【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成24年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構委託研究「低炭素社会を実現する革新的カーボンナノチューブ複合材料開発プロジェクト」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。
本発明に係わるノルボルネン系化合物(A)は、ジシクロペンタジエン化合物を含むものであり、全ノルボルネン系化合物中、ジシクロペンタジエン化合物の割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、好ましくは50重量%〜95重量%、さらに好ましくは85重量%〜95重量%である。
ジシクロペンタジエン化合物は、ジシクロペンタジエン又は置換基を有するジシクロペンタジエンである。ジシクロペンタジエンに結合する置換基は、ハロゲン原子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐の炭化水素基、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のハロゲン化炭化水素基である。置換は1つでも、複数でもよく、複数の場合、置換基は同一であってもよく、異なっていても良い。
ジシクロペンタジエン化合物は、1種でも、2種以上を組み合わせても良い。
ノルボルネン系化合物(A)のジシクロペンタジエン化合物以外の化合物としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)及びその誘導体(ここで、「誘導体」は、環に置換基を有するものである。以下、同じ。)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.1
2,5]デカ−3−エン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン)及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.1
2,5.1
7,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)及びその誘導体、などが挙げられる。
ジシクロペンタジエン化合物以外のノルボルネン系単量体は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0007】
本発明に係る単層カーボンナノチューブ(B)は
、基材から成長した状態では、多数のカーボンナノチューブ(以下、「CNT」ということがある)が特定の方向に配向した構造体である。カーボンナノチューブが単層であることは、ラマンスペクトルのBrite−Wigner−Fano(BWF)バンドの存在により確認できる。多層のカーボンナノチューブのラマンスペクトルには、BWFバンドが存在しない。
本発明に用いる単層カーボンナノチューブの平均外径は、高い導電性が得られることから、0.5〜15nmであるのが好ましく、1〜10nmであるのが、より好ましい。また、本発明に用いる単層カーボンナノチューブのBET比表面積は、800m
2/g以上であるのが、導電性の観点から好ましい。
【0008】
単層カーボンナノチューブは従来公知の方法で得ればよいが、本発明において好適に用いられる外径が0.5〜15nm、BET比表面積が800m
2/g以上の単層カーボンナノチューブは、スーパーグロース法により容易に得ることができる。スーパーグロース法によるカーボンナノチューブ(以下、「SG−CNT」ということがある)の製造方法は、例えば、日本国特許第4621896号公報に記載されている。
【0009】
本発明に用いる単層カーボンナノチューブ(B)の量は、ジシクロペンタジエン化合物を含むノルボルネン系化合物(A)100重量部に対して、通常0.01〜1重量部、好ましくは0.1〜0.8重量部、より好ましくは0.25〜0.50重量部である。単層カーボンナノチューブの量が少なすぎると、導電性が確保できず、逆に多すぎると重合液の粘度が急激に高くなり、射出成型反応を制御することが困難である。
【0010】
本発明に用いるメタセシス重合触媒(C)は、公知のメタセシス重合触媒でよい。例えばルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金などから選ばれる金属のハロゲン化物、硝酸塩又はアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒系;チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン及びモリブデンから選ばれる金属のハロゲン化物又はアセチルアセトン化合物と、助触媒の有機アルミニウム化合物とからなる触媒系;あるいは、特開平7−179575号、J.Am.Chem.Soc.,1986年,108,p.733、J.Am.Chem.Soc.,1993年,115,p.9858、及びJ.Am.Chem.Soc.,1996年,118,p.100などに開示されている公知のシュロック型やグラブス型のリビング開環メタセシス触媒;などを用いることができる。
【0011】
特に、以下の一般式で記載されるグラブス型のリビング開環メタセシス触媒が好ましい。
【0013】
一般式(1)において、R
1、R
2は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又は酸素原子、窒素原子、イオウ原子、リン原子もしくはケイ素原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。Y
1及びY
2は、それぞれ独立して任意のアニオン性配位子を示す。L
1、L
2は任意の中性の電子供与性化合物を表す。また、R
1、R
2、Y
1、Y
2、L
1及びL
2の2個、3個、4個、5個又は6個は、互いに結合して多座キレート化配位子を形成してもよい。
前記一般式において、アニオン性配位子Y
1、Y
2は、中心金属から引き離されたときに負の電荷を持つ配位子であり、例えば、F、Cl、Br、Iなどのハロゲン原子、ジケトネート基、置換シクロペンタジエニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボキシル基などを挙げることができる。これらの中でもハロゲン原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
また、中性の電子供与性化合物L
1、L
2は、中心金属から引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子であればいかなるものでもよい。その具体例としては、ケトン類、アミン類、ピリジン類、エーテル類、ニトリル類、エステル類、ホスフィン類、チオエーテル類、芳香族化合物、オレフィン類、イソシアニド類、チオシアネート類、ヘテロ原子含有カルベン化合物等が挙げられる。これらの中でも、ホスフィン類、ピリジン類、ヘテロ原子含有カルベン化合物が好ましく、トリアルキルホスフィンやN原子含有カルベン化合物がより好ましい。
【0014】
これらの触媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。触媒の使用量は、重合条件等により適宜選択されればよいが、ジシクロペンタジエン化合物を含むノルボルネン系化合物(A)100重量部に対して、通常0.01ミリモル以上、好ましくは0.1ミリモル以上、かつ、通常50ミリモル以下、好ましくは20ミリモル以下である。メタセシス重合触媒の使用量が少なすぎると重合活性が低すぎて反応に時間が掛かるため生産効率が悪く、使用量が多すぎると反応が激しくなり型内に全量が充填される前に硬化反応が進行したり、触媒が析出しやすくなるなどの問題がある上、反応性組成物を均質に保存することが困難になる。
【0015】
本発明の反応射出成形方法においては、上記反応性組成物を金型内に注入し、金型内で塊状重合を行なう。
メタセシス重合触媒に、その重合活性を向上する目的で共触媒を併用する場合は、上記反応原液Aと、少なくともノルボルネン系モノマー及び共触媒を含有する反応原液Bとを混合して、反応性組成物とし、この反応性組成物を金型内で塊状重合を行なう。
【0016】
共触媒は、メタセシス重合触媒の重合活性を向上させるものである。具体例としては、エチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド等のアルキルアルミニウムハライド、アルコキシアルキルアルミニウムハライド等の有機アルミニウム化合物;テトラブチル錫等の有機スズ化合物;ジエチル亜鉛等の有機亜鉛化合物;ジメチルモノクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラクロロシラン、ビシクロヘプテニルメチルジクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、ジヘキシルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルトリクロロシラン等のクロロシラン化合物;等が挙げられる。
共触媒の使用量は、特に限定されないが、通常、反応に使用するメタセシス重合触媒1モルに対して、0.1モル以上、好ましくは1モル以上、且つ、100モル以下、好ましくは10モル以下である。
【0017】
重合触媒が活性剤を必要とするものである場合は、活性調節剤を併用するのが好ましい。活性調節剤は、金型への注入途中で重合が開始するのを防ぐためのものである。活性調節剤としては、エーテル、エステル、ニトリル等のルイス塩基;アセチレン類;及びα−オレフィン類が好適に使用される。
更に、ノルボルネン系化合物の重合転化率を向上させるため、重合促進剤を添加することができる。重合促進剤としては、塩素原子含有化合物が好ましく、中でも有機塩素化合物が好ましい。その具体例としては、2,4−ジクロロベンゾトリクロリド、ヘキサクロロ−p−キシレン、2,4−ジクロロ−トリクロロトルエン等を挙げることができる。
上記活性調節剤及び重合促進剤の添加量は、特に限定されないが、反応性組成物(反応射出成形時における本発明の配合液であって、ノルボルネン系化合物及びメタセシス重合触媒のほか、活性剤等所要の成分を含有するものをいう。)重量の概ね10ppm〜10%である。
【0018】
本発明ではカーボンナノチューブの分散性の向上、成形体の導電性の向上とその均一化の観点から、分散助剤(D)を添加することが好ましい。分散助剤の添加量は、ノルボルネン系重合体重量に対して、5%〜15%であることが好ましい。分散助剤が多すぎると、反応射出成型法による得られた成形体の性質を損なう場合があり、少なすぎると、カーボンナノチューブが液状モノマー中に十分に分散されない場合があり、いずれも好ましくない。好ましい分散助剤としては、ドデシルトリメチルアンモニウム ブロミド(DTAB)、テトラアルキルアンモニウム、トリアルキルベンジルアンモニウムアルキルピリジニウム等のカチオン系低分子化合物分散剤;アクリル系共重合体、フッ素・塩素系重合体、未水添環状オレフィン重合体やこれらの変性体などのポリマー系分散剤;などが挙げられる。これらの中でも充分なπ電子を有する未水添環状オレフィン重合体はカーボンナノチューブのπ電子と高い親和性を示すため、高い均一性を示すモノマー/CNT重合液を得ることが可能であり、かつ、分散助剤がマトリックスに取り込まれるため成形体の物性に優れるといった観点から未水添環状オレフィン重合体が特に好ましい。また、分散助剤がポリマーである場合、その重量平均分子量は通常5000以上であり、好ましくは5000〜100000である。分散助剤の反応性組成物中での分散性を勘案し、分散助剤を、その分散助剤を良く溶解する良溶媒に溶解させて用いるのが好ましい。この場合、分散助剤の濃度は、カーボンナノチューブの良好な分散性の観点から、通常は0.5〜2重量%、好ましくは1〜1.5重量%である。
【0019】
本発明において、成形体の特性の改良又は維持のために、反応性組成物に各種添加剤を配合してもよい。添加剤としては、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、発泡剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、軟化剤、粘着付与剤、可塑剤、離型剤、防臭剤、香料、等を挙げることができる。
【0020】
本発明の反応性組成物を調製する方法は、特に限定されず、各成分を任意の方法で混合すればよい。
反応射出成形に際しては、本発明の反応性組成物を、型内で塊状重合させて、成形体を得る。
本発明の反応性組成物の調製方法は、特に限定されないが、典型的には、単層カーボンナノチューブとノルボルネン系化合物とを混合した後、メタセシス重合触媒をそのまま、又は少量の不活性溶媒に溶解又は分散して調製した配合液を添加し、混合する方法が挙げられるほか、ノルボルネン系化合物(A)、カーボンナノチューブ(B)、メタセシス重合触媒(C)及び必要な添加剤等のうち、任意の組み合わせの配合液同士を、金型内で混合することによって得ることもできる。
【0021】
共触媒を用いる場合には、ノルボルネン系化合物の一部を重合触媒と混合したものと、ノルボルネン系化合物の一部を共触媒と混合したものとを調整し、両者を混合すれば良い。このとき、単層カーボンナノチューブは、重合触媒と混合するノルボルネン系化合物に事前に混合されていても良いし、共触媒と混合するノルボルネン系化合物に事前に混合されていても良い。
【0022】
本発明の反応性組成物を金型内で塊状重合させるには、例えば、反応射出成形(RIM)装置として公知の、ダイナミックミキサーやスタティックミキサー等の低圧注入機;衝突混合装置;などを用いることができる。
なお、反応射出成形に供する前の反応性組成物の温度は、好ましくは10〜60℃であり、粘度は、例えば30℃において、通常、5〜3,000mPa・s、好ましくは50〜1,000mPa・s程度である。
【0023】
反応射出成形に使用する金型にも特に限定はないが、通常、雄型と雌型とで形成される金型を用いる。
金型の材質は、特に限定されず、スチール、アルミニウム、亜鉛合金、ニッケル、銅、クロム等の金属及び樹脂を示すことができる。また、これらの金型は、鋳造、鍛造、溶射、電鋳等のいずれの方法で製造されたものでもよく、また、メッキされたものであってもよい。
型の構造は型に反応性組成物を注入する際の圧力を勘案して決めるとよい。また、金型の型締め圧力は、ゲージ圧で0.1〜9.8MPaである。
成形時間は、ノルボルネン系化合物(A)、単層カーボンナノチューブ(B)及びメタセシス重合触媒(C)や、その他の配合剤の組成比や金型温度等によって変化するので、一様ではないが、一般的には5秒〜6分、好ましくは10秒〜5分である。
【0024】
雄型及び雌型を対とする金型で形成されるキャビティ内に反応性組成物を供給して塊状重合させる場合において、一般に意匠面側金型の金型温度T1(℃)を意匠面に対応する側の金型の金型温度T2(℃)より高く設定しておくことが好ましい。これにより、成形体の表面外観をヒケや気泡のない美麗なものとすることができる。
T1−T2は、下限が好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上であり、上限が好ましくは60℃以下である。T1は、上限が好ましくは110℃以下、より好ましくは95℃以下であり、下限が好ましくは50℃以上である。T2は、上限が好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下であり、下限が好ましくは30℃以上である。
金型温度を調整する方法としては、例えば、ヒータによる金型温度の調整;金型内部に埋設した配管中に循環させる温調水、油等の熱媒体の温度調整;等が挙げられる。
【0025】
塊状重合の終了後、金型を型開きして脱型することにより、反応射出成形体を得ることができる。必要に応じて、脱型後の成形体の表面のバリなどを除去することもできる。
【実施例】
【0026】
<実施例1>
20mlのグラスバイアルに単層カーボンナノチューブ(SG−CNT、外径2〜3nm、G/D=3〜5、BET比表面積=1000m
2/g)1mg、ノルボルネン系化合物(ジシクロペンタジエン/エチリデンテトラシクロドデセン=85/15(重量比))2gを導入し、超音波洗浄機で1時間、分散処理を行った。得られた分散液に、次式(2)で表されるグラブス触媒2mgを添加した後、5分間撹拌し、反応性組成物を得た。
【0027】
【化2】
【0028】
得られた反応性組成物を、40℃、10分間保持した後、予め60℃に加熱したプレス機用金属型(型内サイズ:20mm横x10mm幅x1mm厚さ)に注入した(一次硬化段階)。金型温度を60℃に保ち、5分間、開環重合を進行させて、得られた一次硬化物を、予め100℃に加熱した別の同型のプレス機用金属型に移し、100℃で5分間保持し(二次硬化段階)、更に開環重合を進行させた。二次硬化反応を進行させ、反応射出成形体を得た。
得られた成形体のバリなどエッジを除去し、厚さ1mm、横20mm、縦10mmの成形体を切り出した。
この成形体について、三菱化学社製のロレスタ(登録商標)GP(MCP−T610型)装置を用い、四端子法の円形電極による電気導電率を測定したところ、1.53x10
−4S/cmであった。
一方、SG−CNTを含まないこと以外は、同様の方法により得られた反応射出成形体の電気導電率は約1.0x10
−16S/cmであった。
【0029】
<実施例2>
SG−CNT添加量を2mgにしたこと以外は、実施例1と同様に行い、得られた反応射出成形体の電気導電率を測定したところ、1.58x10
-3S/cmであった。
<実施例3>
SG−CNT添加量を10mgにしたこと以外は、実施例1と同様に行い、得られた反応射出成形体の電気導電率を測定したところ、7.18x10
-3S/cmであった。
<実施例4>
20ccのグラスバイアルにCNT(単層カーボンナノチューブ
(SG−CNT、外径2〜3nm、G/D=3〜5、BET比表面積=1000m
2/g)
)1mg、ノルボルネン系化合物(ジシクロペンタジエン/エチリデンテトラシクロドデセン=85/15(重量比))2g、及び分散助剤(DTAB:DodecyltrimethylammoniumBromide)10mgを導入し、超音波洗浄機による1時間分散処理を行った。得られた分散液に、前式(2)で表されるグラブス触媒2mgを添加した後、5分間撹拌し、反応性組成物を得た。
得られた反応性組成物を、40℃、10分間保持した後、予め60℃に加熱したプレス機用金属型(型内サイズ:20mm横x10mm幅x1mm厚さ)に注入した(一次硬化段階)。金型温度を60℃に保ち、5分間、開環重合を進行させて、得られた一次硬化物を、予め100℃に加熱した別の同型のプレス機用金属型に移し、100℃で5分間保持し(二次硬化段階)、更に開環重合を進行させた。二次硬化反応を進行させ、反応射出成形体を得た。
得られた成形体のバリなどエッジを除去し、厚さ1mm、横20mm、縦10mmの成形体を切り出した。
この成形体について、三菱化学社製のロレスタ(登録商標)GP(MCP−T610型)装置を用い、四端子法の円形電極による電気導電率を測定したところ、8.66x10
-4S/cmであった。
【0030】
<実施例5>
SG−CNT添加量を2mgにしたこと以外は、実施例4と同様に行い、得られた反応射出成形体の電気導電率を測定したところ、1.66x10
−3S/cmであった。
<実施例6>
SG−CNT添加量を10mgにしたこと以外は、実施例4と同様に行い、得られた反応射出成形体の電気導電率を測定したところ、1.80x10
−2S/cmであった。
【0031】
<実施例7>
20ccのグラスバイアルにCNT(単層カーボンナノチューブ
(SG−CNT、外径2〜3nm、G/D=3〜5、BET比表面積=1000m
2/g)
)1mg、ノルボルネン系化合物(ジシクロペンタジエン/エチリデンテトラシクロドデセン=85/15(重量比))2g、分散助剤(DTAB:Dodecyltrimethylammonium)10mg、及び溶剤(DMAc:Dimethylacetamide)198mgを導入し、超音波洗浄機による1時間分散処理を行った。得られた分散液に、前式(2)で表されるグラブス触媒2mgを添加した後、5分間撹拌し、反応性組成物を得た。
得られた反応性組成物を、40℃、10分間保持した後、予め60℃に加熱したプレス機用金属型(型内サイズ:20mm横x10mm幅x1mm厚さ)に注入した(一次硬化段階)。金型温度を60℃に保ち、5分間、開環重合を進行させて、得られた一次硬化物を、予め100℃に加熱した別の同型のプレス機用金属型に移し、100℃で5分間保持し(二次硬化段階)、更に開環重合を進行させた。二次硬化反応を進行させ、反応射出成形体を得た。
得られた成形体のバリなどエッジを除去し、厚さ1mm、横20mm、縦10mmの成形体を切り出した。
この成形体について、三菱化学社製のロレスタ(登録商標)GP(MCP−T610型)装置を用い、四端子法の円形電極による電気導電率を測定したところ、9.56x10
-4S/cmであった。
【0032】
<実施例8>
SG−CNT添加量を2mgにしたこと以外は、実施例
7と同様に行い、得られた反応射出成形体の電気導電率を測定したところ、3.14x10
-3S/cmであった。
<実施例9>
SG−CNT添加量を10mgにしたこと以外は、実施例
7と同様に行い、得られた反応射出成形体の電気導電率を測定したところ、3.82x10
-2S/cmであった。
<実施例10>
分散助剤として、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン(以下、「MTF」ということがある)の単独開環重合体(Mw=23000、Tg=183℃)、溶剤として、Toluene198mgを用いたこと以外は、実施例7と同様にして、反応射出成形体を得た。
得られた成形体のバリなどエッジを除去し、厚さ1mm、横20mm、縦10mmの成形体を切り出した。
この成形体について、三菱化学社製のロレスタ(登録商標)GP(MCP−T610型)装置を用い、四端子法の円形電極による電気導電率を測定したところ、4.42x10
-3S/cmであった。
【0033】
<比較例1>
ノルボルネン系化合物として、エチリデンテトラシクロドデセンのみ2gを用いたこと以外は、実施例2と同様に行い、得られた反応射出成形体の電気導電率を測定したところ、1.81x10
−5S/cmであった。
<比較例2>
ノルボルネン系化合物として、MTFのみ2gを用いたこと以外は、実施例2と同様に行い、得られた反応射出成形体の電気導電率を測定したところ、5.56x10
−5S/cmであった。
【0034】
【表1】
【0035】
この結果から、カーボンナノチューブの添加量が0.05重量%とごくわずかであっても、ノルボルネン系化合物にジシクロペンタジエンを含むと、高い導電性を持つ射出反応成形体を得ることができることがわかる。