【文献】
Wu, Xiaojuan et al.,Wide-band reflective films produced by side-chain cholesteric liquid-crystalline elastomers derived from a binaphthalene crosslinking agent,Polymer,2011年,52(25),pp. 5836-5845
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
一般式(I)において、R
1及びR
2はお互い独立して重合性基を表すが、重合性基の具体的な例としては、下記に示す構造が挙げられる。
【0019】
これらの重合基はラジカル重合、ラジカル付加重合、カチオン重合、及びアニオン重合により硬化する。特に重合方法として紫外線重合を行う場合には、式(R−1)、式(R−2)、式(R−4)、式(R−5)、式(R−7)、式(R−11)、式(R−13)又は式(R−15)が好ましく、式(R−1)、式(R−2)、式(R−7)、式(R−11)又は式(R−13)がより好ましく、式(R−1)又は式(R−2)がより好ましい。
【0020】
A
1、A
2、A
3及びA
4は独立して1,4−フェニレン基およびナフタレン−2,6−ジイル基,1,4−シクロヘキシレン基又はピリジン−2,5−ジイル基を表し、A
1、A
2、A
3及びA
4はお互い独立してアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基又はニトロ基により置換されていても良いが、強いHTP、溶解性の面で、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基又はピリジン−2,5−ジイル基が好ましく、1,4−フェニレン基又はナフタレン−2,6−ジイル基がより好ましく、置換基としては、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基及びアルコキシ基が好ましい。
【0021】
B
1及びB
2はお互い独立して、−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、―COO−、−OCO−、−OCOO−、−CO−NR
11−、−NR
11−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、―CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH
2CH
2−COO−、−OOC−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−OCO−、−OCO−CH
2CH
2−、−C≡C−又は単結合を表すが、−OCH
2−、−CH
2O−、―COO−、−OCO−、―CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH
2CH
2−COO−、−OOC−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−OCO−、−OCO−CH
2CH
2−、−C≡C−又は単結合が好ましく、−OCH
2−、−CH
2O−、―COO−、−OCO−、―CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−又は単結合がより好ましい。
【0022】
Z
1は、−COO−、−CH=CH−COO−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2O−又は−CF
2O−を表し、Z
2は、−OCO−、−OCO−CH=CH−、−OCO−CH
2CH
2−、−OCH
2−又は−OCF
2−を表すが、分子の剛直性を高め、HTPを強くするには、Z
1は−COO−又は−CH=CH−COO−が好ましく、Z
2は−OCO−又は−OCO−CH=CH−が好ましい。Z
1及びZ
2は同一であっても異なっていてもよいが、同一である方が製造工程が簡略であり好ましい。
【0023】
Zは以下の一般式(Z−1)から式(Z−3)で表される2価の置換基の何れかを表すが、一般式(Z−1)又は(Z−3)で表される2価の置換基がより好ましい。
【0025】
なお、一般式(Z−3)で表される2価の置換基は軸不斉の化合物である。また、一般式(Z−1)又は(Z−3)で表される2価の置換基は実質的に単一の異性体を示す。
【0026】
mおよびnは0、1又は2を表すが、m及びnは0又は1が好ましい。
【0027】
A
1、A
2、B
1又は/及びB
2が複数存在する場合それらはお互い独立して同一であっても異なっていてもよい。
【0028】
また本発明の一般式(I)で表される重合性キラル化合物は環骨格と重合性基が直接結合しているため、メソゲン部位の剛直性が増加し高HTPが得られる。また、溶解性も改善され当該液晶組成物による光学異方体は優れた反射特性を有する。本発明は、当該化合物、及び構成部材とする液晶組成物、更に当該液晶組成物を用いた光学異方体を提供する。
【0029】
一般式(I)で表される化合物は、より具体的には、下記の式(I−1)〜一般式(I−38)で表される化合物が好ましい。
【0035】
式(I−21)〜(I−24)及び(I−37)にはR体及びS体があるがねじれ力は同一であるので、特定の用途以外ではどちらでも構わない。本発明の化合物は以下に記載する合成方法で合成することができる。
(製法1) 一般式(I−3)で表される化合物の製造
4-ベンジルオキシ-3-クロロ安息香酸とイソソルビド((3S,3aα,6aα)−ヘキサヒドロフロ[3,2−b]フラン−3α,6β−ジオール)とのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)等の脱水縮合剤及び触媒としてN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)等を用いたエステル化反応により得られる式(S−1)で表される化合物を、パラジウムカーボンによる接触水素還元によりベンジル基を脱離させて式(S−2)で表されるイソソルビド誘導体を得る。更にメタクリル酸クロリドとのエステル化反応により、式(I−3)で表される目的化合物を得ることができる。
【0037】
(製法2) 一般式(I−8)で表される化合物の製造
4’−ベンジルオキシビフェニルカルボン酸とイソソルビドとのDCC等の脱水縮合剤を用いたエステル化反応により得られる式(S−3)で表される化合物を、パラジウムカーボン(Pd/C)による接触水素還元によりベンジル基を脱離させて式(S−4)で表されるイソソルビド誘導体を得る。更にメタクリル酸クロリドとのエステル化反応により、式(I−8)で表される目的化合物を得ることができる。
【0039】
(製法3) 一般式(I−14)で表される化合物の製造
4−ベンジルオキシ安息香酸とイソソルビドとのDCC等の脱水縮合剤を用いたエステル化反応により得られる式(S−5)で表される化合物を、Pd/Cによる接触水素還元によりベンジル基を脱離させて式(S−6)で表されるイソソルビド誘導体を得る。
【0041】
次いで、4−ヒドロキシ桂皮酸のテトラヒドロピラニルエーテル化合物と式(S−6)で表される化合物とのDCC等の脱水縮合剤を用いたエステル化反応によりイソソルビド誘導体を得る。更にイソソルビド誘導体をテトラヒドロフラン(THF)/塩酸で脱保護を行い式(S−7)で表されるイソソルビド誘導体を得て、アクリル酸クロリドとのエステル化反応により、式(I−14)で表される目的化合物を得ることができる。
【0043】
(製法4) 一般式(I−17)で表される化合物の製造
4−ブロモ安息香酸メチルとトリメチルシリルアセチレンとの園頭反応により式(S−7)で表されるトリメチルシリルアセチレン誘導体を合成した後、テトラブチルアンモニウムフロリドによりトリメチルシリル基(TMS)を脱離させて、式(S−8)で表されるアセチレン誘導体を得る。更に、4−ブロモ−2−フルオロフェノールのテトラヒドロピラニルエーテル化合物との園頭反応により式(S−9)で表されるトラン誘導体を得て、次いで水酸化ナトリウムによる加水分解によりトラン骨格を有する式(S−10)で表される安息香酸誘導体を得る。
【0045】
トラン骨格を有する式(S−10)で表される安息香酸誘導体とイソソルビドとをDCC等の脱水縮合剤を用いたエステル化反応によりイソソルビド誘導体を得て、更にイソソルビド誘導体をTHF/塩酸で脱保護を行い式(S−11)で表されるイソソルビド誘導体を得る。
【0046】
次いでメタクリル酸クロリドとのエステル化反応により、式(I−17)で表される目的化合物を得ることができる。
【0048】
(製法5) 一般式(I−23)で表される化合物の製造
ビナフトールとアセトキシ安息香酸とのジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤を用いたエステル化反応によりビナフチル誘導体(S−12)を得た後、ブチルアミンによりアセチル基を脱離させてヒドロキシ安息香酸誘導体(S−13)を得る。次いで,ヒドロキシ安息香酸誘導体(S−14)と4-アクリロイルオキシ安息香酸とのジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤を用いたエステル化反応により目的物化合物(I−23)を得ることができる。
【0050】
(製法6) 一般式(I−25)で表される化合物の製造
酒石酸エチルと4-アクリロイルオキシ安息香酸とをジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤を用いたエステル化反応により目的物化合物(I−25)を得ることができる。
【0052】
(製法7) 一般式(I−38)で表される化合物の製造
酒石酸エチルとアセトキシナフトエ酸とのジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤を用いたエステル化反応、更にブチルアミンを用いた脱アセチル基反応により、ナフトエ酸誘導体(S−14)を得る。次いで、マレイミド酢酸とのジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤を用いたエステル化反応により目的化合物(I−38)を得ることができる。
【0054】
本願発明の重合性化合物は、キラルネマチック、キラルスメクチック及びコレステリック液晶組成物に好適に使用できる。本願発明の化合物を構成部材とする液晶組成物において、重合性キラル化合物の添加量は、0.1〜40質量%が好ましく3〜25質量%がより好ましい。
【0055】
本願発明の重合性キラル化合物を含有する重合性組成物は液晶性を示しても示さなくてもよいが、液晶性を示すものが好ましく、その構成としては、一般式(I)で表される化合物を含有する以外に制限はないが、組み合わせて使用する重合性化合物としては、化合物中にアクリロイルオキシ基(R−1)又はメタアクリロイルオキシ基(R−2)を有するものが好ましく、重合性官能基を分子内に2つ以上持つものがより好ましい。
【0056】
組み合わせて使用する重合性化合物は液晶性を示すことが好ましいが、具体的には一般式(II)
【0058】
(ただし、式中Aは、H、F、Cl、CN、SCN、OCF
3、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、該アルキル基は酸素原子同士が直接結合しないものとして炭素原子が酸素原子、硫黄原子、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH=CH−、−C≡C−で置換されて良く、又は−L
6−S
4−R
4であり、R
3及びR
4はお互い独立して、一般式(I)におけるR
1と同じ意味を表し、S
3及びS
4は、お互い独立して単結合、又は1〜12個の炭素原子を有するアルキレン基を表し、ここで一つ以上の−CH
2−は、酸素原子同士が直接結合しないものとして−O−、−COO−、−OCO−、−OCOO−に置き換えられても良く、L
4、L
5、及びL
6はお互い独立して、単結合、−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOOCH
2−、−CH
2OCOO−、−CO−NR
11−、−NR
11−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CH=CH−COO−、−OOC−CH=CH−、−COOC
2H
4−、−OCOC
2H
4−、−C
2H
4OCO−、−C
2H
4COO−、−OCOCH
2−、−CH
2COO−、−CH=CH−、−C
2H
4−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−又は−C≡C−を表し(式中、R
11は炭素原子1〜4のアルキル基を表す。)、M
3及びM
4はお互い独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、M
3及びM
4はお互い独立して無置換であるか又はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン基、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良く、pは0、1、2又は3を表す。pが2又は3を表す場合、2個あるいは3個存在するL
5及びM
4はお互い独立して同一であっても異なっていても良い。)で表される化合物が好ましい。
【0059】
特にL
4、L
5及びL
6がお互い独立して、単結合、−O−、−COO−又は−OCO−を表し、M
3及びM
4がお互い独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基又はナフタレン−2,6−ジイル基で表される重合性化合物が好ましい。
【0060】
一般式(II)で表される重合性化合物は具体的には、一般式(II−1)〜一般式(II−22)で表される化合物が好ましい。
【0064】
(式中、p及びqはお互い独立して0〜12の整数を表すが、p及び/又はqが0の場合は2個の酸素原子直接結合することはなく、一方の酸素原子を除去する。)
また本願発明の重合性組成物に使用する重合性液晶化合物としては、液晶温度範囲や複屈折率の調節、粘度低減を目的として一般式(III−1)〜一般式(III−11)を配合することが好ましい。
【0067】
(式中、p及びqはお互い独立して0〜12の整数を表すが、pが0の場合は2個の酸素原子直接結合することはなく、一方の酸素原子を除去する。)
また本願発明の化合物以外のキラル化合物も添加しても良い、具体的な化合物としては一般式(IV−1)〜一般式(IV−7)に示される。キラル化合物の配合量は、液晶組成物に対して、0.5〜30質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましい。
【0069】
(式中、p及びqはお互い独立して0〜12の整数を表すが、p及び/又はqが0の場合は2個の酸素原子直接結合することはなく、一方の酸素原子を除去する。)
さらに本発明の液晶組成物に、重合性基を有しない液晶組成物に添加してもよく、通常の液晶デバイス、例えばSTN(スーパー・ツイステッド・ネマチック)液晶や、TN(ツイステッド・ネマチック)液晶、TFT(薄膜トランジスター)液晶等に使用されるネマチック液晶組成物、強誘電液晶組成物等が挙げられる。
【0070】
また、重合性官能基を有する化合物であって、液晶性を示さない化合物を添加することもできる。このような化合物としては、通常、この技術分野で高分子形成性モノマーあるいは高分子形成性オリゴマーとして認識されるものであれば特に制限なく使用することができるが、組成物が液晶相を呈することが求められる場合には、その添加量は組成物として液晶性を呈するように調整する必要がある。
【0071】
本発明の液晶組成物は、重合開始剤を添加しなくても熱及び光による重合が可能であるが、光重合開始剤の添加が好ましい。添加する光重合開始剤の濃度は、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜10質量%がさらに好ましく、0.4〜5質量%が特に好ましい。光開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド類等が挙げられる。
【0072】
また、本発明の液晶組成物には、その保存安定性を向上させるために、安定剤を添加することもできる。使用できる安定剤としては、例えば、ヒドロキノン類、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β−ナフチルアミン類、β−ナフトール類、ニトロソ化合物等が挙げられる。安定剤を使用する場合の添加量は、液晶組成物に対して0.005〜1質量%の範囲が好ましく、0.02〜0.5質量%がさらに好ましく、0.03〜0.1質量%が特に好ましい。
【0073】
また、本発明の液晶組成物を位相差フィルム、偏光フィルムや配向膜の原料、又は印刷インキ及び塗料、保護膜等の用途に利用する場合には、その目的に応じて金属、金属錯体、染料、顔料、色素、蛍光材料、燐光材料、界面活性剤、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物等を添加することもできる。
【0074】
次に本発明の光学異方体について説明する。本発明の液晶組成物を重合させることによって製造される光学異方体は種々の用途に利用できる。例えば、本発明の重合性液晶組成物を、配向させない状態で重合させた場合、光散乱板、偏光解消板、モアレ縞防止板として利用可能である。また、本発明の重合性液晶組成物を配向させた状態において、重合させることにより製造された光学異方体は、物理的性質に光学異方性を有しており、有用である。このような光学異方体は、例えば、本発明の重合性液晶組成物表面を、布等でラビング処理した基板、もしくは有機薄膜を形成した基板表面を布等でラビング処理した基板、あるいはSiO
2を斜方蒸着した配向膜を有する基板上に担持させるか、基板間に挟持させた後、本発明の液晶を重合させることによって製造することができる。
【0075】
重合性液晶組成物を基板上に担持させる際の方法としては、スピンコーティング、ダイコーティング、エクストルージョンコーティング、ロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、ディッピング、プリント法等を挙げることができる。またコーティングの際、重合性液晶組成物をそのまま使用しても、有機溶媒を添加しても良い。有機溶媒としては、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、セロソルブ、シクロヘキサノン、γ−ブチルラクトン、アセトキシ−2−エトキシエタン、プロピレングリコールモノメチルアセタート、N−メチルピロリジノン類を挙げることができる。これらは単独でも、組み合わせて用いても良く、その蒸気圧と重合性液晶組成物の溶解性を考慮し、適宜選択すれば良い。また、その添加量は90質量%以下が好ましい。添加した有機溶媒を揮発させる方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥を用いることができる。重合性液晶材料の塗布性をさらに向上させるためには、基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設けることや、重合性液晶材料にレベリング剤を添加するのも有効である。基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設けるのは、重合性液晶材料を重合させて得られる光学異方体と基板の密着性が良くない場合に、密着性を向上させる手段としても有効である。
【0076】
液晶組成物を基板間に挟持させる方法としては、毛細管現象を利用した注入法が挙げられる。基板間に形成された空間を減圧し、その後液晶材料を注入する手段も有効である。
【0077】
ラビング処理、あるいはSiO
2の斜方蒸着以外の配向処理としては、液晶材料の流動配向の利用や、電場又は磁場の利用を挙げることができる。これらの配向手段は単独で用いても、また組み合わせて用いても良い。さらに、ラビングに代わる配向処理方法として、光配向法を用いることもできる。この方法は、例えば、ポリビニルシンナメート等の分子内に光二量化反応する官能基を有する有機薄膜、光で異性化する官能基を有する有機薄膜又はポリイミド等の有機薄膜に、偏光した光、好ましくは偏光した紫外線を照射することによって、配向膜を形成するものである。この光配向法に光マスクを適用することにより配向のパターン化が容易に達成できるので、光学異方体内部の分子配向も精密に制御することが可能となる。
【0078】
基板の形状としては、平板の他に、曲面を構成部分として有していても良い。基板を構成する材料は、有機材料、無機材料を問わずに用いることができる。基板の材料となる有機材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアリレート、ポリスルホン、トリアセチルセルロース、セルロース、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられ、また、無機材料としては、例えば、シリコン、ガラス、方解石等が挙げられる。
【0079】
これらの基板を布等でラビングすることによって適当な配向性を得られない場合、公知の方法に従ってポリイミド薄膜又はポリビニルアルコール薄膜等の有機薄膜を基板表面に形成し、これを布等でラビングしても良い。また、通常のTN液晶デバイス又はSTN液晶デバイスで使用されているプレチルト角を与えるポリイミド薄膜は、光学異方体内部の分子配向構造を更に精密に制御することができることから、特に好ましい。
【0080】
また、電場によって配向状態を制御する場合には、電極層を有する基板を使用する。この場合、電極上に前述のポリイミド薄膜等の有機薄膜を形成するのが好ましい。
【0081】
本発明の液晶組成物を重合させる方法としては、迅速な重合の進行が望ましいので、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、さらに活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。また、照射時の温度は、本発明の液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。特に、光重合によって光学異方体を製造しようとする場合には、意図しない熱重合の誘起を避ける意味からも可能な限り室温に近い温度、即ち、典型的には25℃での温度で重合させることが好ましい。活性エネルギー線の強度は、0.1mW/cm
2〜2W/cm
2が好ましい。強度が0.1mW/cm
2以下の場合、光重合を完了させるのに多大な時間が必要になり生産性が悪化してしまい、2W/cm
2以上の場合、重合性液晶化合物又は重合性液晶組成物が劣化してしまう危険がある。
【0082】
重合によって得られた本発明の光学異方体は、初期の特性変化を軽減し、安定的な特性発現を図ることを目的として熱処理を施すこともできる。熱処理の温度は50〜250℃の範囲で、また熱処理時間は30秒〜12時間の範囲が好ましい。
【0083】
このような方法によって製造される本発明の光学異方体は、基板から剥離して単体で用いても、剥離せずに用いても良い。また、得られた光学異方体を積層しても、他の基板に貼り合わせて用いてもよい。
【実施例】
【0084】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
【0085】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各種分析は以下の方法により行った。
・相転移温度:温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡で測定
・化合物の構造:核磁気共鳴スペクトル(NMR)、質量スペクトル(MS)等により確認
以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
【0086】
T
n−iはネマチック相−等方相の転移温度を表す。
【0087】
HTP(ねじれ力)の測定方法:重合性キラル化合物をネマチック液晶(DON−103,DIC社製)に2重量%添加した組成物を市販の一軸配向処理を行ったクサビ型セルに注入し、偏光顕微鏡を用いて室温でらせんピッチを測定した。この値を上記式(a)に代入しHTPを求めた。
【0088】
円偏光特性:紫外可視分光光度計 U−4100(日立製作所製)で450nm〜650nmのスペクトルを測定
化合物記載に下記の略号を使用する。
(実施例1)
撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に3−(p−ヒドロキシフェニル)安息香酸 33.2g(240ミリモル)、ヨウ化カリウム 4g、テトラブチルアンモニウムブロミド 1g、エタノール 400mlを仕込み室温で攪拌した。水酸化ナトリウム 24gの25%水溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を50℃に保ち、ベンジルブロミド 50g(288ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を更に70℃に加温して更に3時間反応させた。反応終了後、10%塩酸で中和して酢酸エチルで抽出を行い、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を濃縮して式(1)で表す化合物を38g合成した。
【0089】
【化27】
【0090】
次いで、撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記で合成した式(1)で表す化合物28g(123ミリモル)、イソソルビド 7.7g(55ミリモル)、ジメチルアミノピリジン 1.8g、ジクロロメタン 500mlを仕込こみ、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち。窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 19g(150ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン200mlを加え、10%塩酸水溶液で洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、5倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(2)で表す化合物23gを得た。
【0091】
【化28】
【0092】
次いで、撹拌装置備えたオートクレーブ容器に、上記で合成した式(2)で表す化合物23g(40.5ミリモル)、パラジウムカーボン 1g、エタノール150mlを仕込み、0.1MPaの水素にて還元反応(反応温度50℃、3時間)を行った。反応液をろ過した後、反応溶媒を留去して式(3)で表す化合物14gを得た。
【0093】
【化29】
【0094】
次いで、撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記の式(3)で表す化合物4g(10.3ミリモル)、アクリル酸クロリド 2.26g(25ミリモル)、ジクロロメタン50mlを仕込み、窒素ガス雰囲気下で反応器を5℃以下に冷却した。次いでトリエチルアミン 2.5g(25ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、20℃以下で3時間反応させた。反応終了後、ジクロロメタンを加え、10%塩酸水溶液、純水、飽和食塩水で有機層を洗浄した。溶媒を留去した後、2倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(4)で表す目的の化合物 4.2gを得た。
【0095】
【化30】
【0096】
(物性値)
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:4.05−4.11(m,4H),4.67(m,1H),5.06(m,1H),5.42(m,1H),5.49(s,1H),6.04(d,2H),6.29(m,2H),6.65(d,2H),7.21−7.26(m,4H),8.06(dd,4H)
13C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:70.7,73.4,74.5,78.5,81.1,86.1,121.7,126.9,127.0,127.5,131.3,133.3,154.5,163.8,164.7,165.1
赤外吸収スペクトル(IR)(KBr):2925,2855,1760,1652−1622,809
(融点)125℃
下記で表すネマチック液晶組成物に式(4)で示される化合物を5.0%添加して光学顕微鏡より求めるピッチよりHTPを算出した結果、HTP=31と高い値を示した。
【0097】
【化31】
【0098】
(実施例2)
撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、実施例1で合成した式(3)で表す化合物4g(10.3ミリモル)、4−アクリロイルオキシ安息香酸 4.6g(24ミリモル)、ジメチルアミノピリジン 200mg、ジクロロメタン 500mlを仕込こみ、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち。窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 3.6g(28ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン200mlを加え、10%塩酸水溶液で洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、5倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(5)で表す目的の化合物 5.2gを得た。
【0099】
【化32】
【0100】
(物性値)
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:4.05−4.11(m,4H),4.67(m,1H),5.06(m,1H),5.42(m,1H),5.49(s,1H),6.04(d,2H),6.29(m,2H),6.65(d,2H),7.26−7.37(m,8H),8.10(d,2H),8.17(d,2H),8.24−8.27(m,4H)
13C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:70.7,73.4,74.6,78.5,81.1,86.1,121.8,121.9,126.5,127.0,127.1,127.4,131.4,131.8,133.4,154.5,163.7,164.7,165.1
赤外吸収スペクトル(IR)(KBr):2925,2855,1760,1652−1622,809
(融点)177℃
実施例1と同様にしてHTPを算出した結果、HTP=42と高い値を示した。
(実施例3)
撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、実施例1で合成した式(3)で表す化合物4g(10.3ミリモル)、4−(4−メタアクリロイルオキシ)フェニル桂皮酸 7.4g(24ミリモル)、ジメチルアミノピリジン 200mg、ジクロロメタン 500mlを仕込こみ、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち。窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 3.6g(28ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン200mlを加え、10%塩酸水溶液で洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、5倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(6)で表す目的の化合物 6.4gを得た。
【0101】
【化33】
【0102】
(物性値)
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:1.92(s,6H),3.91−3.95(m,2H),4.05−4.15(m,2H),4.63(m,1H),4.98(m,1H),5.31−5.39(m,2H),5.77(s,1H),6.41(s,2H),6.44−6.65(m,4H),7.22(d,2H),7.40−7.70(m,12H),7.76−7.85(m,2H)
13C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:70.3,73.6,74.1,76.7,81.0,86.0,116.9,117.0,122.0,127.4,127.1,128.0,128.7,133.0,133.2,135.7,137.6,142.3,142.4,145.3,150.8,165.7,165.8,166.2
赤外吸収スペクトル(IR)(KBr):2925,2855,1760,1652−1622,809
(融点)248℃
実施例1で用いたネマチック液晶組成物に式(6)で示される化合物を2.0%添加して光学顕微鏡より求めるピッチよりHTPを算出した結果、HTP=56と高い値を示した。
(実施例4)
撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、実施例1で合成した式(3)で表す化合物4g(10.3ミリモル)、6−アクリロイルオキシ−2−ナフトエ酸 5.8g(24ミリモル)、ジメチルアミノピリジン 200mg、ジクロロメタン 500mlを仕込こみ、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち。窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 3.6g(28ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン200mlを加え、10%塩酸水溶液で洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、5倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(7)で表す目的の化合物 5.7gを得た。
【0103】
【化34】
【0104】
(物性値)
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:4.13−4.19(m,4H),4.77(m,1H),5.16(m,1H),5.50(m,1H),5.52(s,1H),6.04(d,2H),6.29(m,2H),6.65(d,2H),7.26−7.37(m,8H),8.10(d,2H),8.17(d,2H),8.24−8.27(m,4H)
13C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:70.7,73.5,74.7,78.5,81.2,86.1,118.5,122.1,125.8,126.5,127.6,128.0,130.3,130.9,131.1,133.1,136.2,150.2,164.3,165.5,165.9
赤外吸収スペクトル(IR)(KBr):2925,2855,1760,1652−1622,809
(融点)179℃
実施例1と同様にしてHTPを算出した結果、HTP=34と高い値を示した。
(実施例5)
次いで、撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、(R)−1,1‘−2−ビナフトール 15.7g(55ミリモル)、4−(4’−アクリロイルオキシ)ビフェニルカルボン酸 35.3g(130ミリモル)ジメチルアミノピリジン 1.8g、ジクロロメタン 500mlを仕込こみ、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち。窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 19g(150ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン200mlを加え、10%塩酸水溶液で洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、5倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(8)で表す目的の化合物(R体) 35gを得た。
【0105】
【化35】
【0106】
(物性値)
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:4.05−4.11(m,4H),4.67(m,1H),5.06(m,1H),5.42(m,1H),5.49(s,1H),6.04(d,2H),6.29(m,2H),6.65(d,2H),7.26−7.37(m,8H),8.10(d,2H),8.17(d,2H),8.24−8.27(m,4H)
13C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:121.7,121.9,123.6,125.7,126.1,126.8,127.7,128.0,128.2,129.6,130.4,131.5,132.3,133.3,137.6,144.9,146.9,150.6,164.4,164.5
赤外吸収スペクトル(IR)(KBr):1760,1652−1622,809
(融点)107℃
実施例1と同様にしてHTPを算出した結果、HTP=65と高い値を示した。
(比較例1)
撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に4−(4−ヒドロキシフェニル)安息香酸 21.4g(100ミリモル)、ヨウ化カリウム 2.5g、テトラブチルアンモニウムブロミド 0.7g、エタノール 400mlを仕込み室温で攪拌した。水酸化ナトリウム 12gの25%水溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を50℃に保ち、6−クロロプロパノール 20g(150ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を更に70℃に加温して更に3時間反応させた。反応終了後、10%塩酸で中和して酢酸エチルで抽出を行い、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を濃縮して式(9)で表す化合物を22g合成した。
【0107】
【化36】
【0108】
次いで、撹拌装置、冷却器及びディーンスタークを備えた反応容器に、上記で合成した式(9)で表す化合物22g(71ミリモル)、アクリル酸 10g(140ミリモル)、p−トルエンスルホン酸 1g、トルエン100mlを仕込んだ。反応容器を加熱してトルエン還流させそのまま4時間反応させた。反応終了後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄した後、10%塩酸水溶液で中和、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去して、式(10)で表す化合物19gを得た。
【0109】
【化37】
【0110】
更に、撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記で合成した式(10)で表す化合物19g(51ミリモル)、イソソルビド 3.8g(27ミリモル)、ジメチルアミノピリジン 0.9g、ジクロロメタン 200mlを仕込こみ、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち。窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 9g(6.3ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン100mlを加え、10%塩酸水溶液で洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、シリカゲルカラムおよび再結晶により精製を行い式(11)で表す目的の化合物14gを得た。この化合物の融点は150℃以上であり測定できなかった。
【0111】
【化38】
【0112】
(物性値)
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:1.55−1.45(m,8H),1.71(m,4H),1.83(m,4H),2.66(m,4H),2.96(m,4H),
3.93(m,2H),3.98(m,2H),4.03(s,4H),4.30(t,4H),4.50(t,4H),5.35(s,2H),5.65(dd,2H),5.85(d,2H),5.85(d,2H),6.15(q,2H),6.55(d,2H),7.10(d,4H),7.50(m,4H),8.12(d,4H),8.13(d,4H)
赤外吸収スペクトル(IR)(KBr):2925,2855,1760,1652−1622,809
(融点)>150℃
比較例1記載の式(11)で表される化合物は、融点が高く他の化合物との溶解性にも問題があった。実施例1と同様の液晶組成物でHTPを算出した結果、HTP=33と高い値を示したが、溶解性が悪いため下記の組成に0.5%しか添加できなかった。
(比較例2)
撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器にp−ヒドロキシフェニル桂皮酸 19.6g(120ミリモル)、ヨウ化カリウム 2g、テトラブチルアンモニウムブロミド 0.5g、エタノール 400mlを仕込み室温で攪拌した。水酸化ナトリウム 12gの25%水溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を50℃に保ち、ベンジルブロミド 25g(144ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を更に70℃に加温して更に3時間反応させた。反応終了後、10%塩酸で中和して酢酸エチルで抽出を行い、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を濃縮して式(12)で表す化合物を21g合成した。
【0113】
【化39】
【0114】
次いで、撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記で合成した式(12)で表す化合物21g(82ミリモル)、イソソルビド 6g(41ミリモル)、ジメチルアミノピリジン 1g、ジクロロメタン 500mlを仕込こみ、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち。窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 12.4g(100ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン200mlを加え、10%塩酸水溶液で洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、5倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い19gを得た。
【0115】
次いで、撹拌装置備えたオートクレーブ容器に、上記で合成した中間体19g、パラジウムカーボン 1g、エタノール150ml、テトラヒドロフラン100mlを仕込み、1気圧の水素にて還元反応(反応温度50℃、3時間)を行った。反応液をろ過した後、反応溶媒を留去して式(13)で表す化合物11.5gを得た。
【0116】
【化40】
【0117】
次いで撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記で合成した式(13)で示す化合物11.5g(26ミリモル)、4−(4−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)安息香酸15.2g(52ミリモル)、ジメチルアミノピリジン 0.8g、ジクロロメタン 300mlを仕込こみ、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち。窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 7.8g(64ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン100mlを加え、10%塩酸水溶液で洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、シリカゲルカラムおよび再結晶により精製を行い式(14)で表す目的の化合物 18gを得た。
【0118】
【化41】
【0119】
(物性値)
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:1.55−1.45(m,8H),1.71(m,4H),1.83(m,4H),2.66(m,4H),2.96(m,4H),3.76(m,2H),3.90(s,4H),4.03(t,4H),4.17(t,4H),4.29(t,1H),4.76(t,1H),5.18(d,2H),5.78(d,2H),6.15(q,2H),6.37(d,2H),6.96(d,4H)7.23(d,4H),7.25(m,4H),8.12(d,4H)
13C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:25.6,28.4,28.8,30.1,30.2,35.3,35.5,64.3,67.9,73.0,73.8,80.6,85.7,114.0,121.3,121.5,128.3,129.0,130.2,131.9,137.1,137.4,149.2,163.0,164.5,165.9,171.3,171.6
赤外吸収スペクトル(IR)(KBr):2925,2855,1760,1652−1622,809
(融点)79℃
式(14)で表される化合物は、融点が79℃と低く、他の液晶性化合物との溶解性に優れるが、実施例1と同様にしてHTPを算出した結果、HTP=12と低い値であった。
(実施例6) 重合性液晶組成物の調製
以下で表す組成の重合性液晶組成物(組成物1)を調製した。
【0120】
【化42】
【0121】
重合性液晶組成物は、良好な相溶安定性を有し、コレステリック液晶相を示した。この組成物に光重合開始剤 ベンジルジメチルケタール(商品名イルガキュアー651チバスペシャリティーケミカル社製)を組成物1の100gに対し1g添加して重合性液晶組成物(組成物2)を調製した。この組成物2を、真空注入法により、縦5cm、横5cm、ギャップ5μmのポリイミド付きセルに注入した。これに高圧水銀ランプを用いて4mW/cm
2の紫外線を120秒間照射したところ、組成物2が均一な配向状態を保ったまま重合し、光学異方体が得られた。この光学異方体は良好な円偏光特性を有していた。
(比較例3) 重合性液晶組成物の調製
以下に示す組成の重合性液晶組成物(組成物5)を調製した。
【0122】
【化43】
【0123】
重合性液晶組成物は、コレステリック液晶相を示したが、配向性が悪く不均一であった。この組成物に光重合開始剤 ベンジルジメチルケタール(商品名イルガキュアー651チバスペシャリティーケミカル社製)を組成物5の100gに対し1g添加して重合性液晶組成物(組成物6)を調製した。この組成物6を、真空注入法により、縦5cm、横5cm、ギャップ5μmのポリイミド付きセルに注入した。これに高圧水銀ランプを用いて4mW/cm
2の紫外線を120秒間照射したところ、この光学異方体は円偏光特性を有していたが、白濁しており不均一な光学異方体であった。