(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願発明の重合反応速度の異なる2種又は3種以上の重合性化合物を含有する液晶組成物で用いられる重合性化合物は分子構造中に複数の環構造を有するものであり、例えば、一般式(II)
【0013】
で表される。一般式(II)において、P
11及びP
12は重合性官能基を表すが、重合性官能基の具体的な例としては、下記に示す構造が挙げられる。
【0015】
これらの重合基はラジカル重合、ラジカル付加重合、カチオン重合、及びアニオン重合により硬化する。特に重合方法として紫外線重合を行う場合には、式(R−1)、式(R−2)、式(R−4)、式(R−5)、式(R−7)、式(R−11)、式(R−13)又は式(R−15)が好ましく、式(R−1)、式(R−2)、式(R−7)、式(R−11)又は式(R−13)がより好ましく、式(R−1)、式(R−2)がより好ましい。
S
11及びS
12はお互い独立して単結合又は炭素数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−OCO−又は−COO−で置換されても良いが、単結合、炭素数1〜15のアルキル基、又は炭素数1〜15のアルキル基であって、該アルキル基中の1つの−CH
2−が酸素原子が直接隣接しないように、−O−に置換されているものが好ましい。
M
11、M
12及びM
13はそれぞれ独立して、
(a) トランス-1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置き換えられてもよい)、
(b) フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は窒素原子に置き換えられてもよく、又はこれらの基中に含まれる水素原子がお互い独立して無置換であるか又はこれらの基中に含まれる水素原子がフッ素原子、塩素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルコキシ基、又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基に置換されていてもよい)、及び
(c) シクロヘキセニレン基、ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ピペリジン基、ナフタレン基、デカヒドロナフタレン基及びテトラヒドロナフタレン基
からなる群より選ばれる基が好ましく、M
13が複数存在する場合には同一であっても異なっていても良いが、トランス-1,4-シクロへキシレン基、ナフタレン基又は、水素原子がお互い独立して無置換であるか又は水素原子がフッ素原子、塩素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基に置換されたフェニレン基であることが好ましく、水素原子がお互い独立して無置換であるか又は水素原子がフッ素原子、塩素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基に置換されたフェニレン基であることがより好ましい。
Z
11及びZ
12はお互い独立して、単結合、−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−C
2H
4−、―COO−、−OCO−、−OCOOCH
2−、−CH
2OCOO−、−CO−NR
11−、−NR
11−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、―CH=CH−COO−、−OOC−CH=CH−、―COOC
2H
4−、―OCOC
2H
4−、―C
2H
4OCO−、―C
2H
4COO−、−OCOCH
2−、―CH
2COO−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−又は−C≡C−(式中、R
11は炭素原子1〜4のアルキル基を表す。)が好ましく、単結合、−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−C
2H
4−、―COO−、−OCO−、−OCOOCH
2−、−CH
2OCOO−、−CO−、―CH=CH−COO−、−OOC−CH=CH−、―COOC
2H
4−、―OCOC
2H
4−、―C
2H
4OCO−、―C
2H
4COO−、−OCOCH
2−、―CH
2COO−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−又は−C≡C−がより好ましく、単結合、−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−C
2H
4−、―COO−、−OCO−、−OCOOCH
2−、−CH
2OCOO−、−CO−、―CH=CH−COO−、−OOC−CH=CH−、―COOC
2H
4−、―OCOC
2H
4−、―C
2H
4OCO−、―C
2H
4COO−、−OCOCH
2−、―CH
2COO−、−CH=CH−、−CF=CH−又は−C≡C−がより好ましい。
n
11及びn
12はお互い独立して、0、1、2又は3を表すが、n
11+n
12は2〜6を表し、n
13は0、1又は2を表すが、n
11及びn
12はお互い独立して、1又は2が好ましく、n
11+n
12は2又は3が好ましい。
【0016】
一般式(II)で表される化合物は、より具体的には、下記の一般式(II−1)〜(II−42)で表される化合物が好ましい。
【0025】
(式中、P
11及びP
12はお互い独立して重合性官能基を表し、S
11及びS
12はお互い独立して単結合又は炭素数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−C≡C−、−OCO−又は−COO−で置換されてよく、R
11及びR
14はお互いに独立してP
11−S
11−又は水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルコキシ基、又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基を表し、R
12及びR
13はお互いに独立して−S
12−P
12又は水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルコキシ基、又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基を表し、X
11からX
1cは水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルコキシ基、又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基を表す。但し、P
11、P
12、S
11及びS
12が複数存在する場合には同一であっても異なっていても良い。)
更には、一般式(II−1)、一般式(II−2)、一般式(II−4)〜一般式(II−6)、一般式(II−10)〜一般式(II−13)、一般式(II−17)〜一般式(II−27)、一般式(II−34)、一般式(II−35)及び一般式(II−37)〜一般式(II−39)で表される化合物がより好ましい。
【0026】
本願発明の重合性液晶組成物では、重合性化合物を2種又は3種以上含有するが、2種から5種含有することが好ましく、2種から4種含有することがより好ましく、2種から3種含有することが特に好ましい。重合性液晶組成物の重合性化合物の含有量は、下限値は0.01質量%であることが好ましく、0.03質量%であることがより好ましい。上限値は2.0質量%であることが好ましく、1.0質量%であることがより好ましい。
【0027】
本願発明の重合性液晶組成物では、重合反応速度が異なる重合性化合物を含有するが、ここで重合反応速度とは、重合性液晶組成物中における重合性化合物の反応基が重合反応により減少していく、単位時間あたりの反応量を表す。
本願発明で使用する重合性化合物は、重合反応速度が異なる2種又は3種以上を選択する。
重合性化合物の重合反応速度は、重合性化合物が有するUV吸収波長領域によって大きく異なってくる。UV照射装置の発光波長の光を吸収する重合性化合物はUV光を効率的に吸収することで重合のためのエネルギーを多く得るため、その重合反応速度は速くなる。逆に、発光波長の光に対してUV吸収が無い場合はUVエネルギーによる重合は進行しないため、熱エネルギーや他に存在するラジカルによる反応に留まり、相対的に重合反応速度は遅くなる。つまり、異なるUV吸収波長を有する重合性化合物を選択することにより異なる重合反応速度にコントロールすることができる。一般的なUV照射装置は、365nm付近に発光波長領域を示すものがよく知られているため、例えば、350nmのUV光を吸収する重合性化合物と350nmのUV光を吸収しない重合性化合物により、重合反応速度の異なる重合性化合物を得ることができる。
また、重合性化合物のUV吸収波長に加えて、その吸光度の大きさによっても重合反応速度が変わるため、UV照射装置の発光波長の光における吸光度が異なる重合性化合物を選択することも有効である。具体的には、一般式(II)で表される重合性化合物中の芳香環の数、連結基の種類又は側鎖の種類等により吸収波長や吸光度を変えることができる。例えば、環の数が2つのもの(n
13が0の場合)とそれ以上のもの(n
13が1又は2の場合)の場合、連結基が無い(Z
11及びZ
12が共に単結合の場合)ものと連結基が有る(Z
11及びZ
12の少なくとも一方が単結合ではない場合)ものの場合や、スペーサー基が無い(S
11及びS
12が共に単結合の場合)ものとスペーサ基が有る(S
11及びS
12の少なくとも一方が単結合ではない場合)ものの場合等が挙げられる。
好ましい組み合わせの代表例として、一般式(II−1)と一般式(II−5)、一般式(II−1)と一般式(II−38)、一般式(II−1)と一般式(II−22)、一般式(II−1)と一般式(II−2)、一般式(II−1)と一般式(II−13)、一般式(II−1)(S
11及びS
12が共に単結合の場合)と一般式(II−1)(S
11及びS
12の少なくとも一方が単結合ではない場合)、一般式(II−1)(n
11及びn
12が0の場合)と一般式(II−1)(n
11及びn
12の少なくとも一方が1、2又は3の場合)、一般式(II−2)と一般式(II−38)、一般式(II−2)(n
11及びn
12が0の場合)と一般式(II−2)(n
11及びn
12の少なくとも一方が1、2又は3の場合)及び一般式(II−2)(S
11及びS
12が共に単結合の場合)と一般式(II−2)(S
11及びS
12の少なくとも一方が単結合ではない場合)等が挙げられる。
【0028】
更に、重合性化合物中の反応基の種類や数によって、異なる重合反応速度を有する重合性化合物を得ることができる。具体的には、反応基としてのアクリロイルオキシ基とメタクリロイルオキシ基を選択することで、各々異なる重合反応速度を有する重合性化合物を得ることができる。また、反応基の数を増やすことで反応効率を増やすことができるため、同様の効果が得られる。
本願発明の重合性液晶組成物には、一般式(I)
【0030】
で表される化合物を含有することができる。一般式(I)において、R
21及びR
22はそれぞれ独立して炭素数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CF
2O−又は−OCF
2−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲンで置換されていても良いが、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルケニル基又は炭素数2〜12のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数2〜12のアルケニル基がより好ましい。
M
21、M
22及びM
23はそれぞれ独立して、
(a) トランス-1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置き換えられてもよい)、
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は窒素原子に置き換えられてもよい)、2−フルオロ-1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、及び
(c) 1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ピペリジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及び1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基
からなる群より選ばれる基が好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基又は3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基がより好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基が更に好ましく、少なくともひとつはトランス−1,4−シクロへキシレン基であることが特に好ましい、M
23が複数存在する場合には同一であっても異なっていても良い。
Z
21及びZ
22はお互い独立して単結合、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−、−CH=CH−、−CH=N−N=CH−又は−C≡C−が好ましく、単結合、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−又は−C≡C−がより好ましく、単結合又は−CH
2CH
2−が特に好ましい、Z
22が複数存在する場合は、それらは同一でも良く異なっていても良い。
【0031】
更に詳述すると、一般式(I)は、具体的な構造として以下の一般式(I−A)から一般式(I−P)からなる群で表される化合物が好ましい。
【0033】
式中、R
23及びR
24は、それぞれ独立的に炭素数1から10のアルキル基、炭素数1から10のアルコキシ基又は炭素数2から10のアルケニル基がより好ましく、炭素数1から5のアルキル基又は炭素数1から10のアルコキシ基が更に好ましい。
【0034】
一般式(I−A)から一般式(I−P)で表される化合物中、一般式(I−A)、一般式(I−B)、一般式(I−C)、一般式(I−E)、一般式(I−H)、 一般式(I−I)又は一般式(I−K)で表される化合物が好ましく、一般式(I−A)、一般式(I−C)、一般式(I−E)、 一般式(I−H)又は一般式(I−I)で表される化合物が更に好ましい。
【0035】
本願発明では一般式(I)で表される化合物を少なくとも1種を含有するが、1種〜10種含有することが好ましく、2種〜8種含有することが特に好ましく、一般式(I)で表される化合物の含有率の下限値は5質量%であることが好ましく、10質量%であることがより好ましく、20質量%であることが更に好ましく、30質量%であることが特に好ましく、上限値としては80質量%が好ましく、70質量%が更に好ましく、60質量%が更に好ましい。
【0036】
本願発明の重合性液晶組成物には、一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)
【0038】
表される化合物からなる群から選ばれる化合物又は一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)
【0040】
表される化合物からなる群から選ばれる化合物を含有することができる。
【0041】
一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)で表される化合物において、R
31、R
32及びR
33はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシ基、炭素原子数2から10のアルケニル基又は炭素原子数2から10のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素数1〜10の直鎖状アルキル基、炭素数1〜10の直鎖状アルコキシ基又は炭素数2〜10アルケニル基がより好ましく、炭素数1〜8の直鎖状アルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基が特に好ましい。
【0042】
M
31、M
32、M
33、M
34、M
35、M
36、M
37及びM
38はお互い独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置き換えられているものも含む。)、1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は窒素原子に置き換えられているものも含む)、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及びデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基で表す基(各々の基はそれぞれ水素原子がシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子で置換されているものも含む。)が好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基又は3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基がより好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基が更に好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基が特に好ましい。
【0043】
L
31、L
32、L
33、L
34、L
35、L
36、L
37及びL
38はお互い独立して単結合、−OCO−、−COO−、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−又は−C≡C−が好ましく、単結合、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−又は−C≡C−がより好ましく、単結合又は−CH
2CH
2−が特に好ましい。X
31、X
32、X
33、X
34、X
35、X
36、及びX
37はお互い独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y
31、Y
32、及びY
33はお互い独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ジフルオロメトキシ基又は炭素原子数1〜12のアルキル基を表すことが好ましく、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基又は炭素原子数1〜12のアルキル基を表すことが好ましく、フッ素原子、トリフルオロメトキシ基又はトリフルオロメチル基を表すことが特に好ましい。p、q、r、s、及びtはお互い独立して、0、1又は2を表すが、q+r及びs+tは2以下を表す。
【0044】
上記の選択肢の組み合わせにより形成される構造のうち、−CH=CH−CH=CH−、−C≡C−C≡C−及び−CH=CH−C≡C−は化学的な安定性から好ましくない。またこれら構造中の水素原子がフッ素原子に置き換わったものも同様に好ましくない。また酸素同士が結合する構造、硫黄原子同士が結合する構造及び硫黄原子と酸素原子が結合する構造となることも同様に好ましくない。また窒素原子同士が結合する構造、窒素原子と酸素原子が結合する構造及び窒素原子と硫黄原子が結合する構造も同様に好ましくない。
【0045】
具体的には以下の一般式(IIIa−1)で示される構造を表すことが好ましい。
【0047】
(式中、R
34は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表し、L
39及びL
40はそれぞれ独立して単結合、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−又は−C≡C−を表し、M
39は1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表し、X
32は水素原子又はフッ素原子を表し、p
1は0又は1を表し、Y
34はシアノ基、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基又はトリフルオロメトキシ基を表す。)
更に具体的には以下の一般式(IIIa−2a)〜一般式(IIIa−4d)
【0051】
(式中、R
34は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表し、X
31及びX
32はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y
31はシアノ基、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基又はトリフルオロメトキシ基を表す。)で表される構造が好ましく、
【0053】
(式中、R
34は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表し、Y
34はシアノ基、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基又はトリフルオロメトキシ基を表す。)で表される構造も好ましい。
【0054】
一般式(IIIb)は具体的な構造として以下の一般式
【0058】
(式中、R
35は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表し、Y
35はシアノ基、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基又はトリフルオロメトキシ基を表す。)で表される構造が好ましく、
一般式(IIIc)は具体的な構造として以下の一般式
【0062】
(式中、R
36は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表し、Y
36はシアノ基、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基又はトリフルオロメトキシ基を表す。)で表される構造が好ましい。
【0063】
一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物を少なくとも1種を含有するが、1種〜10種含有することが好ましく、2種〜8種含有することが特に好ましく、一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)で表される化合物からなる群の含有率の下限値は5質量%であることが好ましく、10質量%であることがより好ましく、20質量%であることが好ましく、上限値は80質量%が好ましく、70質量%が好ましく、60質量%が好ましく、50質量%が更に好ましい。
【0064】
一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)で表される化合物において、R
41、R
42、R
43、R
44、R
45及びR
46はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシ基又は炭素原子数2から10のアルケニル基、炭素数1〜15の直鎖状アルキル基又は炭素数2〜15のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素数1〜10の直鎖状アルキル基、炭素数1〜10の直鎖状アルコキシ基又は炭素数2〜10アルケニル基がより好ましく、炭素数1〜8の直鎖状アルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基が特に好ましい。M
41、M
42、M
43、M
44、M
45、M
46、M
47、M
48及びM
49はお互い独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置き換えられているものも含む。)、1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は窒素原子に置き換えられているものも含む)、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ピペリジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及びデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基で表す基(各々の基に含まれる水素原子がそれぞれシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子で置換されているものも含む。)が好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基又は2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基がより好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基が更に好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基が特に好ましい。L
41、L
42、L
43、L
44、L
45、L
46、L
47、L
48及びL
49はお互い独立して単結合、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCO−、−COO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−又は−C≡C−が好ましく、単結合、−CH
2CH
2−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−又は−CF
2O−がより好ましい。X
41、X
42、X
43、X
44、X
45、X
46、X
47及びX
48はお互い独立して水素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又はフッ素原子を表すが、X
41及びX
42の何れか一つはフッ素原子を表し、X
43、X
44及びX
45の何れか一つはフッ素原子を表し、X
46、X
47及びX
48の何れか一つはフッ素原子を表すが、X
46及びX
47は同時にフッ素原子を表すことはなく、X
46及びX
48は同時にフッ素原子を表すことはなく、Gはメチレン基又は−O−を表し、u、v、w、x、y及びzはお互い独立して、0、1又は2を表すが、u+v、w+x及びy+zは2以下で表す。
【0065】
一般式(IVa)で表される化合物において、具体的には以下の一般式(IVa−1)で示される構造を表すことが好ましい。
【0067】
(式中、R
47及びR
48はお互い独立して炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表し、L
50、L
51及びL
52はそれぞれ独立して単結合、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−又は−C≡C−を表し、M
50は1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、u
1及びv
1は、それぞれ独立して0又は1を表す。)
上記の選択肢の組み合わせにより形成される構造のうち、−CH=CH−CH=CH−、−C≡C−C≡C−及び−CH=CH−C≡C−は化学的な安定性から好ましくない。またこれら構造中の水素原子がフッ素原子に置き換わったものも同様に好ましくない。また酸素同士が結合する構造、硫黄原子同士が結合する構造及び硫黄原子と酸素原子が結合する構造となることも同様に好ましくない。また窒素原子同士が結合する構造、窒素原子と酸素原子が結合する構造及び窒素原子と硫黄原子が結合する構造も同様に好ましくない。
【0068】
更に具体的には以下の一般式(IVa−2a)〜一般式(IVa−3i)
【0071】
(式中、R
47及びR
48は、それぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表す。)で表される構造が好ましく、式中のR
47及びR
48がそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基が更に好ましい。
【0072】
一般式(IVb)で表される化合物において、具体的には以下の一般式(IVb−1)で示される構造を表すことが好ましい。
【0074】
(式中、R
49及びR
50はお互い独立して炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表し、L
52、L
53及びL
54はそれぞれ独立して単結合、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−又は−C≡C−を表し、M
51、M
52及びM
53は1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、w1及びx1は、独立して0、1又は2を表すが、w1+x1は2以下を表す。)
更に具体的には以下の一般式(IVb−2a)〜(IVb−3l)
【0077】
(式中、R
49及びR
50は、それぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表す。)で表される構造が好ましい。
【0078】
一般式(IVc)で表される化合物において、具体的には以下の一般式(IVc−1a)及び一般式(IVc−1b)で示される構造を表すことが好ましい。
【0080】
(式中、R
51及びR
52はお互い独立して炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表し、L
56、L
57及びL
58はそれぞれ独立して単結合、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−又は−C≡C−を表し、M
54、M
55及びM
56は1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、y1及びz1は、独立して0、1又は2を表すが、y1+z1は2以下を表す。)
更に具体的には以下の一般式(IVc−2a)〜(IVc−2g)
【0082】
(式中、R
51及びR
52はお互い独立して炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表す。)
一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物、又は一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物を少なくとも1種を含有するが、2種〜10種含有することが好ましく、2種〜8種含有することが特に好ましく、含有率の下限値が5質量%であることが好ましく、10質量%であることがより好ましく、20質量%であることがより好ましく、上限値が80質量%であることが好ましく、70質量%であることが好ましく、60質量%であることが好ましく、50質量%であることが好ましい。
【0083】
本願発明の重合性液晶組成物において、Δnは0.08〜0.25の範囲であることが好ましい。
【0084】
本願発明の重合性液晶組成物において、Δεは液晶表示素子の表示モードによって、正、又は負のΔεを有するものを用いることができる。TN又はIPSモードの液晶表示素子においては、正のΔεを有する重合性液晶組成物を使用する。その場合のΔεは、1以上が好ましく、2以上がより好ましい。MVAモードの液晶表示素子においては、負のΔεを有する重合性液晶組成物を使用する。その場合のΔεは、−1以下が好ましく、−2以下がより好ましい。
【0085】
本願発明の重合性液晶組成物は、広い液晶相温度範囲(液晶相下限温度と液晶相上限温度の差の絶対値)を有するが、液晶相温度範囲が100℃以上であることが好ましく、120℃以上がより好ましい。また、液晶相上限温度は70℃以上であることが好ましく、80℃以上がより好ましい。更に、液晶相下限温度は−20℃以下であることが好ましく、−30℃以下がより好ましい。
【0086】
本願発明の重合性液晶組成物は、上記の化合物以外に、通常のネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶などを含有していてもよい。
【0087】
本願発明の重合性化合物を含有する液晶組成物は、重合開始剤が存在しない場合でも重合は進行するが、重合を促進するために重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド類等が挙げられる。
【0088】
本願発明の液晶組成物には、その保存安定性を向上させるために、安定剤を添加することもできる。使用できる安定剤としては、例えば、ヒドロキノン類、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β−ナフチルアミン類、β−ナフトール類、ニトロソ化合物等が挙げられる。安定剤を使用する場合の添加量は、液晶組成物に対して0.005〜1質量%の範囲が好ましく、0.02〜0.5質量%が更に好ましく、0.03〜0.1質量%が特に好ましい。
【0089】
本願発明の重合性液晶組成物は、液晶組成物中の重合性化合物が重合することにより液晶配向能が付与され、液晶組成物の複屈折を利用して光の透過光量を制御する液晶表示素子に使用される。液晶表示素子として、AM−LCD(アクティブマトリックス液晶表示素子)、TN(ネマチック液晶表示素子)、STN−LCD(超ねじれネマチック液晶表示素子)、OCB−LCD及びIPS−LCD(インプレーンスイッチング液晶表示素子)に有用であるが、AM−LCDに特に有用であり、透過型あるいは反射型の液晶表示素子に用いることができる。
【0090】
液晶表示素子に使用される液晶セルの2枚の基板はガラス、又はプラスチックの如き柔軟性をもつ透明な材料を用いることができ、一方はシリコン等の不透明な材料でも良い。透明電極層を有する透明基板は、例えば、ガラス板等の透明基板上にインジウムスズオキシド(ITO)をスパッタリングすることにより得ることができる。
【0091】
カラーフィルターは、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法、又は、染色法等によって作成することができる。顔料分散法によるカラーフィルターの作成方法を一例に説明すると、カラーフィルター用の硬化性着色組成物を、該透明基板上に塗布し、パターニング処理を施し、そして加熱又は光照射により硬化させる。この工程を、赤、緑、青の3色についてそれぞれ行うことで、カラーフィルター用の画素部を作成することができる。その他、該基板上に、TFT、薄膜ダイオード、金属絶縁体金属比抵抗素子等の能動素子を設けた画素電極を設置してもよい。
【0092】
前記基板を、透明電極層が内側となるように対向させる。その際、スペーサーを介して、基板の間隔を調整してもよい。このときは、得られる調光層の厚さが1〜100μmとなるように調整するのが好ましい。1.5から10μmが更に好ましく、偏光板を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶の屈折率異方性Δnとセル厚dとの積を調整することが好ましい。又、二枚の偏光板がある場合は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラトが良好になるように調整することもできる。更に、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。スペーサーとしては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトレジスト材料等が挙げられる。その後、エポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を、液晶注入口を設けた形で該基板にスクリーン印刷し、該基板同士を貼り合わせ、加熱しシール剤を熱硬化させる。
【0093】
2枚の基板間に高分子安定化液晶組成物を狭持させるに方法は、通常の真空注入法、又はODF法などを用いることができる。
【0094】
重合性化合物を重合させる方法としては、迅速な重合の進行が望ましいので、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、更に活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。特に紫外線露光する際には、重合性化合物含有液晶組成物に交流を印加しながら紫外線露光することが好ましい。印加する交流は、周波数10Hzから10kHzの交流が好ましく、周波数60Hzから10kHzがより好ましく、電圧は液晶表示素子の所望のプレチルト角に依存して選ばれる。つまり、印加する電圧により液晶表示素子のプレチルト角を制御することができる。MVAモードの液晶表示素子においては、配向安定性およびコントラストの観点からプレチルト角を80度から89度に制御することが好ましい。
【0095】
照射時の温度は、本願発明の液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。室温に近い温度、即ち、典型的には15〜35℃での温度で重合させることが好ましい。紫外線を発生させるランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。また、照射する紫外線の波長としては、液晶組成物の吸収波長域でない波長領域の紫外線を照射することが好ましく、必要に応じて、紫外線をカットして使用することが好ましい。照射する紫外線の強度は、0.1mW/cm
2〜100W/cm
2が好ましく、2mW/cm
2〜50W/cm
2がより好ましい。照射する紫外線のエネルギー量は、適宜調整することができるが、1mJ/cm
2〜500J/cm
2が好ましく、100mJ/cm
2〜200J/cm
2がより好ましい。紫外線を照射する際に、強度を変化させても良い。紫外線を照射する時間は照射する紫外線強度により適宜選択されるが、10秒〜3600秒が好ましい。
【実施例】
【0096】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
【0097】
液晶組成物の物性として、以下のように表す。
T
N−I (℃) :ネマチック相−等方性液体相転移温度(液晶相上限温度)
Δε :誘電率異方性
Δn :屈折率異方性
(UV硬化後のモノマー残存量の測定方法)
液晶セルに液晶組成物を注入後、UVを照射し重合性化合物を重合させる。その後、液晶セルを分解し、液晶材料、重合物、未重合の重合性化合物を含む溶出成分のアセトニトリル溶液を得る。これを高速液体クロマトグラフィー(カラム:逆相非極性カラム、展開溶媒:アセトニトリル)により、各成分のピーク面積を測定する。指標とする液晶材料のピーク面積と未重合の重合性化合物のピーク面積比から、残存する重合性化合物の量を決定した。この値と当初添加した重合性化合物の量からモノマー残存量を決定した。なお、重合性化合物の残存量の検出限界は100ppmであった。
(実施例1)
一般式(I)から選ばれる化合物、一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)から選ばれる化合物又は、一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)から選ばれる化合物を含有した液晶組成物LC−1を調製した。構成する化合物及び含有する比率は以下の通りである。
【0098】
【化34】
【0099】
上記液晶組成物LC−1の物性を表1に示す。
【0100】
【表1】
【0101】
液晶組成物LC−1 99.6%に対して、
【0102】
【化35】
【0103】
で示される重合性化合物を0.3%添加し、
【0104】
【化36】
【0105】
で示される重合性化合物を0.1%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−1を調整した。
(比較例1)
液晶組成物LC−1 99.6%に対して、
【0106】
【化37】
【0107】
で示される重合性化合物を0.4%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−2を調整した。
(比較例2)
液晶組成物LC−1 99.6%に対して、
【0108】
【化38】
【0109】
で示される重合性化合物を0.4%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−3を調整した。
(実施例2)
液晶組成物LC−1 99.6%に対して、
【0110】
【化39】
【0111】
で示される重合性化合物を0.3%添加し、
【0112】
【化40】
【0113】
で示される重合性化合物を0.1%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−4を調整した。
(比較例3)
液晶組成物LC−1 99.6%に対して、
【0114】
【化41】
【0115】
で示される重合性化合物を0.4%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−5を調整した。
(比較例4)
液晶組成物LC−1 99.6%に対して、
【0116】
【化42】
【0117】
で示される重合性化合物を0.4%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−6を調整した。
【0118】
実施例1、実施例2及び比較例1から比較例4で作成した重合性液晶組成物をセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。注入後、電圧印加状態で、300から400nmにピーク波長がある高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射し、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。本液晶表示素子について、表示特性(コントラスト、応答速度等)に影響を与えるプレチルト角の測定及び焼き付きの目視観察を行った。(プレチルト角については、○はプレチルト角の変化が87〜89°程度であることを示し、×は全くプレチルト角の変化が見られない又は87°より大きく変化していることを示す。焼き付きについては、○は焼き付きによる変化が見られないことを示し、×は表示特性が悪いもしくは焼き付きがみられることを示し、×の数が多いほど程度が悪いことを示す。)
【0119】
【表2】
【0120】
以上の結果より、本願発明の化合物を用いることによってプレチルト角の変化が最適且つ焼き付きが発生しないことを確認した。
(実施例3)
一般式(I)から選ばれる化合物、一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)から選ばれる化合物又は、一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)から選ばれる化合物を含有した液晶組成物LC−2を調製した。構成する化合物及び含有する比率は以下の通りである。
【0121】
【化43】
【0122】
上記液晶組成物LC−2の物性を表2に示す。
【0123】
【表3】
【0124】
液晶組成物LC−2 99.7%に対して、
【0125】
【化44】
【0126】
で示される重合性化合物を0.2%添加し、
【0127】
【化45】
【0128】
で示される重合性化合物を0.1%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−7を調整した。
(比較例5)
液晶組成物LC−2 99.7%に対して、
【0129】
【化46】
【0130】
で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−8を調整した。
(比較例6)
液晶組成物LC−2 99.7%に対して、
【0131】
【化47】
【0132】
で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−9を調整した。
(実施例4)
液晶組成物LC−2 99.7%に対して、
【0133】
【化48】
【0134】
で示される重合性化合物を0.2%添加し、
【0135】
【化49】
【0136】
で示される重合性化合物を0.1%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−10を調整した。
(比較例7)
液晶組成物LC−2 99.7%に対して、
【0137】
【化50】
【0138】
で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−11を調整した。
(比較例8)
液晶組成物LC−2 99.7%に対して、
【0139】
【化51】
【0140】
で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−12を調整した。
【0141】
実施例3、実施例4及び比較例5から比較例8で作成した重合性液晶組成物をセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。注入後、電圧印加状態で、300から400nmにピーク波長がある高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射し、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。本液晶表示素子について、表示特性(コントラスト、応答速度等)に影響を与えるプレチルト角の測定及び焼き付きの目視観察を行った。(プレチルト角については、○はプレチルト角の変化が87〜89°程度であることを示し、×は全くプレチルト角の変化が見られない又は87°より大きく変化していることを示す。焼き付きについては、○は焼き付きによる変化が見られないことを示し、×は表示特性が悪いもしくは焼き付きがみられることを示し、×の数が多いほど程度が悪いことを示す。)
【0142】
【表4】
【0143】
以上の結果より、本願発明の化合物を用いることによってプレチルト角の変化が最適且つ焼き付きが発生しないことを確認した。
(実施例5)
一般式(I)から選ばれる化合物、一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)から選ばれる化合物又は、一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)から選ばれる化合物を含有した液晶組成物LC−3を調製した。構成する化合物及び含有する比率は以下の通りである。
【0144】
【化52】
【0145】
上記液晶組成物LC−3の物性を表5に示す。
【0146】
【表5】
【0147】
液晶組成物LC−3 99.7%に対して、
【0148】
【化53】
【0149】
で示される重合性化合物を0.15%添加し、
【0150】
【化54】
【0151】
で示される重合性化合物を0.15%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−13を調整した。
(比較例9)
液晶組成物LC−3 99.7%に対して、
【0152】
【化55】
【0153】
で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−14を調整した。
(比較例10)
液晶組成物LC−3 99.7%に対して、
【0154】
【化56】
【0155】
で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−15を調整した。
(実施例6)
液晶組成物LC−3 99.7%に対して、
【0156】
【化57】
【0157】
で示される重合性化合物を0.2%添加し、
【0158】
【化58】
【0159】
で示される重合性化合物を0.1%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−16を調整した。
(比較例11)
液晶組成物LC−3 99.7%に対して、
【0160】
【化59】
【0161】
で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−17を調整した。
(比較例12)
液晶組成物LC−3 99.7%に対して、
【0162】
【化60】
【0163】
で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−18を調整した。
【0164】
実施例5、実施例6及び比較例9から比較例12で作成した重合性液晶組成物をセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。注入後、電圧印加状態で、300から400nmにピーク波長がある高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射し、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。本液晶表示素子について、表示特性(コントラスト、応答速度等)に影響を与えるプレチルト角の測定及び焼き付きの目視観察を行った。(プレチルト角については、○はプレチルト角の変化が87〜89°程度であることを示し、×は全くプレチルト角の変化が見られない又は87°より大きく変化していることを示す。焼き付きについては、○は焼き付きによる変化が見られないことを示し、×は表示特性が悪いもしくは焼き付きがみられることを示し、×の数が多いほど程度が悪いことを示す。)
【0165】
【表6】
【0166】
以上の結果より、本願発明の化合物を用いることによってプレチルト角の変化が最適且つ焼き付きが発生しないことを確認した。
(実施例7)
一般式(I)から選ばれる化合物、一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)から選ばれる化合物又は、一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)から選ばれる化合物を含有した液晶組成物LC−4を調製した。構成する化合物及び含有する比率は以下の通りである。
【0167】
【化61】
【0168】
上記液晶組成物LC−4の物性を表7に示す。
【0169】
【表7】
【0170】
液晶組成物LC−4 99.6%に対して、
【0171】
【化62】
【0172】
で示される重合性化合物を0.2%添加し、
【0173】
【化63】
【0174】
で示される重合性化合物を0.2%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−19を調整した。
(比較例13)
液晶組成物LC−4 99.6%に対して、
【0175】
【化64】
【0176】
で示される重合性化合物を0.4%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−20を調整した。
(比較例14)
液晶組成物LC−4 99.6%に対して、
【0177】
【化65】
【0178】
で示される重合性化合物を0.4%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−21を調整した。
(実施例8)
液晶組成物LC−4 99.6%に対して、
【0179】
【化66】
【0180】
で示される重合性化合物を0.35%添加し、
【0181】
【化67】
【0182】
で示される重合性化合物を0.05%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−22を調整した。
(比較例15)
液晶組成物LC−4 99.6%に対して、
【0183】
【化68】
【0184】
で示される重合性化合物を0.4%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−23を調整した。
(比較例16)
液晶組成物LC−4 99.6%に対して、
【0185】
【化69】
【0186】
で示される重合性化合物を0.4%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−24を調整した。
(実施例9)
液晶組成物LC−4 99.6%に対して、
【0187】
【化70】
【0188】
で示される重合性化合物を0.35%添加し、
【0189】
【化71】
【0190】
で示される重合性化合物を0.05%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−25を調整した。
(比較例17)
液晶組成物LC−4 99.6%に対して、
【0191】
【化72】
【0192】
で示される重合性化合物を0.4%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−26を調整した。
(比較例18)
液晶組成物LC−4 99.6%に対して、
【0193】
【化73】
【0194】
で示される重合性化合物を0.4%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−27を調整した。
実施例7、実施例8、実施例9及び比較例13から比較例18で作成した重合性液晶組成物をセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。注入後、電圧印加状態で、300から400nmにピーク波長がある高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射し、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。本液晶表示素子について、表示特性(コントラスト、応答速度等)に影響を与えるプレチルト角の測定及び焼き付きの目視観察を行った。(プレチルト角については、○はプレチルト角の変化が87〜89°程度であることを示し、×は全くプレチルト角の変化が見られない又は87°より大きく変化していることを示す。焼き付きについては、○は焼き付きによる変化が見られないことを示し、×は表示特性が悪いもしくは焼き付きがみられることを示し、×の数が多いほど程度が悪いことを示す。)
【0195】
【表8】
【0196】
以上の結果より、本願発明の化合物を用いることによってプレチルト角の変化が最適且つ焼き付きが発生しないことを確認した。
(実施例10)
一般式(I)から選ばれる化合物、一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)から選ばれる化合物又は、一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)から選ばれる化合物を含有した液晶組成物LC−5を調製した。構成する化合物及び含有する比率は以下の通りである。
【0197】
【化74】
【0198】
上記液晶組成物LC−5の物性を表9に示す。
【0199】
【表9】
【0200】
液晶組成物LC−5 99.7%に対して、
【0201】
【化75】
【0202】
で示される重合性化合物を0.25%添加し、
【0203】
【化76】
【0204】
で示される重合性化合物を0.05%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−28を調整した。
(比較例19)
液晶組成物LC−5 99.7%に対して、
【0205】
【化77】
【0206】
で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−29を調整した。
(比較例20)
液晶組成物LC−5 99.7%に対して、
【0207】
【化78】
【0208】
で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−30を調整した。
(実施例11)
液晶組成物LC−5 99.7%に対して、
【0209】
【化79】
【0210】
で示される重合性化合物を0.25%添加し、
【0211】
【化80】
【0212】
で示される重合性化合物を0.05%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−31を調整した。
(比較例21)
液晶組成物LC−5 99.7%に対して、
【0213】
【化81】
【0214】
で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−32を調整した。
(比較例22)
液晶組成物LC−5 99.7%に対して、
【0215】
【化82】
【0216】
で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−33を調整した。
実施例10、実施例11及び比較例19から比較例22で作成した重合性液晶組成物をセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。注入後、電圧印加状態で、300から400nmにピーク波長がある高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射し、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。本液晶表示素子について、表示特性(コントラスト、応答速度等)に影響を与えるプレチルト角の測定及び焼き付きの目視観察を行った。(プレチルト角については、○はプレチルト角の変化が87〜89°程度であることを示し、×は全くプレチルト角の変化が見られない又は87°より大きく変化していることを示す。焼き付きについては、○は焼き付きによる変化が見られないことを示し、×は表示特性が悪いもしくは焼き付きがみられることを示し、×の数が多いほど程度が悪いことを示す。)
【0217】
【表10】
【0218】
以上の結果より、本願発明の化合物を用いることによってプレチルト角の変化が最適且つ焼き付きが発生しないことを確認した。
(実施例12)
一般式(I)から選ばれる化合物、一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)から選ばれる化合物又は、一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)から選ばれる化合物を含有した液晶組成物LC−6を調製した。構成する化合物及び含有する比率は以下の通りである。
【0219】
【化83】
【0220】
上記液晶組成物LC−6の物性を表11に示す。
【0221】
【表11】
【0222】
液晶組成物LC−6 99.6%に対して、
【0223】
【化84】
【0224】
で示される重合性化合物を0.2%添加し、
【0225】
【化85】
【0226】
で示される重合性化合物を0.2%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−34を調整した。
(比較例23)
液晶組成物LC−6 99.6%に対して、
【0227】
【化86】
【0228】
で示される重合性化合物を0.4%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−35を調整した。
(比較例24)
液晶組成物LC−6 99.6%に対して、
【0229】
【化87】
【0230】
で示される重合性化合物を0.4%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−36を調整した。
(実施例13)
液晶組成物LC−6 99.7%に対して、
【0231】
【化88】
【0232】
で示される重合性化合物を0.15%添加し、
【0233】
【化89】
【0234】
で示される重合性化合物を0.15%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−37を調整した。
(比較例25)
液晶組成物LC−6 99.7%に対して、
【0235】
【化90】
【0236】
で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−38を調整した。
(比較例26)
液晶組成物LC−6 99.7%に対して、
【0237】
【化91】
【0238】
で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−39を調整した。
実施例12、実施例13及び比較例23から比較例26で作成した重合性液晶組成物をセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。注入後、電圧印加状態で、300から400nmにピーク波長がある高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射し、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。本液晶表示素子について、表示特性(コントラスト、応答速度等)に影響を与えるプレチルト角の測定及び焼き付きの目視観察を行った。(プレチルト角については、○はプレチルト角の変化が87〜89°程度であることを示し、×は全くプレチルト角の変化が見られない又は87°より大きく変化していることを示す。焼き付きについては、○は焼き付きによる変化が見られないことを示し、×は表示特性が悪いもしくは焼き付きがみられることを示し、×の数が多いほど程度が悪いことを示す。)
【0239】
【表12】
【0240】
以上の結果より、本願発明の化合物を用いることによってプレチルト角の変化が最適且つ焼き付きが発生しないことを確認した。
(実施例14)
一般式(I)から選ばれる化合物、一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)から選ばれる化合物又は、一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)から選ばれる化合物を含有した液晶組成物LC−7を調製した。構成する化合物及び含有する比率は以下の通りである。
【0241】
【化92】
【0242】
上記液晶組成物LC−7の物性を表13に示す。
【0243】
【表13】
【0244】
液晶組成物LC−7 99.7%に対して、
【0245】
【化93】
【0246】
で示される重合性化合物を0.25%添加し、
【0247】
【化94】
【0248】
で示される重合性化合物を0.05%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−40を調整した。
(比較例27)
液晶組成物LC−7 99.7%に対して、
【0249】
【化95】
【0250】
で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−41を調整した。
(比較例28)
液晶組成物LC−7 99.7%に対して、
【0251】
【化96】
【0252】
で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−42を調整した。
実施例14、比較例27及び比較例28で作成した重合性液晶組成物をセルギャップ3.5μmでパラレル配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。注入後、電圧印加状態で、300から400nmにピーク波長がある高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射し、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。本液晶表示素子について、表示特性(コントラスト、応答速度等)に影響を与えるプレチルト角の測定及び焼き付きの目視観察を行った。(プレチルト角については、○はプレチルト角の変化が1〜3°程度であることを示し、×は全くプレチルト角の変化が見られない又は3°より大きく変化していることを示す。焼き付きについては、○は焼き付きによる変化が見られないことを示し、×は表示特性が悪いもしくは焼き付きがみられることを示し、×の数が多いほど程度が悪いことを示す。)
【0253】
【表14】
【0254】
以上の結果より、本願発明の化合物を用いることによってプレチルト角の変化が最適且つ焼き付きが発生しないことを確認した。
(実施例15)
一般式(I)から選ばれる化合物、一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)から選ばれる化合物又は、一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)から選ばれる化合物を含有した液晶組成物LC−8を調製した。構成する化合物及び含有する比率は以下の通りである。
【0255】
【化97】
【0256】
上記液晶組成物LC−8の物性を表15に示す。
【0257】
【表15】
【0258】
液晶組成物LC−8 99.7%に対して、
【0259】
【化98】
【0260】
で示される重合性化合物を0.15%添加し、
【0261】
【化99】
【0262】
で示される重合性化合物を0.15%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−43を調整した。
(比較例29)
液晶組成物LC−8 99.7%に対して、
【0263】
【化100】
【0264】
で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−44を調整した。
(比較例30)
液晶組成物LC−8 99.7%に対して、
【0265】
【化101】
【0266】
で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−45を調整した。
実施例15、比較例29及び比較例30で作成した重合性液晶組成物をセルギャップ3.5μmでパラレル配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。注入後、電圧印加状態で、300から400nmにピーク波長がある高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射し、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。本液晶表示素子について、表示特性(コントラスト、応答速度等)に影響を与えるプレチルト角の測定及び焼き付きの目視観察を行った。(プレチルト角については、○はプレチルト角の変化が1〜3°程度であることを示し、×は全くプレチルト角の変化が見られない又は3°より大きく変化していることを示す。焼き付きについては、○は焼き付きによる変化が見られないことを示し、×は表示特性が悪いもしくは焼き付きがみられることを示し、×の数が多いほど程度が悪いことを示す。)
【0267】
【表16】
【0268】
以上の結果より、本願発明の化合物を用いることによってプレチルト角の変化が最適且つ焼き付きが発生しないことを確認した。
(実施例16)
一般式(I)から選ばれる化合物、一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)から選ばれる化合物又は、一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)から選ばれる化合物を含有した液晶組成物LC−9を調製した。構成する化合物及び含有する比率は以下の通りである。
【0269】
【化102】
【0270】
上記液晶組成物LC−9の物性を表17に示す。
【0271】
【表17】
【0272】
液晶組成物LC−9 99.6%に対して、
【0273】
【化103】
【0274】
で示される重合性化合物を0.25%添加し、
【0275】
【化104】
【0276】
で示される重合性化合物を0.15%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−46を調整した。
(比較例31)
液晶組成物LC−9 99.6%に対して、
【0277】
【化105】
【0278】
で示される重合性化合物を0.4%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−47を調整した。
(比較例32)
液晶組成物LC−9 99.6%に対して、
【0279】
【化106】
【0280】
で示される重合性化合物を0.4%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−48を調整した。
実施例16、比較例31及び比較例32で作成した重合性液晶組成物をセルギャップ3.5μmでパラレル配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。注入後、電圧印加状態で、300から400nmにピーク波長がある高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射し、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。本液晶表示素子について、表示特性(コントラスト、応答速度等)に影響を与えるプレチルト角の測定及び焼き付きの目視観察を行った。(プレチルト角については、○はプレチルト角の変化が1〜3°程度であることを示し、×は全くプレチルト角の変化が見られない又は3°より大きく変化していることを示す。焼き付きについては、○は焼き付きによる変化が見られないことを示し、×は表示特性が悪いもしくは焼き付きがみられることを示し、×の数が多いほど程度が悪いことを示す。)
【0281】
【表18】
【0282】
以上の結果より、本願発明の化合物を用いることによってプレチルト角の変化が最適且つ焼き付きが発生しないことを確認した。
(実施例17)
液晶組成物LC−2 99.72%に対して
【0283】
【化107】
【0284】
で示される重合性化合物を0.27%添加し
【0285】
【化108】
【0286】
で示される重合性化合物を0.01%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−49を調製した。
(実施例18)
液晶組成物LC−2 99.72%に対して
【0287】
【化109】
【0288】
で示される重合性化合物を0.01%添加し
【0289】
【化110】
【0290】
で示される重合性化合物を0.27%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−50を調製した。
(実施例19)
液晶組成物LC−2 99.72%に対して
【0291】
【化111】
【0292】
で示される重合性化合物を0.14%添加し
【0293】
【化112】
【0294】
で示される重合性化合物を0.14%添加し均一溶解することにより、重合性液晶組成物CLC−51を調製した。
(実施例20)
実施例17、実施例18及び実施例19で作成した重合性液晶組成物をセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。注入後、電圧印加状態で、300から400nmにピーク波長がある高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を1000秒間照射し、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。それぞれの液晶表示素子を分解し、液晶セル中の液晶組成物の中に含まれている重合性化合物の残量を測定し、1000秒あたりの重合性化合物の反応率を計算した。実施例17、実施例18及び実施例19で作成した液晶表示素子中の重合性化合物の反応率は各々21%、44%、30%であった。
以上の結果より、重合反応速度の異なる重合性化合物を混合させることにより、液晶組成物中の重合性化合物の重合速度を調整することができることを確認した。
(実施例21)
液晶組成物LC−3 99.6%に対して
【0295】
【化113】
【0296】
で示される重合性化合物を0.39%添加し
【0297】
【化114】
【0298】
で示される重合性化合物を0.01%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−52を調製した。
(実施例22)
液晶組成物LC−3 99.6%に対して
【0299】
【化115】
【0300】
で示される重合性化合物を0.01%添加し
【0301】
【化116】
【0302】
で示される重合性化合物を0.39%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−53を調製した。
(実施例23)
液晶組成物LC−3 99.6%に対して
【0303】
【化117】
【0304】
で示される重合性化合物を0.35%添加し
【0305】
【化118】
【0306】
で示される重合性化合物を0.05%添加し均一溶解することにより、重合性液晶組成物CLC−54を調製した。
(実施例24)
液晶組成物LC−3 99.6%に対して
【0307】
【化119】
【0308】
で示される重合性化合物を0.2%添加し
【0309】
【化120】
【0310】
で示される重合性化合物を0.2%添加し均一溶解することにより、重合性液晶組成物CLC−55を調製した。
(実施例25)
実施例21、実施例22、実施例23及び実施例24で作成した重合性液晶組成物をセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。注入後、電圧印加状態で、300から400nmにピーク波長がある高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を1000秒間照射し、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。それぞれの液晶表示素子を分解し、液晶セル中の液晶組成物の中に含まれている重合性化合物の残量を測定し、1000秒あたりの重合性化合物の反応率を計算した。実施例21、実施例22、実施例23及び実施例24で作成した液晶表示素子中の重合性化合物の反応率は各々42%、93%、50%、75%であった。
以上の結果より、重合反応速度の異なる重合性化合物を混合させることにより、液晶組成物中の重合性化合物の重合速度を調整することができることを確認した。