特許第5963774号(P5963774)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5963774進歩したウェーハ表面ナノトポグラフィのためのオブジェクトに基づく計測方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963774
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】進歩したウェーハ表面ナノトポグラフィのためのオブジェクトに基づく計測方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20160721BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20160721BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   H01L21/66 J
   G01B11/02 G
   G01B11/24 D
【請求項の数】17
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-549473(P2013-549473)
(86)(22)【出願日】2012年1月8日
(65)【公表番号】特表2014-504803(P2014-504803A)
(43)【公表日】2014年2月24日
(86)【国際出願番号】US2012020573
(87)【国際公開番号】WO2012096855
(87)【国際公開日】20120719
【審査請求日】2015年1月7日
(31)【優先権主張番号】61/431,556
(32)【優先日】2011年1月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/170,094
(32)【優先日】2011年6月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー−テンカー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン ハイグアン
(72)【発明者】
【氏名】シンハ ジャイディープ ケイ
(72)【発明者】
【氏名】カメンスキイ セルゲイ
【審査官】 井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/025334(WO,A1)
【文献】 特表2012−501553(JP,A)
【文献】 特開2003−344309(JP,A)
【文献】 特開平04−269602(JP,A)
【文献】 特開2000−171241(JP,A)
【文献】 特開2003−168114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01B 11/02
G01B 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次元計測ツールによる半導体ウェーハの表面上の重要な特徴の自動検出及び定量化のためのコンピュータで実施される方法であって、
ユーザにより定義される少なくとも1つの関心ある特徴タイプを指定するステップと、
前記少なくとも1つの関心ある特徴タイプのそれぞれに関する特徴属性のリストを生成するステップと、
前記特徴属性のリストに従って前記少なくとも1つの関心ある特徴タイプの特徴を検出し及び分類するステップと、
前記特徴を境界付ける特徴オブジェクト領域であり、特徴オブジェクト領域ピクセルを含む、特徴オブジェクト領域を定義するステップと、
前記特徴のそれぞれの周りにオブジェクトに基づく測定領域を定義するステップと、
前記特徴オブジェクト領域に位置する場合の前記特徴のメトリックを計算するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記特徴タイプの前記特徴の、バックグラウンドに対するコントラストが強調される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記特徴属性のリストに従って前記少なくとも1つの関心ある特徴タイプの特徴を検出し及び分類するステップが、前記半導体ウェーハの前記表面上のウェーハ干渉計データを取得することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ウェーハ干渉計データから前記ウェーハの表面マップ計算するステップをさらに含み、前記ウェーハの前記表面マップが、表面及び裏面高さマップ、厚さマップ、及び形状マップのうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ウェーハの前記表面マップが、表面及び裏面高さマップ、厚さマップ、及び形状マップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ウェーハ干渉計データを取得することが、デュアルフィゾー型干渉計ツールを使用するものである、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記関心ある特徴タイプのそれぞれの特徴コントラストを強調するために前記ウェーハの前記表面マップを処理するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記関心ある特徴タイプのそれぞれの特徴コントラストを強調するために前記ウェーハの前記表面マップを処理する前記ステップが、少なくとも1つのフィルタリングアルゴリズムを使用するものであり、前記関心ある特徴タイプのそれぞれが、前記特徴タイプに最適化されたフィルタリングアルゴリズムと関連付けられる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記特徴のそれぞれの周りにオブジェクトに基づく測定領域を定義するステップが、前記各特徴オブジェクト領域を膨張させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記特徴オブジェクト領域ピクセルが除外された状態で前記各測定領域のバックグラウンドレベルを推定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記特徴オブジェクト領域ピクセルが除外された状態で前記各測定領域のバックグラウンドレベルを推定するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記指定された特徴タイプに従って前記検出された特徴及び前記ウェーハをソートするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
次元計測ツールによる半導体ウェーハの表面上の重要な特徴の自動検出及び定量化のためのシステムであって、
半導体ウェーハをマウントするための手段と、
前記半導体ウェーハの表面上のウェーハ干渉計データを取得するための手段と、
コンピュータと、
を含み、前記コンピュータが、
ユーザにより定義される少なくとも1つの関心ある特徴タイプを指定し、
前記少なくとも1つの関心ある特徴タイプのそれぞれに関する特徴属性のリストを生成し、
前記特徴属性のリストに従って前記少なくとも1つの関心ある特徴タイプの特徴を検出し及び分類し、
前記特徴を境界付ける特徴オブジェクト領域であり、特徴オブジェクト領域ピクセルを含む、特徴オブジェクト領域を定義し、
前記特徴のそれぞれの周りにオブジェクトに基づく測定領域を定義し、
前記特徴オブジェクト領域に位置する場合の前記特徴のメトリックを計算する、
ように構成される、
システム。
【請求項14】
前記コンピュータがさらに、表面及び裏面高さマップ、厚さマップ、及び形状マップを含む前記ウェーハの表面マップから前記ウェーハ干渉計データを計算するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記コンピュータがさらに、少なくとも1つのフィルタリングアルゴリズムを使用して、前記関心ある特徴タイプのそれぞれの特徴コントラストを強調するために前記ウェーハの前記表面マップを処理するように構成され、前記関心ある特徴タイプのそれぞれが、前記特徴タイプに最適化されたフィルタリングアルゴリズムと関連付けられる、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記コンピュータがさらに、前記特徴オブジェクト領域ピクセルが除外された状態で前記各測定領域のバックグラウンドレベルを推定するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記コンピュータがさらに、前記指定された特徴タイプに従って前記検出された特徴及び前記ウェーハをソートするように構成される、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2011年1月11日に出願された米国特許仮出願第61/431,556号に関連し、これに基づく優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、半導体ウェーハの計測、特に、局部的特徴計測を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路がより速く且つより高密度になるのに伴い、平面度、形状、及び厚さのようなトポグラフィ特徴の制御に関する要件がますます厳しくなる。加工が始まる前又は加工中であっても、すなわちウェーハを適格性確認(qualifying)し及び選択する際に、所与のウェーハが十分に平坦であり且つ仕様の範囲内にあることを検証する必要性がより一層大きくなってきている。ウェーハの特徴付けにおける重要な構成要素は、基板の幾何学的形状と呼ばれることもあるウェーハ・トポグラフィである。
【0004】
ウェーハ・トポグラフィ(すなわち、基板の幾何学的形状)は、形状、厚さ/平坦度、及びナノトポグラフィ(NT)のような伝統的なパラメータに従って説明することができる。これらのパラメータは、SEMI規格M1、付録1及び2で詳細に定義される異なる特徴を有する。SEMI規格M1は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。形状及び平坦度は、ウェーハの低周波数成分の説明となる傾向があることに留意されたい。ナノトポグラフィは、およそ0.2〜20mmの空間波長範囲内及び一定の品質範囲(fixed quality area)内のウェーハ表面全体の非平面偏差として(SEMI規格M41)において定義される。NT特徴は、点特徴、線特徴、又は領域特徴として生じる可能性がある。点特徴の例はディンプルであり、領域特徴の例はエピタキシャルピン又はクラウン、ノッチ上のバンプ、又はレーザマークであり、線特徴の例は、スライシングからのソーマーク、スクラッチ、滑り線、ドーパント縞、又は他のプロセス痕跡(process signatures)である。ウェーハ基板の個々の表面/裏面ナノトポグラフィは、典型的には、ウェーハ・トポグラフィの低周波数成分を抑制するダブルガウシアン(Double Gaussian:DG)フィルタリングのようなハイパスフィルタリングスキームをトポグラフィデータに適用することによって表面/裏面トポグラフィから得られる。基板NT特徴は、例えばデフォーカス及びオーバーレイ誤差に寄与することによってリソグラフィプロセスに影響するように見える。より高次の形状成分及びより多くの局部的形状特徴の特徴付け及び定量化は、引用によりそれらの全体が本明細書に組み込まれるPCT公開番号WO2010/025334、米国特許仮出願第61/092,720号、及び米国特許出願第12/778,013号で説明される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2010/025334号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
集積回路技術がより小さいノードに進歩するのに伴い、すなわち、設計基準がより小さくなるのに伴い、ウェーハ表面及び裏面の両方の局部的トポグラフィ適格性確認が関心を集めている。これらの局部的なより高周波数のトポグラフィ特徴は、一般に、リソグラフィスキャナによって十分に補正することができない。したがって、これらの特徴は、局部的デフォーカス及びオーバーレイ誤差を引き起こし、最終的に歩留まりを低下させることがある。局部的特徴メトリック(Localized Feature Metrics:LFM)とも呼ばれる局部的な幾何学的特徴付けのための特別なタイプの定量化方法論が、KLA−Tencorによって最近開発されている。この方法論は、ウェーハ表面上の幾つかのタイプの歩留まり制限特徴を検出し及び定量化するのに効果的である。NT特徴付けの従来の方法論は、全ウェーハ特徴付けに向けて最適化され、局部的関心領域を正確に取り込み及び定量化することに限定される。LFMは、Haiguang Chen他の米国特許出願第12/986,176号で説明される。該出願12/986,176号は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。LFM測定及び解析の正確さ及び感度の改善は、進歩したナノトポグラフィ用途にとって重要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示されるのは、強化され及び拡張されたLFM測定のための次元計測システム及び方法である。関心あるオブジェクトは、ユーザ定義パラメータに従って分類され、これは、強調された特徴コントラスト及びより正確な特徴検出、並びに、より正確に定義された特徴オブジェクト領域及び特徴メトリックを可能にする。これは、特徴タイプに従って、単なる例としてダブルガウシアンフィルタリング、DOG(Difference of Gaussian(ガウシアン差分))フィルタリング、又は線強調フィルタリングのような種々の特別なフィルタリングスキームを採用することによって容易にされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1a】ディンプル特徴及びスクラッチ特徴を含むイメージ領域を示す図である。
図1b】レーザマーク特徴を含むイメージ領域を示す図である。
図2】発明的な方法の実施形態の高レベルプロセス流れ図である。
図3】形状補正した表面マップにおける大きいディンプルを示す図である。
図4】形状補正した表面マップにおけるスクラッチを示す図である。
図5】形状補正した表面マップにおけるエピタキシャルピン欠陥を示す図である。
図6】形状補正した表面マップにおけるエピタキシャルピンクロス及びスクラッチを示す図である。
図7】形状補正した表面マップにおけるウェーハエッジ滑り線を示す図である。
図8a】3つのエピタキシャルピンサポート位置を示す図である。
図8b】エピタキシャルピン特徴サーチ領域を示す図である。
図9a】フィルタされたイメージにおける強いエピタキシャルピン領域の検出を示す図である。
図9b】弱いエピタキシャルピン領域の検出及び定量化を例証する図である。
図10a】レーザマークバンプ検出及び定量化における課題を例証する図である。
図10b】レーザマークバンプに関するオブジェクト特徴領域を例証する図である。
図11】オブジェクトに基づく測定領域の自動定義を例証する図である。
図12】発明的な方法を実施するのに用いられてもよい例示的なコンピュータシステムを例証する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
既に組み込まれたHaiguang Chen他の米国特許出願第12/986,176号で説明されるように、局部的特徴メトリック(Localized Feature Metrics:LFM)で、ユーザは、関心ある特徴の測定領域を定義し、次いで、これらの領域によって画定されるイメージパッチ内の最大値及び最小値を計算する。これらの規則的領域から得られるメトリック値は、定義された領域において他の特徴が生じる場合に影響されることがある。この例は図1a及び図1bに示される。図1aでは、イメージ領域は、ユーザが定量化しようとしているディンプル100信号を含む。しかしながら、報告されるメトリック値は、イメージ領域における別の表面特徴であるスクラッチ線105からの信号によって影響され、これはディンプルの振幅の不正確な指標を生成するであろう。図1bで例証される別の例は、イメージ領域全体からの最大値及び最小値を用いる、レーザマーク115上の表面バンプ110の正確な測定が難しいことを示す。この領域には3つの特徴成分、すなわち、スクライブマーク又はレーザマーク115、ウェーハエッジ領域付近のエッジロールオフエフェクト、及びレーザマークバンプ110が存在する。本明細書に記載のオブジェクトに基づく概念は、関心ある特徴を正確に定量化するためにこれらの3つの成分からの寄与を分離する一助となる。
【0010】
本発明は、より正確な特徴に関連した情報を提供するために、サイトに基づくメトリックに加えて、関心ある特徴のオブジェクトに基づくメトリックの計算を実施することによって、LFMの性能を高める。
【0011】
本発明の一態様は、特徴のサイズ、特徴の極性、並びに特徴の幾何学的形状及び分布のようなパラメータに従う特徴の検出及び特徴タイプの分類である。検出及び分類が行われると、各特徴タイプは、対応する自動的に定義される特徴オブジェクト領域と関連付けられる。低い信号対雑音環境であっても特徴/バックグラウンドのコントラストを強調し、特徴の正確な検出を助けるために、特徴情報を前処理ステージにおいて効果的に用いることができる。結果として、はるかに感度の良い正確な特徴の測定をもたらすことができ、得られる測定値は、関心ある特徴により関連し、したがって、プロセス監視のためのより価値ある情報を提供することができる。本明細書で開示されるのは、オブジェクトに基づく計測方法の2つの特定の例示的な用途、すなわち、エピタキシャルピンと、レーザマークバンプである。これらの特徴の高い感度及び正確さを伴う定量化だけでなく自動検出も達成されている。この方法は、ディンプル、スクラッチ、滑り線、及びドーパント成長縞、エッジクラウン(エピタキシャル成長に起因するエッジ特徴付近の)のような半導体生産における多くの他のタイプの関心ある特徴にも適用可能である。このリストは例示的なものであって限定するものではないことに留意されたい。
【0012】
従来の方法は、矩形又はディスク形状の領域のような制限された規則的形状を有するユーザ定義ウェーハ領域を用いる。関心ある特徴に関するこれらの固定の測定領域を用いるときに、得られる測定値は、関心ある特徴への関連性をもたない、関心ある特徴の測定の感度及び正確さにしばしば影響を及ぼす、領域における他の表面特徴によって影響されることがある。加えて、測定領域の位置及びサイズの選択は、異なる特徴タイプに関する手動での最適化を必要とする。
【0013】
本発明の一実施形態では、種々のタイプの通常見受けられる特徴が、それらの目立った特性に従って定義される。特徴タイプ及びその対応する特性のライブラリが維持され、特徴キャラクタライゼーションが必要とされるときに呼び出される。特定の特徴タイプにそれぞれ最適化されているフィルタリングアルゴリズムのライブラリも維持される。特徴が識別されると、該特徴タイプに関する最適なフィルタリングアルゴリズムが実装される。例として、DOG(Difference of Gaussian(ガウシアン差分))又はLOG(Laplace of Gaussian(ラプラシアン・ガウシアン))バンドパスフィルタは、エピタキシャルピン特徴の特性に合致するように及びそれらのコントラストを強調するように設計することができる。スクラッチ及び滑り線特徴の検出感度を改善するために線強調フィルタを採用することができる。エッジクラウン特徴のより頑健な検出のために非周期的特徴を抑制するのに変換ドメイン周期的フィルタリングを用いることができる。
【0014】
図2は、発明的な方法の実施形態の高レベルプロセス流れ図である。
【0015】
ステップ200において、表面、裏面、厚さ、及び形状マップを含んでもよいウェーハ表面マップを選択すること、ボートマーク、ディンプル、エッジクラウン、エピタキシャルピン、スクラッチ、滑り線、及び成長縞(このリストは例示的なものであって制約するものではない)のような特徴を含んでもよい関心ある特徴を定義すること、及び特徴検出オプション、分類オプション、及びソーティングオプションを指定することを含む、オブジェクトに基づく計測レシピを作成する。関心ある特徴の特性を定義することは、ライブラリから検索されてもよいことに留意されたい。以下の表1は、幾つかの一般的な特徴タイプのうちの主要な特性を示す。
【0016】
ステップ205において、WaferSight2(KLA−Tencorによって製造され、K.Freischlad、S.Tang、及びJ.Grenfell、「Interferometry for wafer dimensional metrology」、Proceedings of SPIE、6672、1、(2007)で説明される)のようなデュアルフィゾー型干渉計ツールを用いてウェーハ表面干渉計データを取得する。表面干渉計データから、あらゆる必要とされる表面及び裏面高さマップ、並びにあらゆる必要とされる厚さ及び形状マップを計算する。より良好な検出及び定量化のために高い解像度(すなわち、ピクセルサイズ0.2mm以上の解像度)が必要とされる。ウェーハ形状特徴を補正してウェーハのより低周波数の成分を除去し及び特徴を強調する、例えばスクラッチの場合の破線セグメントを連結するために、フィルタリング動作を行うことができることに留意されたい。
【0017】
ステップ210において、ステップ200で識別された1つ又は複数の関心ある特徴を選択する。
【0018】
ステップ215において、ステップ210からの関心ある特徴のそれぞれの特徴タイプに関して最適化されたフィルタリングアルゴリズムを呼び出す。これらのフィルタリングアルゴリズムはフィルタバンクから取得されてもよい。
【0019】
ステップ220において、ステップ215のように最適化されたフィルタリングを選択し及び実施することによってステップ205の表面マップへの適正な表面処理を行う。各種の関心ある特徴に適用される最適化されたフィルタリングは、ランダムノイズ成分と構造化されたノイズ成分との両方を低減させるのに役立つことになり、したがって特徴コントラストを強調するであろう。結果として得られる各種の関心ある特徴の表面マップ(単数又は複数)は、オブジェクト指向のフィルタされた表面マップ(単数又は複数)と呼ばれるであろう。フィルタリングプロセスは、ユーザにより決定されるものとすることができる。幾つかの場合には、複数の特徴タイプに適用可能な単一のタイプのフィルタリングを用いることができ、次いで、それらの特性に従って特定の特徴が検索される。例えば、入力表面マップを処理して線構造体を強調し、且つランダムノイズ及び非線形構造体を抑制するために線強調フィルタを用いることができる。次いで、処理されたマップの中で、スクラッチ、滑り線、及びボートマークのような種々の線構造体を検索することができる。代替的に、フィルタリングプロセスは、多くの処理ステージからなることができる。フィルタリングスキームの構成は融通性があり、検出感度、メトリックの安定性、及び計算コストに従って最適化することができる。用いられてもよいフィルタリングのタイプの例は、DG(Double Gaussian(ダブルガウシアン))、DOG(Difference of Gaussian(ガウシアン差分))、LOG(Laplacian of Gaussian(ラプラシアン・ガウシアン))、LFEF(Line Feature Enhancement Filter(線特徴強調フィルタ))、PFEF(Period Feature Enhancement Filter(周期的特徴強調フィルタ))、DCBF(Discrete Cosine Based Filter(離散コサインに基づくフィルタ))を含むがこれらに限定されない。
【0020】
ステップ225において、オブジェクト指向のフィルタされた表面マップ(単数又は複数)上で自動特徴検出及び分類を行う。特徴は、信号強度、信号極性、特徴寸法、特徴形状、特徴分布、配向、及び度数分布情報のような特徴信号の特性で見られる上記のような特性の定義に基づいて検出される。
【0021】
ステップ230において、一般に不規則な形状を有することがある特徴オブジェクト領域を定義し、特徴オブジェクト境界のより局部的な且つより正確な定義を提供する。関心ある特徴の境界は、アルゴリズムにおける境界閾値定義に従って決定される。これらの境界閾値定義は、ユーザにより定義されてもよい。境界定義の例は、ユーザにより定義される最大強度百分率である可能性がある。特徴オブジェクト測定領域は、バックグラウンド判定及び特徴メトリック計算を最適化するために、検出される特徴を膨張又は拡大することによって融通性のあるものにされることにも留意されたい。
【0022】
ステップ235において、ステップ230に従って特徴オブジェクト領域において識別され及び突き止められる場合の、必要とされる特徴のメトリックを計算する。特徴オブジェクト領域が決定されると、米国特許出願第12/778,013号で説明される方法を含む種々の方法でメトリックが計算されてもよいことに留意されたい。特徴オブジェクト領域が正確に定義されれば、必要とされるメトリック(グループ化されたオブジェクトの大きさ、偏差、レンジ、エリア、並びに統計のような)をより確実に且つより正確に計算することができる。他の特徴が、識別された特徴オブジェクト領域を横断しないと仮定すれば、結果として得られるメトリックは、関心ある特徴オブジェクトにのみ依存するであろう。
【0023】
ステップ240において、ユーザにより決定されるソーティングオプションに従って特徴及び/又はウェーハをソートする。
【表1】
【0024】
前述の特徴タイプのうちの幾つかの例が図面に示される。
図3は、形状補正した表面マップにおける大きいディンプル300を示す。
図4は、形状補正した表面マップにおけるスクラッチ400を示す。
図5は、形状補正した表面マップにおけるエピタキシャルピン欠陥500を示す。
図6は、形状補正した表面マップにおけるエピタキシャルピンクロス600を示す。
図7は、形状補正した表面マップにおけるウェーハエッジ滑り線700を示す。
【0025】
本発明の方法の実施形態は、2つの例となる特徴、すなわち1)エピタキシャルピン及び2)レーザマークバンプ検出を用いてより詳細に例証されることになる。
【0026】
エピタキシャルピン欠陥
オブジェクトに基づく特徴メトリック計算方法の第1の適用例として、ウェーハ表面上のエピタキシャルピンが正確に検出され及び定量化されている。エピタキシャルピン欠陥は、エピタキシャル堆積プロセス中にウェーハ表面上に形成される。これらの欠陥は、図8aで例証されるように3つのエピタキシャルピンサポート位置800に位置する。一般に、3つのエピタキシャルピンサポート位置は、ウェーハ中心810から同じ半径805を有し、120度だけ分離される。エピタキシャルピン位置が既知である場合、3つの測定領域815を定義することができる。しかしながら、ウェーハがエピタキシャルプロセス中にノッチ位置合わせされない場合、エピタキシャルピン欠陥は、それらが依然として同じ半径805を有する場合であってもウェーハ上にあらゆる配向で現れることがある。この場合、特徴サーチ領域820が、エピタキシャルピン半径805をもつ輪として定義される。このケースは図8bで例証される。
【0027】
先に説明したステップ220及び225によれば、エピタキシャルピン検出に関してのオブジェクト指向のフィルタリングのタイプは、ガウシアン差分(DOG)フィルタリングである。取得したウェーハ表面マップをエピタキシャルピン検出のために最初に前処理するのに用いられるDOGフィルタは、典型的なエピタキシャルピン信号の周波数応答に合致したバンドパスフィルタリングを提供するように設計される。DOGフィルタを用いて、イメージのバックグラウンド及び高周波数ノイズ成分を効果的に除去し、これにより、エピタキシャルピンコントラストを強調することができる。DOGフィルタリングは、http://en.wikipedia.org/wiki/Difference_of_Gaussiansで説明される。
【0028】
次に候補欠陥が、それらの信号振幅及びサイズに基づいて検出される。先に説明したステップ230によれば、欠陥サイズ、欠陥振幅、及び欠陥位置に関するデータを用いて最良のエピタキシャルピン構成を最適化することによってエピタキシャルピン欠陥が選択される。エピタキシャルピン信号に関する情報は良好に特徴付けられるので、この情報は、良好な検出感度及び低い偽陽率を得るのに用いられている。図9aは、フィルタされたイメージ905における強いエピタキシャルピン領域900の検出を示す。次に、ステップ235のように、エピタキシャルピン領域900のオブジェクト領域が正確に定義される。領域は、矩形又はディスク形状であってもよく、欠陥重心を中心とする。最後に、ステップ240のように、エピタキシャルピン領域900に関するメトリック値が、近隣領域における他の表面特徴からの干渉を伴う状態で、定義されたオブジェクト特徴領域に基づいて計算される。図9bは、弱いエピタキシャルピン領域905の検出及び定量化を例証する。
【0029】
オブジェクトに基づく特徴メトリック計算方法の第2の適用例として、ウェーハ表面上のレーザマークバンプが正確に検出され及び定量化されている。図10aは、レーザマークバンプの検出及び定量化における課題を例証する。レーザマーク領域は、レーザマークキャラクタ1000からの大きい信号変化及びウェーハエッジ1005における鋭い遷移をもたらす。これらは、レーザマークバンプ1010の近傍にあり、ウェーハ内部領域に位置する多くの他の表面特徴よりもレーザマークバンプ1010の正確且つ信頼できる定量化をより困難なものにする。
【0030】
上記で概説される場合のオブジェクトに基づく計測方法を用いれば、オブジェクトサイズ、信号強度、及び極性を用いてレーザマークバンプ1010を自動的に識別することができる。レーザマークバンプのケースでは、表面形状成分を除去し及びレーザマークバンプの低周波数成分を保つために、LFMで用いられる場合の、より低次の表面フィッティングが用いられる。信号振幅、領域、及び周波数に従ってバンプ特徴オブジェクトが検出される。オブジェクトにおけるあらゆる小さい観測された穴を埋めるのにモルフォロジー演算のクロージング処理を用いることができ、次いで、オブジェクト領域境界を形成するのにモルフォロジー演算の膨張処理が用いられる。対応するオブジェクト特徴領域1015が図10bに示すように定義される。レーザマークキャラクタ1000からの特徴はレーザマークバンプとして報告されないであろう。次いで、プロセス開発及び制御のための、より関連性あるバンプ情報を提供するために、レーザマークバンプの振幅及びそのサイズを計算することができる。この例では、オブジェクトを識別するのにオブジェクトサイズ、信号強度、及び極性だけが用いられる。より一般的なケースでは、より拡張された解析を行い、正確なオブジェクト識別及び計量測定を助けるために、オブジェクトの場所及び幾何学的形状のような他の情報を用いることができる。
【0031】
図11は、オブジェクトに基づく測定領域を定義することを例証する。オブジェクト測定領域は、「ビューファインダ」における領域、すなわち、測定領域内の特徴が測定され及び定量化されているときに検出され及び測定される領域である。特徴オブジェクト領域は、特徴特性定義に合う特徴オブジェクトピクセルからなる。オブジェクト測定領域は、局部バックグラウンドレベル推定のためにオブジェクトピクセルを膨張させることによって作成される。結果として、オブジェクト領域は、オブジェクト測定領域の常に内部にある。オブジェクト測定領域の形状及びエリアは、特徴オブジェクトの形状及びこれに対して行われる膨張処理によって決定される。
【0032】
オブジェクトが最初に識別されるので、特徴の形状に応じて融通性のある形状をもつ、より正確な測定領域を定義することができる。図11に示される測定領域1100の1つの可能な定義は、特徴オブジェクト1105を自動的に膨張させることである。この利点は、近隣バックグラウンドレベル判定の改善に関するものである。特徴メトリック値の計算は局部バックグラウンドレベルに部分的に基づくので、測定領域において検出されるオブジェクトピクセルを形状補正及びバックグラウンドレベル推定の計算から除外し、より正確な特徴メトリック結果を導出することができる。
【0033】
システムの考慮事項
発明的な方法又はその一部は、コンピュータで実施されてもよい。図12で例証されるコンピュータシステムは、プロセッサ1200(例えば、プロセッサコア、マイクロプロセッサ、コンピューティングデバイスなど)と、バス1210を介して互いに通信するメインメモリ1207及びスタティックメモリ1208を含んでもよいメモリ1205とを含んでもよい。機械は、タッチスクリーン、又は液晶ディスプレイ(LCD)、又は発光ダイオード(LED)ディスプレイ、若しくは陰極線管(CRT)を備えてもよいディスプレイユニット1215をさらに含んでもよい。図示されるように、コンピュータシステムはまた、人による入力/出力(I/O)デバイス1220(例えば、キーボード、英数字キーパッドなど)、ポインティングデバイス1225(例えば、マウス、タッチスクリーンなど)、ドライブユニット1230(例えば、ディスクドライブユニット、CD/DVDドライブ、有形コンピュータ可読リムーバブルメディアドライブ、SSDストレージデバイスなど)、信号生成デバイス1235(例えば、スピーカ、オーディオ出力など)、及びネットワークインターフェースデバイス1240(例えば、イーサネット(登録商標)インターフェース、配線ネットワークインターフェース、無線ネットワークインターフェース、伝搬信号インターフェースなど)を含んでもよい。
【0034】
ドライブユニット1230は、前述の方法論のうちのいずれか1つ又はすべてを具体化する命令セット(すなわち、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェアなど)を格納する機械可読媒体を含んでもよい。命令セットはまた、メインメモリ1207内に及び/又はプロセッサ1200内に完全に又は少なくとも部分的に存在するように示される。命令セットはさらに、ネットワークインターフェースデバイス1240を介してネットワークバス1245を経由してネットワーク1250との間で伝送され又は受信されてもよい。
【0035】
本発明の実施形態は、幾つかの形態のプロセッシングコア(コンピュータのCPUのような)上で実行される若しくは機械可読又はコンピュータ可読媒体上で又はこの内部で他の方法で実装され又は実現される命令セットとして用いられ又はこれをサポートしてもよいことが理解される。機械可読媒体は、機械(例えばコンピュータ)で読み出し可能な形態の情報を格納し又は伝送するためのあらゆる機構を含む。例えば、機械可読媒体は、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音響、又は他の形態の伝搬される信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)、若しくは情報を格納し又は伝送するのに適したあらゆる他のタイプのメディアを含む。
【0036】
単なる例として、本発明は、1つのLFMパッケージのMatlabを用いて実施されており、1つの計測ツールに対してC++を用いて実施されている。これはまた、他のプログラミング言語を用いて並びに他の表面計測ツール及びシステムで実施することができることに留意されたい。
【0037】
本明細書で開示される方法及びシステムは、次元計測ツール上の重要な表面特徴の自動検出及び定量化を提供する。
【0038】
本明細書で開示されるオブジェクトに基づくメトリック方法は、表1で例示されるようにそれらの特性がそれらを正確に識別し及び測定領域を定義するのに用いることができるときに、多くの他のタイプの特徴に適用することができる。これらの特徴は、最適化されたデータ処理を提供する、及び正確且つ安定した特徴検出及び定量化を得るために用いることができる。例えば、スクラッチ及び滑り線特徴に関して、破線セグメントを連結する及び線コントラストを強調するように具体的に設計されたアルゴリズムが、表面イメージを処理するのに用いられてもよい。極性イメージ空間内の及び変換された周波数ドメイン内のこれらのエッジクラウン特徴の角度の周期的分布を用いることによって、エッジクラウン信号を効果的に増強することができ、この場合、信号成分は位置合わせされ及び増強され、非周期的表面特徴は抑制される。
【0039】
自動的に定義される測定領域から、最大値、最小値、及び対応するピクセル位置のようなピクセル値に基づく従来の表面メトリック値に加えて、他の有用な測定情報も計算することができる。例えば、WaferSightツールによるプロセス監視及び開発などのためのより有用な情報を提供することになる、オブジェクト形状、オブジェクトサイズ、オブジェクトテクスチャ、オブジェクト空間分布、及びオブジェクト関連性が計算されてもよい。
【0040】
本発明は、本明細書で開示された正確な実施形態に限定されることを期待されない。発明概念から逸脱することなく変更及び修正を加えてもよいことが当業者には分かるであろう。本発明の範囲は、請求項に照らして解釈されるべきである。
図1a
図1b
図2
図5
図8a
図12
図3
図4
図6
図7
図8b
図9a
図9b
図10a
図10b
図11