【実施例】
【0019】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下ことわりのない場合、「%」は「容量%」を、「部」は「容量部」を表す。
【0020】
(実施例1 ポリカーボネート樹脂成形体および成形体の製造方法)
熱可塑性樹脂としてユーピロンS3000F(三菱エンジニアリングプラスチックス製ポリカーボネート樹脂)、熱伝導フィラーとしてのPCTP30(サンゴバン株式会社製窒化ホウ素)、複合酸化物としてのSS1000(丸ス釉薬合資会社製合成コーディエライト)を60/35/5の容量比で均一にドライブレンドした後、樹脂溶融混練装置ラボプラストミルにより混練温度250℃、回転数80rpmの条件で溶融混練処理し、ポリカーボネート樹脂組成物を得た。次に、得られたポリカーボネート樹脂組成物を金型に入れ加工温度250℃で熱プレス成形を行うことで、1mm厚のプレス成形体を作製した。作製したプレス成形品を、迅速熱伝導率計(京都電子工業社製、QTM−500)を用いて、熱伝導率を測定した結果、熱伝導率は3.4W/m・Kであり、標準品(比較例1)より高い熱伝導率を示した。コーディエライトの熱伝導率は4W/m・Kであり、窒化ホウ素の60W/m・Kに比較して大幅に低いが、熱伝導性フィラーと複合酸化物の併用による熱伝導性向上効果が確認できた。
【0021】
(実施例2〜8)
熱可塑性樹脂、熱伝導フィラー、複合酸化物の種類および量を、表1および表2に示す様に変更、熱可塑性樹脂がポリフェニレンの場合のラボプラストミルの混練温度およびプレス成形の加工温度を300℃にする以外は、実施例1と同様の方法にて、樹脂組成物を作製し、プレス成形物を得、熱伝導率を測定した。
【0022】
【表1】
S3000:三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ポリカーボネート樹脂
LR100G:DIC株式会社製ポリフェニレンスルフィド
PCTP30:サンゴバン株式会社製窒化ホウ素
DAW10:電気化学工業株式会社製球状アルミナ
RF50C:宇部マテリアルズ株式会社製酸化マグネシウム
SS200:丸ス釉薬有限会社製コーディエライト(平均粒子径7.5ミクロン)
SS1000:丸ス釉薬有限会社製コーディエライト(平均粒子径1.7ミクロン)
FF−200・M40:丸ス釉薬有限会社製フォルステライト
KM101:共立マテリアル株式会社製ムライト
【0023】
【表2】
S3000:三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ポリカーボネート樹脂
LR100G:DIC株式会社製ポリフェニレンスルフィド
PCTP30:サンゴバン株式会社製窒化ホウ素
DAW10:電気化学工業株式会社製球状アルミナ
RF50C:宇部マテリアルズ株式会社製酸化マグネシウム
SS200:丸ス釉薬有限会社製コーディエライト(平均粒子径7.5ミクロン)
SS1000:丸ス釉薬有限会社製コーディエライト(平均粒子径1.7ミクロン)
FF−200・M40:丸ス釉薬有限会社製フォルステライト
KM101:共立マテリアル株式会社製ムライト
【0024】
(比較例1)
熱可塑性樹脂としてユーピロンS3000F(三菱エンジニアリングプラスチックス製ポリカーボネート樹脂)、熱伝導フィラーとしてのPCTP30(サンゴバン株式会社製窒化ホウ素)を60/40容量比で均一にドライブレンドした後、樹脂溶融混練装置ラボプラストミルにより混練温度250℃、回転数80rpmの条件で溶融混練処理し、ポリカーボネート樹脂組成物を得た。次に、実施例1と同様の方法にて、樹脂組成物を作製し、プレス成形物を得、熱伝導性を測定した結果、熱伝導率は2.8W/m・Kであった。
【0025】
(比較例2〜7)
熱可塑性樹脂、熱伝導フィラー、複合酸化物の種類および量を、表3および表4に示す様に変更、熱可塑性樹脂がポリフェニレンの場合のラボプラストミルの混練温度およびプレス成形の加工温度を300℃にする以外は、実施例1と同様の方法にて、樹脂組成物を作製し、プレス成形物を得、熱伝導率を測定した。
【0026】
【表3】
S3000:三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ポリカーボネート樹脂
LR100G:DIC株式会社製ポリフェニレンスルフィド
PCTP30:サンゴバン株式会社製窒化ホウ素
DAW10:電気化学工業株式会社製球状アルミナ
RF50C:宇部マテリアルズ株式会社製酸化マグネシウム
SS200:丸ス釉薬有限会社製コーディエライト(平均粒子径7.5ミクロン)
SS1000:丸ス釉薬有限会社製コーディエライト(平均粒子径1.7ミクロン)
FF−200・M40:丸ス釉薬有限会社製フォルステライト
KM101:共立マテリアル株式会社製ムライト
【0027】
【表4】
S3000:三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ポリカーボネート樹脂
LR100G:DIC株式会社製ポリフェニレンスルフィド
PCTP30:サンゴバン株式会社製窒化ホウ素
DAW10:電気化学工業株式会社製球状アルミナ
RF50C:宇部マテリアルズ株式会社製酸化マグネシウム
SS200:丸ス釉薬有限会社製コーディエライト(平均粒子径7.5ミクロン)
SS1000:丸ス釉薬有限会社製コーディエライト(平均粒子径1.7ミクロン)
FF−200・M40:丸ス釉薬有限会社製フォルステライト
KM101:共立マテリアル株式会社製ムライト
【0028】
(実施例9)
熱可塑性樹脂としてDIC・PPS LR100G(DIC株式会社製ポリフェニレンスルフィド樹脂)、熱伝導フィラーとしてのDAW5(電気化学工業株式会社製酸化アルミニウム)、複合酸化物としてのSS200(丸ス釉薬合資会社製合成コーディエライト)を40/40/20の容量比で均一にドライブレンドした後、樹脂溶融混練装置ラボプラストミルにより混練温度300℃、回転数80rpmの条件で溶融混練処理し、ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物を得た。ラボプラストミルによる混練中も特に問題なく、容易に樹脂組成物が得られた。
【0029】
(比較例8)
熱可塑性樹脂としてDIC・PPS LR100G(DIC株式会社製ポリフェニレンサルファイド樹脂)、熱伝導フィラーとしてのDAW5(電気化学工業株式会社製酸化アルミニウム)を40/60の容量比で均一にドライブレンドした後、樹脂溶融混練装置ラボプラストミルにより混練温度300℃、回転数80rpmの条件で溶融混練処理を行ったが、充分に混練が行えない段階で、ラボプラストミルに異音が発生し、良好なポリフェニレンサルファイド樹脂組成物を得る事が出来なかった。
【0030】
実施例1および実施例2において、60W/m・Kの熱伝導率の窒化ホウ素を減量し、熱伝導率が4W/m・Kと低いコーディエライトに置換を行っても、比較例1に示す標準品よりも高い熱伝導率を示しており、熱伝導性フィラーと複合酸化物の併用による熱伝導性向上効果が確認できた。また、実施例3、実施例4、実施例6、および実施例7において、酸化マグネシウムの40W/m・Kを減量し、熱伝導率が低いコーディエライト、フォルステライト、ムライト等に置換を行っても、比較例2に示す標準品と同等の熱伝導率を示した。実施例5において、比較例1と同等の熱伝導率を示し、熱伝導性フィラーと複合酸化物の併用効果が確認できた。実施例8において、36W/m・Kの熱伝導率のアルミナを減量し、コーディエライトに置換を行っても、比較例3に示す標準品と同等の熱伝導率を示した。なお、コーディエライト、フォルステライト、ムライトを単独の熱伝導率は、比較例4〜8に示す様に、0.6〜0.7と低く、これらとの比較からも、熱伝導性フィラーと複合酸化物の併用した樹脂組成物の有効性が確認できる。