(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のフレームユニットのうちの1のフレームユニットは、前記エネルギビームを照明する照明系を天井で支持する請求項9〜12のいずれか一項に記載の露光装置。
前記複数のフレームユニットのうちの1のフレームユニットは、前記エネルギビームを照明する照明系を天井で支持する請求項24〜28のいずれか一項に記載の露光装置の組立て方法。
前記照明系が前記天井で支持された前記1のフレームユニットを吊り上げた後、前記動作部の上方から前記1のフレームユニットを下降させて設置する請求項29に記載の露光装置の組立て方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を、
図1〜
図23に基づいて説明する。
【0012】
図1には、一実施形態の露光装置100の全体構成が一部省略して示されている。また、
図2には、後述する全体フレーム50を取り去った露光装置100の構成が概略的に示されている。
【0013】
露光装置100は、骨組み構造物である全体フレーム50と、該全体フレーム50によって、照明系IOPが支持された露光装置本体とを備えている。露光装置本体は、
図2に示されるように、露光用照明光(露光光)でマスクMを照明し、マスクMを介した照明光を、投影ユニットPU(投影光学系)を介して表面にレジスト(感光剤)が塗布されたガラスプレート(以下、プレートと略述する)Pに投射し、プレートP上にマスクMに形成されたパターンの像を形成する。露光装置本体は、照明系IOPと本体部100’とを含む。なお、照明系IOPの少なくとも一部(例えば照明光学系を含む)が本体部に含まれていても良い。
【0014】
本実施形態では、全体フレーム50によって、露光装置本体に付設されるマスク搬送装置(以下、適宜、マスクローダとも呼ぶ)90等も支持されている。なお、露光装置本体の構成等については、後に詳述する。
【0015】
全体フレーム50は、
図3に示されるように、3つのフレームユニット(以下、ユニットと略述する)52,54及び56を備え、該3つのユニット52,54及び56が、互いに連結されることで構成されている。連結方法については、後述する。以下では、便宜上、ユニット52,54及び56の連結方向が、Y軸方向であるものとして説明を行う(
図3参照)。また、全体フレーム50が設置された床面(又はベースプレート)Fに平行な面内でY軸方向に垂直な方向をX軸方向、X軸方向及びY軸方向に平行な方向をZ軸方向とする。
【0016】
ユニット52,54及び56のそれぞれは、Y軸方向の幅(長さ)よりX軸方向の幅(長さ)が長く設定されている。
【0017】
ユニット52は、
図4に示されるように、Y軸方向から見て門の形状を有する門型ユニットである。ユニット52は、全体の外観が矩形のメッシュ状の構造体(例えば管材等の一般構造材を組み合わせた構造体の他、メッシュ状の矩形の板部材なども含む)から成り、XY平面に平行に配置された天井部52cと、天井部52cの+X端部、−X端部に上端がそれぞれ固定され、天井部52cを下方から支持する一対の脚部52a,52bとを有する。天井部52cは、荷重を支える水平材(ビーム)として機能する。
【0018】
脚部52a,52bのそれぞれは、所定の間隔で配置された複数本(例えば3本)の柱と、これらを連結する複数本(例えば4本)の梁部材とから成る。天井部52cには、開口部52dが形成されている。
【0019】
ユニット54は、
図5に示されるように、−Y方向から見て門の形状を有する門型ユニットである。ユニット54は、全体の外観が矩形のメッシュ状の構造体(例えば管材等の一般構造材を組み合わせた構造体の他、メッシュ状の矩形の板部材なども含む)から成り、XY平面に平行に配置された天井部54cと、天井部54cの+X端部、−X端部に上端がそれぞれ固定され、天井部54cを下方から支持する一対の脚部54a,54bと、脚部54a,54bとともに天井部54cを下方から支持する脚部54dとを有する。天井部54cは、荷重を支える水平材(ビーム)として機能する。ユニット54は、X軸方向の長さは、ユニット52とほぼ同一であるが、Y軸方向の長さは、ユニット52より短い。また、ユニット54は、ユニット52より高さが低い。
【0020】
脚部54a、54bのそれぞれは、所定間隔で配置された2本の柱と、これらを連結する複数本(例えば2本)の梁部材とから成る。また、脚部54dは、脚部54a、54bで支持されていない天井部54cの+Y側の端部を下方から支持する複数本(例えば2本)の柱と、これらの複数本の柱相互を連結する複数本(例えば2本)の梁部材とを含む。脚部54dは、脚部54a、54bに梁部材を介して連結されている。
【0021】
上述のユニット52,54は、
図3に示されるように、Y軸方向に離間して、配置されている。
図3に示されるように、ユニット52の脚部52aを構成する+Y側の柱と、ユニット54の脚部54aを構成する−Y側の柱とが、梁部材から成る2本の接続部材58を用いて接続(連結)されている。同様に、ユニット52の脚部52bを構成する+Y側の柱と、ユニット54の脚部54bを構成する−Y側の柱とが、梁部材から成る2本の接続部材58を用いて接続されている。
【0022】
ユニット56は、
図3に示されるように、高さの異なるユニット52,54を連結する連結ユニットである。詳述すると、ユニット56は、
図6に示されるように、例えば、全体の外観が矩形のメッシュ状の構造体(例えば管材等の一般構造材を組み合わせた構造体の他、メッシュ状の矩形の板部材なども含む)から成る天井部56cと、天井部56cの−Y端部、+Y端部に上端がそれぞれ固定された高さの異なる2つの脚部56a,56bと、を有する。脚部56bは、ほぼ等間隔で配置された複数本(例えば4本)の柱と、これら複数本の柱を連結する複数本(例えば3本)の梁部材とによって構成されている。脚部56aは、脚部56bと同様に構成されているが、ユニット52とユニット54との高さの差だけ、脚部56bよりZ軸方向の長さ(寸法)が短い。また、脚部56a,56bの+X側端部同士は、梁部材によって連結されている。
【0023】
図3に示されるように、ユニット52の天井部52cの+Y側の端部の上面に、ユニット56の脚部56aの下端が固定され、ユニット54の天井部54cの−Y側の端部の上面に、ユニット56の脚部56bの下端が固定されている。このようにして、連結ユニット56を用いて2つの門型ユニット52,54を連結することで、3つのユニット52,54,56が一体化された、十分な強度を有する、全体フレーム50が構築されている。なお、ユニット52,54,56相互間の固定は、ねじ等を用いて行われているが、溶接によっても良い。なお、全体フレーム50に、例えば防塵等のための壁材(又はパネル)を取り付けても良い。
【0024】
また、全体フレーム50を構成する3つのユニット52,54,56のそれぞれは、車両等の搬送手段・輸送手段の重量制限を超えない程度の重量及び大きさになっている。ただし、少なくても1つのユニットが、重量制限を超える場合であっても、本実施形態では、各ユニットが、脚部と天井部との複数のパーツから構成されているので、パーツ毎に、輸送して、現場で各ユニットを組み立てるようにすれば、重量制限の問題は解消する。
【0025】
以下、露光装置本体の構成等について、
図2、
図7、
図8、
図9に基づいて説明する。ここで、必要に応じて、露光装置本体及びその付属装置の構成各部の、全体フレーム50による支持方法などについても併せて説明する。
【0026】
図7には、全体フレーム50及び全体フレーム50に支持される露光装置本体及びその付属装置の構成各部の配置が示され、
図8には、全体フレーム50の内部に配置される本体部100’の構成が斜視図にて概略的に示されている。また、
図9には、露光装置100の制御系の主要な構成がブロック図にて示されている。制御系は、装置全体を統括制御するマイクロコンピュータ(あるいはワークステーション)などを含む主制御装置20を中心として構成されている。
【0027】
露光装置本体は、
図2に示されるように、照明系IOP、マスクMを保持するマスクステージMST、マスクMに形成されたパターンをプレートP上に投影する投影ユニットPU、プレートPを保持するプレートステージPST等を備えている。
【0028】
照明系IOPは、例えば米国特許出願公開第2001/0033490号明細書、米国特許第5,729,331号明細書、及び米国特許第6,288,772号明細書などに開示される照明系と同様に構成されている。すなわち、照明系IOPは、コヒーレントな露光光、例えば紫外域の輝線(例えばg線、i線など)を射出する超高圧水銀ランプから成る光源、及び該光源に送光光学系を介して接続された照明光学系を含む。照明系IOPは、露光光をマスクMに向けて射出する。なお、光源としては、超高圧水銀ランプに限らず、ArFエキシマレーザ(出力波長193nm)あるいはKrFエキシマレーザ(出力波長248nm)などのパルスレーザ光源、あるいは固体レーザ装置などを用いることができる。
【0029】
照明系IOPは、
図7に示されるように、ユニット52の天井部52c上に、搭載されている。この場合、照明系IOPは、+Y側端部の下端に設けられた射出端部(照明系IOPの一部を構成する照明光学系の一部)を、前述した天井部52cの開口52dの内部に挿入した状態で、天井部52c上に搭載されている。すなわち、照明系IOPは、ユニット52の天井部52cによって下方から支持されている。
図7では、全体フレーム50の内部に配置される本体部100’は図示が省略されている。
【0030】
ここで、本体部100’の構成について、
図8に基づいて、かつ適宜他の図面を参照しつつ説明する。
【0031】
本体部100’は、
図8に示されるように、床面F上に設置されたボディBD(
図2参照)と、該ボディBDに搭載されたマスクステージMST、プレートステージPST、及び投影ユニットPU(
図8では図示省略、
図2参照)、並びにマスクステージMSTを駆動するマスクステージ駆動系MSD及びプレートステージPSTを駆動するプレートステージ駆動系PSD(
図8ではいずれも図示せず、
図9参照)等を備えている。
【0032】
ボディBDは、
図8に示されるように、Y軸方向に所定間隔を隔てて平行に配置され、それぞれの長手方向(X軸方向)の両端部が防振システム(支持部材)65を介して床面F上に支持された一対の架台66a、66bと、一対の架台66a、66bの上面に設置されたY軸方向に長い長方形板状の定盤68と、架台66a,66bの±X端部上に載置されたY軸方向を長手方向とする一対の補助架台64a,64bと、一対の補助架台64a,64b上に設置されたX軸方向を長手方向とする長方形板状の架台62とを含む。一対の架台66a、66bのそれぞれは、長手方向の両端部近傍に一対の段部が形成され、それらの段部下側の面(内部底面)は、段部上側の面と平行になっている。そして、一対の架台66a、66bの内部底面上に定盤68は設置されている。
【0033】
ボディBDを構成する一対の架台66a、66bと一対の補助架台64a,64bとは、上記説明からも明らかなように、井形状に組み立てられている。また、架台62は、後述するように投影ユニットPU(投影光学系の鏡筒を含む)を支持する鏡筒定盤の役目を果たすので、以下では、鏡筒定盤62と呼ぶ。
【0034】
上述の説明から明らかなように、ボディBDは、全体フレーム50とは独立に、床面F上に設置されている。
【0035】
マスクステージMSTは、
図2から明らかなように、照明系IOPの下方に配置されている。ここで、マスクステージMST上には、パターンが形成されたマスクMが載置されている。
【0036】
マスクステージMSTは、鏡筒定盤62上に設置されたY軸方向に延びる一対のガイド63a,63b上に不図示のエアベアリング等を介して非接触で支持されている。マスクステージMSTは、マスクステージ駆動系MSDにより、ガイド63a,63b上で、Y軸方向に所定のストローク内で駆動可能であり、X軸方向及びZ軸回りの回転方向(θz方向)に微小駆動可能である。
【0037】
詳述すると、マスクステージ駆動系MSDは、一対のリニアモータ71、72を含む。ここで、
図2及び
図7より明らかなように、一対のリニアモータ71,72を構成する一対の固定子71a,72aが、ユニット52,54(を構成する天井部52c,54c)に、吊り下げ支持されている。固定子71a,72aは、ユニット52,54の配列方向(すなわち連結方向であるY軸方向)を長手とし、互いにX軸方向に離間して配置されている。
【0038】
なお、固定子71a,72aのそれぞれを複数のパーツに分解し、複数のパーツの一部と残りの一部とをそれぞれユニット52,54を用いて支持しても良い。
【0039】
固定子71a,72aは、
図8に示されるように、断面U字状の磁石ユニットから成る。一方の固定子71aの内部には、Y軸方向に沿って交番磁界が形成されるように、複数の永久磁石がY軸方向に沿って所定ピッチで配置されている。この場合、相互に隣接する永久磁石同士、相互に対向する永久磁石同士は、極性が異なる。
【0040】
他方の固定子72aの内部には、固定子71a側と同様の配置で、複数の永久磁石がY軸方向に沿って配列されている。これに加え、固定子72aの内部には、Y軸方向に細長く延びる例えば各2つの永久磁石が、上下の対向面にそれぞれ配置されている。この場合も、相互に隣接する永久磁石同士、相互に対向する永久磁石同士は、極性が異なる。
【0041】
マスクステージMSTの±X端部には、固定子71a、72aの内部空間に挿入され、固定子71a、72aのそれぞれとともに、リニアモータ71、72をそれぞれ構成する電機子ユニット(コイルユニット)から成る可動子71b,72bが、突設されている。可動子71b,72bには、対応する固定子71a,72a側の磁石の配置に対応する配置で、複数の電機子コイルが配置されている。この場合、リニアモータ71は、可動子71bに対するY軸方向の駆動力(推力)を発生するYリニアモータである。一方、リニアモータ72は、可動子72bに対するY軸方向の駆動力(推力)に加え、X軸方向の駆動力(推力)をも発生するXY2次元のリニアモータである。この場合、可動子72bのY軸方向のストロークは、固定子72aの長さと同程度であるが、X軸方向のストロークは、固定子のX軸方向の幅より短い。
【0042】
マスクステージMSTのXY平面内での位置は、マスクステージMSTに設けられた(又は形成された)反射面に測長ビームを照射するマスクステージ干渉計MSI(
図9参照)により計測される。その計測結果は、主制御装置20に供給される(
図9参照)。主制御装置20は、供給された計測結果に基づいて、マスクステージ駆動系MSDを介してマスクステージMSTを駆動し、マスクステージMSTの位置(及び速度)を制御する。なお、例えば米国特許出願公開第2007/0288121号などに開示されているように、エンコーダシステムによってマスクステージMSTの位置情報を計測しても良い。
【0043】
投影ユニットPUは、
図2に示されるように、マスクステージMSTの下方で、鏡筒定盤62に支持されている。投影ユニットPUは、例えば米国特許第6,552,775号明細書などに開示される投影光学系と同様の構成の投影光学系を有している。すなわち、投影ユニットPUは、千鳥状に配置された複数の投影光学系を含み、この複数の投影光学系は、X軸方向を長手方向とする長方形状の単一のイメージフィールドを持つ投影光学系と同等に機能する。本実施形態では、複数の投影光学それぞれとしては、例えば両側テレセントリックでな等倍系で正立正像を形成するものが用いられている。複数の投影光学系はそれぞれ投影光学モジュールなどとも呼ぶことができる。
【0044】
このため、照明系IOPからの露光光によってマスクM上の複数の照明領域が照明されると、投影光学系の第1面(物体面)とパターン面がほぼ一致して配置されるマスクMを通過した露光光により、投影光学系を介してその照明領域内のマスクMの回路パターンの投影像(部分正立像)が、投影光学系の第2面(像面)側に配置される、表面にレジスト(感光剤)が塗布されたプレートP上で前記照明領域に共役な露光光の照射領域(露光領域)に形成される。そして、マスクステージMSTとプレートステージPSTとの同期駆動によって、複数の照明領域(露光光)に対してマスクMを走査方向(Y軸方向)に相対移動させるとともに、複数の露光領域(露光光)に対してプレートPを走査方向(Y軸方向)に相対移動させることで、プレートP上のショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にマスクMのパターンが転写される。
【0045】
プレートステージPSTは、
図2に示されるように、投影ユニットPUの下方に配置されている。ここで、プレートステージPST上には、プレートPが載置されている。プレートステージPSTは、
図8に示されるように、定盤68上にX軸方向に離間して設置されたY軸方向を長手方向とする一対のガイド69a,69bの上にエアベアリング等を介して非接触で支持されている。プレートステージPSTは、プレートステージ駆動系PSDにより、ガイド69a,69b上で、Y軸方向に所定のストローク内で駆動可能であり、X軸方向、θz方向、Z軸方向及びXY平面に対する傾斜方向(X軸回りの回転方向(θx方向)及びY軸回りの回転方向(θy方向))にも微小駆動可能である。
【0046】
詳述すると、プレートステージ駆動系PSDは、一対のリニアモータ73、74を含む。一対のリニアモータ73、74を構成する固定子73a,74aは、
図8に示されるように、ともにY軸方向を長手とする断面U字状部材から成り、長手方向の両端がそれぞれ架台66a,66bの前述した各段部の上面に支持されている。ここで、固定子73a,74aは互いにX軸方向に離間し、それらの中央に位置する配置で定盤68が、架台66a,66bの前述した内部底面上に設置されている。固定子73aは、前述の固定子71aと同様に構成されるとともに、固定子74aは前述の固定子72aと同様に構成されている。
【0047】
プレートステージPSTの+X端部には、可動子73bが突設されている。可動子73bは、固定子73aの内部空間に先端部が挿入された状態となっている。可動子73bは、前述した可動子71bと同様の電機子ユニット(コイルユニット)によって構成され、固定子73aとともに前述のリニアモータ71と同様のYリニアモータ73を構成する。また、プレートステージPSTの−X端部には、可動子74bが突設されている。可動子74bは、固定子74aの内部空間に先端部が挿入された状態となっている。可動子74bは、前述した可動子72bと同様の電機子ユニット(コイルユニット)によって構成され、固定子74aとともに前述のリニアモータ72と同様のXY2次元リニアモータ74を構成する。
【0048】
プレートステージPSTは、リニアモータ73、74によってY軸方向に長ストロークで駆動されると共に、X軸方向及びθz方向に微小駆動される。
【0049】
プレートステージ駆動系PSDは、この他、プレートステージPSTを、Z軸方向、θx方向、θy方向に駆動するZ・チルト駆動装置(不図示)を含む。Z・チルト駆動装置は、一例としてプレートステージPSTをそれぞれZ軸方向に微小駆動する、例えばボイスコイルモータを含む、3つ(又は4つ)のZ駆動装置によって構成することができる。
【0050】
プレートステージPSTのXY平面内での位置(及び傾斜(θx回転及びθy回転))は、プレートステージPSTに設けられた(あるいは形成された)反射面に測長ビームを照射するプレートステージ干渉計PSI(
図9参照)を用いて計測され、その計測結果は、主制御装置20に供給される(
図9参照)。主制御装置20は、供給された計測結果に基づいて、プレートステージ駆動系PSDを介してプレートステージPSTを駆動し、プレートステージPSTの位置(及び速度)を制御する。なお、マスクステージMST側と同様に、エンコーダシステムによってプレートステージPSTの位置情報を計測しても良い。
【0051】
前述の如く、ボディBDは、全体フレーム50とは独立に、床面F上に設置されている。従って、ボディBDの各部に搭載されたマスクステージMST、投影ユニットPU、及びプレートステージPSTなどは、全体フレーム50とは独立に、床面F上に設置されている。
【0052】
また、本実施形態の露光装置100には、プレートステージPSTに載置されるプレートPの面位置(表面のZ軸方向の位置)を計測する面位置計測系AF(
図9参照)が備えられている。面位置計測系AFとして、例えば、米国特許第6,552,775号明細書に開示されている計測系が用いられている。
【0053】
本体部100’は、さらに、プレートステージPSTの上方に配置された複数のアライメント系AL(
図8では不図示、
図9参照)を含む。アライメント系ALは、投影ユニットPUとともに鏡筒定盤62に吊り下げ支持されている。
【0054】
アライメント系ALとして、例えば、画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。アライメント系ALの検出結果(対象マークの位置情報)は、アライメント信号処理系(不図示)を介して主制御装置20に供給される(
図9参照)。
【0055】
また、プレートステージPST上には、複数のマーク板(不図示)が設置されている。ここで、マーク板(不図示)の表面の高さは、プレートステージPST上に載置されるプレートPのそれとほぼ等しい。マーク板(不図示)の表面には、上述のアライメント系ALにより検出される基準マークが形成されている。
【0056】
また、プレートステージPSTの内部には、上述の複数のマーク板(不図示)のうちの幾つかの下方に、レンズ系と撮像素子(CCD等)とをそれぞれ含むマーク像検出系MD(
図9参照)が、それぞれ、配置されている。マーク像検出系MDは、露光光ILにより照明されたマスクM上のアライメントマーク(不図示)の投影光学系及びレンズ系による像と、基準マークのレンズ系による像とを同時に検出し、基準マーク(の像)を基準とするアライメントマーク(の像)の位置を計測する。その計測結果は、主制御装置20に供給される(
図9参照)。なお、検出系MDはマーク像を撮像する方式に限られるものでなく、プレートステージPSTの上面に設けられる光透過部を介して露光光ILを検出する方式などでも良い。
【0057】
本実施形態の露光装置100には、マスクステージMST上にマスクMを搬送するマスク搬送装置90が、付設されている。マスク搬送装置90は、例えば
図7に示されるように、ユニット56(を構成する天井部56c)に吊り下げ支持されている。マスク搬送装置90は、例えば
図2及び
図7に示されるように、天井部56cに吊り下げ状態で固定され、X軸方向に延びるレール部材91と、該レール部材91に設けられた不図示のガイドに沿ってレール部材91の下方でX軸方向に移動可能なマスクローダ本体92とを備えている。レール部材91は、その−X側の端部が、
図1からもわかるように、全体フレーム50の外部に突出している。本実施形態では、マスクステージMSTに対するマスクMのロード及びマスクステージMSTからのマスクMのアンロードは、上方から、行われる。そのため、マスクローダ本体92は、全体フレーム50外部のマスクの受け渡し位置と、マスクステージMST上方のマスクステージMSTに対するマスクの受け渡し位置との間で往復移動可能に構成されている。
【0058】
さらに、本実施形態の露光装置100では、本体部100’の外側に安全柵が配置されている。
図1に示される露光装置100から露光装置本体(本体部100’を含む)とユニット56とを取り除いた残部を示す斜視図である
図10及び
図10からユニット54及びユニット52を取り除いた
図11に示されるように、例えば、本体部100’の+Y側には、平面視U字状の安全柵SR
1が配置されている。安全柵SR
1は、
図10から分かるように、ユニット54の内部に配置されている。また、本体部100’の−X側には、
図10及び
図11に示されるように、安全柵SR
2、SR
3が配置されている。安全柵SR
2は、ユニット54とユニット52との間、より詳しくは脚部54bと脚部52bとの間に配置されている。また、安全柵SR
3は、ユニット54の内部、具体的には、脚部54bの内側に配置されている。その他の場所にも、安全柵が設けられている。これらの安全柵は、チャンバの内部を二重構造にし、チャンバの内部に入った作業者等が、本体部100’の特定の一部に誤って接触するのを防止するために、設けられている。その特定の一部は、例えば精密な部分、危険な部分などである。
【0059】
次に、液晶表示素子の製造工場(クリーンルーム)における露光装置100の組み立ての手順について、
図12〜
図23に基づいて説明する。
【0060】
まず、工場(クリーンルーム)内で、装置設置のための墨出し、すなわち装置設置位置の決定及びアンカーボルトの取り付け位置の決定のための床面の寸法計測、全体フレーム50の設置位置高さ計測、その他の準備作業の後、本体部100’の組立て、及び全体フレーム50の部組(すなわち3つのユニット52,54,56の組立て)が、並行して行われる。このとき、照明系IOPを、その射出端部(照明系IOPの一部を構成する照明光学系の一部)を、前述した天井部52cの開口52dの内部に挿入した状態で、ユニット52の天井部52c上に搭載する。本体部100’は、本体部100’の一部をそれぞれ構成する各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。本体部100’の組立ては、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。
【0061】
しかる後、全体フレームのドッキング、すなわち、上述の全体フレーム50の部組で部組された3つのユニット52,54,56を、以下の手順でドッキングする。
【0062】
まず、
図12に示されるように、ユニット52の位置出し工具102a、102b及び102cを、ユニット52にそれぞれ取り付ける。なお、このとき、ユニット52には、工具用の手摺り103が取り付けられている。
【0063】
次に、ユニット52を不図示の吊り工具を介して不図示の門型リフターで吊り上げ、位置出し工具102a、102b及び102cを、ボディBDに押し当てながらユニット52を降ろす。このとき、
図13に示される位置出し工具当て面104a、104b及び104cに、位置出し工具102a、102b及び102cのそれぞれが押し当てられる。
【0064】
なお、位置出し工具102a、102b及び102cを用いることなく、上述の墨だしで決定された墨だし線に合わせて、ユニット52を設置する方法を採用しても良い。
【0065】
次に、不図示の吊り工具及び位置出し工具102a、102b及び102cを、ユニット52から取り外し、ユニット52にアンカーボルト及び残パネルを取り付ける。
図14には、このアンカーボルト等の取り付けが終了した状態が示されている。
【0066】
次に、
図15に示されるように、ユニット54、ユニット56及びマスクローダ90を、本体部100’の+Y側に移動させる。この移動は、不図示の門型リフター及び/又はエアーホバーを用いて、作業者によって行われる。
【0067】
次に、
図16に示されるように、ユニット54に位置出し工具106a、106bを取り付ける。
【0068】
次に、ユニット54を、
図17に示される位置から、不図示の吊り工具を介して不図示の門型リフターで吊り上げ、位置出し工具106a、106bで位置決めして所定の位置(
図18に示される位置)に降ろす。
【0069】
次に、不図示の吊り工具及び位置出し工具106a及び106bを、ユニット54から取り外し、ユニット54にアンカーボルト及び残パネルを取り付ける。
図18には、このアンカーボルト等の取り付けが終了した状態が示されている。
【0070】
次に、
図19に示されるように、ユニット56に、ブリッジフレーム108を取り付ける。なお、
図19では、ユニット56の脚部56a、56bに、移動用のキャスターが取り付けられている。
【0071】
次に、
図20に示されるように、ユニット56を不図示の吊り工具を介して不図示の門型リフターで吊り上げ、台車110上に搭載されたマスクローダ90上に降ろし、ユニット56とマスクローダ90とを締結する。ユニット56とマスクローダ90とを締結後、マスクローダ90と台車110との接続(締結)を解除する。
【0072】
次に、
図21に示されるように、マスクローダ90が締結されたユニット56を不図示の吊り工具を介して不図示の門型リフターで吊り上げ、ユニット54とユニット52との間に降ろし、ユニット56をユニット54とユニット52とに締結する。この締結の際に障害となるキャスターは、締結に先立ってユニット56の脚部から外される。
図22には、ユニット56がユニット54とユニット52とに締結された状態が示されている。
【0073】
そして、ブリッジフレーム108を正規位置に取り付け、ユニット56から吊り工具を外し、ユニット52とユニット54との間に、両者を連結する複数の接続部材58を取り付ける。そして、残りのユニット(ドライバー、空圧ボックス等)を、ユニット52,54,56に載せ、マスクローダ用の作業用足場を取り付け、ユニット54から工具用の手摺りを取り外す。これにより、全体フレームのドッキングが終了する。
図23には、全体フレームのドッキングが終了した状態が示されている。その後、全体フレームの外面に複数のパネルを組み付けてチャンバを構成する。これにより、露光装置100の組み立てが終了する。その後、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、安全柵の設置作業等については、説明を省略した。
【0074】
以上説明したように、本実施形態の露光装置100によると、露光装置本体及び露光装置本体に付設される装置(例えば搬送装置90等)の構成各部の少なくとも一部を支持する複数、ここでは3つのユニット52、54、56から構成される全体フレーム50を備えている。このため、ユニット52、54、56それぞれの大きさを、車両等の輸送・搬送手段の重量制限、輸送・搬送能力のなどを考慮して、設定することができる。さらに、複数のユニット52,54,56のそれぞれが上記構成各部の少なくとも一部を支持することができるので、全体フレーム50に加わる荷重を分散することができる。また、複数のユニット52,54,56から1つの全体フレーム50を構築するので、全体フレーム50全体として十分な強度を持たせることが容易である。本実施形態では、各ユニットとして強度の高い門型ユニットが採用されているので、この点においても、強度の向上を図ることができる。従って、大型の露光装置を、容易に、かつ短期間(短時間)で組み立てることが可能となる。
【0075】
また、本実施形態の露光装置100によると、前述の如く、全体フレーム50全体として十分な強度を持たせることが容易であるので、振動、地震などにも十分に対応でき、大型、大重量の露光装置の精度向上を図ることが可能になる。
【0076】
また、本実施形態の露光装置100によると、ボディBDは、全体フレーム50とは独立して、かつ防振システム65介して床面F上に設置されている。そして、マスクステージMSTを駆動する一対のリニアモータ71,72の固定子71a,72aは、全体フレーム50に吊り下げ支持されている。このため、リニアモータ71,72によってマスクステージMSTを駆動する際に、固定子71a,72aに作用する駆動力の反力は、その固定子を介して全体フレーム50に伝達され、該全体フレーム50を介して機械的に床(大地)に逃がされる。すなわち、固定子71a,72aが、例えば米国特許第5,874,820号明細書に開示されるリアクションフレームとして機能する。従って、マスクステージMSTを駆動する駆動力の反力などが、ボディBDの一部に支持された投影ユニットPUの振動要因となることがない。なお、例えば特開平8−63231号公報(対応する英国特許出願公開第2290658号明細書)などに開示されているように、固定子71a,72aを全体フレーム50に吊り下げ支持された支持部材に対して移動可能な構成とし、上記反力の作用により、運動量保存の法則に従って固定子71a,72aをマスクステージMST(可動子71b,72b)と反対方向に移動させることによって、上記反力が投影ユニットPUの振動要因となるのを排除しても良い。すなわち、固定子71a,72aを、いわゆるカウンタマスとしても良い。
【0077】
また、本実施形態の露光装置100によると、マスクローダ90のレール部材91がユニット56の天井部56cから吊り下げられ、マスクローダ本体92が、レール部材91に沿って、全体フレーム50外部のマスクの受け渡し位置とマスクステージMST上方のマスクステージMSTに対するマスクの受け渡し位置との間で往復移動するように構成されている。これにより、上方から、マスクステージMSTに対するマスクのロード、及びマスクステージMSTからのマスクのアンロードができるようになっている。また、マスク搬送に伴って生じるマスクローダ90の振動が、全体フレーム50とは独立に、床面F上に設置されたボディBD(本体部100’)への伝達されるのを抑制(阻止)でき、露光精度の向上を図ることができる。
【0078】
なお、上記実施形態では、2つの門型ユニット52,54と、該門型ユニット52,54を連結する連結ユニット56との3つのユニットによって、全体フレーム50を構成したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、門型ユニットは、1つ又は3つ以上設けられていても良く、連結ユニットは複数設けられていても良い。例えば、門型ユニットが3つ以上設けられる場合、その3つ以上の門型ユニットを用いて固定子71a,72aを支持しても良い。これにより、マスクステージMSTのストロークの伸長が容易になる。ただし、門型ユニット及び連結ユニットの少なくとも一方は、必ずしも設けられていなくても良い。
【0079】
また、上記実施形態中のユニット52,54,56が、大きすぎて又は重すぎて、輸送手段で輸送できない場合などには、ユニット52,54,56を、例えば、脚部と天板部とに分割して搬送するようにしても良い。すなわち、複数のユニット(52,54,56)の少なくとも1つを、複数の部材に分割可能に構成し、搬送(輸送)時はその複数の部材に分割し、その分割可能に構成した少なくとも1つのユニットを現地で組み立て、組立てたその少なくとも1つのユニットを他のユニットと組み合わせて設置しても良い。
【0080】
要は、上述した露光装置本体などのパターン生成装置及び該装置に付設される装置の構成各部の少なくとも一部を支持する複数のユニットから全体フレームが構成されるのであれば、そのユニットの数は、問わない。
【0081】
なお、上述した安全柵は、その機能から、仕切部材、保護部材、あるいは隔壁部材などとも呼ぶことができる。従って、例えば安全柵を仕切部材として用いる場合、チャンバの内部空間を仕切ることで、例えばその内部空間の空調効率を高めることができる。
【0082】
また、全体フレーム50の内側かつ安全柵の外側に、プレートPの除電を行うイオナイザが配置され、メンテナンスなどのために作業員(又はオペレータなど)が露光装置内部に入る場合、イオナイザがオフされて初めて全体フレーム50内に立ち入り可能となる。また、全体フレーム50内に入った作業員は、安全柵を通して露光装置本体の動作状態を目視可能となっている。
【0083】
また、露光装置本体などのパターン生成装置及び該装置に付設される装置の構成各部の少なくとも一部を支持する複数のユニットから全体フレームが構成される上記実施形態の露光装置は、露光装置の製造工場からデバイス製造工場への輸送だけでなく、他のデバイス製造工場に露光装置を移設するための輸送、及び/又は組立などにも有効である。
【0084】
なお、上記実施形態では、マスクステージ干渉計MSIを用いてマスクステージMSTの位置を、またプレートステージ干渉計PSIを用いてプレートステージPSTの位置を、計測することとした。しかし、これに限らず、マスクステージ干渉計MSIに代えて、エンコーダ(複数のエンコーダから構成されるエンコーダシステム)を用いても良い。あるいは、マスクステージ干渉計MSIとエンコーダとを併用しても良い。同様に、プレートステージ干渉計PSIに代えてエンコーダ(複数のエンコーダから構成されるエンコーダシステム)を用いても良い。あるいは、プレートステージ干渉計PSIとエンコーダとを併用しても良い。
【0085】
また、上記実施形態において、露光光として、例えばDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、固体レーザ(波長:355nm、266nm)などを使用しても良い。
【0086】
なお、上記実施形態では、投影ユニットPUが、複数の投影光学系を備えたマルチレンズ方式である場合について説明したが、投影光学ユニットの本数は1本以上あれば良い。また、マルチレンズ方式の投影光学系に限らず、オフナー型の大型ミラーを用いた投影光学系などであっても良い。
【0087】
また、上記実施形態では投影光学系として、投影倍率が等倍のものを用いる場合について説明したが、これに限らず、投影光学系は縮小系及び拡大系のいずれでも良い。
【0088】
また、上記実施形態では、非液浸タイプの露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、例えば米国特許出願公開第2005/0259234号明細書等に開示されるように、投影光学系と露光対象の基板との間に液体を供給し、その液体を介して露光光を基板に投射する液浸露光方式の露光装置に対して、本発明を適用することもできる。
【0089】
なお、上記実施形態においては、光透過性のマスク基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク)、例えば、非発光型画像表示素子(空間光変調器とも呼ばれる)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)を用いる可変成形マスクを用いても良い。
【0090】
なお、上記実施形態の全体フレームなどのフレームを備えた本発明の露光装置は、サイズ(外径、対角線、一辺の少なくとも1つを含む)が500mm以上の基板、例えば液晶表示素子などのフラットパネルディスプレイ(FPD)用の大型基板を露光する露光装置に対して適用することが特に有効である。これは、基板の大型化に対応すべく本発明がなされているからである。
【0091】
なお、上記実施形態では、本発明が走査露光を行う投影露光装置に適用された場合について説明したが、これに限らず、本発明は、投影光学系を用いない、プロキシミティ方式の露光装置にも適用することができる。また、本発明は、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置(いわゆるステッパ)あるいはステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用することができる。
【0092】
また、露光装置の用途としては角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば半導体製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるマスク又はレチクルを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。なお、露光対象となる物体はガラスプレートに限られるものでなく、例えばウエハ、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。
【0093】
また、例えば国際公開第2001/035168号に開示されているように、干渉縞をウエハ上に形成することによって、ウエハ上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
【0094】
なお、これまでの説明で引用した露光装置などに関する全ての公報、国際公開公報、米国特許出願公開明細書及び米国特許明細書の開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
【0095】
《デバイス製造方法》
次に、上記実施形態の露光装置100をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法について説明する。上記実施形態の露光装置100では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることができる。
【0096】
〈パターン形成工程〉
まず、上述した露光装置100を用いて、パターン像を感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に形成する、いわゆる光リソグラフィ工程が実行される。この光リソグラフィ工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成される。
【0097】
〈カラーフィルタ形成工程〉
次に、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列された、又はR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルタを形成する。
【0098】
〈セル組み立て工程〉
次に、パターン形成工程にて得られた所定パターンを有する基板、及びカラーフィルタ形成工程にて得られたカラーフィルタ等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。例えば、パターン形成工程にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルタ形成工程にて得られたカラーフィルタとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。
【0099】
〈モジュール組立工程〉
その後、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。
【0100】
この場合、パターン形成工程において、上記実施形態の露光装置を用いて高スループットかつ高精度でプレートの露光が行われるので、結果的に、液晶表示素子の生産性を向上させることができる。