特許第5962653号(P5962653)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5962653
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】捲回式二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20160721BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20160721BHJP
   H01M 10/653 20140101ALI20160721BHJP
【FI】
   H01M10/04 W
   H01M10/0587
   H01M10/653
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-514027(P2013-514027)
(86)(22)【出願日】2012年5月9日
(86)【国際出願番号】JP2012061820
(87)【国際公開番号】WO2012153752
(87)【国際公開日】20121115
【審査請求日】2015年4月20日
(31)【優先権主張番号】特願2011-105346(P2011-105346)
(32)【優先日】2011年5月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(74)【代理人】
【識別番号】100186819
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 俊尚
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真吾
(72)【発明者】
【氏名】春名 博史
【審査官】 冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−030975(JP,A)
【文献】 特開2007−260474(JP,A)
【文献】 特開平9−055213(JP,A)
【文献】 特開2011−077020(JP,A)
【文献】 特開平5−234616(JP,A)
【文献】 特開2010−055887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 10/0587
H01M 10/653
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の細長い内芯部及び該内芯部の外側に設けられた絶縁材料からなる外芯部からなる軸芯に、セパレータを間に介して積層された正極板及び負極板が捲回されて構成された極板群を有する捲回式二次電池であって、
前記外芯部を構成する前記絶縁材料が、1〜20W/mkの熱伝導率を有しており、
前記絶縁材料が、絶縁樹脂材料に熱伝導率20W/mk以上の無機充填剤が充填されて構成されており、
前記絶縁樹脂材料がエポキシ樹脂からなり、
前記無機充填剤が金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、セラミックスの粉末あるいは繊維、またはこれらの混合物からなり、
前記無機充填剤が前記絶縁樹脂材料100体積部に対して10〜100体積部混合されており、
前記外芯部及び前記内芯部は、筒形状を有しており、
前記外芯部は、長手方向の中心から両端部に向かうに従って、断面積が小さくなる形状を有しており、
前記内芯部は、長手方向の中心から両端部に向かうに従って、断面積が大きくなる形状を有していることを特徴とする捲回式二次電池。
【請求項2】
金属製の細長い内芯部及び該内芯部の外側に設けられた絶縁材料からなる外芯部からなる軸芯に、セパレータを間に介して積層された正極板及び負極板が捲回されて構成された極板群を有する捲回式二次電池であって、
前記外芯部を構成する前記絶縁材料が、1〜20W/mkの熱伝導率を有することを特徴とする捲回式二次電池。
【請求項3】
前記絶縁材料が、絶縁樹脂材料に熱伝導率20W/mk以上の無機充填剤が充填されて構成されていることを特徴とする請求項2に記載の捲回式二次電池。
【請求項4】
前記絶縁樹脂材料がエポキシ樹脂からなり、
前記無機充填剤が金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、セラミックスの粉末あるいは繊維、またはこれらの混合物からなることを特徴とする請求項3に記載の捲回式二次電池。
【請求項5】
前記無機充填剤が前記絶縁樹脂材料100体積部に対して10〜100体積部混合されていることを特徴とする請求項4に記載の捲回式二次電池。
【請求項6】
前記外芯部及び前記内芯部が筒形状を有していることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載の捲回式二次電池。
【請求項7】
前記外芯部は、筒形状を有しており、
前記内芯部は、円柱形状を有していることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載の捲回式二次電池。
【請求項8】
前記外芯部及び前記内芯部は、筒形状を有しており、
前記外芯部は、長手方向の中心から両端部に向かうに従って、断面積が小さくなる形状を有しており、
前記内芯部は、長手方向の中心から両端部に向かうに従って、断面積が大きくなる形状を有していることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載の捲回式二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解液二次電池等の捲回式二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セパレータを間に介して積層された正極板及び負極板が軸芯に捲回されて構成された極板群を有する捲回式二次電池が知られている。このような捲回式二次電池では、軸芯を樹脂で形成している。しかしながら、軸芯を樹脂材料のみで形成すると、軸芯の熱伝導率が低くなり、極板群で発生した熱を軸芯を介して電池外部に放出し難くなる。また、軸芯を金属材料のみで形成することも考えられるが、捲回式二次電池に振動や衝撃が与えられた際に、正極板及び負極板の配置位置がずれて、両極板が軸芯を介して短絡するおそれがある。そこで、特開平10−112330号公報(特許文献1)に示すように、軸芯を金属製の内芯部及び該内芯部の外側に設けられた絶縁材料からなる外芯部から構成することが提案された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−112330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示された捲回式二次電池では、外芯部を構成する絶縁材料がPE、PP等の樹脂であるため、熱伝導率が低く極板群で発生した熱を金属製の内芯部に十分に伝達することができなかった。また、外芯部を構成する絶縁材料として熱伝導性の高い絶縁材料を用いることも考えられるが、このような絶縁材料を用いると、外部の温度が下がった場合に、熱が金属製の内心部に積極的に伝達されて、電池内部の温度が下がり過ぎるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、高温時に極板群で発生した熱を電池外部に十分に放出することができ、しかも低温時における二次電池内部の温度の低下を抑制できる捲回式二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が改良の対象とする捲回式二次電池は、金属製の細長い内芯部及び該内芯部の外側に設けられた絶縁材料からなる外芯部からなる軸芯に、セパレータを間に介して積層された正極板及び負極板が捲回されて構成された極板群を有している。本発明では、外芯部を構成する絶縁材料が、1〜20W/mkの熱伝導率を有している。外芯部を構成する絶縁材料がこのような熱伝導率を有していると、高温時に極板群で発生した熱を金属製の内芯部に十分に伝達して、良好な放熱を得ることができる。しかも低温時においては、金属よりも熱伝達率が低い絶縁材料が存在するため、極板群からの内芯部への熱伝達を抑制して、電池の内部温度の低下を抑制することができる。なお、絶縁材料の熱伝導率が1W/mkを下回ると、高温時に極板群で発生した熱を電池外部に十分に放出することができない。絶縁材料の熱伝導率が20W/mkを上回ると、低温時における温度低下を抑制し難くなる。
【0007】
絶縁材料は、絶縁樹脂材料に熱伝導率20W/mk以上の無機充填剤を充填して形成することができる。このようにして絶縁材料を形成すれば、無機充填剤の充填量を調整することにより、所望の熱伝導率の絶縁材料を容易に得ることができる。
【0008】
絶縁樹脂材料としては、エポキシ樹脂を用いることができる。この場合、無機充填剤としては、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、セラミックスの粉末あるいは繊維、またはこれらの混合物を用いることができる。
【0009】
1〜20W/mkの熱伝導率を有する絶縁材料を得るには、無機充填剤を絶縁樹脂材料100体積部に対して10〜100体積部混合すればよい。
【0010】
本発明の捲回式二次電池に用いる軸芯は、種々の形状の外芯部及び内芯部を備えた軸芯に適応することができる。例えば、外芯部及び内芯部が筒形状を有していてもよい。このような軸芯を用いれば、内芯部の重量を小さくでき、電池のエネルギー密度を高めることができる。また、内芯部の放熱面積を増大できるので放熱性能を高めることができる。
【0011】
また、外芯部が筒形状を有しており、内芯部が円柱形状を有していてもよい。このような軸芯を用いれば、内芯部が円柱形状を有しているため、内芯部の熱伝導性を高めることができる。
【0012】
また、外芯部及び内芯部が筒形状を有しており、外芯部が長手方向の中心から両端部に向かうに従って、断面積が小さくなる形状を有しており、内芯部が長手方向の中心から両端部に向かうに従って、断面積が大きくなる形状を有している軸芯を用いることができる。このような軸芯を用いれば、極板群の中心部の熱を積極的に外部に導出することが可能になり、電池の放熱特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態の非水電解液二次電池の断面図である。
図2図1に示す非水電解液二次電池に用いる極板群の分解斜視図である。
図3図1に示す非水電解液二次電池に用いる軸芯の斜視図である。
図4】本発明の他の実施の形態の非水電解液二次電池に用いる軸芯の斜視図である。
図5】本発明の更に他の実施の形態の非水電解液二次電池に用いる軸芯の斜視図である。
図6】本発明の更に別の実施の形態の非水電解液二次電池に用いる軸芯の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、リチウムイオン電池からなる非水電解液二次電池に適用した本発明の捲回式二次電池の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施の形態の非水電解液二次電池の断面図である。図1に示すように、本実施の形態の非水電解液二次電池は、容器1と、容器1内に配置された極板群3と、極板群3の後述する軸芯23に接合される正極端子5と負極端子7とを有している。容器1は、容器本体9と正極側電池蓋11と負極側電池蓋13とを有している。容器本体9は、ステンレスからなり、両端に開口部9a,9bを有する円筒形を有している。正極側電池蓋11及び負極側電池蓋13は、いずれも金属材料からなり、中央に孔11a,13aをそれぞれ有する円板に近い形状を有している。本例では、正極側電池蓋11は、電池内圧の上昇により開裂する開裂弁11bを有している。負極側電池蓋13は、電解液注入口13bを有している。正極側電池蓋11及び負極側電池蓋13は、容器本体9の両端の開口部9a,9bにそれぞれ嵌合されている。
【0015】
極板群3は、図2の分解斜視図に示すように、帯状の第1のセパレータ15及び第2のセパレータ17を間に介して積層された帯状の正極板19及び負極板21が軸芯23に捲回されて構成されている。第1のセパレータ15及び第2のセパレータ17は、クラフト紙等の多孔質基材からなり、電解液が含浸されている。正極板19は、例えばアルミニウム箔からなる正極集電体上に正極活物質層が塗布されて構成されている。正極板19には、正極集電体と一体に成形されて極板群3の一方の端部側から突出する複数の正極リード片27が接続されている。負極板21は、例えば銅箔からなる負極集電体上に負極活物質層が塗布されて構成されている。負極板21には、負極集電体と一体に成形されて極板群3の他方の端部側から突出する複数の負極リード片33が接続されている。図1に示すように、正極リード片27は、後述する正極端子5の鍔部5bに電気的に接続され、負極リード片33は、負極端子7の鍔部7bに電気的に接続されている。
【0016】
図3に示すように、軸芯23は、内芯部37と内芯部37の外側に一体に設けられた外芯部39とを有している。内芯部37は、熱伝導率の高い金属により形成されており、細長い円筒形を有している。内芯部37を形成する金属としては、Fe、Al、Cu、Ni、Ag等の単体の金属、または、ステンレス綱、クロムモリブデン綱、マンガンモリブデン綱、真鍮等の合金を用いることができる。
【0017】
外芯部39は、内芯部37をインサートとして絶縁材料によりインサート成形されており、内芯部37の外側を覆う細長い円筒形を有している。外芯部39を形成する絶縁材料は、絶縁樹脂材料に熱伝導率20W/mk以上の無機充填剤が充填されて構成されており、1〜20W/mkの熱伝導率を有している。絶縁樹脂材料としては、下記式に示すようなエポキシ樹脂モノマを重合したエポキシ樹脂を用いることができる。
【化1】
【0018】
このようなエポキシ樹脂モノマは、ビフェニル骨格またはビフェニル誘導体の骨格を有し、1分子中に2以上のエポキシ基を有している。エポキシ樹脂モノマの硬化を進めるための硬化剤としては、アミン化合物またはその誘導体、酸無水物、イミダゾールまたはその誘導物、フェノール類またはその化合物や重合体を用いることができる。エポキシ樹脂モノマと硬化剤との反応を促進する硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィン、イミダゾールまたはその誘導物、三級アミン化合物またはその誘導体を用いることができる。エポキシ樹脂には、必要に応じて難燃剤、希釈剤、可塑剤、カップリング剤等を添加することができる。
【0019】
絶縁樹脂材料に充填する無機充填剤は、20W/mk以上の熱導電率を有しており、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、セラミックスの粉末あるいは繊維、またはこれらの混合物を用いることができる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、アルミナ等を用いることができる。金属窒化物としては、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化チタン等を用いることができる。金属炭化物としては、炭化ケイ素、炭化タングステン等を用いることができる。
【0020】
無機充填剤は、絶縁樹脂材料100体積部に対して10〜100体積部混合するのが好ましい。
【0021】
外芯部39の内径寸法は、軸芯23の長手方向において一定であり、内芯部37の外径寸法は、軸芯23の長手方向において一定である。外芯部39の厚み寸法L1は、内芯部37の外径寸法L2の10〜30%とするのが好ましい。10%を下回ると、低温時における熱の放出を阻止し難くなる。30%を上回ると、高温時に極板群で発生した熱を電池外部に十分に放出することができない。
【0022】
図1に示すように、軸芯23に接合される正極端子5は、アルミにより形成されており、円筒形の端子本体5aと端子本体5aの長手方向の中央部に一体に成形された鍔部5bとを有している。負極端子7も正極端子5と同様に、円筒形の端子本体7aと端子本体7aの長手方向の中央部に一体に成形された鍔部7bとを有している。正極端子5は、正極側電池蓋11の孔11aにセラミックス製の絶縁部材41を介して嵌合されている。負極端子7は、銅により形成されており、負極側電池蓋13の孔13aにセラミックス製の絶縁部材43を介して嵌合されている。正極端子5の正極側電池蓋11から電池外部に突出した端部5cの外周には螺子が形成されている。この端部5cには、金属製のワッシャ45が嵌合された状態でナット47が螺合されている。負極端子7の負極側電池蓋13から突出した端部7cにも外周には螺子が形成されている。端部7cには、金属製のワッシャ49が嵌合された状態でナット51が螺合されている。正極端子5の電池内部に突出した端部5dは、軸芯23の円筒形の内芯部37の一方の端部に嵌合されている。負極端子7の電池内部に突出した端部7dは、軸芯23の円筒形の内芯部37の他方の端部に嵌合されている。また、正極端子5と軸芯23との間には、正極端子5と負極端子7とが内芯部37を介して短絡するのを防止するため、厚みの薄い絶縁紙55が配置されている。
【0023】
本実施の形態の非水電解液二次電池では、極板群3で発生した熱は、軸芯23の外芯部39→軸芯23の内芯部37→正極端子5及び負極端子7という経路で電池外部に放出される。本実施の形態の非水電解液二次電池では、外芯部39を構成する絶縁材料が、1〜20W/mkの熱伝導率を有しているので、高温時に極板群3で発生した熱を電池外部に十分に放出することができ、しかも低温時における極板群3から内芯部37への放熱を抑制して二次電池の温度低下を抑制できる。
【0024】
図4は、本発明の他の実施の形態の非水電解液二次電池に用いる軸芯の斜視図である。この軸芯123も内芯部137と内芯部137の外側に設けられた外芯部139とを有している。内芯部137及び外芯部139は、図3に示す内芯部37及び外芯部39と同じ材質により形成されている。外芯部139は、図3に示す外芯部39と同じ細長い円筒形を有している。内芯部137は、外芯部139の長手方向の寸法より短い寸法の円柱形状を有しており、円筒形の外芯部139の長手方向の中央に配置されている。このため、外芯部139の両端部には、空隙部139a、139bが形成されることになる。一方の空隙部139a内には、正極端子(5)が配置され、内芯部137の一方の端部137aは正極端子(5)の端部と接触している。他方の空隙部139b内には、負極端子(7)が配置され、内芯部137の他方の端部137bは負極端子(7)の端部と接触している。
【0025】
このような軸芯123は、内芯部137が円柱形状を有しているため、図3に示す軸芯23に比べて、内芯部の熱伝導性を高めることができる。但し、内芯部の重量が大きくなり、電池のエネルギー密度が低下する。また、コストが高くなる。
【0026】
図5は、本発明の更に他の実施の形態の非水電解液二次電池に用いる軸芯の斜視図である。この軸芯223も内芯部237と内芯部237の外側に設けられた外芯部239とを有している。内芯部237及び外芯部239は、図3に示す内芯部37及び外芯部39と同じ材質により形成されており、いずれも、長手方向の長さが等しい細長い円筒形を有している。内芯部237は、長手方向の中心から両端部に向かうに従って、断面積が徐々に大きくなる形状を有している。また、外芯部239は、長手方向の中心から両端部に向かうに従って、断面積が徐々に小さくなる形状を有している。
【0027】
このような軸芯223は、内芯部237と外芯部239との接触面積が大きくなるため、内芯部237から外芯部239への熱伝導性が高くなり、電池の放熱特性が向上する。
【0028】
図6は、本発明の更に別の実施の形態の非水電解液二次電池に用いる軸芯の分解斜視図である。この軸芯323も、内芯部337と内芯部337の外側に設けられた外芯部339とを有している。外芯部339は、図3に示す外芯部39と同じ細長い円筒形を有しており、該外芯部39と同じ材質により形成されている。内芯部337は、第1の金属部材337cと絶縁部材337dと第2の金属部材337eとから構成されている。第1の金属部材337c及び第2の金属部材337eは、図3に示す内芯部37より短い円筒形を有しており、該内芯部37と同じ金属材質により形成されている。絶縁部材337dは、図3に示す外芯部39と同じ絶縁材料により形成されており、第1の金属部材337cと第2の金属部材337eとの間に配置されている。絶縁部材337dは、絶縁部材本体337fと、絶縁部材本体337fの長手方向の両端に一体に設けられた一対の突出部337g,337hとを有している。一対の突出部337g,337hは、第1の金属部材337c及び第2の金属部材337eの内部にそれぞれ嵌合されている。本例の軸芯323では、絶縁部材337dにより、正極端子(5)と負極端子(7)とが内芯部337を介して短絡するのを防止される。
【0029】
なお、上記各例では、内芯部をインサートとしてインサート成形により外芯部を形成したが、内芯部に絶縁材料を塗布することにより外芯部を形成しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によれば、高温時に極板群で発生した熱を電池外部に十分に放出することができ、しかも低温時における極板群から金属製の内芯部への熱伝達を抑制して、電池温度の低下を抑制することができる捲回式二次電池を得ることができる。
【符号の説明】
【0031】
3 極板群
5 正極端子
7 負極端子
15,17 第1及び第2のセパレータ
19 正極板
21 負極板
23,137,237 軸芯
37,137,237 内芯部
39,139,239 外芯部
図3
図4
図5
図6
図1
図2