(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960850
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】ステップユニットセルを含む段差を有する電極組立体
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0585 20100101AFI20160719BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20160719BHJP
H01M 4/02 20060101ALI20160719BHJP
H01M 10/0565 20100101ALI20160719BHJP
H01M 2/02 20060101ALI20160719BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20160719BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/04 Z
H01M4/02 Z
H01M10/0565
H01M2/02 K
H01M10/052
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-560875(P2014-560875)
(86)(22)【出願日】2014年2月6日
(65)【公表番号】特表2015-513196(P2015-513196A)
(43)【公表日】2015年4月30日
(86)【国際出願番号】KR2014001004
(87)【国際公開番号】WO2014123363
(87)【国際公開日】20140814
【審査請求日】2014年8月29日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0014717
(32)【優先日】2013年2月8日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】スン−ジン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】ドン−ミュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】キ−ウン・キム
(72)【発明者】
【氏名】スン−ホ・アン
【審査官】
結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−167743(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/009423(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/094286(WO,A2)
【文献】
特表2003−523060(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/126310(WO,A2)
【文献】
特開2001−023615(JP,A)
【文献】
特開2013−030362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 10/05−10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに同一面積を有し、少なくとも一つの正極と少なくとも一つの負極が平面に対して垂直な方向に分離膜を境界として交互に積層され、最外郭電極の同一の極性の電極で構成されるバイセル構造である第1ユニットセルを一つまたは二つ以上含む第1電極積層体、及び少なくとも一つの正極と少なくとも一つの負極が平面に対して垂直な方向に分離膜を境界として交互に積層され、前記第1電極積層体の一面に分離膜を境界として積層された第2ユニットセルを含み、
前記第2ユニットセルは、前記第1電極積層体の電極面積と同一の第1面積電極及び第1電極積層体の電極面積より小さい面積の第2面積電極からなり、前記第1及び第2面積電極間の面積差によって段差を有するステップユニットセルであって、スタック・アンド・フォールディング型に組み立てられ、
前記ステップユニットセルは、両面に正極が配置され、中間に負極が配置されたA型ステップバイセル、または両面に負極が配置され、中間に正極が配置されたC型ステップバイセルである、電極組立体。
【請求項2】
前記ステップユニットセルは、第1面積電極及び第2面積電極が対面する電極のうち大面積の電極が負極である、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項3】
前記電極組立体は前記ステップユニットセルの表面の第2面積電極上に分離膜を境界として第2電極積層体が積層され、前記第2電極積層体は互いに同一面積を有し、前記第2面積電極と同一面積を有する電極からなり、前記第2面積電極と前記第2電極積層体は異なる極性の電極が対面する、請求項2に記載の電極組立体。
【請求項4】
前記電極組立体は前記ステップユニットセルの表面の第2面積電極上に分離膜を境界として第2電極積層体が積層され、前記第2電極積層体は互いに同一面積を有し、前記第2面積電極より小さい面積を有する電極からなり、前記第2面積電極と前記第2電極積層体は異なる極性の電極が対面する、請求項2に記載の電極組立体。
【請求項5】
前記第2面積電極と第2電極積層体のうち大面積の電極は負極である、請求項4に記載の電極組立体。
【請求項6】
前記電極組立体は前記ステップユニットセルの表面の第2面積電極上に分離膜を境界として第2ステップユニットセルが積層され、前記第2ステップユニットセルは前記ステップユニットセルの表面の前記第2面積電極と面積が同一で、極性の異なる電極が対面するように積層された、請求項2に記載の電極組立体。
【請求項7】
前記第2ステップユニットセルは、大面積の電極が負極である、請求項6に記載の電極組立体。
【請求項8】
前記電極組立体は前記ステップユニットセルの表面の第2面積電極上に分離膜を境界として第2ステップユニットセルが積層され、前記第2ステップユニットセルは前記ステップユニットセルの表面の前記第2面積電極より小さい面積を有し、極性の異なる電極が対面するように積層された、請求項2に記載の電極組立体。
【請求項9】
前記第2面積電極と対面する第2ステップユニットセル及び前記第2面積電極のうち大面積の電極、及び前記第2ステップユニットセルの大面積の電極は負極である、請求項8に記載の電極組立体。
【請求項10】
前記電極組立体は、両面の最外郭電極がそれぞれ独立して負極または正極である、請求項1から9の何れか1項に記載の電極組立体。
【請求項11】
前記最外郭電極の少なくとも一つは、片面コーティング電極である、請求項10に記載の電極組立体。
【請求項12】
請求項1から9の何れか1項に記載の電極組立体を含む、二次電池。
【請求項13】
前記電極組立体は電池ケースに内蔵されている、請求項12に記載の二次電池。
【請求項14】
前記電池ケースはパウチ型ケースである、請求項13に記載の二次電池。
【請求項15】
前記二次電池は、リチウムイオン二次電池またはリチウムイオンポリマー二次電池である、請求項12に記載の二次電池。
【請求項16】
請求項12に記載の二次電池を二つ以上含む、電池パック。
【請求項17】
請求項12に記載の二次電池を一つ以上含む、デバイス。
【請求項18】
前記デバイスは、携帯電話、携帯用コンピュータ、スマートフォン、スマートパッド、ネットブック、LEV、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、または電力貯蔵装置である、請求項17に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段差を有する電極組立体に関するもので、より具体的には、電極組立体の厚さ方向にデザイン自由度の高い電極組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電極組立体は、両面に同一の電極が配置され、上記同一の電極の間に極性の異なる電極が配置されたC型バイセルまたはA型バイセルを複数個積層して組み立てていた。
【0003】
特に、
図1に示したような段差を有する電極組立体1を組み立てるにおいて、例えば、
図2に示したような同一面積を有するA型バイセル13及びC型バイセル11を複数個交互に積層して第1電極積層体を組み立て、上記第1電極積層体上に上記第1電極積層体を構成する電極の面積より小さく、且つ同一面積を有するバイセルを積層して第2電極積層体を積層することにより、
図1に示したように、平面に対して垂直な方向に向かうほど、面積が小さくなる形状の段差を有する電極組立体1を組み立ててきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近、新しい形態のデバイスが出ており、また、デバイスのデザインが多様化するにつれて新しい形態のバッテリーのデザインが求められている。これにより、多様なニーズに符合するバッテリーのデザインを具現する必要性が増大している。
【0005】
そこで、本発明は、従来のバイセルを使用して組み立てられた電極組立体に比べて、厚さ方向への形状自由度が改善された電極組立体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電極組立体の厚さ方向への形状自由度が改善された電極組立体を提供するためのものであり、本発明は、互いに同一面積を有し、少なくとも一つの正極と少なくとも一つの負極が平面に対して垂直な方向に分離膜を境界として交互に積層された第1ユニットセルを一つまたは二つ以上含む第1電極積層体、及び少なくとも一つの正極と少なくとも一つの負極が平面に対して垂直な方向に分離膜を境界として交互に積層され、上記第1電極積層体の一面に分離膜を境界として積層された第2ユニットセルを含み、上記第2ユニットセルは、上記第1電極積層体の電極面積と同一の第1面積電極及び第1電極積層体の電極面積と異なる第2面積電極からなり、上記第1及び第2面積電極間の面積差によって段差を有するステップユニットセルである、段差を有する電極組立体を提供する。
【0007】
上記ステップユニットセルは、第1面積電極及び第2面積電極が対面する電極のうち大面積の電極が負極であることが好ましい。
【0008】
上記ステップユニットセルは、両面に正極が配置され、中間に負極が配置されたA型ステップバイセル、または両面に負極が配置され、中間に正極が配置されたC型ステップバイセルであってもよく、上記ステップユニットセルは、スタック型またはスタック・アンド・フォールディング型に組み立てられてもよい。
【0009】
上記電極組立体は上記ステップユニットセルの表面の第2面積電極上に分離膜を境界として第2電極積層体が積層され、上記第2電極積層体は互いに同一面積を有し、上記第2面積電極と同一面積を有する電極からなり、上記第2面積電極と上記第2電極積層体は異なる極性の電極が対面するものであってもよい。
【0010】
上記電極組立体は上記ステップユニットセルの表面の第2面積電極上に分離膜を境界として第2電極積層体が積層され、上記第2電極積層体は互いに同一面積を有し、上記第2面積電極とは面積が異なる電極からなり、上記第2面積電極と上記第2電極積層体は異なる極性の電極が対面するものであってもよく、ここで、上記第2面積電極と第2電極積層体のうち大面積の電極は負極であることが好ましい。
【0011】
上記電極組立体は上記ステップユニットセルの表面の第2面積電極上に分離膜を境界として第2ステップユニットセルが積層され、上記第2ステップユニットセルは上記ステップユニットセルの表面の上記第2面積電極と面積が同一で、極性の異なる電極が対面するように積層されたものであってもよく、ここで、上記第2ステップユニットセルは、大面積の電極が負極であることが好ましい。
【0012】
また、上記電極組立体は上記ステップユニットセルの表面の第2面積電極上に分離膜を境界として第2ステップユニットセルが積層され、上記第2ステップユニットセルは上記ステップユニットセルの表面の上記第2面積電極と面積が異なり、極性の異なる電極が対面するように積層されたものであってもよく、ここで、上記第2面積電極と対面する第2ステップユニットセル及び上記第2面積電極のうち大面積の電極、及び上記第2ステップユニットセルの大面積の電極は負極であることが好ましい。
【0013】
一方、上記電極組立体は、スタック型またはスタック・アンド・フォールディング型に組み立てられたものであってもよい。また、上記電極組立体は、両面の最外郭電極がそれぞれ独立して負極または正極であってもよく、ここで、上記最外郭電極の少なくとも一つは片面コーティング電極であってもよい。
【0014】
また、本発明は、上記のような電極組立体を含む二次電池を提供する。上記電極組立体は電池ケースに内蔵されていてもよく、ここで、上記電池ケースはパウチ型ケースであってもよい。また、上記二次電池は、リチウムイオン二次電池またはリチウムイオンポリマー二次電池であってもよい。
【0015】
さらに、本発明は、上記二次電池を二つ以上含む電池パックを提供する。
【0016】
一方、本発明は、上記二次電池を一つ以上含むデバイスを提供し、上記デバイスは、携帯電話、携帯用コンピュータ、スマートフォン、スマートパッド、ネットブック、LEV、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、または電力貯蔵装置であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、段差を有する電極組立体を提供するにおいて、ユニットセル自体に段差が形成されたステップバイセルを使用することで、厚さ方向への形状自由度を向上させることができる。
【0018】
特に、バイセルを使用して段差を有する電極組立体を組み立てるとき、大面積の電極及び最外郭の電極が負極となるように配置するために偶数個のバイセルを使用しなければならないという制約を解消することができるため、厚さ方向への形状自由度を大幅に向上させることができる。
【0019】
また、形状自由度を向上させるためにモノセルを使用する必要が減少するため、ユニットセルのフィーディング工程中のグリッピング過程において、モノセル使用時にきたすユニットセル曲げによる工程不良を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】段差を有する電極組立体を概略的に示した斜視図である。
【
図2】電極組立体を組み立てる際に使用される一般的なバイセルを概略的に示した斜視図であり、(a)はA型バイセルで、(b)はC型バイセルである。
【
図3】
図2に示した一般的なバイセルを使用して組み立てた電極組立体の断面構造を概略的に示した断面図である。
【
図4】電極組立体の組み立てに使用されるモノセルを概略的に示した斜視図である。
【
図5】厚さ方向への形状自由度が改善された比較例であり、
図2のバイセル及び
図4のモノセルを使用して組み立てた電極組立体の断面を概略的に示した断面図である。
【
図6】本発明による電極組立体の組み立てに使用されるステップバイセルを概略的に示した斜視図であり、(a)はA型ステップバイセルで、(b)はC型ステップバイセルである。
【
図7】本発明による電極組立体の組み立てに使用されるステップバイセルの断面を概略的に示した断面図であり、(a)はA型ステップバイセルで、(b)はC型ステップバイセルである。
【
図8】本発明のステップバイセルを使用して組み立てた電極組立体の断面を概略的に示した断面図である。
【
図9】フィーディング工程中のバイセル及びモノセルのグリッピングによる曲げ形状を概略的に示した概念図であり、(a)及び(b)は、それぞれバイセルをフィーディングした場合及びモノセルをフィーディングした場合の曲げ形状である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
通常、段差を有する電極組立体は、両面に同一の電極が配置され、上記同一の電極の間に極性の異なる電極が配置されたC型バイセルまたはA型バイセルを複数個積層して組み立てている。
【0022】
このとき、例えば、大面積の第1電極積層体、中面積の第2電極積層体及び小面積の第3電極積層体からなる段差を有する電極組立体を組み立てるときには、
図3に示したように、上記第1電極積層体41と第2電極積層体43、及び第2電極積層体43と第3電極積層体45が相互対面することで、段差を形成する。さらに、上記段差が形成される境界面では、相対的に大面積の電極である第1電極積層体41及び第2電極積層体43の電極を負極5として配置し、相対的に小面積の電極である第2電極積層体43及び第3電極積層体45の電極を正極3として配置して、異なる極性の電極が対面するように組み立てている。
【0023】
これにより、
図3に示したように、最下段である第1電極積層体41上に積層される第2層以上の電極積層体43、45は、必然的に偶数個(2×n、nは1以上の整数)のバイセル11、13が積層されなければならないという制限があった。従って、デバイスの形状によって、最下段の電極積層体上に積層される第2層以上の電極積層体43、45を偶数個のバイセル11、13を使用して形成できない場合には適切に対応できないという限界があった。
【0024】
本発明者らは、厚さ方向への形状自由度を有する電極組立体を提供するために研究を重ねた結果、バイセルを使用して電極組立体を組み立てるとき、段差が形成されたバイセルを使用することで、平面に対して垂直な方向に多様な厚さを有する電極組立体をより容易に形成することができ、デバイスが求めるように、厚さ方向への形状自由度を向上させることができることを見出し、本発明を完成した。
【0025】
本発明で提供する電極組立体は、少なくとも一つの正極と少なくとも一つの負極が平面に対して垂直な方向に分離膜を境界として交互に積層されたユニットセルを一つまたは二つ以上含む電極組立体であって、
図1に示したような段差を有する電極組立体を提供し、特に、厚さ方向への形状自由度が改善された電極組立体を提供する。
【0026】
本発明の段差を有する電極組立体は、ユニットセルを積層することで形成することができる。上記ユニットセルは、少なくとも一つの負極と少なくとも一つの正極が分離膜を境界として交互に積層されたものであり、このようなユニットセルを複数個積層することにより、電極組立体が得られる。
【0027】
本発明で用いるユニットセルは、特に限定しないが、
図2に示したように、両面に正極3が配置され、中間に負極5が配置されたA型バイセル13、または両面に負極5が配置され、中間に正極3が配置されたC型バイセル11を使用してもよい。また、
図4に示したように、一つの負極5と1つの正極3が分離膜7により積層されたモノセル15を使用してもよい。
【0028】
ユニットセルの積層工程中の工程不良を解消するためには、バイセルを使用することがより好ましい。即ち、上記モノセルは分離膜を境界として1つの負極と1つの正極で構成されるが、バイセルは3つの電極と2つの分離膜で構成されているため、剛性(stiffness)が高い。これにより、
図9に示したように、モノセルを使用する場合には、電極組立体を製造するための組み立て工程のうち、ユニットセルの積層または配列のためにユニットセルをグリッピングして供給するフィーディング工程でユニットセルが曲がって工程不良を引き起こす恐れがある。従って、モノセルより剛性の高いバイセルを使用することが工程不良を解消するのに好ましい。
【0029】
本発明の電極組立体は、上記のようなユニットセルを使用することにより、平面に対して垂直な方向に正極と負極が分離膜を境界として交互に積層されて形成され、段差を有する。上記段差は異なる面積を有する2種類以上の電極を使用することで、各電極間の面積差によって2つの層が提供されて形成される。このとき、本発明の段差は、第1電極積層体上に第1面積を有する少なくとも一つの第1面積電極と、上記第1面積電極上に上記第1面積と異なる面積を有する第2面積を有する少なくとも一つの第2面積電極からなるステップユニットセルを使用することで、2つの層または3つの層を形成することができる。
【0030】
本発明で使用されるステップユニットセルとしては、ステップバイセルが挙げられ、その例を
図6及び
図7に示した。
図6は本発明のステップバイセルの斜視図で、
図7は上記ステップバイセルの断面を示したものであり、
図6及び
図7において、(a)は両面に正極3が配置され、中間に負極5が配置されたA型ステップバイセル23で、(b)は両面に負極5が配置され、中間に正極3が配置されたC型ステップバイセル21である。
【0031】
一方、
図6及び
図7には、負極5が大面積の電極として配置され、上記大面積の負極5上に面積の小さい正極3が配置されて段差を形成する形態のステップバイセルが示されている。このように上記ステップユニットセルにおいて段差が形成される境界面では、大面積の電極が負極となるように配置されることが好ましい。このように、負極が大面積の電極として配置されることで、電池の充放電時に正極活物質からリチウムが析出されることが防止でき、リチウム析出による電池安全性の問題を防止することができるため、好ましい。
【0032】
本発明において、上記ステップユニットセルは、上記のようにステップバイセルであっても、ステップモノセルであってもよい。しかし、上記したように、フィーディング工程中の不良を解消する側面から、上記ステップユニットセルとしてバイセルを使用することがより好ましい。
【0033】
図4のような従来のステップを有さない通常のモノセル15を使用する場合には、
図5に示したような形態の電極組立体1を得ることができ、この場合、
図3のA型及びB型バイセル11及び13を使用して組み立てた電極組立体1に比べて、形状自由度を高めることができる。しかし、本発明に従って、
図6及び
図7に示したようなステップバイセル31、33を使用して電極組立体1を製造すると、例えば、
図8に示したような電極組立体1を得ることができる。
図5及び
図8の電極組立体を比較すると、本発明によるステップバイセルを使用して組み立てた電極組立体は、モノセルを使用して得られた電極組立体に比べて厚さ方向に積層された電極の数を減らすことができ、形状自由度をより向上させることができる。
【0034】
相対的に大面積である第1面積電極と相対的に小面積である第2面積電極からなる本発明のステップユニットセルは、上記第1面積電極または第2面積電極が第1電極積層体と対面することができ、上記第1面積電極または第2面積電極の面積は、対面する第1電極積層体の電極の面積と同一であってもよい。また、上記第1面積電極は、より大きい面積の電極からなる電極積層体と対面して1つの段差を形成してもよく、上記第2面積電極は、より小さい面積の電極からなる電極積層体と対面して1つの段差を形成してもよい。
【0035】
例えば、相対的に大面積の正極と負極、及び相対的に小面積の正極からなる第1ステップバイセルにおいて、大面積の電極面は上記大面積の電極と同一面積を有する第1電極積層体と対面して積層されてもよい。これにより、水平に対して高さ方向に積層されるにおいて、面積が徐々に減少する形態の2つの層が形成され、一つの段差を形成することができる。
【0036】
また、上記第1ステップバイセルの小面積の電極面は、小面積の電極と同一面積を有する第2電極積層体が対面して積層されてもよく、第1ステップバイセルの小面積の電極と同一面積の電極を大面積の電極とする第2ステップバイセルが積層されてもよい。こうすることで、水平に対して高さ方向に積層されるにおいて、面積が徐々に増大する形態の2つの層を形成することができ、これにより、一つの段差を有する電極組立体を得ることができる。
【0037】
一方、第1電極積層体と対面するステップユニットセルの大面積の電極は、上記第1電極積層体の電極面積より小さいか、大きくてもよい。例えば、上記第1電極積層体の電極面積より小さい面積を有する電極が、ステップユニットセルの大面積の電極となって上記第1電極積層体と対面することができる。また、上記ステップユニットセルの小面積の電極面上に、これより小さい面積を有する電極積層体を積層してもよい。こうすることで、第1電極積層体の電極とステップユニットセルの間にも段差が形成されて、水平に対して高さ方向に面積が次第に増大または減少する形態の3つの層が形成されて、2つの段差を有する電極積層体を得ることができる。
【0038】
このときにも、上記したように、ステップユニットセルにおいて段差が形成される境界面には、大面積の電極として負極が配置されることが好ましく、また、同様に、上記第1電極積層体の電極とステップユニットセルの間に段差が形成される境界面においても、大面積の電極として負極が配置されることが好ましい。
【0039】
上記第1電極積層体とステップユニットセルは、互いに異なる極性の電極が対面するように積層されることが好ましい。このように、正極と負極を交互に配置することで、電極組立体の全領域にわたって電池反応を起こすことができるため、電池容量の増大に寄与することができる。
【0040】
本発明の好ましい電極組立体は、具体的には、例えば、上記第1電極積層体上に大面積の第1面積電極及び小面積の第2面積電極からなる第1ステップユニットセルが積層され、上記第1ステップユニットセルの第2面積電極上に分離膜を境界として同一面積の電極が積層された第2電極積層体が積層されてもよい。このとき、上記第1ステップユニットセルの表面電極と第2電極積層体は、異なる極性の電極が対面するように積層され、上記第2電極積層体を構成する電極は、上記第2面積電極と同一面積を有する電極であっても、異なる面積を有する電極であってもよい。上記第2電極積層体が、上記第1ステップユニットセルの表面の第2面積電極と異なる面積を有する電極からなる場合には、上記第1ステップユニットセルと第2電極積層体が対面して段差を形成する境界面では、大面積の電極が負極であることが好ましい。
【0041】
これにより、第1電極積層体と第1ステップバイセルの第1面積(大面積)電極による第1層、第1ステップユニットセルの第2面積(小面積)電極と第2電極積層体による第2層を有する電極組立体、または第1電極積層体と第1ステップユニットセルの第1面積電極による第1層、第1ステップユニットセルの第2面積電極による第2層、及び上記第2面積電極より小さい面積の電極からなる第2電極積層体による第3層を有する電極組立体を得ることができる。
【0042】
また、本発明の電極積層体は、上記第1ステップユニットセルの表面の第2面積電極上に分離膜を境界として第2ステップユニットセルが積層されてもよい。このとき、上記第2ステップユニットセルは、大面積の電極が負極であることが好ましく、上記第1ステップユニットセルと上記第2ステップユニットセルは、異なる極性の電極が対面するように積層されることが好ましい。また、上記第1ステップユニットセルの表面の上記第2面積電極と対面する第2ステップユニットセルの電極は、面積が同一又は異なってもよい。この場合、上記第1ステップユニットセルの第2面積電極と第2ステップユニットセルの第1面積電極の面積を異ならせることで第1ステップユニットセルと第2ステップユニットセルの間に段差を形成する場合にも、段差が形成される境界面では、大面積の電極が負極であることが好ましい。
【0043】
これにより、第1電極積層体と第1ステップユニットセルの第1面積電極による第1層、第1ステップユニットセルの第2面積電極と第2ステップユニットセルの第1面積電極による第2層及び第2ステップユニットセルの第2面積電極による第3層を有する電極組立体、または第1電極積層体と第1ステップユニットセルの第1面積電極による第1層、第1ステップユニットセルの第2面積電極による第2層、第2ステップユニットセルの第1面積電極による第3層及び第2ステップユニットセルの第2面積電極による第4層を有する電極組立体を形成することができる。
【0044】
本発明による電極組立体の一例を
図8に概略的に示した。
図8には、第1電極積層体41上に第1ステップユニットセル31を積層し、上記第1ステップユニットセル31上に第2ステップユニットセル33を積層することにより、水平面に対して高さ方向に次第に小さくなり、2つの段差を有する電極組立体1が示されている。このとき、上記第1電極積層体41は、同一面積を有する負極5と正極3が分離膜7を境界として複数個交互に積層されたものである。
【0045】
上記第1ステップユニットセル31及び第2ステップユニットセル33は、それぞれA型ステップバイセル23とC型ステップバイセル21が積層されて正極と負極が交互に配置されたものであり、ここで、各ステップバイセルは、大面積の電極が小面積の電極と対面するにおいて、負極が大面積の電極となって正極の小面積の電極と対面している。
【0046】
本発明の電極組立体を上記のように例を挙げて説明したが、これに限定せず、第1電極積層体、ステップユニットセル、第2電極積層体、第2ステップユニットセルは、様々な組み合わせで組み立てられて多様な形態の電極組立体を有することができる。
【0047】
本発明において、各電極積層体を組み立てるのに使用されるユニットセルは、スタック型またはスタック・アンド・フォールディング型(ワインディング型、Zフォールディング型)であってもよく、これらのうち何れか一つまたはこれらを組み合わせて使用してもよいが、特に限定しない。また、本発明の電極組立体は、それぞれのユニットセルをスタック型またはスタック・アンド・フォールディング型に積層して組み立てることができ、これらのうち何れか一つまたはこれらを組み合わせて使用してもよいが、特に限定しない。
【0048】
本発明により提供される電極組立体は、両面の最外郭電極が負極または正極であってもよく、また、一面が負極であり、他面が正極であってもよい。さらに、上記電極組立体の最外郭電極は、集電体の一面だけに電極活物質が塗布されて、他面には電極活物質が塗布されない片面電極であってもよい。従って、電極組立体の最外郭電極は、電極活物質が塗布された面は隣接する異なる極性と対面するように配置して電池の充放電反応に関与するようにし、電池反応が起きない最外郭面である電極活物質が塗布されない無地部が電極組立体の外側を向くように配置することができる。
【0049】
特に、正極が最外郭電極として配置される場合には、このような片面正極を使用することで、電池反応中のリチウム析出を防止して電池の安全性を図ることができるため、好ましい。また、負極が最外郭電極として配置される場合にも、片面負極を使用することができ、これにより、負極活物質を一面に塗布しないため負極活物質の使用量を減らすことができ、コストの削減を図ることができる。また、負極活物質の塗布による厚さ分だけ電極組立体の厚さを低減させることができ、厚さ方向への形状自由度の向上に寄与することができる。
【0050】
本発明で提供する電極組立体を使用することで、リチウムイオン二次電池またはリチウムイオンポリマー二次電池の電池セルを製造することができる。このとき、上記電極組立体は、電池ケースに内蔵されてもよく、上記電池ケースはパウチ型であってもよい。
【0051】
さらに、本発明の電極組立体を含む電池セルを二つ以上含む電池パックを得ることができ、また、上記電池セルを一つ以上含むデバイスを得ることができる。上記デバイスは、携帯電話、携帯用コンピュータ、スマートフォン、スマートパッド、ネットブック、LEV(Light Electric Vehicle)、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、または電力貯蔵装置であってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 電極組立体
3 正極
5 負極
7 分離膜
11 C型バイセル
13 A型バイセル
15 モノセル
21 C型ステップバイセル
23 A型ステップバイセル
31 第1ステップユニットセル(第1ステップバイセル)
33 第2ステップユニットセル(第2ステップバイセル)
41 第1電極積層体
43 第2電極積層体
45 第3電極積層体
51 第1層
53 第2層
55 第3層