特許第5961210号(P5961210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5961210光信号中継装置、光通信システムおよび通信制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961210
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】光信号中継装置、光通信システムおよび通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/07 20130101AFI20160719BHJP
   H04B 10/272 20130101ALI20160719BHJP
   H04B 10/291 20130101ALI20160719BHJP
【FI】
   H04B9/00 170
   H04B9/00 272
   H04B9/00 291
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-73776(P2014-73776)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-198270(P2015-198270A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2015年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】特許業務法人ワンディーIPパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】川西 康之
(72)【発明者】
【氏名】岩田 章人
(72)【発明者】
【氏名】船田 知之
(72)【発明者】
【氏名】村田 拓史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 博之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 猛
(72)【発明者】
【氏名】高橋 元悟
(72)【発明者】
【氏名】桐原 誉人
(72)【発明者】
【氏名】辻 幸嗣
【審査官】 前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−229237(JP,A)
【文献】 特開2009−044754(JP,A)
【文献】 特開2010−252044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/07
H04B 10/272
H04B 10/291
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した光信号を増幅して送信する光信号中継装置であって、
前記光信号を受けて増幅する半導体光増幅器と、
前記半導体光増幅器の出力光の強度に応じた大きさの電流を出力する受光素子と、
前記半導体光増幅器が増幅を行うことが可能な大きさの駆動電流が前記半導体光増幅器に供給されているときであって前記半導体光増幅器が前記光信号を受けていないときの前記受光素子の出力電流より小さい閾値と比べて、前記受光素子の出力電流が小さくなった場合に、前記半導体光増幅器の増幅を停止または制限する制御部とを備える、光信号中継装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記半導体光増幅器に供給する駆動電流の大きさを変更することにより前記半導体光増幅器の利得を制御し、
前記制御部は、前記受光素子の出力電流が前記閾値よりも小さく、かつ前記駆動電流が所定の電流閾値より大きい場合に、前記半導体光増幅器の増幅を停止または制限する、請求項1に記載の光信号中継装置。
【請求項3】
光信号を受けて増幅する半導体光増幅器を含み、受信した光信号を中継する光信号中継装置、を備える光通信システムであって、
前記半導体光増幅器の出力光の強度に応じた大きさの電流を出力する受光素子の出力電流を監視する監視部と、
前記半導体光増幅器が増幅を行うことが可能な大きさの駆動電流が前記半導体光増幅器に供給されているときであって前記半導体光増幅器が前記光信号を受けていないときの前記受光素子の出力電流より小さい閾値と比べて、前記受光素子の出力電流が小さくなった場合に、前記半導体光増幅器の増幅を停止または制限する制御部とを備える、光通信システム。
【請求項4】
光信号を受けて増幅する半導体光増幅器を含み、受信した光信号を中継する光信号中継装置、を備える光通信システムにおける通信制御方法であって、
前記半導体光増幅器の出力光の強度に応じた大きさの電流を出力する受光素子の出力電流を監視するステップと、
前記半導体光増幅器が増幅を行うことが可能な大きさの駆動電流が前記半導体光増幅器に供給されているときであって前記半導体光増幅器が前記光信号を受けていないときの前記受光素子の出力電流より小さい閾値と比べて、前記受光素子の出力電流が小さくなった場合に、前記半導体光増幅器の増幅を停止または制限するステップとを含む、通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号中継装置、光通信システムおよび通信制御方法に関し、特に、半導体光増幅器を用いる光信号中継装置、光通信システムおよび通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットが広く普及しており、利用者は世界各地で運営されているサイトの様々な情報にアクセスし、その情報を入手することが可能である。これに伴って、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)およびFTTH(Fiber To The Home)等のブロードバンドアクセスが可能な装置も急速に普及してきている。
【0003】
IEEE Std 802.3ah(登録商標)−2004(非特許文献1)には、複数のONU(ONU:Optical Network Unit)が光通信回線を共有して局側装置(OLT:Optical Line Terminal)とのデータ伝送を行なう媒体共有形通信である受動的光ネットワーク(PON:Passive Optical Network)の1つの方式が開示されている。すなわち、PONを通過するユーザ情報およびPONを管理運用するための制御情報を含め、すべての情報がイーサネット(登録商標)フレームの形式で通信されるEPON(Ethernet(登録商標) PON)と、EPONのアクセス制御プロトコル(MPCP(Multi−Point Control Protocol))およびOAM(Operations Administration and Maintenance)プロトコルとが規定されている。局側装置とONUとの間でMPCPフレームをやり取りすることによって、ONUの加入、離脱、および上りアクセス多重制御などが行なわれる。また、非特許文献1では、MPCPメッセージによる、新規ONUの登録方法、帯域割り当て要求を示すレポート、および送信指示を示すゲートについて記載されている。
【0004】
なお、1ギガビット/秒の通信速度を実現するEPONであるGE−PONの次世代の技術として、IEEE802.3av(登録商標)−2009として標準化が行なわれた10G−EPONすなわち通信速度が10ギガビット/秒相当のEPONにおいても、アクセス制御プロトコルはMPCPが前提となっている。
【0005】
光通信システムにおいて、局側装置と光回線終端装置との距離が長くなる場合、光信号の伝送特性を維持するために、光信号の中継装置が設置される場合がある。このような光信号中継装置の一例として、たとえば、特許第4919067号公報(特許文献1)には、以下のような構成が開示されている。すなわち、光バースト信号の中継をする光バースト信号中継装置であって、上り光バースト信号を電気の中継信号に変換する光/電気変換器と、前記光/電気変換器により変換された中継信号を再生する上り信号再生部と、この光バースト信号中継装置を1つの光回線終端装置として識別させるため、PONのプロトコルに準拠したフレームを作成する通信・切替制御部と、エラー情報を監視し、エラー情報が発生すれば、エラー情報パターンを前記通信・切替制御部に出力するエラー情報監視部と、前記光/電気変換器と前記上り信号再生部との間に設置され、前記通信・切替制御部の制御に応じて、前記通信・切替制御部から得られる監視情報信号と前記光/電気変換器から得られる中継信号とを切り替えて、前記上り信号再生部に供給するための第1の切替部とを備える。前記通信・切替制御部は、前記エラー情報監視部から取得されたエラー情報パターンを含む監視情報信号を作成して、光バースト区間の空きスロットに前記監視情報信号を供給する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】IEEE Std 802.3ah(登録商標)−2004
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4919067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
光信号中継装置における処理の一例として、受信した光信号を、電気信号に変換することなく外部へ送信する構成が考えられる。このような構成においては、たとえば、モニタ用の受光素子を用いて出力光の強度を計測し、計測結果に基づいて光増幅器の利得調整を行い、出力光の強度が一定になるように制御することができる。
【0009】
しかしながら、このような光信号中継装置において、たとえばモニタ用の受光素子が故障し、出力光の強度が目標値より小さいという計測結果が誤って得られると、光増幅器の利得を必要以上に大きな値に変更してしまい、過出力となってしまう場合がある。
【0010】
また、光信号中継装置は、その役割上、光信号を受信していない状態では光を出力しない動作となることから、このような不具合を検出することが困難である。
【0011】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、出力光の強度をモニタして光増幅器の利得調整を行なう光信号中継装置において、出力光のモニタにおける不具合を的確に検知し、光信号の過出力を防ぐことが可能な光信号中継装置、光通信システムおよび通信制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる光信号中継装置は、受信した光信号を増幅して送信する光信号中継装置であって、前記光信号を受けて増幅する半導体光増幅器と、前記半導体光増幅器の出力光の強度に応じた大きさの電流を出力する受光素子と、前記半導体光増幅器が前記光信号を受けていないときの前記受光素子の出力電流より所定値小さい閾値と比べて、前記受光素子の出力電流が小さくなった場合に、前記半導体光増幅器の増幅を停止または制限する制御部とを備える。
【0013】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる光通信システムは、光信号を受けて増幅する半導体光増幅器を含み、受信した光信号を中継する光信号中継装置、を備える光通信システムであって、前記半導体光増幅器の出力光の強度に応じた大きさの電流を出力する受光素子の出力電流を監視する監視部と、前記半導体光増幅器が前記光信号を受けていないときの前記受光素子の出力電流より所定値小さい閾値と比べて、前記受光素子の出力電流が小さくなった場合に、前記半導体光増幅器の増幅を停止または制限する制御部とを備える。
【0014】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる通信制御方法は、光信号を受けて増幅する半導体光増幅器を含み、受信した光信号を中継する光信号中継装置、を備える光通信システムにおける通信制御方法であって、前記半導体光増幅器の出力光の強度に応じた大きさの電流を出力する受光素子の出力電流を監視するステップと、前記半導体光増幅器が前記光信号を受けていないときの前記受光素子の出力電流より所定値小さい閾値と比べて、前記受光素子の出力電流が小さくなった場合に、前記半導体光増幅器の増幅を停止または制限するステップとを含む。
【0015】
本発明は、このような特徴的な処理部を備える光信号中継装置として実現できるだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする方法として実現したり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現したりすることができる。また、本発明は、光信号中継装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現したり、光信号中継装置を含むシステムとして実現したりすることができる。
【0016】
また、本発明は、このような特徴的な処理部を備える光通信システムとして実現できるだけでなく、かかる特徴的な処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現することができる。また、本発明は、光通信システムの一部または全部を実現する半導体集積回路として実現することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、出力光の強度をモニタして光増幅器の利得調整を行なう光信号中継装置において、出力光のモニタにおける不具合を的確に検知し、光信号の過出力を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る光通信システムの構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置の構成を示す図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置の構成を示す図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置における閾値の設定内容の一例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置における駆動電流の範囲および電流閾値の設定内容の一例を示す図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置が光増幅器の制御を行なう際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0020】
(1)本発明の実施の形態に係る光信号中継装置は、受信した光信号を増幅して送信する光信号中継装置であって、前記光信号を受けて増幅する半導体光増幅器と、前記半導体光増幅器の出力光の強度に応じた大きさの電流を出力する受光素子と、前記半導体光増幅器が前記光信号を受けていないときの前記受光素子の出力電流より所定値小さい閾値と比べて、前記受光素子の出力電流が小さくなった場合に、前記半導体光増幅器の増幅を停止または制限する制御部とを備える。
【0021】
このように、半導体光増幅器の出力光に対応する受光素子の出力電流と半導体光増幅器の自然放出光に基づく閾値との比較結果を用いる構成により、半導体光増幅器が光信号を受信していない状態と区別して、受光素子の出力電流の異常を検知することができる。そして、異常を検知して半導体光増幅器の増幅を停止または制限することにより、半導体光増幅器の利得の増大による過出力を防ぐことができる。したがって、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置では、出力光の強度をモニタして光増幅器の利得調整を行なう光信号中継装置において、出力光のモニタにおける不具合を的確に検知し、光信号の過出力を防ぐことができる。
【0022】
また、光信号のデータパターンによっては、光信号中継装置における光信号の受光強度の小さい状態がある程度の期間継続する場合があり得ることから、入力光のモニタにおける不具合を検知する構成では、光信号のデータパターンによる受光強度の低下と入力光のモニタにおける不具合とを区別するために、異常検知の判定時間を長くしたり、判定条件を追加したりする必要がある。これに対して、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置では、半導体光増幅器の出力光を監視する構成により、簡易な処理で異常を検知し、半導体光増幅器の増幅の停止または制限を早期に行なうことができる。
【0023】
(2)好ましくは、前記制御部は、前記半導体光増幅器に供給する駆動電流の大きさを変更することにより前記半導体光増幅器の利得を制御し、前記制御部は、前記受光素子の出力電流が前記閾値よりも小さく、かつ前記駆動電流が所定の電流閾値より大きい場合に、前記半導体光増幅器の増幅を停止または制限する。
【0024】
このような構成により、たとえば駆動電流の生成の過程において駆動電流が小さいことによる異常の誤検知を防ぐことができる。
【0025】
(3)本発明の実施の形態に係る光通信システムは、光信号を受けて増幅する半導体光増幅器を含み、受信した光信号を中継する光信号中継装置、を備える光通信システムであって、前記半導体光増幅器の出力光の強度に応じた大きさの電流を出力する受光素子の出力電流を監視する監視部と、前記半導体光増幅器が前記光信号を受けていないときの前記受光素子の出力電流より所定値小さい閾値と比べて、前記受光素子の出力電流が小さくなった場合に、前記半導体光増幅器の増幅を停止または制限する制御部とを備える。
【0026】
このように、半導体光増幅器の出力光に対応する受光素子の出力電流と半導体光増幅器の自然放出光に基づく閾値との比較結果を用いる構成により、半導体光増幅器が光信号を受信していない状態と区別して、受光素子の出力電流の異常を検知することができる。そして、異常を検知して半導体光増幅器の増幅を停止または制限することにより、半導体光増幅器の利得の増大による過出力を防ぐことができる。したがって、本発明の実施の形態に係る光通信システムでは、出力光の強度をモニタして光増幅器の利得調整を行なう光信号中継装置において、出力光のモニタにおける不具合を的確に検知し、光信号の過出力を防ぐことができる。
【0027】
また、光信号のデータパターンによっては、光信号中継装置における光信号の受光強度の小さい状態がある程度の期間継続する場合があり得ることから、入力光のモニタにおける不具合を検知する構成では、光信号のデータパターンによる受光強度の低下と入力光のモニタにおける不具合とを区別するために、異常検知の判定時間を長くしたり、判定条件を追加したりする必要がある。これに対して、本発明の実施の形態に係る光通信システムでは、半導体光増幅器の出力光を監視する構成により、簡易な処理で異常を検知し、半導体光増幅器の増幅の停止または制限を早期に行なうことができる。
【0028】
(4)本発明の実施の形態に係る通信制御方法は、光信号を受けて増幅する半導体光増幅器を含み、受信した光信号を中継する光信号中継装置、を備える光通信システムにおける通信制御方法であって、前記半導体光増幅器の出力光の強度に応じた大きさの電流を出力する受光素子の出力電流を監視するステップと、前記半導体光増幅器が前記光信号を受けていないときの前記受光素子の出力電流より所定値小さい閾値と比べて、前記受光素子の出力電流が小さくなった場合に、前記半導体光増幅器の増幅を停止または制限するステップとを含む。
【0029】
このように、半導体光増幅器の出力光に対応する受光素子の出力電流と半導体光増幅器の自然放出光に基づく閾値との比較結果を用いる構成により、半導体光増幅器が光信号を受信していない状態と区別して、受光素子の出力電流の異常を検知することができる。そして、異常を検知して半導体光増幅器の増幅を停止または制限することにより、半導体光増幅器の利得の増大による過出力を防ぐことができる。したがって、本発明の実施の形態に係る通信制御方法では、出力光の強度をモニタして光増幅器の利得調整を行なう光信号中継装置において、出力光のモニタにおける不具合を的確に検知し、光信号の過出力を防ぐことができる。
【0030】
また、光信号のデータパターンによっては、光信号中継装置における光信号の受光強度の小さい状態がある程度の期間継続する場合があり得ることから、入力光のモニタにおける不具合を検知する構成では、光信号のデータパターンによる受光強度の低下と入力光のモニタにおける不具合とを区別するために、異常検知の判定時間を長くしたり、判定条件を追加したりする必要がある。これに対して、本発明の実施の形態に係る通信制御方法では、半導体光増幅器の出力光を監視する構成により、簡易な処理で異常を検知し、半導体光増幅器の増幅の停止または制限を早期に行なうことができる。
【0031】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0032】
[構成および基本動作]
図1は、本発明の実施の形態に係る光通信システムの構成を示す図である。
【0033】
図1を参照して、光通信システム301は、たとえばGE−PONであり、上位ネットワークに接続された局側装置201と、光信号中継装置101と、1または複数のONU202と、光カプラ211,212とを備える。なお、光通信システム301は、10G−EPONであってもよい。
【0034】
局側装置201は、PONの上位側に位置する光終端装置であり、電話局および変電所等に設置され、複数のONU202と通信を行なう。また、ONU202は、PONの下位側に位置する光終端装置であり、加入者側の建物、および屋外の電柱上等に設置され、1つの局側装置201と通信を行なう。
【0035】
光通信システム301において、各ONU202は、光カプラ211から分岐された複数の光ファイバに接続されている。光カプラ211および光信号中継装置101は、1つの光ファイバを介して接続されている。光カプラ212および光信号中継装置101は、1つの光ファイバを介して接続されている。光カプラ212から分岐された光ファイバには、1または複数のONU202も接続されている。また、光カプラ212および局側装置201は、1つの光ファイバを介して接続されている。
【0036】
このように、光通信システム301では、複数の光カプラを用いる構成により、局側装置201または光信号中継装置101と任意の数のONU202とを接続することができる。
【0037】
各ONU202と局側装置201とは、光ファイバおよび光カプラを介して、また、ONU202の接続位置に応じて光信号中継装置101を介して接続され、互いに光信号を送受信する。光通信システム301では、各ONU202は、共通の通信回線すなわちPON回線を介して上り光信号を局側装置201へ送信し、また、各ONU202から局側装置201への光信号が時分割多重される。また、光通信システム301では、局側装置201から各ONU202へ連続的な光信号が送信される。
【0038】
局側装置201は、自己とONU202との間に接続される光信号中継装置101を介してONU202との間で光信号を送受信可能である。
【0039】
光信号中継装置101は、局側装置201から送信された光信号のONU202への中継、およびONU202から送信された光信号の局側装置201への中継を行なう。
【0040】
以下、ONUから上位ネットワークへの方向を上り方向と称し、上位ネットワークからONUへの方向を下り方向と称する。
【0041】
図2は、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置の構成を示す図である。
【0042】
図2を参照して、光信号中継装置101は、電気/光変換器11と、下り信号中継部12と、光/電気変換器13と、上り信号再生部14とを備える。
【0043】
光/電気変換器13は、ONU202から送信される上り光信号を受信して電気信号に変換し、上り信号再生部14へ出力する。
【0044】
上り信号再生部14は、たとえば、光/電気変換器13から受けた電気信号からクロックを抽出し、抽出したクロックを用いて当該電気信号の波形整形を行なうとともに当該電気信号を電気/光変換器11へ出力する。
【0045】
電気/光変換器11は、上り信号再生部14から受けた電気信号を上り光信号に変換して局側装置201へ送信する。
【0046】
下り信号中継部12は、局側装置201から送信される下り光信号を受信し、受信した下り光信号を増幅してONU202へ送信する。
【0047】
図3は、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置の構成を示す図である。
【0048】
図3を参照して、下り信号中継部12は、半導体光増幅器(SOA:Semiconductor Optical Amplifier)21と、光カプラ22,23と、電流供給部24と、入力検知部25と、出力/利得制御部26と、出力検知部27と、監視制御部28とを含む。
【0049】
光カプラ22は、局側装置201から受信した下り光信号を分岐して半導体光増幅器21および入力検知部25へ出力する。
【0050】
半導体光増幅器21は、光カプラ22から受けた下り光信号を増幅して光カプラ23へ出力する。半導体光増幅器21の利得は、電流供給部24から供給される駆動電流に応じて変化する。具体的には、たとえば、大まかな特性の傾向として、駆動電流が大きくなると半導体光増幅器21の利得が大きくなり、駆動電流が小さくなると半導体光増幅器21の利得が小さくなる。
【0051】
光カプラ23は、半導体光増幅器21から受けた下り光信号を分岐してONU202および出力検知部27へ出力する。
【0052】
入力検知部25は、フォトダイオード等の受光素子31と、図示しない電流電圧変換回路およびA/Dコンバータとを含む。入力検知部25において、受光素子31は、光カプラ22から受けた下り光信号の強度に応じた大きさの電流を出力する。電流電圧変換回路は、受光素子31の出力電流を電圧に変換して出力する。A/Dコンバータは、電流電圧変換回路から受けた電圧のレベルを示すデジタル信号を出力/利得制御部26へ出力する。
【0053】
出力検知部27は、フォトダイオード等の受光素子32と、図示しない電流電圧変換回路およびA/Dコンバータとを含む。出力検知部27において、受光素子32は、光カプラ23から受けた下り光信号の強度に応じた大きさの電流、すなわち半導体光増幅器21の出力光の強度に応じた大きさの電流を出力する。電流電圧変換回路は、受光素子32の出力電流を電圧に変換して出力する。A/Dコンバータは、電流電圧変換回路から受けた電圧のレベルを示すデジタル信号を出力/利得制御部26および監視制御部28へ出力する。
【0054】
出力/利得制御部26は、半導体光増幅器21に供給する駆動電流の大きさを変更することにより半導体光増幅器21の利得を制御する。具体的には、出力/利得制御部26は、入力検知部25から受けたデジタル信号および出力検知部27から受けたデジタル信号の少なくともいずれか一方に基づいて駆動電流の大きさを決定し、決定した駆動電流の大きさを示す制御信号を電流供給部24へ出力する。
【0055】
たとえば、出力/利得制御部26は、出力検知部27から受けたデジタル信号の示す出力側の下り光信号の強度が一定となるように駆動電流の大きさを変更する出力一定制御を行なう。
【0056】
あるいは、たとえば、出力/利得制御部26は、入力検知部25から受けたデジタル信号および出力検知部27から受けたデジタル信号から現在の半導体光増幅器21の利得を算出し、半導体光増幅器21の利得が一定となるように駆動電流の大きさを変更する利得一定制御を行なう。
【0057】
電流供給部24は、駆動電流を半導体光増幅器21に供給し、出力/利得制御部26から受けた制御信号に従って、半導体光増幅器21に供給する駆動電流の大きさを変更する。
【0058】
ここで、出力検知部27における受光素子32の異常、または光カプラ23から出力検知部27への光路の断線等の故障が発生し、半導体光増幅器21の出力光の強度または利得が目標値より小さいという計測結果が誤って得られると、出力/利得制御部26が目標を満足するために駆動電流を増加させ、半導体光増幅器21の利得を必要以上に大きくしてしまい、過出力となってしまう場合がある。
【0059】
特に、光信号中継装置101への下り光信号の送信が停止されている状態において出力検知部27における受光素子32の故障等が発生した場合、半導体光増幅器21において大きい利得が設定され、光信号中継装置101への光信号の送信が行われると、光信号中継装置101から送信される光信号の強度が非常に大きくなってしまい、後段のONU202が壊れる可能性がある。
【0060】
そして、前述のように、光信号中継装置は、その役割上、光信号を受信していない状態では光を出力しない動作となることから、出力光のモニタにおける不具合を検出することは困難である。
【0061】
ここで、半導体光増幅器は、光信号を受けていない状態でも弱い自然放出光(ASE:Amplified Spontaneous Emission)を発生する。半導体光増幅器には、発生するASEが大きいという特有の特性がある。
【0062】
本願発明者らは、本来はノイズの原因となるこのASEを利点として着目し、上記問題点を解決する方法を発見した。すなわち、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置では、以下のような構成および動作により、上記問題点を解決する。
【0063】
具体的には、監視制御部28は、半導体光増幅器21が光信号を受けていないときの受光素子32の出力電流より所定値小さい閾値と比べて、受光素子32の出力電流が小さくなった場合に、半導体光増幅器21の増幅を停止または制限する。
【0064】
すなわち、監視制御部28は、出力検知部27周辺の故障を検知し、半導体光増幅器21への駆動電流の処理に介入する。具体的には、監視制御部28は、出力検知部27から出力されるデジタル信号の示す受光素子32の出力電流値が所定の閾値Toptより小さい場合、受光素子32の異常または光カプラ23から出力検知部27への光路の断線等の故障が発生したと判断し、故障検知信号を電流供給部24へ出力する。
【0065】
電流供給部24は、監視制御部28から故障検知信号を受けて、駆動電流をゼロにするかまたは小さくする。
【0066】
図4は、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置における閾値の設定内容の一例を示す図である。
【0067】
図4を参照して、閾値Toptは、半導体光増幅器21への光信号の無入力時において出力検知部27から出力されるデジタル信号の示す値、すなわち受光素子32の出力電流値よりも小さい値に設定される。半導体光増幅器21への光信号の無入力時における受光素子32の出力電流値は、ASEの強度に相当する。
【0068】
また、閾値Toptは、出力検知部27における光信号の強度の推定誤差、具体的には、たとえば、ASEのふらつきによる出力検知部27からのデジタル信号の値の変動を加味した値に設定される。
【0069】
図5は、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置における駆動電流の範囲および電流閾値の設定内容の一例を示す図である。
【0070】
図5を参照して、半導体光増幅器21が増幅を行なうことが可能な大きさの駆動電流が半導体光増幅器21に供給されている状態においてASEが発生することから、出力/利得制御部26は、半導体光増幅器21への駆動電流の範囲の下限として、半導体光増幅器21が増幅を行なうことが可能な駆動電流の最小値以上の値を設定する。
【0071】
また、半導体光増幅器21への駆動電流が大きくなるとASEが大きくなる。すなわち、駆動電流の範囲の下限をある程度の大きさに維持する場合、閾値Toptをより大きい値に設定できることから、上記推定誤差による誤判定の発生を抑制することができる。
【0072】
また、たとえば、駆動電流の生成の過程において駆動電流が小さいために監視制御部28において出力検知部27周辺の故障が誤検知されることを防ぐために、駆動電流の大きさが所定の電流閾値Ti以上となった状態で、閾値Toptを用いた異常検知を行なう構成が好ましい。
【0073】
具体的には、電流閾値Tiは、半導体光増幅器21が増幅を行なうことが可能な駆動電流の最小値以上かつ駆動電流の範囲の下限以下の値に設定される。
【0074】
すなわち、再び図3を参照して、電流供給部24は、半導体光増幅器21に供給する駆動電流の大きさを示す電流情報を監視制御部28へ出力する。
【0075】
監視制御部28は、電流供給部24から受けた電流情報に基づいて、受光素子32の出力電流が閾値よりも小さく、かつ駆動電流が所定の電流閾値より大きい場合に、半導体光増幅器21の増幅を停止または制限する。
【0076】
なお、ある程度の大きさの駆動電流が常に得られる等、上記のような監視制御部28の誤検知に対して何らかの対処がなされる場合、このような電流閾値Tiを用いた処理を行なわない構成であってもよい。
【0077】
[動作]
次に、本発明の実施の形態に係る光通信システムにおける光信号中継装置の動作について説明する。
【0078】
光通信システム301における各装置は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0079】
図6は、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置が光増幅器の制御を行なう際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【0080】
具体的には、図6を参照して、まず、監視制御部28は、電流供給部24から出力される電流情報を用いて半導体光増幅器21への駆動電流を監視する(ステップS1)。
【0081】
監視制御部28は、駆動電流の値が変更されると(ステップS1でYES)、出力検知部27からのデジタル信号の示す受光素子32の出力電流の大きさと閾値Toptとを比較する(ステップS2)。
【0082】
監視制御部28は、受光素子32の出力電流が閾値Topt以上である場合(ステップS2でNO)、受光素子32の出力電流は正常であることから、半導体光増幅器21への駆動電流の値が新たに変更されるまで待機する(ステップS1)。
【0083】
また、監視制御部28は、受光素子32の出力電流が閾値Topt未満である場合であって(ステップS2でYES)、駆動電流の大きさが電流閾値Ti以下であるときには(ステップS3でNO)、駆動電流が小さいため、受光素子32の出力電流が異常であるとは限らないことから、半導体光増幅器21への駆動電流の値が変更されるまで待機する(ステップS1)。
【0084】
一方、監視制御部28は、受光素子32の出力電流が閾値Topt未満である場合であって(ステップS2でYES)、駆動電流の大きさが電流閾値Tiより大きいとき(ステップS3でYES)、駆動電流がある程度の大きさであるにも関わらず、受光素子32の出力電流値がAES相当の電流値よりも小さいことから、受光素子32の出力電流が異常であると判断し、半導体光増幅器21の増幅を停止または制限する。具体的には、監視制御部28は、電流供給部24から半導体光増幅器21への駆動電流をゼロにするかまたは小さくする(ステップS4)。
【0085】
なお、監視制御部28は、前述のように、ある程度の大きさの駆動電流が常に得られる等、監視制御部28の誤検知に対して何らかの対処がなされる場合、電流閾値Tiを用いた判定処理(ステップS3)を行なわない構成であってもよい。
【0086】
ところで、たとえば、モニタ用の受光素子を用いて出力光の強度を計測し、計測結果に基づいて光増幅器の利得調整を行い、出力光の強度が一定になるように制御する光信号中継装置において、たとえばモニタ用の受光素子が故障し、出力光の強度が目標値より小さいという計測結果が誤って得られると、光増幅器の利得を必要以上に大きな値に変更してしまい、過出力となってしまう場合がある。また、光信号中継装置は、その役割上、光信号を受信していない状態では光を出力しない動作となることから、このような不具合を検出することが困難である。
【0087】
これに対して、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置では、半導体光増幅器21は、光信号を受けて増幅する。受光素子32は、半導体光増幅器21の出力光の強度に応じた大きさの電流を出力する。そして、監視制御部28は、半導体光増幅器21が光信号を受けていないときの受光素子32の出力電流より所定値小さい閾値と比べて、受光素子32の出力電流が小さくなった場合に、半導体光増幅器21の増幅を停止または制限する。
【0088】
このように、半導体光増幅器21の出力光に対応する受光素子32の出力電流と半導体光増幅器21の自然放出光に基づく閾値Toptとの比較結果を用いる構成により、半導体光増幅器21が光信号を受信していない状態と区別して、受光素子32の出力電流の異常を検知することができる。そして、異常を検知して半導体光増幅器21の増幅を停止または制限することにより、半導体光増幅器21の利得の増大による過出力を防ぐことができる。
【0089】
したがって、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置では、出力光の強度をモニタして光増幅器の利得調整を行なう光信号中継装置において、出力光のモニタにおける不具合を的確に検知し、光信号の過出力を防ぐことができる。
【0090】
また、光信号のデータパターンによっては、光信号中継装置101における光信号の受光強度の小さい状態がある程度の期間継続する場合があり得ることから、入力光のモニタにおける不具合を検知する構成では、光信号のデータパターンによる受光強度の低下と入力光のモニタにおける不具合とを区別するために、異常検知の判定時間を長くしたり、判定条件を追加したりする必要がある。これに対して、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置では、半導体光増幅器21の出力光を監視する構成により、簡易な処理で異常を検知し、半導体光増幅器21の増幅の停止または制限を早期に行なうことができる。
【0091】
また、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置では、出力/利得制御部26は、半導体光増幅器21に供給する駆動電流の大きさを変更することにより半導体光増幅器21の利得を制御する。そして、監視制御部28は、受光素子32の出力電流が閾値よりも小さく、かつ駆動電流が所定の電流閾値より大きい場合に、半導体光増幅器21の増幅を停止または制限する。
【0092】
このような構成により、たとえば駆動電流の生成の過程において駆動電流が小さいことによる異常の誤検知を防ぐことができる。
【0093】
また、本発明の実施の形態に係る通信制御方法では、まず、半導体光増幅器21の出力光の強度に応じた大きさの電流を出力する受光素子32の出力電流を監視する。次に、半導体光増幅器21が光信号を受けていないときの受光素子32の出力電流より所定値小さい閾値と比べて、受光素子32の出力電流が小さくなった場合に、半導体光増幅器21の増幅を停止または制限する。
【0094】
このように、半導体光増幅器21の出力光に対応する受光素子32の出力電流と半導体光増幅器21の自然放出光に基づく閾値Toptとの比較結果を用いる構成により、半導体光増幅器21が光信号を受信していない状態と区別して、受光素子32の出力電流の異常を検知することができる。そして、異常を検知して半導体光増幅器21の増幅を停止または制限することにより、半導体光増幅器21の利得の増大による過出力を防ぐことができる。
【0095】
したがって、本発明の実施の形態に係る通信制御方法では、出力光の強度をモニタして光増幅器の利得調整を行なう光信号中継装置において、出力光のモニタにおける不具合を的確に検知し、光信号の過出力を防ぐことができる。
【0096】
また、光信号のデータパターンによっては、光信号中継装置101における光信号の受光強度の小さい状態がある程度の期間継続する場合があり得ることから、入力光のモニタにおける不具合を検知する構成では、光信号のデータパターンによる受光強度の低下と入力光のモニタにおける不具合とを区別するために、異常検知の判定時間を長くしたり、判定条件を追加したりする必要がある。これに対して、本発明の実施の形態に係る通信制御方法では、半導体光増幅器21の出力光を監視する構成により、簡易な処理で異常を検知し、半導体光増幅器21の増幅の停止または制限を早期に行なうことができる。
【0097】
なお、本発明の実施の形態に係る光通信システムでは、光信号中継装置101が監視制御部28を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。光通信システム301における光信号中継装置101以外の他の装置が監視制御部28に相当する監視部および制御部を備え、半導体光増幅器21の出力光の監視、異常検知および半導体光増幅器21の増幅の停止または制限の制御を行なう構成であってもよい。
【0098】
具体的には、監視部は、半導体光増幅器21の出力光の強度に応じた大きさの電流を出力する受光素子32の出力電流を監視する。そして、制御部は、半導体光増幅器21が光信号を受けていないときの受光素子32の出力電流より所定値小さい閾値と比べて、受光素子32の出力電流が小さくなった場合に、半導体光増幅器21の増幅を停止または制限する。
【0099】
また、本発明の実施の形態に係る光通信システムでは、下り方向において、半導体光増幅器21の出力光の監視、異常検知および半導体光増幅器21の増幅の停止または制限の制御を行なう構成であるとしたが、これに限定するものではなく、上り方向において、下り方向と同様に、半導体光増幅器の出力光の監視、異常検知および半導体光増幅器の増幅の停止または制限の制御を行なう構成とすることも可能である。
【0100】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0101】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
【0102】
[付記1]
受信した光信号を増幅して送信する光信号中継装置であって、
前記光信号を受けて増幅する半導体光増幅器と、
前記半導体光増幅器の出力光の強度に応じた大きさの電流を出力する受光素子と、
前記半導体光増幅器が前記光信号を受けていないときの前記受光素子の出力電流より所定値小さい閾値と比べて、前記受光素子の出力電流が小さくなった場合に、前記半導体光増幅器の増幅を停止または制限する制御部とを備え、
前記光信号中継装置は、PONにおいて用いられ、
前記光信号は、局側装置から宅側装置へ送信される下り光信号である、光信号中継装置。
【0103】
[付記2]
光信号を受けて増幅する半導体光増幅器を含み、受信した光信号を中継する光信号中継装置、を備える光通信システムであって、
前記半導体光増幅器の出力光の強度に応じた大きさの電流を出力する受光素子の出力電流を監視する監視部と、
前記半導体光増幅器が前記光信号を受けていないときの前記受光素子の出力電流より所定値小さい閾値と比べて、前記受光素子の出力電流が小さくなった場合に、前記半導体光増幅器の増幅を停止または制限する制御部とを備え、
前記光通信システムはPONであり、
前記光信号は、局側装置から宅側装置へ送信される下り光信号である、光通信システム。
【符号の説明】
【0104】
11 電気/光変換器
12 下り信号中継部
13 光/電気変換器
14 上り信号再生部
21 半導体光増幅器
22,23 光カプラ
24 電流供給部
25 入力検知部
26 出力/利得制御部
27 出力検知部
28 監視制御部
101 光信号中継装置
201 局側装置
202 ONU
211,212 光カプラ
301 光通信システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6