(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961989
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】半導体レーザ素子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20160721BHJP
H01S 5/323 20060101ALI20160721BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20160721BHJP
【FI】
H01L21/78 V
H01S5/323 610
H01L21/78 S
H01L21/78 B
B23K26/00 H
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-264344(P2011-264344)
(22)【出願日】2011年12月2日
(65)【公開番号】特開2013-118250(P2013-118250A)
(43)【公開日】2013年6月13日
【審査請求日】2014年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】谷坂 真吾
(72)【発明者】
【氏名】小泉 大樹
【審査官】
中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−077419(JP,A)
【文献】
特開2009−290122(JP,A)
【文献】
特開平08−064906(JP,A)
【文献】
特開2009−105466(JP,A)
【文献】
特開2008−160070(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0130698(US,A1)
【文献】
特開昭58−139487(JP,A)
【文献】
特開昭60−003182(JP,A)
【文献】
特開平10−070335(JP,A)
【文献】
特開2011−029261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B23K 26/00
H01S 5/323
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、光導波路を有する半導体構造と、を下面側から順に備える半導体レーザ素子を複数含んだウエハを準備する工程と、
前記ウエハの上面側又は下面側の少なくとも一方に、前記光導波路から離間し且つ前記光導波路と交差する方向に延伸した第1溝を形成する工程と、
前記第1溝が形成された前記ウエハの上面側又は下面側の少なくとも一方に、前記第1溝を延長させた直線と交差し且つ前記第1溝よりも平滑な面を有する第2溝を形成する工程と、
前記第1溝に沿って前記ウエハを分割することによりレーザバーを得る工程と、
前記第1溝が延伸する方向と交差する方向に前記レーザバーを分割して個々の半導体レーザ素子を得る工程と、を有することを特徴とする半導体レーザ素子の製造方法。
【請求項2】
前記第1溝及び第2溝を、前記ウエハの下面側に形成することを特徴とする請求項1に記載された半導体レーザの製造方法。
【請求項3】
前記第1溝を形成する工程において、前記第1溝をレーザ加工により形成し、
前記第2溝を形成する工程において、前記第2溝をエッチング加工により形成することを特徴とする請求項1又は2のいずれか1つに記載された半導体レーザの製造方法。
【請求項4】
前記半導体レーザ素子を得る工程において、前記第2溝に沿って前記レーザバーを分割することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載された半導体レーザの製造方法。
【請求項5】
前記第2溝を形成する工程において、断面形状がV字形状となるように形成することを特徴とする請求項4に記載された半導体レーザの製造方法。
【請求項6】
基板と、共振器端面と交差する光導波路を有する半導体構造と、を下面側から順に備える半導体レーザ素子であって、
下面側又は上面側の少なくとも一方において、前記共振器端面には前記光導波路から離間し且つ前記共振器端面に沿って延伸した第1溝が設けられ、
前記第1溝が設けられた下面側又は上面側の少なくとも一方には、前記第1溝を延長させた直線と交差し且つ前記第1溝よりも平滑な面を有する第2溝が設けられていることを特徴とする半導体レーザ素子。
【請求項7】
前記第1溝及び前記第2溝は、前記基板の下側に設けられていることを特徴とする請求項6に記載された半導体レーザ素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、半導体レーザ素子及びその製造方法に関するものであり、特に基板上に半導体構造を有するウエハから半導体レーザ素子への分割方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体レーザ素子は、レーザ発振するための共振器面を結晶の劈開面を利用して作製されている。AlGaInN系のIII族窒化物半導体では、その結晶構造が六方晶であることから、半導体ウエハ(以下「ウエハ」ともいう)を劈開により分割し共振器面を形成する工程(以下「レーザバーを得る工程」ともいう)において、分割する方向が所望の方向とは異なる方向に逸れやすい。この分割方向の逸れを抑制するために、
図6のように分割方向に沿って破線状に劈開導入溝を設ける技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−105466
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように、劈開導入溝をRIE(Reactive Ion Etching)で形成すると、時間がかかるため生産性が低下する。そこで、劈開導入溝を短時間で形成できる方法の1つとして、レーザ照射による加工法が挙げられる。レーザ照射による加工法の課題として、高エネルギー且つ短時間で形成するため、劈開導入溝の表面が微細な凹凸を有する形状となってしまう。この劈開導入溝に沿ってウエハを分割すると、劈開導入溝の微細な凹凸に起因して、劈開面の垂直方向に対して劈開面の高さがずれて生じる段差がスジ状に発生してしまう(このスジ状段差を、本明細書では単に「スジ」ともいう)。この劈開面において段差が光導波路まで進行すると、レーザ駆動時に光導波路を共振する光が段差に当たり散乱することで、光出力が低下したり、出射時に所望ではない方向に出射することでFFP(Far Field Pattern)に悪影響が生じてしまう。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、光出力やFFPに優れた半導体レーザ素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る半導体レーザ素子の製造方法は、基板と、光導波路を有する半導体構造と、を下面側から順に備える半導体レーザ素子を複数含んだウエハを準備する工程と、ウエハの上面側又は下面側の少なくとも一方に、光導波路から離間し且つ光導波路と交差する方向に延伸した第1溝を形成する工程と、第1溝が形成されたウエハの上面側又は下面側の少なくとも一方に、第1溝を延長させた直線と交差するように延伸し且つ第1溝よりも平滑な面を有する第2溝を形成する工程と、第1溝に沿って前記ウエハを分割することによりレーザバーを得る工程と、第1溝が延伸する方向と交差する方向にレーザバーを分割して個々の半導体レーザ素子を得る工程と、を有する。
【0007】
一実施形態に係る半導体レーザ素子は、基板と半導体構造とを下面側から順に備えており、半導体構造は劈開により共振器端面が設けられ共振器端面と交差する方向に光導波路を有している。さらに、共振器端面における基板の下面側には、第1溝及び第2溝が設けられている。第1溝は、光導波路から離間し、且つ共振器面に沿って延伸する。また、第2溝は、第1溝を延長させた直線と交差するように延伸し、第1溝よりも平滑な面を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光出力及びFFPに優れた半導体レーザ素子とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態におけるウエハを下面側からみた平面図である。
【
図3】本実施形態の半導体レーザ素子の断面図である
【
図4】第2溝を設けた場合のレーザバーの断面写真である
【
図5】第2溝を設けていない場合のレーザバーの断面写真である。
【
図6】従来技術のウエハの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態について、図面を参照しながら、以下に説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、本発明を以下のものに特定しない。各図面が示す部材のサイズや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については、原則として同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0011】
図1に、本実施形態において用いたウエハ100を下面側からみた平面図を示す。
図2は
図1のA−B断面図であり、
図3は本実施形態で得られる半導体レーザ素子200の断面図である。また、本発明の効果を説明するために、
図4に第2溝を設けた場合のレーザバーの断面写真(
図4に対応)を示し、
図5に第2溝を設けていない場合のレーザバーの断面写真を示す。なお、
図1及び
図2ではp電極、n電極及び誘電体膜を省略しており、
図3ではn電極を省略してある。
【0012】
半導体レーザ素子200の製造方法は、基板20と、光導波路35を有する半導体構造30と、を下面側100bから順に備える半導体レーザ素子を複数含んだウエハ100を準備する工程と、ウエハの上面側100a又は下面側100bの少なくとも一方に、光導波路35から離間し且つ光導波路35と交差する方向に延伸した第1溝40を形成する工程と、第1溝40が形成されたウエハの上面側又は下面側の少なくとも一方に、第1溝40を延長させた直線と交差するように延伸し且つ第1溝40よりも平滑な面を有する第2溝50を形成する工程と、第1溝40に沿ってウエハを分割することによりレーザバーを得る工程と、第1溝40が延伸する方向と交差する方向にレーザバーを分割して個々の半導体レーザ素子200を得る工程と、を有する。
【0013】
これにより、レーザバーを得る工程において、第1溝40から光導波路35に進行するスジ状の段差を第2溝50で遮断することができるので、レーザ駆動時に光出力の低下やFFPの特性悪化を抑制することができる。
【0014】
つまり、
図5に示すように、劈開時に生じる段差は、第1溝から水平方向(ウエハ100の平面方向。
図5では左方向。)に進行した後、ウエハの上面側100a(ウエハの平面方向と垂直をなす方向。
図5では上方向。)に進行する。第2溝がない場合(
図5参照)では、第1溝から生じるスジの中にリッジ90の直下に位置する光導波路35に到達するスジが存在することがある。このように光導波路35にスジが形成されてしまうと、光出力の低下やFFPの特性悪化を引き起こすため、十分な特性が得られない半導体レーザ素子となってしまう。
【0015】
これに対して、
図4に示すように、第2溝を設けた場合では、第1溝40から生じる複数のスジの中で水平方向に進行するスジを遮断し、光導波路35にスジを進行させないようにすることができる。さらに、第2溝を第1溝よりも平滑な面にすることで、第2溝から新たなスジが生じることを抑制することができる。これにより、光導波路35にスジが形成されないため、光出力やFFP特性に優れた半導体レーザ素子とすることができる。
【0016】
なお、ここでは、劈開を容易にするために、第1溝40よりも深く且つ第1溝40と同一方向に延伸する溝X60(
図1及び
図2参照)を設け、ブレードを第1溝40及び溝X60に対向するようにウエハの上面側100aに配置させ、溝X60側(つまり、
図4及び
図5では右側)から押圧させていくことで、溝X60を起点として第1溝に沿った劈開を行っている。このため、劈開時に生じるスジは、劈開が進む片側方向(つまり、
図4及び
図5では第1溝40の左側方向)に進行する。この場合、少なくとも第1溝40の片側に第2溝50を設ければよい。
【0017】
以下、半導体レーザ素子の製造方法の各工程について説明する。
(ウエハを準備する工程)
【0018】
まず、GaNからなる基板20上に、半導体構造30としてn型半導体層31、活性層32、p型半導体層33、を順に形成した。ここでは、各層として、In
xAl
yGa
1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)を用いた。なお、基板20は劈開可能であればよく、GaN基板に限定されないことは言うまでもない。
【0019】
続いて、半導体構造30の一部をストライプ状にエッチングし、ストライプ状のリッジ90を形成した。その後、リッジ90上面にp電極80を形成する。ここでは、p電極80として、Ni/Au/Ptを用いた。ストライプ状のリッジに対応して半導体構造30の内部に光導波路35が設けられる。
【0020】
次に、基板20の下面側を研磨やCMP等で薄くし、ウエハ100の厚みを100μm程度に調整する。これにより、ウエハ100を分割しやすくできる。
【0021】
次に、基板20の下面側にn電極を形成する。本実施形態では、n電極は、Ti/Au/Pt/Auの順に形成した。なお、n電極は、基板20の下面側に電極形成を行う代わりに、ドライエッチング等を用いて、ウエハの上面側100aからn型半導体層31を露出させて電極形成することもできる。
【0022】
このようにして、複数の半導体レーザ素子が配列されたウエハ100を準備する。
(第1溝を形成する工程)
【0023】
第1溝40は、ウエハ100を分割して劈開面を得るための劈開導入溝として機能する。ここでは、第1溝40をウエハの下面側100bに設けている。また平面視において、第1溝40は、光導波路35から離間しており、光導波路35と交差する方向に延伸するように形成される。
【0024】
第1溝40の延伸方向における第1溝の断面形状は、
図4に示すように台形であるが、本発明はこれに限定されないことは言うまでもない。
【0025】
第1溝40の深さは、5μm以上20μm以下が好ましい。また、第1溝40の延伸方向の長さは、30μm以上60μm以下が好ましく、第1溝40の延伸方向と直交する幅よりも長い方が好ましい。これにより、劈開性をより向上させることができる。本実施形態では、第1溝40の深さは10μm、第1溝40の延伸方向の長さは50μm、第1溝40の延伸方向と直交する方向の幅は7μmとした。
(第2溝を形成する工程)
【0026】
第2溝50は、ウエハ分割時に第1溝40から生じるスジを遮断するためのスジ遮断溝として機能する。第2溝50は、第1溝40が形成されたウエハの下面側100bに、第1溝40を延長させた直線と交差するように延伸し(すなわち、第2溝50は、第1溝40と交差するのではなく、第1溝40の延伸方向に延伸する直線(図示なし)と交差する)、第1溝40よりも平滑な面を有するように形成される。第2溝50は、第1溝40とウエハ100の同一面側に形成され且つ第1溝40と離間していることで、第1溝40から水平方向に向かって進行するスジ状段差を遮断できる。さらに、第2溝50が平滑な面で構成されることで、分割時に第2溝50自身からの段差の発生も抑制できる。なお、第2溝50が第1溝40よりも平滑な面を有しているかどうかは、例えば、第1溝40の延伸方向における断面SEM像で確認することができる。
【0027】
第1溝40及び第2溝50は、光導波路35に近いウエハ上面側100aでなく、光導波路35から離れたウエハ下面側100bに形成することができる。これにより、光出力やFFPへの悪影響を最小限に抑えることができる。つまり、第1溝40がウエハの下面側100bにある場合、第1溝40から進行するスジは、水平方向に進行した後、光導波路35が設けられる半導体構造30側(ウエハ上面側100a)に進行するので、仮に第2溝50で全てのスジの進行が阻止できなくても、スジは光導波路35を縦方向(
図4の上方向(ウエハの厚み方向))に進むことになる。一方、第1溝40がウエハの上面側100aにある場合、スジは第1溝40から横方向(
図4の横方向(ウエハの水平方向))に進行して光導波路35を横切ることになるので、仮に第2溝50で全てのスジの進行が阻止できなければ、スジは光導波路35を横方向に進むことになる。ここで、一般に光導波路35は縦方向より横方向に長いため、スジが光導波路35を横方向に進行しないようにすることで(つまり、スジが光導波路35を長い距離横切らないようにすることで)、スジが光出力やFFPに与える影響を最小限に抑えることができる。
【0028】
第2溝50は、第1溝40が延伸する方向と交差する方向に延伸すれば良く、
図1のように直交することに限定されない。また、第2溝50は、
図1に示すように直線状に途切れなく延伸しているが、例えば破線状に形成することもできる。
【0029】
なお、第2溝50は、第1溝40がウエハの上面側100aに形成される場合は、第1溝40と同様にウエハの上面側100aに形成される。また、第1溝40及び第2溝50は、ウエハの上面側100a及び下面側100bの両側に設けることもできる。
【0030】
第2溝50は、RIEのようなドライエッチング又はウェットエッチングのようなエッチング加工により形成されることが好ましい。これにより、平滑面を有する第2溝50を比較的容易に形成することができる。本実施形態では、第1溝40をレーザ加工で形成し、第2溝50をドライエッチングで形成する。これにより、第1溝40を迅速に形成することができると共に、平滑面を有する第2溝50をより容易に形成することができる。ただし、第2溝50は平滑面を有していれば良く、例えば、第1溝40を形成するために使用するレーザよりも加工精度が良いレーザによって形成しても良い。
【0031】
また、後述するレーザバー分割工程において、第2溝50に沿ってレーザバーを分割することが好ましい。これにより、レーザバーを分割する際に新たな溝を形成する必要がなく、工程短縮が可能となる。このとき、第1溝40の延伸方向における第2溝50の断面形状は、第2溝50の先端部が鋭角となる形状が好ましい。これにより、精度良く分割することができる。さらにV字形状であれば、精度良く分割できることに加えて、短時間のエッチングで形成でき、生産性が向上する。ここで、V字形状とは、ウエハの表面から内部に向かうにつれて幅狭となるような形状を指す。
【0032】
本実施形態では、第2溝50の深さを、第1溝40と同じ10μmとした。第1溝40から先ずは横方向に段差状スジが進行するので、第2溝50の深さは、第1溝40と実質的に同じか、好ましくは第1溝40よりも深くすることができる。これにより、第1溝40から生じたスジを第2溝50でより確実に遮ることができる。なお、第2溝50でスジをより確実に遮るには、第1溝40と第2溝50との距離はできるだけ近いほうがよい。
【0033】
なお、本実施形態では、光導波路35の間毎に、第1溝40及び第2溝50を形成しているが、その位置は限定されない。
(レーザバーを得る工程)
【0034】
次に、第1溝40及び第2溝50が形成されたウエハ100において、第1溝40の延伸方向に沿ってウエハ100を劈開する。これにより劈開面を共振器端面とするレーザバーを得る。
(レーザバーを分割する工程)
【0035】
次に、第1溝40が延伸する方向と交差する方向にレーザバーを分割することで、個々の半導体レーザ素子200を得る。レーザバーを分割する方法は、ブレードブレイク、ローラーブレイク又はプレスブレイク等、公知の方法を利用することができる。分割する際、第2溝50に沿ってレーザバーを分割することが好ましい。
【0036】
なお、レーザバーを得る工程の後やレーザバーを分割する工程の後で酸洗浄工程を追加することもできる。これにより、ウエハ起因のくず(例えば、ガリウム系酸化物)を除去することができる。
【0037】
図3を参照して、本実施形態におけるウエハ100から分割されて得られた半導体レーザ素子200について説明する。
【0038】
半導体レーザ素子200は、基板20と、半導体構造30と、を下面側から順に備えており、半導体構造30は、劈開により共振器端面が設けられ、共振器端面と交差する方向に光導波路を有している。さらに、共振器端面における基板20の下面側には、第1溝40及び第2溝50が設けられている。第1溝40は、光導波路から離間し、且つ共振器面に沿って延伸する。また、第2溝50は、第1溝40を延長させた直線と交差するように延伸し、第1溝40よりも平滑な面を有する。
【0039】
なお、半導体構造30の上面側には、リッジ90上面を開口させるように誘電体膜70が設けられる。さらに、リッジ90上面にp電極80が設けられている。本実施形態では、n電極は基板20の下面側に設けているが、
図3では省略している。
【0040】
これにより、劈開時に第1溝40で生じるスジを第2溝50で遮断することができるので、光出力やFFPに優れた半導体レーザ素子とすることができる。
【0041】
半導体レーザ素子200は、基板20の下面側に第1溝40及び第2溝50を有することができる。これにより、スジによりFFPが受ける影響を最小限に抑えることができる。
【符号の説明】
【0042】
100 ウエハ
100a ウエハの上面側
100b ウエハの下面側
20 基板
30 半導体構造
31 n型半導体層
32 活性層
33 p型半導体層
35 光導波路
40 第1溝
50 第2溝
60 溝X
70 誘電体膜
80 p電極
90 リッジ
200 半導体レーザ素子