(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
表面処理銅箔を表面処理層側からプリント配線板用樹脂基材に貼り合わせ、前記表面処理銅箔を除去したとき、前記樹脂基材の前記銅箔除去側表面の黒色面積率が10〜50%であり、且つ、前記樹脂基材の前記銅箔除去側表面の穴の直径平均値が0.03〜1.0μmとなる請求項1又は2に記載の表面処理銅箔。
前記粗化処理層が、銅、ニッケル、コバルト、リン、タングステン、ヒ素、モリブデン、クロム及び亜鉛からなる群から選択されたいずれかの単体又はいずれか1種以上を含む合金からなる層である請求項5に記載の表面処理銅箔。
キャリアと、キャリアの一方又は両方の表面に積層された中間層と、キャリアの一方又は両方の表面に積層された中間層上に積層された厚み12μm以下の極薄銅層とを備えたキャリア付銅箔であって、前記極薄銅層の一方又は両方が請求項1〜12のいずれか一項に記載の表面処理銅箔であるキャリア付銅箔。
【発明を実施するための形態】
【0031】
〔表面処理銅箔〕
本発明に係る表面処理銅箔において使用する銅箔は、電解銅箔或いは圧延銅箔いずれでもよい。本発明において使用する銅箔の厚みは特に限定する必要は無いが、例えば1μm以上、2μm以上、3μm以上、5μm以上であり、例えば3000μm以下、1500μm以下、800μm以下、300μm以下、150μm以下、100μm以下、70μm以下、50μm以下、40μm以下である。
【0032】
本発明で使用する圧延銅箔にはAg、Sn、In、Ti、Zn、Zr、Fe、P、Ni、Si、Te、Cr、Nb、V、B、Co等の元素を一種以上含む銅合金箔も含まれる。上記元素の濃度が高くなる(例えば合計で10質量%以上)と、導電率が低下する場合がある。圧延銅箔の導電率は、好ましくは50%IACS以上、より好ましくは60%IACS以上、更に好ましくは80%IACS以上である。また、圧延銅箔にはタフピッチ銅(JIS H3100 C1100)や無酸素銅(JIS H3100 C1020)を用いて製造した銅箔も含まれる。なお、本明細書において用語「銅箔」を単独で用いたときには銅合金箔も含むものとする。
【0033】
また、本発明に用いることができる電解銅箔については、以下の製造条件で作製することができる。
・一般電解生箔:
<電解液組成>
銅:80〜120g/L
硫酸:80〜120g/L
塩素:30〜100ppm
レベリング剤(ニカワ):0.1〜10ppm
・両面フラット電解生箔、キャリア付極薄銅箔のキャリア銅箔:
<電解液組成>
銅:80〜120g/L
硫酸:80〜120g/L
塩素:30〜100ppm
レベリング剤1(ビス(3スルホプロピル)ジスルフィド):10〜30ppm
レベリング剤2(アミン化合物):10〜30ppm
上記のアミン化合物には以下の化学式のアミン化合物を用いることができる。
【0034】
(上記化学式中、R
1及びR
2はヒドロキシアルキル基、エーテル基、アリール基、芳香族置換アルキル基、不飽和炭化水素基、アルキル基からなる一群から選ばれるものである。)
【0035】
<製造条件>
電流密度:70〜100A/dm
2
電解液温度:50〜65℃
電解液線速:1.5〜5m/sec
電解時間:0.5〜10分間(析出させる銅厚、電流密度により調整)
【0036】
粗化処理として銅−コバルト−ニッケル合金めっき、銅−ニッケル−リン合金めっき、銅−ニッケル−タングステン合金めっき、銅−コバルト−タングステン合金めっきなどの合金めっき、より好ましくは銅合金めっきを用いることができる。粗化処理としての銅−コバルト−ニッケル合金めっきは、電解めっきにより、付着量が15〜40mg/dm
2の銅−100〜3000μg/dm
2のコバルト−100〜1500μg/dm
2のニッケルであるような3元系合金層を形成するように実施することができる。Co付着量が100μg/dm
2未満では、耐熱性が悪化し、エッチング性が悪くなることがある。Co付着量が3000μg/dm
2 を超えると、磁性の影響を考慮せねばならない場合には好ましくなく、エッチングシミが生じ、また、耐酸性及び耐薬品性の悪化がすることがある。Ni付着量が100μg/dm
2未満であると、耐熱性が悪くなることがある。他方、Ni付着量が1500μg/dm
2を超えると、エッチング残が多くなることがある。好ましいCo付着量は1000〜2500μg/dm
2であり、好ましいニッケル付着量は500〜1200μg/dm
2である。ここで、エッチングシミとは、塩化銅でエッチングした場合、Coが溶解せずに残ってしまうことを意味しそしてエッチング残とは塩化アンモニウムでアルカリエッチングした場合、Niが溶解せずに残ってしまうことを意味するものである。
【0037】
このような3元系銅−コバルト−ニッケル合金めっきを形成するためのめっき浴及びめっき条件は次の通りである:
めっき浴組成:Cu10〜20g/L、Co1〜10g/L、Ni1〜10g/L
pH:1〜4
温度:30〜50℃
電流密度D
k:20〜30A/dm
2
めっき時間:1〜5秒
めっき終了後の同めっき液浸漬時間:20秒以下(20秒よりも長く浸漬すると粒子形状が乱れるため)、好ましくは10秒以下、より好ましくは5秒以下
前記めっき終了後は、通常であれば特に急いでめっき液から取り出すことは無いが、本発明では、当該めっき終了後、所定の時間内にめっき液から取り出す必要がある。このため、上記のように前記めっき終了後の同めっき液浸漬時間を20秒以下としている。当該浸漬時間が、20秒を超えて浸漬してしまうと、めっき液により粗化粒子の一部が溶解している可能性がある。当該粗化粒子の一部の溶解が、粒子形状の乱れの原因の一つとなると考えられる。
前記めっき終了後の同めっき液浸漬時間を10秒以下、あるいは5秒以下と短くすることで、粒子形状をより乱れにくくすることができるため有効である。
なお、銅−コバルト−ニッケル合金めっきと同様に、銅−コバルト−ニッケル合金めっき以外の合金めっきもめっき終了後の同めっき液浸漬時間を20秒以下(20秒よりも長く浸漬すると粒子形状が乱れるため)、好ましくは10秒以下、より好ましくは5秒以下に制御することが重要である。当該浸漬時間が、20秒を超えて浸漬してしまうと、めっき液により粗化粒子の一部が溶解している可能性がある。当該粗化粒子の一部の溶解が、粒子形状の乱れの原因の一つとなると考えられる。銅−コバルト−ニッケル合金めっき以外の合金めっきのpH、温度、電流密度、めっき時間は公知の条件を用いることができる。
前記めっき終了後の同めっき液浸漬時間を10秒以下、あるいは5秒以下と短くすることで、粒子形状をより乱れにくくすることができるため有効である。
また、表面処理として以下の粗化処理としての銅めっきを行うことも良い。以下の粗化処理としての銅めっきにより形成される表面処理層は銅濃度が高く、大部分が銅で構成される粗化処理層(めっき層)となる。銅濃度が高い、粗化処理層(めっき層)はメッキ液に溶けにくいという特徴がある。以下の粗化処理としての銅めっきは銅めっき1、銅めっき2の順に行う。
・銅めっき1
(液組成1)
Cu濃度:10〜30g/L
H
2SO
4濃度:50〜150g/L
タングステン濃度:0.5〜50mg/L
ドデシル硫酸ナトリウム: 0.5〜50mg/L
(電気めっき条件1)
温度: 30〜70℃
(一段目電流条件)
電流密度: 18〜70A/dm
2
粗化クーロン量: 1.8〜1000A/dm
2好ましくは1.8〜500A/dm
2
めっき時間: 0.1〜20秒
(二段目電流条件)
電流密度: 0.5〜13A/dm
2
粗化クーロン量: 0.05〜1000A/dm
2好ましくは0.05〜500A/dm
2
めっき時間: 0.1〜20秒
なお、一段目と二段目を繰り返してもよい。また、一段目を1回または複数回行った後、二段目を1回または複数回行ってもよい。また、一段目を1回または複数回行った後、二段目を1回または複数回行うことを繰り返してもよい。
・銅めっき2
(液組成2)
Cu濃度:20〜80g/L
H
2SO
4濃度:50〜200g/L
(電気めっき条件2)
温度: 30〜70℃
(電流条件)
電流密度: 5〜50A/dm
2
粗化クーロン量: 50〜300A/dm
2
めっき時間: 1〜60秒
また、銅箔上に前述の銅−コバルト−ニッケル合金めっきなどの合金めっきと前述の銅めっきを組み合わせて行ってもよい。銅箔上に前述の銅めっきを行った後に、前述の合金めっきを行うことが好ましい。
【0038】
本発明において、銅箔上に形成する表面処理層は、粗化処理層であってもよい。粗化処理は、通常、銅箔の、樹脂基板と接着する面、即ち表面処理側の表面に積層後の銅箔の引き剥し強さを向上させることを目的として、脱脂後の銅箔の表面にふしこぶ状の電着を形成する処理を云う。電解銅箔は製造時点で凹凸を有しているが、粗化処理により電解銅箔の凸部を増強して凹凸を一層大きくすることができる。粗化処理は、例えば、銅又は銅合金で粗化粒子を形成することにより行うことができる。粗化処理は微細なものであっても良い。粗化処理層は、銅、ニッケル、コバルト、リン、タングステン、ヒ素、モリブデン、クロム及び亜鉛からなる群から選択されたいずれかの単体又はいずれか1種以上を含む合金からなる層などであってもよい。また、銅又は銅合金で粗化粒子を形成した後、更にニッケル、コバルト、銅、亜鉛の単体または合金等で二次粒子や三次粒子を設ける粗化処理を行うこともできる。また、粗化処理層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を形成してもよい。
【0039】
また、本発明において銅箔上に形成する表面処理層は、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層であってもよい。
耐熱層、防錆層としては公知の耐熱層、防錆層を用いることが出来る。例えば、耐熱層および/または防錆層はニッケル、亜鉛、錫、コバルト、モリブデン、銅、タングステン、リン、ヒ素、クロム、バナジウム、チタン、アルミニウム、金、銀、白金族元素、鉄、タンタルの群から選ばれる1種以上の元素を含む層であってもよく、ニッケル、亜鉛、錫、コバルト、モリブデン、銅、タングステン、リン、ヒ素、クロム、バナジウム、チタン、アルミニウム、金、銀、白金族元素、鉄、タンタルの群から選ばれる1種以上の元素からなる金属層または合金層であってもよい。また、耐熱層および/または防錆層はニッケル、亜鉛、錫、コバルト、モリブデン、銅、タングステン、リン、ヒ素、クロム、バナジウム、チタン、アルミニウム、金、銀、白金族元素、鉄、タンタルの群から選ばれる1種以上の元素を含む酸化物、窒化物、珪化物を含んでもよい。また、耐熱層および/または防錆層はニッケル−亜鉛合金を含む層であってもよい。また、耐熱層および/または防錆層はニッケル−亜鉛合金層であってもよい。前記ニッケル−亜鉛合金層は、不可避不純物を除き、ニッケルを50wt%〜99wt%、亜鉛を50wt%〜1wt%含有するものであってもよい。前記ニッケル−亜鉛合金層の亜鉛及びニッケルの合計付着量が5〜1000mg/m
2、好ましくは10〜500mg/m
2、好ましくは20〜100mg/m
2であってもよい。また、前記ニッケル−亜鉛合金を含む層または前記ニッケル−亜鉛合金層のニッケルの付着量と亜鉛の付着量との比(=ニッケルの付着量/亜鉛の付着量)が1.5〜10であることが好ましい。また、前記ニッケル−亜鉛合金を含む層または前記ニッケル−亜鉛合金層のニッケルの付着量は0.5mg/m
2〜500mg/m
2であることが好ましく、1mg/m
2〜50mg/m
2であることがより好ましい。耐熱層および/または防錆層がニッケル−亜鉛合金を含む層である場合、スルーホールやビアホール等の内壁部がデスミア液と接触したときに銅箔と樹脂基板との界面がデスミア液に浸食されにくく、銅箔と樹脂基板との密着性が向上する。
【0040】
例えば耐熱層および/または防錆層は、付着量が1mg/m
2〜100mg/m
2、好ましくは5mg/m
2〜50mg/m
2のニッケルまたはニッケル合金層と、付着量が1mg/m
2〜80mg/m
2、好ましくは5mg/m
2〜40mg/m
2のスズ層とを順次積層したものであってもよく、前記ニッケル合金層はニッケル−モリブデン、ニッケル−亜鉛、ニッケル−モリブデン−コバルトのいずれか一種により構成されてもよい。また、耐熱層および/または防錆層は、ニッケルまたはニッケル合金とスズとの合計付着量が2mg/m
2〜150mg/m
2であることが好ましく、10mg/m
2〜70mg/m
2であることがより好ましい。また、耐熱層および/または防錆層は、[ニッケルまたはニッケル合金中のニッケル付着量]/[スズ付着量]=0.25〜10であることが好ましく、0.33〜3であることがより好ましい。当該耐熱層および/または防錆層を用いるとキャリア付銅箔をプリント配線板に加工して以降の回路の引き剥がし強さ、当該引き剥がし強さの耐薬品性劣化率等が良好になる。
【0041】
なお、シランカップリング処理に用いられるシランカップリング剤には公知のシランカップリング剤を用いてよく、例えばアミノ系シランカップリング剤又はエポキシ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤を用いてよい。また、シランカップリング剤にはビニルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、4−グリシジルブチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)プトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を用いてもよい。
【0042】
前記シランカップリング処理層は、エポキシ系シラン、アミノ系シラン、メタクリロキシ系シラン、メルカプト系シランなどのシランカップリング剤などを使用して形成してもよい。なお、このようなシランカップリング剤は、2種以上混合して使用してもよい。中でも、アミノ系シランカップリング剤又はエポキシ系シランカップリング剤を用いて形成したものであることが好ましい。
【0043】
ここで言うアミノ系シランカップリング剤とは、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル−3−アミノプロピル)トリス(2−エチルヘキソキシ)シラン、6−(アミノヘキシルアミノプロピル)トリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−(1−アミノプロポキシ)−3,3−ジメチル−1−プロペニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ω−アミノウンデシルトリメトキシシラン、3−(2−N−ベンジルアミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、(N,N−ジメチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)プトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシランからなる群から選択されるものであってもよい。
【0044】
シランカップリング処理層は、ケイ素原子換算で、0.05mg/m
2〜200mg/m
2、好ましくは0.15mg/m
2〜20mg/m
2、好ましくは0.3mg/m
2〜2.0mg/m
2の範囲で設けられていることが望ましい。前述の範囲の場合、基材と表面処理銅箔との密着性をより向上させることが出来る。
【0045】
〔面粗さSz〕
SAP工法において、従来、回路を形成する基材表面のプロファイル形状を定量化する方法として、接触式粗さ計を用いた粗度測定が一般的であった。これに対し、本発明では、レーザー粗さ測定計で測定される面粗さSzが適性範囲に規定された基材表面のプロファイル形状が、より良好に微細配線形成性を維持し、且つ、無電解銅めっき皮膜の良好な密着力を実現することを見出した。このような観点から、本発明に係る表面処理銅箔は、表面処理層表面の面粗さSzが2〜6μmに制御されている。表面処理層表面の面粗さSzが2〜6μmに制御されていることにより、当該表面処理銅箔を表面処理層側から基材に貼り合わせて、表面処理銅箔を除去した後の基材の、銅箔除去側表面の面粗さSzが1〜5μmとなる。表面処理銅箔の表面処理層表面の面粗さSzが2μm未満であると、当該表面処理銅箔を表面処理層側から基材に貼り合わせて、表面処理銅箔を除去した後の基材の、銅箔除去側表面の面粗さSzが1μm未満となり、無電解銅めっき皮膜の良好な密着力の実現が困難となる。また、表面処理銅箔の表面処理層表面の面粗さSzが6μm超であると、当該表面処理銅箔を表面処理層側から基材に貼り合わせて、表面処理銅箔を除去した後の基材の、銅箔除去側表面の面粗さSzが5μm超となり、微細配線形成性が劣化する。本発明に係る表面処理銅箔の表面処理層表面の面粗さSzは好ましくは2〜5.5μm、より好ましくは2.5〜5.5μm、更により好ましくは3〜5μmである。本発明に係る上記表面処理銅箔を除去した後の基材表面の面粗さSzは好ましくは1〜4μm、より好ましくは1.5〜3.5μm、更により好ましくは2〜3μmである。
【0046】
〔面積比B/A〕
表面処理銅箔の表面処理側の表面の三次元表面積Bと二次元表面積Aとの比B/Aは、当該表面処理銅箔を表面処理層側から基材に貼り合わせて、表面処理銅箔を除去した後の基材の表面のプロファイル形状に大いに影響を及ぼす。このような観点から、本発明に係る表面処理銅箔は、表面処理層表面の三次元表面積Bと二次元表面積Aとの比B/Aが1.05〜1.8に制御されているのが好ましい。ここで、表面処理側の表面の三次元表面積Bと二次元表面積Aとの比B/Aは、例えば当該表面が粗化処理されている場合、粗化粒子の表面積Bと、銅箔を銅箔表面側から平面視したときに得られる面積Aとの比B/Aとも云うことができる。表面処理銅箔の表面処理側の表面の三次元表面積Bと二次元表面積Aとの比B/Aが1.05〜1.8に制御されていることにより、当該表面処理銅箔を表面処理層側から基材に貼り合わせて、表面処理銅箔を除去した後の基材の、銅箔除去側表面の三次元表面積Bと二次元表面積Aとの比B/Aが1.01〜1.5となる。表面処理銅箔の表面処理側の表面の三次元表面積Bと二次元表面積Aとの比B/Aが1.05未満であると、当該表面処理銅箔を表面処理層側から基材に貼り合わせて、表面処理銅箔を除去した後の基材の、銅箔除去側表面の三次元表面積Bと二次元表面積Aとの比B/Aが1.01未満となり、無電解銅めっき皮膜の良好な密着力の実現が困難となる。また、表面処理銅箔の表面処理側の表面の三次元表面積Bと二次元表面積Aとの比B/Aが1.8超であると、当該表面処理銅箔を表面処理層側から基材に貼り合わせて、表面処理銅箔を除去した後の基材の、銅箔除去側表面の三次元表面積Bと二次元表面積Aとの比B/Aが1.5超となり、微細配線形成性が劣化する。本発明に係る表面処理銅箔の表面処理層表面の三次元表面積Bと二次元表面積Aとの比B/Aは好ましくは1.10〜1.75、より好ましくは1.14〜1.71、更により好ましくは1.18〜1.67である。本発明に係る上記表面処理銅箔を除去した後の基材表面の三次元表面積Bと二次元表面積Aとの比B/Aは好ましくは1.03〜1.4、より好ましくは1.05〜1.35、更により好ましくは1.1〜1.3である。
【0047】
〔黒色面積率及び穴の直径平均値〕
基材表面の凹凸の程度をSEM観察写真から得られる黒色面積率で示したとき、当該黒色面積率を所定の範囲で有する基材の表面のプロファイル形状は、微細配線形成性が良好で、且つ、無電解銅めっき皮膜の良好な密着力を実現する。このような観点から、本発明に係る表面処理銅箔は、表面処理層側から基材に貼り合わせ、表面処理銅箔を除去したとき、基材の銅箔除去側表面の黒色面積率が10〜50%となるように制御されているのが好ましい。ここで、黒色面積率として、基材表面のSEM像(30k倍)について、Photo Shop 7.0ソフトウェアを使用し、白色・黒色画像処理を施し、当該黒色領域の面積率(%)を求めた。黒色面積率(%)は、Photo Shop 7.0にある「イメージ」の「ヒストグラム」を選定し、閾値128における比率とした。なお、黒色領域は測定表面が凹状、白色部は測定表面が凸状になっていることを示す。基材表面の当該黒色面積率が10%未満であると、無電解銅めっき皮膜の良好な密着力の実現が困難となる。基材表面の当該黒色面積率が50%超であると、微細配線形成性が劣化する。
【0048】
黒色面積比率と同時に、表面の穴の直径平均値を所定の範囲で有する樹脂基材の表面のプロファイル形状は、微細配線形成性が良好で、且つ、無電解銅めっき皮膜の良好な密着力を実現するための必要条件である。その理由は、黒色面積比率だけではプロファイルのサイズとその平面上の適切な分布を満足しないためである。このような観点から、本発明に係る樹脂基材表面の穴の直径平均値が0.03〜1.0μmとなるように制御されている。樹脂基材表面の当該穴の直径平均値が0.03μm未満であると、無電解銅めっき皮膜の良好な密着力の実現が困難となる。樹脂基材表面の当該穴の直径平均値が1.0μm超であると、微細配線形成性が劣化する。
【0049】
このように、本発明に係る樹脂基材は、基材表面の当該黒色面積比率が10〜50%であり且つ当該穴の直径平均値が0.03〜1.0μmであるのが好ましく、黒色面積比率が15〜45%であり且つ穴の直径平均値が0.1〜0.8μmであるのがより好ましく、黒色面積比率が20〜40%であり且つ穴の直径平均値が0.15〜0.7μmであるのが更により好ましい。
【0050】
粗化粒子形成時などの表面処理時に表面処理の電流密度と表面処理終了後のメッキ液中の浸漬時間とを制御することで、表面処理後の銅箔の表面状態や粗化粒子の形態や形成密度が決まり、上記面粗さSz、面積比B/A、黒色面積率、及び、穴の直径平均値を制御することができる。
具体的には、粗化粒子形成時などの表面処理時に、表面処理の電流密度を高く制御して表面処理を行い、続いて表面処理の電流密度を低く制御して表面処理を行うことで、表面処理後の銅箔の表面状態や粗化粒子の形態や形成密度が決まり、上記面粗さSz、面積比B/A、黒色面積率、及び、穴の直径平均値を制御することができる。また、表面処理の電流密度を高く制御して表面処理を行い、続いて表面処理の電流密度を低く制御して表面処理を行うことを繰り返し行うことも有効である。
ここで、粗化粒子形成時などの表面処理時に表面処理の電流密度を高くすると、析出する金属粒子が、銅箔の表面に対して垂直方向に成長しやすい傾向にある。また、粗化粒子形成時などの表面処理時に表面処理の電流密度を低くすると、銅箔表面が平滑(凹凸が少なくなる)になりやすい傾向にある。
そのため、表面処理の電流密度を高く制御して表面処理を行い、続いて表面処理の電流密度を低く制御して表面処理を行うことは、金属粒子を銅箔表面と垂直方向に成長させた後に、前記金属粒子と銅箔表面の凹凸を埋めて平滑にするという表面状態の制御することであると考えられる。
また、銅箔の表面処理層がめっき液に溶けやすい場合、表面処理銅箔の表面形態に及ぼす、表面処理終了後のめっき液中の浸漬時間の影響がより大きくなる傾向がある。
【0051】
〔キャリア付銅箔〕
本発明のキャリア付銅箔は、キャリアと、キャリア上に積層された中間層と、中間層上に積層された極薄銅層とを備える。
【0052】
<キャリア>
本発明に用いることのできるキャリアは典型的には金属箔または樹脂フィルムであり、例えば銅箔、銅合金箔、ニッケル箔、ニッケル合金箔、鉄箔、鉄合金箔、ステンレス箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、絶縁樹脂フィルム(例えばポリイミドフィルム、液晶ポリマー(LCP)フィルム、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、フッ素樹脂フィルム等)の形態で提供される。
本発明に用いることのできるキャリアとしては銅箔を使用することが好ましい。銅箔は電気伝導度が高いため、その後の中間層、極薄銅層の形成が容易となるからである。キャリアは典型的には圧延銅箔や電解銅箔の形態で提供される。一般的には、電解銅箔は硫酸銅めっき浴からチタンやステンレスのドラム上に銅を電解析出して製造され、圧延銅箔は圧延ロールによる塑性加工と熱処理を繰り返して製造される。銅箔の材料としてはタフピッチ銅や無酸素銅といった高純度の銅の他、例えばSn入り銅、Ag入り銅、Cr、Zr又はMg等を添加した銅合金、Ni及びSi等を添加したコルソン系銅合金のような銅合金も使用可能である。
【0053】
本発明に用いることのできるキャリアの厚さについても特に制限はないが、キャリアとしての役目を果たす上で適した厚さに適宜調節すればよく、例えば12μm以上とすることができる。但し、厚すぎると生産コストが高くなるので一般には35μm以下とするのが好ましい。従って、キャリアの厚みは典型的には12〜70μmであり、より典型的には18〜35μmである。
【0054】
<中間層>
キャリア上には中間層を設ける。本発明で用いる中間層は、キャリア付銅箔が絶縁基板への積層工程前にはキャリアから極薄銅層が剥離し難い一方で、絶縁基板への積層工程後にはキャリアから極薄銅層が剥離可能となるような構成であれば特に限定されない。例えば、本発明のキャリア付銅箔の中間層はCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Zn、これらの合金、これらの水和物、これらの酸化物、有機物からなる群から選択される一種又は二種以上を含んでも良い。また、中間層は複数の層であっても良い。
また、例えば、中間層はキャリア側からCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種の元素からなる単一金属層、或いは、Cr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種又は二種以上の元素からなる合金層を形成し、その上にCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種又は二種以上の元素の水和物または酸化物からなる層を形成することで構成することができる。
また、例えば、中間層は、キャリア上に、ニッケル、ニッケル−リン合金又はニッケル−コバルト合金と、クロムとがこの順で積層されて構成することができる。ニッケルと銅との接着力はクロムと銅の接着力よりも高いので、極薄銅層を剥離する際に、極薄銅層とクロムとの界面で剥離するようになる。また、中間層のニッケルにはキャリアから銅成分が極薄銅層へと拡散していくのを防ぐバリア効果が期待される。中間層におけるニッケルの付着量は好ましくは100μg/dm
2以上40000μg/dm
2以下、より好ましくは100μg/dm
2以上4000μg/dm
2以下、より好ましくは100μg/dm
2以上2500μg/dm
2以下、より好ましくは100μg/dm
2以上1000μg/dm
2未満であり、中間層におけるクロムの付着量は5μg/dm
2以上100μg/dm
2以下であることが好ましい。中間層を片面にのみ設ける場合、キャリアの反対面にはNiめっき層などの防錆層を設けることが好ましい。
【0055】
<極薄銅層>
中間層の上には極薄銅層を設ける。当該極薄銅層は、本発明の表面処理銅箔である。極薄銅層の厚みは特に制限はないが、一般的にはキャリアよりも薄く、例えば12μm以下である。典型的には0.5〜12μmであり、より典型的には1.5〜5μmである。また、中間層の上に極薄銅層を設ける前に、極薄銅層のピンホールを低減させるために銅−リン合金によるストライクめっきを行ってもよい。ストライクめっきにはピロリン酸銅めっき液などが挙げられる。
【0056】
〔表面処理層上の樹脂層〕
本発明の表面処理銅箔の表面処理層の上に樹脂層を備えても良い。前記樹脂層は絶縁樹脂層であってもよい。
【0057】
前記樹脂層は接着剤であってもよく、接着用の半硬化状態(Bステージ状態)の絶縁樹脂層であってもよい。半硬化状態(Bステージ状態)とは、その表面に指で触れても粘着感はなく、該絶縁樹脂層を重ね合わせて保管することができ、更に加熱処理を受けると硬化反応が起こる状態のことを含む。
【0058】
また前記樹脂層は熱硬化性樹脂を含んでもよく、熱可塑性樹脂であってもよい。また、前記樹脂層は熱可塑性樹脂を含んでもよい。その種類は格別限定されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、多官能性シアン酸エステル化合物、マレイミド化合物、マレイミド系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルスルホン樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ゴム変成エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、カルボキシル基変性アクリロニトリル-ブタジエン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ビスマレイミドトリアジン樹脂、熱硬化性ポリフェニレンオキサイド樹脂、シアネートエステル系樹脂、多価カルボン酸の無水物などを含む樹脂を好適なものとしてあげることができる。また、前記樹脂層がブロック共重合ポリイミド樹脂層を含有する樹脂層またはブロック共重合ポリイミド樹脂とポリマレイミド化合物を含有する樹脂層であってもよい。また前記エポキシ樹脂は、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであって、電気・電子材料用途に用いることのできるものであれば、特に問題なく使用できる。また、前記エポキシ樹脂は分子内に2個以上のグリシジル基を有する化合物を用いてエポキシ化したエポキシ樹脂が好ましい。また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ブロム化エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、N,N-ジグリシジルアニリン等のグリシジルアミン化合物、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のグリシジルエステル化合物、リン含有エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、の群から選ばれる1種又は2種以上を混合して用いることができ、又は前記エポキシ樹脂の水素添加体やハロゲン化体を用いることができる。
【0059】
前記多価カルボン酸の無水物はエポキシ樹脂の硬化剤として寄与する成分であることが好ましい。また、前記多価カルボン酸の無水物は、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、テトラヒドロキシ無水フタル酸、ヘキサヒドロキシ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロキシ無水フタル酸、ナジン酸、メチルナジン酸であることが好ましい。
【0060】
また、前記樹脂層を形成するための樹脂組成物は多価カルボン酸の無水物、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂を含有してもよい。前記酸無水物は、フェノキシ樹脂に含有される水酸基1molに対して0.01mol〜0.5mol含有するものであることが好ましい。前記フェノキシ樹脂は、ビスフェノールと2価のエポキシ樹脂との反応により合成されるものを用いることができる。前記フェノキシ樹脂の含有量は、前記樹脂組成物の全量を100重量部としたときに3重量部〜30重量部含有するものであってもよい。前記エポキシ樹脂は、分子内に2個以上のグリシジル基を有する化合物を用いてエポキシ化したエポキシ樹脂であってもよい。なお、前記樹脂組成物は、多価カルボン酸の無水物とフェノキシ樹脂とを反応させ、フェノキシ樹脂の水酸基に対して多価カルボン酸を開環付加した後に、エポキシ樹脂を添加して得ることができる。
【0061】
前記ビスフェノールとしてビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、HCA(9,10−Dihydro−9−Oxa−10−Phosphaphenanthrene−10−Oxide)とハイドロキノン、ナフトキノン等のキノン類との付加物として得られるビスフェノール等を使用することができる。
【0062】
また、前記熱可塑性樹脂はエポキシ樹脂と重合可能なアルコール性水酸基以外の官能基を有する熱可塑性樹脂であってもよい。
前記樹脂層の組成は樹脂成分総量に対してエポキシ樹脂50〜90重量%、ポリビニルアセタール樹脂5〜20重量%、ウレタン樹脂0.1〜20重量%を含有し、該エポキシ樹脂の0.5〜40重量%がゴム変成エポキシ樹脂であってもよい。
また、前記ポリビニルアセタール樹脂は酸基および水酸基以外のエポキシ樹脂またはマレイミド化合物と重合可能な官能基を有してもよい。前記樹脂層に用いられる樹脂組成物の総量100重量部に対し、エポキシ樹脂配合物40〜80重量部、マレイミド化合物10〜50重量部、水酸基および水酸基以外のエポキシ樹脂またはマレイミド化合物と重合可能な官能基を有するポリビニルアセタール樹脂5〜30重量部からであってもよい。また、前記ポリビニルアセタール樹脂が分子内にカルボキシル基、アミノ基または不飽和二重結合を導入したものであってもよい。
【0063】
また、前記樹脂層は、20〜80重量部のエポキシ樹脂(硬化剤を含む)、20〜80重量部の溶剤に可溶な芳香族ポリアミド樹脂ポリマー、及び、必要に応じて適宜量添加する硬化促進剤からなる樹脂組成物を用いて形成したものであってもよい。また、前記樹脂層は、5〜80重量部のエポキシ樹脂(硬化剤を含む)、20〜95重量部の溶剤に可溶な芳香族ポリアミド樹脂ポリマー、及び、必要に応じて適宜量添加する硬化促進剤からなる樹脂組成物を用いて形成したものであってもよい。前記樹脂層の形成に用いる樹脂組成物の構成に用いる芳香族ポリアミド樹脂ポリマーは、芳香族ポリアミドとゴム性樹脂とを反応させることで得られるものであってもよい。前記樹脂層は、誘電体フィラーを含有したものであってもよい。前記樹脂層は、骨格材を含有したものであってもよい。
【0064】
ここで、前記芳香族ポリアミド樹脂ポリマーとしては、芳香族ポリアミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させて得られるものが挙げられる。ここで、芳香族ポリアミド樹脂とは、芳香族ジアミンとジカルボン酸との縮重合により合成されるものである。このときの芳香族ジアミンには、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、m−キシレンジアミン、3,3’−オキシジアニリン等を用いる。そして、ジカルボン酸には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸等を用いる。
【0065】
そして、前記芳香族ポリアミド樹脂と反応させる前記ゴム性樹脂とは、天然ゴム及び合成ゴムを含む概念として記載しており、後者の合成ゴムにはスチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム等がある。更に、形成する誘電体層の耐熱性を確保する際には、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム等の耐熱性を備えた合成ゴムを選択使用することも有用である。これらのゴム性樹脂に関しては、芳香族ポリアミド樹脂と反応して共重合体を製造するようになるため、両末端に種々の官能基を備えるものであることが望ましい。特に、CTBN(カルボキシ基末端ブタジエンニトリル)を用いることが有用である。
【0066】
芳香族ポリアミド樹脂ポリマーを構成することとなる芳香族ポリアミド樹脂とゴム性樹脂とは、芳香族ポリアミド樹脂が25wt%〜75wt%、残部ゴム性樹脂という配合で用いることが好ましい。芳香族ポリアミド樹脂が25wt%未満の場合には、ゴム成分の存在比率が大きくなりすぎ耐熱性に劣るものとなり、一方、75wt%を越えると芳香族ポリアミド樹脂の存在比率が大きくなりすぎて、硬化後の硬度が高くなりすぎ、脆くなるのである。この芳香族ポリアミド樹脂ポリマーは、銅張積層板に加工した後の銅箔をエッチング加工する際に、エッチング液によりアンダーエッチングによる損傷を受けないことを目的に用いたものである。
【0067】
この芳香族ポリアミド樹脂ポリマーには、まず溶剤に可溶であるという性質が求められる。この芳香族ポリアミド樹脂ポリマーは、20重量部〜80重量部の配合割合で用いる。芳香族ポリアミド樹脂ポリマーが20重量部未満の場合には、銅張積層板の製造を行う一般的プレス条件で硬化しすぎて脆くなり、基板表面にマイクロクラックを生じやすくなるのである。一方、80重量部を越えて芳香族ポリアミド樹脂ポリマーを添加しても特に支障はないが、80重量部を越えて芳香族ポリアミド樹脂ポリマーを添加してもそれ以上に硬化後の強度は向上しないのである。従って、経済性を考慮すれば、80重量部が上限値であると言えるのである。
【0068】
「必要に応じて適宜量添加する硬化促進剤」とは、3級アミン、イミダゾール、尿素系硬化促進剤等である。本件発明では、この硬化促進剤の配合割合は、特に限定を設けていない。なぜなら、硬化促進剤は、銅張積層板製造の工程での生産条件性等を考慮して、製造者が任意に選択的に添加量を定めて良いものであるからである。
【0069】
前記樹脂層を形成するための樹脂組成物はビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂の3種のエポキシ樹脂を溶剤に溶解させ、そこに硬化剤、微粉砕シリカ、三酸化アンチモン等の反応触媒を添加した樹脂組成物であってもよい。このときの硬化剤に関しては前記と同様である。この樹脂組成も、良好な銅箔と基材樹脂との密着性を示すのである。
前記樹脂層を形成するための樹脂組成物はポリフェニレンエーテル樹脂、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、リン含有フェノール化合物、ナフテン酸マンガン、2,2−ビス(4−グリシジルフェニル)プロパンを溶剤に溶解させたポリフェニレンエーテル−シアネート系の樹脂組成物であってもよい。この樹脂組成も、良好な銅箔と基材樹脂との密着性を示すのである。
前記樹脂層を形成するための樹脂組成物はシロキサン変性ポリアミドイミド樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を溶剤で溶解させたシロキサン変性ポリアミドイミド系の樹脂組成物であってもよい。この樹脂組成も、良好な銅箔と基材樹脂との密着性を示すのである。
【0070】
(誘電体(誘電体フィラー)を含む樹脂層の場合)
上記いずれかの樹脂層または樹脂組成物に誘電体(誘電体フィラー)を含ませる場合には、キャパシタ層を形成する用途に用い、キャパシタ回路の電気容量を増大させることができるのである。この誘電体(誘電体フィラー)には、BaTiO3、SrTiO3、Pb(Zr−Ti)O3(通称PZT)、PbLaTiO3・PbLaZrO(通称PLZT)、SrBi2Ta2O9(通称SBT)等のペブロスカイト構造を持つ複合酸化物の誘電体粉を用いる。
【0071】
誘電体(誘電体フィラー)は粉状であってもよい。誘電体(誘電体フィラー)が粉状である場合、この誘電体(誘電体フィラー)の粉体特性は、まず粒径が0.01μm〜3.0μm、好ましくは0.02μm〜2.0μmの範囲のものである必要がある。ここで言う粒径は、粉粒同士がある一定の2次凝集状態を形成しているため、レーザー回折散乱式粒度分布測定法やBET法等の測定値から平均粒径を推測するような間接測定では精度が劣るものとなるため用いることができず、誘電体(誘電体フィラー)を走査型電子顕微鏡(SEM)で直接観察し、そのSEM像を画像解析し得られる平均粒径を言うものである。本件明細書ではこの時の粒径をDIAと表示している。なお、本件明細書における走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察される誘電体(誘電体フィラー)の粉体の画像解析は、旭エンジニアリング株式会社製のIP−1000PCを用いて、円度しきい値10、重なり度20として円形粒子解析を行い、平均粒径DIAを求めたものである。
【0072】
更に、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積累積粒径D50が0.2μm〜2.0μmであり、且つ、体積累積粒径D50と画像解析により得られる平均粒径DIAとを用いてD50/DIAで表される凝集度の値が4.5以下である略球形の形状をしたペロブスカイト構造を持つ誘電体粉末であることが求められる。
【0073】
レーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積累積粒径D50とは、レーザー回折散乱式粒度分布測定法を用いて得られる重量累積50%における粒径のことであり、この体積累積粒径D50の値が小さいほど、誘電体(誘電体フィラー)粉の粒径分布の中で微細な粉粒の占める割合が多いことになる。本件発明では、この値が0.2μm〜2.0μmであることが求められる。即ち、体積累積粒径D50の値が0.2μm未満の場合には、どのような製造方法を採用した誘電体(誘電体フィラー)粉であれ、凝集の進行が著しく以下に述べる凝集度を満足するものとはならないのである。一方、体積累積粒径D50の値が2.0μmを越える場合には、本件発明の目的とするところであるプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成用の誘電体(誘電体フィラー)としての使用が不可能となるのである。即ち、内蔵キャパシタ層を形成するのに用いる両面銅張積層板の誘電体層は、通常10μm〜25μmの厚さのものであり、ここに誘電体フィラーを均一に分散させるためには2.0μmが上限となるのである。
【0074】
本件発明における体積累積粒径D50の測定は、誘電体(誘電体フィラー)粉をメチルエチルケトンに混合分散させ、この溶液をレーザー回折散乱式粒度分布測定装置 Micro Trac HRA 9320−X100型(日機装株式会社製)の循環器に投入して測定を行った。
【0075】
ここで凝集度という概念を用いているが、以下のような理由から採用したものである。即ち、レーザー回折散乱式粒度分布測定法を用いて得られる体積累積粒径D50の値は、真に粉粒の一つ一つの径を直接観察したものではないと考えられる。殆どの誘電体粉を構成する粉粒は、個々の粒子が完全に分離した、いわゆる単分散粉ではなく、複数個の粉粒が凝集して集合した状態になっているからである。レーザー回折散乱式粒度分布測定法は、凝集した粉粒を一個の粒子(凝集粒子)として捉えて、体積累積粒径を算出していると言えるからである。
【0076】
これに対して、走査型電子顕微鏡を用いて観察される誘電体粉の観察像を画像処理することにより得られる平均粒径DIAは、SEM観察像から直接得るものであるため、一次粒子が確実に捉えられることになり、反面には粉粒の凝集状態の存在を全く反映させていないことになる。
【0077】
以上のように考えると、本件発明者等は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法の体積累積粒径D50と画像解析により得られる平均粒径DIAとを用いて、D50/DIAで算出される値を凝集度として捉えることとしたのである。即ち、同一ロットの銅粉においてD50とDIAとの値が同一精度で測定できるものと仮定して、上述した理論で考えると、凝集状態のあることを測定値に反映させるD50の値は、DIAの値よりも大きな値になると考えられる。
【0078】
このとき、D50の値は、誘電体(誘電体フィラー)粉の粉粒の凝集状態が全くなくなるとすれば、限りなくDIAの値に近づいてゆき、凝集度であるD50/DIAの値は、1に近づくことになる。凝集度が1となった段階で、粉粒の凝集状態が全く無くなった単分散粉と言えるのである。但し、現実には、凝集度が1未満の値を示す場合もある。理論的に考え真球の場合には、1未満の値にはならないのであるが、現実には、粉粒が真球ではないために1未満の凝集度の値が得られることになるようである。
【0079】
本件発明では、この誘電体(誘電体フィラー)粉の凝集度が4.5以下であることが好ましい。この凝集度が4.5を越えると、誘電体フィラーの粉粒同士の凝集レベルが高くなりすぎて、上述した樹脂組成物との均一混合が困難となるのである。
【0080】
誘電体(誘電体フィラー)粉の製造方法として、アルコキシド法、水熱合成法、オキサレート法等のいずれの製造方法を採用しても、一定の凝集状態が不可避的に形成されるため、上述の凝集度を満足しない誘電体フィラー粉が発生し得るものである。特に、湿式法である水熱合成法の場合には、凝集状態の形成が起こりやすい傾向にある。そこで、この凝集した状態の粉体を、一粒一粒の粉粒に分離する解粒処理を行うことで、誘電体フィラー粉の凝集状態を、上述の凝集度の範囲とすることが可能なのである。
【0081】
単に解粒作業を行うことを目的とするのであれば、解粒の行える手段として、高エネルギーボールミル、高速導体衝突式気流型粉砕機、衝撃式粉砕機、ゲージミル、媒体攪拌型ミル、高水圧式粉砕装置等種々の物を用いることが可能である。ところが、誘電体(誘電体フィラー)粉と樹脂組成物との混合性及び分散性を確保するためには、以下に述べる誘電体(誘電体フィラー)含有樹脂溶液としての粘度低減を考えるべきである。誘電体(誘電体フィラー)含有樹脂溶液の粘度の低減を図る上では、誘電体(誘電体フィラー)の粉粒の比表面積が小さく、滑らかなものとすることが求められる。従って、解粒は可能であっても、解粒時に粉粒の表面に損傷を与え、その比表面積を増加させるような解粒手法であってはならないのである。
【0082】
このような認識に基づいて、本件発明者等が鋭意研究した結果、二つの手法が有効であることが見いだされた。この二つの方法に共通することは、誘電体(誘電体フィラー)の粉体の粉粒が装置の内壁部、攪拌羽根、粉砕媒体等の部分と接触することを最小限に抑制し、凝集した粉粒同士の相互衝突を行わせることで、解粒が十分可能な方法という点である。即ち、装置の内壁部、攪拌羽根、粉砕媒体等の部分と接触することは粉粒の表面を傷つけ、表面粗さを増大させ、真球度を劣化させることにつながり、これを防止するのである。そして、十分な粉粒同士の衝突を起こさせることで、凝集状態にある粉粒を解粒し、同時に、粉粒同士の衝突による粉粒表面の平滑化の可能な手法を採用できるのである。
【0083】
その一つは、凝集状態にある誘電体(誘電体フィラー)粉を、ジェットミルを利用して解粒処理するのである。ここで言う「ジェットミル」とは、エアの高速気流を用いて、この気流中に誘電体(誘電体フィラー)粉を入れ、この高速気流中で粉粒同士を相互に衝突させ、解粒作業を行うのである。
【0084】
また、凝集状態にある誘電体(誘電体フィラー)粉を、そのストイキメトリを崩すことのない溶媒中に分散させたスラリーを、遠心力を利用した流体ミルを用いて解粒処理するのである。ここで言う「遠心力を利用した流体ミル」を用いることで、当該スラリーを円周軌道を描くように高速でフローさせ、このときに発生する遠心力により凝集した粉粒同士を溶媒中で相互に衝突させ、解粒作業を行うのである。このようにすることで、解粒作業の終了したスラリーを洗浄、濾過、乾燥することで解粒作業の終了した誘電体(誘電体フィラー)粉が得られることになるのである。以上に述べた方法で、凝集度の調整及び誘電体フィラー粉の粉体表面の平滑化を図ることができるのである。
【0085】
以上述べてきた樹脂組成物と誘電体(誘電体フィラー)とを混合して、プリント配線板の内蔵キャパシタ層形成用の誘電体(誘電体フィラー)含有樹脂とするのである。なお、誘電体(誘電体フィラー)と混合するための樹脂組成物に用いる樹脂として、前記樹脂層に用いることができる樹脂を挙げることができる。このときの、樹脂組成物と誘電体(誘電体フィラー)との配合割合は、誘電体(誘電体フィラー)の含有率が75wt%〜85wt%、残部樹脂組成物とすることが望ましい。
【0086】
誘電体(誘電体フィラー)の含有率が75wt%未満の場合には、市場で現在要求されている比誘電率20を満足できず、誘電体(誘電体フィラー)の含有率が85wt%を越えると、樹脂組成物の含有率が15wt%未満となり、誘電体(誘電体フィラー)含有樹脂とそこに張り合わせる銅箔との密着性が損なわれ、プリント配線板製造用としての要求特性を満足する銅張積層板の製造が困難となるのである。
なお、前記誘電体(誘電体フィラー)を含む樹脂層は、誘電体(誘電体フィラー)、エポキシ樹脂、活性エステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂および硬化促進剤を含む樹脂組成物を用いて形成されてもよい。
また、前記誘電体(誘電体フィラー)を含む樹脂層は、エポキシ樹脂、活性エステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、硬化促進剤を含む樹脂組成物重量を100重量部としたとき、エポキシ樹脂を25重量部〜60重量部含有する樹脂組成物と誘電体(誘電体フィラー)とを用いて形成したものであってもよい。
また、前記誘電体(誘電体フィラー)を含む樹脂層は、エポキシ樹脂、活性エステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、硬化促進剤を含む樹脂組成物重量を100重量部としたとき、活性エステル樹脂を28重量部〜60重量部含有する樹脂組成物と誘電体(誘電体フィラー)とを用いて形成したものであってもよい。
また、前記誘電体(誘電体フィラー)を含む樹脂層は、エポキシ樹脂、活性エステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、硬化促進剤を含む樹脂組成物重量を100重量部としたとき、エポキシ樹脂と活性エステル樹脂との合計含有量が78重量部〜95重量部含有する樹脂組成物と誘電体(誘電体フィラー)とを用いて形成したものであってもよい。
また、前記誘電体(誘電体フィラー)を含む樹脂層は、エポキシ樹脂、活性エステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、硬化促進剤を含む樹脂組成物重量を100重量部としたとき、ポリビニルアセタール樹脂を1重量部〜20重量部含有する樹脂組成物と誘電体(誘電体フィラー)とを用いて形成したものであってもよい。
また、前記誘電体(誘電体フィラー)を含む樹脂層は、エポキシ樹脂、活性エステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、硬化促進剤を含む樹脂組成物重量を100重量部としたとき、硬化促進剤を0.01重量部〜2重量部含有する樹脂組成物と誘電体(誘電体フィラー)とを用いて形成したものであってもよい。
【0087】
また、前記誘電体(誘電体フィラー)を含む樹脂層は、当該樹脂層を構成する樹脂組成物重量を100重量部としたとき、当該樹脂組成物を構成するエポキシ樹脂、活性エステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、硬化促進剤の各成分の合計量が70重量部以上である樹脂組成物と誘電体(誘電体フィラー)とを用いて形成したものであってもよい。
また、前記誘電体を含む樹脂層は、当該誘電体(誘電体フィラー)を含有する樹脂重量を100wt%としたとき、誘電体(誘電体フィラー)を65wt%〜85wt%の範囲で含有するものであることが好ましい。
なお、エポキシ樹脂、活性エステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂および硬化促進剤には公知のエポキシ樹脂、活性エステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂および硬化促進剤または本願明細書に記載のエポキシ樹脂、活性エステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂および硬化促進剤を用いることができる。
また、前記誘電体(誘電体フィラー)を含む樹脂層は、MIL規格におけるMIL−P−13949Gに準拠して測定したときのレジンフローが1%未満であることが好ましい。
なお、硬化促進剤、エポキシ樹脂としては公知のものまたは本願明細書に記載の硬化促進剤、エポキシ樹脂を用いることができる。また、硬化促進剤としては公知のイミダゾール化合物または、本願明細書に記載のイミダゾール化合物を用いることができる。
【0088】
そして、この誘電体(誘電体フィラー)としては、現段階に置いて、粉体としての製造精度を考慮すると、ペブロスカイト構造を持つ複合酸化物の内、チタン酸バリウムを用いることが好ましい。このときの誘電体(誘電体フィラー)には、仮焼したチタン酸バリウム又は未仮焼のチタン酸バリウムのいずれをも用いることが出来る。高い誘電率を得ようとする場合には仮焼したチタン酸バリウムを用いることが好ましいのであるが、プリント配線板製品の設計品質に応じて選択使用すればよいものである。
【0089】
また更に、チタン酸バリウムの誘電体フィラーが、立方晶の結晶構造を持つものであることが最も好ましい。チタン酸バリウムのもつ結晶構造には、立方晶と正方晶とが存在するが、立方晶の構造を持つチタン酸バリウムの誘電体(誘電体フィラー)の方が、正方晶の構造のみを持つチタン酸バリウムの誘電体(誘電体フィラー)を用いた場合に比べて、最終的に得られる誘電体層の誘電率の値が安定化するのである。従って、少なくとも、立方晶と正方晶との双方の結晶構造を併有したチタン酸バリウム粉を用いる必要があると言えるのである。
上述の実施の形態により、当該内層コア材の内層回路表面と誘電体を含む樹脂層との密着性を向上させ、低い誘電正接を備えるキャパシタ回路層を形成するための誘電体を含む樹脂層を有する表面処理銅箔を提供することができる。
【0090】
また、前記樹脂層は表面処理層側から順に硬化樹脂層(「硬化樹脂層」とは硬化済みの樹脂層のことを意味するとする。)と半硬化樹脂層とを順次形成した樹脂層であってもよい。前記硬化樹脂層は、熱膨張係数が0ppm/℃〜25ppm/℃のポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、これらの複合樹脂のいずれかの樹脂成分で構成されてもよい。
【0091】
また、前記硬化樹脂層上に、硬化した後の熱膨張係数が0ppm/℃〜50ppm/℃の半硬化樹脂層を設けてもよい。また、前記硬化樹脂層と前記半硬化樹脂層とが硬化した後の樹脂層全体の熱膨張係数が40ppm/℃以下であってもよい。前記硬化樹脂層は、ガラス転移温度が300℃以上であってもよい。また、前記半硬化樹脂層は、マレイミド系樹脂を用いて形成したものであってもよく、前記マレイミド系樹脂は、分子内に2個以上のマレイミド基を有する芳香族マレイミド樹脂であってもよく、前記マレイミド系樹脂は、分子内に2個以上のマレイミド基を有する芳香族マレイミド樹脂と芳香族ポリアミンとを重合させた重合付加物であってもよい。また、前記半硬化樹脂層は、当該半硬化樹脂層を100重量部としたとき、マレイミド系樹脂を20重量部〜70重量部含有するものであってもよい。前記半硬化樹脂層を形成するための樹脂組成物は、マレイミド系樹脂、エポキシ樹脂、架橋可能な官能基を有する線状ポリマーを必須成分をとすることが好ましい。そして、マレイミド系樹脂には、芳香族マレイミド樹脂と芳香族ポリアミンとを重合させた重合付加物を用いることもできる。また、半硬化樹脂層には必要に応じて、マレイミド系樹脂と反応性を有するシアノエステル樹脂やエポキシ樹脂を添加してもよい。エポキシ樹脂は公知のエポキシ樹脂または本願明細書に記載のエポキシ樹脂を用いることができる。
【0092】
また、前記架橋可能な官能基を有する線状ポリマーは、水酸基、カルボキシル基等のエポキシ樹脂の硬化反応に寄与する官能基を備えることが好ましい。そして、この架橋可能な官能基を有する線状ポリマーは、沸点が50℃〜200℃の温度の有機溶剤に可溶であることが好ましい。ここで言う官能基を有する線状ポリマーを具体的に例示すると、ポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂等である。この架橋可能な官能基を有する線状ポリマーは、樹脂組成物を100重量部としたとき、3重量部〜30重量部の配合割合で用いられることが好ましい。当該エポキシ樹脂が3重量部未満の場合には、樹脂流れが大きくなる場合がある。この結果、製造した銅張積層板の端部から樹脂粉の発生が多く見られる場合があり、半硬化状態での樹脂層の耐吸湿性も改善出来ない場合がある。一方、30重量部を超えても、樹脂流れが小さい場合があり、製造した銅張積層板の絶縁層内にボイド等の欠陥を生じやすくなる場合がある。
【0093】
ここで言うマレイミド系樹脂としては、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ポリフェニルメタンマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’−ジメチルー5,5’−ジエチルー4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチルー1,3−フェニレンビスマレイミド、4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン等の使用が可能である。マレイミド系樹脂の含有量が20重量部未満の場合には、硬化後の半硬化樹脂層の熱膨張係数を低下させる効果が得られない場合がある。一方、マレイミド系樹脂の含有量が70重量部を超えると、半硬化樹脂層が硬化すると脆い樹脂層になる場合があり、当該樹脂層にクラックが生じやすくなる場合があり、プリント配線板の絶縁層としての信頼性が低下する場合がある。
【0094】
分子内に2個以上のマレイミド基を有する芳香族マレイミド樹脂と芳香族ポリアミンとを重合させた重合付加物を形成させる場合には、芳香族ポリアミンとして、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、2,6−ジアミノピリジン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノー3−メチルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、1,3−ビス[4−アミノフェノキシ]ベンゼン、3−メチルー4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチルー4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロー4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’,5,5’−テトラクロロー4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(3−メチルー4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチルー4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,3−ジクロロー4−アミノフェニル)プロパン、ビス(2,3−ジメチルー4−アミノフェニル)フェニルエタン、エチレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミン等を、樹脂組成物に添加して用いて樹脂層を形成することが好ましい。
【0095】
そして、エポキシ樹脂硬化剤を必要とする場合には、ジシアンジアミド、イミダゾール類、芳香族アミン等のアミン類、ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールA等のフェノール類、フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂等のノボラック類、無水フタル酸等の酸無水物等を用いる。このときのエポキシ樹脂に対するエポキシ樹脂硬化剤の添加量は、それぞれの当量から自ずと導き出されるものであるから、特段の添加量限定は行っていない。
【0096】
また、立体成型プリント配線板製造用途に適した、樹脂層を有する表面処理銅箔を提供する場合、前記硬化樹脂層は硬化した可撓性を有する高分子ポリマー層であることが好ましい。前記高分子ポリマー層は、はんだ実装工程に耐えられるように、150℃以上のガラス転移温度をもつ樹脂からなるものが好適である。前記高分子ポリマー層は、ポリアミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、アラミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂のいずれか1種又は2種以上の混合樹脂からなることが好ましい。また、前記高分子ポリマー層の厚さは3μm〜10μmであることが好ましい。
また、前記高分子ポリマー層は、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂のいずれか1種又は2種以上を含むことが好ましい。また、前記半硬化樹脂層は厚さが10μm〜50μmのエポキシ樹脂組成物で構成されていることが好ましい。
【0097】
また、前記エポキシ樹脂組成物は以下のA成分〜E成分の各成分を含むものであることが好ましい。
A成分: エポキシ当量が200以下で、室温で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上からなるエポキシ樹脂。
B成分: 高耐熱性エポキシ樹脂。
C成分: リン含有エポキシ系樹脂、フォスファゼン系樹脂のいずれか1種又はこれらを混合した樹脂であるリン含有難燃性樹脂。
D成分: 沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤に可溶な性質を備える液状ゴム成分で変成したゴム変成ポリアミドイミド樹脂。
E成分: 樹脂硬化剤。
【0098】
A成分は、エポキシ当量が200以下で、室温で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上からなるエポキシ樹脂である。ここで、ビスフェノール系エポキシ樹脂を選択使用しているのは、後述するD成分(ゴム変成ポリアミドイミド樹脂)との相性が良く、半硬化状態での樹脂膜に適度なフレキシビリティの付与が容易だからである。そして、エポキシ当量が200を超えると、樹脂が室温で半固形となり、半硬化状態でのフレキシビリティが減少するので好ましくない。更に、上述のビスフェノール系エポキシ樹脂であれば、1種を単独で用いても、2種以上を混合で用いても構わない。しかも、2種以上を混合して用いる場合には、その混合比に関しても特段の限定はない。
【0099】
このエポキシ樹脂は、半硬化樹脂層を構成するエポキシ樹脂組成物を100重量部としたとき、3重量部〜30重量部の配合割合で用いることが好ましい。当該エポキシ樹脂が3重量部未満の場合には、熱硬化性を十分に発揮せず内層フレキシブルプリント配線板とのバインダーとしての機能も、樹脂付銅箔としての銅箔との密着性も十分に果たせなくなる。一方、30重量部を越えると、他の樹脂成分とのバランスから樹脂ワニスとしたときの粘度が高くなり、樹脂付銅箔を製造するとき、銅箔表面へ均一な厚さでの樹脂膜の形成が困難となる。しかも、後述するD成分(ゴム変成ポリアミドイミド樹脂)の添加量を考慮すると、硬化後の樹脂層として十分な靭性が得られなくなる。
【0100】
B成分は、所謂ガラス転移点Tgの高い「高耐熱性エポキシ樹脂」である。ここで言う「高耐熱性エポキシ樹脂」は、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂であることが好ましい。そして、このB成分は、半硬化樹脂層を構成するエポキシ樹脂組成物を100重量部としたとき、3重量部〜30重量部の範囲で用いることが好ましい。B成分が3重量部未満の場合には、樹脂組成物の高Tg化が不十分となる傾向があるので好ましくない。一方、B成分が30重量部を超える場合には、硬化後の樹脂が脆くなり、フレキシビリティが損なわれるためフレキシブルプリント配線板用途として好ましくない。より好ましくは、B成分は、10重量部〜20重量部の範囲で用いることで、樹脂組成物の高Tg化と硬化後の樹脂の良好なフレキシビリティとを安定して両立できる。
【0101】
C成分は、所謂ハロゲンフリー系の難燃性樹脂であり、リン含有エポキシ系樹脂、フォスファゼン系樹脂のいずれか1種又はこれらを混合した樹脂であるリン含有難燃性樹脂を用いる。まず、リン含有エポキシ系樹脂とは、エポキシ骨格の中にリンを含んだエポキシ樹脂の総称である。そして、半硬化樹脂層を構成するエポキシ樹脂組成物のリン原子含有量を、当該エポキシ樹脂組成物重量を100重量%としたとき、C成分由来のリン原子を0.5重量%〜3.0重量%の範囲とできるリン含有エポキシ系樹脂であれば、いずれの使用も可能である。しかしながら、上述のリン含有エポキシ系樹脂の中でも、分子内に2以上のエポキシ基を備える9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド誘導体であるリン含有エポキシ系樹脂を用いると、半硬化状態での樹脂品質の安定性に優れ、同時に難燃性効果が高いため好ましい。参考のために、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドの構造式を下記に示す。
【0103】
更に、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド誘導体であるリン含有エポキシ系樹脂の具体例として、化2に示す構造式を備える化合物を示す。この化2に示す構造式を備える化合物を使用すると、半硬化状態での樹脂品質の安定性により一層優れ、同時に難燃性効果が高くなるので、好ましい。
【0105】
また、C成分のリン含有エポキシ系樹脂として、以下に示す化3に示す構造式を備える化合物も好ましい。化2に示すリン含有エポキシ系樹脂と同様に、半硬化状態での樹脂品質の安定性に優れ、同時に高い難燃性の付与が可能であるため好ましい。
【0107】
更に、C成分のリン含有エポキシ系樹脂として、以下に示す化4に示す構造式を備える化合物も好ましい。化2及び化3に示すリン含有エポキシ系樹脂と同様に、半硬化状態での樹脂品質の安定性に優れ、同時に高い難燃性の付与が可能であるため好ましい。
【0109】
この9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドからの誘導体として得られるエポキシ樹脂は、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドにナフトキノンやハイドロキノンを反応させて、以下の化5(HCA−NQ)又は化6(HCA−HQ)に示す化合物とした後に、そのOH基の部分にエポキシ樹脂を反応させてリン含有難燃性樹脂としたものが挙げられる。
【0112】
ここで、リン含有難燃性樹脂として、リン含有エポキシ系樹脂を用いる場合の樹脂組成物は、リン含有エポキシ系樹脂の1種類を単独で用いても、2種類以上のリン含有エポキシ系樹脂を混合して用いても構わない。但し、C成分としてのリン含有難燃性樹脂の総量を考慮して、半硬化樹脂層を構成するエポキシ樹脂組成物重量を100重量%としたとき、C成分由来のリン原子を0.5重量%〜3.0重量%の範囲となるように添加量を定めることが好ましい。リン含有エポキシ系樹脂は、その種類によりエポキシ骨格内に含有するリン原子量が異なる。そこで、上述のようにリン原子の含有量を、C成分の添加量に優先させて設計することが可能である。
【0113】
次に、リン含有難燃性樹脂として、フォスファゼン系樹脂を用いる場合を説明する。フォスファゼン系樹脂は、リン及び窒素を構成元素とする二重結合を持つフォスファゼンを含む樹脂である。フォスファゼン系樹脂は、分子中の窒素とリンの相乗効果により、難燃性能を飛躍的に向上させることができる。また、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド誘導体と異なり、樹脂中で安定して存在し、マイグレーションの発生を防ぐ効果が得られる。
【0114】
また、リン含有難燃性樹脂として、フォスファゼン系樹脂を用いる場合の樹脂組成物は、フォスファゼン系樹脂の1種類を単独で用いても、2種類以上のフォスファゼン系樹脂を混合して用いても構わない。但し、C成分としてのリン含有難燃性樹脂の総量を考慮して、半硬化樹脂層を構成するフォスファゼン系樹脂組成物重量を100重量%としたとき、C成分由来のリン原子を0.5重量%〜3.0重量%の範囲となるように添加量を定めることが好ましい。このことは、C成分として、リン含有エポキシ系樹脂とフォスファゼン系樹脂を混合して用いる場合も同様である。
【0115】
そして、C成分としてのリン含有難燃性樹脂は、リン含有エポキシ系樹脂、フォスファゼン系樹脂のいずれか一種またはこれらを混合したものを用いれば良い。リン含有難燃性樹脂としてリン含有エポキシ系樹脂を単独で用いる場合は、リン含有エポキシ系樹脂は、半硬化樹脂層を構成するエポキシ樹脂組成物を100重量部としたとき、5重量部〜50重量部の範囲で用いられることが好ましい。リン含有エポキシ系樹脂からなるC成分が5重量部未満の場合には、他の樹脂成分の配合割合を考慮すると、C成分由来のリン原子が不足し、難燃性を得ることが困難になる。一方、リン含有エポキシ系樹脂からなるC成分が50重量部を超えるようにしても、難燃性向上効果も飽和すると同時に、硬化後の樹脂層が脆くなるため好ましくない。
【0116】
また、リン含有難燃性樹脂として、フォスファゼン系樹脂を単独で用いる場合は、フォスファゼン系樹脂は、半硬化樹脂層を構成するエポキシ樹脂組成物を100重量部としたとき、2重量部〜18重量部の範囲で用いられることが好ましい。フォスファゼン系樹脂からなるC成分が2重量部未満の場合には、他の樹脂成分の配合割合を考慮すると、C成分由来のリン原子が不足し、難燃性を得ることが困難になる。一方、フォスファゼン系樹脂からなるC成分が18重量部を超えると、樹脂組成物のガラス転移点Tg、半田耐熱性、ピール強度が不十分となる傾向があるので好ましくない。
【0117】
上述の硬化樹脂の「高Tg化」と「フレキシビリティ」とは、一般的に反比例する特性である。このときリン含有難燃性樹脂は、硬化後の樹脂のフレキシビリティの向上に寄与するもの、高Tg化に寄与するものが存在する。従って、1種類のリン含有難燃性エポキシ樹脂を用いるよりは、「高Tg化に寄与するリン含有難燃性エポキシ樹脂」と「フレキシビリティの向上に寄与するリン含有難燃性エポキシ樹脂」とをバランス良く配合して用いることで、フレキシブルプリント配線板用途で好適な樹脂組成とすることが可能である。
【0118】
D成分は、沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤に可溶で、液状ゴム成分で変成されたゴム変成ポリアミドイミド樹脂である。このゴム変成ポリアミドイミド樹脂は、ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させて得られるものである。ここで言う、ゴム変成ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させて用いるのは、ポリアミドイミド樹脂そのものの柔軟性を向上させる目的で行う。すなわち、ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させ、ポリアミドイミド樹脂の酸成分(シクロヘキサンジカルボン酸等)の一部をゴム成分に置換するのである。ゴム成分としては、天然ゴム及び合成ゴムを含み、後者の合成ゴムにはスチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム等がある。更に、耐熱性を確保する観点からは、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム等の耐熱性を備えた合成ゴムを選択使用することも有用である。これらのゴム性樹脂に関しては、ポリアミドイミド樹脂と反応して共重合体を製造するようになるため、両末端に種々の官能基を備えるものであることが望ましい。特に、カルボキシル基を有するCTBN(カルボキシ基末端ブタジエンニトリル)を用いることが有用である。なお、上記ゴム成分は、1種のみを共重合させても、2種以上を共重合させても構わない。更に、ゴム成分を用いる場合には、そのゴム成分の数平均分子量が1000以上のものを用いることが、当該フレキシビリティの安定化の観点から好ましい。
【0119】
ゴム変成ポリアミドイミド樹脂を重合させる際に、ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂との溶解に使用する溶剤には、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、ニトロエタン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン等を、1種又は2種以上を混合して用いることが好ましい。そして、重合反応を起こさせるには、80℃〜200℃の範囲の重合温度を採用することが好ましい。これらの重合に沸点が200℃を超える溶剤を用いた場合には、その後、用途に応じて沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤に溶媒置換することが好ましい。
【0120】
ここで、前記沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤とは、メチルエチルケトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の群から選ばれる1種の単独溶剤又は2種以上の混合溶剤が挙げられる。沸点が50℃未満の場合には、加熱による溶剤の気散が著しくなり、樹脂ワニスの状態から半硬化樹脂とする場合に、良好な半硬化状態が得られにくくなる。一方、沸点が200℃を超える場合には、樹脂ワニスの状態から半硬化樹脂とする場合に、バブリングが起こりやすくなるため、良好な半硬化樹脂膜を得にくくなる。
【0121】
エポキシ樹脂組成物で用いるゴム変成ポリアミドイミド樹脂の中で、ゴム変成ポリアミドイミド樹脂の重量を100重量%としたとき、ゴム成分の共重合量は0.8重量%以上であることが好ましい。当該共重合量が0.8重量%未満の場合には、ゴム変成ポリアミドイミド樹脂としても、本件発明に言うエポキシ樹脂組成物を用いて形成した樹脂層を硬化させたときのフレキシビリティが欠如し、銅箔との密着性も低下するため好ましくない。なお、より好ましくは、当該ゴム成分の共重合量は3重量%以上、更に好ましくは5重量%以上がより好ましい。経験的に40重量%を超えてゴム成分の添加量を向上させても、特段の問題はない。しかし、当該硬化後の樹脂層のフレキシビリティの向上効果は飽和するために資源の無駄となり好ましくない。
【0122】
以上に述べてきたゴム変成ポリアミドイミド樹脂には、溶剤に可溶であるという性質が求められる。溶剤に可溶でなければ、樹脂ワニスとしての調製が困難だからである。このゴム変成ポリアミドイミド樹脂は、樹脂組成物の重量を100重量部としたとき、10重量部〜40重量部の配合割合で用いることが好ましい。ゴム変成ポリアミドイミド樹脂が10重量部未満の場合には、硬化後の樹脂層のフレキシビリティは向上させ得ず脆くなり、樹脂層へのマイクロクラックを生じやすくなる。一方、40重量部を越えてゴム変成ポリアミドイミド樹脂を添加しても特に支障はないが、それ以上に硬化後の樹脂層のフレキシビリティは向上せず、硬化後の樹脂の高Tg化が図れない。従って、経済性を考慮すれば、40重量部が上限値であると言える。
【0123】
E成分の樹脂硬化剤に関して述べる。ここで言う樹脂硬化剤は、ビフェニル型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂の1種又は2種以上を用いることが好ましい。この樹脂硬化剤の添加量は、硬化させる樹脂に対する反応当量から自ずと導き出されるものであり、特段の量的な限定を要するものではない。しかしながら、本件発明に用いるエポキシ樹脂組成物の場合には、当該エポキシ樹脂組成物を100重量部としたとき、E成分を20重量部〜35重量部の範囲で用いることが好ましい。このE成分が20重量部未満の場合には、上記樹脂組成を考慮すると、十分な硬化状態を得ることが出来なくなり、硬化後の樹脂としてフレキシビリティを得ることが出来なくなる。一方、E成分が35重量部を超える場合には、硬化した後の樹脂層の耐吸湿特性が劣化する傾向にあり、好ましくない。
【0124】
以上に示した樹脂組成物に溶剤を加えて樹脂ワニスとして用い、プリント配線板の接着層として熱硬化性樹脂層を形成する。当該樹脂ワニスは、上述の樹脂組成物に溶剤を加えて、樹脂固形分量が30wt%〜70wt%の範囲に調製し、MIL規格におけるMIL−P−13949Gに準拠して測定したときのレジンフローが5%〜35%の範囲にある半硬化樹脂膜の形成が可能なことを特徴とする。ここで言う溶剤には、沸点が50℃〜200℃の範囲であり、メチルエチルケトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の群から選ばれる1種の単独溶剤又は2種以上の混合溶剤を用いることが好ましい。上述のように良好な半硬化樹脂膜を得るためである。そして、ここに示した樹脂固形分量の範囲が、銅箔の表面に塗布したときに、最も膜厚を精度の良いものに制御できる範囲である。樹脂固形分が30wt%未満の場合には、粘度が低すぎて、銅箔表面への塗布直後に流れて膜厚均一性を確保しにくい。これに対して、樹脂固形分が70wt%を越えると、粘度が高くなり、銅箔表面への薄膜形成が困難となる。なお、レジンフローが、5%未満の場合には、内層コア材の表面にある内層回路の凹凸部等にエアーの噛み込み等を起こすため好ましくない。一方、当該レジンフローが、35%を超える場合には、レジンフローが大きくなりすぎて、樹脂層を有する表面処理銅箔の樹脂層を用いて形成する絶縁層の厚さが不均一になる。
表面処理銅箔に前記硬化樹脂層および、半硬化樹脂層を設けた場合、立体成型プリント配線板製造用途に適した、樹脂層を有する表面処理銅箔を提供することができる。
【0125】
また、前記樹脂層は前記半硬化絶縁層の片面に引き剥がし可能な保護フィルムを備えることが好ましい。前記保護フィルムには公知の絶縁フィルムや樹脂フィルムを用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、金属箔等を前記保護フィルムに用いることができる。
なお、前記樹脂層は硬化剤および/または硬化促進剤を含んでもよい。
前記樹脂層はMIL規格におけるMIL−P−13949Gに準拠して測定したときのレジンフローが5%以内である樹脂組成物で形成された樹脂層であってもよい。
前記樹脂層は5重量部〜50重量部のエポキシ樹脂(硬化剤を含む)、50重量部〜95重量部の溶剤に可溶なポリエーテルサルホン、及び、必要に応じて適宜量添加する硬化促進剤からなる樹脂組成物を用いて構成したものであってもよい。
【0126】
また、前記樹脂層は以下に示す成分A〜成分Dを、下記含有量(但し、エポキシ樹脂
硬化剤を除き、樹脂組成物を100重量部としたときの重量部として記載)の範囲で含む
樹脂組成物で形成したものであってもよい。
成分A: 25℃における引張強度200MPa以上のポリアミドイミド樹脂 10重量
部〜20重量部
成分B: 25℃における引張強度100MPa以下のポリアミドイミド樹脂 20重量
部〜40重量部
成分C: エポキシ樹脂
成分D: エポキシ樹脂硬化剤
前記樹脂層は半硬化樹脂層であってもよい。
【0127】
前記成分Aは、25℃における引張強度200MPa以上のポリアミドイミド樹脂である。ここで言う「引張強度200MPa以上のポリアミドイミド樹脂」とは、例えば、トリメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物及びビトリレンジイソシアネートをN−メチル−2−ピロリドン又は/及びN,N−ジメチルアセトアミド等の溶剤中で加熱することで得られる樹脂等である。ここで、上限値を記載していないがポリイミドアミド樹脂の引張強度を考慮すると、このポリアミドイミド樹脂の引張強度の上限は、500MPa程度である。なお、本件発明における成分A及び成分Bに係るポリアミドイミド樹脂の引張強度は、ポリアミドイミド樹脂溶液から、JIS K7113に定めるフィルム状の2号試験片(全長115mm、チャック間距離80±5mm、平行部長さ33±2mm、平行部幅6±0.4mm、フィルム厚1〜3mm)を用いて、引張試験機で測定した値である。
【0128】
前記成分Bは、25℃における引張強度100MPa以下のポリアミドイミド樹脂である。ここで言う「引張強度100MPa以下のポリアミドイミド樹脂」とは、例えば、トリメリット酸無水物、ジフェニルメタンジイソシアネート及びカルボキシル基末端アクリロニトリル−ブタジエンゴムをN−メチル−2−ピロリドン又は/及びN,N−ジメチルアセトアミド等の溶剤中で加熱することで得られるものである。
前記成分C(エポキシ樹脂)の含有量は、樹脂組成物を100重量部としたとき、40重量部〜70重量部であってもよい。なお、エポキシ樹脂としては前述のエポキシ樹脂を用いることができる。前記成分D(エポキシ樹脂硬化剤)の含有量は、樹脂組成物に対して、エポキシ樹脂の硬化可能な程度のイミダゾール化合物を含有させるものであることが好ましい。前記半硬化樹脂層は、前記樹脂組成物で形成した揮発分が1wt%未満の半硬化状態の樹脂層であることが好ましい。上記含有量を満たした場合、樹脂層を有する表面処理銅箔をロール状で保管又は輸送しても、樹脂層を有する表面処理銅箔の樹脂層から表面処理銅箔への有機溶剤の転写が無く、しかも、耐熱性、表面処理銅箔との接着性の各特性に優れる樹脂層を備える表面処理銅箔を得ることができる。
【0129】
ここで、イミダゾール化合物は、公知のものを用いることができ、例えば、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどが挙げられ、これらを単独若しくは混合して用いることができる。
【0130】
なお、添加すべき硬化剤の量は、エポキシ樹脂の量、工程で要求する硬化速度等に応じて必然的に定まるものである。敢えて硬化剤としてのイミダゾール化合物の添加量を記載すると、樹脂組成物100重量部としたとき(但し、この場合は、成分A〜成分D全ての樹脂組成物を100重量部としたときの重量部として記載)、当該樹脂組成物中に0.01重量部〜2重量部の範囲で配合して用いる。そして、イミダゾール化合物の配合量は、0.02重量部〜1.5重量部がより好ましく、更に好ましくは、0.03重量部〜1.0重量部である。このイミダゾール化合物の配合量が0.01重量部未満の場合には、上記エポキシ樹脂の含有量を考慮すると硬化が不十分となる場合があり、樹脂層を有する表面処理銅箔の樹脂層同士を張り合わせる際の接着強度が低下する。一方、イミダゾール化合物の配合量が2重量部を超える場合には、エポキシ樹脂の硬化反応が速くなり、硬化後の樹脂層が脆くなり、硬化樹脂フィルムの強度、樹脂付銅箔の樹脂層同士を張り合わせる際の接着性が低下する場合がある。
なお、成分Cのエポキシ樹脂、成分Dのエポキシ樹脂硬化剤には公知の成分Cのエポキシ樹脂、成分Dのエポキシ樹脂硬化剤または本願明細書に記載の成分Cのエポキシ樹脂、成分Dのエポキシ樹脂硬化剤を用いることができる。
【0131】
前記樹脂層は半硬化状態における耐吸湿特性を備える樹脂組成物であって、当該樹脂組成物は、以下のA成分〜E成分を含み、樹脂組成物重量を100重量%としたときリン原子を0.5重量%〜3.0重量%の範囲で含有した樹脂組成物を用いて形成されてもよい。
A成分: エポキシ当量が200以下で、25℃で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上。
B成分: 架橋可能な官能基を有する線状ポリマー。
C成分: 架橋剤。
D成分: イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤。
E成分: リン含有エポキシ樹脂。
前記B成分である官能基を有する線状ポリマーは、沸点が50℃〜200℃の温度の有機溶剤に可溶なポリマー成分であることが好ましい。具体的にはポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂等である。前記架橋可能な官能基を有する線状ポリマーは、樹脂組成物を100重量部としたとき、3重量部〜30重量部の配合割合で用いられることが好ましい。当該エポキシ樹脂が3重量部未満の場合には、樹脂流れが大きくなる場合がある。この結果、製造した銅張積層板の端部から樹脂粉の発生が多く見られる場合があり、半硬化状態での樹脂層の耐吸湿性も改善出来ない場合がある。一方、30重量部を超えても、樹脂流れが小さい場合があり、製造した銅張積層板の絶縁層内にボイド等の欠陥を生じやすくなる場合がある。
【0132】
また、ここで言う沸点が50℃〜200℃の温度の有機溶剤を具体的に例示すると、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、エチルセロソルブ等の群から選ばれる1種の単独溶剤又は2種以上の混合溶剤である。沸点が50℃未満の場合には、加熱による溶剤の気散が著しく、樹脂ワニスの状態から半硬化樹脂とする場合に、良好な半硬化状態が得られにくくなる場合がある。一方、沸点が200℃を超える場合には、半硬化状態で溶剤が残りやすい場合がある。そして、通常要求される揮発速度を満足せず、工業生産性を満足しない可能性がある。
C成分は、B成分とエポキシ樹脂との架橋反応を起こさせるための架橋剤である。この架橋剤には、ウレタン系樹脂を使用することが好ましい。この架橋剤は、B成分の混合量に応じて添加されるものであり、本来厳密にその配合割合を明記する必要性はないものと考える。しかしながら、樹脂組成物を100重量部としたとき、10重量部以下の配合割合で用いる事が好ましい。10重量部を超えて、ウレタン系樹脂であるC成分が存在すると、半硬化状態での樹脂層の耐吸湿性が劣化し、硬化後の樹脂層が脆くなるからである。
【0133】
D成分は、イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤である。本件発明に係る樹脂組成物で、半硬化状態の樹脂層の耐吸湿性を向上させるという観点からイミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤を選択的に用いる事が好ましい。中でも、以下の化7に示す構造式を備えるイミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤を用いる事が好ましい。この化7に示す構造式のイミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤を用いることで、半硬化状態の樹脂層の耐吸湿性を顕著に向上でき、長期保存安定性に優れる。なお、エポキシ樹脂に対するエポキシ樹脂硬化剤の添加量は、反応当量から計算するのではなく、実験上得られる最適量を採用することが好ましい。イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤は、エポキシ樹脂の硬化に際して触媒的な働きを行うものであり、硬化反応の初期段階において、エポキシ樹脂の自己重合反応を引き起こす反応開始剤として寄与するからである。
【0135】
前記E成分であるリン含有エポキシ樹脂は、分子内に2以上のエポキシ基を備える9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドからの誘導体として得られるエポキシ樹脂であることが好ましい。
10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドの構造式は下記の通りである。
【0137】
この9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドからの誘導体として得られるエポキシ樹脂は、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドにナフトキノンやハイドロキノンを反応させて、以下の化9(HCA−NQ)又は化10(HCA−HQ)に示す化合物とした後に、そのOH基の部分にエポキシ樹脂を反応させてリン含有エポキシ樹脂としたものである。
【0140】
上述の化合物を原料として得られた前記E成分であるリン含有エポキシ樹脂は、以下に示す化11〜化13のいずれかに示す構造式を備える化合物の1種又は2種を混合して用いることが好ましい。半硬化状態での樹脂品質の安定性に優れ、同時に難燃性効果が高いためである。
【0144】
前記樹脂組成物は樹脂組成物重量を100重量部としたとき、A成分が3重量部〜20重量部、B成分が3重量部〜30重量部、樹脂組成物重量を100重量%としたときリン原子を0.5重量%〜3.0重量%の範囲となるようにE成分の重量部を定める樹脂組成物であることが好ましい。
【0145】
前記樹脂層は、以下のA成分〜F成分の各成分を含む樹脂組成物を用いて形成してもよい。
A成分: エポキシ当量が200以下で、25℃で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上。
B成分: 架橋可能な官能基を有する線状ポリマー。
C成分: 架橋剤(但し、A成分がB成分の架橋剤として機能する場合には省略可。)。D成分: 4,4’−ジアミノジフェニルスルホン又は2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン。
E成分: 難燃性エポキシ樹脂。
F成分: 多官能エポキシ樹脂。
G成分: 硬化促進剤。
前記B成分である架橋可能な官能基を有する線状ポリマーは、ポリビニルアセタール樹脂又はポリアミドイミド樹脂であることが好ましい。
前記C成分である架橋剤は、ウレタン系樹脂であることが好ましい。
前記E成分である難燃性エポキシ樹脂は、分子内に2以上のエポキシ基を備えるテトラブロモビスフェノールAからの誘導体として得られる化14に示す構造式を備える臭素化エポキシ樹脂、以下に示す化15に示す構造式を備える臭素化エポキシ樹脂の1種又は2種を混合して用いることが好ましい。
【0148】
前記E成分である難燃性エポキシ樹脂は、分子内に2以上のエポキシ基を備える9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド誘導体であるリン含有エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
前記E成分である難燃性エポキシ樹脂は、以下に示す化16〜化18のいずれかに示す構造式を備えるリン含有エポキシ樹脂の1種又は2種を混合して用いることが好ましい。
【0152】
前記F成分の多官能エポキシ樹脂としてオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
前記樹脂層を形成するための樹脂組成物の重量を100重量部としたとき、A成分が3重量部〜20重量部、B成分が3重量部〜30重量部、C成分が3重量部〜10重量部(A成分がB成分の架橋剤として機能する場合には0重量部〜10重量部)、D成分が5重量部〜20重量部、F成分が3重量部〜20重量部であり、樹脂組成物重量を100重量%としたとき、E成分由来の臭素原子を12重量%〜18重量%の範囲含有するようにE成分の重量部を定めることが好ましい。
前記樹脂層を形成するための樹脂組成物の重量を100重量部としたとき、A成分が3重量部〜20重量部、B成分が3重量部〜30重量部、C成分が3重量部〜10重量部(A成分がB成分の架橋剤として機能する場合には0重量部〜10重量部)、D成分が5重量部〜20重量部、F成分が3重量部〜20重量部であり、樹脂組成物重量を100重量%としたとき、E成分由来のリン原子を0.5重量%〜3.0重量%の範囲含有するようにE成分の重量部を定めるものであることが好ましい。
前記樹脂層を形成するための樹脂組成物はG成分として硬化促進剤を含むことが好ましい。
前記樹脂層は以下の工程a、工程bの手順で樹脂層の形成に用いる樹脂ワニスを調製し、当該樹脂ワニスを表面処理銅箔の表面に塗布し、乾燥させることで5μm〜100μmの平均厚さの半硬化樹脂膜を形成してされることが好ましい。
工程a: 前記A成分、B成分、C成分(A成分がB成分の架橋剤として機能する場合には省略可)、D成分、E成分、F成分、G成分の内、A成分〜F成分を必須成分とした樹脂組成物の重量を100重量%としたとき、E成分由来の臭素原子を12重量%〜18重量%の範囲又はリン原子を0.5重量%〜3.0重量%の範囲で含有するように各成分を混合して樹脂組成物とする。
工程b: 前記樹脂組成物を、有機溶剤を用いて溶解し、樹脂固形分量が25重量%〜50重量%の樹脂ワニスとする。
【0153】
前記樹脂層は以下のA成分〜E成分の各成分を含む樹脂組成物を用いて形成されることが好ましい。
A成分: エポキシ当量が200以下で、室温で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上からなるエポキシ樹脂。
B成分: 高耐熱性エポキシ樹脂。
C成分: リンを含有した難燃性エポキシ樹脂。
D成分: 沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤に可溶な性質を備える液状ゴム成分で変成したゴム変成ポリアミドイミド樹脂。
E成分: ビフェニル型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂の1種又は2種以上からなる樹脂硬化剤。
前記樹脂層は前記A成分〜E成分の各成分に加えて、更にF成分としてエポキシ樹脂との反応性を有さないリン含有難燃剤を含む樹脂組成物を用いて形成されることが好ましい。
【0154】
A成分は、エポキシ当量が200以下で、室温で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上からなるエポキシ樹脂である。ここで、ビスフェノール系エポキシ樹脂を選択使用しているのは、後述するD成分(ゴム変成ポリアミドイミド樹脂)との相性が良く、半硬化状態での樹脂膜に適度なフレキシビリティの付与が容易だからである。そして、エポキシ当量が200を超えると、樹脂が室温で半固形となり、半硬化状態でのフレキシビリティーが減少するので好ましくない。更に、上述のビスフェノール系エポキシ樹脂であれば、1種を単独で用いても、2種以上を混合で用いても構わない。しかも、2種以上を混合して用いる場合には、その混合比に関しても特段の限定はない。
【0155】
このエポキシ樹脂は、樹脂組成物を100重量部としたとき、3重量部〜20重量部の配合割合で用いることが好ましい。当該エポキシ樹脂が3重量部未満の場合には、熱硬化性を十分に発揮せず内層フレキシブルプリント配線板とのバインダーとしての機能も、樹脂付銅箔としての銅箔との密着性も十分に果たし難くなる。一方、20重量部を超えると、他の樹脂成分とのバランスから樹脂ワニスとしたときの粘度が高くなり、樹脂付銅箔を製造するとき、銅箔表面へ均一な厚さでの樹脂膜の形成が困難となる。しかも、後述するD成分(ゴム変成ポリアミドイミド樹脂)との添加量を考慮すると、硬化後の樹脂層として十分な靭性が得られなくなる。
【0156】
B成分は、所謂ガラス転移点の高い「高耐熱性エポキシ樹脂」である。ここで言う「高耐熱性エポキシ樹脂」は、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂であることが好ましい。そして、このB成分は、樹脂組成物を100重量部としたとき、3重量部〜30重量部の範囲で用いることが好ましい。B成分が3重量部未満の場合には、樹脂組成物の高Tg化が全く図れない。一方、B成分が30重量部を超える場合には、硬化後の樹脂が脆くなり、フレキシビリティが完全に損なわれるためフレキシブルプリント配線板用途として好ましくない。より好ましくは、B成分は、10重量部〜20重量部の範囲で用いることで、樹脂組成物の高Tg化と硬化後の樹脂の良好なフレキシビリティとを安定して両立できる。
【0157】
C成分としては、所謂ハロゲンフリー系の難燃性エポキシ樹脂であり、リン含有難燃性エポキシ樹脂を用いる。リン含有難燃性エポキシ樹脂とは、エポキシ骨格の中にリンを含んだエポキシ樹脂の総称である。そして、本件出願に係る樹脂組成物のリン原子含有量を、樹脂組成物重量を100重量%としたとき、C成分由来のリン原子を0.5重量%〜3.0重量%の範囲とできるリン含有難燃性エポキシ樹脂であれば、いずれの使用も可能である。しかしながら、分子内に2以上のエポキシ基を備える9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド誘導体であるリン含有難燃性エポキシ樹脂を用いることが、半硬化状態での樹脂品質の安定性に優れ、同時に難燃性効果が高いため好ましい。参考のために、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドの構造式を化19に示す。
【0159】
そして、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド誘導体であるリン含有難燃性エポキシ樹脂を具体的に例示すると、化20に示す構造式を備える化合物の使用が好ましい。半硬化状態での樹脂品質の安定性に優れ、同時に難燃性効果が高いため好ましい。
【0161】
また、C成分のリン含有難燃性エポキシ樹脂として、以下に示す化21に示す構造式を備える化合物も好ましい。化20に示すリン含有難燃性エポキシ樹脂と同様に、半硬化状態での樹脂品質の安定性に優れ、同時に高い難燃性の付与が可能であるため好ましい。
【0163】
更に、C成分のリン含有難燃性エポキシ樹脂として、以下に示す化22に示す構造式を備える化合物も好ましい。化20及び化21に示すリン含有難燃性エポキシ樹脂と同様に、半硬化状態での樹脂品質の安定性に優れ、同時に高い難燃性の付与が可能であるため好ましい。
【0165】
この9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドからの誘導体として得られるエポキシ樹脂は、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドにナフトキノンやハイドロキノンを反応させて、以下の化23(HCA−NQ)又は化24(HCA−HQ)に示す化合物とした後に、そのOH基の部分にエポキシ樹脂を反応させてリン含有難燃性エポキシ樹脂としたものが挙げられる。
【0168】
ここでリン含有難燃性エポキシ樹脂を用いる場合の樹脂組成物は、C成分としてのリン含有難燃性エポキシ樹脂の1種類を単独で用いても、2種類以上のリン含有難燃性エポキシ樹脂を混合して用いても構わない。但し、C成分としてのリン含有難燃性エポキシ樹脂の総量を考慮して、樹脂組成物重量を100重量%としたとき、C成分由来のリン原子を0.5重量%〜3.0重量%の範囲となるように添加することが好ましい。リン含有難燃性エポキシ樹脂は、その種類によりエポキシ骨格内に含有するリン原子量が異なる。そこで、上述のようにリン原子の含有量を規定して、C成分の添加量に代える事が可能である。但し、C成分は、通常、樹脂組成物を100重量部としたとき、5重量部〜50重量部の範囲で用いられる。C成分が5重量部未満の場合には、他の樹脂成分の配合割合を考慮すると、C成分由来のリン原子を0.5重量%以上とすることが困難になり、難燃性を得ることが出来ない。一方、C成分が50重量部を超えるようにしても、難燃性向上効果も飽和すると同時に、硬化後の樹脂層が脆くなるため好ましくない。
【0169】
上述の硬化樹脂の「高Tg化」と「フレキシビリティ」とは、一般的に反比例する特性である。このときリン含有難燃性エポキシ樹脂は、硬化後の樹脂のフレキシビリティの向上に寄与するもの、高Tg化に寄与するものが存在する。従って、1種類のリン含有難燃性エポキシ樹脂を用いるよりは、「高Tg化に寄与するリン含有難燃性エポキシ樹脂」と「フレキシビリティの向上に寄与するリン含有難燃性エポキシ樹脂」とをバランス良く配合して用いることで、フレキシブルプリント配線板用途で好適な樹脂組成とすることが可能である。
【0170】
D成分は、沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤に可溶で、液状ゴム成分で変成されたゴム変成ポリアミドイミド樹脂である。このゴム変成ポリアミドイミド樹脂は、ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させて得られるものである。ここで言う、ゴム変成ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させて用いるのは、ポリアミドイミド樹脂そのものの柔軟性を向上させる目的で行う。即ち、ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させ、ポリアミドイミド樹脂の酸成分(シクロヘキサンジカルボン酸等)の一部をゴム成分に置換するのである。ゴム成分としては、天然ゴム及び合成ゴムを含む概念として記載しており、後者の合成ゴムにはスチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム等がある。更に、耐熱性を確保する観点からは、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム等の耐熱性を備えた合成ゴムを選択使用することも有用である。これらのゴム性樹脂に関しては、ポリアミドイミド樹脂と反応して共重合体を製造するようになるため、両末端に種々の官能基を備えるものであることが望ましい。特に、カルボキシル基を有するCTBN(カルボキシ基末端ブタジエンニトリル)を用いることが有用である。なお、上記ゴム成分は、1種のみを共重合させても、2種以上を共重合させても構わない。更に、ゴム成分を用いる場合には、そのゴム成分の数平均分子量が1000以上のものを用いることが、当該フレキシビリティの安定化の観点から好ましい。
【0171】
ゴム変成ポリアミドイミド樹脂を重合させる際に、ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂との溶解に使用する溶剤には、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、ニトロエタン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン等を、1種又は2種以上を混合して用いることが好ましい。そして、重合反応を起こさせるには、80℃〜200℃の範囲の重合温度を採用することが好ましい。これらの重合に沸点が200℃を超える溶剤を用いた場合には、その後、用途に応じて沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤に溶媒置換することが好ましい。
【0172】
ここで、前記沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤としては、メチルエチルケトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の群から選ばれる1種の単独溶剤又は2種以上の混合溶剤が挙げられる。沸点が50℃未満の場合には、加熱による溶剤の気散が著しくなり、樹脂ワニスの状態から半硬化樹脂とする場合に、良好な半硬化状態が得られにくくなる。一方、沸点が200℃を超える場合には、樹脂ワニスの状態から半硬化樹脂とする場合に、バブリングが起こりやすくなるため、良好な半硬化樹脂膜が得られ難くなる。
【0173】
本件発明に係る樹脂組成物で用いるゴム変成ポリアミドイミド樹脂の中で、ゴム変成ポリアミドイミド樹脂の重量を100重量%としたとき、ゴム成分の共重合量は0.8重量%以上であることが好ましい。当該共重合量が0.8重量%未満の場合には、ゴム変成ポリアミドイミド樹脂としても、本件発明に言う樹脂組成物を用いて形成した樹脂層を硬化させたときのフレキシビリティが欠如し、銅箔との密着性も低下するため好ましくない。なお、より好ましくは、当該ゴム成分の共重合量は3重量%以上、更に好ましくは5重量%以上がより好ましい。経験的に40重量%を超えてゴム成分の添加量を向上させても、特段の問題はない。しかし、当該硬化後の樹脂層のフレキシビリティの向上効果は飽和するために資源の無駄となり好ましくない。
【0174】
以上に述べてきたゴム変成ポリアミドイミド樹脂には、溶剤に可溶であるという性質が求められる。溶剤に可溶でなければ、樹脂ワニスとしての調製が困難だからである。このゴム変成ポリアミドイミド樹脂は、樹脂組成物の重量を100重量部としたとき、10重量部〜40重量部の配合割合で用いる。ゴム変成ポリアミドイミド樹脂が10重量部未満の場合には、硬化後の樹脂層のフレキシビリティは向上させ難く、また脆くなり、樹脂層へのマイクロクラックを生じやすくなる。一方、40重量部を超えてゴム変成ポリアミドイミド樹脂を添加しても特に支障はないが、それ以上に硬化後の樹脂層のフレキシビリティは向上せず、硬化後の樹脂の高Tg化が図れない。従って、経済性を考慮すれば、40重量部が上限値であると言える。
【0175】
E成分の樹脂硬化剤に関して述べる。ここで言う樹脂硬化剤は、ビフェニル型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂の1種又は2種以上を用いる。一般的に、この樹脂硬化剤の添加量は、硬化させる樹脂に対する反応当量から自ずと導き出されるものであり、特段の量的な限定を要するものではない。しかしながら、本件発明に係る樹脂組成物の場合のE成分は、樹脂組成物を100重量部としたとき、20重量部〜35重量部の範囲で用いることが好ましい。このE成分が20重量部未満の場合には、上記樹脂組成を考慮すると、十分な硬化状態を得ることが出来なくなり、硬化後の樹脂としてフレキシビリティを得ることが出来なくなる。一方、E成分が35重量部を超える場合には、硬化した後の樹脂層の耐吸湿特性が劣化する傾向にあり、好ましくない。
【0176】
F成分のリン含有難燃剤に関して述べる。このリン含有難燃剤は、任意の添加成分であり、樹脂の硬化反応に寄与する必要はなく、単に難燃性を大幅に向上させるために用いる。このようなリン含有難燃剤としては、ホスファゼン化合物のハロゲンフリー難燃剤を用いることが好ましい。従って、このF成分は、0重量部〜7重量部の範囲で用いられる。ここで、「0重量部」と記載しているのは、F成分を用いる必要のない場合があり、任意の添加成分であることを明確にするためである。一方、F成分が7重量部を超えるようにしても、難燃性の顕著な向上は望めなくなる。
【0177】
前記樹脂組成物重量を100重量部としたとき、A成分が3重量部〜20重量部、B成分が3重量部〜30重量部、C成分が5重量部〜50重量部、D成分が10重量部〜40重量部、E成分が20重量部〜35重量部、F成分が0重量部〜7重量部であり、樹脂組成物重量を100重量%としたとき、樹脂組成物にはC成分由来のリン原子を0.5重量%〜3.0重量%の範囲で含有されることが好ましい。
前記D成分は、沸点が50℃〜200℃の範囲にあるメチルエチルケトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドの群から選ばれる1種の単独溶剤又は2種以上の混合溶剤に可溶な性質を備える液状ゴム成分で変成したゴム変成ポリアミドイミド樹脂であることが好ましい。
前記D成分であるゴム変成ポリアミドイミド樹脂は、ポリアミドイミドとゴム性樹脂とを反応させることで得られるものであることが好ましい。
前記樹脂層は前述の樹脂組成物に溶剤を加えて、樹脂固形分量が30重量%〜70重量%の範囲に調製し、MIL規格におけるMIL−P−13949Gに準拠して測定したときのレジンフローが1%〜30%の範囲にある半硬化樹脂層の形成が可能な樹脂組成物(樹脂ワニス)を用いて形成されることが好ましい。
前記樹脂層は以下の工程a、工程bの手順で樹脂層の形成に用いる樹脂ワニスを調製し、当該樹脂ワニスを銅箔の表面に塗布し、乾燥させることで10μm〜50μmの厚さの半硬化樹脂層として形成されることが好ましい。
工程a: A成分が3重量部〜20重量部、B成分が3重量部〜30重量部、C成分が5重量部〜50重量部、D成分が10重量部〜40重量部、E成分が20重量部〜35重量部、F成分が0重量部〜7重量部の範囲において、各成分を混合して、C成分由来のリン原子を0.5重量%〜3.0重量%の範囲含有する樹脂組成物とする。
工程b: 前記樹脂組成物を、有機溶剤を用いて溶解し、樹脂固形分量が30重量%〜70重量%の樹脂ワニスとする。
【0178】
前記樹脂層は内層フレキシブルプリント配線板を多層化するための接着層を形成するために用いる樹脂組成物であって、以下のA成分〜E成分の各成分を含む樹脂組成物で形成されることが好ましい。
A成分: 軟化点が50℃以上である固形状の高耐熱性エポキシ樹脂(但し、ビフェニ
ル型エポキシ樹脂を除く。)。
B成分: ビフェニル型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂の1
種又は2種以上からなるエポキシ樹脂硬化剤。
C成分: 沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤に可溶なゴム変性ポリアミドイミ
ド樹脂。
D成分: 有機リン含有難燃剤。
E成分: ビフェニル型エポキシ樹脂。
前記樹脂層を形成するために用いられる樹脂組成物は前記A成分〜E成分の各成分に加えて、更に、F成分として、リン含有難燃性エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
前記樹脂層を形成するために用いられる樹脂組成物はG成分として、エポキシ当量が200以下で、室温で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上からなるエポキシ樹脂を更に含むことが好ましい。
前記樹脂層を形成するために用いられる樹脂組成物はH成分として、熱可塑性樹脂及び/又は合成ゴムからなる低弾性物質を更に含むことが好ましい。
前記A成分の軟化点が50℃以上である固形状の高耐熱性エポキシ樹脂は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂のいずれか1種又は2種以上であることが好ましい。
前記A成分として、室温で液状のノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂のいずれか1種又は2種以上からなる高耐熱性エポキシ樹脂を更に含む樹脂組成物を用いて前記樹脂層を形成することが好ましい。
前記樹脂層を形成するための樹脂組成物の重量を100重量部としたとき、A成分が3重量部〜30重量部、B成分が13重量部〜35重量部、C成分が10重量部〜50重量部、D成分が3重量部〜16重量部、E成分が5重量部〜35重量部であることが好ましい。
【0179】
前記樹脂組成物に溶剤を加えて、樹脂固形分量が30重量%〜70重量%の範囲に調製した樹脂ワニスであって、半硬化樹脂層とした際に、MIL規格におけるMIL−P−13949Gに準拠して、樹脂厚さ55μmで測定したときのレジンフローが0%〜10%の範囲であることを特徴とする樹脂ワニスを用いて前記樹脂層を形成することが好ましい。
【0180】
前記樹脂層は以下の工程a、工程bの手順で樹脂層の形成に用いる樹脂ワニスを調製し、当該樹脂ワニスを表面処理銅箔の表面に塗布し、乾燥させることで10μm〜80μmの厚さの半硬化樹脂層として形成されることが好ましい。
工程a: 樹脂組成物重量を100重量部としたとき、A成分が3重量部〜30重量部、B成分が13重量部〜35重量部、C成分が10重量部〜50重量部、D成分が3重量部〜16重量部、E成分が5重量部〜35重量部の範囲で各成分を含有する樹脂組成物とする。
工程b: 前記樹脂組成物を、有機溶剤を用いて溶解し、樹脂固形分量が30重量%〜70重量%の樹脂ワニスとする。
【0181】
A成分は、軟化点が50℃以上である固形状の高耐熱性エポキシ樹脂である。A成分は
、所謂ガラス転移温度Tgが高いエポキシ樹脂である。エポキシ樹脂のうち、軟化点が50℃以上である固形状の高耐熱性エポキシ樹脂を採用した理由は、ガラス転移温度Tgが高く、少量添加することで、高耐熱効果が得られるからである。
【0182】
ここで言う「軟化点が50℃以上である固形状の高耐熱性エポキシ樹脂」は、クレゾー
ルノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂のいずれか1種又は2種以上であることが好ましい。
【0183】
なお、A成分には、上述の軟化点が50℃以上である固形状の高耐熱性エポキシ樹脂の他に、更に、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂のいずれか1種又は2種以上からなる高耐熱性エポキシ樹脂を含むものとしても良い。このように、A成分として、更に、室温で液状のノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂のいずれか1種又は2種以上からなる高耐熱性エポキシ樹脂を含むものとすれば、ガラス転移温度Tgの更なる向上及びBステージ割れを改善する効果を高めることができる。
【0184】
そして、A成分は、樹脂組成物を100重量部としたとき、3重量部〜30重量部の範囲で用いることが好ましい。A成分が3重量部未満の場合には、樹脂組成物の高Tg化が図りにくい。一方、A成分が30重量部を超える場合には、硬化後の樹脂層が脆くなり、フレキシビリティが完全に損なわれるためフレキシブルプリント配線板用途として好ましくない。より好ましくは、A成分は、10重量部〜25重量部の範囲で用いることで、樹脂組成物の高Tg化と硬化後の樹脂層の良好なフレキシビリティとを安定して両立できる。
【0185】
B成分は、ビフェニル型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂の1種又は2種以上からなるエポキシ樹脂硬化剤である。エポキシ樹脂硬化剤の添加量は、硬化させる樹脂に対する反応当量から自ずと導き出されるものであり、特段の量的な限定を要するものではない。しかしながら、本件発明に係る樹脂組成物の場合、B成分は、樹脂組成物を100重量部としたとき、13重量部〜35重量部の範囲で用いることが好ましい。このB成分が13重量部未満の場合には、本件発明の樹脂組成を考慮すると、十分な硬化状態を得ることが出来なくなり、硬化後の樹脂層のフレキシビリティを得ることが出来なくなる。一方、B成分が35重量部を超える場合には、硬化後の樹脂層の耐吸湿特性が劣化する傾向にあり、好ましくない。
ビフェニル型フェノール樹脂の具体例を化25に示す。
【0187】
また、フェノールアラルキル型フェノール樹脂の具体例を化26に示す。
【0189】
C成分は、沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤に可溶なゴム変性ポリアミドイミド樹脂である。当該C成分を配合することにより、フレキシブル性能を向上させるとともに、樹脂流れを抑制する効果が得られる。このゴム変性ポリアミドイミド樹脂は、ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させて得られるものであり、ポリアミドイミド樹脂そのものの柔軟性を向上させる目的で行う。即ち、ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させ、ポリアミドイミド樹脂の酸成分(シクロヘキサンジカルボン酸等)の一部をゴム成分に置換するのである。ゴム成分としては、天然ゴム及び合成ゴムを含む概念として記載しており、後者の合成ゴムにはスチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム等がある。更に、耐熱性を確保する観点からは、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム等の耐熱性を備えた合成ゴムを選択使用することも有用である。これらのゴム性樹脂に関しては、ポリアミドイミド樹脂と反応して共重合体を製造するため、両末端に種々の官能基を備えるものであることが望ましい。特に、カルボキシル基を有するCTBN(カルボキシ基末端ブタジエンニトリルゴム)を用いることが有用である。なお、上記ゴム成分は、1種のみを共重合させても、2種以上を共重合させても構わない。更に、ゴム成分を用いる場合には、そのゴム成分の数平均分子量が1000以上のものを用いることが、フレキシビリティの安定化の観点から好ましい。
【0190】
ゴム変性ポリアミドイミド樹脂を重合させる際に、ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂との溶解に使用する溶剤には、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、ニトロエタン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン等を、1種又は2種以上を混合して用いることが好ましい。そして、重合反応を起こさせるには、80℃〜200℃の範囲の重合温度を採用することが好ましい。これらの重合に沸点が200℃を超える溶剤を用いた場合には、その後、用途に応じて沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤に溶媒置換することが好ましい。
【0191】
ここで、沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤としては、メチルエチルケトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の群から選ばれる1種の単独溶剤又は2種以上の混合溶剤が挙げられる。沸点が50℃未満の場合には、加熱による溶剤の気散が著しくなり、樹脂ワニスの状態から半硬化樹脂とする場合に、良好な半硬化状態が得られにくくなる。一方、沸点が200℃を超える場合には、樹脂ワニスの状態から半硬化樹脂とする場合に、溶剤が乾きにくいため、良好な半硬化樹脂層が得られ難くなる。
【0192】
本件発明に係る樹脂組成物で用いるゴム変性ポリアミドイミド樹脂の中で、ゴム変性ポリアミドイミド樹脂の重量を100重量%としたとき、ゴム成分の共重合量は0.8重量%以上であることが好ましい。当該共重合量が0.8重量%未満の場合には、ゴム変性ポリアミドイミド樹脂としても、本件発明に言う樹脂組成物を用いて形成した樹脂層を硬化させたときのフレキシビリティが欠如し、銅箔との密着性も低下するため好ましくない。なお、より好ましくは、当該ゴム成分の共重合量は3重量%以上、更に好ましくは5重量%以上がより好ましい。経験的に共重合量が40重量%を超えても特段の問題はない。しかし、当該硬化後の樹脂層のフレキシビリティの向上効果は飽和するために資源の無駄となり好ましくない。
【0193】
以上に述べてきたゴム変性ポリアミドイミド樹脂には、溶剤に可溶であるという性質が求められる。溶剤に可溶でなければ、樹脂ワニスとしての調製が困難だからである。そして、このゴム変性ポリアミドイミド樹脂は、樹脂組成物の重量を100重量部としたとき、10重量部〜50重量部の配合割合で用いる。ゴム変性ポリアミドイミド樹脂が10重量部未満の場合には、樹脂流れの抑制効果が発揮されにくい。また、硬化後の樹脂層が脆くなり、フレキシビリティが向上させ難くなる。その結果、樹脂層のマイクロクラックが生じやすくなるといった影響が生じる。一方、50重量部を超えてゴム変性ポリアミドイミド樹脂を添加した場合、内層回路への埋め込み性が低下し、結果としてボイドが生じやすくなるため、好ましくない。
【0194】
D成分は、有機リン含有難燃剤であり、難燃性を向上させるために用いる。有機リン含有難燃剤としては、リン酸エステル及び/又はホスファゼン化合物からなるリン含有難燃剤が挙げられる。このD成分は、樹脂組成物を100重量部としたとき、3重量部〜16重量部の範囲で用いることが好ましい。D成分の含有量を3重量部未満とすると、難燃性の効果が得られない。一方、D成分の含有量が16重量部を超えるようにしても、難燃性の向上が望めない。なお、D成分のより好ましい含有量は、5重量部〜14重量部である。
【0195】
なお、本件発明に係る樹脂組成物は、樹脂組成物重量を100重量%としたとき、リンの総含有量が0.5重量%〜5重量%の範囲となるように添加すると、難燃性が確保されるため好ましい。
【0196】
E成分は、ビフェニル型エポキシ樹脂である。ビフェニル型エポキシ樹脂は、所謂ガラス転移温度Tgの向上と屈曲性の向上に寄与する。ビフェニル型エポキシ樹脂は、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂が挙げられる。このE成分は、樹脂組成物を100重量部としたとき、5重量部〜35重量部の範囲で用いることが好ましい。E成分の含有量を5重量部未満とすると、ガラス転移温度Tg及び屈曲性を高くする効果が得られない。一方、E成分の含有量が35重量部を超えるようにしても、高Tg化が望めない上に、屈曲性の向上が望めない。なお、E成分のより好ましい含有量は、7重量部〜25重量部である。
【0197】
上記A成分〜E成分の他に、更に、F成分として、リン含有難燃性エポキシ樹脂を含む樹脂組成物とすると、難燃性を更に向上させることができる。リン含有難燃性エポキシ樹脂とは、エポキシ骨格の中にリンを含んだエポキシ樹脂の総称であり、所謂ハロゲンフリー系の難燃性エポキシ樹脂である。そして、本件出願に係る樹脂組成物のリン原子含有量を、樹脂組成物重量を100重量%としたとき、F成分由来のリン原子を0.1重量%〜5重量%の範囲とできるリン含有難燃性エポキシ樹脂であれば、いずれの使用も可能である。しかしながら、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド誘導体である、分子内に2以上のエポキシ基を備えるリン含有難燃性エポキシ樹脂を用いることが、半硬化状態での樹脂品質の安定性に優れ、同時に難燃性効果が高いため好ましい。参考のために、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドの構造式を化27に示す。
【0199】
この9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド誘導体である、分子内に2以上のエポキシ基を備えるリン含有難燃性エポキシ樹脂は、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドにナフトキノンやハイドロキノンを反応させて、以下の化28又は化29に示す化合物とした後に、そのOH基の部分にエポキシ樹脂を反応させてリン含有難燃性エポキシ樹脂としたものが好ましい。
【0202】
そして、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド誘導体である、分子内に2以上のエポキシ基を備えるリン含有難燃性エポキシ樹脂を具体的に例示すると、化30,化31または化32に示す構造式を備える化合物の使用が好ましい。
【0206】
ここでリン含有難燃性エポキシ樹脂を用いる場合の樹脂組成物は、F成分としてのリン含有難燃性エポキシ樹脂の1種類を単独で用いても、2種類以上のリン含有難燃性エポキシ樹脂を混合して用いても構わない。但し、F成分としてのリン含有難燃性エポキシ樹脂の総量を考慮して、樹脂組成物重量を100重量%としたとき、F成分由来のリン原子を0.1重量%〜5重量%の範囲となるように添加することが好ましい。リン含有難燃性エポキシ樹脂は、その種類によりエポキシ骨格内に含有するリン原子量が異なる。そこで、上述のようにリン原子の含有量を規定して、F成分の添加量に代えることが可能である。但し、F成分は、通常、樹脂組成物を100重量部としたとき、5重量部〜50重量部の範囲で用いられる。F成分が5重量部未満の場合には、他の樹脂成分の配合割合を考慮すると、F成分由来のリン原子を0.1重量%以上とすることが困難になり、難燃性の向上効果を得ることが出来ない。一方、F成分が50重量部を超えるようにしても、難燃性向上効果も飽和すると同時に、硬化後の樹脂層が脆くなるため好ましくない。
【0207】
上述の硬化樹脂層の「高Tg化」と「フレキシビリティ」とは、一般的に反比例する特性である。このときリン含有難燃性エポキシ樹脂は、硬化後の樹脂層のフレキシビリティの向上に寄与するもの、高Tg化に寄与するものが存在する。従って、1種類のリン含有難燃性エポキシ樹脂を用いるよりは、「高Tg化に寄与するリン含有難燃性エポキシ樹脂」と「フレキシビリティの向上に寄与するリン含有難燃性エポキシ樹脂」とをバランス良く配合して用いることで、フレキシブルプリント配線板用途で好適な樹脂組成物とすることが可能である。
【0208】
本件発明に係る樹脂組成物は、更に、G成分として、エポキシ当量が200以下で、室温で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上からなるエポキシ樹脂を含むものとしても良い。ここで、ビスフェノール系エポキシ樹脂を選択使用しているのは、C成分(ゴム変性ポリアミドイミド樹脂)との相性が良く、半硬化樹脂層に適度なフレキシビリティの付与が容易だからである。そして、エポキシ当量が200を超えると、樹脂が室温で半固形となり、半硬化状態でのフレキシビリティが減少するので好ましくない。更に、上述のビスフェノール系エポキシ樹脂であれば、1種を単独で用いても、2種以上を混合で用いても構わない。しかも、2種以上を混合して用いる場合には、その混合比に関しても特段の限定はない。
【0209】
このG成分のエポキシ樹脂は、樹脂組成物を100重量部としたとき、2重量部〜15重量部の配合割合で用いることが、熱硬化性を十分に発揮し、半硬化状態において、カールと呼ばれる反り現象の発生を低減させることが可能となり、また、半硬化状態での樹脂層のフレキシビリティの更なる向上を図ることができるため好ましい。当該エポキシ樹脂が15重量部を超えると、他の樹脂成分とのバランスから難燃性が低下したり、硬化後の樹脂層が硬くなる傾向がある。しかも、C成分(ゴム変性ポリアミドイミド樹脂)の添加量を考慮すると、硬化後の樹脂層として十分な靭性が得られなくなる。
【0210】
本件発明に係る樹脂組成物は、更に、H成分として、熱可塑性樹脂及び/又は合成ゴムからなる低弾性物質を含むものとしても良い。H成分を含む樹脂組成物とすることにより、樹脂組成物の半硬化状態における割れを防ぎ、且つ硬化後のフレキシビリティを向上させることができる。このH成分としての低弾性物質は、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム、アクリルゴム(アクリル酸エステル共重合体)、ポリブタジエンゴム、イソプレン、水素添加型ポリブタジエン、ポリビニルブチラール、ポリエーテルサルフォン、フェノキシ、高分子エポキシ、芳香族ポリアミドが挙げられる。これらの中から1種を単独で用いても、2種以上を混合で用いても構わない。特に、アクリロニトリルブタジエンゴムを用いることが好ましい。アクリロニトリルブタジエンゴムの中でも、カルボキシル変性体であると、エポキシ樹脂と架橋構造を取り、硬化後の樹脂層のフレキシビリティを向上させることができる。カルボキシル変性体としては、カルボキシ基末端ニトリルブタジエンゴム(CTBN)、カルボキシ基末端ブタジエンゴム(CTB)、カルボキシ変性ニトリルブタジエンゴム(C−NBR)を用いることが好ましい。
【0211】
H成分は、樹脂組成物を100重量部としたとき、25重量部以下の配合割合で用いることが好ましい。25重量部を超える量のH成分を加えると、ガラス転移温度Tgの低下、半田耐熱性能の低下、ピール強度の低下、熱膨張係数の増大といった問題が発生するため好ましくない。
【0212】
本件発明に係る樹脂組成物は、上述のA成分〜E成分を組み合わせることにより、難燃性の向上及びガラス転移温度Tgが高くなり、また、耐折性の熱劣化を防ぐことができる。そして、従来の接着剤用樹脂組成物のような無機充填剤を加えることなく、十分な屈曲性を得ることができる。さらに、半硬化状態での割れや打ち抜き加工時の粉落ちを防ぐことができる。
【0213】
本件発明に係る樹脂ワニス: 本件発明に係る樹脂ワニスは、上述の樹脂組成物に溶剤を加えて、樹脂固形分量が30重量%〜70重量%の範囲に調製したものである。そして、この樹脂ワニスにより形成する半硬化樹脂層は、MIL規格におけるMIL−P−13949Gに準拠して樹脂厚さを55μmとして測定したときのレジンフローが0%〜10%の範囲にあることを特徴とする。ここで言う溶剤には、上述の沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤であるメチルエチルケトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の群から選ばれる1種の単独溶剤又は2種以上の混合溶剤を用いることが好ましい。上述のように良好な半硬化樹脂層を得るためである。そして、ここに示した樹脂固形分量の範囲が、銅箔の表面に塗布したときに、最も膜厚を精度の良いものに制御できる範囲である。樹脂固形分が30重量%未満の場合には、粘度が低すぎて、銅箔表面への塗布直後に流れて膜厚均一性を確保しにくい。これに対して、樹脂固形分が70重量%を超えると、粘度が高くなり、銅箔表面への薄膜形成が困難となる。
【0214】
当該樹脂ワニスは、これを用いて半硬化樹脂層を形成したとき、測定したレジンフローが0%〜10%の範囲にあることが好ましい。当該レジンフローが高いと、樹脂付銅箔の樹脂層を用いて形成する絶縁層の厚さが不均一になる。しかし、本件発明に係る樹脂ワニスは、レジンフローを10%以下という低い値に抑えることができる。なお、本件発明に係る樹脂ワニスは、樹脂流れが殆ど生じないレベルが実現可能であるので、当該レジンフローの下限値を0%とした。なお、本件発明に係る樹脂ワニスのレジンフローのより好ましい範囲は0%〜5%である。
【0215】
本件明細書において、レジンフローとは、MIL規格におけるMIL−P−13949Gに準拠して、樹脂厚さを55μmとした樹脂付銅箔から10cm角試料を4枚サンプリングし、この4枚の試料を重ねた状態(積層体)でプレス温度171℃、プレス圧14kgf/cm2、プレス時間10分の条件で張り合わせ、そのときの樹脂流出重量を測定した結果から数1に基づいて算出した値である。
【0217】
また、前記樹脂層は溶剤に可溶で且つ官能基として分子内に水酸基、カルボキシル基、アミノ基の1種又は2種以上を有するポリマー成分を2重量部〜50重量部、沸点200℃以上のエポキシ樹脂及び沸点200℃以上のアミン系エポキシ樹脂硬化剤からなるエポキシ樹脂配合物を50重量部以上、を含有してもよい。前記樹脂層はフッ素樹脂基材またはフッ素樹脂フィルム接着用樹脂であってもよい。また、前記ポリマー成分は、ポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂の群から選ばれた1種又は2種以上を混合したものであってもよい。前記沸点200℃以上のエポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ゴム変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上を混合したものであってもよい。
前記アミン系エポキシ樹脂硬化剤は、芳香族ポリアミン、ポリアミド類及びこれらをエポキシ樹脂や多価カルボン酸と重合或いは縮合させて得られるアミンアダクト体の群から選ばれた1種又は2種以上を用いてもよい。
【0218】
なお、前記フッ素樹脂基材またはフッ素樹脂フィルムとは、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン(4フッ化))、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(4.6フッ化))、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド(2フッ化))、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン(3フッ化))、ポリアリルスルフォン、芳香族ポリスルフィドおよび芳香族ポリエーテルの中から選ばれるいずれか少なくとも1種の熱可塑性樹脂とフッ素樹脂とからなるフッ素系樹脂等を用いた基材またはフィルムであってもよい。ガラスクロス等の骨格材を含んでも含まなくとも構わない。また、このフッ素樹脂基材の厚さに関しても、特段の限定はない。
【0219】
また、前記硬化剤としては、単に硬化させることのみを目的とすれば、ジシアンジアミド、イミダゾール類、芳香族アミン等のアミン類、ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールA等のフェノール類、フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂等のノボラック類、無水フタル酸等の酸無水物等のあらゆる硬化剤を用いることができる。これらの硬化剤はエポキシ樹脂に特に有効である。しかしながら、沸点200℃以上のアミン系エポキシ樹脂硬化剤を用いることが、フッ素樹脂基材と金属箔との密着性を顕著に向上させるという観点から最も好ましい。プレス成形温度が180℃付近であり、このプレス成形温度付近に硬化剤の沸点があると、プレス成形によりエポキシ樹脂硬化剤が沸騰するため硬化した絶縁樹脂層内に気泡が発生しやすくなる。そして、フッ素樹脂基材と金属箔との間に接着層を構成するのにアミン系エポキシ樹脂硬化剤を用いると最も安定した密着性が得られる。即ち、「沸点200℃以上のアミン系エポキシ樹脂硬化剤」とは、芳香族ポリアミン、ポリアミド類及びこれらをエポキシ樹脂や多価カルボン酸と重合或いは縮合させて得られるアミンアダクト体の群から選ばれた一種又は二種以上を用いる場合を言う。そして、これをより具体的に言えば、4,4’−ジアミノジフェニレンサルフォン、3,3’−ジアミノジフェニレンサルフォン、4,4−ジアミノジフェニレル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]サルフォンのいずれかを用いることが好ましい。また、当該アミン系エポキシ樹脂硬化剤のエポキシ樹脂に対する添加量は、それぞれの当量から自ずと導き出されるものであるため、本来厳密にその配合割合を明記する必要性はないものと考える。従って、本件発明では、硬化剤の添加量を特に限定していない。
【0220】
また、必要に応じて適宜量添加する硬化促進剤を用いることも好ましい。ここで言う硬化促進剤とは、3級アミン、イミダゾール、尿素系硬化促進剤等である。本件発明では、この硬化促進剤の配合割合は、特に限定を設けていない。なぜなら、硬化促進剤は、プレス加工時の加熱条件等を考慮して、製造者が任意に選択的に添加量を定めて良いものであるからである。
【0221】
そして、前記樹脂層はゴム性樹脂を含むことも好ましい。ここで言うゴム性樹脂とは、天然ゴム及び合成ゴムを含む概念として記載しており、後者の合成ゴムにはスチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム等がある。更に、耐熱性を要求される場合には、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム等の耐熱性合成ゴムを選択使用することも有用である。これらのゴム性樹脂に関しては、上記ポリマー成分と反応して共重合体を形成するように、両末端に種々の官能基を備えるものであることが望ましい。
【0222】
更に、上記高分子ポリマーの架橋剤を必要に応じて添加して用いることも好ましい。例えば、上記高分子ポリマーとして、ポリビニルアセタール樹脂を用いる場合には、ウレタン樹脂を架橋材として用いる等である。
【0223】
前記樹脂層の樹脂組成物の構成成分は、樹脂組成物を100重量部としたとき、エポキシ樹脂が50重量部〜80重量部、硬化剤が1重量部〜15重量部、硬化促進剤が0.01重量部〜1.0重量部、ポリマー成分が2重量部〜50重量部、架橋剤が1重量部〜5重量部、ゴム性樹脂が1重量部〜10重量部の範囲の組成を採用してもよい。この組成範囲に含まれる限り、フッ素樹脂基材と金属箔との良好な密着性を維持し、且つ、製品の密着性のバラツキが少なくなる。
【0224】
前記樹脂層は5〜50重量部のエポキシ樹脂(硬化剤を含む)、50〜95重量部のポリエーテルサルホン樹脂(末端に水酸基又はアミノ基を持ち且つ溶剤に可溶なもの)、及び、必要に応じて適宜量添加する硬化促進剤からなる樹脂混合物を用いて形成したものまたは当該樹脂混合物を半硬化させたものであってもよい。
【0225】
前記樹脂層は銅箔側から順に第1熱硬化性樹脂層と、当該第1熱硬化性樹脂層の表面に位置する第2熱硬化性樹脂層とを有する樹脂層であって、第1熱硬化性樹脂層は、配線板製造プロセスにおけるデスミア処理時の薬品に溶解しない樹脂成分で形成されたものであり、第2熱硬化性樹脂層は、配線板製造プロセスにおけるデスミア処理時の薬品に溶解し洗浄除去可能な樹脂を用いて形成したものであってもよい。前記第1熱硬化性樹脂層は、ポリイミド樹脂、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンオキサイドのいずれか一種又は2種以上を混合した樹脂成分を用いて形成したものであってもよい。前記第2熱硬化性樹脂層は、エポキシ樹脂成分を用いて形成したものであってもよい。前記第1熱硬化性樹脂層の厚さt1(μm)は、表面処理銅箔の粗化面粗さをRz(μm)とし、第2熱硬化性樹脂層の厚さをt2(μm)としたとき、t1は、Rz<t1<t2の条件を満たす厚さであることが好ましい。
【0226】
前記樹脂層は骨格材に樹脂を含浸させたプリプレグであってもよい。前記骨格材に含浸させた樹脂は熱硬化性樹脂であることが好ましい。前記プリプレグは公知のプリプレグまたはプリント配線板製造に用いるプリプレグであってもよい。前記プリプレグは次の工程を有する製造方法により製造されたプリプレグであってもよい。1.液体状の熱硬化性樹脂を用いて、平坦なワーク平面の上に所定厚さの被膜として液体樹脂層を形成する液体樹脂被膜形成工程。2.ワーク平面上にある液体樹脂層を、そのままの状態で乾燥させることで乾燥樹脂層とする予備乾燥工程。3.ワーク平面上にある前記乾燥樹脂層の表面に、骨格材を重ね合わせ、予備加熱して圧着することで骨格材付乾燥樹脂層とする骨格材予備接着工程。4.ワーク平面上に骨格材付乾燥樹脂層を載置したまま、樹脂が再流動可能な温度で加熱し、当該骨格材に熱硬化性樹脂成分を含浸させる樹脂含浸工程。5.樹脂含浸が終了すると、熱硬化性樹脂を完全硬化させることなく、直ちに降温操作を行い、骨格材に含浸させた熱硬化性樹脂の半硬化状態を維持してプリプレグ状態となるようにする冷却工程。
【0227】
前記骨格材はアラミド繊維又はガラス繊維又は全芳香族ポリエステル繊維を含んでもよい。前記骨格材はアラミド繊維又はガラス繊維又は全芳香族ポリエステル繊維の不織布若しくは織布であることが好ましい。また、前記全芳香族ポリエステル繊維は融点が300℃以上の全芳香族ポリエステル繊維であることが好ましい。前記融点が300℃以上の全芳香族ポリエステル繊維とは、所謂液晶ポリマーと称される樹脂を用いて製造される繊維であり、当該液晶ポリマーは2−ヒドロキシル−6−ナフトエ酸及びp−ヒドロキシ安息香酸の重合体を主成分とするものである。この全芳香族ポリエステル繊維は、低誘電率、低い誘電正接を持つため、電気的絶縁層の構成材として優れた性能を有し、ガラス繊維及びアラミド繊維と同様に使用することが可能なものである。
なお、前記不織布及び織布を構成する繊維は、その表面の樹脂との濡れ性を向上させるため、シランカップリング剤処理を施す事が好ましい。このときのシランカップリング剤は、使用目的に応じてアミノ系、エポキシ系等のシランカップリング剤を用いればよいのである。
【0228】
また、前記プリプレグは公称厚さが70μm以下のアラミド繊維又はガラス繊維を用いた不織布、あるいは、公称厚さが30μm以下のガラスクロスからなる骨格材に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグであってもよい。
【0229】
これらの樹脂を例えばメチルエチルケトン(MEK)、シクロペンタノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、トルエン、メタノール、エタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、エチルセロソルブ、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどの溶剤に溶解して樹脂液とし、これを前記極薄銅層上、あるいは前記耐熱層、防錆層、あるいは前記クロメート処理層、あるいは前記シランカップリング剤層の上に、例えばロールコータ法などによって塗布し、ついで必要に応じて加熱乾燥して溶剤を除去しBステージ状態にする。乾燥には例えば熱風乾燥炉を用いればよく、乾燥温度は100〜250℃、好ましくは130〜200℃であればよい。前記樹脂層の組成物を、溶剤を用いて溶解し、樹脂固形分3wt%〜60wt%、好ましくは、10wt%〜40wt%、より好ましくは25wt%〜40wt%の樹脂液としてもよい。なお、メチルエチルケトンとシクロペンタノンとの混合溶剤を用いて溶解することが、環境的な見地より現段階では最も好ましい。
【0230】
前記樹脂層を備えた表面処理銅箔(樹脂付き表面処理銅箔)は、その樹脂層を基材に重ね合わせたのち全体を熱圧着して該樹脂層を熱硬化せしめ、ついで銅箔に所定の配線パターンを形成するという態様で使用される。また、当該表面処理銅箔を極薄銅層として用いたキャリア付銅箔について、樹脂層を備えたキャリア付銅箔(樹脂付きキャリア付銅箔)は、その樹脂層を基材に重ね合わせたのち全体を熱圧着して該樹脂層を熱硬化せしめ、ついでキャリアを剥離して極薄銅層を表出せしめ(当然に表出するのは該極薄銅層の中間層側の表面である)、そこに所定の配線パターンを形成するという態様で使用される。
【0231】
この樹脂付き表面処理銅箔或いは樹脂付きキャリア付銅箔を使用すると、多層プリント配線基板の製造時におけるプリプレグ材の使用枚数を減らすことができる。しかも、樹脂層の厚みを層間絶縁が確保できるような厚みにしたり、プリプレグ材を全く使用していなくても銅張積層板を製造することができる。またこのとき、基材の表面に絶縁樹脂をアンダーコートして表面の平滑性を更に改善することもできる。
【0232】
なお、プリプレグ材を使用しない場合には、プリプレグ材の材料コストが節約され、また積層工程も簡略になるので経済的に有利となり、しかも、プリプレグ材の厚み分だけ製造される多層プリント配線基板の厚みは薄くなり、特に樹脂付きキャリア付銅箔については1層の厚みが100μm以下である極薄の多層プリント配線基板を製造することができるという利点がある。当該樹脂層の厚みは0.1〜120μmであることが好ましい。
【0233】
樹脂層の厚みが0.1μmより薄くなると、接着力が低下し、プリプレグ材を介在させることなくこの樹脂付き表面処理銅箔或いは樹脂付きキャリア付銅箔を内層材を備えた基材に積層したときに、内層材の回路との間の層間絶縁を確保することが困難になる場合がある。また、前記硬化樹脂層、半硬化樹脂層との総樹脂層厚みは0.1μm〜120μmであるものが好ましく、35μm〜120μmのものが実用上好ましい。そして、その場合の各厚みは、硬化樹脂層は5〜20μmで、半硬化樹脂層は15〜115μmであることが望ましい。総樹脂層厚みが120μmを超えると、薄厚の多層プリント配線板を製造することが難しくなる場合があり、35μm未満では薄厚の多層プリント配線板を形成し易くなるものの、内層の回路間における絶縁層である樹脂層が薄くなりすぎ、内層の回路間の絶縁性を不安定にする傾向が生じる場合があるためである。また、硬化樹脂層厚みが5μm未満であると、銅箔粗化面の表面粗度を考慮する必要が生じる場合がある。逆に硬化樹脂層厚みが20μmを超えると硬化済み樹脂層による効果は特に向上することがなくなる場合があり、総絶縁層厚は厚くなる。また、前記硬化樹脂層は、厚さが3μm〜30μmであってもよい。また、前記半硬化樹脂層は、厚さが7μm〜55μmであってもよい。また、前記硬化樹脂層と前記半硬化樹脂層との合計厚さは10μm〜60μmであってもよい。
【0234】
また、樹脂付き表面処理銅箔或いは樹脂付きキャリア付銅箔が極薄の多層プリント配線板を製造することに用いられる場合には、前記樹脂層の厚みを0.1μm〜5μm、より好ましくは0.5μm〜5μm、より好ましくは1μm〜5μmとすることが、多層プリント配線板の厚みを小さくするために好ましい。なお、前記樹脂層の厚みを0.1μm〜5μmとする場合には、樹脂層と銅箔との密着性を向上させるため、表面処理層の上に耐熱層および/または防錆層および/またはクロメート処理層および/またはシランカップリング処理層を設けた後に、当該耐熱層または防錆層またはクロメート処理層またはシランカップリング処理層の上に樹脂層を形成することが好ましい。
また、樹脂層が誘電体を含む場合には、樹脂層の厚みは0.1〜50μmであることが好ましく、0.5μm〜25μmであることが好ましく、1.0μm〜15μmであることがより好ましい。なお、前述の樹脂層の厚みは、任意の10点において断面観察により測定した厚みの平均値をいう。
【0235】
一方、樹脂層の厚みを120μmより厚くすると、1回の塗布工程で目的厚みの樹脂層を形成することが困難となり、余分な材料費と工数がかかるため経済的に不利となる。更には、形成された樹脂層はその可撓性が劣るので、ハンドリング時にクラックなどが発生しやすくなり、また内層材との熱圧着時に過剰な樹脂流れが起こって円滑な積層が困難になる場合がある。
【0236】
更に、樹脂付きキャリア付銅箔のもう一つの製品形態としては、前記極薄銅層上、あるいは前記耐熱層、防錆層、あるいは前記クロメート処理層、あるいは前記シランカップリング処理層の上に樹脂層で被覆し、半硬化状態とした後、ついでキャリアを剥離して、キャリアが存在しない樹脂付き銅箔の形で製造することも可能である。
【0237】
以下に、本発明に係る表面処理銅箔或いはキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造工程の例を幾つか示す。また、プリント配線板に電子部品類を搭載することで、プリント回路板が完成する。
【0238】
セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明の表面処理銅箔と絶縁基板とを準備する工程、前記表面処理銅箔を、表面処理層側から絶縁基板に積層する工程、前記絶縁基板上の表面処理銅箔を除去する工程、前記表面処理銅箔を除去した絶縁基板の表面に回路を形成する工程を含む。
【0239】
図1に銅箔のプロファイルを使用したセミアディティブ工法の概略例を示す。当該工法では、銅箔の表面プロファイルを用いている。具体的には、まず、樹脂基材に本発明の銅箔を積層させて銅張積層体を作製する。次に、銅張積層体の銅箔を全面エッチングする。次に、銅箔表面プロファイルが転写した樹脂基材(全面エッチング基材)の表面に無電解銅メッキを施す。そして、樹脂基材(全面エッチング基材)の回路を形成しない部分をドライフィルム等で被覆し、ドライフィルムに被覆されていない無電解銅メッキ層の表面に電気(電解)銅メッキを施す。その後、ドライフィルムを除去した後に、回路を形成しない部分に形成された無電解銅メッキ層を除去することにより微細な回路を形成する。本発明で形成される微細回路は、本発明の銅箔表面プロファイルが転写された樹脂基材(全面エッチング基材)のエッチング面と密着しているため、その密着力(ピール強度)が良好となっている。
【0240】
絶縁基板は内層回路入りのものとすることも可能である。また、本発明において、セミアディティブ法とは、絶縁基板又は銅箔シード層上に薄い無電解めっきを行い、パターンを形成後、電気めっき及びエッチングを用いて導体パターンを形成する方法を指す。
【0241】
セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明のキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、前記キャリア付銅箔を極薄銅層側から絶縁基板に積層する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、前記キャリアを剥がした後の絶縁基板上の極薄銅層を除去する工程、前記極薄銅層を除去した絶縁基板の表面に回路を形成する工程を含む。
【0242】
本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明の表面処理銅箔と絶縁基板とを準備する工程、前記表面処理銅箔を、表面処理層側から絶縁基板に積層して銅張積層板を形成し、その後、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって、回路を形成する工程を含む。
【0243】
本発明において、サブトラクティブ法とは、銅張積層板上の銅箔の不要部分を、エッチングなどによって、選択的に除去して、導体パターンを形成する方法を指す。
【0244】
本発明において、パートリーアディティブ法とは、導体層を設けてなる基板、必要に応じてスルーホールやバイアホール用の孔を穿けてなる基板上に触媒核を付与し、エッチングして導体回路を形成し、必要に応じてソルダレジストまたはメッキレジストを設けた後に、前記導体回路上、スルーホールやバイアホールなどに無電解めっき処理によって厚付けを行うことにより、プリント配線板を製造する方法を指す。
【0245】
本発明において、モディファイドセミアディティブ法とは、絶縁層上に金属箔を積層し、めっきレジストにより非回路形成部を保護し、電解めっきにより回路形成部の銅厚付けを行った後、レジストを除去し、前記回路形成部以外の金属箔を(フラッシュ)エッチングで除去することにより、絶縁層上に回路を形成する方法を指す。
【0246】
本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明のキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、前記キャリア付銅箔を極薄銅層側から絶縁基板に積層する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程を経て銅張積層板を形成し、その後、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって、回路を形成する工程を含む。
【0247】
セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、回路が形成された金属箔を準備する工程、前記回路が埋没するように前記金属箔表面に樹脂層を形成する工程、本発明の表面処理銅箔を、表面処理層側から前記樹脂層に積層する工程、前記樹脂層上の表面処理銅箔を除去する工程、前記表面処理銅箔を除去した樹脂層の表面に回路を形成する工程、及び、前記金属箔を除去することで、前記金属箔表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程を含む。
【0248】
セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明のキャリア付銅箔を第1のキャリア付銅箔とし、前記第1のキャリア付銅箔の極薄銅層側表面に回路を形成する工程、前記回路が埋没するように前記第1のキャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面に樹脂層を形成する工程、第2のキャリア付銅箔を準備し、前記第2のキャリア付銅箔の極薄銅層側から前記樹脂層に積層する工程、前記第2のキャリア付銅箔を前記樹脂層に積層した後に、前記第2のキャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、前記第2のキャリア付銅箔のキャリアを剥がした後の樹脂層上の極薄銅層を除去する工程、前記極薄銅層を除去した樹脂層の表面に回路を形成する工程、前記樹脂層上に回路を形成した後に、前記第1のキャリア付銅箔のキャリアを剥離させる工程、及び、前記第1のキャリア付銅箔のキャリアを剥離させた後に、前記第1のキャリア付銅箔の極薄銅層を除去することで、前記第1のキャリア付銅箔の極薄銅層側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程を含む。
【0249】
本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、回路が形成された金属箔を準備する工程、前記回路が埋没するように前記金属箔表面に樹脂層を形成する工程、本発明の表面処理銅箔を、表面処理層側から樹脂層に積層し、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって前記樹脂層上に回路を形成する工程、及び、前記金属箔を除去することで、前記金属箔表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程を含む。
【0250】
本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明のキャリア付銅箔を第1のキャリア付銅箔とし、前記第1のキャリア付銅箔の極薄銅層側表面に回路を形成する工程、前記回路が埋没するように前記第1のキャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面に樹脂層を形成する工程、第2のキャリア付銅箔を準備し、前記第2のキャリア付銅箔の極薄銅層側から前記樹脂層に積層して前記第2のキャリア付銅箔のキャリアを剥がし、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって前記樹脂層上に回路を形成する工程、前記樹脂層上に回路を形成した後に、前記第1のキャリア付銅箔のキャリアを剥離させる工程、及び、前記第1のキャリア付銅箔のキャリアを剥離させた後に、前記第1のキャリア付銅箔の極薄銅層を除去することで、前記第1のキャリア付銅箔の極薄銅層側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程を含む。
【0251】
セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、前記極薄銅層をエッチングにより除去することにより露出した前記樹脂にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、前記樹脂および前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、前記めっきレジストを除去する工程、前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程を含む。
【0252】
セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、前記極薄銅層をエッチングにより除去することにより露出した前記樹脂の表面について無電解めっき層を設ける工程、前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、前記めっきレジストを除去する工程、前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層及び極薄銅層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程を含む。
【0253】
モディファイドセミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層表面にめっきレジストを設ける工程、前記めっきレジストを設けた後に、電解めっきにより回路を形成する工程、前記めっきレジストを除去する工程、前記めっきレジストを除去することにより露出した極薄銅層をフラッシュエッチングにより除去する工程を含む。
【0254】
モディファイドセミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層の上にめっきレジストを設ける工程、前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、前記めっきレジストを除去する工程、前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層及び極薄銅層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程を含む。
【0255】
パートリーアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について触媒核を付与する工程、前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層表面にエッチングレジストを設ける工程、前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、前記極薄銅層および前記触媒核を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、前記エッチングレジストを除去する工程、前記極薄銅層および前記触媒核を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して露出した前記絶縁基板表面に、ソルダレジストまたはメッキレジストを設ける工程、前記ソルダレジストまたはメッキレジストが設けられていない領域に無電解めっき層を設ける工程を含む。
【0256】
サブトラクティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、前記無電解めっき層の表面に、電解めっき層を設ける工程、前記電解めっき層または/および前記極薄銅層の表面にエッチングレジストを設ける工程、前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、前記極薄銅層および前記無電解めっき層および前記電解めっき層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、前記エッチングレジストを除去する工程を含む。
【0257】
サブトラクティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、前記無電解めっき層の表面にマスクを形成する工程、マスクが形成されいない前記無電解めっき層の表面に電解めっき層を設ける工程、前記電解めっき層または/および前記極薄銅層の表面にエッチングレジストを設ける工程、前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、前記極薄銅層および前記無電解めっき層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、前記エッチングレジストを除去する工程を含む。
【0258】
スルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、及びその後のデスミア工程は行わなくてもよい。
【実施例】
【0259】
以下に本発明の実施例を示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
図2に、実施例及び比較例のデータを得るためのサンプル作製フローを示す。
【0260】
実施例1〜11及び比較例1〜4として、以下の銅箔バルク層(生箔)を準備した。
【0261】
・一般電解生箔
銅濃度80〜120g/L、硫酸濃度80〜120g/L、塩化物イオン濃度30〜100ppm、ニカワ濃度1〜5ppm、電解液温度57〜62℃の硫酸銅電解液を電解銅メッキ浴とし、アノードとカソード(銅箔用電着用金属製ドラム)の間を流れる電解液の線速度を1.5〜2.5m/秒、電流密度70A/dm
2で厚み12μm(重量厚み95g/m
2)の一般電解生箔を作製した。
【0262】
・両面フラット電解生箔
銅濃度80〜120g/L、硫酸濃度80〜120g/L、塩化物イオン濃度30〜100ppm、レベリング剤1(ビス(3スルホプロピル)ジスルフィド):10〜30ppm、レベリング剤2(アミン化合物):10〜30ppm、電解液温度57〜62℃の硫酸銅電解液を電解銅メッキ浴とし、アノードとカソード(銅箔用電着用金属製ドラム)の間を流れる電解液の線速度を1.5〜2.5m/秒、電流密度70A/dm
2で厚み12μm(重量厚み95g/m
2)の両面フラット電解生箔を作製した。上記のアミン化合物には以下の化学式のアミン化合物を用いることができる。
【化33】
(上記化学式中、R
1及びR
2はヒドロキシアルキル基、エーテル基、アリール基、芳香族置換アルキル基、不飽和炭化水素基、アルキル基からなる一群から選ばれるものである。)
【0263】
・キャリア付き極薄生銅箔
前述の両面フラット電解生箔製造条件で、厚み18μmの両面フラット電解生箔を作製した。これを銅箔キャリアとして、以下の方法により、剥離層、極薄銅層を形成し、厚み1.5、2、3、5μmのキャリア付き極薄銅箔を得た。
(1)Ni層(剥離層:下地メッキ1)
銅箔キャリアのS面に対して、以下の条件でロール・トウ・ロール型の連続メッキラインで電気メッキすることにより1000μg/dm
2の付着量のNi層を形成した。具体的なメッキ条件を以下に記す。
硫酸ニッケル:270〜280g/L
塩化ニッケル:35〜45g/L
酢酸ニッケル:10〜20g/L
ホウ酸:30〜40g/L
光沢剤:サッカリン、ブチンジオール等
ドデシル硫酸ナトリウム:55〜75ppm
pH:4〜6
浴温:55〜65℃
電流密度:10A/dm
2
(2)Cr層(剥離層:下地メッキ2)
次に、(1)にて形成したNi層表面を水洗及び酸洗後、引き続き、ロール・トウ・ロール型の連続メッキライン上でNi層の上に11μg/dm2の付着量のCr層を以下の条件で電解クロメート処理することにより付着させた。
重クロム酸カリウム1〜10g/L、亜鉛0g/L
pH:7〜10
液温:40〜60℃
電流密度:2A/dm
2
(3)極薄銅層
次に、(2)にて形成したCr層表面を水洗及び酸洗後、引き続き、ロール・トウ・ロール型の連続メッキライン上で、Cr層の上に厚み1.5、2、3、5μmの極薄銅層を以下の条件で電気メッキすることにより形成し、キャリア付極薄銅箔を作製した。
銅濃度:80〜120g/L
硫酸濃度:80〜120g/L
塩化物イオン濃度:30〜100ppm
レベリング剤1(ビス(3スルホプロピル)ジスルフィド):10〜30ppm
レベリング剤2(アミン化合物):10〜30ppm
なお、レべリング剤2として下記のアミン化合物を用いた。
【化34】
(上記化学式中、R
1及びR
2はヒドロキシアルキル基、エーテル基、アリール基、芳香族置換アルキル基、不飽和炭化水素基、アルキル基からなる一群から選ばれるものである。)
電解液温度:50〜80℃
電流密度:100A/dm
2
【0264】
次に、上記生箔の樹脂基材との接着側表面であるM(マット)面或いはS(シャイニー)面に、粗化処理、バリヤー処理、防錆処理、シランカップリング材塗布の各表面処理をこの順で施した。各処理条件を以下に示す。
【0265】
〔粗化処理〕
・球状粗化(通常):
先に記した各種生箔のM面或いはS面に、下記条件で粗化処理を行った。
(電解液組成)
Cu:20〜30g/L(硫酸銅5水和物で添加、以下同様)
H
2SO
4:80〜120g/L
砒素:1.0〜2.0g/L
(電解液温)
35〜40℃
(電流条件)
電流密度:70A/dm
2
【0266】
上記条件で粗化処理を施した各種銅箔のM面、キャリア付き極薄銅箔の表面に、粗化粒子の脱落防止とピール強度向上のため、硫酸・硫酸銅からなる銅電解浴で被せメッキを行った。被せメッキ条件を以下に記す。
【0267】
(電解液組成)
Cu:40〜50g/L
H
2SO
4:80〜120g/L
(電解液温)
43〜47℃
(電流条件)
電流密度:29A/dm
2
【0268】
・微細粗化(1):
先に記した各種生箔のM面、キャリア付き極薄生銅箔の表面に、下記条件で粗化処理を行った。
(電解液組成)
Cu濃度:10〜20g/L
H
2SO
4濃度:80〜120g/L
タングステン濃度:1〜10mg/L(タングステン酸ナトリウム2水和物で添加)
ドデシル硫酸ナトリウム濃度:1〜10mg/L
(電解液温)
35〜45℃
(電流条件)
所定の穴形状を得るため、四段式で電流を付与した。
電流密度は次の通りとした。
一段目: 30A/dm
2
二段目: 10A/dm
2
三段目: 30A/dm
2
四段目: 10A/dm
2
【0269】
上記条件で粗化処理を施した各種銅箔のM面、キャリア付き極薄銅箔の表面に、粗化粒子の脱落防止とピール強度向上のため、硫酸・硫酸銅からなる銅電解浴で被せメッキを行った。被せメッキ条件を以下に記す。
(電解液組成)
Cu:40〜50g/L
H
2SO
4:80〜120g/L
(電解液温)
43〜47℃
(電流条件)
電流密度:41A/dm
2
【0270】
・微細粗化(2):
先に記したキャリア付き極薄生銅箔の表面に、下記条件で粗化処理を行った。
(電解液組成)
Cu濃度:10〜20g/L
H
2SO
4濃度:80〜120g/L
タングステン濃度:1〜10mg/L(タングステン酸ナトリウム2水和物で添加)
ドデシル硫酸ナトリウム濃度:1〜10mg/L
(電解液温)
35〜45℃
(電流条件)
所定の穴形状を得るため、二段式を適用した。
電流密度は次の通りとした。
一段目:50A/dm
2
二段目:10A/dm
2
【0271】
上記条件で粗化処理を施した各種銅箔のM面、キャリア付き極薄銅箔の表面に、粗化粒子の脱落防止とピール強度向上のため、硫酸・硫酸銅からなる銅電解浴で被せメッキを行った。被せメッキ条件を以下に記す。
(電解液組成)
Cu:40〜50g/L
H
2SO
4:80〜120g/L
(電解液温)
43〜47℃
(電流条件)
電流密度:41A/dm
2
【0272】
・微細粗化(3):
先に記した両面フラット電解生箔のM面、及び、キャリア付き極薄生銅箔の表面に、下記条件で粗化処理を行った。
(電解液組成)
Cu:10〜20g/L
Co:1〜10g/L
Ni:1〜10g/L
pH:1〜4
(電解液温度)
40〜50℃
(電流条件)
電流密度:25A/dm
2
(メッキ終了後のメッキ液中の浸漬時間)
所定の穴形状を得るため5秒以内とした。
【0273】
上記条件で粗化処理を施した両面フラット銅箔のM面、及び、キャリア付き極薄銅箔の表面に、Co−Niの被せメッキを行った。被せメッキ条件を以下に記す。
(電解液組成)
Co:1〜30g/L
Ni:1〜30g/L
pH:1.0〜3.5
(電解液温)
30〜80℃
(電流条件)
電流密度5.0A/dm
2
【0274】
・微細粗化(4):
先に記したキャリア付き極薄生銅箔の表面に、下記条件で第一次粒子と第二次粒子を形成させる粗化処理を行った。
第一次粒子形成:
(電解液組成)
Cu濃度:10〜20g/L
H
2SO
4濃度:80〜120g/L
タングステン濃度:1〜10mg/L(タングステン酸ナトリウム2水和物で添加)
ドデシル硫酸ナトリウム濃度:1〜10mg/L
(電解液温)
35〜45℃
(電流条件)
所定の穴形状を得るため、二段式を適用した。
電流密度は次の通りとした。
一段目:50A/dm
2
二段目:10A/dm
2
【0275】
上記条件で第一次粗化粒子を形成したキャリア付き極薄銅箔の表面に、第一次粗化粒子の脱落防止とピール強度向上のため、硫酸・硫酸銅からなる銅電解浴で被せメッキを行った。被せメッキ条件を以下に記す。
(電解液組成)
Cu:40〜50g/L
H
2SO
4:80〜120g/L
(電解液温)
43〜47℃
(電流条件)
電流密度:41A/dm
2
【0276】
第一次粒子形成:
次に、キャリア付き極薄銅箔の第一次粗化粒子の上に第二次粗化粒子を形成させるための粗化処理を行った。
(電解液組成)
Cu:10〜20g/L
Co:1〜10g/L
Ni:1〜10g/L
pH:1〜4
(電解液温度)
40〜50℃
(電流条件)
電流密度:25A/dm
2
(メッキ終了後のメッキ液中の浸漬時間)
所定の穴形状を得るため5秒以内とした。
【0277】
上記条件で第二次粒子粗化処理を施したキャリア付き極薄銅箔の表面にCo−Niの被せメッキを行った。被せメッキ条件を以下に記す。
(電解液組成)
Co:1〜30g/L
Ni:1〜30g/L
pH:1.0〜3.5
(電解液温)
30〜80℃
(電流条件)
電流密度5.0A/dm
2
【0278】
・微細粗化(5):
先に記したキャリア付き極薄生銅箔の表面に、下記条件で第一次粒子と第二次粒子を形成させる粗化処理を行った。
第一次粒子形成:
(電解液組成)
Cu濃度:10〜20g/L
H
2SO
4濃度:80〜120g/L
タングステン濃度:1〜10mg/L(タングステン酸ナトリウム2水和物で添加)
ドデシル硫酸ナトリウム濃度:1〜10mg/L
(電解液温)
35〜45℃
(電流条件)
所定の穴形状を得るため、二段式を適用した。電流密度は次の通りとした。
一段目:20A/dm
2
二段目:10A/dm
2
【0279】
上記条件で第一次粗化粒子を形成したキャリア付き極薄銅箔の表面に、第一次粗化粒子の脱落防止とピール強度向上のため、硫酸・硫酸銅からなる銅電解浴で被せメッキを行った。被せメッキ条件を以下に記す。
(電解液組成)
Cu:40〜50g/L
H
2SO
4:80〜120g/L
(電解液温)
43〜47℃
(電流条件)
電流密度:41A/dm
2
【0280】
第二次粒子形成:
次に、キャリア付き極薄銅箔の第一次粗化粒子の上に第二次粗化粒子を形成させるための粗化処理を行った。
(電解液組成)
Cu:10〜20g/L
Co:1〜10g/L
Ni:1〜10g/L
pH:1〜4
(電解液温度)
40〜50℃
(電流条件)
電流密度:25A/dm
2
(メッキ終了後のメッキ液中の浸漬時間)
所定の穴形状を得るため15〜20秒とした。
【0281】
上記条件で第二次粒子粗化処理を施したキャリア付き極薄銅箔の表面にCo−Niの被せメッキを行った。被せメッキ条件を以下に記す。
(電解液組成)
Co:1〜30g/L
Ni:1〜30g/L
pH:1.0〜3.5
(電解液温)
30〜80℃
(電流条件)
電流密度5.0A/dm
2
【0282】
・微細粗化(6):
先に記したキャリア付き極薄生銅箔の表面に、下記条件で粗化処理を行った。
(電解液組成)
Cu濃度:10〜20g/L
H
2SO
4濃度:80〜120g/L
タングステン濃度:1〜10mg/L(タングステン酸ナトリウム2水和物で添加)
ドデシル硫酸ナトリウム濃度:1〜10mg/L
(電解液温)
35〜45℃
(電流条件)
所定の穴形状を得るため、四段式を適用した。電流密度は次の通りとした。
一段目:50A/dm
2
二段目:10A/dm
2
三段目:50A/dm
2
四段目:10A/dm
2
【0283】
上記条件で粗化処理を施した各種銅箔のM面、キャリア付き極薄銅箔の表面に、粗化粒子の脱落防止とピール強度向上のため、硫酸・硫酸銅からなる銅電解浴で被せメッキを行った。被せメッキ条件を以下に記す。
(電解液組成)
Cu:40〜50g/L
H
2SO
4:80〜120g/L
(電解液温)
43〜47℃
(電流条件)
電流密度:41A/dm
2
【0284】
・微細粗化(7):
先に記したキャリア付き極薄生銅箔の表面に、下記条件で第一次粒子と第二次粒子を形成させる粗化処理を行った。
第一次粒子形成:
(電解液組成)
Cu濃度:10〜20g/L
H
2SO
4濃度:80〜120g/L
タングステン濃度:1〜10mg/L(タングステン酸ナトリウム2水和物で添加)
ドデシル硫酸ナトリウム濃度:1〜10mg/L
(電解液温)
35〜45℃
(電流条件)
所定の穴形状を得るため、三段式を適用した。電流密度は次の通りとした。
一段目:25A/dm
2
二段目:10A/dm
2
三段目:5A/dm
2
【0285】
上記条件で第一次粗化粒子を形成したキャリア付き極薄銅箔の表面に、第一次粗化粒子の脱落防止とピール強度向上のため、硫酸・硫酸銅からなる銅電解浴で被せメッキを行った。被せメッキ条件を以下に記す。
(電解液組成)
Cu:40〜50g/L
H
2SO
4:80〜120g/L
(電解液温)
43〜47℃
(電流条件)
電流密度:41A/dm
2
【0286】
第二次粒子形成:
次に、キャリア付き極薄銅箔の第一次粗化粒子の上に第二次粗化粒子を形成させるための粗化処理を行った。
(電解液組成)
Cu:10〜20g/L
Co:1〜10g/L
Ni:1〜10g/L
pH:1〜4
(電解液温度)
40〜50℃
(電流条件)
電流密度:25A/dm
2
(メッキ終了後のメッキ液中の浸漬時間)
所定の穴形状を得るため5〜10秒とした。
【0287】
上記条件で第二次粒子粗化処理を施したキャリア付き極薄銅箔の表面にCo−Niの被せメッキを行った。被せメッキ条件を以下に記す。
(電解液組成)
Co:1〜30g/L
Ni:1〜30g/L
pH:1.0〜3.5
(電解液温)
30〜80℃
(電流条件)
電流密度5.0A/dm
2
【0288】
〔バリヤー(耐熱)処理〕
バリヤー(耐熱)処理を下記の条件で行い、真鍮メッキ層又は亜鉛・ニッケル合金メッキ層を形成した。
【0289】
実施例6、比較例2、3のバリヤー層(真鍮メッキ)形成条件:
銅濃度50〜80g/L、亜鉛濃度2〜10g/L、水酸化ナトリウム濃度50〜80g/L、シアン化ナトリウム濃度5〜30g/L、温度60〜90℃の真鍮メッキ浴を用い、電流密度5〜10A/dm
2(多段処理)でメッキ電気量30As/dm
2を、粗化処理層を形成したM面に付与した。
【0290】
実施例3、比較例1のバリヤー層(亜鉛・ニッケルメッキ)形成条件:
Ni:10g/L〜30g/L、 Zn:1g/L〜15g/L、 硫酸(H
2SO
4):1g/L〜12g/L、塩化物イオン:0g/L〜5g/Lを添加したメッキ浴を用い、電流密度1.3A/dm
2でメッキ電気量5.5As/dm
2を、粗化処理層を形成したM面に付与した。
【0291】
〔防錆処理〕
防錆処理(クロメート処理)を下記の条件で行い、防錆処理層を形成した。
(クロメート条件) CrO
3:2.5g/L、Zn:0.7g/L、Na
2SO
4:10g/L、pH4.8、54℃のクロメート浴で0.7As/dm
2の電気量を付加。更に、クロメート浴での防錆処理終了直後、液シャワー配管を用いて、同じクロメート浴を使って粗化処理面全面をシャワーリングした。
〔シランカップリング材塗布〕
銅箔の粗化処理面に、0.2〜2%のアルコキシシランを含有量するpH7〜8の溶液を噴霧することで、シランカップリング材塗布処理を行った。
【0292】
実施例8については、防錆処理、シランカップリング材塗布の後、更に下記の条件で樹脂層の形成を行った。
(樹脂合成例)
ステンレス製の碇型攪拌棒、窒素導入管とストップコックのついたトラップ上に、玉付冷却管を取り付けた還流冷却器を取り付けた2リットルの三つ口フラスコに、3,4、3',4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物117.68g(400mmol)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン87.7g(300mmol)、γ-バレロラクトン4.0g(40mmol)、ピリジン4.8g(60mmol)、N-メチル-2-ピロリドン(以下NMPと記す)300g、トルエン20gを加え、180℃で1時間加熱した後室温付近まで冷却した後、3,4、3',4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物29.42g(100mmol)、2,2-ビス{4-(4-アミノフェノキシ)フェニル}プロパン82.12g(200mmol)、NMP200g、トルエン40gを加え、室温で1時間混合後、180℃で3時間加熱して、固形分38%のブロック共重合ポリイミドを得た。このブロック共重合ポリイミドは、下記に示す一般式(1):一般式(2)=3:2であり、数平均分子量:70000、重量平均分子量:150000であった。
【0293】
【化35】
【0294】
合成例で得られたブロック共重合ポリイミド溶液をNMPで更に希釈し、固形分10%のブロック共重合ポリイミド溶液とした。このブロック共重合ポリイミド溶液にビス(4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-H、ケイ・アイ化成)を固形分重量比率35、ブロック共重合ポリイミドの固形分重量比率65として(即ち、樹脂溶液に含まれるビス(4-マレイミドフェニル)メタン固形分重量:樹脂溶液に含まれるブロック共重合ポリイミド固形分重量=35:65)60℃、20分間溶解混合して樹脂溶液とした。その後、実施例28では銅箔のM面(高光沢面)に、実施例8では銅箔の極薄銅表面に、リバースロール塗工機を用いて前記樹脂溶液を塗工し、窒素雰囲気下で、120℃で3分間、160℃で3分間乾燥処理後、最後に300℃で2分間加熱処理を行い、樹脂層を備える銅箔を作製した。なお、樹脂層の厚みは2μmとした。
【0295】
(表面処理銅箔及びキャリア付銅箔の各種評価)
上記のようにして得られた表面処理銅箔及びキャリア付銅箔について、以下の方法で各種の評価を実施した。結果を表1及び2に示す。
【0296】
<線粗さRz>
各実施例、比較例の表面処理銅箔、キャリア付銅箔について、株式会社小阪研究所製接触粗さ計Surfcorder SE−3Cを使用してJIS B0601−1994に準拠して十点平均粗さを表面処理面について測定した。測定基準長さ0.8mm、評価長さ4mm、カットオフ値0.25mm、送り速さ0.1mm/秒の条件で、圧延銅箔については圧延方向と垂直な方向(TD)に測定位置を変えて、または、電解銅箔については電解銅箔の製造装置における電解銅箔の進行方向と垂直な方向(TD)に測定位置を変えて、それぞれ3回行い、3回の測定での値を求めた。
【0297】
<面粗さSz>
オリンパス社製レーザー顕微鏡(試験機:OLYMPUS LEXT OLS 4000、解像度:XY- 0.12μm、Z - 0.0μm、カットオフ:無し)を用いて、表面処理銅箔及びキャリア付銅箔の表面処理層側表面の面粗さSzを、ISO25178に準拠して測定した。
【0298】
<面積比(B/A)>
各実施例、比較例の表面処理銅箔、キャリア付銅箔について、表面処理層側表面の面積はレーザー顕微鏡による測定法を使用した。各実施例、比較例の表面処理後の銅箔について、オリンパス社製レーザー顕微鏡(試験機:OLYMPUS LEXT OLS 4000、解像度:XY- 0.12μm、Z - 0.0μm、カットオフ:無し)を用いて、処理表面の倍率20倍における647μm×646μm相当面積(平面視したときに得られる表面積)A(実データでは417,953μm
2)における三次元表面積Bを測定して、三次元表面積B÷二次元表面積A=面積比(B/A)とする手法により算出を行った。なお、レーザー顕微鏡による三次元表面積Bの測定環境温度は23〜25℃とした。
【0299】
−基材表面の評価−
次に、各実施例、比較例の表面処理銅箔、キャリア付銅箔について、20cm角サイズの下記の樹脂基材を準備し、樹脂基材と銅箔とを、銅箔の表面処理層を有する面を樹脂基材に接するようにして積層プレスした。積層プレスの温度、圧力、時間は、基材メーカーの推奨条件を用いた。
使用樹脂:三菱ガス化学社GHPL−830MBT
【0300】
次に、樹脂基材上の表面処理銅箔を下記のエッチング条件にて全面エッチングで除去した。また、樹脂基材上のキャリア付銅箔については、キャリアを剥がした後、極薄銅層を記のエッチング条件にて全面エッチングで除去した。なお、「全面エッチング」とは、銅箔が厚み分、全て除去されて、全面に樹脂が露出するまでエッチングすることをいう。
(エッチング条件)エッチング液:塩化第二銅溶液、HCl濃度:3.5mol/L、温度:50℃、比重1.26となるようにCuCl
2濃度調節
【0301】
<線粗さRz>
各実施例、比較例の樹脂基材のエッチング側表面について、株式会社小阪研究所製接触粗さ計Surfcorder SE−3Cを使用してJIS B0601−1994に準拠して十点平均粗さを測定した。測定基準長さ0.8mm、評価長さ4mm、カットオフ値0.25mm、送り速さ0.1mm/秒の条件でそれぞれ3回行い、3回の測定での値を求めた。
【0302】
<面粗さSz>
各実施例、比較例の樹脂基材のエッチング側表面について、オリンパス社製レーザー顕微鏡(試験機:OLYMPUS LEXT OLS 4000、解像度:XY- 0.12μm、Z - 0.0μm、カットオフ:無し)を用いて、面粗さSzを、ISO25178に準拠して測定した。
【0303】
<面積比(B/A)>
各実施例、比較例の樹脂基材のエッチング側表面について、オリンパス社製レーザー顕微鏡(試験機:OLYMPUS LEXT OLS 4000、解像度:XY- 0.12μm、Z - 0.0μm、カットオフ:無し)を用いて、256μm×256μm相当面積(平面視したときに得られる表面積)A(実データでは66,524μm
2)における三次元表面積Bを測定して、三次元表面積B÷二次元表面積A=面積比(B/A)とする手法により算出を行った。なお、レーザー顕微鏡による三次元表面積Bの測定環境温度は23〜25℃とした。
【0304】
<黒色面積率>
各実施例、比較例の樹脂基材のエッチング側表面について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて加速電圧を15kVとして、写真撮影を行った。なお、写真撮影の際に、観察視野全体の穴の輪郭が明確に見えるように、コントラストとブライトネスを調整した。写真全体が真っ白や真っ黒ではなく、穴の輪郭が観察できる状態で写真撮影を行った。写真全体が真っ白や真っ黒ではなく、穴の輪郭が観察できる状態で写真撮影を行ったのであれば、当該写真における黒色面積率(%)はほぼ同じ値となる。そして撮影した写真(SEM像(30k倍(30000倍)))について、Photo Shop 7.0ソフトウェアを使用し、白色・黒色画像処理を施し、黒色面積率(%)を求めた。黒色面積率(%)は、Photo Shop 7.0にある「イメージ」の「ヒストグラム」を選定し、閾値128とした場合の観察面積(白色面積と黒色面積とを合計した面積)に対する黒色面積の割合とした。
【0305】
<穴の直径平均値>
各実施例、比較例の樹脂基材のエッチング側表面について、SEM像(x6000〜x30000)から線分法により穴の直径を縦、横、斜めで測定し、それらN=3の平均値を算定した。
【0306】
<ピール強度>
樹脂基材(全面エッチング基材)のエッチング面に、無電解銅を析出させるための触媒付与、及び、関東化成製のKAP−8浴を用い、下記条件にて無電解銅メッキを実施した。得られた無電解銅メッキの厚みは0.5μmであった。
CuSO
4濃度:0.06mol/L、HCHO濃度:0.5mol/L、EDTA濃度:0.12mol/L、pH12.5、添加剤:2,2’−ジピリジル、添加剤濃度:10mg/L、表面活性剤:REG−1000、表面活性剤濃度:500mg/L
次に、無電解銅メッキ上に、さらに下記の電解液を使用して電解メッキを実施した。銅厚み(無電解メッキ及び電解メッキの総厚)は12μmとなった。
単純硫酸銅電解液:Cu濃度:100g/L、H
2SO
4濃度:80g/L
上述のように樹脂基材(全面エッチング基材)に無電解銅メッキ、電解銅メッキを施して銅層厚を12μmとしたメッキ銅付き積層板について、幅10mmの銅回路を湿式エッチングにより作製した。JIS−C−6481に準じ、この銅回路を90度で剥離したときの強度を測定し、ピール強度とした。
【0307】
<微細配線形成性>
上述のように樹脂基材(全面エッチング基材)に無電解銅メッキ、電解銅メッキを施して銅層厚を12μmとしたメッキ銅付き積層板について、メッキ銅をエッチングにより加工し、L(ライン)/S(スペース)=15μm/15μm、及び、10μm/10μmの回路を形成した。このとき、樹脂基板上に形成された微細配線を目視で観察し、回路の剥離、回路間のショート(回路間の銅異常析出)、回路の欠けがないものをOK(○)とした。
表1に、上述の、銅箔表面プロファイルの基材面への転写によって、実施例1〜11、比較例1〜4の基材面プロファイルを得るために使用される銅箔の製造条件を示す。
表2に、上述の、基材面プロファイルの評価結果を示す。
表3に、上述の、基材面プロファイルを与える銅箔表面プロファイルの評価結果を示す。
【0308】
【表1】
【0309】
【表2】
【0310】
【表3】
【0311】
(評価結果)
実施例1〜11は、いずれも良好な微細配線形成性を有し、さらに良好なピール強度を示した。
比較例1〜4の銅箔は、いずれも表面処理層表面の面粗さSzが2〜6μmの範囲外であったため、基材の表面プロファイルにおいて面粗さSzが1〜5μmの範囲外となり、微細配線形成性又はピール強度が不良となった。また、比較例1〜4の銅箔は、いずれも表面処理層表面の三次元表面積Bと二次元表面積Aとの比B/Aが1.05〜1.8の範囲外であったため、基材の表面プロファイルにおいて当該比B/Aが1.01〜1.5の範囲外となり、微細配線形成性又はピール強度が不良となった。また、比較例1〜4の基材の表面プロファイルは、いずれも表面の黒色面積率が10〜50%の範囲外であり、且つ、表面の穴の直径平均値が0.03〜1.0μmの範囲外であったため、微細配線形成性又はピール強度が不良となった。
なお、実施例及び比較例の評価結果から、銅箔表面及びエッチング後基材表面のRzの数値は、良好な微細配線形成性及びピール強度を兼ね備えることに対して、特に関連性が無いことが確認された。
図3(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に、それぞれ実施例1、2、3、5、6の銅箔処理面のSEM像(×30000)を示す。
図4(f)、(g)に、それぞれ比較例1、2の銅箔処理面のSEM像(×6000)を示す。
図5(h)、(i)、(j)、(k)、(l)に、それぞれ実施例1、2、3、5、6の樹脂基材面のSEM像(×30000)を示す。
図6(m)、(n)に、それぞれ比較例1、2の樹脂基材面のSEM像(×6000)を示す。