(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記タッチローラーと前記捲回補助ローラーとの間の距離を複数から選択可能なように設けられた、前記捲回補助ローラーを取り付けるためのローラー取付部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のスリット装置。
前記捲回補助ローラーから搬送された前記セパレータは、前記捲回面より先に前記タッチローラーに接することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載のスリット装置。
前記捲回補助ローラーは、前記タッチローラーと前記捲回補助ローラーとの間の距離を複数から選択可能なように設けられたローラー取付部に取り付けられていることを特徴とする請求項11又は12に記載のセパレータ捲回体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔基本構成〕
リチウムイオン二次電池、セパレータ、耐熱セパレータ、耐熱セパレータの製造方法、スリット装置、切断装置について順に説明する。
【0018】
(リチウムイオン二次電池)
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解液二次電池は、エネルギー密度が高く、それゆえ、現在、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末等の機器、自動車、航空機等の移動体に用いる電池として、また、電力の安定供給に資する定置用電池として広く使用されている。
【0019】
図1は、リチウムイオン二次電池1の断面構成を示す模式図である。
【0020】
図1に示されるように、リチウムイオン二次電池1は、カソード11と、セパレータ12と、アノード13とを備える。リチウムイオン二次電池1の外部において、カソード11とアノード13との間に、外部機器2が接続される。そして、リチウムイオン二次電池1の充電時には方向Aへ、放電時には方向Bへ、電子が移動する。
【0021】
(セパレータ)
セパレータ12は、リチウムイオン二次電池1の正極であるカソード11と、その負極であるアノード13との間に、これらに挟持されるように配置される。セパレータ12は、カソード11とアノード13との間を分離しつつ、これらの間におけるリチウムイオンの移動を可能にする多孔質フィルムである。セパレータ12は、その材料として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを含む。
【0022】
図2は、
図1に示されるリチウムイオン二次電池1の詳細構成を示す模式図であって、(a)は通常の構成を示し、(b)はリチウムイオン二次電池1が昇温したときの様子を示し、(c)はリチウムイオン二次電池1が急激に昇温したときの様子を示す。
【0023】
図2の(a)に示されるように、セパレータ12には、多数の孔Pが設けられている。通常、リチウムイオン二次電池1のリチウムイオン3は、孔Pを介し往来できる。
【0024】
ここで、例えば、リチウムイオン二次電池1の過充電、または、外部機器の短絡に起因する大電流等により、リチウムイオン二次電池1は、昇温することがある。この場合、
図2の(b)に示されるように、セパレータ12が融解または柔軟化し、孔Pが閉塞する。そして、セパレータ12は収縮する。これにより、リチウムイオン3の移動が停止するため、上述の昇温も停止する。
【0025】
しかし、リチウムイオン二次電池1が急激に昇温する場合、セパレータ12は、急激に収縮する。この場合、
図2の(c)に示されるように、セパレータ12は、破壊されることがある。そして、リチウムイオン3が、破壊されたセパレータ12から漏れ出すため、リチウムイオン3の移動は停止しない。ゆえに、昇温は継続する。
【0026】
(耐熱セパレータ)
図3は、
図1に示されるリチウムイオン二次電池1の他の構成を示す模式図であって、(a)は通常の構成を示し、(b)はリチウムイオン二次電池1が急激に昇温したときの様子を示す。
【0027】
図3の(a)に示されるように、セパレータ12は、多孔質フィルム5と、耐熱層4とを備える耐熱セパレータであってもよい。耐熱層4は、多孔質フィルム5のカソード11側の片面に積層されている。なお、耐熱層4は、多孔質フィルム5のアノード13側の片面に積層されてもよいし、多孔質フィルム5の両面に積層されてもよい。そして、耐熱層4にも、孔Pと同様の孔が設けられている。通常、リチウムイオン3は、孔Pと耐熱層4の孔とを介し移動する。耐熱層4は、その材料として、例えば全芳香族ポリアミド(アラミド樹脂)を含む。
【0028】
図3の(b)に示されるように、リチウムイオン二次電池1が急激に昇温し、多孔質フィルム5が融解または柔軟化しても、耐熱層4が多孔質フィルム5を補助しているため、多孔質フィルム5の形状は維持される。ゆえに、多孔質フィルム5が融解または柔軟化し、孔Pが閉塞するにとどまる。これにより、リチウムイオン3の移動が停止するため、上述の過放電または過充電も停止する。このように、セパレータ12の破壊が抑制される。
【0029】
(耐熱セパレータの製造工程)
リチウムイオン二次電池1の耐熱セパレータの製造は特に限定されるものではなく、公知の方法を利用して行うことができる。以下では、多孔質フィルム5がその材料として主にポリエチレンを含む場合を仮定して説明する。しかし、多孔質フィルム5が他の材料を含む場合でも、同様の製造工程により、セパレータ12を製造できる。
【0030】
例えば、熱可塑性樹脂に可塑剤を加えてフィルム成形した後、該可塑剤を適当な溶媒で除去する方法が挙げられる。例えば、多孔質フィルム5が、超高分子量ポリエチレンを含むポリエチレン樹脂から形成されてなる場合には、以下に示すような方法により製造することができる。
【0031】
この方法は、(1)超高分子量ポリエチレンと、炭酸カルシウム等の無機充填剤とを混練してポリエチレン樹脂組成物を得る混練工程、(2)ポリエチレン樹脂組成物を用いてフィルムを成形する圧延工程、(3)工程(2)で得られたフィルム中から無機充填剤を除去する除去工程、及び、(4)工程(3)で得られたフィルムを延伸して多孔質フィルム5を得る延伸工程を含む。
【0032】
除去工程によって、フィルム中に多数の微細孔が設けられる。延伸工程によって延伸されたフィルムの微細孔は、上述の孔Pとなる。これにより、所定の厚さと透気度とを有するポリエチレン微多孔膜である多孔質フィルム5が形成される。
【0033】
なお、混練工程において、超高分子量ポリエチレン100重量部と、重量平均分子量1万以下の低分子量ポリオレフィン5〜200重量部と、無機充填剤100〜400重量部とを混練してもよい。
【0034】
その後、塗工工程において、多孔質フィルム5の表面に耐熱層4を形成する。例えば、多孔質フィルム5に、アラミド/NMP(N−メチル−ピロリドン)溶液(塗工液)を塗布し、アラミド耐熱層である耐熱層4を形成する。耐熱層4は、多孔質フィルム5の片面だけに設けられても、両面に設けられてもよい。また、耐熱層4として、アルミナ/カルボキシメチルセルロース等のフィラーを含む混合液を塗工してもよい。
【0035】
塗工液を多孔質フィルム5に塗工する方法は、均一にウェットコーティングできる方法であれば特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、キャピラリーコート法、スピンコート法、スリットダイコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、バーコーター法、グラビアコーター法、ダイコーター法などを採用することができる。耐熱層4の厚さは塗工ウェット膜の厚み、塗工液中の固形分濃度を調節することによって制御することができる。
【0036】
なお、塗工する際に多孔質フィルム5を固定あるいは搬送する支持体としては、樹脂製のフィルム、金属製のベルト、ドラム等を用いることができる。
【0037】
以上のように、多孔質フィルム5に耐熱層4が積層されたセパレータ12(耐熱セパレータ)を製造できる。製造されたセパレータは、円筒形状のコアに巻き取られる。なお、以上の製造方法で製造される対象は、耐熱セパレータに限定されない。この製造方法は、塗工工程を含まなくてもよい。この場合、製造される対象は、耐熱層を有しないセパレータである。
【0038】
(スリット装置)
耐熱セパレータまたは耐熱層を有しないセパレータ(以下「セパレータ」)は、リチウムイオン二次電池1などの応用製品に適した幅(以下「製品幅」)であることが好ましい。しかし、生産性を上げるために、セパレータは、その幅が製品幅以上となるように製造される。そして、一旦製造された後に、セパレータは、製品幅に切断(スリット)される。
【0039】
なお、「セパレータの幅」とは、セパレータの長手方向と厚み方向とに対し略垂直である方向の、セパレータの長さを意味する。以下では、スリットされる前の幅広のセパレータを「原反」と称し、スリットされたセパレータを特に「スリットセパレータ」と称する。また、スリットとは、セパレータを長手方向(製造におけるフィルムの流れ方向、MD:Machine direction)に沿って切断することを意味し、カットとは、セパレータを横断方向(TD:transverse direction)に沿って切断することを意味する。横断方向(TD)とは、、セパレータの長手方向(MD)と厚み方向とに対し略垂直である方向を意味する。
【0040】
図4は、セパレータをスリットするスリット装置6の構成を示す模式図であって、(a)は全体の構成を示し、(b)は原反をスリットする前後の構成を示す。
【0041】
図4の(a)に示されるように、スリット装置6は、回転可能に支持された円柱形状の、巻出ローラー61と、ローラー62〜69と、複数の巻取ローラー70U・70Lとを備える。スリット装置6には、後述する切断装置7がさらに設けられている。
【0042】
(スリット前)
スリット装置6では、原反を巻きつけた円筒形状のコアcが、巻出ローラー61に嵌められている。
図4の(b)に示されるように、原反は、コアcから経路UまたはLへ巻き出される。巻き出された原反は、ローラー63〜67を経由し、ローラー68へ搬送される。搬送される工程において原反は、複数のセパレータにスリットされる。
【0043】
(スリット後)
図4の(b)に示されるように、複数のスリットセパレータの一部は、それぞれ、巻取ローラー70Uに嵌められた円筒形状の各コアu(ボビン)へ巻き取られる。また、複数のスリットセパレータの他の一部は、それぞれ、巻取ローラー70Lに嵌められた円筒形状の各コアl(ボビン)へ巻き取られる。なお、ロール状に巻き取られたセパレータを「セパレータ捲回体」と称する。
【0044】
(切断装置)
図5は、
図4の(a)に示されるスリット装置6の切断装置7の構成を示す図であって、(a)は切断装置7の側面図であり、(b)は切断装置7の正面図である。
【0045】
図5の(a)(b)に示されるように、切断装置7は、ホルダー71と、刃72とを備える。ホルダー71は、スリット装置6に備えられている筐体などに固定されている。そして、ホルダー71は、刃72と搬送されるセパレータ原反との位置関係が固定されるように、刃72を保持している。刃72は、鋭く研がれたエッジによってセパレータの原反をスリットする。
【0046】
〔実施形態1〕
図6は、
図4のスリット装置における範囲Cを拡大して示す図である。
図6における矢印は、セパレータの流れ及びアームの動きを表す。スリット装置6は、ローラー66〜69、第1タッチローラー81U、第2タッチローラー81L、第1アーム82U、第2アーム82L、第1捲回補助ローラー83U、第2捲回補助ローラー83L、第1巻取ローラー70U、第2巻取ローラー70L、及び複数の切断装置7を備える。ローラー66〜69は、セパレータを搬送する。第1タッチローラー81U及び第2タッチローラー81Lは、それぞれ第1アーム82U及び第2アーム82Lの一端に回転可能に設けられる(固定される)。第1アーム82U及び第2アーム82Lは、それぞれ他端にある回転軸84U、84L(シャフト)を中心として回動可能である。第1捲回補助ローラー83Uは、第1タッチローラー81Uと第1アーム82Uの回転軸84Uとの間に配置され、第1アーム82Uに回転可能に固定される。第2捲回補助ローラー83Lは、第2タッチローラー81Lと第2アーム82Lの回転軸84Lとの間に配置され、第2アーム82Lに回転可能に固定される。
【0047】
搬送された長尺のセパレータ12の原反は、例えばローラー66の上流側又は下流側において、切断装置7(スリット部)によって複数のスリットセパレータにスリットされる(スリット工程)。並行する複数のスリットセパレータのうち、奇数番目のスリットセパレータを第1セパレータ12a、偶数番目のスリットセパレータを第2セパレータ12bと呼ぶことにする。第1及び第2セパレータ12a、12bは、ローラー67を経由してローラー68に搬送される。
【0048】
ローラー68における抱き角は、第1セパレータ12aと第2セパレータ12bとで異なる。ここで、抱き角は、ローラーにおいてセパレータが接している円弧の、ローラーの軸に対する角度を意味する。すなわち、ローラーの前後におけるセパレータの搬送方向は、そのローラーの抱き角の分だけ変わる。ローラー68は、第1セパレータ12aの搬送方向を第1巻取ローラー70U側へ転換し、第2セパレータ12bの搬送方向を第2巻取ローラー70L側へ転換する(方向転換工程)。第1及び第2セパレータ12a、12bは、ローラー68において、搬送方向が分けられる。
【0049】
第1巻取ローラー70U(捲回部)には、第1セパレータ12aの数に応じて、1つ又は複数のコアuが着脱可能に取り付けられる。同様に、第2巻取ローラー70L(捲回部)には、第2セパレータ12bの数に応じて、1つ又は複数のコアlが着脱可能に取り付けられる。
【0050】
ローラー68によって第1巻取ローラー70U側へ搬送された第1セパレータ12aは、ローラー69によって搬送される。第1セパレータ12aは、ローラー69から第1捲回補助ローラー83U及び第1タッチローラー81Uを介して搬送され(搬送工程)、捲回面に導入される。第1セパレータ12aがコアuに巻き取られることにより、第1セパレータ捲回体12Uが形成される。第1巻取ローラー70Uはコアuと共に回転することで第1セパレータ12aを捲回する(捲回工程)。コアは、そこに巻き付けられたセパレータ捲回体と共に巻取ローラーから取り外すことができる。
【0051】
ローラー68によって第2巻取ローラー70L側へ搬送された第2セパレータ12bは、第2捲回補助ローラー83L及び第2タッチローラー81Lを介して搬送され(搬送工程)、捲回面に導入される。第2セパレータ12bがコアlに巻き取られることにより、第2セパレータ捲回体12Lが形成される。第2巻取ローラー70Lはコアlと共に回転することで第2セパレータ12bを捲回する(捲回工程)。
【0052】
なお、第1及び第2タッチローラー81U、81Lは、それぞれ捲回される第1及び第2セパレータ12a、12bを、第1及び第2セパレータ捲回体12U、12Lの捲回面(表面)へ押さえ付ける(押付工程)。ここでは、第1及び第2タッチローラー81U、81Lは、それぞれその自重によって第1及び第2セパレータ12a、12bを押さえ付ける。第1及び第2タッチローラー81U、81Lによって押さえ付けることにより、捲回される第1及び第2セパレータ12a、12bにしわ等が生じることを抑制する。なお、第1及び第2セパレータ捲回体12U、12Lの外径の変化に応じて、捲回面に接するように第1及び第2タッチローラー81U、81Lの位置は変化(変位)する。
【0053】
コアu、lに巻き取られた第1及び第2セパレータ捲回体12U、12Lが互いに接しないように、第1巻取ローラー70U及び第2巻取ローラー70Lは、互いにずれた位置に配置される。1つのセパレータ原反をスリットすることで第1セパレータ12a及び第2セパレータ12bが形成されるため、互いに隣り合う第1及び第2セパレータ捲回体12U、12Lの間には、横断方向(TD)において実質的に隙間がない。第1及び第2セパレータ捲回体12U、12Lの側面(軸に垂直な面)同士が接すると、その側面に傷又は毛羽立ちが生じうる。そのため、第1巻取ローラー70U及び第2巻取ローラー70Lは、第1及び第2セパレータ捲回体12U、12Lの側面同士が接しない程度に離れて配置される。ここでは、第1巻取ローラー70U及び第2巻取ローラー70Lは、スリット装置6において互いに上下の位置関係となるように設けられている。上下の位置関係に配置することで、スリット装置6の水平方向のサイズを小さくすることができる。第1巻取ローラー70U及び第2巻取ローラー70Lは、鉛直方向に並ぶ必要は無く、上下の位置関係とは、水平に並ばない位置関係であればよい。
【0054】
第1巻取ローラー70U及び第2巻取ローラー70Lは、所定の距離離されて配置される。この配置制限により、ローラー69から第1タッチローラー81Uまでのローラー間距離またはローラー68から第2タッチローラー81Lまでのローラー間距離は、比較的長くなってしまう。ここで、ローラー間距離とは、セパレータの搬送経路において隣り合う2つのローラーにおける、搬送経路の上流側のローラーからセパレータが離れる位置から、下流側のローラーにセパレータが接する位置までの距離を意味する。タッチローラーの直前のローラーからタッチローラーまでのローラー間距離が長くなると、セパレータが変形又は蛇行しやすくなり、その結果捲回されるセパレータにおける皺又は巻きずれが生じやすくなる。ここで、皺とは例えばセパレータ捲回体の捲回面(タッチローラーが接する曲面)に生じる皺を意味する。巻きずれとは、円柱状のセパレータ捲回体の軸方向に一部のセパレータがずれることを意味する。巻きずれが生じると、セパレータ捲回体の側面(軸に垂直な面)に凹凸が生じる。なお、多孔質フィルムに耐熱層等の層がコーティングされたセパレータ(例えば耐熱セパレータ)は、横断方向においてカールしやすい。そのため、カールによる皺の発生を抑制するためにも、タッチローラーまでのローラー間距離を短縮する必要がある。また、セパレータの厚みが薄いと、皺が発生しやすくなる。
【0055】
(タッチローラーの位置変化)
図7は、スリット装置6における第1タッチローラー81U及び第1捲回補助ローラー83Uに関する部分を拡大して示す図である。
図7には、コアuに第1セパレータ12aを巻き始めるときの第1タッチローラー81U、第1捲回補助ローラー83U、及び第1アーム82Uの位置を点線で示す。本実施形態では、搬送経路においてローラー69と第1タッチローラー81Uとの間に、第1タッチローラー81Uまでのローラー間距離を短縮するように第1捲回補助ローラー83Uを設ける。第1捲回補助ローラー83Uは、第1セパレータ捲回体12Uには接しない。第1捲回補助ローラー83Uは、第1アーム82Uに固定されているため、第1セパレータ捲回体12Uに接する第1タッチローラー81Uの変位に応じて変位する。すなわち、第1捲回補助ローラー83Uと第1タッチローラー81Uとの間の距離は、第1セパレータ捲回体12Uの外径によらず、一定に保たれる。なお、ここでは、第1アーム82Uはその回転軸を中心に回動する構成であるが、第1アーム82Uは第1タッチローラー81Uの変位に応じて平行移動(変位)するように構成されていてもよい。
【0056】
第1セパレータ12aは、第1捲回補助ローラー83U上において上側(第1セパレータ捲回体12Uとは反対側)を通過し、第1捲回補助ローラー83Uと第1タッチローラー81Uとの間を通過し、第1タッチローラー81Uと第1セパレータ捲回体12Uとの間を通過して、捲回される。すなわち、第1タッチローラー81Uの回転軸と第1捲回補助ローラー83Uの回転軸とを含む平面に対して、第1セパレータ12aは、第1捲回補助ローラー83U上において一方側を通過し、第1タッチローラー81U上において他方側を通過する。第1捲回補助ローラー83Uから搬送された第1セパレータ12aは、捲回面よりも先に第1タッチローラー81Uに接する。第1セパレータ12aは、第1タッチローラー81U上を搬送されながら、皺が伸ばされた状態(皺がない状態)で捲回面に押さえ付けられる。
【0057】
第2捲回補助ローラー83Lも、第1捲回補助ローラー83Uと同様の構成である。なお、ローラー68、69、第1及び第2巻取ローラー70U、70Lは、第1及び第2タッチローラー81U、81Lからは独立している。すなわち、セパレータ捲回体の製造中において、ローラー68、69、第1及び第2巻取ローラー70U、70Lの位置は、第1及び第2セパレータ捲回体12U、12Lの外径によらず、固定である。
【0058】
第1タッチローラー81Uの直前に第1タッチローラー81Uの変位に応じて変位する第1捲回補助ローラー83Uを設けることにより、第1タッチローラー81Uとその直前のローラとの間のローラー間距離を短縮することができる。これにより、第1セパレータ捲回体12Uにおける皺又は巻きずれの発生を抑制することができる。
【0059】
なお、第1タッチローラー81Uは、第1セパレータ捲回体12Uの横側又は下側から第1セパレータ12aを捲回面に押さえ付ける構成であってもよい。この場合、例えば、第1アーム82Uに力を加えるために、バネまたはエアシリンダー等の機構をスリット装置6に設けてもよい。第2タッチローラー81Lについても同様である。
【0060】
(捲回補助ローラーの取付位置)
図8は、スリット装置6における第1タッチローラー81U及び第1捲回補助ローラー83Uに関する部分を拡大して示す図である。
図8は、第1捲回補助ローラー83Uの複数の取り付け位置を示す。第1アーム82Uは、第1捲回補助ローラー83Uを取り付けるための複数のローラー取付部85a〜85cを備える。ローラー取付部85a〜85cは、第1捲回補助ローラー83Uを回転可能に支持する軸受け又は軸受けを固定する穴等であってよい。ユーザは、複数のローラー取付部85a〜85cからあらかじめ選択した1つのローラー取付部に、第1捲回補助ローラー83Uを設置する。これにより、ユーザは、第1タッチローラー81Uから第1捲回補助ローラー83Uまでの距離を複数から選択することができる。
図8には、第1捲回補助ローラー83Uがローラー取付部85aに取り付けられた状態と第1捲回補助ローラー83Uがローラー取付部85cに取り付けられた状態とが併せて示されている。
【0061】
第1捲回補助ローラー83Uの取付位置を変えることにより、第1タッチローラー81Uと第1捲回補助ローラー83Uとのローラー間距離、及び、第1セパレータ12aが第1タッチローラー81Uに接する位置を、変更することができる。セパレータ捲回体の捲回状態(皺又は巻きずれの状態)は、セパレータの特性(物性)によっても変わりうる。本実施形態では、第1タッチローラー81Uと第1捲回補助ローラー83Uとの間の距離を変更することにより、第1セパレータ捲回体12Uの捲回状態を調整することができる。なお、第2アーム82Lも、第1アーム82Uと同様の構成であってよい。
【0062】
(複数のタッチローラーの配置)
図9は、スリット装置6における第1タッチローラー及び第1捲回補助ローラーに関する部分を上方から見た平面図である。図における一点鎖線は軸を表す。なお、第2タッチローラー及び第2捲回補助ローラー等についても同様であるので、ここでは第1タッチローラー等についてのみ説明する。複数の第1セパレータ12aが、それぞれ第1セパレータ捲回体12A〜12Cとして捲回される。
図9における矢印は3つの系列A〜Cの第1セパレータ12aの流れを表す。1つの回転軸84Uに対して、複数の第1アーム82A〜82Cが設けられる。第1アーム82A〜82Cは、それぞれ回転軸84Uを中心として独立して個別に回動可能である。第1アーム82A〜82Cのそれぞれは、第1タッチローラー81A〜81Cの両側に配置される1対のアーム部品を含む。第1アーム82A〜82Cには、それぞれ、第1タッチローラー81A〜81C、及び第1捲回補助ローラー83A〜83Cが回転可能に固定されている。
【0063】
第1巻取ローラー70Uは、複数のコアを保持する1つの回転軸(シャフト)である。第1巻取ローラー70Uは、図示しない駆動モーター等によって回転させられる。1つの第1巻取ローラー70Uと第1巻取ローラー70Uに固定された複数のコアとは、一体となって回転する。複数のコア上にはそれぞれ第1セパレータ捲回体12A〜12Cが形成される。複数の第1セパレータ捲回体12A〜12Cに対応して、複数の第1タッチローラー81A〜81Cが配置される。
【0064】
このように、1つの第1巻取ローラー70Uに対して、複数の第1タッチローラー81A〜81Cが配置される。第1アーム82A〜82Cは、それぞれ個別に回動可能であるので、複数の第1タッチローラー81A〜81Cは、それぞれ複数の第1セパレータ捲回体12A〜12Cの外径の変化に応じて個別に変位する。横断方向(TD)においてセパレータ原反の厚さ分布が均一でない場合、複数の第1セパレータ捲回体12A〜12Cの外径に差が生じることがある。そのような場合でも、本実施形態では、各第1タッチローラー81A〜81Cは、各第1セパレータ捲回体12A〜12Cの外径の変化に応じて個別に変位する。そのため、第1タッチローラーと第1セパレータ捲回体との間に隙間(空間)が生じることを防ぐことができる。それゆえ、各第1タッチローラーによって複数の第1セパレータを各捲回面に押さえ付けることができる。
【0065】
図9に示すように、第1アーム毎に、第1捲回補助ローラー83A〜83Cの取付位置が異なっていてもよい。セパレータ原反の厚さ分布が均一でない場合、第1捲回補助ローラー83A上を通る第1セパレータ12aと、第1捲回補助ローラー83B上を通る第1セパレータ12aとは、厚さが異なりうる。また厚さに限らず、他の物性が異なることもありうる。ユーザは、第1捲回補助ローラー83A〜83Cの位置をそれぞれの系列A〜Cの状態に応じて変更することにより、各系列における第1セパレータ捲回体12A〜12Cの捲回状態を調整することができる。
【0066】
本実施形態により皺又は巻きずれの発生が抑制されることの効果は、電池に用いられるセパレータにおいて特に有効である。セパレータ(特に層がコーティングされたセパレータ)は、膜厚の分布が不均一になりやすいため、捲回の際に皺又は巻きずれが生じやすいという性質を有する。一方、セパレータ捲回体に皺又は巻きずれが生じていると、電池製造工程においてセパレータを巻き出す時に、セパレータが蛇行しやすくなる。セパレータが蛇行すると、それを挟む正負の電極フィルムとの積層不良を招来してしまう。このようにセパレータ捲回体においては、皺及び巻きずれの低減要求が高いため、捲回補助ローラーを設ける必要が生じる。本実施形態は、耐熱層を有しない単層のセパレータにも、耐熱層を有する耐熱セパレータにも適用可能である。
【0067】
図12は、アームにおけるローラー取付部の変形例を示す図である。ここでは、第1アーム82Uを例に挙げて説明するが第2アーム82Lでも同様である。
図12では、ある箇所に第1捲回補助ローラー83Uが配置された状態と、別の箇所に第1捲回補助ローラー83Uが配置された状態とが併せて示されている。
【0068】
図12の(a)に示す例では、第1アーム82Uは、複数のローラー取付部の代わりに、長穴である1つのローラー取付部85fを備える。ローラー取付部85fの長穴の範囲で第1捲回補助ローラー83Uの軸86を固定することで、第1捲回補助ローラー83Uの位置が決まる。すなわち、ユーザは、第1タッチローラー81Uから第1捲回補助ローラー83Uまでの距離を複数から選択することができる。なお、第1捲回補助ローラー83Uは、軸86に対して回転可能に支持される。このように、長穴を用いることにより、第1捲回補助ローラー83Uの位置を微調整することが可能となる。
【0069】
図12の(b)に示す例では、第1アーム82Uは、長穴であるローラー取付部85fを複数備える。ここでは、2つのローラー取付部85fは、長穴の長軸方向に対して垂直の方向に並んでいる。第1捲回補助ローラー83Uは、いずれかのローラー取付部85fの任意の位置に固定される。
【0070】
図12の(c)に示す例では、第1アーム82Uは、長穴であるローラー取付部85fを複数備える。ここでは、2つのローラー取付部85fは、長穴の長軸方向に並んでいる。第1捲回補助ローラー83Uは、いずれかのローラー取付部85fの任意の位置に固定される。
【0071】
図13は、アームが長穴のローラー取付部を有する場合の捲回補助ローラーの変形例を示す図である。
図13の(a)及び
図13の(c)は、第1アーム、第1タッチローラー及び第1捲回補助ローラーに関する部分を上方から見た平面図である。ローラー取付部が長穴である場合、
図13の(a)に示すように、第1捲回補助ローラー83Aの軸が第1タッチローラー81Aの軸等に対して傾いた状態で、第1捲回補助ローラー83Aが第1アーム82Aに固定される可能性がある。
【0072】
第1捲回補助ローラーの軸が傾くことを防止するために、第1捲回補助ローラー83Dは、その両端部に、セパレータを案内するローラー部分より径が大きいフランジを備えてもよい(
図13の(c))。フランジが第1アーム82Aに沿って配置されるために、第1捲回補助ローラー83Dが傾くことが防止される。なお、フランジは、第1捲回補助ローラー83Dと共に回転してもよいし、第1捲回補助ローラー83Dの軸と共に固定されていてもよい。
【0073】
図13の(b)に示すスペーサ83Eaを、第1捲回補助ローラー83Eの端部に配置(挿入)してもよい。スペーサ83Eaは、円板の一部(軸に対応する位置)を切り欠いた形状をしている。第1捲回補助ローラー83Eと第1アーム82Bとの間に、1つ以上のスペーサ83Eaを配置することで、第1捲回補助ローラー83Eの軸が傾くことが防止される。スペーサ83Eaの径は、第1捲回補助ローラーの径より大きくても小さくてもよい。スペーサ83Eaによって第1捲回補助ローラー83Eと第1アーム82Bとの間の隙間を埋めることにより、軸の傾きを防止する。なお、スペーサ83Eaは、第1捲回補助ローラー83Eの軸と共に固定されていてもよい。
【0074】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。本実施形態では、捲回補助ローラーはタッチローラーが固定されたアームとは独立して配置される。第2捲回補助ローラー等についても同様であってよいので、ここでは第1捲回補助ローラー等についてのみ説明する。
【0075】
図10は、本実施形態の捲回補助ローラーの配置を示す図である。本実施形態のスリット装置は、第1アーム82Uとは別の箇所に、複数のローラー取付部85d〜85eを備える。複数のローラー取付部85d〜85eは、例えばスリット装置の筐体又はフレームに固定された部品に形成されている。ユーザは、複数のローラー取付部85d〜85eから第1捲回補助ローラー83Uを取り付ける箇所を選択することができる。ローラー取付部85d〜85eはスリット装置(又は第1巻取ローラー70U)に対して固定されているため、セパレータ捲回体の製造中において第1捲回補助ローラー83Uの位置は、第1セパレータ捲回体12Uの外径によらず、固定である。このような構成で、第1タッチローラー81Uまでのローラー間距離を調整することもできる。
【0076】
図10には、コアuに第1セパレータ12aを巻き始めるときの第1タッチローラー81U及び第1アーム82Uの位置を点線で示す。また、
図10には、ローラー取付部85eに取り付けた場合の第1捲回補助ローラー83Uの位置を点線で示す。第1捲回補助ローラー83Uの位置、及び、第1セパレータ捲回体12Uの外径によって第1セパレータ12aの搬送経路が変化するので、
図10にはそれらを併せて示してある。ここでは、第1捲回補助ローラー83Uをローラー取付部85eに取り付けた場合、第1セパレータ捲回体12Uの外径がある程度大きくなると、第1セパレータ12aは第1タッチローラー81Uより先に第1セパレータ捲回体12Uに接するようになる。第1セパレータ捲回体12Uの外径によらず、第1捲回補助ローラー83Uの上端(第1セパレータ12aが通過する位置)は、第1タッチローラー81Uの下端(第1セパレータ12aが通過する位置)よりも上側となるように構成してもよい。もちろん、
図9のように、1つの第1巻取ローラー70Uに対して複数の第1タッチローラー81U及び複数の第1捲回補助ローラー83Uを設けることもできる。
【0077】
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0078】
図11は、
図6のように、本実施形態におけるスリット装置6aの一部を拡大して示す図である。スリット装置6aは、ローラー66、68U、68L、69U、69L、第1タッチローラー81U、第2タッチローラー81L、第1アーム82U、第2アーム82L、第1巻取ローラー70U、第2巻取ローラー70L、複数の切断装置7を備える。第1アーム82U及び第2アーム82Lに関する構成は、実施形態1と同じである。
【0079】
搬送されたセパレータ12の原反は、例えばローラー66の上流側において、切断装置7(スリット部)によって複数のスリットセパレータ(第1及び第2セパレータ12a、12b)にスリットされる。第1及び第2セパレータ12a、12bは、ローラー66において、搬送方向が分けられる。第1セパレータ12aは、ローラー68U、69Uを介して、第1捲回補助ローラー83Uに搬送される。第2セパレータ12bは、ローラー68L、69Lを介して、第2捲回補助ローラー83Lに搬送される。
【0080】
(変形例)
上述の実施形態において、第1及び第2捲回補助ローラー83U、83Lは、逆クラウンローラーのような凹型ローラーであってもよい。凹型ローラーは、ローラーの横断方向(TD)における中央部の外径が、両端部の外径より小さい形状をしたローラーである。これにより、回転する凹型ローラーの両端部において搬送されるセパレータが外側に伸ばされ、搬送中にセパレータに生じた皺を伸ばすことができる。皺が伸びた状態で捲回する必要があるので、第1及び第2タッチローラー81U、81Lの直前のローラー(第1及び第2捲回補助ローラー83U、83L)が凹型ローラーであることが好ましい。凹型ローラーの外径は、両端部の径が徐々に大きくなるように曲線状又は直線状であってもよいし、両端部の径が段階的に大きくなっていてもよい。
【0081】
ただし、1つの第1セパレータ12a及び1つのコアuに対して、1つの凹型の第1捲回補助ローラー83Uが設けられることが好ましい。
図9に示すように第1セパレータ12a及びコアuのセットが並行して複数ある場合、複数のセットに対応して複数の凹型の第1捲回補助ローラー83Uが設けられてもよい。なお、複数の第1捲回補助ローラー83Uとして、凹型ローラーと凹型ではない平らな円柱ローラーとを混ぜて用いてもよい。あるいは、1つの第1捲回補助ローラー83Uが複数の第1セパレータ12aを搬送する場合、第1捲回補助ローラー83Uの表面において、複数の第1セパレータ12aに対応する位置に、複数の凹型の形状が形成されていてもよい。第2捲回補助ローラー83Lについても同様である。
【0082】
また、上述の実施形態において、各ローラーの表面材質は、任意であってよい。一例として、タッチローラーの表面は樹脂であり、その直前の捲回補助ローラーの表面は金属であってもよい。
【0083】
タッチローラーの表面が樹脂である場合、捲回時の振動によるセパレータ捲回体とタッチローラーとの衝突を軽減することができ、当該衝突に伴う皺(特に段状の皺)の発生を低減することができる。捲回補助ローラーの表面が金属である場合、捲回補助ローラーの摩耗を低減することができ、当該摩耗に起因する皺または巻きずれの発生を低減することができる。特に、捲回補助ローラーが、セパレータのフィラーを含む耐熱層と接触する場合には、当該摩耗が顕著になるので、捲回補助ローラーの表面を金属とすることが好ましい。
【0084】
〔まとめ〕
本発明の一態様に係るスリット装置は、電池用セパレータ原反を長手方向に沿ってスリットすることにより複数のセパレータに切り分けるスリット部と、前記セパレータをコアに捲回する捲回部と、前記コア上に形成されたセパレータ捲回体の捲回面へ前記セパレータを押さえ付けるように、前記セパレータ捲回体の外径の変化に応じて変位するタッチローラーと、前記タッチローラーの直前において前記セパレータを搬送し、前記タッチローラーの変位に応じて変位する捲回補助ローラーとを備える。
【0085】
上記の構成によれば、セパレータ捲回体の外径の変化によるタッチローラーとその直前の捲回補助ローラーとの位置関係の変化を小さくすることができる。そのため、セパレータ捲回体の外径の変化によらず、セパレータ捲回体における捲回状態を均一にすることができる。それゆえ、セパレータ捲回体における皺や巻きズレの発生を抑制することができる。
【0086】
また、前記タッチローラーと前記捲回補助ローラーとの間の距離は、前記セパレータ捲回体の外径の変化によらず一定であってもよい。
【0087】
上記の構成によれば、セパレータ捲回体の外径の変化による、セパレータがタッチローラーに接する位置の変化を小さくすることができる。そのため、セパレータ捲回体における捲回状態を均一にすることができる。
【0088】
また、上記スリット装置は、前記タッチローラーと前記捲回補助ローラーとの間の距離を複数から選択可能なように設けられた、前記捲回補助ローラーを取り付けるための複数のローラー取付部を備える構成であってもよい。
【0089】
上記の構成によれば、ユーザは、タッチローラーと捲回補助ローラーとの間の距離を変更することにより、セパレータ捲回体の捲回状態を調整することができる。
【0090】
また、前記捲回部は、前記複数のセパレータを捲回する複数の前記コアを保持する1つの回転軸を備え、上記スリット装置は、前記1つの回転軸に対して、複数の前記セパレータ捲回体の外径の変化に応じて個別に変位する、複数の前記タッチローラーを備える構成であってもよい。
【0091】
上記の構成によれば、セパレータ原反の厚さが均一ではない場合であっても、個別に変位する各タッチローラーが、複数のセパレータを各セパレータ捲回体の捲回面に適切に押さえ付けることができる。
【0092】
また、上記スリット装置は、回動又は変位可能に設けられたアームを備え、前記タッチローラーおよび前記捲回補助ローラーは前記アームに固定されている構成であってもよい。
【0093】
上記の構成によれば、タッチローラーと捲回補助ローラーとの距離を一定に保つことができる。
【0094】
また、前記アームは回転軸を中心として回動可能であり、前記捲回補助ローラーは、前記タッチローラーと前記アームの前記回転軸との間に配置される構成であってもよい。
【0095】
上記の構成によれば、捲回補助ローラーをタッチローラーとアームの回転軸との間に効率的に配置し、装置サイズの増加を抑制することができる。
【0096】
また、前記捲回補助ローラーから搬送された前記セパレータは、前記捲回面より先に前記タッチローラーに接する構成であってもよい。
【0097】
上記の構成によれば、セパレータは、タッチローラー上で搬送されながら(皺を伸ばされながら)捲回面に押さえ付けられる。
【0098】
上記の構成によれば、タッチローラーの直前の捲回補助ローラー上において、セパレータの皺を伸ばすことができる。そのため、皺が伸ばされた状態でセパレータを捲回することができる。
【0099】
また、前記タッチローラーの表面は樹脂であり、前記捲回補助ローラーの表面は金属であってもよい。
【0100】
また、前記セパレータは、前記捲回補助ローラーにおいては前記セパレータ捲回体とは反対側を通過し、前記捲回補助ローラーと前記タッチローラーとの間を通過し、前記タッチローラーと前記セパレータ捲回体との間を通過する構成であってもよい。
【0101】
上記の構成によれば、セパレータは、タッチローラーで押さえ付けられる直前において、S字を描くように搬送される。これにより、セパレータを皺が伸ばされた状態で捲回することができる。
【0102】
本発明の一態様に係るスリット装置は、電池用セパレータ原反を長手方向に沿ってスリットすることにより複数のセパレータに切り分けるスリット部と、前記セパレータをコアに捲回する捲回部と、前記コア上に形成されたセパレータ捲回体の捲回面へ前記セパレータを押さえ付けるように、前記セパレータ捲回体の外径の変化に応じて変位するタッチローラーと、前記タッチローラーの直前において前記セパレータを搬送する捲回補助ローラーと、前記タッチローラーと前記捲回補助ローラーとの間の距離を複数から選択可能なように設けられた、前記捲回補助ローラーを取り付けるための複数のローラー取付部とを備える。
【0103】
本発明の一態様に係るスリット装置は、電池用セパレータ原反を長手方向に沿ってスリットすることにより複数のセパレータに切り分けるスリット部と、前記複数のセパレータを、保持した複数のコアに捲回する1つの回転軸を有する捲回部とを備え、さらに、前記複数のコア上に形成された複数のセパレータ捲回体の捲回面へ前記複数のセパレータを押さえ付けるように、前記複数のセパレータ捲回体の外径の変化に応じて個別に変位する複数のタッチローラーを、前記1つの回転軸に対して備える。
【0104】
本発明の一態様に係るセパレータ捲回体の製造方法は、電池用セパレータ原反を長手方向に沿ってスリットすることにより複数のセパレータに切り分けるスリット工程と、前記セパレータをコアに捲回する捲回工程と、前記コア上に形成されたセパレータ捲回体の外径の変化に応じて変位するタッチローラーによって、前記セパレータ捲回体の捲回面へ前記セパレータを押さえ付ける押付工程と、前記タッチローラーの変位に応じて変位する捲回補助ローラーによって、前記タッチローラーの直前において前記セパレータを搬送する搬送工程とを含む。
【0105】
また、上記製造方法において、前記タッチローラーと前記捲回補助ローラーとの間の距離は、前記セパレータ捲回体の外径の変化によらず一定であってもよい。
【0106】
また、上記製造方法において、前記捲回補助ローラーは、前記タッチローラーと前記捲回補助ローラーとの間の距離を複数から選択可能なように設けられた複数のローラー取付部のうちの1つに取り付けられていてもよい。
【0107】
また、上記製造方法において、前記捲回工程では、前記複数のセパレータを、1つの回転軸に保持された複数の前記コアに捲回し、前記押付工程では、前記複数のコア上に形成された複数の前記セパレータ捲回体の外径の変化に応じて個別に変位する、前記1つの回転軸に対して設けられた複数の前記タッチローラーによって、前記複数のセパレータ捲回体の捲回面へ前記複数のセパレータを押さえ付ける構成であってもよい。
【0108】
また、上記製造方法において、前記タッチローラーおよび前記捲回補助ローラーは、回動又は変位可能に設けられたアームに固定されている構成であってもよい。
【0109】
また、上記製造方法において、前記アームは回転軸を中心として回動可能であり、前記捲回補助ローラーは、前記タッチローラーと前記アームの前記回転軸との間に配置される構成であってもよい。
【0110】
また、上記製造方法において、前記捲回補助ローラーから搬送された前記セパレータは、前記捲回面より先に前記タッチローラーに接する構成であってもよい。
【0111】
また、上記製造方法において、前記タッチローラーの表面は樹脂であり、前記捲回補助ローラーの表面は金属であってもよい。
【0112】
また、上記製造方法において、前記セパレータは、前記捲回補助ローラーにおいては前記セパレータ捲回体とは反対側を通過し、前記捲回補助ローラーと前記タッチローラーとの間を通過し、前記タッチローラーと前記セパレータ捲回体との間を通過する構成であってもよい。
【0113】
本発明の一態様に係るセパレータ捲回体の製造方法は、電池用セパレータ原反を長手方向に沿ってスリットすることにより複数のセパレータに切り分けるスリット工程と、前記セパレータをコアに捲回する捲回工程と、前記コア上に形成されたセパレータ捲回体の外径の変化に応じて変位するタッチローラーによって、前記セパレータ捲回体の捲回面へ前記セパレータを押さえ付ける押付工程と、捲回補助ローラーによって、前記タッチローラーの直前において前記セパレータを搬送する搬送工程とを含み、前記捲回補助ローラーは、前記タッチローラーと前記捲回補助ローラーとの間の距離を複数から選択可能なように設けられた複数のローラー取付部のうちの1つに取り付けられている。
【0114】
本発明の一態様に係るセパレータ捲回体の製造方法は、電池用セパレータ原反を長手方向に沿ってスリットすることにより複数のセパレータに切り分けるスリット工程と、前記複数のセパレータを、1つの回転軸に保持された複数のコアに捲回する捲回工程と、前記複数のコア上に形成された複数のセパレータ捲回体の外径の変化に応じて個別に変位する、前記1つの回転軸に対して設けられた複数のタッチローラーによって、前記複数のセパレータ捲回体の捲回面へ前記複数のセパレータを押さえ付ける押付工程とを含む。
【0115】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
セパレータ捲回体における皺や巻きズレの発生を抑制する。スリット装置(6)は、コア(u)上に形成された第1セパレータ捲回体(12U)の捲回面へ第1セパレータ(12a)を押さえ付けるように、第1セパレータ捲回体の外径の変化に応じて変位する第1タッチローラー(81U)と、第1タッチローラーの直前において第1セパレータを搬送し、第1タッチローラーの変位に応じて変位する第1捲回補助ローラー(83U)とを備える。