(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一成分として、前記一般式(I)で表される化合物から選ばれる2種類以上の化合物を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の誘電率異方性が負である液晶組成物。
前記第二成分として、前記一般式(II)で表される化合物から選ばれる2種類以上の化合物を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の誘電率異方性が負である液晶組成物。
ネマティック−アイソトロピック転移温度が70℃〜120℃、25℃、589nmにおける誘電率異方性が−1.5〜−8.0、25℃、1kHzにおける複屈折率が0.080〜0.250である請求項1〜9のいずれか1項に記載の誘電率異方性が負である液晶組成物。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の誘電率異方性が負である液晶組成物(以下、本発明の液晶組成物)は、第一成分として下記一般式(I)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含有し、第二成分として下記一般式(II)で表される化合物で表される化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含有し、かつ、一般式(III)で表される化合物を含有していないことを特徴とする。
以下、まず成分ごとに説明する。
【0012】
<一般式(I)で表される化合物>
本発明の液晶組成物は、下記一般式(I)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含有する。本発明の液晶組成物は、一般式(I)で表される化合物を1種類のみ含有していてもよいが、2種類以上を含有していることが好ましい。
【0014】
一般式(I)中、R
11及びR
12は互いに独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表す。本発明においては、R
11及びR
12は互いに独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましく、互いに独立して炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜5のアルコキシ基がより好ましい。また、R
11及びR
12は、それぞれ分岐鎖状の基であってもよく、直鎖状の基であってもよいが、直鎖状の基であることが好ましい。
【0015】
一般式(I)中、a
11は0又は1を表す。本発明の液晶組成物においては、応答速度をより速めることを重視する場合には、a
11は0が好ましい。一方で、T
niをより高めることを重視する場合には、a
11は1が好ましい。また、Δnを大きくすることを重視する場合にも、a
11は1が好ましい。
【0016】
一般式(I)中、A
11及びA
12は互いに独立して、下記の4種の6員環を有する2価の基のいずれかを表す。なお、以下、これらの4種の6員環を有する2価の基をまとめて「2価の環状炭化水素基群A」ということがある。A
11が1,4−フェニレン基である場合、ベンゼン環上に存在する1個又は2個以上の水素原子はハロゲンで置換されていてもよい。A
12が1,4−フェニレン基である場合、ベンゼン環上に存在する1個又は2個以上の水素原子はハロゲンで置換されていてもよい。本発明の液晶組成物においては、A
11及びA
12は互いに独立して、1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基が好ましく、1,4−フェニレン基は1個又は2個以上のフッ素原子により置換されていてもよい。本発明の液晶組成物においては、粘性をより低下させることを重視する場合には、一般式(I)中、a
11が1であり、かつA
11が1,4−シクロヘキシレン基であることがより好ましい。また、屈折率異方性(Δn)をより大きくすることを重視する場合には、A
12は1,4−フェニレン基がより好ましい。
【0018】
一般式(I)で表される化合物としては、R
11及びR
12が互いに独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基であり、a
11が0であり、A
12が無置換の1,4−フェニレン基、1個又は2個以上のフッ素原子が置換されている1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基である化合物、R
11及びR
12が互いに独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基であり、a
11が1であり、A
11及びA
12が互いに独立してA
12が無置換の1,4−フェニレン基、1個又は2個以上のフッ素原子が置換されている1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基である化合物であることが好ましい。中でも、R
11及びR
12が互いに独立して炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基であり、a
11が0であり、A
12が無置換の1,4−フェニレン基、1個又は2個以上のフッ素原子が置換されている1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基である化合物、R
11及びR
12が互いに独立して炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基であり、a
11が1であり、A
11及びA
12が互いに独立してA
12が無置換の1,4−フェニレン基、1個又は2個以上のフッ素原子が置換されている1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基である化合物であることがより好ましい。
【0019】
一般式(I)で表される化合物は、より具体的には、下記の一般式(I−1)〜(I−3)で表される化合物が好ましい。一般式(I−1)〜(I−3)中、R
11は一般式(I)におけるR
11と同じ意味を表し、R
12は一般式(I)におけるR
12と同じ意味を表す。本発明の液晶組成物は、第一成分として、一般式(I−1)〜(I−3)で表される化合物を少なくとも1種類含有していることが好ましく、一般式(I−1)〜(I−3)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有していることがより好ましい。
【0021】
一般式(I−1)〜(I−3)で表される化合物としては、R
11及びR
12が互いに独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基である化合物が好ましい。中でも、R
11が炭素原子数1〜8のアルキル基であり、R
12が炭素原子数1〜8のアルコキシ基である化合物がより好ましい。
【0022】
本発明の液晶組成物中の第一成分の含有量(すなわち、一般式(I)で表される1種類又は2種類以上の化合物の総含有量)は、2質量%以上であることが好ましく、2〜50質量%がより好ましく、2〜40質量%がさらに好ましく、5〜30質量%がよりさらに好ましい。
【0023】
<一般式(II)で表される化合物>
本発明の液晶組成物は、下記一般式(II)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含有する。本発明の液晶組成物は、一般式(II)で表される化合物を1種類のみ含有していてもよいが、2種類以上を含有していることが好ましい。
【0025】
一般式(II)中、R
21及びR
22は互いに独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表す。本発明においては、R
21及びR
22は互いに独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましく、互いに独立して炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜5のアルコキシ基がより好ましい。また、R
21及びR
22は、それぞれ分岐鎖状の基であってもよく、直鎖状の基であってもよいが、直鎖状の基であることが好ましい。
【0026】
一般式(II)中、Z
21は単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−又は−CH
2CH
2−を表す。本発明においては、Z
21は単結合、−CH
2O−、−OCH
2−又は−CH
2CH
2−が好ましく、単結合がより好ましい。
【0027】
一般式(II)中、A
21は前記2価の環状炭化水素基群A中のいずれかの基を表す。A
21が1,4−フェニレン基である場合、ベンゼン環上に存在する1個又は2個以上の水素原子はハロゲンで置換されていてもよい。本発明においては、A
21は無置換の1,4−フェニレン基、1個又は2個以上のフッ素原子が置換されている1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基が好ましく、無置換の1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基がより好ましい。本発明の液晶組成物において、粘性をより低下させることを重視する場合には、一般式(II)中、A
21は1,4−シクロヘキシレン基がより好ましい。
【0028】
一般式(II)で表される化合物としては、R
21及びR
22が互いに独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基であり、Z
21が単結合、−CH
2O−、−OCH
2−又は−CH
2CH
2−であり、A
21が無置換の1,4−フェニレン基、1個又は2個以上のフッ素原子が置換されている1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基である化合物が好ましく、R
21及びR
22が互いに独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基であり、Z
21が単結合であり、A
21が無置換の1,4−フェニレン基、1個又は2個以上のフッ素原子が置換されている1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基である化合物がより好ましい。
【0029】
一般式(II)で表される化合物は、より具体的には、下記の一般式(II−1)〜(II−2)で表される化合物が好ましい。一般式(II−1)〜(II−2)中、R
21は一般式(II)におけるR
21と同じ意味を表し、R
22は一般式(II)におけるR
22と同じ意味を表す。本発明の液晶組成物は、第二成分として、一般式(II−1)〜(II−2)で表される化合物を少なくとも1種類含有していることが好ましく、一般式(II−1)〜(II−2)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有していることがより好ましく、一般式(II−1)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有していることがさらに好ましい。
【0031】
一般式(II−1)〜(II−2)で表される化合物としては、R
21及びR
22が互いに独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基である化合物が好ましい。中でも、R
21が炭素原子数1〜8のアルキル基であり、R
22が炭素原子数1〜8のアルコキシ基である化合物がより好ましい。
【0032】
本発明の液晶組成物中の第二成分の含有量(すなわち、一般式(II)で表される1種類又は2種類以上の化合物の総含有量)は、5質量%以上であることが好ましく、5〜70質量%がより好ましく、5〜40質量%がさらに好ましく、10〜30質量%がよりさらに好ましい。
【0033】
本発明の液晶組成物中の第一成分の含有量及び第二成分の含有量の総量は、10質量%以上であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましく、20〜60質量%であることがさらに好ましく、20〜40質量%であることがよりさらに好ましい。
【0034】
<一般式(III)で表される化合物>
本発明の液晶組成物は、下記一般式(III)で表される化合物を含有していない。本発明の液晶組成物は、一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物を組み合わせて含有していることにより、より高い液晶組成物が得られるという効果を奏するが、さらに一般式(III)で表される化合物を含有させることにより、T
niが低下する傾向がある。
【0036】
一般式(III)中、R
31及びR
32は互いに独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基を表す。
【0037】
<一般式(III’)で表される化合物>
本発明の液晶組成物は、下記一般式(III’)で表される化合物を含有していないことが好ましい。但し、一般式(III’)で表される化合物には、上記一般式(III)で表される化合物は含まれていない。
【0039】
一般式(III’)中、R
31’及びR
32’は互いに独立して、水素原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、又は炭素原子数2〜18のアルケニル基を表す。R
31’又はR
32’ がアルキル基又はアルケニル基である場合、当該基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は、−O−、−S−及び−C≡C−からなる群から選択される基により置き換えられていてもよい。
【0040】
<一般式(IV)で表される化合物>
本発明の液晶組成物は、一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物に加えて、さらに下記一般式(IV)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含有していてもよい。一般式(IV)で表される化合物をさらに含有することにより、本発明の液晶組成物を、粘度を過剰に高くすることなく、T
niをより高め、かつΔεの絶対値及びΔnをいずれも大きくすることができる。
【0042】
一般式(IV)中、R
41及びR
42は互いに独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表す。本発明においては、R
41及びR
42は互いに独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましく、互いに独立して炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜5のアルコキシ基がより好ましい。また、R
41及びR
42は、それぞれ分岐鎖状の基であってもよく、直鎖状の基であってもよいが、直鎖状の基であることが好ましい。
【0043】
一般式(IV)中、A
41は前記2価の環状炭化水素基群A中のいずれかの基を表す。A
41が1,4−フェニレン基である場合、ベンゼン環上に存在する1個又は2個以上の水素原子はハロゲンで置換されていてもよい。本発明においては、A
41は無置換の1,4−フェニレン基、1個又は2個以上のフッ素原子が置換されている1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基が好ましい。本発明の液晶組成物において、粘性をより低下させることを重視する場合には、一般式(IV)中、A
41は1,4−シクロヘキシレン基がより好ましい。
【0044】
一般式(IV)で表される化合物は、より具体的には、下記の一般式(IV−1)〜(IV−3)で表される化合物が好ましい。一般式(IV−1)〜(IV−3)中、R
41は一般式(IV)におけるR
41と同じ意味を表し、R
42は一般式(IV)におけるR
42と同じ意味を表す。一般式(IV)で表される化合物を含有する場合には、本発明の液晶組成物は、一般式(IV−1)〜(IV−3)で表される化合物を少なくとも1種類含有していることが好ましく、一般式(IV−1)〜(IV−3)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有していることがより好ましく、一般式(IV−1)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有していることがさらに好ましい。
【0046】
一般式(IV−1)〜(IV−3)で表される化合物としては、R
41及びR
42が互いに独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基である化合物が好ましい。中でも、R
41が炭素原子数1〜8のアルキル基であり、R
42が炭素原子数1〜8のアルコキシ基である化合物がより好ましい。
【0047】
一般式(IV)で表される化合物を含有している場合、本発明の液晶組成物中の一般式(IV)で表される化合物の含有量は、3〜40質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。
【0048】
<一般式(V)で表される化合物>
本発明の液晶組成物は、一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物に加えて、さらに下記一般式(V)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含有していてもよい。
【0050】
一般式(V)中、R
51及びR
52は互いに独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表す。本発明においては、R
51及びR
52は互いに独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましく、互いに独立して炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜5のアルコキシ基がより好ましい。また、R
51及びR
52は、それぞれ分岐鎖状の基であってもよく、直鎖状の基であってもよいが、直鎖状の基であることが好ましい。
【0051】
一般式(V)中、Z
51は単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−又は−CH
2CH
2−を表す。本発明においては、Z
51は単結合、−CH
2O−、−OCH
2−又は−CH
2CH
2−が好ましく、単結合がより好ましい。
【0052】
一般式(V)中、Z
52は−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−又は−CH
2CH
2−を表す。本発明においては、Z
52は−CH
2O−、−OCH
2−又は−CH
2CH
2−が好ましく、−CH
2O−、−OCH
2−又は−CH
2CH
2−がより好ましい。
【0053】
一般式(V)中、A
51及びA
52は互いに独立して前記2価の環状炭化水素基群A中のいずれかの基を表す。A
51が1,4−フェニレン基である場合、ベンゼン環上に存在する1個又は2個以上の水素原子はハロゲンで置換されていてもよい。A
52が1,4−フェニレン基である場合、ベンゼン環上に存在する1個又は2個以上の水素原子はハロゲンで置換されていてもよい。本発明の液晶組成物においては、A
51及びA
52は互いに独立して、1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基が好ましく、1,4−フェニレン基は1個又は2個以上のフッ素原子により置換されていてもよい。
【0054】
一般式(V)で表される化合物としては、R
51及びR
52が互いに独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基であり、Z
51が単結合、−CH
2O−、−OCH
2−又は−CH
2CH
2−であり、Z
52が−CH
2O−、−OCH
2−又は−CH
2CH
2−であり、A
51及びA
52が互いに独立して無置換の1,4−フェニレン基、1個又は2個以上のフッ素原子が置換されている1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基である化合物が好ましい。より具体的には、下記の一般式(V−1)〜(V−8)で表される化合物が好ましい。一般式(V−1)〜(V−8)中、R
51は一般式(V)におけるR
51と同じ意味を表し、R
52は一般式(V)におけるR
52と同じ意味を表す。一般式(V)で表される化合物を含有する場合には、本発明の液晶組成物は、一般式(V−1)〜(V−8)で表される化合物を少なくとも1種類含有していることが好ましく、一般式(V−1)又は(V−2)で表される化合物を少なくとも1種類含有していることがより好ましい。
【0056】
一般式(V−1)〜(V−8)で表される化合物としては、R
51及びR
52が互いに独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基である化合物が好ましい。中でも、R
51が炭素原子数1〜8のアルキル基であり、R
52が炭素原子数1〜8のアルコキシ基である化合物がより好ましい。
【0057】
一般式(V)で表される化合物を含有している場合、本発明の液晶組成物中の一般式(V)で表される化合物の含有量は、5質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましい。
【0058】
<一般式(VI)で表される化合物>
本発明の液晶組成物は、一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物に加えて、さらに下記一般式(VI)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含有していてもよい。一般式(VI)で表される化合物は、Δεがゼロ付近の化合物である。また、当該化合物は分子内に電子吸引性基を有していても良いが、2個以下が好ましく、1個以下がより好ましく、全く含まないものが更に好ましい。
【0060】
一般式(VI)中、R
61及びR
62は互いに独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表す。本発明においては、R
61及びR
62は互いに独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましい。また、R
61及びR
62は、それぞれ分岐鎖状の基であってもよく、直鎖状の基であってもよいが、直鎖状の基であることが好ましい。
【0061】
一般式(VI)で表される化合物を含有する場合、本発明の液晶組成物中に含まれている少なくとも1種類の一般式(VI)で表される化合物において、R
61及びR
62のうちの少なくとも一方は、アルケニル基又はアルケニルオキシ基であることが好ましい。
【0062】
一般式(VI)中、A
61、A
62及びA
63は互いに独立して下記の17種の環状構造を有する2価の基のいずれかを表す。なお、以下、これら17種の環状構造を有する2価の基をまとめて「2価の環構造含有基群A’」ということがある。本発明においては、A
61、A
62及びA
63は互いに独立して、2価の環構造含有基群A’中の無置換の1,4−フェニレン基、1個又は2個以上のフッ素原子が置換されている1,4−フェニレン基、1個のメチル基が置換されている1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基が好ましく、無置換の1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基がより好ましい。
【0064】
一般式(VI)中、Z
61及びZ
62は互いに独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−C≡C−、−C=N−N=C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF
2O−、−OCF
2−、−COO−又は−OCO−を表す。本発明においては、Z
61及びZ
62は互いに独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−C≡C−、−COO−又は−OCO−が好ましく、単結合又は−C≡C−がより好ましい。
【0065】
一般式(VI)中、a
61は0、1又は2を表す。本発明においては、a
61は0又は1が好ましい。a
61が2であり、A
62が複数存在する場合は、それらは同一でもよく異なっていてもよい。同様に、Z
62が複数存在する場合は、それらは同一でもよく異なっていてもよい。
【0066】
一般式(VI)で表される化合物としては、R
61及びR
62は互いに独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基であり、A
61、A
62及びA
63が互いに独立して2価の環構造含有基群A’中の無置換の1,4−フェニレン基、1個又は2個以上のフッ素原子が置換されている1,4−フェニレン基、1個のメチル基が置換されている1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基であり、Z
61及びZ
62が互いに独立して単結合又は−C≡C−であり、a
61が0又は1である化合物が好ましい。より具体的には、下記の一般式(VI−1)〜(VI−14)で表される化合物が好ましい。一般式(VI−1)〜(VI−14)中、R
61は一般式(VI)におけるR
61と同じ意味を表し、R
62は一般式(VI)におけるR
62と同じ意味を表す。
【0068】
一般式(VI)で表される化合物を含有する場合には、本発明の液晶組成物は、一般式(VI)で表される化合物を1〜10種類含有することが好ましく、2〜8種類含有することがより好ましい。また、一般式(VI−1)〜(VI−14)で表される化合物を少なくとも1種類含有していることが好ましい。本発明の液晶組成物中の一般式(VI)で表される化合物の含有量は、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましく、30質量%以上であることが特に好ましい。また、該化合物の含有量は、80質量%以下が好ましく、70質量%以下が更に好ましく、60質量%以下が更に好ましい。
【0069】
<一般式(VII)で表される化合物>
本発明の液晶組成物は、一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物に加えて、さらに下記一般式(VII)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含有していてもよい。一般式(VII)で表される化合物は、Δεが負の化合物である。
【0071】
一般式(VII)中、R
71及びR
72は互いに独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表す。本発明においては、R
71及びR
72は互いに独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましい。また、R
71及びR
72は、それぞれ分岐鎖状の基であってもよく、直鎖状の基であってもよいが、直鎖状の基であることが好ましい。
【0072】
一般式(VII)で表される化合物を含有する場合、本発明の液晶組成物中に含まれている少なくとも1種類の一般式(VII)で表される化合物において、R
71及びR
72のうちの少なくとも一方は、アルケニル基又はアルケニルオキシ基であることが好ましい。
【0073】
一般式(VII)中、A
71及びA
72は互いに独立して前記2価の環状炭化水素基群A中のいずれかの基を表す。本発明の液晶組成物においては、A
71及びA
72は互いに独立して、1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基が好ましい。
【0074】
一般式(VII)中、Z
71及びZ
72は互いに独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−COO−又は−OCO−を表す。本発明においては、Z
71及びZ
72は互いに独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−CH
2O−又は−OCH
2−が好ましい。
【0075】
一般式(VII)中、a
71は0又は1を表す。
但し、一般式(VII)で表される化合物には、一般式(III)で表される化合物は含まれない。すなわち、Z
71が単結合であり、かつa
71が0の場合、A
71は1,4−シクロへキシレン基ではない。
【0076】
一般式(VII)で表される化合物としては、R
71及びR
72が互いに独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基であり、a
71が0又は1であり、Z
71及びZ
72が互いに独立して単結合、−CH
2CH
2−、−CH
2O−又は−OCH
2−であり、A
71及びA
72が互いに独立して1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基である化合物が好ましい。より具体的には、下記の一般式(VII−1)〜(VII−17)で表される化合物が好ましい。一般式(VII−1)〜(VII−17)中、R
71は一般式(VII)におけるR
71と同じ意味を表し、R
72は一般式(VII)におけるR
72と同じ意味を表す。
【0079】
一般式(VII−1)〜(VII−17)で表される化合物としては、R
71及びR
72のうちの少なくとも一方が、アルケニル基又はアルケニルオキシ基である化合物が好ましい。
一般式(IV)で表される化合物を含有する場合には、本発明の液晶組成物は、一般式(VII−1)〜(VII−5)で表される化合物を少なくとも1種類含有していることが好ましい。
また、一般式(VII)で表される化合物を含有している場合、本発明の液晶組成物中の一般式(VII)で表される化合物の含有量は、5質量%以上であることが好ましい。
【0080】
本発明の液晶組成物は、本願発明の効果が損われない限度において、上述の化合物以外に、通常のネマティック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶、酸化防止剤、紫外線吸収剤、重合性モノマー等を含有することができる。但し、本発明の液晶組成物は、−O−O−、−O−S−及び−S−S−等のヘテロ原子同士が直接結合する部分構造を有する液晶化合物は含有しないことが好ましい。
【0081】
本発明の液晶組成物が含有し得る重合性モノマーは、光重合性モノマーが好ましい。光重合性モノマーを含有している場合、本発明の液晶組成物の光重合性モノマーの含有量は、500〜5000ppmが好ましい。該光重合性モノマーとしては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の重合性不飽和二重結合を有するモノマー等が挙げられる。
【0082】
本発明の液晶組成物をアクティブマトリックス駆動液晶表示素子に用いる場合は、本発明の液晶組成物のT
niは60〜120℃であることが好ましく、下限値としては65℃がより好ましく、70℃が特に好ましい。上限値としては90℃がより好ましく、80℃が特に好ましい。25℃におけるΔεが−2.0〜−6.0であることが好ましく、−2.5〜−5.0であることがより好ましく、−2.5〜−3.5であることが特に好ましい。25℃におけるΔnは、0.08〜0.13であることが好ましく、0.09〜0.12であることがより好ましい。更に詳述すると、25℃におけるΔnは、薄いセルギャップに対応する場合は0.10〜0.12であることが好ましく、厚いセルギャップに対応する場合は0.08〜0.10であることが好ましい。20℃における粘度(η)は、10〜30mPa・sであることが好ましく、10〜25mPa・sであることがより好ましく、10〜20mPa・sであることが特に好ましい。
【0083】
本発明の液晶組成物をパッシブマトリクス駆動液晶表示素子に用いる場合は、本発明の液晶組成物のT
niは、民生用途では60〜120℃であることが好ましく、下限値としては65℃がより好ましく、70℃が特に好ましい。上限値としては90℃がより好ましく、80℃が特に好ましい。車載用途などでは、下限値としては90℃がより好ましく、100℃が特に好ましい。上限値としては115℃がより好ましく、105℃が特に好ましい。25℃におけるΔnは、低duty駆動用では0.08〜0.13であることが好ましく、0.08〜0.11であることが特に好ましい。また、高duty駆動用では0.13〜0.20であることが好ましく、0.15〜0.18であることが特に好ましい。25℃におけるΔεは、低duty駆動では−2.0〜−7.0であることが好ましく、−2.5〜−5.5であることが特に好ましい。20℃におけるηは、10〜40 mPa・sであることが好ましく、10〜30 mPa・sであることがより好ましく、10〜25 mPa・sであることが特に好ましい。
【0084】
本発明の液晶組成物のT
ni、Δε、及びΔnは、それぞれ、第一成分及び第二成分をはじめとする各種化合物の組成比を調整することにより、該液晶組成物の使用用途等に適した範囲に適宜調整することができる。本発明の液晶組成物としては、T
niが70℃〜120℃であり、25℃、589nmにおけるΔεが−1.5〜−8.0であり、25℃、1kHzにおけるΔnが0.080〜0.250であることが好ましい。T
ni、Δε、及びΔnがこれらの範囲内にあることにより、様々な用途に好適に用いることができる。
【0085】
また、本発明の液晶組成物を用いることにより、垂直配向能を有する液晶表示素子を製造することができる。例えば、本発明の液晶組成物を用いることにより、プレチルト角が80°ないし90°である液晶表示素子を製造することができる。
【実施例】
【0086】
以下、実施例等を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
【0087】
実施例中の用語を以下に説明する。
T
ni : ネマティック−アイソトロピック転移温度[℃]
Δn : 屈折率異方性(589nm, 25℃)
Δε : 誘電率異方性(1kHz, 25℃)
η : バルクフロー粘度[mPa・s](20℃)
応答速度 : 液晶組成物をギャップ3.5μm、プレチルト角89°の垂直配向セルに注入し、5V、100Hz矩形波にて測定
【0088】
実施例中の化合物記載に下記略号を使用する。
側鎖略号を以下に示す。
-n(数字) : -C
nH
2n+1(アルキル側鎖は数字、代表するときはRとする。)
-On : -OC
nH
2n+1
-ndm : -(C
nH
2n+1-C=C-(CH
2)
m-1)
ndm- : C
nH
2n+1-C=C-(CH
2)
m-1-
-nOm : -(CH
2)
nOC
mH
2m+1
nOm- : C
nH
2n+1O(CH
2)
m-
-Od(m)n:-O(C
nH
2n+1-C=C-(CH
2)
m-2)
d(m)nO- : C
nH
2n+1-C=C-(CH
2)
m-2O-
【0089】
連結基略号を以下に示す。
-T- : -C≡C-
-2- : -CH
2CH
2-
-1O- : -CH
2-O-
-O1- : -O-CH
2-
環略号を以下に示す。
【0090】
【化23】
【0091】
(実施例1、2及び比較例1)
表1に記載の組成からなる液晶組成物を製造し、該液晶組成物のT
ni、Δε、Δn及びηを測定した。測定結果を表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
実施例1の液晶化合物は、Δnの値を変化させることなく、比較例1の液晶化合物中の一般式(IV)で表される化合物を一般式(I)で表される化合物に置き換えたものである。この結果、実施例1の液晶化合物のΔεの絶対値は、比較例1の液晶化合物の1.2倍以上であり、明らかに大きくなっていた。また、実施例1の液晶化合物のT
niとηは、比較例1の液晶化合物とほぼ同程度であり、その増大幅は比較例1の液晶組成物の5%程度であり、ほぼ同等であると言えた。
実施例2の液晶化合物は、Δn及びΔεの絶対値を同程度に維持しつつ、比較例1の液晶化合物中の一般式(IV)で表される化合物を一般式(I)で表される化合物に置き換えたものである。この結果、実施例2の液晶化合物のT
niは比較例1とほぼ同等であったが、ηは比較例1の液晶化合物の0.8倍程度であり、大幅に低下していた。
これらの結果から、液晶組成物に、一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物を含有させ、かつ一般式(III)で表される化合物を含有させないことにより、Δεの絶対値、Δn、T
ni、及びηのうちの少なくとも1つを、残る3つを悪化させることなく(例えば、−15%以下にまで悪化させることなく)、改善できることが明らかである。
【0094】
特に実施例1は、比較例1の液晶組成物中の一般式(IV)で表される化合物のうち、一般式(I)中の2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基が1,4−フェニレン基に置換された無極性化合物の代わりに、一般式(I)で表される化合物を含有させた液晶組成物である。よってこの結果から、無極性の化合物に代えて一般式(I)で表される化合物を含有させることにより、Δnを維持しつつ、Δεの絶対値が大きな液晶組成物が得られることがわかった。
【0095】
(実施例3及び比較例2)
表2に記載の組成からなる液晶組成物を製造し、該液晶組成物のT
ni、Δε、Δn及びηを測定した。測定結果を表2に示す。
【0096】
【表2】
【0097】
比較例2は、実施例3の液晶組成物中の一般式(II)で表される化合物の含有量を低下させ、一般式(III)で表される化合物を含有させた液晶組成物である。比較例2の液晶組成物のT
niは、実施例3の85%以下でしかなく、実施例3の液晶組成物に比べて非常に低かった。この結果から、式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物を含有する液晶組成物に、さらに一般式(III)で表される化合物を含有させると、T
niが低下してしまうことがわかった。