特許第5960445号(P5960445)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960445
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20160719BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   H01L29/78 301D
   H01L29/78 301S
   H01L29/78 301W
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-36898(P2012-36898)
(22)【出願日】2012年2月23日
(65)【公開番号】特開2013-172110(P2013-172110A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2015年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083840
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】森 徹
【審査官】 市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−091231(JP,A)
【文献】 特開2005−093696(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/161748(WO,A1)
【文献】 特表2009−502041(JP,A)
【文献】 特開平10−150193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の主面上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成され前記主面に沿って延在するゲート電極と、
前記半導体基板内で前記ゲート電極の両側のうちの一方の側に形成された第1導電型の不純物拡散領域からなるソース領域と、
前記半導体基板内で前記ゲート電極の両側のうちの他方の側に形成され、前記第1導電型と同じ導電型の不純物拡散領域からなるドレイン領域と、
前記半導体基板内で前記ゲート電極に対して前記ソース領域よりも外側に形成され、前記第1導電型とは異なる第2導電型の不純物拡散領域からなる基板コンタクト領域と
を備え、
前記ゲート電極の前記ソース領域側の端部と前記ドレイン領域側の端部とは、矩形状の端部を構成すると共に、前記半導体基板の前記主面上で前記ドレイン領域を取り囲むように形成され、
前記ソース領域の前記ゲート電極側の端部は、矩形状の端部を構成すると共に、前記ゲート電極を取り囲むように形成され、
前記ドレイン領域の外周端部は、前記ソース領域に対向する、直線部及び円弧部を有し、
前記ソース領域の前記基板コンタクト領域側の一端部は、前記ゲート電極の延在方向に沿って配列された複数の凹状部を有し、
前記ソース領域の前記ゲート電極側の他端部は、前記複数の凹状部と離間して配置され且つ前記ゲート電極の延在方向に沿って線状且つ連続的に形成されており、
前記基板コンタクト領域は、前記ゲート電極の延在方向に沿って配列され前記複数の凹状部に対向する複数の対向領域を有し、
前記複数の対向領域は、前記複数の凹状部内にそれぞれ配置されている
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、前記ソース領域の当該一端部は、前記複数の凹状部のうち隣り合う凹状部の間で前記ゲート電極の延在方向に平行な方向に延在する線状端を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置であって、前記基板コンタクト領域の当該複数の対向領域と前記ソース領域の当該複数の凹状部とは、前記主面に平行な横方向に互いに接合していることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置であって、
前記複数の凹状部の各々は、前記横方向に平行で且つ前記ゲート電極の延在方向とは垂直な方向に延在する線状の側方端を有し、
前記複数の対向領域の各々は、前記側方端の延在方向に平行な方向に延在する線状の対向端を有し、
前記側方端と前記対向端とが互いに接合している
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の半導体装置であって、前記基板コンタクト領域と前記ソース領域の当該一端部とは、前記主面に平行な横方向に互いに離間していることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1から5のうちのいずれか1項に記載の半導体装置であって、
記基板コンタクト領域は、前記ソース領域を取り囲むように形成されている
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1からのうちのいずれか1項に記載の半導体装置であって、
前記半導体基板の当該主面付近に形成され前記ゲート電極と前記ドレイン領域との間に介在する絶縁膜をさらに備え、
前記ゲート電極の一端部は、前記ゲート絶縁膜上から前記絶縁膜上に延在している
ことを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造技術に関し、特に、横方向拡散型の電界効果トランジスタ構造を含む半導体装置及びその製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
横方向拡散(Laterally Diffused:LD)型の電界効果トランジスタは、電力増幅器などのパワー半導体素子に広く採用されている。この種のLD型電界効果トランジスタでは、たとえば、ドレイン領域とゲート電極との間隔を基板の主面に並行な横方向に広げることでドレイン耐圧を高めることが可能である。
【0003】
図1(A),(B)に、従来のLD型MOSトランジスタ(LDMOS)100の概略構成を例示する。図1(A)は、LDMOS100の上面図である。また図1(B)は、図1(A)に示したLDMOS100のIb−Ib線における概略断面図である。図1(B)に示されるように、このLDMOS100は、P型シリコン基板110と、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法により形成されたフィールド絶縁膜113と、P型シリコン基板110上に形成された薄膜のゲート酸化膜115と、このゲート酸化膜115上に形成されたゲート構造116と、このゲート構造116の両側に形成されたN型不純物拡散領域からなるソース領域120S及びドレイン領域120Dとを有する。シリコン基板110内の主面近傍には、ソース領域120Sと横方向に隣接するP型不純物拡散領域からなる基板コンタクト領域121が形成されている。また、シリコン基板110の内部では、ゲート構造116とドレイン領域120Dとの間にN型ウェル領域111が形成されている。ゲート構造116は、ゲート電極117と、このゲート電極117の両側壁に形成されたサイドウォールスペーサ118S,118Dとで構成される。
【0004】
このLDMOS100では、図1(A)に示されるようにソース領域120Sの横方向外側に基板コンタクト領域121が配置されるので、素子面積が大きくなるという欠点がある。特開平5−343678号公報(特許文献1)には、その種の欠点を改善することができるLDMOS構造が開示されている。図2は、特許文献1に開示されているLDMOS構造200の一部を示す上面図である。図2に示されるように、LDMOS構造200は、X軸方向に延在するゲート電極217を有する。このゲート電極217の両側には、ソース領域220Sとドレイン領域220Dとがそれぞれ形成されており、ドレイン領域220Dとゲート電極217との間には、延長ドレイン領域211が形成されている。ソース領域220Sと基板コンタクト領域221とは、ゲート電極217の延在方向(X軸方向)に沿って交互に配置されているので、素子面積(Y軸方向の寸法)を小さくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−343678号公報(図1,段落0005など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のLDMOS構造200では、基板コンタクト領域221用のイオン注入マスクの位置合わせ(アラインメント)にズレが生じて基板コンタクト領域221の位置ズレが生じた場合に、実効チャネル幅が小さくなり、電流駆動能力が低下するという問題がある。
【0007】
上記に鑑みて本発明の目的は、十分な実効チャネル幅を確保することができ、しかも素子面積を小さくすることができる半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様による半導体装置は、半導体基板の主面上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成され前記主面に沿って延在するゲート電極と、前記半導体基板内で前記ゲート電極の両側のうちの一方の側に形成された第1導電型の不純物拡散領域からなるソース領域と、前記半導体基板内で前記ゲート電極の両側のうちの他方の側に形成され、前記第1導電型と同じ導電型の不純物拡散領域からなるドレイン領域と、前記半導体基板内で前記ゲート電極に対して前記ソース領域よりも外側に形成され、前記第1導電型とは異なる第2導電型の不純物拡散領域からなる基板コンタクト領域とを備え、前記ゲート電極の前記ソース領域側の端部と前記ドレイン領域側の端部とは、矩形状の端部を構成すると共に、前記半導体基板の前記主面上で前記ドレイン領域を取り囲むように形成され、前記ソース領域の前記ゲート電極側の端部は、矩形状の端部を構成すると共に、前記ゲート電極を取り囲むように形成され、前記ドレイン領域の外周端部は、前記ソース領域に対向する、直線部及び円弧部を有し、前記ソース領域の前記基板コンタクト領域側の一端部は、前記ゲート電極の延在方向に沿って配列された複数の凹状部を有し、前記ソース領域の前記ゲート電極側の他端部は、前記複数の凹状部と離間して配置され且つ前記ゲート電極の延在方向に沿って線状且つ連続的に形成されており、前記基板コンタクト領域は、前記ゲート電極の延在方向に沿って配列され前記複数の凹状部に対向する複数の対向領域を有し、前記複数の対向領域は、前記複数の凹状部内にそれぞれ配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ソース領域の他端部は、ソース領域の一端部に形成された複数の凹状部と離間して配置され、且つ、ゲート電極の延在方向に沿って線状且つ連続的に形成されているので、基板コンタクト領域の位置がゲート電極に対して離間方向または近接方向にずれたとしても、その位置ズレによりソース領域が分断されることを防止することができる。また、基板コンタクト領域を構成する対向領域は、ソース領域の凹状部内に配置されるので素子面積を小さくすることもできる。したがって、十分な実効チャネル幅を確保し、しかも素子面積を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(A),(B)は、従来のLD型MOSトランジスタ(LDMOS)の概略構成を例示する図である。
図2】特許文献1に開示されているLDMOS構造の一部を示す上面図である。
図3】本発明に係る実施の形態1の半導体装置の概略構成を示す上面図である。
図4図3に示した半導体装置の下方の一部領域を拡大して示す上面図である。
図5】(A)は、図4の半導体装置のVa−Va線における概略断面図であり、(B)は、図4の半導体装置1のVb−Vb線における概略断面図である。
図6】実施の形態1の半導体装置の第1の製造工程を概略的に示すための断面図である。
図7】実施の形態1の半導体装置の第2の製造工程を概略的に示すための断面図である。
図8】実施の形態1の半導体装置の第3の製造工程を概略的に示すための断面図である。
図9】実施の形態1の半導体装置の第4の製造工程を概略的に示すための断面図である。
図10】実施の形態1の半導体装置の第5の製造工程を概略的に示すための断面図である。
図11】実施の形態1の半導体装置の第6の製造工程を概略的に示すための断面図である。
図12】実施の形態1の半導体装置の第7の製造工程を概略的に示すための断面図である。
図13】実施の形態1の半導体装置の第8の製造工程を概略的に示すための断面図である。
図14】実施の形態1の半導体装置の第9の製造工程を概略的に示すための断面図である。
図15】実施の形態1の半導体装置の第10の製造工程を概略的に示すための断面図である。
図16】(A),(B)は、実施の形態1の基板コンタクト領域の位置がゲート構造に対して近接方向及び離間方向にそれぞれシフトした場合を示す図である。
図17図2に示した基板コンタクト領域の位置が右方にずれた場合のソース領域の配置を示す図である。
図18】実施の形態1の変形例である半導体装置の概略構成を示す上面図である。
図19】実施の形態2の半導体装置の概略構成を示す上面図である。
図20図19に示した半導体装置2の下方の一部領域を拡大して示す上面図である。
図21】(A)は、図20の半導体装置1のXXIa−XXIa線における概略断面図であり、(B)は、図20の半導体装置1のXXIb−XXIb線における概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る種々の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同一符号を付し、その詳細な説明は重複しないように適宜省略される。
【0012】
実施の形態1.
図3は、本発明に係る実施の形態1の横方向拡散型電界効果トランジスタ構造を含む半導体装置1の概略構成を示す上面図である。
【0013】
図3に示されるように、この半導体装置1は、半導体基板(図示せず)の表層部に形成されたN型不純物拡散領域からなるドレイン領域20と、このドレイン領域20の外周端部を取り囲むように半導体基板上に形成されたゲート構造16と、ドレイン領域20とゲート構造16との間に介在するフィールド絶縁膜12とを有する。ゲート構造16は、全体として矩形環状をなし、X軸方向とこれに垂直なY軸方向とにそれぞれ延在している。X軸及びY軸は、半導体基板の主面に並行であり、図3に示したZ軸は、半導体基板の主面に垂直である。
【0014】
半導体装置1は、さらに、ゲート構造16の矩形状の外周端部を取り囲むように半導体基板の表層部に形成されたN型不純物拡散領域からなるソース領域21と、このソース領域21の外周端部を取り囲むように半導体基板の表層部に形成されたP型不純物拡散領域からなる基板コンタクト領域22とを有している。
【0015】
ソース領域21の内周端部は、全体として矩形環状をなし、図3に示されるように、ゲート構造16の外周端部の延在方向に沿って線状に且つ連続的に形成されている。一方、ソース領域21の外周端部は、ゲート構造16の延在方向に沿って配列された複数の凹状部21C,…,21Cを有する。これら凹状部21C,…,21Cは、所定のピッチPc(たとえば2μm〜10μm程度)で配列されており、各凹状部21Cは、一定の幅Wc(たとえば2μm〜10μm程度)を有している。また、ソース領域21は、隣り合う凹状部21C,21Cの間に、当該ソース領域21の外周端部の一部をなす線状端21ecを有している。各線状端21ecは、図3に示されるようにゲート構造16の外周端部の延在方向(X軸方向またはY軸方向)に沿って一定幅Wcだけ延在する。
【0016】
基板コンタクト領域22は、図3に示されるように、ソース領域21の凹状部21C,…,21Cにそれぞれ対向する複数の対向領域(P型不純物拡散領域)22P,…,22Pからなる。これら対向領域22P,…,22Pは、ソース領域21の外周端部全体に亘って凹状部21C,…,21C内にそれぞれ配置され、且つ、凹状部21C,…,21Cと横方向(X軸方向とY軸方向との双方に平行な方向)にそれぞれ接合している。
【0017】
ドレイン領域20は、たとえば約100μm〜数百μmの範囲内の外径寸法を有していればよい。また、ドレイン領域20とゲート構造16との間隔は、目標耐圧に応じた値(たとえば、約10μm〜数十μmの範囲内)に設定されればよい。ドレイン領域20とゲート構造16との間隔が大きい程、ドレイン領域20とゲート構造16との間の領域の電界緩和効果が大きくなるので、目標耐圧が大きい程、その間隔を大きい値に設定することが望ましい。
【0018】
なお、ドレイン領域20、ゲート構造16、ソース領域21及び基板コンタクト領域22を上層配線群に電気的に接続させるコンタクトプラグが形成されているが、これらコンタクトプラグと上層配線群は、説明の便宜上、図示されていない。
【0019】
図4は、図3に示した半導体装置1の下方の一部領域を拡大して示す上面図であり、図5(A)は、図4の半導体装置1のVa−Va線における概略断面図であり、基板コンタクト領域22の対向領域22Pとソース領域21との双方を横断する断面を表している。また、図5(B)は、図4の半導体装置1のVb−Vb線における概略断面図であり、ソース領域21を横断する断面を表している。
【0020】
図5(A),(B)に示されるように、半導体装置1は、P型の半導体基板10内に、低濃度のN型不純物拡散領域からなるN型ウェル領域11と、このN型ウェル領域11に囲まれたN型不純物拡散領域からなる電界緩和領域13と、N型ウェル領域11に対して横方向に対向するP型拡散領域14とを有する。また、半導体装置1は、半導体基板10の主面上に形成されたゲート絶縁膜15と、このゲート絶縁膜15上に形成されたゲート構造16と、このゲート構造16の両側のうち一方の側に形成されたソース領域21と、ゲート構造16の両側のうち他方の側に形成されたドレイン領域20と、ゲート構造16に対してソース領域21よりも外側に形成された対向領域22Pとを有する。ゲート構造16とドレイン領域20との間にはフィールド絶縁膜12が介在している。ドレイン領域20、ソース領域21及び対向領域22Pは、半導体基板10の表層部(比較的浅い領域)に形成された不純物拡散領域である。また、本実施の形態では、ソース領域21と対向領域22Pとは横方向に互いに接合している。
【0021】
ゲート絶縁膜15は、たとえばシリコン酸化物などの高誘電率材料からなる薄膜である。ゲート構造16は、不純物が高濃度でドープされた多結晶シリコン材料からなるゲート電極17と、このゲート電極17の両側壁に形成された絶縁材料からなるサイドウォールスペーサ18S,18Dとで構成されている。
【0022】
ゲート電極17とドレイン領域20との間に介在するフィールド絶縁膜12は、たとえば、公知のLOCOS(Local Oxidation of Silicon)法により形成することができる。なお、フィールド絶縁膜12に代えて、半導体基板10にエッチングで形成された溝とこの溝内に埋め込まれた絶縁材料とからなるトレンチ分離構造を採用してもよい。図5(A),(B)に示されるように、ゲート電極17の一端部は、ゲート絶縁膜15上からこのフィールド絶縁膜12上に乗り上げるように延在し、ゲート電極17の下方域の電界強度を緩和させるフィールドプレートとして機能する。
【0023】
本実施の形態では、半導体基板10としてP型の単結晶シリコン基板が使用されるが、これに限定されるものではない。単結晶シリコン基板に代えて、たとえば、化合物半導体層やエピタキシャル結晶層などを含む半導体基板を使用してもよい。
【0024】
図4に示されるように、ソース領域21は、ゲート電極17の延在方向に沿って延在し、一定の幅La(たとえば、数μm〜数十μmの範囲内)を有する。このソース領域21は、ゲート電極17の延在方向に沿って周期的に配列された凹状部21C,…,21Cを有する。各凹状部21Cは、一定の幅Lc(たとえば、1μm〜十数μmの範囲内)を有し、この幅Lcは、ソース領域21の全体の幅Laよりも常に小さい。よって、凹状部21Cの一端21edとソース領域21のドレイン側端部との間に一定幅Lbの拡散領域が必ず確保されるため、ソース領域21は、ゲート電極17の延在方向において分断されることがない。したがって、半導体装置1の駆動時にソース領域21とドレイン領域20との間に形成されるチャネルの実効的な幅(実効チャネル幅)が小さくならず、電界効果トランジスタの電流駆動能力を損なわないという利点がある。
【0025】
また、図4に示されるように、各凹状部21C内に、ソース領域21とは逆の導電型(P型)の対向領域22Pが形成されている。本実施の形態では、この対向領域22Pの一端22edは、凹状部21Cの一端21edに接合している。また、対向領域22Pは、凹状部21Cの側方端21ea,21ebにそれぞれ接合する対向端22ea,22ebを有している。これら側方端21ea,21ebと対向端22ea,22ebの形状は、いずれも、ゲート電極17の延在方向に垂直な方向に延在する直線状である。このため、後述するように、基板コンタクト領域22を形成するためのイオン注入マスクの位置合わせでゲート電極17に対して離間方向または近接方向(図4の場合はY軸方向)にズレが生じても、側方端21eaと対向端22eaとは、互いに離間せず、互いの接合状態を確保することができる。同様に、側方端21ebと対向端22ebも、互いに離間せず、互いの接合状態を確保することが可能である。したがって、基板コンタクト領域22の位置ズレが生じたとしても、電界効果トランジスタの動作時のオン耐圧の低下を抑制することができる。
【0026】
次に、上記半導体装置1の製造方法について説明する。図6図15は、実施の形態1の半導体装置の製造工程の例を概略的に示すための半導体構造の断面図である。
【0027】
まず、図6に示されるように、半導体基板10としてP型のシリコン基板を用意する。次いで、この半導体基板10の主面(上面)を熱酸化して数十nm程度の厚みを持つ保護酸化膜を形成し、次いで、フォトリソグラフィ技術を用いてこの保護酸化膜上にレジストパターンを形成する。そして、このレジストパターンをマスクとして、半導体基板10の内部にリン(P)などのN型不純物を選択的にイオン注入する(たとえば、ドーズ量は1012ions/cm程度)。その後、レジストパターンと保護酸化膜とは除去される。そして、注入されたN型不純物イオンを熱処理により活性化させることで図7に示されるようなN型ウェル領域11が半導体基板10の内部に形成される。
【0028】
次に、図8に示されるようにLOCOS法によりフィールド絶縁膜12を形成する。フィールド絶縁膜12の厚みは、数百nm程度となるように制御すればよい。具体的には、図7の構造上にパッド酸化膜を成膜し、その後、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によりパッド酸化膜上にシリコン窒化膜(Si)を成膜する。次いで、半導体リソグラフィ技術を用いて当該シリコン窒化膜を選択的に除去して開口部を形成する。次いで、半導体基板(ウエハ)10を熱処理炉にて熱処理することでフィールド絶縁膜12を形成することができる。その後、たとえば、プラズマエッチングでシリコン窒化膜が除去され、フッ化水素(HF)を含む水溶液でパッド酸化膜は除去される。
【0029】
次に、フォトリソグラフィ技術を用いて、図8のフィールド絶縁膜12の直上に開口部を有するレジストパターンを形成する。続けて、このレジストパターンをマスクとしてリン(P)などのN型不純物をフィールド絶縁膜12の直下の半導体基板10内の領域に選択的にイオン注入する(たとえば、ドーズ量は1012ions/cm程度)。さらに、注入されたN型不純物イオンをアニール処理で活性化する。この結果、図9に示されるようにフィールド絶縁膜12の直下に電界緩和領域13が形成される。
【0030】
次に、図9の半導体基板10の露出面を酸素雰囲気下で熱酸化することで、図10に示されるようにゲート絶縁膜用の酸化膜15Pが形成される。酸化膜15Pの厚みは、目標耐圧に応じた厚み(たとえば、10nm〜100nmの範囲内)となるように制御すればよい。なお、本実施の形態では、酸化膜15Pとして熱酸化膜が形成されるが、これに限定されない。熱酸化膜に代えて、シリコン酸窒化膜などの高誘電率薄膜を形成してもよい。
【0031】
次に、フォトリソグラフィ技術を用いて、図10の構造上に、P型拡散領域14の形成予定領域の直上に開口部を有するレジストパターンを形成する。次に、このレジストパターンをマスクとして、ボロン(B)などのP型不純物を半導体基板10内にイオン注入する。これにより、図11に示されるようにP型拡散領域14が半導体基板10内に形成される。このP型拡散領域14は、電界効果トランジスタの閾値電圧を調整する機能を有し、チャネルストッパとしての機能も有している。
【0032】
次に、たとえば、減圧CVD(Low−Pressure Chemical Vapor Deposition)法により、図11の構造上の全面に亘って多結晶シリコンなどの導電性材料層を成膜し、この導電性材料層をフォトリソグラフィ技術とエッチング技術とを用いてパターニングする。この結果、図12に示されるようにゲート電極17が形成される。ゲート電極17の厚みは、たとえば、数百nmとなるように制御すればよい。続けて、たとえばCVD法により、図12の構造上に、シリコン酸化物などの絶縁材料からなる絶縁膜を堆積させ、この絶縁膜を異方性エッチングによりエッチバックする。この結果、ゲート電極17の両側壁に図13のサイドウォールスペーサ18S,18Dが形成される。
【0033】
次に、フォトリソグラフィ技術により、図13の構造上に、ドレイン領域20及びソース領域21用のレジストパターン35を形成する(図14)。次いで、このレジストパターン35とフィールド絶縁膜12とゲート構造16とをイオン注入マスクとして、砒素(As)などのN型不純物を半導体基板10内の比較的浅い領域にイオン注入する(たとえば、ドーズ量が1015ions/cm程度)。これにより、図14に示されるようにドレイン領域20とソース領域21とが形成される。その後、レジストパターン35は除去される。
【0034】
さらに、フォトリソグラフィ技術により、図15に示されるようにドレイン領域20及びソース領域21を被覆するレジストパターン36を形成する。次いで、このレジストパターン36をイオン注入マスクとして、ボロン(B)などのP型不純物を半導体基板10内の比較的浅い領域にイオン注入する(たとえば、ドーズ量が1015ions/cm程度)。これにより、図15に示されるように基板コンタクト領域22をなす対向領域22Pが形成される。その後、レジストパターン36は除去される。なお、ドレイン領域20、ソース領域21及び基板コンタクト領域22用に注入された不純物イオンは、熱処理で活性化される。
【0035】
以上に説明した工程により、図5(A)及び図5(B)に示した電界効果トランジスタ構造を有する半導体装置1を作製することができる。なお、図5(A)及び図5(B)の構造上に、ドレイン領域20、ゲート電極17、ソース領域21及び基板コンタクト領域22を上層配線群に電気的に接続させるコンタクトプラグ(図示せず)を形成する工程と当該上層配線群を形成する工程とが存在する。
【0036】
次に、上記実施の形態1の半導体装置1の効果について説明する。
【0037】
本実施の形態の半導体装置1では、図4に示されるように、ソース領域21の凹状部21Cの一端21edとソース領域21のドレイン側端部との間に一定幅Lbの拡散領域が必ず設けられる。このため、基板コンタクト領域22用のイオン注入マスク36(図15)あるいはソース領域21用のイオン注入マスク35(図14)のアラインメントの際に位置ズレが生じた場合でも、この位置ズレを一定幅Lbの拡散領域に吸収させることが可能である。よって、ソース領域21がゲート電極17の延在方向において分断されることを確実に回避することができる。
【0038】
図16(A),(B)は、基板コンタクト領域22の位置がゲート構造16に対して近接方向及び離間方向にそれぞれシフトした状態を示す図である。図16(A)に示されるように、基板コンタクト領域22の位置がゲート構造16に近づく方向にずれた場合でも、ソース領域21の凹状部21Cの一端21edとソース領域21のドレイン側端部との間に不純物拡散領域を確保することができ、この位置ズレによるソース領域21の分断を回避することができる。また、凹状部21Cの側方端21ea,21ebと対向領域22Pの対向端22ea,22ebとは、互いに離間せず、互いの接合状態を確保している。一方、図16(B)に示されるように、基板コンタクト領域22の位置がゲート構造16から離れる方向にずれた場合でも、凹状部21Cの側方端21ea,21ebと対向領域22Pの対向端22ea,22ebとは、互いに離間せず、互いの接合状態を確保している。
【0039】
これに対し、図17は、図2に示した特許文献1の基板コンタクト領域221の位置が右方にずれた場合のソース領域220S,…,220Sの配置を示す図である。基板コンタクト領域221の位置ズレによりソース領域220S,…,220Sが浸食されているので、ソース領域220S,…,220Sは、ゲート電極217の延在方向において完全に分断されている。よって、図17の構造では、図2の構造と比べて、実効チャネル幅が小さく、電流駆動能力が損なわれる。
【0040】
したがって、実施の形態1の半導体装置1は、基板コンタクト領域22やソース領域21の位置ズレが生じた場合でも、実効チャネル幅が小さくならず、電界効果トランジスタの電流駆動能力の劣化を抑制することができる。しかも、ソース領域21の各凹状部21C内に基板コンタクト領域22の対向領域22Pが配置されるため、素子面積を小さくすることもできる。
【0041】
また、基板コンタクト領域22やソース領域21の位置ズレが生じた場合でも、凹状部21Cの側方端21ea,21ebと対向領域22Pの対向端22ea,22ebとは、互いに離間せずに互いの接合状態を確保することができるので、当該位置ズレに起因する電界効果トランジスタのオン耐圧の低下を抑制することもできる。仮に基板コンタクト領域22とソース領域21とが互いに離間した場合には、本実施の形態のように基板コンタクト領域22とソース領域21とが接合する場合と比べて、N型ウェル領域11をコレクタとし、P型の半導体基板10をベースとし、N型のソース領域21をエミッタとする寄生NPNバイポーラトランジスタのベース抵抗(P型の対向領域22Pとベースとの間の抵抗)が増大するので、寄生NPNバイポーラトランジスタの電流増幅率hFEが高くなり、オン耐圧が低下する。これに対し、本実施の形態では、基板コンタクト領域22とソース領域21との接合状態を確保することができるので、半導体装置1の電界効果トランジスタのオン耐圧の低下を抑制することができる。
【0042】
さらに、図2に示したように、特許文献1のソース領域220Sの先端部220Se,…,220Seは鋭角をなすため、これら先端部220Se,…,220Seに電流密度の高い電流が流れると、先端部220Se,…,220Seがジュール熱で破壊される場合がある。これに対し、本実施の形態の半導体装置1では、図4に示されるように、ソース領域21の凹状部21C,21Cの間に配置される線状端21ecは、ゲート電極17の延在方向に平行な形を有するので、線状端21ec付近の部分がジュール熱で破壊されることを回避することができる。
【0043】
なお、本実施の形態では、図3に示したように対向領域22P,…,22Pは、ゲート構造16の延在方向において互いに電気的に分離されているが、これに限定されるものではない。対向領域22P,…,22Pを電気的に接続する導電性領域を設けてもよい。図18は、実施の形態1の変形例である半導体装置1Mの概略構成を示す上面図である。図18に示されるように、本変形例の基板コンタクト領域22Mは、図3の半導体装置1の基板コンタクト領域22と同様にソース領域21の外周端部全体を取り囲むように配列された対向領域22P,…,22Pを有し、さらに、これら対向領域22P,…,22Pを電気的に接続する外周縁領域22Lを有している。これにより、基板コンタクト領域22M全体の電位を安定化させることができる。
【0044】
実施の形態2.
次に、本発明に係る実施の形態2について説明する。図19は、実施の形態2の横方向拡散型電界効果トランジスタ構造を含む半導体装置2の概略構成を示す上面図である。
【0045】
図19に示されるように、この半導体装置2は、上記実施の形態1の半導体装置1と同様に、N型不純物拡散領域からなるドレイン領域20と、このドレイン領域20の外周端部を取り囲むように半導体基板上に形成されたゲート構造16と、このゲート構造16とドレイン領域20との間に介在するフィールド絶縁膜12と、ゲート構造16の矩形状の外周端部を取り囲むように形成されたN型不純物拡散領域からなるソース領域21とを有している。
【0046】
また、半導体装置2は、ソース領域21の外周端部全体を取り囲むP型不純物拡散領域からなる基板コンタクト領域23を有している。基板コンタクト領域23とソース領域21との間にはフィールド絶縁膜12Pが介在している。このフィールド絶縁膜12Pは、内周側のフィールド絶縁膜12と同一工程で同時に形成される。基板コンタクト領域23は、ソース領域21の外周端部と離間して配置された対向領域23P,…,23Pを有し、さらに、これら対向領域23P,…,23Pの全てを電気的に接続する外周縁領域23Lを有している。対向領域23P,…,23Pは、ソース領域21の凹状部21C,…,21Cにそれぞれ対向し、凹状部21C,…,21C内に配置されているが、フィールド絶縁膜12Pの存在により、ソース領域21の外周端部とは接合せずに離間している。
【0047】
図20は、図19に示した半導体装置2の下方の一部領域を拡大して示す上面図である。図21(A)は、図20の半導体装置1のXXIa−XXIa線における概略断面図であり、基板コンタクト領域23の対向領域23P及び外周縁領域23Lとソース領域21との全てを横断する断面を表している。また、図21(B)は、図20の半導体装置1のXXIb−XXIb線における概略断面図であり、ソース領域21と外周縁領域23Lとを横断する断面を表している。本実施の形態の半導体装置2の製造工程は、基板コンタクト領域22の形成領域と基板コンタクト領域23の形成領域とが互いに異なる点と、フィールド絶縁膜12Pが形成される点とを除いて、実施の形態1の半導体装置1の製造工程とほぼ同じである。
【0048】
図20及び図21(A),(B)に示されるように、ソース領域21と基板コンタクト領域23とは一定のギャップ幅Gpで互いに離間している。上記実施の形態1の半導体装置1の電界効果トランジスタ構造は、ソース領域21と基板コンタクト領域22とを同一電位にして使用するのに適した構造であるのに対し、本実施の形態の半導体装置2の電界効果トランジスタ構造は、ソース領域21と基板コンタクト領域23とに互いに異なる電圧を印加して使用するのに適した構造である。
【0049】
実施の形態2の半導体装置2では、ソース領域21の凹状部21C,21C間の凸状部と対向領域23Pとがゲート電極17の延在方向に沿って交互に配列されており、各凹状部21C内に対向領域23Pが配置されている。このため、素子面積を小さくすることができる。
【0050】
さらに、基板コンタクト領域23の一部すなわち対向領域23Pがソース領域21の方向に突出しているため、基板コンタクト領域23と半導体基板10内のP型領域との接触面積を広くすることができる。よって、仮に基板コンタクト領域23の一部がソース領域21の方向に突出しない構成(対向領域23Pが存在しない構成)と比べると、本実施の形態の構成は、N型ウェル領域11をコレクタとし、半導体基板10内のP型領域をベースとし、N型のソース領域21をエミッタとする寄生NPNバイポーラトランジスタのベース抵抗(P型の対向領域23Pとベースとの間の抵抗)を低くすることができるので、寄生NPNバイポーラトランジスタの電流増幅率hFEを低くすることができる。したがって、半導体装置2のオン耐圧を向上させることができる。
【0051】
実施の形態1,2の変形例.
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な形態を採用することもできる。たとえば、上記半導体装置1,1M,2は、いずれも、Nチャネル型の電界効果トランジスタ構造を有するものであったが、これに限定されるものではない。半導体装置1,1M,2を構成する不純物拡散領域の導電型を逆の導電型にすることでPチャネル型の電界効果トランジスタ構造を構成することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1,1M,2 半導体装置、 10 半導体基板、 11 N型ウェル領域、 12 フィールド絶縁膜、 13 電界緩和領域、 14 P型拡散領域、 15 ゲート絶縁膜、 16 ゲート構造、 17 ゲート電極、 18S,18D サイドウォールスペーサ、 20 ドレイン領域、 21 ソース領域、 21C 凹状部、 21ec 線状端、 21ea,21eb 側方端、 22,23 基板コンタクト領域、 22P,23P 対向領域、 22ea,22eb,23ea,23eb 対向端、 22L,23L 外周縁領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
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