【文献】
石井義人,外,高エネルギー密度対応リチウムイオン電池負極材,日立化成テクニカルレポート,2006年,No.47,P.29−32
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に対する理解を助けるために本発明をより詳しく説明する。
【0015】
本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的且つ辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自分の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるとの原則に即して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念として解釈されなければならない。
【0016】
本発明の一実施例による電極密度の測定方法は、1)X-線回折(X-ray diffraction)によって求めようとする電極活物質のI
平行方向ピーク/I
垂直方向ピーク値を求める段階;及び2)予め求めた電極の密度、及び電極活物質のI
平行方向ピーク/I
垂直方向ピーク値の間の予め得られた相関関係式によって求めようとする電極密度を算出する段階を含むことができる。
【0017】
また、本発明の一実施例による電極空隙率の測定方法は、1)X-線回折(X-ray diffraction)によって求めようとする電極活物質のI
平行方向ピーク/I
垂直方向ピーク値を求める段階;及び2)予め求めた電極空隙率、及び電極活物質のI
平行方向ピーク/I
垂直方向ピーク値の間の予め得られた相関関係式によって求めようとする電極空隙率を算出する段階を含むことができる。
【0018】
本発明の電極密度及び電極空隙率の測定方法は、X-線回折を用いることによって測定時ごとに電極の一部を破壊する必要がないので、費用面だけでなく、努力面及び時間的な面において効率的且つ簡単に測定することができる。
【0019】
本発明の一実施例による電極密度及び電極空隙率の測定方法を、図面を参照して詳しく説明すれば次の通りである。
【0020】
図1(
図1aから
図1c)は、本発明の一実施例による電極のX-線回折の測定方法を示した図である。
【0021】
図1を検討してみれば、
図1aは電極に塗布された電極活物質の構造を示し、
図1bはX-線の回折原理を示し、
図1cはX-線回折により得た電極に塗布された電極活物質のピークを示す。
【0022】
本発明の一実施例によれば、
図1でのように電極活物質が塗布された電極に入射角に応じてX-線を照射して出る回折ピーク等の相対的な強さを求め、これを用いて電極密度及び電極空隙率を測定することができる。
【0023】
本発明の一実施例によれば、前記電極活物質は炭素系活物質を含むことができる。
【0024】
具体的に検討してみれば、
図1aに示す通り、電極に塗布された電極活物質、例えば黒鉛粒子の構造はa軸に2.46Å、c軸に6.73Åの格子定数を有して6角板状構造をしている結晶構造を有する。
【0025】
前記結晶構造を有した黒鉛が塗布された電極に、
図1bのようにX-線を照射することができ、この原理は次の通りである。すなわち、電極に塗布された黒鉛が間隔dを有して平行な格子面A、B、Cに配列されている際に、この結晶に波長λであるX-線を入射角θに照射すると、X-線は原子によって全方向に散乱される。散乱されたX-線のP'RP"が入射X-線波長の定数倍となったX-線は、干渉効果によって強くなり、この現象を回折現象という。前記回折現象が発生する場合、入射X-線の波長λ及び入射角θと格子面の間隔dとの間には、次のような関係が成立され、これをBragg式といい、これは下記数式(1)の通りである。:
<数1>
d=λ/2sinθ (1)
【0026】
また、
図1cは、
図1bのようにX-線回折により得たピーク(peaks)を示すものであって、黒鉛系電極活物質が塗布された電極に入射X-線の角度を連続的に変化させつつ、X-線回折の強度を記録すると、強度の異なる複数の回折ピークが現われ、例えば004ピーク、110ピークを得ることができる。
【0027】
具体的に検討してみれば、本発明の一実施例によれば、電極に塗布された電極活物質は、その配向方向によってX-線回折により得たピーク等の種類及び強さが別に表れ、これらの一例を
図2に示した。
【0028】
例えば、黒鉛系電極活物質内の炭素環面等が、
図2aに示しているように全て電極の基材面と平行に配列されていれば、002、004及び006ピーク等のような回折ピーク等のみが観察され得る。
【0029】
逆に、
図2bに示しているように、黒鉛系電極活物質内の炭素環面等が電極の基材面に対して全て垂直に配向されていれば、100及び110ピークなどの回折ピーク等のみが観察され得る。
【0030】
一般にリチウムイオン電池に用いられる電極等の電極密度または電極空隙率は、電極基材上に電極活物質を含むスラリーをコーティングした後、溶媒を乾燥させた後、適正な圧力で押圧して得る。このとき、押圧する圧力が大きいほど、空隙率が減少しつつ電極密度は増加するようになる。
【0031】
本発明の一実施例によって、例えば黒鉛系電極活物質が塗布された電極の場合、電極を押圧する圧力が大きいほど、炭素環面の方向が基材面に対して垂直である割合(
図2b)が減少し、炭素環面の方向が基材面に平行な割合(
図2a)が増加するようになる。
【0032】
したがって、電極密度は
図2aに示した電極活物質が電極の基材面と平行に配列された電極活物質の平行方向ピークの面積(I
平行方向ピーク)に、
図2bに示した電極活物質が電極の基材面と垂直に配列された電極活物質の垂直方向ピークの面積(I
垂直方向ピーク)を割った値、すなわちI
平行方向ピーク/I
垂直方向ピークと高い相関関係を有し、I
平行方向ピーク/I
垂直方向ピークが小さいほど低い電極密度を有し、I
平行方向ピーク/I
垂直方向ピークが高いほど高い電極密度を有するので、電極密度と電極活物質のI
平行方向ピーク/I
垂直方向ピークの相関関係は、高い決定係数(coefficient of determination)を有する線形関係であり得る。
【0033】
一方、電極空隙率は、
図2aに示した電極活物質が電極の基材面と平行に配列された電極活物質の平行方向ピークの面積(I
平行方向ピーク)に、
図2bに示した電極活物質が電極の基材面と垂直に配列された電極活物質の垂直方向ピークの面積(I
垂直方向ピーク)を割った値、すなわちI
平行方向ピーク/I
垂直方向ピークと高い相関関係を有し、I
平行方向ピーク/I
垂直方向ピークが小さいほど高い電極空隙率を有し、I
平行方向ピーク/I
垂直方向ピークが高いほど低い電極空隙率を有するので、電極空隙率と電極活物質のI
平行方向ピーク/I
垂直方向ピークの相関関係は、高い決定係数を有する線形関係であり得る。
【0034】
本発明で用いられる用語「決定係数」とは、標本観測で推定した回帰線が実際に観測された標本をどれくらい説明しているか、すなわち回帰線が実際観測値をどれくらい代表してその適合性(goodness of fit)をみせているかを測定する係数であって、二つの変量の間、すなわちX値とY値との間に存在する相関関係を示す値として定義することができる。前記決定係数はR
2で表し、相関係数(correlation coefficient)(R)の二乗と同一であり、R
2は0から1の間の値であって、R
2値が大きいほど高い相関関係を表すといえる。R
2=1の場合、全ての標本観測値が推定された回帰線上にのみあるとのことを意味し、したがって推定された回帰線が変数の間の関係を完全に説明していることを意味する。
【0035】
また、本発明で用いられる用語「相関係数」とは、二つの変数の間の直線的な関連程度を測定するための統計量であり得、直線とどれくらい近く点等が散らばっているかという線形関係に対する強度を測定する数値的測度として定義することができる。
【0036】
前記相関係数「R」で表し、前記Rは常に-1と1との間の値を取る。このとき、R>0であれば、xとyは正の相関関係にあるといえ、これは一方の変数が増加する際に他方の変数も増加する傾向がある場合である。また、R<0であれば、xとyは負の相関関係にあるといえ、これは一方の変数が増加する際に他方の変数は減少する傾向がある場合である。一方、R=0の場合、xとyは無相関といえる。
【0037】
また、Rの絶対値が大きいほどxとyとの間にさらに強い線形関係があり得、Rが+1、-1であれば、全ての測定値が完全に直線上に置かれる場合である。
【0038】
前記のような原理により、本発明は一実施例によって電極密度及び電極空隙率を測定することができる。
【0039】
先ず、本発明の一実施例による電極密度の測定方法において、前記段階1)は求めようとする電極活物質を含む電極に対し、X-線回折を用いて電極活物質のI
平行方向ピーク/I
垂直方向ピーク値を求める段階である。
【0040】
すなわち、それぞれの電極等をX-線回折を用いて電極活物質が電極の基材面と平行に配列された電極活物質の平行方向ピークの面積(I
平行方向ピーク)、及び電極活物質が電極の基材面と垂直に配列された電極活物質の垂直方向ピークの面積(I
垂直方向ピーク)を求め、I
平行方向ピークをI
垂直方向ピークで割った値、すなわちI
平行方向ピーク/I
垂直方向ピークを求めることができる。
【0041】
本発明の一実施例による電極密度の測定方法において、前記段階2)は予め求めた電極密度、及び電極活物質のI
平行方向ピーク/I
垂直方向ピーク値の間の予め得られた相関関係式によって求めようとする電極密度を算出することができる。
【0042】
前記段階2)で予め求めた電極密度、及び電極活物質のI
平行方向ピーク/I
垂直方向ピーク値の相関関係式は、同一の電極活物質を含む少なくとも3つ以上の電極密度を従来の方法によって求め(a)、X-線回折を用いて該電極の電極活物質のI
平行方向ピーク/I
垂直方向ピーク値を求め(b)、前記得られた(a)と(b)のデータを用いて電極密度と電極活物質のI
平行方向ピーク/I
垂直方向ピーク値の間の相関関係を分析することで得られる。
【0043】
また、本発明の一実施例による電極空隙率の測定方法において、前記段階1)は求めようとする電極活物質を含む電極に対し、X-線回折を用いて電極活物質のI
平行方向ピーク/I
垂直方向ピーク値を求める段階である。前記電極活物質のI
平行方向ピーク/I
垂直方向ピーク値は、前記電極密度の段階1)と同じ方法で求めることができる。
【0044】
本発明の一実施例による電極空隙率の測定方法において、前記段階2)は予め求めた電極空隙率及び電極活物質のI
平行方向ピーク/I
垂直方向ピーク値の間の予め得られた相関関係式によって求めようとする電極空隙率を算出することができる。
【0045】
前記段階2)で予め求めた電極空隙率、及び電極活物質のI
平行方向ピーク/I
垂直方向ピーク値の間の相関関係式は、同一の電極活物質を含む少なくとも3つ以上の電極空隙率を従来の方法に従って求め(a)、X-線回折を用いて該電極の電極活物質のI
平行方向ピーク/I
垂直方向ピーク値を求め(b)、前記得られた(a)と(b)のデータを用いて電極空隙率と電極活物質のI
平行方向ピーク/I
垂直方向ピーク値の間の相関関係を分析することで得られる。
【0046】
本発明の一実施例によれば、前記I
平行方向ピーク/I
垂直方向ピークは、I
002/I
100、I
002/I
110、I
004/I
100、I
004/I
110、I
006/I
100またはI
006/I
110であり得る。
【0047】
前記従来方法の電極密度(D)及び電極空隙率(P)は、当分野で通常用いられる方法を用いることができ、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、前記相関関係式を得るための電極密度(D)は、下記数式(2)に従って算出され得、電極空隙率(P)は下記数式(3)に従って算出され得る;
<数2>
D=M/(S×H) (2)
前記式において、
Dは電極密度を表し、
Sは電極面積であり、
Mは電極から電極基材を除いた電極活物質の質量であり、
Hは電極から電極基材を除いた電極活物質の厚さを表す。
<数3>
P=(1-D)/T×100 (3)
前記式において、
Pは電極空隙率を表し、
Dは電極密度を表し、
Tは電極から電極基材を除いた電極活物質の真密度(true density)を表す。
【0048】
ここで、真密度(true density)とは、空隙のない電極活物質の固有の密度を意味する。
【0049】
本発明の一実施例による電極密度及び電極空隙率の測定方法によれば、前記数式(2)及び(3)に従って算出された電極密度と電極活物質のI
平行方向ピーク/I
垂直方向ピーク値の間の相関関係式、及び電極空隙率と電極活物質のI
平行方向ピーク/I
垂直方向ピーク値の間の相関関係式を予め求めて保存しておくと、求めようとする電極活物質が前記相関関係式で用いられた活物質と同一の電極活物質の場合、測定値ごとに電極の一部を破壊する必要がないので、X-線回折を用いることにより効率的且つ簡単に電極密度及び電極空隙率を測定することができる。
【0050】
本発明の一実施例によれば、前記電極に用いられる電極の基材、及び電極活物質は当分野で通常用いられる正極基材、負極基材、正極活物質または負極活物質であり得る。
【0051】
具体的に正極基材は、非制限的な例としてアルミニウム、ニッケルまたはこれらの組合せによって製造されるホイルなどがあり、負極基材は非制限的な例としては銅、金、ニッケルまたは銅合金またはこれらの組合せによって製造されるホイルなどがある。
【0052】
前記正極活物質は、マンガン系スピネル(spinel)活物質、リチウム金属酸化物またはこれらの混合物を含むことができる。さらに、前記リチウム金属酸化物はリチウム-コバルト系酸化物、リチウム-マンガン系酸化物、リチウム-ニッケル-マンガン系酸化物、リチウム-マンガン-コバルト系酸化物及びリチウム-ニッケル-マンガン-コバルト系酸化物からなる群より選択され得、より具体的にはLiCoO
2、LiNiO
2、LiMnO
2、LiMn
2O
4、Li(Ni
aCo
bMn
c)O
2(ここで、0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiNi
1-YCo
YO
2、LiCo
1-YMn
YO
2、LiNi
1-YMn
YO
2(ここで、0≦Y<1)、Li(Ni
aCo
bMn
c)O
4(0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn
2-zNi
zO
4、LiMn
2-zCo
zO
4(ここで、0<Z<2)であり得る。
【0053】
一方、前記負極活物質としては、結晶質炭素、非晶質炭素または炭素複合体のような炭素系負極活物質が単独に、または2種以上が混用されて用いられ得、好ましくは結晶質炭素として天然黒鉛と人造黒鉛のような黒鉛系(graphite)炭素であり得る。本発明は、一つの一実施例として炭素系活物質である黒鉛を例えて具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、通常用いられる正極及び負極活物質の全てに多様に適用され得る。
【0054】
本発明の一実施例によれば、前記相関関係式から得た電極密度の決定係数(R
2)は0.6から1.0であり得、好ましくは0.8から1.0、さらに好ましくは0.9から1.0である。
【0055】
また、本発明の一実施例によれば、前記相関関係式から得た電極空隙率の決定係数(R
2)は0.6から1.0であり得、好ましくは0.8から1.0、さらに好ましくは0.9から1.0である。もし、前記電極密度及び電極空隙率の決定係数(R
2)が前記範囲を外れる場合、求めようとする電極密度及び電極空隙率に対する誤差範囲が大きくなり、信頼度が低下することができる。
【0056】
前記のように、本発明の一実施例によってX-線回折を用いることによって、非破壊的な方法で電極密度及び空隙率を効率的に測定することができ、このような方法により得た電極密度及び電極空隙率の値はかなり正確性が高い。
【0057】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳しく説明する。しかし、本発明に係る実施例はいくつかの形態に変形され得、本発明の範囲が下記で詳述する実施例に限定されるものに解釈されてはならない。本発明の実施例は当分野で平均的な知識を有した者に、本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
[発明を実施するための形態]
【実施例】
【0058】
以下、実施例及び実験例を挙げてさらに説明するが、本発明がこれら実施例及び実験例により制限されるものではない。
【0059】
<負極の製造>
[製造例1]
負極活物質として黒鉛、バインダとしてカルボキシメチルセルロース(CMC)とスチレンブタジエンゴム(SBR)、導電剤としてカーボンブラック(carbon black)をそれぞれ96重量%、1重量%、2重量%及び1重量%とし、溶媒である水に添加して負極混合物スラリーを製造した。前記負極混合物スラリーを厚さが約21.2μmの負極基材である銅(Cu)薄膜に塗布し、乾燥して負極を製造した後、ロールプレス(roll press)を行って厚さが61.8μmの負極を製造した。
【0060】
[製造例2]
負極の厚さが54.2μmであることを除いては、実施例1と同じ方法で負極を製造した。
【0061】
[製造例3]
負極の厚さが49.8μmであることを除いては、実施例1と同じ方法で負極を製造した。
【0062】
[製造例4]
負極の厚さが49.1μmであることを除いては、実施例1と同じ方法で負極を製造した。
【0063】
[製造例5]
負極の厚さが47.0μmであることを除いては、実施例1と同じ方法で負極を製造した。
【0064】
[製造例6]
負極の厚さが52.0μmであることを除いては、実施例1と同じ方法で負極を製造した。
【0065】
[製造例7]
負極の厚さが48.5μmであることを除いては、実施例1と同じ方法で負極を製造した。
【0066】
[実施例1]
<負極の密度測定>
【0067】
1) 負極密度及び負極活物質のI
004/I
110の相関関係式を求める
製造例1から5で製造された負極で特定面積の負極を採取し、採取した負極の面積、質量及び厚さを測定しており、この結果を数式(2)に代入して負極密度(D)を求めた。これは下記表1の通りである:
【表1】
【0068】
採取した負極の面積は、全サンプルに対して1.4875cm
2として同一であり、負極の厚さは銅の厚さ(21.2μm)を含む。
【0069】
X-線回折により製造例1から5で製造された負極で負極活物質のI
004/I
110を求めており、これは下記表2の通りである:
【表2】
【0070】
前記表1及び表2から得た負極密度、及びX-線回折による負極活物質のI
004/I
110を用いて相関関係式を得ており、これは
図3の通りである。
【0071】
図3で分かるように、製造例1から5で製造された負極を用いた負極密度、及び負極活物質のI
004/I
110は高い決定係数(R
2)を有する線形関係をみせた。すなわち、
図3の負極密度とI
004/I
110の相関関係グラフをみると、R
2=0.9889として1に近い数値を確認することができる。これは殆どの負極の密度測定値がほぼ回帰線上にあることを表し、非常に高い相関関係にあることをみせる。
【0072】
2) X-線回折を用いて密度を求めようとする負極活物質のI
004/I
110値を求める
求めようとする製造例6及び7で製造された負極で、黒鉛活物質のI
004/I
110値は下記表3の通りである。
【表3】
3) 負極密度の算出段階
【0073】
前記2)でのX-線回折を用いて黒鉛活物質のI
004/I
110値を相関関係式、すなわち
図3のグラフに代入させて、製造例6及び7で製造された負極の密度を得ることができ、これは下記表4の通りである。
【表4】
【0074】
[比較例1]従来の電極密度の計算方法(数式(2))による製造例6及び7の負極密度の測定
製造例6から7で製造された負極で特定面積の負極を採取し、負極の面積、質量及び厚さを測定して負極密度(D)を求めており、これを下記表5に示した:
【表5】
【0075】
前記表4でX-線回折を用いて求めた負極密度と、前記表5で特定面積の負極を採取して求めた負極密度値は、かなり近接していることが分かり、これは相関関係式から算出した負極密度(g/cm
3)がかなり正確な値であることが分かる。
【0076】
[実施例2]
<負極の空隙率の測定>
1) 負極空隙率及び負極活物質のI
004/I
110の相関関係式を求める
【0077】
製造例1から5で製造された負極で特定面積の負極を採取し、採取した負極の質量及び厚さを測定して負極密度(D)を求めており、黒鉛の真密度(T)(2.11g/cm
3)を用いて数式(3)に代入して負極空隙率(P)を測定した。これは下記表6の通りである:
【表6】
【0078】
前記表6の負極空隙率及び前記実施例1の表2のX-線回折を介した負極活物質のI
004/I
110を用いて相関関係式を得た。
【0079】
図4で分かるように、製造例1から5で製造された負極を用いた負極空隙率及び負極活物質のI
004/I
110は、高い決定係数を有する線形関係をみせた。
【0080】
すなわち、
図4の負極空隙率とI
004/I
110の相関関係グラフをみると、R
2=0.9875として1に近い数値を確認することができる。これは殆どの負極の空隙率測定値がほぼ回帰線上にあることを表し、非常に高い相関関係にあることをみせる。
【0081】
2) X-線回折を用いて空隙率を求めようとする活物質のI
004/I
110値を求める
製造例6及び7で製造された負極で黒鉛活物質のI
004/I
110値は、前記実施例1の表3に示した値を用いた。
【0082】
3) 負極空隙率の算出段階
前記2)でのX-線回折を用いて黒鉛活物質のI
004/I
110値を
図4に代入させて製造例6及び7で製造された負極の空隙率(%)を得ることができ、これは下記表7の通りである。
【表7】
【0083】
[比較例2]従来の電極空隙率の計算方法(数式(3))による製造例6及び7の負極空隙率の測定
【0084】
製造例6から7で製造された負極で特定面積の負極を採取し、負極の面積、質量及び厚さを測定して表5のように負極密度(D)を求めており、これを用いて表8のように負極空隙率(P)を計算した。
【表8】
【0085】
前記表7でX-線回折を用いて求めた負極空隙率と、前記表8で特定面積の負極を採取して求めた負極空隙率値は、かなり近接していることが分かり、これは相関関係式から算出した負極空隙率(%)がかなり正確な値であることが分かる。