、回転駆動部25および乾燥液供給機構60の乾燥液開閉弁63を制御する。
【0042】
ところで、
図1に示すように、制御部80には、工程管理者等が基板処理装置1を管理するために、コマンドの入力操作等を行うキーボードや、基板処理装置1の稼働状況等を可視化して表示するディスプレイ等からなる入出力装置81が接続されている。また、制御部80は、基板処理装置1で実行される処理を実現するためのプログラム等が記録された記録媒体82にアクセス可能となっている。記録媒体82は、ROMおよびRAM等のメモリ、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROM、およびフレキシブルディスク等のディスク状記録媒体等、既知の記録媒体から構成され得る。このようにして、制御部80が、記録媒体82に予め記録されたプログラム等を実行することによって、基板処理装置1においてウエハWの処理が行われるようになっている。
【0043】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用、すなわち、本実施の形態による基板処理方法について説明する。なお、以下に説明する基板処理方法を実行するための各構成要素の動作は、予め記録媒体82に記録されたプログラムに基づいた制御部80からの制御信号によって制御される。
【0044】
まず、
図3に示すように、スピンチャック20に、ウエハWが保持される(ステップS1)。この場合、まず、シャッタ12が開けられて、図示しない搬送アームに保持されたウエハWが、搬入出口11を通って処理容器10内に搬入される。次に、ウエハWが、搬送アームから受け渡され、スピンチャック20の保持部材22に保持される。
【0045】
続いて、回転駆動部25により、ウエハWを保持したスピンチャック20が回転駆動される(ステップS2)。
【0046】
その後、ノズル駆動部35が駆動され、退避位置に位置していた洗浄液ノズル30がスピンチャック20に保持されたウエハWの中心部に対応する位置に移動する(ステップS3)。
【0047】
次に、ウエハWを回転させながら、ウエハWが薬液処理される。
【0048】
この場合、まず、ウエハWの表面にSC1液が供給されて、ウエハWの表面がSC1液により薬液処理され、洗浄される(ステップS4)。すなわち、SC1開閉弁45が開き、SC1供給源42から、SC1供給ライン41および洗浄液ノズル30を介して、SC1液がウエハWの表面の中心部に吐出される。このことにより、吐出されたSC1液は、遠心力によりウエハWの表面全体に拡散され、ウエハWの表面にSC1液の液膜が形成される。この際、ウエハWの回転数は、例えば、10〜500rpm程度とすることが好ましい。SC1液の液膜が形成された後、SC1開閉弁45を閉じてSC1液の供給を停止し、所定時間放置する。このことにより、SC1液を、遠心力によりウエハWの外方に押し出すことができる。
【0049】
SC1液による薬液洗浄処理の後、ウエハWの表面にDHF液が供給されて、ウエハWの表面がDHF液により薬液処理され、洗浄される(ステップS5)。すなわち、DHF開閉弁46が開き、DHF供給源44から、DHF供給ライン43および洗浄液ノズル30を介して、DHF液がウエハWの表面の中心部に吐出される。このことにより、吐出されたDHF液は、遠心力によりウエハWの表面全体に拡散され、ウエハWの表面にDHF液の液膜が形成される。この際、ウエハWの回転数は、例えば、10〜500rpm程度とすることが好ましい。DHF液の液膜が形成された後、DHF開閉弁46を閉じてDHF液の供給を停止し、所定時間放置する。このことにより、DHF液を、遠心力によりウエハWの外方に押し出すことができる。
【0050】
薬液処理が終了した後、ウエハWを回転させながら、ウエハWがリンス処理される(リンス処理工程、ステップS6)。すなわち、リンス液開閉弁53を開き、リンス液供給源52から、リンス液供給ライン51および洗浄液ノズル30を介して、純水がウエハWの表面の中心部に吐出される。このことにより、吐出された純水は、遠心力によりウエハWの表面全体に拡散されて、ウエハWの表面に残存している薬液が押し流され、ウエハWの表面に純水の液膜が形成される。この際、ウエハWの回転数は、例えば、500〜1500rpm程度とすることが好ましい。このことにより、ウエハWの表面から薬液を迅速に押し流して純水の液膜を形成することができる。リンス処理工程の終了時点では、薬液が未だ残存した状態の純水の厚い液膜がウエハWの表面上に形成されている。ここで、厚い液膜とは、後述するスロードライステップ(ステップS7−1)の終了時の液膜よりも厚い状態のことを意味する。
【0051】
リンス処理工程の後、ウエハWが乾燥処理される(乾燥処理工程、ステップS7)。この乾燥処理工程は、
図4に示すように、ウエハWに純水を吐出しながら、ウエハWの回転数をリンス処理時より低下させるスロードライステップ(ステップS7−1)と、ウエハWにIPA液を吐出するIPAドライステップ(ステップS7−2)と、ウエハWにIPA液と窒素ガスとを吐出するN
2ドライステップ(ステップS7−3)とを有している。
【0052】
まず、リンス処理工程が終了したウエハWの中心部に純水を吐出しながら、ウエハWの回転数を低下させる(ステップS7−1a)。
【0053】
ウエハWの回転数が、第1の回転数(30〜100rpm)まで低下した後、ノズル駆動部35により、洗浄液ノズル30を、純水を吐出しながらウエハWの中心部に対応する位置から周縁部に対応する位置に向けて移動(スキャン)させる。このことにより、純水の多くを、
図5に示すように、洗浄液ノズル30の移動に伴い、ウエハWの中心部から周縁部に向けて移動させることができる。この洗浄液ノズル30のスキャン開始後、洗浄液ノズル30がウエハWの中心部と周縁部との間の所定の途中位置に達するまでの間、ウエハWの回転数を、更に低下させる(ステップS7−1b)。このことにより、洗浄液ノズル30がウエハWの周縁部に対応する位置に近づくにつれてウエハWの回転数が低下し、ウエハWに吐出された純水が、スピンチャック20の保持部材22等に当たってはね返ることを防止することができる。
【0054】
次に、
図4に示すように、ウエハWの回転数が、第1の回転数よりも低い第2の回転数(10〜30rpm)まで低下した後、ウエハWの回転数が、この第2の回転数に維持される(ステップS7−1c)。この間、洗浄液ノズル30は、純水を吐出しながら、ウエハWの周縁部に対応する位置に向けて移動している。
【0055】
その後、洗浄液ノズル30がウエハWの周縁部に対応する位置に達して停止すると共に、リンス液開閉弁53が閉じられて、ウエハWに対する純水の供給を停止し、ウエハWの回転数が、所定時間、この第2の回転数に維持される(ステップS7−1d)。このことにより、ウエハWの周縁部に集められた純水の多くを、ウエハWの周縁外方に押し出すことができる。なお、この場合においても、ウエハWの表面全体には、純水の薄い液膜が、その表面張力により残っている。つまり薄い液膜を残しながら、フッ化アンモニウムを含んだ大部分の純水をウエハWの表面からウエハWの周縁外方に効果的に押し出すことができる。このため、この後にウエハWにIPA液を供給してウエハWを乾燥処理した場合においても、フッ化アンモニウム等によるパーティクルが発生することを抑制することができる。この結果、ウエハWの表面にパーティクルが発生することを抑制することができる。ここで、薄い液膜とは、前述したリンス処理工程(ステップS6)の終了時の液膜よりも薄い状態のことを意味する。
【0056】
所定時間経過後、IPAドライステップ(S7−2)が行われる。この場合、まず、ウエハWの回転数を上昇させると共に、乾燥液ノズル31を、ウエハWの中心部に対応する位置に移動させる。ウエハWの回転数が第2の回転数より高い第3の回転数(100〜500rpm)に達した後、乾燥液ノズル31がウエハWの中心部に対応する位置に配置された状態で乾燥液開閉弁63が開き、乾燥液供給源62から、乾燥液供給ライン61および乾燥液ノズル31を介して、IPA液がウエハWの表面に吐出されると共に、乾燥液ノズル31が、ウエハWの中心部に対応する位置と周縁部に対応する位置との間を往復移動(スキャン)してウエハWの中心部に対応する位置に戻る。なお、乾燥液ノズル31がスキャンしている間、ウエハWの回転数は、第3の回転数で、一定に維持される。なお、この後、IPA液がウエハWの表面に吐出される状態でウエハWの回転数を上昇させる。
【0057】
このようにして、乾燥液ノズル31をスキャンしながら、ウエハWの表面にIPA液が吐出されることにより、ウエハWの表面に残存している純水を、IPA液に迅速に置換することができる。
【0058】
続いて、ウエハWの回転数が第4の回転数(500〜800rpm)に達した後、N
2ドライステップ(S7−3)が行われる。すなわち、IPA液および窒素ガスがウエハWの表面に吐出されると共に、乾燥液ノズル31およびガスノズル32が、ウエハWの中心部に対応する位置から周縁部に対応する位置に向けて移動(スキャン)する。この際、乾燥液ノズル31は、ガスノズル32に対して移動方向の前方側に位置するように、スキャンされる。
【0059】
なお、窒素ガスは、乾燥液ノズル31およびガスノズル32がスキャンを開始した後、ガスノズル32がウエハWの中心部に対応する位置に達してから、ウエハWに吐出されるようにしても良く、あるいは、乾燥液ノズル31およびガスノズル32がスキャンを開始すると同時に、ウエハWに吐出するようにしても良い。また、窒素ガスは、ガス開閉弁73を開くことにより、ガス供給源72からガス供給ライン71およびガスノズル32を介してウエハWの表面に吐出される。
【0060】
このN
2ドライステップ(S7−3)においては、各ノズル31、32が、ウエハWの中心部に対応する位置から、中心部と周縁部との間の所定の途中位置に対応する位置に達するまでの間、ウエハWの回転数は、第4の回転数で一定に維持される(ステップS7−3a)。また、この間、各ノズル31、32は、比較的速い速度(例えば、8mm/sec)で移動する。
【0061】
各ノズル31、32が上述の所定の途中位置に達した後、ウエハWの回転数を第5の回転数(300〜500rpm)に低下させ、各ノズル31、32がウエハWの周縁部に対応する位置に達するまで、ウエハWの回転数は、この第5の回転数で一定に維持される(ステップS7−3b)。この間、各ノズル31、32は、比較的遅い速度(例えば、3mm/sec)で移動する。
【0062】
このN
2ドライステップ(S7−3)においては、窒素ガスは、IPA液が吐出される位置よりも移動方向の後側に吐出される。このことにより、吐出されたウエハW表面上のIPA液に、迅速に窒素ガスを吐出することができ、IPA液をウエハW表面上から迅速に除去し、ウエハWを乾燥させることができる。
【0063】
各ノズル31、32がウエハWの周縁部に対応する位置に達した後、乾燥液開閉弁63およびガス開閉弁73が閉じられて、ウエハWに対するIPA液および窒素ガスの供給を停止し、ウエハWの回転数を下げ、ウエハWの乾燥処理工程が終了する。
【0064】
その後、ウエハWの回転を停止させ、ウエハWを搬入する際の手順とは逆の手順で、図示しない搬送アームをウエハWの下方に挿入して、ウエハWを搬送アームに受け渡し、ウエハWが搬出される。
【0065】
このように本実施の形態によれば、リンス液である純水をウエハWの中心に供給するリンス処理工程の後、ウエハWの回転数を低下させ、ウエハWの回転数が第1の回転数まで低下した後、ウエハWに純水を供給するリンス液供給位置を、ウエハWの中心部から周縁部に向けて移動させながら、ウエハWに純水を供給する。このことにより、ウエハWの表面上の純水の多くを、ウエハWの周縁外方に押し出すことができる。とりわけ、SC1液およびDHF液により薬液洗浄処理された場合、ウエハWの表面に形成された純水の液膜にフッ化アンモニウムが入り込んでいるが、このフッ化アンモニウムをウエハWの表面からウエハWの周縁外方に効果的に押し出すことができる。つまり薄い液膜を残しながら、フッ化アンモニウムを含んだ大部分の純水をウエハWの表面からウエハWの周縁外方に効果的に押し出すことができる。このため、この後にウエハWにIPA液を供給してウエハWを乾燥処理した場合においても、フッ化アンモニウム等によるパーティクルが発生することを抑制することができる。この結果、ウエハWの表面にパーティクルが発生することを抑制することができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、上述したスロードライステップ(S7−1)において、ウエハWの表面から純水の多くがウエハWの周縁外方に押し出されるが、この場合においても、ウエハWの表面に純水の薄い液膜を形成することができる。このため、ウエハWの表面に、ウォーターマークなどのパーティクルが発生することを抑制することができる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、スロードライステップ(S7−1)の後、乾燥液ノズル31をスキャンしながらウエハWにIPA液が供給される(IPAドライステップ(S7−2))。このことにより、ウエハWの表面に残存している純水が少ないため、純水を、IPA液に迅速に置換することができる。このため、ウエハWの表面にパーティクルが発生することを抑制することができる。また、上述したように、ウエハWの表面に残存している純水の液膜が薄いことにより、純水の置換に必要なIPA液の量を低減することができる。
【0068】
さらに、本実施の形態によれば、IPAドライステップ(S7−2)の後、乾燥液ノズル31およびガスノズル32をスキャンしながら、ウエハWにIPA液および窒素ガスが供給される(N
2ドライステップ(S7−3))。この際、ガスノズル32は、その移動方向に対して乾燥液ノズル31の後方側に位置している。このことにより、吐出されたIPA液に迅速に窒素ガスを吐出することができ、IPA液を迅速に除去することができる。このため、ウエハWの表面にパーティクルが発生することを抑制することができる。
【0069】
以上、本発明による実施の形態について説明してきたが、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、種々の変形も可能である。以下、代表的な変形例について説明する。
【0070】
本実施の形態においては、ウエハWの回転数が第1の回転数まで低下した後、リンス液供給位置を、ウエハWの中心部から周縁部に向けて移動させ、ウエハWの回転数を更に低下させる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、ウエハWの回転数が第1の回転数(例えば、30〜100rpm)まで低下した後、リンス液供給位置をウエハWの中心部から周縁部に向けて移動させながら、ウエハWの回転数を当該第1の回転数に維持するようにしても良い。すなわち、
図4に示すリンス処理工程におけるステップS7−1bにおいて、洗浄液ノズル30を、ウエハWの中心部に対応する位置に停止させ、ステップS7−1cにおいて、洗浄液ノズル30を、ウエハWの中心部に対応する位置から周縁部に対応する位置に移動させる。このことにより、ウエハWの表面上の純水の多くを、洗浄液ノズル30の移動に伴い、ウエハWの中心部から周縁部に向けて移動させ、ウエハWの周縁外方に押し出すことができる。
【0071】
また、上述した本実施の形態において、IPAドライステップ(S7−2)とN
2ドライステップ(S7−3)を、以下のように行っても良い。
【0072】
すなわち、ステップS7−1dにおける所定時間経過後に、
図6に示すように、まず、ウエハWの回転数を上昇させる前にIPA液の供給を開始し、次に、ウエハWの回転数を500〜1000rpmに上昇させ、乾燥液ノズル31を、ウエハWの周縁部に対応する位置から中心部に対応する位置にスキャンさせて、続いて、乾燥液ノズル31をウエハWの中心部に対応する位置に停止させながら、所定時間IPA液を吐出し、その後、IPA液の供給を停止すると共にウエハWの回転数を100〜500rpmに低下させる(IPAドライステップ)。IPAドライステップの後、ガスノズル32からウエハWに窒素ガスを吐出させる(N
2ドライステップ)。窒素ガスを吐出している間、ガスノズル32を、ウエハWの中心部に対応する位置から周縁部に対応する位置にスキャンさせる。
【0073】
この場合、ウエハWの表面に残存している純水に、より一層迅速にIPA液を供給することができ、純水を、迅速にIPA液に置換することができ、このことにより、ウエハWの表面にパーティクルが発生することを抑制することができる。また、IPA液を吐出した後、ガスノズル32をスキャンしながら、窒素ガスのみをウエハWに吐出することにより、ウエハWの表面に残存しているIPA液を除去することができる。また、この場合、乾燥処理において使用されるIPA液の量を低減することができる。
【0074】
また、本実施の形態においては、SC1液およびDHF液により、ウエハWが薬液洗浄される例について説明したが、薬液洗浄に使用される薬液は、このことに限られることはなく、任意の薬液を使用することができる。この際、使用される薬液がアンモニア成分を含まない場合であっても、処理容器10内にアンモニアが自然的に存在する場合があり、DHF液による薬液洗浄時にフッ化アンモニウムが生成され、このフッ化アンモニウムが純水に入り込むことが考えられるが、この場合においても、ウエハWの表面に、フッ化アンモニウムからなるパーティクルが形成されることを抑制することができる。
【0075】
また、本実施の形態においては、SC1液による薬液洗浄の後、ウエハWにDHF液を吐出して、DHF液による薬液洗浄を行う例について説明したが、このことに限られることはなく、SC1液による薬液洗浄の後、ウエハWの表面に純水を吐出してウエハWの表面をリンス処理し、その後に、DHF液による薬液洗浄を行うようにしても良い。
【0076】
また、本実施の形態においては、リンス液として純水を用いる例について説明したが、使用するリンス液としては、純水に限られることはない。
【0077】
また、本実施の形態においては、乾燥液としてIPA液を用いる例について説明したが、使用する乾燥液としては、IPAに限られることはない。また、ウエハWに吐出されるIPA液は、液体状のものに限られることはなく、ミスト状(霧状)、噴流状のものであっても良い。さらには、ウエハWに、加熱されたIPA液を供給するようにしても良い。
この場合、IPA液の蒸発を促進させることができる。
【0078】
なお、以上の説明においては、本発明による基板処理方法、この基板処理方法を実行するためのコンピュータプログラムが記録された記録媒体、および基板処理装置を、半導体ウエハWの洗浄処理に適用した例を示している。しかしながらこのことに限られることはなく、LCD基板またはCD基板等、種々の基板等の洗浄に本発明を適用することも可能である。