特許第5962934号(P5962934)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5962934
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】粘着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/06 20060101AFI20160721BHJP
   C09J 133/14 20060101ALI20160721BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20160721BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20160721BHJP
   C09J 7/02 20060101ALI20160721BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   C09J133/06
   C09J133/14
   C09J175/04
   C09J11/06
   C09J7/02 Z
   G02F1/1335
【請求項の数】14
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-548682(P2014-548682)
(86)(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公表番号】特表2015-508431(P2015-508431A)
(43)【公表日】2015年3月19日
(86)【国際出願番号】KR2012011316
(87)【国際公開番号】WO2013095064
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2014年8月19日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0138978
(32)【優先日】2011年12月21日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2012-0151110
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】イン・キュ・パク
(72)【発明者】
【氏名】ノ・マ・キム
(72)【発明者】
【氏名】イン・ホ・ファン
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ジョン・キム
【審査官】 澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−248223(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/115224(WO,A1)
【文献】 特開2011−052131(JP,A)
【文献】 特表2011−511100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表示され、炭素数が1〜14のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートと、下記化学式1のA及びBに存在する炭素原子の数が1以上であり、3未満である第1単量体と;下記化学式1で表示され、下記化学式1のA及びBに存在する炭素原子の数が3以上である第2単量体と;下記化学式2の化合物が重合されて含まれており、下記数式1〜3を満足する重合体と;脂肪族環状イソシアネート化合物及び脂肪族非環状イソシアネート化合物の両方を含む架橋剤と;を含み、前記重合体100重量部に対して4.5〜10重量部の前記架橋剤を含む、粘着剤組成物:
【化1】
上記化学式1で、Qは、水素またはアルキル基であり、A及びBは、それぞれ、独立してアルキレン基またはアルキリデン基であり、nは、0であり、上記化学式2で、Qは、水素またはアルキル基であり、Uは、アルキレン基またはアルキリデン基であり、Zは、アルキル基またはアリール基であり、mは、1〜20の数である:
[数式1]
2≦O/P≦5
[数式2]
O+P≦X
[数式3]
1重量%≦O+P+X≦18重量%
上記数式1〜3で、Oは、重合体に含まれている第1単量体の重量%であり、Pは、重合体に含まれている第2単量体の重量%であり、Xは、重合体に含まれている化学式2の化合物の重量%である。
【請求項2】
化学式2で、mは、4〜8の数である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
化学式2で、Qが炭素数1〜4のアルキル基である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
脂肪族環状イソシアネート化合物が、イソホロンジイソシアネート、メチレンジシクロヘキシルジイソシアネートまたはシクロヘキサンジイソシアネートであるイソシアネート化合物;前記イソシアネート化合物のダイマーまたはトリマー;または上記イソシアネート化合物とポリオールの反応物である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
脂肪族非環状イソシアネート化合物が、炭素数1〜20のアルキレンジイソシアネート化合物;前記イソシアネート化合物のダイマーまたはトリマー;または上記イソシアネート化合物とポリオールの反応物である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項6】
金属塩をさらに含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項7】
架橋構造が具現された状態での表面エネルギーが30mN/m以下の被着体に対して180度の剥離角度及び0.3m/minの剥離速度で測定した剥離力が1gf/25mm〜40gf/25mmである、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項8】
架橋構造が具現された状態での表面エネルギーが30mN/m以下の被着体に対して180度の剥離角度及び30m/minの剥離速度で測定した剥離力が10gf/25mm〜150gf/25mmである、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項9】
架橋構造が具現された状態での表面エネルギーが30mN/m以下の被着体に対して、180度の剥離角度及び40m/minの剥離速度で測定した剥離耐電圧が0.5kV以下である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項10】
表面保護用基材フィルムと;上記表面保護用基材フィルムの一面に形成されており、架橋された請求項1に記載の粘着剤組成物を含む粘着剤層と;を含む保護フィルム。
【請求項11】
光学素子及び上記光学素子の表面に付着している請求項10に記載の保護フィルムを含む光学フィルム。
【請求項12】
光学素子の表面には、表面エネルギーが30mN/m以下の表面処理層が形成されており、保護フィルムの粘着剤層が上記表面処理層に付着している、請求項11に記載の光学フィルム。
【請求項13】
表面処理層が、高硬度層、眩しさ防止層または低反射層である、請求項12に記載の光学フィルム。
【請求項14】
請求項11に記載の光学フィルムが付着している液晶パネルを含むディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤組成物、光学フィルム保護用フィルム、光学フィルム及びディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
偏光板のような光学フィルム、その他プラスチック製品、家電製品や自動車などにほこりなどの汚物が付着するか、スクラッチなどが発生することを防止するために保護フィルムが使用されることができる。保護フィルムには、適切な剥離力と静電気防止特性が要求される。
【0003】
例えば、製品の使用や他の製品の組み立てのために保護フィルムを早い速度で剥離するときには、剥離力(以下、「高速剥離力」という)が相対的に低いことが要求される。一方、遅い速度で剥離するときの剥離力(以下、「低速剥離力」という)が相対的に高い場合に適切な保護機能を示すことができる。
【0004】
また、主に保護フィルムの剥離時に発生する静電気によってほこりなどの異物が吸入されるか、電子製品の場合には、デバイスの静電破壊または誤作動などが誘発されることができる。特に、近年、コンピュータの普及、液晶テレビや携帯電話の多機能化によって部属が集積化されるに伴い、静電気による問題がさらに浮き上がっている。
【0005】
これにより、保護フィルムに含まれる粘着剤に帯電防止機能を付与しようとする努力が進行されている。
【0006】
例えば、特許文献1では、粘着剤にエチレンオキシド変性フタル酸ジオクチル可塑剤を配合し、静電気の発生を抑制しようとする試みがある。また、特許文献2では、粘着剤に有機塩を添加し、特許文献3では、金属塩とキレート剤を粘着剤に配合している。しかし、上記方法によれば、粘着剤成分の保護される製品への転写による汚染が発生するか、初期に発生する静電気の抑制が困難であり、特に保護機能のために重要な低速剥離力が過度に低くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】日本国特許公開1993−140519号公報
【特許文献2】韓国特許公開2004−0030919号公報
【特許文献3】韓国特許公開第2006−0128659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、粘着剤組成物、光学フィルム保護用フィルム、光学フィルム及びディスプレイ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
例示的な粘着剤組成物は、重合体と架橋剤を含むことができる。上記重合体は、架橋点を有することができ、上記架橋剤との架橋反応によって架橋構造を具現することができる。
【0010】
重合体としては、粘着剤の製造に使用されることができるものであって、公知された多様な種類がすべて使用されることができ、例えば、アクリル共重合体が使用されることができる。上記重合体は、例えば、互いに異なる種類の2種以上のヒドロキシ基を有する単量体を含むことができる。例えば、上記単量体は、重合体に重合されて含まれることができる。
【0011】
例えば、上記単量体として、上記重合体は、下記化学式1で表示され、A及びBに存在する炭素原子の総計が3個未満、例えば、上記総計が1個以上且つ3個未満である単量体(以下、「第1単量体」という)と、下記化学式1で表示され、A及びBに存在する炭素原子の総計が3個以上、例えば、3個〜20個、3個〜16個、3個〜12個、3個〜8個、3個〜6個、4個〜20個、4個〜16個、4個〜12個、4個〜8個または4個〜6個である単量体(以下、「第2単量体」という)を含むことができる。
【0012】
【化1】
【0013】
化学式1で、Qは、水素またはアルキル基であり、A及びBは、それぞれ、独立してアルキレン基またはアルキリデン基であり、nは、任意の数、例えば、0〜10の数である。
【0014】
化学式1で、[−O−B−]単位が2個以上存在する場合、上記単位内のBの炭素数は、同一であるか、または異なることができる
【0015】
本明細書で用語アルキル基は、特に別途規定しない限り、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキル基を意味することができる。上記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状または環状であることができる。上記アルキル基は、1つ以上の置換基によって置換されているか、または非置換された状態であることができる。
【0016】
本明細書で用語アルキレン基またはアルキリデン基は、特に別途規定しない限り、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキレン基またはアルキリデン基であることができる。上記アルキレン基またはアルキリデン基は、直鎖状、分岐鎖状または環状であることができる。上記アルキレン基またはアルキリデン基は、必要に応じて1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0017】
化学式1で、A及びBは、例えば、それぞれ、独立して直鎖状のアルキレン基であることができる。
【0018】
本明細書で特定官能基、例えば、上記アルキル基、アルキリデン基またはアルキレン基に置換されていてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、エポキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基またはアリール基などが例示されることができるが、これに制限されるものではない。
【0019】
化学式1の化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどが例示されることができるが、これに制限されるものではない。
【0020】
上記重合体は、例えば、下記数式1を満足することができる。
【0021】
[数式1]
1≦O/P≦10
【0022】
数式1で、Oは、上記第1単量体の重合体内の重量%であり、Pは、上記第2単量体の重合体内の重量%である。
【0023】
数式1のO/Pは、他の例示では、約1〜8または約1〜7程度であることができる。
【0024】
上記重合体に含まれる第1及び第2単量体の比率を上記数式1を満足するように調節すれば、重合体を効果的に形成しながら、高速及び低速剥離力のバランス及び静電気防止特性に優れた粘着剤を提供することができる。重合体には、例えば、第1単量体を0.1重量部〜10重量部で含み、第2単量体を0.1重量部〜10重量部で含み、上記単量体の比率が上記数式1を満足することができる。
【0025】
本明細書で特に別途規定しない限り、単位重量部は、各成分間の重量の比率を示す。
上記重合体は、また、アルキレンオキシド鎖を有する化合物をさらに含むことができる。上記化合物は、例えば、重合されて上記重合体に含まれることができる。アルキレンオキシド鎖を有する化合物としては、下記化学式2の化合物が例示されることができる。
【0026】
【化2】
【0027】
化学式2で、Qは、水素またはアルキル基であり、Uは、アルキレン基またはアルキリデン基であり、Zは、アルキル基またはアリール基であり、mは、任意の数、例えば、1〜20の数である。
【0028】
化学式2で、[−U−O−]単位が2個以上存在する場合、上記単位内のUの炭素数は、同一であるか、または異なることができる。
【0029】
化学式2で、mは、例えば、1〜16、1〜12、4〜16、4〜12、4〜10または4〜8であることができる。このような範囲で重合体の製造時に重合効率及び重合体の結晶性を適正範囲に維持し、粘着剤に適切な導電性を付与することができる。
【0030】
化学式2で、Qは、他の例示で、アルキル基、例えば、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキル基であることができる。Qがアルキル基である化合物を使用する場合、例えば、粘着剤組成物が保護フィルムなどに適用されるとき、被着体に残渣やむらなしに上記保護フィルムが容易に除去されるのに有利することができる。
【0031】
本明細書で用語アリール基は、特に別途規定しない限り、ベンゼンを含むか、または2個以上のベンゼンが縮合されるか、結合されている構造を含む化合物またはその誘導体から由来する1価残基を意味することができる。上記アリール基は、例えば、炭素数6〜22、炭素数6〜16または炭素数6〜13のアリール基であることができる。このようなアリール基としては、フェニル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基(xylyl group)またはナフチル基などが例示されることができる
【0032】
化学式2の化合物としては、アルコキシジアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、アルコキシトリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、アルコキシテトラアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、アリールオキシジアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、アリールオキシトリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル及びアリールオキシテトラアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルなどの一種または二種以上をあげることができるが、これに制限されるものではない。
【0033】
上記でアルコキシとしては、例えば、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12または炭素数1〜4のアルコキシが例示されることができ、具体的には、メトキシ基またはエトキシ基が例示されることができる。
【0034】
また、上記でアルキレングリコールとしては、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12または炭素数1〜4のアルキレングリコールが例示されることができ、例えば、エチレングリコールまたはプロピレングリコールが例示されることができ、上記でアリールオキシとしては、炭素数6〜24または炭素数6〜12のアリールオキシ、例えば、フェノキシなどが例示されることができる。
【0035】
化学式2の化合物を含む場合、重合体は、下記数式2及び/または3を満足することができる。
【0036】
[数式2]
O+P≦X
【0037】
[数式3]
1重量%≦O+P+X≦30重量%
【0038】
数式2及び3で、O及びPは、数式1で定義した通りであり、Xは、化学式2の化合物の重合体内での重量%である。
【0039】
数式3で、O、P及びXの和(O+P+X)は、他の例示で、約1重量%〜25重量%または約5重量%〜25重量%であることができる。
【0040】
例えば、上記化学式2の化合物は、重合体内に1重量部〜20重量部で含まれ、その比率が上記数式2及び/または3を満足するように調節されることができる。上記重量部は、例えば、上記重合体に含まれる全体単量体を100重量部とした場合、上記を基準とする重量部であることができる。
【0041】
重合体は、また、(メタ)アクリル酸エステル単量体、例えば、アルキル(メタ)アクリレートをさらに含むことができる。上記単量体は、例えば、重合されて上記重合体に含まれることができる。
【0042】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、粘着剤の凝集力、ガラス転移温度または粘着性などを考慮して、炭素数が1〜14のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを使用することができる。このような単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレートなどが例示されることができ、上記のうち1種または2種以上が重合体に重合単位で含まれることができる。
【0043】
上記(メタ)アクリル酸エステル単量体は、例えば、重合体内に75重量部〜95重量部で含まれることができるが、これは、必要に応じて変更されることができる。例えば、上記第1及び第2単量体、必要な場合に、上記化学式2の化合物が上記数式1、数式2及び/または数式3を満足する比率で重合体に含まれ、その残りの成分が上記(メタ)アクリル酸エステル単量体及び/または後述する公知の単量体であることができる。
【0044】
上記重合体は、必要な場合、粘着剤の重合体の製造に使用される公知の単量体、例えば、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシ酪酸、アクリル酸二量体、イタコン酸、マレイン酸またはマレイン酸無水物などのカルボキシル基含有単量体;イソシアネート基を有する単量体、グリシジル(メタ)アクリレートなどのようなグリシジル基を有する単量体または(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドンまたはN−ビニルカプロラクタムなどのような窒素原子を含むラジカル重合性単量体やスチレンなどのようなラジカル重合性単量体をさらに含むことができる。このような単量体は、重合されて重合体に含まれていてもよく、例えば、約20重量部以下の比率で重合体に含まれることができる。
【0045】
重合体は、上記記述した単量体のうち必要な単量体を選択し、選択した単量体を目的する比率で配合した単量体の混合物を溶液重合(solution polymerization)、光重合(photo polymerization)、塊状重合(bulk polymerization)、懸濁重合(suspension polymerization)または乳化重合(emulsion polymerization)のような重合方式に適用して製造することができる。
【0046】
粘着剤組成物は、架橋剤を含むことができ、これは、重合体の架橋点と反応して架橋構造を具現することができる。
【0047】
架橋剤としては、脂肪族イソシアネート架橋剤を使用する。このような架橋剤が上記重合体、すなわち2種以上のヒドロキシ基を有する単量体を含む重合体と架橋構造を具現すれば、適合な低速及び高速剥離力と共に必要な静電気防止特性を有する粘着剤が具現されることができる。
【0048】
例えば、架橋剤としては、脂肪族環状イソシアネート化合物及び/または脂肪族非環状イソシアネート化合物を含む架橋剤を使用することができる。上記で用語脂肪族環状イソシアネート化合物は、環状構造を含み、上記構造が芳香族環状には該当しない環状構造を含むイソシアネート化合物を意味し、脂肪族非環状イソシアネート化合物は、例えば、脂肪族線状または分岐状のイソシアネート化合物を意味することができる。上記で脂肪族環状イソシアネート化合物としては、例えば、イソボロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate)またはメチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(methylene dicyclohexyl diisocyanate)またはシクロヘキサンジイソシアネート(cyclohexane diisocyanate)などのようなイソシアネート化合物や、そのダイマー(dimer)またはトライマー(trimer)などのような誘導体または上記のうちいずれか1つとポリオール(例えば、トリメチロールプロパン)との反応物が例示されることができ、脂肪族非環状イソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのような炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12または炭素数1〜8のアルキレンジイソシアネート化合物や、そのダイマー(dimer)またはトライマー(trimer)などのような誘導体または上記のうちいずれか1つとポリオール(例えば、トリメチロールプロパン)との反応物などが例示されることができるが、これに制限されるものではない。
【0049】
上記で脂肪族環状イソシアネート化合物と脂肪族非環状イソシアネート化合物が一緒に使用される場合には、その比率は、特に制限されず、必要に応じて適切に選択されることができる。通常、脂肪族環状イソシアネート化合物100重量部に対して脂肪族非環状イソシアネート化合物1重量部〜500重量部または20重量部〜300重量部位が架橋剤に含まれることができる。このような架橋剤、すなわち脂肪族環状イソシアネート化合物及び脂肪族非環状イソシアネート化合物を含む架橋剤としては、市販されているものを使用することもでき、その例としては、Asahi社製のMHG−80B及びDuranate PまたはBAYER社製のNZ−1などがある。
【0050】
架橋剤としては、上記にさらに必要な場合、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N、N、N'、N'−テトラグリシジルエチレンジアミンまたはグリセリンジグリシジルエーテルなどのようなエポキシ架橋剤;N、N'−トルエン−2、4−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、N、N'−ジフェニルメタン−4、4'−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)またはトリ−1−アジリジニルホスフィンオキシドなどのようなアジリジン架橋剤またはアルミニウム、鉄、亜鉛、スズ、チタン、アンチモン、マグネシウム及び/またはバナジウムのような多価金属がアセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルなどに配位している化合物である金属キレート架橋剤などの公知の架橋剤が一緒に使用されることができる。
【0051】
粘着剤組成物は、上記重合体100重量部に対して0.01重量部〜10重量部または0.01重量部〜5重量部の架橋剤を含むことができる。このような範囲で適切な架橋構造が具現され、粘着剤の低速及び高速剥離力などが目的する範囲に調節されることができる。
【0052】
粘着剤組成物は、帯電防止剤をさらに含むことができる。帯電防止剤としては、例えば、イオン性化合物が使用されることができる。
【0053】
イオン性化合物としては、例えば、金属塩が使用されることができる。上記金属塩は、例えば、アルカリ金属陽イオンまたはアルカリ土類金属陽イオンを含むことができる。陽イオンとしては、リチウムイオン(Li)、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)、ルビジウムイオン(Rb)、セシウムイオン(Cs)、ベリリウムイオン(Be2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、カルシウムイオン(Ca2+)、ストロンチウムイオン(Sr2+)及びバリウムイオン(Ba2+)などの一種または二種以上が例示されることができ、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン及びバリウムイオンの一種または二種以上、またはイオン安定性及び移動性を考慮してリチウムイオンを使用することができる。
【0054】
イオン性化合物に含まれる陰イオンとしては、PF、AsF、NO、フルオライド(F)、クロライド(Cl)、ブロマイド(Br)、ヨーダイド(I)、ペルクロレート(ClO)、ヒドロキシド(OH)、カーボネート(CO2−)、ニトレート(NO)、トリフルオロメタンスルホネート(CFSO)、スルホネート(SO)、ヘキサフルオロホスフェート(PF)、メチルベンゼンスルホネート(CH(C)SO)、p−トルエンスルホネート(CHSO)、テトラボレート(B2−)、カルボキシベンゼンスルホネート(COOH(C)SO)、トリフロロメタンスルホネート(CFSO2−)、ベンゾエート(CCOO)、アセテート(CHCOO)、トリフロロアセテート(CFCOO)、テトラフルオロボレート(BF)、テトラベンジルボレート(B(C)またはトリスペンタフルオロエチルトリフルオロホスフェート(P(C)などが例示されることができる。
【0055】
他の例示で、陰イオンとしては、下記化学式4で表示される陰イオンまたはビスフルオロスルホニルイミドなどが使用されることもできる。
【0056】
[化学式4]
[X(YO
【0057】
化学式4で、Xは、窒素原子または炭素原子であり、Yは、炭素原子または硫黄原子であり、Rは、ペルフルオロアルキル基であり、mは、1または2であり、nは、2または3である。
化学式4で、Yが炭素の場合、mは、1であり、Yが黄色である場合、mは、2であり、Xが窒素である場合、nは、2であり、Xが炭素である場合、nは3であることができる。
【0058】
化学式4の陰イオンまたはビス(フルオロスルポニル)イミドは、ペルフルオロアルキル基(R)またはフルオル基によって高い電気陰性度を示し、また、特有の共鳴構造を含み、陽イオンとの弱い結合を形成すると同時に、疎水性を有する。したがって、イオン性化合物が重合体などの組成物の他の成分と優れた相溶性を示しながら、少量でも高い帯電防止性を付与することができる。
【0059】
上記化学式4のRは、炭素数1〜20、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のベルフルオロアルキル基であることができ、この場合、上記ペルフルオロアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状または環状構造を有することができる。化学式4の陰イオンは、スルホニルメチド系、スルホニルイミド系、カルボニルメチド系またはカルボニルイミド系陰イオンであることができ、具体的には、トリストリフルオロメタンスルホニルメチド、ビストリフルオロメタンスルホニルイミド、ビスペルフルオロブタンスルホニルイミド、ビスペンタフルオロエタンスルホニルイミド、トリストリフルオロメタンカルボニルメチド、ビスペルフルオロブタンカルボニルイミドまたはビスペンタフルオロエタンカルボニルイミドなどの一種または二種以上の混合であることができる。
【0060】
イオン性化合物としては、例えば、陽イオンとして、N−エチル−N、N−ジメチル−N−プロピルアンモニウム、N、N、N−トリメチル−N−プロピルアンモニウム、N−メチル−N、N、N−トリブチルアンモニウム、N−エチル−N、N、N−トリブチルアンモニウム、N−メチル−N、N、N−トリヘキシルアンモニウム、N−エチル−N、N、N−トリヘキシルアンモニウム、N−メチル−N、N、N−トリオクチルアンモニウムまたはN−エチル−N、N、N−トリオクチルアンモニウムなどのような4級アンモニウム、ホスホニウム(phosphonium)、ピリジニウム(pyridinium)、イミダゾリウム(imidazolium)、ピロリジニウム(pyrolidinium)またはピペリジニウム(piperidinium)などを上記陰イオン成分とともに含む有機塩が使用されることもでき、必要な場合に上記金属塩と上記有機塩が併用されることもできる。
【0061】
粘着剤組成物においてイオン性化合物の含量は、特に制限されず、例えば、上記重合体100重量部に対して0.01重量部〜5重量部の比率で存在することができる。イオン性化合物の比率は、目的する帯電防止性や成分間の相溶性などを考慮して変更することができる。
【0062】
粘着剤組成物は、シランカップリング剤をさらに含むことができる。上記カップリング剤の例としては、ガンマ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ガンマ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ガンマ−アセトアセテートプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−アセトアセテートプロピルトリエトキシシラン、ベータ−シアノアセチルトリメトキシシラン、ベータ−シアノアセチルトリエトキシシラン、アセトキシアセトトリメトキシシランをあげることができ、上記のうち一種または二種以上の混合を使用することができる。例えば、シランカップリング剤としては、アセトアセテート基またはベータ−シアノアセチル基を有するシランカップリング剤を使用することが適切であることがある。シランカップリング剤は、上記重合体100重量部に対して0.01重量部〜5重量部、または0.01重量部〜1重量部で粘着剤組成物に含まれることができる。上記範囲で適切な粘着力増加効果及び耐久信頼性が確保されることができる。
【0063】
粘着剤組成物は、また、粘着性能の調節の観点で、粘着性付与剤をさらに含むことができる。粘着性付与剤としては、ヒドロカーボン系樹脂またはその水素添加物、ロジン樹脂またはその水素添加物、ロジンエステル樹脂またはその水素添加物、テルペン樹脂またはその水素添加物、テルペンフェノール樹脂またはその水素添加物、重合ロジン樹脂または重合ロジンエステル樹脂などの一種または二種以上の混合物を使用することができる。粘着性付与剤は、上記共重合体100重量部に対して1重量部〜100重量部で組成物に含まれることができる。上記含量範囲で適合な添加効果及び相溶性と凝集力向上効果が確保されることができる。
【0064】
粘着剤組成物は、また、出願の効果に影響を及ぼさない範囲で、上記帯電防止剤と配位結合を形成することができる配位結合性化合物、光開始剤、多官能性アクリレート、エポキシ樹脂、架橋剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、調色剤、補強剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤及び可塑剤よりなる群から選択された1つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0065】
上記粘着剤組成物は、架橋構造が具現された状態で表面エネルギーが30mN/m以下の被着体に対する低速剥離力が約1gf/25mm〜40gf/25mm、1gf/25mm〜30gf/25mm、1gf/25mm〜20gf/25mmまたは1gf/25mm〜10gf/25mm程度であり、高速剥離力が10gf/25mm〜150gf/25mmまたは10gf/25mm〜100gf/25mm程度であることができる。
【0066】
上記で用語低速剥離力は、例えば、180度の剥離角度及び0.3m/minの剥離速度で測定した剥離力であり、高速剥離力は、180度の剥離角度及び30m/minの剥離速度で測定した剥離力であることができる。
【0067】
具体的に、上記それぞれの剥離力は、架橋構造が具現された粘着剤組成物を表面エネルギーが30mN/m以下の被着体に付着し、23℃の温度及び65%の相対湿度で24時間維持した後、上記記述した各剥離角度及び剥離速度で測定したものであることができる。上記各剥離力を測定する具体的な方式は、下記実施例に記述する。
【0068】
上記で被着体の表面エネルギーを測定する方式は、特に制限されず、公知された表面エネルギーの測定方式を適用することができる。例えば、被着体の接触角を測定し、これから表面エネルギーを求めるか、あるいは公知の表面エネルギー測定装備を使用して測定することができる。上記被着体の表面エネルギーは、例えば、10m/N/m〜30mN/m程度であることができる。
【0069】
粘着剤組成物は、また、上記高速剥離力(H)の上記低速剥離力(L)に対する比率(H/L)が1〜15、5〜15または7〜13であることができる。
【0070】
上記粘着剤組成物は、また、架橋構造が具現された状態で上記被着体、すなわち表面エネルギーが30mN/m以下の被着体から180度の剥離角度及び40m/minの剥離速度で剥離されるときに発生する剥離耐電圧が0.5kV以下であることかできる。上記剥離耐電圧の測定方法は、下記実施例で記述する。
【0071】
上記のような低速剥離力、高速剥離力及び/または剥離耐電圧が確保されれば、被着体に対する適切な保護機能を示しながらも、静電気などの誘発を最小化することができ、高速で容易に剥離されることができる。
【0072】
本発明は、また、粘着シートに関する。上記粘着シートは、例えば、保護フィルム、具体的には光学フィルム用保護フィルムであることができる。
【0073】
例えば、粘着シートは、偏光板、偏光子、偏光子保護フィルム、位相差フィルム、視野角補償フィルム、輝度向上フィルムなどの光学フィルム用保護フィルムに使用されることができる。本明細書で用語偏光子と偏光板は、互いに区別される対象を指称する。すなわち、偏光子は、偏光機能を示すフィルム、シートまたは素子そのものを指称し、偏光板は、上記偏光子と共に他の要素を含む光学フィルムを意味する。偏光子とともに光学フィルムに含まれることができる他の要素としては、偏光子保護フィルムまたは位相差層などが例示されることができるが、これに制限されるものではない。
【0074】
粘着シートは、例えば、表面保護用基材フィルムとその基材フィルムの一側に存在する粘着剤層を含むことができる。上記粘着剤層は、例えば、上記粘着剤組成物として、架橋された粘着剤組成物、すなわち架橋構造が具現された粘着剤組成物を含むことができる。
【0075】
上記粘着剤組成物は、架橋構造が具現された後に相対的に高い低速剥離力と相対的に低い高速剥離力を示し、両剥離力のバランスに優れていて、耐久信頼性、作業性、透明性及び帯電防止性に優れている。これにより、上記保護フィルムは、各種光学装置または部品やディスプレイ装置または部品、例えば、LCDなどに使用される偏光板、位相差板、光学補償フィルム、反射シート及び輝度向上フィルムなどの光学フィルムの表面を保護するための表面保護フィルムに効果的に使用されることができるが、上記の用途が上記保護フィルムに限定されるものではない。
【0076】
表面保護用基材フィルムとしては、この分野で公知されている一般的なフィルムまたはシートが使用されることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリテトラフルオルエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリ(塩化ビニル)フィルムまたはポリイミドフィルムのようなプラスチックフィルムをあげることができる。このようなフィルムは、単層で構成されるか、2層以上が積層されていてもよく、場合によっては、防汚層または帯電防止層などの機能性層をさらに含むこともできる。また、基材密着性向上の観点で上記基材の一面または両面にプライマー処理のような表面処理を行うこともできる。
【0077】
基材フィルムの厚さは、用途によって適切に選択されるものであって、特に限定されず、通常、5μm〜500μmまたは10μm〜100μmの厚さで形成することができる。
【0078】
粘着シートに含まれる粘着剤層の厚さは、特に限定されず、例えば、2μm〜100μmまたは5μm〜50μmであることができる。
【0079】
粘着剤層を形成する方法は、特に制限されず、例えば、バーコーターなどの通常の手段で粘着剤組成物またはこれから製造されたコーティング液を基材フィルムなどに塗布し、硬化させるか、粘着剤組成物またはコーティング液をまず剥離性基材の表面に塗布して硬化させ、さらに基材フィルムに転写させる方法などを使用することができる。
【0080】
粘着剤層の形成過程は、粘着剤組成物またはコーティング液内部の揮発成分または反応残留物のような気泡誘発成分を充分に除去した後、行うことが好ましい。これにより、粘着剤の架橋密度または分子量などが過度に低くて弾性率が劣化し、高温状態でガラス板と粘着剤層との間に存在する気泡が大きくなって、内部で散乱体を形成する問題点などを防止することができる。
【0081】
また、上記過程で粘着剤組成物を硬化させる方法は、特に限定されず、例えば、組成物内に含まれた重合体及び架橋剤が反応することができるように適切な熟成工程を経るか、内部に光開始剤などの活性化を誘導することができる光照射、例えば紫外線の照射などを通じて行うことができる。
【0082】
粘着剤層は、例えば、ゲル含量が80%〜99%程度であることができる。ゲル含量は、例えば、下記数式4で計算されることができる。
【0083】
[数式4]
ゲル(gel)含量=B/A×100
【0084】
数式4で、Aは、上記粘着剤の質量を示し、Bは、上記粘着剤をエチルアセテートに常温で48時間沈積した後に回収した不溶解分の乾燥質量を示す。
【0085】
本発明は、また、光学フィルムに関する。例示的な光学フィルムは、光学素子及び上記光学素子の表面に付着した上記粘着シートを含むことができる。例えば、上記粘着シートの粘着剤層が上記光学素子の表面に付着し、これにより、上記表面保護用基材フィルムによって光学素子が保護されることができる。
【0086】
光学フィルムに含まれる光学素子としては、例えば、偏光子、偏光板、偏光子保護フィルム、位相差層または視野角補償層などが例示されることができる。
【0087】
上記で偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール偏光子などのようにこの分野で公知されている一般的な種類を制限なく採用することができる。
【0088】
偏光子は、様々な方向に振動しながら入射する光から一方の方向に振動する光のみを抽出することができる機能性フィルムまたはシートである。このような偏光子は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向されている形態であることができる。偏光子を構成するポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、ポリビニルアセテート系樹脂をゲル化して得ることができる。この場合、使用されることができるポリビニルアセテート系樹脂には、ビニルアセテートの単独重合体は勿論、ビニルアセテート及び上記と共重合可能な他の単量体の共重合体が含まれることができる。上記でビニルアセテートと共重合可能な単量体の例には、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類及びアンモニウム基を有するアクリルアミド類などの一種または二種以上の混合をあげることができるが、これに制限されるものではない。ポリビニルアルコール系樹脂のゲル化度は、通常85モル%〜100モル%程度、好ましくは98モル%以上であることができる。上記ポリビニルアルコール系樹脂は、追加に変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマルまたはポリビニルアセタルなどが使用されることができる。また、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常、1,000〜10,000程度、好ましくは1、500〜5,000程度であることができる。
【0089】
ポリビニルアルコール系樹脂を製膜し、偏光子の原盤フィルムとして使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されず、この分野で公知されている一般的な方法を使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂で製膜された原盤フィルムの厚さは、特に制限されず、例えば、1μm〜150μmの範囲内で適切に制御されることができる。延伸の容易性などを考慮して、上記原盤フィルムの厚さは、10μm以上に制御されることができる。偏光子は、上記のようなポリビニルアルコール系樹脂フィルムを延伸(例えば、一軸延伸)する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色し、その二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸(boric acid)水溶液で処理する工程及びホウ酸水溶液で処理後に洗浄する工程などを通して製造することができる。上記で二色性色素としては、ヨード(iodine)や二色性の有機染料などが使用されることができる。
【0090】
上記偏光板は、例えば、上記偏光子;及び上記偏光子の一側または両側に付着している他の光学用フィルムを含むことができる。上記で他の光学用フィルムとしては、上記記述した偏光子保護フィルムや位相差層、視野角補償層、防眩層などが例示されることができる。
【0091】
上記で偏光子保護フィルムは、上記粘着剤層を含む保護フィルムとは区別される概念であって、偏光子に対する保護フィルムである。偏光子保護フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロースのようなセルロース系フィルム;アクリルフィルム;ポリカーボネートフィルムまたはポリエチレンテレフタレートフィルムのようなポリエステル系フィルム;ポリエーテルスルホン系フィルム;及び/またはポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムまたはシクロ系やノルボルネン構造を有するポリオレフィンフィルムまたはエチレンプロピレン共重合体のようなポリオレフィン系フィルムなどで構成される保護フィルムが積層された多層フィルムで形成されることができる。保護フィルムの厚さは、特に制限されず、通常的な厚さで形成することができる。
【0092】
上記光学フィルムにおいて上記保護フィルムによって保護される光学素子の表面には、表面処理層が存在することができる。上記表面処理層は、例えば、表面エネルギーが30mN/m以下であることができる。すなわち、上記光学フィルムにおいて上記保護フィルムによって保護される光学素子の表面には、表面エネルギーが30mN/m以下の表面処理層が形成されており、上記保護フィルムの上記粘着剤層が上記表面処理層に付着していてもよい。
【0093】
上記表面処理層としては、高硬度層、AG(Anti−glare)層またはSG(Semi−glare)層のような眩しさ防止層またはAR(Antire flection)層またはLR(Lowre flection)層のような低反射層などが例示されることができる。
【0094】
高硬度層は、500gの荷重下での鉛筆硬度が1H以上または2H以上の層であることができる。鉛筆硬度は、例えば、KS G2603で規定された鉛筆心を使用してASTM D 3363規格によって測定することができる。
【0095】
高硬度層は、例えば、高硬度の樹脂層であることができる。上記樹脂層は、例えば、常温硬化型、湿気硬化型、熱硬化型または活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化した状態で含むことができる。1つの例示では、上記樹脂層は、熱硬化型または活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、または活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化した状態で含むことができる。高硬度層の説明で「硬化した状態」というのは、上記各樹脂組成物に含まれる成分が架橋反応または重合反応などを経て樹脂組成物がハード(hard)状態に転換された場合を意味することができる。また、上記で常温硬化型、湿気硬化型、熱硬化型または活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、上記硬化状態が常温下で誘導されるか、あるいは適切な湿気の存在下、熱の印加または活性エネルギー線の照射によって誘導されることができる組成物を意味することができる。
【0096】
この分野では、硬化した状態で前述した範囲の鉛筆硬度を満足することができる多様な樹脂組成物が知られていて、平均的技術者は、適合な樹脂組成物を容易に選択することができる。
【0097】
1つの例示で、上記樹脂組成物は、主材としてアクリル化合物、エポキシ化合物、ウレタン化合物、フェノール化合物またはポリエステル化合物などを含むことができる。上記で「化合物」は、単量体性、オリゴマー性または重合体性化合物であることができる。
【0098】
1つの例示では、上記樹脂組成物として、透明性などの光学的特性に優れていて、黄変などに対する抵抗性に優れたアクリル樹脂組成物、例えば、活性エネルギー線硬化型アクリル樹脂組成物を使用することができる。
【0099】
活性エネルギー線硬化型アクリル組成物は、例えば、活性エネルギー線重合性の重合体成分と反応性希釈用単量体を含むことができる。
【0100】
上記重合体成分としては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、エーテルアクリレートまたはエステルアクリレートなどのように当業界でいわゆる活性エネルギー線重合性オリゴマーとして知られた成分や、または(メタ)アクリル酸エステル単量体などのような単量体を含む混合物の重合物が例示されることができる。上記で(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基を有する(メタ)アクリレート、ヘテロシクリック(メタ)アクリレートまたはアルコキシ(メタ)アクリレートなどが例示されることができる。この分野では、活性エネルギー線硬化型組成物を製造するための多様な重合体成分が知られており、上記のような化合物が必要に応じて選択されることができる。
【0101】
活性エネルギー線硬化型アクリル組成物に含まれることができる、反応性希釈用単量体としては、活性エネルギー線硬化型官能基、例えば、アクリロイル基またはメタクリロイル基などを1つまたは2つ以上有する単量体が例示されることができる。反応性希釈用単量体としては、例えば、上記(メタ)アクリル酸エステル単量体や多官能性アクリレートなどが使用されることができる。
【0102】
活性エネルギー線硬化型アクリル組成物を製造するための上記成分の選択や選択された成分の配合の比率などは、特に制限されず、目的する樹脂層の硬度及びその他物性を考慮して調節されることができる。
【0103】
AG層またはSG層のような眩しさ防止層としては、例えば、凹凸面が形成されている樹脂層または粒子を含む樹脂層として、上記粒子が上記樹脂層とは異なる屈折率を有する粒子である樹脂層を使用することができる。
【0104】
上記で樹脂層としては、例えば、上記高硬度層の形成に使用する樹脂層を使用することができる。眩しさ防止層を形成する場合には、樹脂層が必ず高硬度を示すことができるように樹脂組成物の成分を調節する必要はないが、高硬度を示すことができるように樹脂層を形成してもよい。
【0105】
上記で樹脂層に凹凸面を形成する方式は、特に制限されない。例えば、樹脂組成物のコーティング層を目的する凹凸構造を有する金型と接触させた状態で上記樹脂組成物を硬化させるか、あるいは樹脂組成物に適切な粒径の粒子を配合し、コーティング及び硬化させて凹凸構造を具現することができる。
【0106】
眩しさ防止層は、また、樹脂層とは屈折率が異なる粒子を使用して具現することもできる。
【0107】
1つの例示で、上記粒子は、例えば、樹脂層との屈折率の差が0.03以下または0.02〜0.2であることができる。屈折率の差が過度に小さい場合、ヘイズを誘発しにくいし、反対に、過度に大きくなれば、樹脂層内での散乱が多く発生し、ヘイズを増加させるが、光透過度またはコントラスト特性などの低下が誘導されることができるので、これを考慮して適切な粒子を選択することができる。
【0108】
樹脂層に含まれる粒子の形状は、特に制限されず、例えば、球形、楕円形、多面体形、無定形またはその他形状であることができる。上記粒子は、平均直径が50nm〜5,000nmであることができる。1つの例示では、上記粒子として、表面に凹凸が形成されている粒子を使用することができる。このような粒子は、例えば、平均表面粗さ(Rz)が10nm〜50nmまたは20nm〜40nmや、及び/または表面に形成された凹凸の最大高さが約100nm〜500nmまたは200nm〜400nmであり、凹凸間の幅が400nm〜1、200nmまたは600nm〜1,000nmであることができる。このような粒子は、樹脂層との相溶性やその内部での分散性に優れている。
【0109】
上記粒子としては、多様な無機または有機粒子が例示されることができる。無機粒子としては、シリカ、非結晶質チタニア、非結晶質ジルコニア、インジウムオキシド、アルミナ、非結晶質亜鉛オキシド、非結晶質セリウムオキシド、バリウムオキシド、カルシウムカーボネート、非結晶質バリウムチタネートまたはバリウムスルフェートなどが例示されることができ、有機粒子としては、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシ樹脂またはシリコン樹脂などの有機系素材の架橋物または非架橋物を含む粒子が例示されることができるが、これに制限されるものではない。
【0110】
樹脂層に形成される上記凹凸構造または上記粒子の含量は、特に制限されない。上記凹凸構造の形状または上記粒子の含量は、例えば、AG層の場合、上記樹脂層のヘイズ(haze)が約5%〜15%、7%〜13%または約10%程度になるように調節され、SG層の場合、ヘイズが約1%〜3%程度になるように調節されることができる。上記ヘイズは、例えば、sepoong社のHR−100またはHM−150などのようなヘイズメーター(hazemeter)を使用して製造社のマニュアルによって測定することができる。
【0111】
AR層やLR層のような低反射層は、低屈折物質をコーティングして形成することができる。低反射層を形成することができる低屈折物質は、多様に知られており、これは、すべて上記光学素子に適切に選択されて使用されることができる。低反射層は、低屈折物質のコーティングを通じて反射率が約1%以下になるように形成することができる。
【0112】
表面処理層の形成には、また、韓国特許公開第2007−0101001号、第2011−0095464号、第2011−0095004号、第2011−0095820号、第2000−0019116号、第2000−0009647号、第2000−0018983号、第2003−0068335号、第2002−0066505号、第2002−0008267号、第2001−0111362号、第2004−0083916号、第2004−0085484号、第2008−0005722号、第2008−0063107号、第2008−0101801号または第2009−0049557号公報などに公知された素材が使用されることができる。
【0113】
表面処理層は、単独で形成されるか、あるいは2個以上が組合されて形成されることもできる。組合の例としては、基材層の表面にまず高硬度層を形成し、その表面にさらに低反射層を形成する場合が例示されることができる。
【0114】
本発明は、また、ディスプレイ装置、例えば、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)に関する。例示的なディスプレイ装置は、液晶パネルを含むことができ、上記液晶パネルの一面または両面には、上記光学フィルムが付着していてもよい。上記フィルムは、例えば、接着剤または粘着剤を使用して液晶パネルに付着していてもよい。上記で接着剤または粘着剤は、上記記述した保護フィルムに存在する粘着剤以外の接着剤または粘着剤である。
【0115】
液晶表示装置に含まれる液晶パネルの種類は、特に限定されない。例えば、その種類に制限されず、TN(Twisted Neumatic)型、STN(Super Twisted Neumatic)型、F(ferroelectric)型及びPD(polymerdispersed LCD)型などを含む各種パッシブマトリックス方式;2端子型(two terminal)及び3端子型(three terminal)を含む各種アクティブマトリックス方式;横電界型(IPS mode)パネル及び垂直配向型(VAmode)パネルを含む公知の液晶パネルがすべて適用されることができる。また、液晶表示装置に含まれるその他の構成の種類及びその製造方法は、特に限定されず、この分野における一般的な構成を制限なく採用して使用することができる。
【発明の効果】
【0116】
本発明の粘着剤組成物は、架橋構造が形成された後に適切な低速及び高速剥離力を示し、両者のバランスに優れている。これにより、上記粘着剤組成物を、例えば、保護フィルムに適用する場合には、優れた保護効果を示すと同時に、高速剥離時に容易に剥離され、高速工程の側面でも有利であり、上記過程で優れた静電気防止特性を示すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0117】
以下、実施例及び比較例を通じて上記粘着剤組成物をさらに詳しく説明するが、上記粘着剤組成物の範囲が下記実施例に制限されるものではない。
【0118】
1.低速剥離力の測定
実施例または比較例で製造した粘着シートを表面に表面エネルギーが26mN/m程度である表面処理層(眩しさ防止層)が形成された偏光板の上記表面処理層にJIS Z 0237に基づいて、2kgのローラーで付着する。その後、23℃の温度及び65%の相対湿度で24時間保管した後、横及び縦がそれぞれ25mm及び120mmになるようにカットし、試験片を製造する。次に、試験片をガラス基板に固定した後、引張試験器を使用して180度の剥離角度及び0.3m/minの剥離速度で粘着シートを横方向に表面処理層から剥離しながら剥離力を測定する。剥離力は、同一の試験片2個に対して測定し、その平均値を採用する。
【0119】
2.高速剥離力の測定
実施例または比較例で製造した粘着シートを表面に表面エネルギーが26mN/m程度である表面処理層(眩しさ防止層)が形成された偏光板の上記表面処理層にJIS Z 0237に基づいて、2kgのローラーで付着する。その後、23℃の温度及び65%の相対湿度で24時間保管した後、横及び縦がそれぞれ25mm及び250mmになるようにカットし、試験片を製造する。次に、試験片をガラス基板に固定した後、引張試験器を使用して180度の剥離角度及び0.3m/minの剥離速度で粘着シートを横方向に表面処理層から剥離しながら剥離力を測定する。剥離力は、同一の試験片2個に対して測定し、その平均値を採用する。
【0120】
3.剥離耐電圧測定
低速または高速剥離力の測定で使用したものと同一であり、横及び縦の長さがそれぞれ22cm及び25cmである試験片を製造する。次に、試験片をガラス基板に固定した後、試験片の粘着シートを引張試験器を使用して180度の剥離角度及び40m/minの速度に剥離しながら耐電圧を測定する。
【0121】
4.粘着シート除去後にむら発生可否
低速剥離力の測定時に使用したものと同一の試験片で粘着シートを剥離した後に被着体の表面で静電気によるむらが発生するか否かを観察し、下記基準によって評価した。
〈評価基準〉
○:被着体の表面でむら現象不発生
×:被着体の表面でむら現象発生
【0122】
製造例1.アクリル重合体(A)の製造
窒素ガスが還流され、温度調節が容易になるように冷却装置を設置した1L反応器に2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)93重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート1重量部及び2−ヒドロキシエチルアクリレート2重量部及びポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート(polyethyleneglycol monomethylether methacrylate、アルキレンオキシド単位付加モル水:2〜8)6重量部を投入し、溶剤としてエチルアセテート(EAc)100重量部を投入した。次に、窒素ガスを1時間パージング(purging)し、酸素を除去し、反応開始剤(アゾビスイソブチロニトリル(AIBN))を投入し、8時間反応させた。反応後、反応物をエチルアセテート(EAc)で希釈し、アクリル重合体(A)を製造した。
【0123】
製造例2〜9.アクリル重合体(B)〜(I)の製造
使用される単量体の比率を下記表1のように調節したことを除いて、製造例1と同一の方式で重合体を製造した。
【0124】
【表1】
【0125】
実施例1
粘着剤組成物の製造
製造例1のアクリル重合体(A)100重量部、架橋剤としてイソボロンジイソシアネート系架橋剤及びヘキサメチレンジイソシアネート系架橋剤の混合物(Asahi社製、MHG−80B)4.5重量部及びLiTFSi(lithium bis(trifluoromethanesulfonyl)imide)0.3g及びポリエチレングリコールビス(2−ヘキサノエート)0.5重量部を均一に配合し、コーティング性を考慮して適正濃度で希釈し、粘着剤組成物を製造した。
【0126】
粘着シートの製造
製造された粘着剤組成物をPET(poly(ethylene terephthalte))フィルム(厚さ:38μm)の一面にコーティング及び乾燥し、厚さが約20μmの均一なコーティング層を形成した。次に、50℃程度の温度で48時間維持し、上記組成物のコーティング層に架橋構造を具現し、粘着シートを製造した。
【0127】
実施例2〜3及び比較例1〜6
粘着剤組成物の組成を下記表2に示されたように変更したことを除いて、実施例1と同一の方法で粘着剤組成物及び粘着シートを製造した。
【0128】
【表2】
【0129】
上記実施例及び比較例の粘着シートに対する物性評価結果を下記表3に整理して記載した。
【0130】
【表3】