(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る
Ni-Co-Si系銅合金板について説明する。なお、本発明において%とは、特に断らない限り、質量%を示すものとする。
又、表面粗さRaとは、JIS−B0601(2001年)に規格する中心線平均粗さであり、表面粗さRzとは、同JISに規格する最大高さである。
【0011】
まず、
図1を参照して、本発明の技術思想について説明する。
図1は本発明の実施形態に係る
Ni-Co-Si系銅合金板の製造工程の一例を示す。
まず、最終熱処理後の銅合金板2を酸洗槽4に導入して酸洗すると、圧延平行方向(RD)及び圧延直角方向(TD)にほぼ均一に酸化皮膜が溶解して減肉される。このため、酸洗後の圧延平行方向の60度鏡面光沢度G(RD)及び圧延直角方向の60度鏡面光沢度G(TD)はほぼ同一であり、これらの差{G(RD)−G(TD)}≒0となる(
図1(a)参照)。
【0012】
次に、バフ6を用いて酸洗後の銅合金板を研磨すると、バフによる研磨目の傷が付く。バフ6の回転方向である圧延平行方向(RD)においては、材料表面の研磨が進むに従って、酸洗で溶けきらなかった酸化皮膜が材料表面から無くなるため、材料表面が平滑になりG(RD)が大きくなる。一方、圧延直角方向(TD)に材料表面の研磨が進んでも、TD方向の材料表面にはバフによる研磨目の傷が形成されるため、表面の平滑さの程度は大きく変化せず、G(TD)は大きく変化しない。従って、{G(RD)−G(TD)}>0となるが、{G(RD)−G(TD)}≧90%になるとバフ研磨が進行して酸化皮膜が十分に除去され、はんだ濡れ性が向上し、かつ半田付けの際のピンホールが低減することが判明した。{G(RD)−G(TD)}の上限は特に規定されないが、実用的には400%以下である。
なお、60度鏡面光沢度は、所定の面積の材料表面の状態を反映する。一方、表面粗さ(Ra等)は所定の直線上の材料表面の状態を反映する。そのため、60度鏡面光沢度は表面粗さよりも、材料表面に局所的に存在する酸化皮膜や異物等の状態をより良く反映すると考える。
なお、バフ6は円筒状であり、その表面に研磨砥粒が付着している。そして、バフ6を銅合金板2の通板方向(
図1の左から右へ)と順方向に回転させることでバフ6の研磨砥粒が銅合金板2の表面を削るようになっている。従って、バフ研磨の進行による酸化皮膜の除去度合は、研磨砥粒の粒径(番手)、銅合金板2の通板回数、通板速度(ライン速度)、バフ6の回転数等によって調整することができる。
【0013】
又、圧延平行方向の表面粗さRa(RD)が0.07μm以下であることが好ましい。Ra(RD)が0.07μm以下の場合、ゼロクロスタイムが小さくなる場合がある。
【0014】
本発明においては、圧延直角方向の表面の凹凸成分の度数分布図におけるピーク位置を規定することもできる。ここで,表面の凹凸成分の度数分布図は特許文献2に記載されたのと同一であり、横軸を粗さ曲線のための平均線からの高さとし、縦軸を頻度(測定データ数)としてプロットした図である。又、本発明においては、横軸を粗さ曲線のための平均線からの高さ0.05μm間隔(きざみ)とし、この間隔ごとの測定データ数を頻度として合計し、プロットしている。なお、「粗さ曲線のための平均線」はJIS−B0601に規格されている。
【0015】
度数分布図は、具体的には以下のように作成する。(1)まず、試料の圧延直角方向に沿い、「粗さ曲線のための平均線からの高さ」を測定する。つまり、表面の位置毎に粗さ曲線のための平均線からの高さデータ(以下、適宜「測定データ」という)が得られるので、得られた測定データからピーク位置等を求めると共に、測定データを数値処理をしてRa,Rzを算出している。(2)「粗さ曲線のための平均線」からの高さを0.05μm間隔に区切る。(3)上記0.05μm間隔ごとに、該当する測定データ数(度数)をカウントする。
なお、測定データは、標準の長さ1.25mm、カットオフ値25mm(JIS−B0601に準拠)、走査速度0.1mm/secで測定する。測定は、小坂研究所社製の表面粗さ測定機(Surfcorder SE3400)を用い、測定長1.25mmで測定データ数が7500点である。
【0016】
上記ピーク位置の具体的な測定方法も特許文献2に記載されたのと同一であり、得られた測定データのうち、「粗さ曲線のための平均線」からの高さが0より大きいものを上(プラス)の成分とし、0より小さいものを下(マイナス)の成分に分類して度数分布をプロットする。横軸を「粗さ曲線のための平均線」からの高さ(μm)とし、縦軸として測定データ数を0.05μmごとに合計した頻度をプロットし直すと、
図2及び
図3が得られる(特許文献2の
図3に対応)。
図2及び
図3で、横軸の「粗さ曲線のための平均線」からの高さが0μmの位置に線を引くと、頻度のピーク位置が凹成分(マイナス側)か凸成分(プラス側)か、(又は0か)が判別できる。
ここで、上記「ピーク位置」の判別は次のようにして行う。まず、頻度―粗さ曲線のための平均線からの高さのグラフ(
図2、
図3参照)にて、値が最も高い頻度をP1、値が次に高い頻度をP2とする。そして、(1)ピーク位置が凹成分(マイナス側)とは、P1とP2が両方ともマイナス側にある場合、又は、P2/P1<99% かつP1がマイナス側にある場合をいう。(2)ピーク位置が凸成分(プラス側)とは、P1とP2が両方ともプラス側にある場合、又は、P2/P1<99% かつP1がプラスにある場合をいう。(3)ピーク位置が0とは、P2/P1≧99%である場合(但し、P1とP2が両方ともマイナス側にある場合、及びP1とP2が両方ともプラス側にある場合を除く)をいう。
なお、粗さ曲線のための平均線からの高さが0μmの線は、粗さ曲線のための平均線を意味する。
なお、3回測定した結果からそれぞれ求めたピーク位置がプラスとマイナスにばらついた場合、2回の測定が上(プラス)成分にピークがあれば,凸成分側とみなした。
【0017】
図2は、後述する実施例4の実際の測定データにつき、縦軸を頻度(%)、横軸を粗さ曲線のための平均線からの高さ(μm)でプロットし直したグラフである。
又、
図3は、後述する実施例18の実際の測定データにつき、縦軸を頻度(%)、横軸を粗さ曲線のための平均線からの高さ(μm)でプロットし直したグラフである。
図3の場合、表面の凹凸成分の度数分布図におけるピーク位置が、粗さ曲線のための平均線よりもプラス側(凸成分側)にあり、
図2の場合、上記ピーク位置が粗さ曲線のための平均線よりマイナス側(凹成分側)にあることがわかる。つまり、本発明(例えば
図2、実施例4)においては、ピーク位置がマイナス側(凹成分側)にあっても濡れ特性が良好であり、濡れ特性はピーク位置によらない。なお、実施例18は酸洗時の酸洗液を変更したことにより、ピーク位置がプラスとなっている。
【0018】
上記表面粗さRa,Rzの測定方法は特許文献2に記載されたのと同一であり、標準の長さ1.25mm、カットオフ値25mm(JIS−B0601に準拠)、走査速度0.1mm/secで測定する。測定は、小坂研究所社製の表面粗さ測定機(Surfcorder SE3400)を用い、測定長1.25mmで測定データ数が7500点である。なお,表面粗さRa,Rzは3回測定し,その平均値をとった。
【0019】
次に、本発明の
Ni-Co-Si系銅合金板のその他の規定及び組成について説明する。
<組成>
Co:0.5〜3.0質量%、Si:0.1〜1.6質量%
、Ni:0.5〜2.8質量%を含有し残部がCu及び不可避不純物とする。
Co及びSiの含有量が上記範囲より少ないと、Co
2Siによる析出強化が十分でなく、強度の向上が図れない。一方、Co及びSiの含有量が上記範囲を超えると、導電性を劣化させ,熱間加工性も劣化させる。Coの好ましい含有量は1.5〜2.5質量%であり、より好ましい含有量は1.7〜2.2質量%である。Siの好ましい含有量は0.5〜1.3質量%であり、より好ましい含有量は0.7〜1.1質量%である。
Co/Siの質量比は3.5〜5.0が好ましく、3.8〜4.6がより好ましい。Co/Siの質量比がこの範囲であれば、Co
2Siを十分に析出させることができる。
【0020】
さらに、
0.2質量%以下のMn、
0.2質量%以下のFe、
0.2質量%以下のMg
、0.2質量%以下のCr
、2.1質量%以下のZn
、及び
0.05質量%以下のPからなる群から選択される1種又は2種以上を、合計
0.4〜2.15質量%
含有する。上記元素の合計量が
2.15質量%を超えると、下記の効果が飽和すると共に、生産性が劣る。上記元素の合計量が
0.4質量%
未満の場合、上記元素の合計量が
0.4質量
以上の場合よりも強度が低下する場合がある
。
【0021】
ここで、Mn、Mg
、及びPは、微量の添加で、導電率を損なわずに強度、応力緩和特性等の製品特性を改善する。これらの元素は主に母相へ固溶することにより上記効果が発揮されるが、第二相粒子に含有されることで一層の効果が発揮される。
Feの添加によっても、強度、導電率,応力緩和特性、めっき性等の製品特性が改善する。これらの元素は主に母相へ固溶することにより上記効果が発揮されるが、第二相粒子に含有されることで、又は新たな組成の第二相粒子を形成することで一層の効果が発揮される。
Ni、Cr
、Zn
は相互に特性を補完し、強度、導電率だけでなく,応力緩和特性,曲げ加工性、めっき性や鋳塊組織の微細化による熱間加工性の改善のような製造性をも改善する。
なお、本発明の合金の特性に悪影響を与えない範囲で、本明細書に具体的に記載されていない元素が添加されてもよい。
【0022】
次に、本発明の
Ni−Co-Si系銅合金板の製造方法の一例について説明する。まず、銅及び必要な合金元素、さらに不可避不純物からなる鋳塊を熱間圧延後、面削して冷間圧延し、溶体化処理した後で時効処理してCo
2Siを析出させる。次に最終冷間圧延で所定厚みに仕上げ、必要に応じてさらに歪取り焼鈍し、最後に酸洗して直ちにバフ研磨する。
溶体化処理は例えば、700℃以上1000℃以下の範囲で選択とすることができる。又、時効処理は例えば、400℃〜650℃で1〜20時間とすることができる。
又、最終圧延加工度は,好ましくは5〜50%,さらに好ましくは20%〜30%である。本発明の合金材の結晶粒径は特に限定されないが,一般的には3〜20μm以下である。析出物の粒径は5nm〜10μmである。
【実施例】
【0023】
表1に示す組成のインゴットを鋳造し、900℃以上で厚さ10mmまで熱間圧延を行い、表面の酸化スケールを面削した後、冷間圧延し、700℃以上1000℃以下で溶体化処理した後で400℃〜650℃で1〜20時間の時効処理を施した。次に加工率5〜40%で最終冷間圧延で所定厚みに仕上げ、さらに300〜600℃で0.05〜3時間の歪取り焼鈍を行い、最後に表1に示す条件で酸洗して直ちにバフ研磨した。なお、バフ研磨前の酸洗に用いる酸洗液は、濃度20〜30質量%でpH=1以下の希硫酸、塩酸又は希硝酸の水溶液とし、酸洗の浸漬時間を60〜180秒とした。バフ研磨に用いるバフ材は、アルミナ製の砥粒を用い,ナイロン不織布にアルミナ含有させたものを用いた。そして、それぞれバフ目粗さ(研磨砥粒の番手)を変化させたバフ材を用いた。研磨砥粒の番手は、砥粒を1インチ当たりの網の目の数を示し、JIS R6001に規格されている。例えば、番手が1000であれば、砥粒の平均粒径が18〜14.5μmとなる。なお、実施例18は、酸洗バフ研磨の酸洗液として濃度40〜50質量%でpH=1以下の硝酸の水溶液を用いたこと以外は他の実施例と同様である。
【0024】
このようにして得られた各試料について、諸特性の評価を行った。
(1)Ra及びRz
JIS−B0601(2001年)に従い、中心線平均粗さRa及び最大高さRzを測定した。測定は、圧延平行方向(RD)及び圧延直角方向(TD)についてそれぞれ測定した。測定は、標準の長さは1.25mm、カットオフ値0.25mm(上記JISに準拠)、走査速度0.1mm/secとし、小坂研究所社製の表面粗さ測定機(Surfcorder SE3400)を用い、測定長1.25mmで測定データ数が7500点とした。
【0025】
(2)度数分布図
(1)で得られた圧延直角方向の測定データにつき、測定データのうち、「粗さ曲線のための平均線」から上(プラス)の成分と下(マイナス)の成分に分類し、粗さ曲線のための平均線からの高さを0.05μmきざみとして度数分布をプロットした。測定データから、縦軸を頻度(%)、横軸を粗さ曲線のための平均線からの高さ(μm)でプロットし直し、
図2及び
図3が得られた。
図2及び
図3で、横軸の粗さ曲線のための平均線からの高さの0μmに線を引くと、頻度のピークが凹成分(マイナス側)か凸成分(プラス側)か、(又は0か)が判別できる。
【0026】
(3)光沢度
60度鏡面光沢度は、JIS Z8741に準拠した光沢度計(日本電色工業製、商品名「PG-1M」)を使用し、それぞれ圧延平行方向RD、及び圧延直角方向TDにつき、入射角60度で測定した。
【0027】
図2は、実施例4の実際の測定データにつき、縦軸を頻度(%)、横軸を粗さ曲線のための平均線からの高さ(μm)でプロットし直したグラフである。
又、
図3は、後述する実施例18の実際の測定データにつき、縦軸を頻度(%)、横軸を粗さ曲線のための平均線からの高さ(μm)でプロットし直したグラフである。
【0028】
(3)はんだ特性
(3−1)ピンホール数
ピンホール数は、はんだが濡れずに,下地(銅合金材)がみえる穴の数をいう。ピンホール数が多くなると半田付け不良が生じ易くなる。ピンホール数の試験は、10mm幅の試料を10質量%の希硫酸水溶液で酸洗した後に、浸漬深さ12mm、浸漬速度25mm/s,浸漬時間10secで、はんだ浴に浸漬して引き上げたとき、表裏を光学顕微鏡(倍率50倍)で観察して下地が目視された数をカウントし、5個以下を良好とした。
はんだ試験はJIS-C60068-2-54に準拠して実施した.はんだ浴の組成は、スズ60wt%,鉛40wt%とし、さらにフラックス(ロジン25wt%,エタノール75wt%)を適量加え、はんだ温度235℃±3℃とした。
(3−1)ゼロクロスタイム(T2値)
ゼロクロスタイム(T2値)は、濡れ応力値がゼロになるまでの時間であり、ゼロクロスタイムが短いほど、はんだに濡れやすい。試験は、試料を10wt%の希硫酸水溶液で酸洗した後に、浸漬深さ4mm,浸漬速度25mm/s,浸漬時間10secで、235℃±3℃の上記はんだ浴に浸漬し、JISC60068-2-54に準拠して実施し、メニスコグラフ法でゼロクロスタイムを求めた。ゼロクロスタイムが2.0秒以下をはんだ濡れ性良好とした。
【0029】
得られた結果を表1〜表3に示す。なお、表1、表2の「仕上圧延の前処理」において、A法、B法は以下の条件で酸洗バフ研磨を行ったものである。例えば、実施例9は、仕上圧延前に酸洗バフ研磨を行い、さらに仕上圧延後も酸洗バフ研磨を行った。仕上圧延前の酸洗バフ研磨にて酸洗に用いる酸洗液は、上記した仕上圧延後の酸洗バフ研磨に用いた酸洗液と同一である。
A法:バフ研磨回数1回、通板速度40m/min、バフ目粗さ(研磨砥粒)1000番手、バフ回転数500rpm
B法:バフ研磨回数3回、通板速度10m/min、バフ目粗さ(研磨砥粒)2000番手、バフ回転数1400rpm
なお、一部の試料については、仕上圧延前に、10%硫酸水溶液に30秒浸漬させる酸洗のみ行った。また、一部の試料については、仕上圧延前に、ヘキサンに30秒浸漬させる脱脂のみ行った。又、他の試料は仕上圧延前に何ら処理を行わなかった。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
表1〜表3から明らかなように、最終熱処理(歪取焼鈍)後の酸洗バフ研磨を、比較的目(研磨砥粒)の細かいバフを用いて十分な回数行った各実施例の場合、はんだ濡れ性に優れ、かつピンホールが低減した。各実施例はいずれも{(圧延平行方向の60度鏡面光沢度G(RD))-(圧延直角方向の60度鏡面光沢度G (TD))}≧90%であり、材料表面の酸化皮膜,異物の押し込みを十分に除去すると共に表面が平滑になったものと考えられる。
なお、各実施例では、酸洗バフ研磨を、研磨砥粒が2000番以上、通板回数2回以上、通板速度10mpm以下、回転数1200回転/分以上の条件で行ったが、勿論、製造装置に応じてこれらの最適範囲は変化する。
【0034】
一方,各比較例では酸洗バフ研磨が十分に行われず,材料表面の酸化皮膜や、異物の押し込みを十分に除去できなかった。このため、各比較例では、{(圧延平行方向の60度鏡面光沢度G(RD))-(圧延直角方向の60度鏡面光沢度G (TD))}<90%となり、ピンホールが増加し,酸化皮膜が多く残存していたものははんだぬれ性が劣化した。
【0035】
これらの劣化原因は、比較例1,2,15,17,19の場合,酸洗バフ研磨の通板速度が20mpmを超えたためと考えられる。
比較例3、5,8,20の場合,酸洗バフ研磨の通板回数が2回未満であるためと考えられる。なお、比較例20は、最終圧延後に上述A法で酸洗研磨を実施した。
比較例13の場合,酸洗は行ったが,バフ研磨を行わなかったためと考えられる。
比較例6,7の場合,酸洗バフ研磨の研磨砥粒を4000番としたために研磨砥粒が細か過ぎ、あまり研磨されないため,Ra(RD)の低減効果が少なかったと考えられる。
比較例11,12の場合,酸洗バフ研磨の回転数が1200回転/分未満であるためと考えられる。
比較例9,10の場合,研磨砥粒が粗過ぎて酸洗バフ研磨面が荒れ、{(圧延平行方向の60度鏡面光沢度G(RD))-(圧延直角方向の60度鏡面光沢度G (TD))}<90%となりピンホールが増加し,ゼロクロスタイムが悪くなった。これは,酸洗バフ研磨の研磨砥粒を500番としたために研磨砥粒が粗すぎたためと考えられる。
比較例4、14、16、18,21の場合、最終圧延後に酸洗バフ研磨をしなかったため表面の酸化皮膜,異物の押し込みが除去されずに圧延された表面ままの状態が維持されたためと考えられる。なお、比較例21は、最終圧延のロールの粗さを細かくしたこと以外は各実施例と同様にして製造した。
【0036】
なお、比較例16,18,場合、仕上げ圧延前に処理(酸洗又は脱脂)を行い、かつ酸洗バフ研磨を行わなかったため、ピーク位置が粗さ曲線のための平均線(表面の凹凸成分を表す度数分布図におけるゼロの位置)よりプラス側(凸成分側)となった。つまり、これら比較例は、特許文献2による銅合金板を示している。
又、比較例4、13、16,21の場合、ゼロクロスタイムが2.0秒を超え、はんだ濡れ性も劣化したが、この理由は、酸洗およびバフ研磨を1回も行っていないため,酸化皮膜が金属表面に多く残存したためと考えられる。(なお,比較例16が特許文献2記載の条件に該当している)