(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被写体の画像を表示する表示面を有し、予め定められた形状の固定パターンを、前記表示面において前記被写体の画像が表示される領域内の予め定められた固定領域に表示する表示部と、
前記表示面に対向して配置され、前記表示面からの光を通過させるフィルタ部であって、前記固定領域と対向する対向領域の曇り度が可変なフィルタ部と、
を備える撮像装置。
前記曇り度制御部は、前記表示面が前記固定パターンを意図的に表示していないときの前記対向領域の曇り度を、意図的に表示しているときの前記対向する領域の曇り度より大きくする請求項2から4のいずれか一項に記載の撮像装置。
前記曇り度制御部は、前記表示面と同一面に形成され、画像を表示しないダミー表示面の輝度を予め定められた周期でサンプリングした輝度値と、前記固定パターンの現在の輝度値との差分である輝度差を計算し、当該輝度差が予め定められた閾値を超えた場合に、前記フィルタ部の前記対向する領域の曇り度を増加させる
請求項2から4のいずれか一項に記載の撮像装置。
前記被写体の画像を表示する表示面を有し、予め定められた形状の固定パターンを、前記表示面において前記被写体の画像が表示される領域内の予め定められた固定領域に表示する、前記撮像装置の背面に設けられた背面表示部と、
前記表示面に対向して配置され、前記表示面からの光を通過させる第2のフィルタ部であって、前記固定領域と対向する対向領域の曇り度が可変な第2のフィルタ部と、
をさらに備え、
前記表示部の前記固定領域または前記背面表示部の前記固定領域のいずれか一方が、前記固定パターンを表示する
請求項1から10のいずれか一項に記載の撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、本実施形態に係る撮像装置100の要部断面図である。本例において、撮像装置100は、ライブビュー機能付きのデジタルカメラである。ただし、撮像装置100は、ライブビュー機能付きのカメラに限定されず、後述する固定パターンが被写体画像に重畳して表示される表示装置を有する撮像装置であればよい。
【0009】
撮像装置100の背面には、背面表示部61、決定ボタン、十字キー、ライブビューボタン、ファインダ窓67、近接センサ等が設けられている。撮像装置100の側面には、照度センサ等が設けられている。また、撮像装置100の上面には、シャッタボタンが設けられている。
【0010】
背面表示部61には、撮影された被写体の画像が表示される他、撮像装置100の各種設定に関する様々な設定情報、メニュー項目等が表示される。本例の背面表示部61および後述する電子ビューファインダ(EVF)における表示部70には同一の内容が表示可能である。本例の背面表示部61は、表示部70よりも焼き付きの度合いが少ないパネルを有する。焼き付きの度合いが少ないとは、同一の画素値の画像を同一の時間表示したときの、輝度の劣化の度合いが少ないことを指す。例えば背面表示部61は液晶パネルを有し、表示部70は有機ELパネルを有する。
【0011】
ユーザは、十字キー、決定ボタンおよび他の操作部材を操作することにより、背面表示部61に画像データ、メニュー項目等を順次表示させて視認しながら、特定の項目を選択、実行する指示を撮像装置100に与えることができる。例えば、ユーザは、十字キーによりアクティブなメニュー項目を上下左右に移動させた後に、十字キーの中心部に設けられた決定ボタンを押下げることにより、アクティブにしたメニュー項目を撮像装置100に設定、実行させることができる。
【0012】
ライブビューボタンは、撮像素子36の受光面に結像する被写体画像を逐次光電変換して表示用の画像データを生成し、これを背面表示部61に連続的に表示させるライブビューを開始させるボタンである。ユーザは、ライブビューボタンを押し下げることにより、ファインダ窓67を介した被写体観察から、背面表示部61による被写体観察に切り替えることができる。さらに、再度ライブビューボタンを押し下げれば、ファインダ窓67を介した被写体観察に戻すことができる。
【0013】
撮像装置100は、光軸11に沿って配列されたレンズ群21を備える。レンズ群21には、フォーカスレンズ、ズームレンズ等が含まれ、焦点調整、画角調整の指示に応じて光軸方向に各レンズが移動できるように構成されている。
【0014】
撮像素子36は、レンズ群21から入射される被写体光束を逐次光電変換して画像信号を生成する。画像信号は、画像データに変換され、後段の画像処理部51において表示用の画像が生成される。撮像素子36で光電変換された電気信号は、メイン基板50に搭載されたDSPである画像処理部51で画像データに処理される。メイン基板50には、画像処理部51の他に、撮像装置100のシステムを統合的に制御するMPUであるカメラシステム制御部52が搭載されている。カメラシステム制御部52は、カメラシーケンスを管理すると共に、各構成要素の入出力処理等を行う。また、撮像装置100には、着脱可能な二次電池54が収容されてよい。
【0015】
撮像装置100の内部上部には、撮像装置100の内部から光が進む方向に向かって、順に、表示部70、フィルタ部80、光学系82、ファインダ窓67が設けられている。表示部70は、画像処理部51において生成された被写体の画像を表示する表示面を有する。
図4に示すように、表示面72は、被写体の画像151に重畳して、予め定められた固定領域76に固定パターン210を表示する。固定領域76とは、表示面72にあって、固定パターン210を表示する領域を指す。固定領域76の面積は、固定パターン210の面積の総和より大きい。表示面72における固定領域76の位置は固定されている。例えば、
図5に示すように固定領域76は、表示面72の下辺に沿って配置される帯状の領域である。表示部70は、固定領域76において、予め定められた形状の固定パターン210を表示する。ここで、予め定められた形状とは、被写体に依存することなく予め定められた形状を有するパターンを指す。
【0016】
本例の固定パターン210は、被写体とは無関係の文字、記号、もしくは図形またはこれらと色の組み合わせからなる、カメラの状態を示す各種情報等を表すアイコンである。固定パターン210は、例えば、フラッシュ機能、連続シャッタースピード調節機能、露出調節機能、絞り値調節機能、記録可能撮影数、顔自動認識機能、電池残量等を表すアイコンである。固定パターン210の形状、色、模様等は変化してもよい。例えば、電池残量を表す電池残量表示アイコン214は、電池残量の多寡に応じて形状または模様等が変化する。ユーザは、ファインダ窓67を介して、固定パターン210を、被写体の画像151に重ねて観察することができる。
【0017】
表示部70および背面表示部61は、所定の状態を検出したこと等により、いずれが被写体の画像151および固定パターン210を表示するかが切り替えられる。例えば、ユーザがファインダ窓67を覗き込んだことを検出した場合、または、外光による背面表示部61の照度が所定値以上となった場合に、表示部70が被写体の画像等を表示してよい。また、ユーザの指示により、表示部70および背面表示部61のいずれが被写体の画像等を表示するかが切り替わってもよい。
【0018】
近接センサ68は、ユーザがファインダ窓67に近接したか否か、すなわちユーザがファインダ窓67を覗いているか否かを検出する。従って、近接センサ68はファインダ窓67の近傍に設けられている。近接センサ68は、例えば赤外線の投光部および受光部から構成される。撮像装置100の左側部には照度センサ69が備えられている。照度センサ69は、背面表示部61の近傍において、撮像装置100の周辺環境の照度を検出するセンサである。
【0019】
本例では、表示部70は背面表示部61よりも焼き付きの度合いが大きい。このため、表示部70では、固定パターン210の焼き付きがより目立つ。撮像装置100では、表示部70とファインダ窓67との間に、表示面72に対向して配置され、表示面72からの光を通過させるフィルタ部80が設けられる。ここで、対向するとは、フィルタ部80が表示面72と重なる領域を有するように配置されることを指す。フィルタ部80は、表示部70の表示面72における固定領域76と対向する対向領域の曇り度が可変であるように構成されている。
【0020】
ここで、曇り度とは、拡散透過率/全透過率で定義される量を指す。拡散透過率とは、フィルタ部80に平行光を入射したときの全入射光量に対する、フィルタ部80から出射される光のうち予め定められた射出角以上の射出角を有する射出光の光量の比を指す。例えば当該射出角は、片側4度である。全透過率とは、フィルタ部80に平行光を入射したときの入射光量に対する、フィルタ部80から出射される全光量の比を指す。フィルタ部80は、上述した対向領域の透過拡散率および全透過率の少なくとも一方が可変である。曇り度の量が大きくなるに従い、フィルタ部80の対向領域を透過する画像の輪郭がぼけて見える。逆に、曇り度の量が小さくなるに従い、フィルタ部80の対向領域を透過する画像の輪郭ははっきり見える。
【0021】
つまり、フィルタ部80の対向領域の拡散透過率を上げることで、対向領域を通過する固定パターン210の解像度を減少させ、固定パターン210の輪郭を曖昧にして目立たなくすることができる。または、フィルタ部80の対向領域の全透過率を下げることで、対向領域を通過する固定パターン210の解像度を低下させ、固定パターン210の輪郭を曖昧にしてもよい。
【0022】
上述したように、本例の表示部70は、有機EL素子などの自発光型素子から構成されるので、長時間同じ位置に同じ形状のパターンを表示し続けると焼き付きが生じる。焼き付きとは、当該パターンを表示する素子の輝度が、他の素子に比べて暗くなることをいう。このため、当該パターンを意図的に表示していないときでも、当該パターンに応じた素子部分が暗くなり、暗いパターンが表示されてしまう。
【0023】
有機EL素子は、陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極を順に積層して構成され、正孔輸送層から注入された正孔と、電子輸送層から注入された電子が発光層において再結合したときに生じる励起子から発光する自発光型素子である。発光層を構成する有機化合物は通電により劣化し、徐々に輝度が低下する。つまり、有機EL素子は寿命を有する。長時間同一の位置に同一形状の固定パターン210を表示した有機EL素子の画素は、それ以外の領域の画素に比べて早く劣化する。
【0024】
こうして有機EL素子に不可逆的な焼き付きが生じる。一度焼き付きが生じると、固定パターン210が暗く写って見える。フィルタ部80の対向領域の曇り度を可変とすることができれば、表示部70の固定領域に生じた固定パターン210の焼き付きを目立たなくすることができる。
【0025】
ひとつの実施形態において、フィルタ部80は、電圧を印加することにより、発光と消光が可逆的に生じるエレクトロクロミック材料を含んでよい。エレクトロクロミック材料は、印加する電圧によって曇り度が変化する特性を有している。つまり、フィルタ部80の対向領域に印加する電圧を制御することにより、対向領域の曇り度を他の領域よりも大きい値に調節することができる。したがって、フィルタ部80は、固定パターンの焼き付きを目立たなくする。フィルタ部80は、対向領域に印加する電圧を、他の領域に印加する電圧とは独立に制御する構成を有する。また、フィルタ部80は、対向領域を複数の領域に分割して、領域毎に印加する電圧を制御してもよい。
【0026】
図2は、
図1に示すファインダ窓67付近の領域aを拡大して示す。表示部70、フィルタ部80、ファインダ窓67は、表示部70からの光を通過するそれぞれの面が、表示面72と垂直でかつ光学系82の中心を通る光軸83に対して垂直となり、かつ、それぞれの面が互いに平行となるように、光の進行方向に沿ってこの順で配置される。光学系82は、フィルタ部80とファインダ窓67との間に設けられてよい。
【0027】
表示部70は、光軸83と垂直な表示面72を有する。フィルタ部80は、表示面72と対向し、かつ、光軸83と垂直な受光面84を有する。表示面72と受光面84は平行に配置され、例えば、1mm〜2mmの間隔で離隔されて固定される。なお、表示面72と受光面84との間には、透明樹脂が充填されていてもよい。表示面72は固定パターンを表示する固定領域76を有する。
【0028】
本例では、固定領域76は表示面72の下辺に沿って帯状に設けられる。フィルタ部80は、受光面84において、固定領域76と対向する位置に対向領域86を有する。つまり、受光面84の対向領域86は、光軸83方向にそって固定領域76と重なる位置に設けられる。対向領域86は、表示部70の表示面72から照射される光の曇り度を変化させる。したがって、対向領域86の曇り度を他の領域より大きくするように制御することにより、ユーザがファインダ窓67から視認する固定パターンの焼き付きを目立たなくすることができる。
【0029】
表示面72の寸法は、受光面84の寸法と同じであってもよく、異なってもよい。後者の場合、フィルタ部80は、表示面72の固定領域76と重なる対向領域86を受光面84のいずれかの領域に有すればよい。カメラシステム制御部52は、表示部70の固定領域76に表示される固定パターンの焼き付きの程度に応じた電圧をフィルタ部80の対向領域86に印加することで曇り度を調節することができる。
【0030】
図3は、本実施形態に係る撮像装置100のシステム構成を概略的に示すブロック図である。撮像装置100は、レンズシステム制御部22を中心とするレンズ制御系と、カメラシステム制御部52を中心とするカメラ制御系により構成される。そして、レンズ制御系とカメラ制御系は、相互に各種データ、制御信号の授受を行う。
【0031】
カメラ制御系に含まれる画像処理部51は、カメラシステム制御部52からの指令に則して、撮像素子36で光電変換された撮像信号を所定の画像フォーマットに従った画像データに処理する。例えば、静止画像としてJPEGファイルを生成する場合は、色変換処理、ガンマ処理、ホワイトバランス処理等の画像処理を行った後に適応離散コサイン変換等を施して圧縮処理をする。
【0032】
また、動画像としてMPEGファイルを生成する場合は、所定の画素数に縮小して生成した連続する静止画としてのフレーム画像に対して、フレーム内符号化、フレーム間符号化を施して圧縮処理をする。
【0033】
カメラメモリ132は、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性メモリであり、撮像装置100を制御するプログラム、各種パラメータなどを記憶する役割を担う。ワークメモリ133は、例えばRAMなどの高速アクセスできるメモリであり、処理中の画像データを一時的に保管する役割などを担う。
【0034】
表示制御部134は、カメラシステム制御部52の指示に従って、表示部70または背面表示部61のいずれかに被写体の画像を表示させるべく制御する。表示制御部134は、ユーザの指示に応答して、カメラメモリ132に記憶されている固定パターンを表示部70の固定領域76に重畳的に表示させる。表示制御部134は固定パターンを固定領域76に表示するか否かを制御する。
【0035】
他の例において、表示制御部134は、固定パターンを背面表示部61に表示させてもよい。本例において背面表示部61は、被写体の画像を表示する表示面を有する。背面表示部61は、予め定められた形状の固定パターンを、当該表示面において被写体の画像が表示される領域内の予め定められた固定領域に表示する。また、第2のフィルタ部が、背面表示部61の表示面と対向して配置される。当該第2のフィルタ部は、固定領域と対向する対向領域の曇り度が可変である。表示部70の固定領域または背面表示部61の固定領域のいずれか一方が、固定パターンを表示する。
【0036】
カメラシステム制御部52は、ユーザの指示に応答して、表示部70または背面表示部61のいずれの固定領域に固定パターンを表示させるかを表示制御部134に指示してよい。また、カメラシステム制御部52は、近接センサ68からの信号に応答して、ユーザがファインダ窓67を覗いているときには、表示部70の固定領域に固定パターンを表示し、ユーザがファインダ窓67を覗いていないときには、背面表示部61の固定領域に固定パターンを表示するように表示制御部134に指示してもよい。ここで、背面表示部61は、有機EL素子からなるディスプレイであってよい。なお、背面表示部61に表示する固定パターン、第2のフィルタ部の構成、曇り度の調節等については、上述した表示部70と同様なので説明を省略する。
【0037】
曇り度制御部135は、固定パターンを表示しているか否かにより、曇り度を制御する。つまり、曇り度制御部135は、表示部70の固定領域76に固定パターンを意図的に表示しているとき、フィルタ部80の対向領域86に印加する電圧を制御して当該対向領域86の曇り度を他の領域と同程度まで低くする。これにより、固定パターンを表示しているときは、固定領域76に含まれる被写体の画像の輝度が低くなることを避けることができる。一方、曇り度制御部135は、表示部70の固定領域76に固定パターンを意図的に表示していないときにおいて、表示部70に焼き付きが生じている場合には、フィルタ部80の対向領域86に印加する電圧を制御して当該対向領域86の曇り度を他の領域に比べ高くする。これにより、焼き付きを目立たなくすることができる。
【0038】
カメラシステム制御部52は、曇り度制御部135を介して、フィルタ部80を制御し、対向領域86の曇り度を変化させる。曇り度制御部135は、カメラシステム制御部52の指示に従って、フィルタ部80に適切な電圧を印加することにより対向領域86の曇り度を変化させる。後述するように、曇り度制御部135は、表示部70の使用累積時間、輝度低下の度合い、ピントの度合い等に応じて、対向領域86の曇り度を変化させる。
【0039】
近接センサ68は、ユーザがファインダ窓67を覗いたことを検出すると、検出信号をカメラシステム制御部52に出力する。カメラシステム制御部52は、近接センサ68から検出信号が入力されると、表示制御部134を制御して、背面表示部61を非表示状態に切り替える。カメラシステム制御部52は、ユーザが固定パターン非表示状態を選択した場合または固定パターン表示状態を選択した後一定時間経過した場合に、曇り度制御部135を制御して、フィルタ部80の対向領域86の曇り度を変化させる。
【0040】
照度センサ69は、検出した撮像装置100の周囲環境の照度値をカメラシステム制御部52に出力する。カメラシステム制御部52は、検出された照度値に従って、表示制御部134を介して、背面表示部61の明るさを制御する。
【0041】
操作入力部138は、十字キー、決定ボタン等の操作部材が操作されたことを検出して、カメラシステム制御部52へ出力する。操作入力部138は、ユーザの選択に応じて、固定パターン表示状態、固定パターン非表示状態をカメラシステム制御部52へ出力する。モード切替部139は、ユーザによる撮影モードの設定を受け付けて、カメラシステム制御部52へ出力する。撮影モードは、動画撮影モード、および、静止画撮影モードを含む。
【0042】
図4は、ファインダ窓67を介して視認される重畳表示200の例を示した図である。ユーザは、ファインダ窓67から、表示部70を介して被写体の画像151を視認できる。ユーザが操作入力部138において固定パターン表示状態を選択した場合には、カメラシステム制御部52は、表示制御部134を制御して、被写体の画像151に固定パターン210を重畳して表示させる。固定パターン210は、例えば、フラッシュ機能アイコン211、顔認証機能アイコン212、露出インジケータアイコン213、電池残量表示アイコン214などを含む。
【0043】
カメラシステム制御部52は、ユーザが操作入力部138において固定パターン非表示状態を選択した場合には、表示部70の固定領域76に固定パターンを重畳的に表示させない。表示制御部134は、ユーザが固定パターン表示状態を選択した場合であっても、一定時間経過後に固定パターンの表示を中止してよい。こうすることで、固定パターン210の累積表示時間を短縮できるので固定パターン210の焼き付きを先延ばしすることができる。
【0044】
図5は、固定領域76の曇り度を変化させた場合に、ファインダ窓67を介して視認される重畳表示200の例を示した図である。曇り度制御部135は、表示面72が固定パターンを意図的に表示していないときのフィルタ部80における対向領域86の曇り度を、意図的に表示しているときのフィルタ部80における対向領域86の曇り度より大きくする。
【0045】
カメラシステム制御部52は、ユーザが固定パターン非表示状態を選択したか、または、固定パターン表示状態を選択したが一定時間経過後に当該固定パターンの表示が中止された場合に、固定パターン210の焼き付きを目立たなくするべく、曇り度制御部135を制御して対向領域86の曇り度を変化させる。
【0046】
曇り度制御部135は、表示面72の輝度の時間積分値に応じて、フィルタ部80の対向領域86の曇り度を制御してよい。上述したように、表示部70が有機EL素子から構成される場合、表示時間に応じて、輝度が低下する。有機EL素子が劣化すると、特に発光層である有機物に構造変化が起こり、発光効率が変化する。すなわち、電子と正孔との再結合の頻度が減少し、輝度が低下する。つまり、輝度の低下は、電流値を計測することにより観測することができる。さらに劣化が進めば、電流を多く流しても輝度は上がらなくなる。
【0047】
カメラシステム制御部52は、電流値を累積的に計測し、そこから表示面72の輝度L(t)の時間累積値を推測する。輝度の時間累積値が有機EL素子の寿命を表す閾値Tthを超えたとき、カメラシステム制御部52は、曇り度制御部135を介して対向領域86の曇り度を他の領域に比べて高くする。こうすることにより、固定パターン210の焼き付きを目立たなくすることができる。輝度の時間累積値は、輝度L(t)の時間積分値であってよい。
【0048】
図6は、ファインダ窓67を介して視認される重畳表示200の他の例を示す。本例の曇り度制御部135は、フィルタ部80の対向領域86の曇り度を対向領域86のエッジに近づくほど徐々に増加させる点で
図6に示す実施形態と異なる。このようにカメラシステム制御部52は、曇り度の変化にグラデーションを付けて制御することにより、固定パターン210の焼き付きをさらに目立たなくすることができる。
【0049】
カメラシステム制御部52は、曇り度制御部135を制御して、フィルタ部80の対向領域86の曇り度をエッジ方向に向かって線形的または非線形的に増加させる。また、カメラシステム制御部52は、曇り度制御部135を制御して、上述した輝度の時間累積値に応じて、グラデーションの度合いを調整してもよい。
【0050】
他の例において、エッジは固定パターン210の最も外側の輪郭線であってもよい。つまり、曇り度制御部135は、フィルタ部80の対向領域86の曇り度を固定パターン210のエッジに近づくほど徐々に増加させてもよい。
【0051】
図7は、ファインダ窓67を介して視認される重畳表示200の他の例を示す。本例では、曇り度制御部135は、被写体500に対するピントの度合いに応じて、フィルタ部80の対向領域86の曇り度を制御する点で上述した実施形態と異なる。ここで、被写体500は、ユーザが選択する被写体、ユーザが選択する被写体の一部、固定領域76に重畳的に表示される被写体のいずれであってもよい。ファインダ窓67を介して視認される重畳表示200において固定パターン210の焼き付きは、被写体500に完全にピントが合っている場合に比べて、被写体500にピントが合っていない場合の方が比較的目立ちにくい。
【0052】
したがって、ピントの度合いに応じて、フィルタ部80の対向領域86の曇り度を制御するのが好ましい。例えば、
図8に示すように、被写体500にピントが合っていない場合にはカメラシステム制御部52は、フィルタ部80の対向領域86の曇り度を比較的小さくし、固定パターン210の輪郭のぼかし具合を小さくする。
【0053】
一方、
図8に示すように、被写体500にピントが合っている場合には、カメラシステム制御部52は、フィルタ部80に対向領域86の曇り度を比較的大きくし、固定パターン210の輪郭のぼかし具合を大きくする。こうすることで、被写体500にピントを合わせる作業中においても、固定パターン210の焼き付きを目立たなくすることができる。撮像装置100が動画撮像モードにあって、ユーザが動く被写体にピントを合わせる作業をしている場合などに有効である。
【0054】
図9は、表示部70の他の例を示す。本例において、表示部70は、固定パターン210を重畳的に表示する表示面72および何も表示しないダミー表示面90を有する。曇り度制御部135は、表示面72と同一面に形成され、画像を表示しないダミー表示面90の輝度を予め定められた周期でサンプリングした輝度値と、固定パターン210の現在の輝度値との差分である輝度差を計算する。ここで、輝度差は、有機EL素子の白色光の輝度の差であってよい。
【0055】
曇り度制御部135は、当該輝度差が予め定められた閾値を超えた場合に、フィルタ部80の対向領域86の曇り度を増加させる。ダミー表示面90は、固定パターン210を重畳表示する表示面72と同一面に形成された有機EL素子からなる。ダミー表示面90は、表示部70のいずれか一辺に沿って形成されてよく、二辺以上を枠のように囲んで形成されてもよい。
【0056】
カメラシステム制御部52は、表示制御部134を制御して、ダミー表示面90に、撮像装置100を最初に起動した時、6月後、1年後、1年6月後、2年後等のように、所定の周期でのみ画像を表示させる。カメラシステム制御部52は、それ以外は、ダミー表示面90に画像を表示させない。カメラシステム制御部52は、曇り度制御部135を制御して、同じ周期で、ダミー表示面90の面全体または複数の代表ポイントにおいて輝度値をサンプリングし、サンプリングした輝度値を平均化して、当該平均化した輝度値をカメラメモリ132に記録する。
【0057】
カメラシステム制御部52は、固定パターン210の現在の輝度値の平均値と、ダミー表示面90の最近の輝度値の平均値との差分を計算する。輝度値は、電流値を測定することにより観測することができる。差分値が予め定めた閾値を超えた場合には、カメラシステム制御部52は、曇り度制御部135を制御して、フィルタ部80の固定領域76と対向する対向領域86の曇り度を増加させ、固定パターン210の焼き付きを目立たなくする。
【0058】
なお、購入時における表示面72の初期輝度値に基づいて、現在の固定パターン210の輝度値との差分を計算することも考えられるが、本例では、所定の周期でダミー表示面90から輝度値をサンプリングする。一般に有機EL素子において、素子の寿命は、通電のみではなく、発光層内の有機物の酸化の程度によっても左右される。したがって、画像を表示せずとも、時間の経過とともに素子は劣化していく。固定領域76以外の表示面72においても有機EL素子の経時的な劣化は生じるので輝度は徐々に低下する。したがって、固定パターン210の焼き付きは、最初のころはそれほど目立たない。
【0059】
しかし、購入時における初期輝度値と、表示面72の現在の固定パターン210の輝度値との差分をとると、輝度差はすぐに閾値に達してしまう。カメラシステム制御部52は、輝度の差分値が閾値を超えたことに応答し、焼き付きが目立ち始める前の固定領域76に対向するフィルタ部80の曇り度を増加させてしまう。その結果、固定領域76が逆に目立ってしまい、ユーザに不快感を与えうる。よって、本例では、所定の周期でダミー表示面90からサンプリングした輝度値に基づいて輝度差を計算する。なお、サンプリングの周期は半年に限定されない。ユーザは任意の周期を設定することができる。
【0060】
他の例において、曇り度制御部135は、RGB画素ごとに輝度差を計算し、当該計算結果に基づいて、フィルタ部80の対向領域86の曇り度の増加の度合いを調節する。つまり、カメラシステム制御部52は、曇り度制御部135を介して、所定の周期でサンプリングしたダミー表示面90のRGB画素ごとの輝度の平均値と、現在の固定パターン210のRGB画素ごとの輝度の平均値との差分を計算し、フィルタ部80の対向領域86の曇り度の増加の度合いを調節する。たとえば、R画素およびB画素の輝度差は閾値を超えているが、G画素の輝度差が閾値を超えていない場合には、RGB画素の画素ごとの閾値に重み付けをし、輝度差を計算してもよい。
【0061】
また、G画素の輝度差が閾値を超えている場合には、G画素の輝度差は、B画素およびR画素の輝度差に比べ目立つので、カメラシステム制御部52は、曇り度制御部135を制御して、G画素の輝度差が小さくなるようにフィルタ部80の対向領域86の曇り度を増加させる。本例によれば、RGB画素ごとに閾値を設定してフィルタ部80の曇り度を調節することができるので、固定パターン210の焼き付きをより目立たなくすることができる。
【0062】
図10は、固定パターン210の焼き付きを目立たなくする処理の実施形態のフロー図である。ステップS100において、カメラシステム制御部52は、ファインダ窓67がユーザにより覗かれているか否かを近接センサ68を介して判断する。覗かれている場合には次のステップS110に進み、覗かれていない場合には処理は終了する。次に、ステップS110において、カメラシステム制御部52は、操作入力部138からのユーザ入力に応答して固定パターン210を表示部70に重畳的に表示するか否かを判断する。
【0063】
ユーザが固定パターン210を表示しないことを選択した場合には、ステップS120に進み、ユーザが固定パターン210を表示することを選択した場合には、ステップS140に進む。ステップS140において、カメラシステム制御部52は、表示制御部134を制御して、表示部70の固定領域76に固定パターン210を表示させる。
【0064】
次に、ステップS150において固定パターン210の連続表示がタイムアウトか否かを表示制御部134が判断し、タイムアウトとなった場合には固定パターン210の表示を終了させ、ステップS120に進む。ステップS120において、カメラシステム制御部52は、表示部70の表示面72の固定領域76における固定パターン210の輝度L(t)の時間累積値が閾値Tthを超えたか否かを判断する。輝度の時間累積値が閾値Tthを超えていない場合には、処理を終了する。輝度の時間累積値が閾値Tthを超えている場合には、ステップS130に進む。ステップS130において、カメラシステム制御部52は、曇り度制御部135を制御して、フィルタ部80の対向領域86の曇り度を増加させかつぼかすことにより、焼き付きを起こした固定パターン210の輪郭を目立たなくする。
【0065】
図11は、固定パターン210の焼き付きを目立たなくする処理の他の実施形態のフロー図である。ステップS200、S210、S250、S260は、
図11に示す実施形態と同様なので説明を省略する。ステップS220において、カメラシステム制御部52は、所定の周期で、ダミー表示面90の全面または複数の代表ポイントの輝度の平均値を測定しカメラメモリ132に格納する。また、カメラシステム制御部52は、現在の固定パターン210の輝度の平均値を測定する。
【0066】
ステップS230において、カメラシステム制御部52は、現在の固定パターン210の輝度の平均値と、最近のダミー表示面90の輝度の平均値との差分である輝度差ΔLを計算し、当該輝度差ΔLが閾値Lthを超えたか否かを判断する。輝度差ΔLが閾値Lthを超えなければ処理は終了する。輝度差ΔLが閾値Lthを超えた場合にはステップS240に進む。ステップS240において、カメラシステム制御部52は、曇り度制御部135を制御して、フィルタ部80の対向領域86の曇り度を増加させかつぼかすことにより、焼き付きを起こした固定パターン210の輪郭を目立たなくする。
【0067】
図12は、固定パターン210の焼き付きを目立たなくする処理の他の実施形態のフロー図である。ステップS300、S310、S350、S360は、
図11に示す実施形態と同様なので説明を省略する。ステップS320において、カメラシステム制御部52が被写体500にピントが合っているか否かを判断する。被写体500にピントが合っている場合にはステップS330に進み、合っていない場合にはS340に進む。
【0068】
ステップS340において、カメラシステム制御部52は、曇り度制御部135を制御して、フィルタ部80の対向領域86の曇り度を比較的小さく増加させかつ比較的弱くぼかすことにより、焼き付きを起こした固定パターン210の輪郭を目立たなくする。ステップS330において、カメラシステム制御部52は、曇り度制御部135を制御して、フィルタ部80の対向領域86の曇り度を比較的大きく増加させかつ比較的強くぼかすことにより、焼き付きを起こした固定パターン210の輪郭を目立たなくする。
【0069】
なお、
図1から
図12の例では、表示部70に対してフィルタ部80を設ける構成を説明したが、背面表示部61が焼き付きを生じるパネルを有する場合、背面表示部61に対してフィルタ部80を設けてもよい。また、撮像装置100は、表示部70および背面表示部61の一方のみを有してもよい。この場合、撮像装置100が有する表示部70または背面表示部61に対向してフィルタ部80が配置される。
【0070】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。