(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
基板上に材料を堆積させるいくつかの方法が知られている。例えば、物理的気相堆積(PVD)プロセス、化学気相堆積(CVD)プロセス、プラズマ化学気相堆積(PECVD)プロセスなどによって基板をコーティングすることができる。典型的には、プロセスが、コーティングする基板が配置された処理装置内または処理チャンバ内で実行される。装置内には堆積材料が供給される。複数の材料、またそれらの材料の酸化物、窒化物または炭化物を使用し、基板上に堆積することができる。処理チャンバ内ではさらに、エッチング、構造化(structuring)、アニールなど他の処理ステップを実施することもできる。
【0003】
コーティングされた材料は、いくつかの用途およびいくつかの技術分野で使用することができる。例えば、用途は、半導体デバイスの製造などマイクロエレクトロニクス分野にある。ディスプレイ用の基板もしばしばPVDプロセスによってコーティングされる。用途にはこのほか、絶縁パネル、有機発光ダイオード(OLED)パネル、TFTを含む基板、カラーフィルタなどがある。
【0004】
ディスプレイの生産、薄膜太陽電池の製造および同様の用途などの領域では特に、大面積ガラス基板が使用されて処理される。過去には基板サイズが継続的に増大しており、これは今もなお続いている。ガラス基板サイズの増大は、ガラスの破損によりスループットを犠牲にすることなく、基板を取扱い、支持し、処理することをますます難しいものにする。
【0005】
典型的には、ガラス基板を処理する間、キャリア上でガラス基板を支持することができる。キャリアは、ガラスまたは基板を処理機械に通す。典型的には、キャリアは、基板の表面を基板の外縁に沿って支持するフレームまたはプレートを形成し、または、プレートの場合には、表面それ自体を支持する。特に、フレーム形のキャリアを使用して、ガラス基板をマスキングすることもでき、フレームによって取り囲まれたキャリアの開孔は、コーティング材料を基板の露出部分に堆積させるための開孔、または開孔によって露出した基板部分に他の処理ステップを作用させるための開孔を提供する。
【0006】
より大きい、またより薄いガラスに向かう傾向は、ガラス基板の隆起をもたらす可能性があり、ガラス基板の隆起は、ガラスが破損する可能性を増大させることにより、問題を生じさせる可能性がある。したがって、隆起を低減させまたは回避すること、およびキャリアが、より大きくより薄い基板を、ガラスを破損することなく輸送することを可能にすることが望まれている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明のさまざまな実施形態を詳細に参照する。添付図には、それらの実施形態の1つまたは複数の例が示されている。図面の以下の説明では、同じ参照符号が同じ構成要素を指す。一般に、個々の実施形態に対する相違点だけが記載される。それぞれの例は、本発明を説明する手段として提供されるのであり、本発明を限定するものではない。さらに、1つの実施形態の部分として図示または記載された特徴を、他の実施形態で使用し、または他の実施形態とともに使用して、さらなる実施形態を得ることができる。説明は、そのような変更および改変を含むことが意図されている。
【0015】
典型的には、ガラス基板などの基板は、基本的に異なる2つの方法でキャリアに固定することができる。基板は、クランプ(例えば、ばねクリップ)を使用して固定することができ、その際、基板はキャリアのフレームに押し付けられる。このようなばねは、いくつかの異なるさまざまな設計のものが使用可能である。さらに、基板の縁で基板を固定することができる。すなわち、基板は、ガラス表面に平行な基板の側縁で押し付けられる。それによって、クランプは、基板を取り囲みまたは包囲する。それによって、一般に、基板、例えば大面積ガラス基板の下縁が支持され、基板の重力の大部分または少なくともかなりの部分が基板の下縁に加えられる。それによって、クランプ、特に基板の上部のクランプ、基板の側部のクランプ、および基板の底部の取り囲んでいないまたは包囲していないクランプが基板の位置を固定し、基板の重量に関係する重力が、基板の下縁の支持体で受けられる。その結果、ガラス基板が隆起することがあり、したがってガラスが破損する可能性が増大する。
【0016】
本明細書に記載された実施形態によれば、支持アセンブリによってガラス基板を支持することができ、支持アセンブリはさらに、クランプ、特に一般的に使用されているクランプに比べて変更されたクランプを含むことができる。しかしながら、ガラスの重量は、ガラスの下縁では受けられず、大部分(例えば少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも80%でさえも)はガラスの上縁で受けられる。それによって、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、ガラスは、それ自体の重量によって基板の底縁をひずませる。実施形態は、特に基板の長さおよび高さがより大きくなっているにもかかわらず、基板の厚さが約0.7mmから約0.5mmおよび0.3mmにさえまで薄くなっている事実を考慮すると、ガラスの破損を減らすことができる。
【0017】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、ガラスの厚さを0.1から1.8mmとすることができ、固定要素を、このようなガラスの厚さに対して適合させることができる。しかしながら、特に有益なガラスの厚さは約0.9mm以下、例えば0.5mm、0.3mmなどであり、固定要素は、このようなガラスの厚さに対して適合される。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、大面積基板は少なくとも0.174m
2のサイズを有する。典型的には、サイズを、約1.4m
2から約8m
2とすることができ、より典型的には約2m
2から約9m
2、または最大12m
2にさえすることができる。典型的には、本明細書に記載された実施形態によるマスク構造体、装置および方法に対して提供される長方形の基板が、本明細書に記載された大面積基板である。例えば、大面積基板は、約1.4m
2の基板(1.1m×1.3m)に対応するGEN5、約4.29m
2の基板(1.95m×2.2m)に対応するGEN7.5、約5.7m
2の基板(2.2m×2.5m)に対応するGEN8.5、または約8.7m
2の基板(2.85m×3.05m)に対応するGEN10にさえすることができる。GEN11、GEN12などのよりいっそう大きな世代および対応する基板面積も同様に実現することができる。
【0019】
図1は、懸垂キャリアなどのキャリア100を示す。キャリア100は、大面積基板101を支持するように構成される。
図1に示されているように、基板は、特に処理チャンバ内で処理されるときに、キャリア内の垂直位置に提供される。キャリア100は支持部分110を含む。典型的には、支持部分がキャリアプレートを含むことができる。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、キャリアプレートは、アルミニウム板、チタン板またはステンレス綱板とすることができる。キャリアプレートはさらに、窓または開孔を有することができる。
【0020】
特に大面積基板向けには、支持部分は、トッププレート112、サイドバー(sidebar)114など、複数の要素を有することができる。支持部分110は、基板エリア内に基板101を受けるように構成される。それによって、支持部分またはキャリアプレートの表面は、少なくとも基板101の周縁と接触するように構成される。
図1に示された例は支持部分110の開孔を含み、
図1では、支持部分110の開孔が基板によって覆われている。したがって、
図1に示された図に関しては、基板101が紙面の裏側から処理される。
【0021】
キャリア100はさらに固定アセンブリを含む。固定アセンブリは、少なくとも1つの固定要素122、例えば少なくとも1つの上側または上部固定要素を含む。本明細書に記載された実施形態によれば、上部固定要素122は、基板101の全ての重量、または基板101の重量の大部分、または基板101の本質的に全ての重量を支えるように構成される。したがって、
図1に示された例に示されているように、基板101は吊り下げられている。それによって、上部固定要素122は、基板の重量に対応する重力の荷重を受けている。したがって、基板101の下縁は、基板がその上に載ることができる支持平面によって支持されていない。それによって、基板自体の重量によって基板がまっすぐになるため、基板の隆起を低減させまたは回避することができる。
【0022】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、垂直な基板位置で生じる重力に対して本質的に直角な力を受けるために、基板の側部にまたは基板の底部にさえ、追加の固定要素124、例えばクランプまたは案内手段を提供することができる。側部または底部の追加の固定要素は、重力の相殺に本質的には貢献しない。むしろこれらの追加の固定要素は、水平面内で基板が自由に動くことを防ぐように適合される。
【0023】
例えば、基板は、ガラス(例えばソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラスなど)、金属、ポリマー、セラミック、複合材料、炭素繊維材料、または、任意の他の材料からなる群から選択される材料、または、堆積プロセスによってコーティングすることできる材料の組合せから製作されることができる。典型的には、基板を、破損に関してより危機的な傾向があるガラス基板とすることができる。しかしながら、隆起が他の問題を引き起こす可能性もあるため、他の基板が、本明細書に記載された実施形態を有益に利用することもできる。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、キャリア100の支持部分はフレームを含むことができる。フレームは例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、ステンレス鋼などから製作することができる。比較的小さな大面積基板、例えばGEN5基板またはGEN5基板よりも小さな基板向けには、支持部分を単一の部分から製造することができ、すなわち、フレームまたはプレートが一体的に形成される。しかしながら、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、支持部分110は、トッププレート112、サイドバー114、コーナ部分、または、2つ以上の側部要素および上部要素など、2つ以上の要素を含むことができる。それによって、面積が非常に大きな基板向けには特に、いくつかの部分を有するキャリアを製造することができる。キャリアのこれらの部分を組み立てて、基板101を支持するフレームまたはプレートを形成する。
【0025】
本明細書に記載された実施形態によれば、基板は、キャリア内で吊り下げられ、すなわち、基板の重量の大部分または基板の重量に関係する本質的に全ての重力が上部固定要素によって受けられる。
図2は、上部固定要素122の一例を示す。上部固定要素122は、斜面を有するハウジング部分222と、ハウジング部分222の中に含まれるローラ224とを含むことができる。ローラのための斜面を有するハウジング部分は、ローラ224が下方へ引っ張られたときに、基板に作用する重力によって基板に加わる圧力を増大させる。それによって、上部固定要素122で基板を固定することができる。
【0026】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、斜面を有するハウジング部分とローラとを含むローラおよび斜面クランプは、キャリアのトッププレートの接触面に対して、基板自体の重量に応じて基板を押し付けるローラを含む。実施形態の典型的な任意選択の実施によれば、限定はされないが、ローラは、Peekのような耐熱性プラスチック、Meldin、ゴム状材料(例えばKalrez)、またはアルミニウムもしくは石英ガラスのような材料から製作することができる。
【0027】
ローラは、キャリアのトッププレートの接触面に対して、基板自体の重量に応じて基板を押し付ける。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、ローラは、Peekのような耐熱性プラスチック、Meldin、ゴム状材料(例えばKalrez)、またはアルミニウムもしくは石英ガラスのような材料から製作することができる。
【0028】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、上部固定要素122は、基板の上側の長さの少なくとも50%である長さに沿って伸びることができる。それによって、基板101の上側の大部分にわたって重力が受けられることを保証することができる。これは、ひずみおよび応力を生じさせ、したがってガラスを破損させる可能性がある、基板上の点の力を避ける。
【0029】
図2に示されているように、側部固定要素124は、支持部分110を形成するフレームの側部に提供される。しかしながら、側部固定要素124は本質的に、基板101が支持部分110の接触面から離れること、または、基板101がキャリアもしくは基板の垂直な配向に対して接触面に沿って水平に動くこと、をそれぞれ防ぐ。
【0030】
図3は、キャリアおよび上部固定要素122のさらなる実施形態を示す。
図3に示されているように、ハウジング部分222およびローラ224は、
図2に示された実施形態に比べて短い長さを有する。しかしながら、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれ以上の短い上部固定要素、すなわち短いローラ224を、基板101の上部に沿って提供することができる。典型的には、複数の上部固定要素を、基板の上側の長さまたは基板を受けるエリアの上側の長さのそれぞれ少なくとも50%である長さにわたって分配させることができる。それによって、本質的に基板の全ての重力に対抗する上部固定要素が受ける力を、基板の上側に沿って分配させることができる。したがって、前述のとおり、異なる実施態様は、基板の長さにわたって配分された2つ以上のローラ、またはより大きなロール幅を有する少なくとも1つのローラを含むことができる。
【0031】
図4は、上部固定要素422の別の例を示す。上部固定要素422は、典型的には第1のばね部分432と第2のばね部分432とを有するばねクランプ要素である。定められた力を使用して、キャリアの支持部分の接触面に対して基板を押し付けることができる。それによって、2重脚ばね要素(double leg spring element)を提供することができる。2重脚ばねは、基板キャリアで基板が吊り下げられることを可能にする十分な力を提供するように構成される。したがって、2重脚ばね432は、基板を押すレバー434が、基板とレバー自体との間に十分な摩擦を提供し、かつ基板とキャリアの支持部分の接触面との間に十分な摩擦を提供するような十分な力を提供するように構成される。約3Nの力を提供する一般的に使用されているばね要素は、ガラスのタイプおよびガラスの厚さによってはGEN7.5基板の重量となりうる例えば3kgから5kgの重量を有する基板を吊り下げるのには十分ではない。
【0032】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、基板エリアの上側のばねクランプ要素は、少なくとも基板の重力の相殺を可能にする摩擦力をレバーアームに提供するのに十分な力を提供する。反対に、基板の側部に提供されるばねクランプ要素については、上部固定要素122によって基板の重量が支持されるため、2から4Nの力で十分である。
【0033】
したがって、本明細書に記載された実施形態は、吊り下げガラスまたは吊り下げ基板向けに構成される。厚さ0.9mm以下、典型的には厚さ0.5mm以下の薄いガラス基板用のキャリアがそれぞれ提供される。さらに、このようなキャリアを処理システム内で利用する方法および対応する処理システムが提供される。
【0034】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、固定要素は、クランプ取付け要素によって提供することができる。それによって、レバーにより、キャリアの支持部分の接触面にガラスが押し付けられる。したがって、レバーとガラスの間および/または支持面とガラスの間に摩擦を生み出すことができる。いくつかの実施形態によれば、追加のまたは代替の実施態様は、ゴム材料などの高摩擦の材料が備わっているそれぞれのレバーまたは表面を有する。処理ステップの多くは真空条件下で実施されるため、典型的には材料は真空環境に適しているべきである。
【0035】
図4に示されたばね要素は、キャリアまたは支持部分の接触面それぞれに対して基板を押し付けるための定められた力を提供する。定められた力は、
図4に関して示されているようなばねを使用することによって、またはニーレバー(knee lever)などの自己固定型のレバーのシステムを使用することによって提供することができる。ニーレバーなどのレバー522の一例が
図5に示されている。レバー522はレバーホルダ526を含むことができ、レバーホルダ526は例えば、基板101と接触し、キャリアプレートの支持部分の接触面に対して基板を押し付ける自己固定機構およびブッシュを備える。典型的な任意選択の実施態様によれば、レバーと一緒に使用することができる押圧用のブッシュは、所定の接触力を定義する圧力ばねを含むことができる。典型的な実施形態によれば、レバー、特に圧力ばねを備えるレバーを、ロボットアームによって操作されるように適合させることができる。本明細書に記載された実施形態によれば、キャリア上への基板の装着をロボットによって実施することができる。
【0036】
前述のとおり、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、基板の曲がりまたは水平運動を防ぐため、適当なクランプ要素またはスライド要素によって、右/左側部および/もしくは底側で基板を固定し、かつ/または案内することができる。
【0037】
上記の実施形態で示したように、キャリアは、基板の縁をマスキングすることにも使用することができる開孔を有する支持部分を提供する。それによって、基板がキャリアと接触する接触面が、本質的に基板の周縁に沿って提供される。開孔を形成するキャリアの縁を、堆積ステップなどの処理ステップ用の縁除外マスクとして使用することができる。しかしながら、さらなる実施形態によれば、キャリアは、プレートまたは他の接触面によって提供することができる。それによって、上部固定要素が本明細書に記載されたのと同様に提供される。しかしながら、接触面は、開孔を有するフレームの形状によって変化しうる。特にこのような支持部分構成に関しては、別個の縁除外マスクを提供することができる。
【0038】
典型的には、基板の縁を、実質的に堆積材料が存在しないようにしておくべき基板のエリア、または基板のマスキングされていない部分と比較して、堆積材料層の厚さが少なくとも25%の値まで低減した基板のエリアとして定義することができる。
【0039】
典型的には、基板は、材料を堆積させるのに適した任意の材料から製作されることができる。例えば、基板は、ガラス(例えばソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラスなど)、金属、ポリマー、セラミック、複合材料、炭素繊維材料、または、任意の他の材料からなる群から選択される材料、または、堆積プロセスによってコーティングすることができる材料の組合せから製作されることができる。本明細書に記載された実施形態によるキャリアによって、基板の処理にも影響を及ぼしうる隆起を低減させることができる。破損がさらなる懸念要素であるガラス基板またはセラミック基板に対しては特に、キャリアは損失の増大によって生産プロセスの生産性を低減させる基板の破損をかなり低減させることもできる。
【0040】
異なる実施形態によれば、PVD堆積プロセス、CVD堆積プロセス、基板構造化エッジング(substrate structuring edging)、加熱(例えばアニール)または任意の種類の基板処理に対してキャリアを利用することができる。本明細書に記載されたキャリアの実施形態およびこのようなキャリアを利用する方法の実施形態は、垂直に配向された大面積ガラス基板の非定常の基板処理、すなわち連続基板処理に対して特に有用である。非定常の処理では一般に、キャリアがプロセス用のマスキング要素も提供する必要がある。
【0041】
図6は、実施形態による堆積チャンバ600の略図を示す。堆積チャンバ600は、PVDプロセス、またはCVDプロセスなどの堆積プロセスに対して適合される。基板輸送装置620上のキャリア内またはキャリアに配置された基板101が示されている。チャンバ612内には、基板がコーティングされる側に面して、堆積材料源630が配置されている。堆積材料源630は、基板上に堆積させる堆積材料635を供給する。
【0042】
図6では、材料源630を、その上に堆積材料を有するターゲット、または材料が基板101上への堆積のため放出されることを可能にする他の任意の装置とすることができる。典型的には、材料源630は回転ターゲットでありうる。いくつかの実施形態によれば、材料源を配置しかつ/または交換するために、材料源630は移動可能でありうる。他の実施形態によれば、材料源は平面ターゲットでありうる。
【0043】
いくつかの実施形態によれば、堆積材料635が、堆積プロセスおよびコーティングされた基板のその後の用途により選択されうる。例えば、材料源の堆積材料は、アルミニウム、モリブデン、チタン、銅などの金属、シリコン、酸化インジウムスズおよび他の透明な導電性酸化物からなる群から選択される材料とすることができる。典型的には、このような材料を含むことができる酸化物、窒化物または炭化物層を、材料源から材料を供給することによって、または反応性堆積、すなわち材料源からの材料が処理ガスからの酸素、窒化物または炭素のような要素と反応する堆積によって堆積させることができる。いくつかの実施形態によれば、酸化シリコン、酸窒化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウムのような薄膜トランジスタ材料が堆積材料として使用されうる。
【0044】
典型的には、基板101は、キャリア内またはキャリアに提供され、キャリアは、縁除外マスク、特に非定常の堆積プロセス用の縁除外マスクとしての役目も果たすことができる。点線665は、チャンバ600の運転中の堆積材料635の経路を例示的に示す。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態によれば、マスキングを、チャンバ612内に提供された別個の縁除外マスクによって提供することができる。それによって、本明細書に記載された実施形態によるキャリアは、定常のプロセスに対して、および非定常のプロセスに対しても有益となりうる。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、基板上に堆積材料層を堆積させる方法が提供される。
図7は、記載された方法の流れ図を示す。典型的には、ステップ701は、キャリア内に基板を装填することを示す。いくつかの実施形態によれば、基板が前述のような基板であり、堆積装置が、
図6に例示的に示された堆積チャンバでありうる。それによって、典型的には、基板が、キャリア内で吊り下げられるように提供され、かつ/または、基板の上側で基板を保持するように構成され、基板を処理する間、基板の重量の少なくとも60%を支えるように構成された少なくとも1つの固定要素が提供される。
【0046】
ステップ702で、基板を、本質的に垂直な配向で、処理チャンバ内へおよび/または処理チャンバを通して移送する。キャリアまたはマスクは基板の縁を覆うことができる。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる本明細書に記載された実施形態によれば、本質的に垂直は、+/−10°以下、+/−5°以下または+/−3°以下の偏差で垂直に配向されたガラス基板として理解することができる。処理が実施されかつ/またはキャリアが利用される用途の全体的な構成によって、正確に垂直な配向には、基板表面上の望ましくない粒子が少なくなるという利点があり、一方、基板をわずかに傾けることには、傾きによって提供される固定された配向のため、基板の支持がより容易になるという利点がある。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、材料を堆積させる方法、堆積装置、および基板の縁を覆うマスクが、少なくとも0.174m
2、特に少なくとも1.4m
2、さらには少なくとも4m
2のサイズを有する大面積基板に対して使用される。
【0048】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、ガラスは、それ自体の重量によって基板の底縁をひずませる。実施形態は、特に基板の長さおよび高さがより大きくなっているにもかかわらず、基板の厚さが薄くなっている事実を考慮すると、ガラスの破損を減らすことができる。本明細書に記載された実施形態によるキャリアによって、基板の処理にも影響を及ぼしうる隆起を低減させることができる。
【0049】
以上の説明は本発明の実施形態を対象としているが、本発明の基本的な範囲を逸脱することなく本発明の他のさらなる実施形態を考案することができ、それらの実施形態の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。