特許第5964107号(P5964107)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964107
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】半導体製造装置および半導体製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20160721BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   H01L21/205
   C23C16/455
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-78358(P2012-78358)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-207277(P2013-207277A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100088487
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 允之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】三谷 慎一
【審査官】 正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−105328(JP,A)
【文献】 特開平01−156477(JP,A)
【文献】 特開2010−037157(JP,A)
【文献】 特開平08−045910(JP,A)
【文献】 特開平09−036050(JP,A)
【文献】 特開2001−053065(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0177644(US,A1)
【文献】 特許第5225389(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C23C 16/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が収容される反応室と、
前記反応室の上部に配置され、ソースガスを含む第1のプロセスガスを供給するための第1のガス供給部と、
前記反応室の上部に配置され、前記第1のプロセスガスと異なる第2のプロセスガスを供給するための第2のガス供給部と、
前記第1のプロセスガスを前記基板上に整流状態で供給するための整流板と、
前記反応室の残留ガスを排気するためのガス排出部と、
前記基板を加熱するための加熱部と、
前記基板を支持するための支持部材と、
前記基板を回転させるための回転駆動機構と、
前記整流板上の内周部設けられ前記第1のプロセスガスをON状態又はOFF状態に制御可能な第1の制御手段と、
前記整流板上の外周部に設けられ、前記第2のプロセスガスをON状態又はOFF状態に制御可能な第2の制御手段と、
備えることを特徴とする半導体製造装置。
【請求項2】
前記第1の制御手段は、反復移動する閉開機構であることを特徴とする請求項1記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記第1の制御手段は、前記整流板に設けられた孔に対応する位置に孔を有する遮蔽板であることを特徴とする請求項2記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記第2のプロセスガスは、希釈ガス、成膜反応抑制ガス、又は、クリーニングガスであることを特徴とする請求項1ないし請求項3いずれか一項記載の半導体製造装置。
【請求項5】
反応室内に基板を搬入し、
前記基板を、反応室に収納された支持部材上に載置し、
前記基板の表面に、ソースガスを含む第1のプロセスガスを、整流板を用いて整流状態で供給し、
前記反応室の残留ガスを排出すると共に、前記反応室内を所定の圧力となるように調整し、
前記基板を回転させながら加熱して、前記基板の表面に成膜する半導体製造方法において、
前記整流板上の内周部に設けられ、前記第1のプロセスガスをON状態又はOFF状態に制御可能な第1の制御手段によって、前記第1のプロセスガスをON状態又はOFF状態に制御し、
前記整流板上の外周部に設けられ、前記第1のプロセスガスと異なる第2のプロセスガスをON状態又はOFF状態に制御可能な第2の制御手段によって、前記第2のプロセスガスをON状態又はOFF状態に制御することを特徴とする半導体製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハを加熱しながらプロセスガスを供給して成膜を行う半導体製造装置および半導体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の低価格化、高性能化の要求に伴い、成膜工程における高い生産性とともに、膜厚均一性の向上など高品質化が要求されている。このような要求を満たすために、枚葉式のエピタキシャル成膜装置を用い、例えば900rpm以上で高速回転しながら加熱する手法が用いられている(例えば特許文献1など参照)。そして、例えばφ300mmの大口径ウェハを用いるとともに、安価なトリクロロシラン(以下TCSと記す)、ジクロロシランなどのCl系ソースガスを用いることにより、さらなる生産性、膜厚均一性の向上が期待されている。
【0003】
しかしながら、例えばIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)などに用いられる150μmを超えるような厚いエピタキシャル膜を形成する際、十分な生産性を得ることが困難であるという問題がある。例えば、エピタキシャル膜の膜厚を制御するには、シラン又はジクロロシランなどのCl(塩素)系ソースガスの制御が重要であり、また、エピタキシャル膜の不純物濃度の制御を具体的にどうするかなどの課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−67675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、半導体装置の低価格化、高性能化の要求に伴い、成膜工程における高い生産性と共に、膜厚制御、エピタキシャル膜内の不純物濃度の制御を比較的簡単にでき、最終的には、エピタキシャル膜の高品質化が要求されている。
【0006】
そこで、本発明は、膜厚制御、エピタキシャル膜内の不純物濃度の制御ができ、ウェハ(基板)に均一な膜を形成可能な半導体製造装置および半導体製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の半導体製造装置は、基板が収容される反応室と、前記反応室の上部に配置され、ソースガスを含む第1のプロセスガスを供給するための第1のガス供給部と、前記反応室の上部に配置され、前記第1のプロセスガスと異なる第2のプロセスガスを供給するための第2のガス供給部と、前記第1のプロセスガスを前記基板上に整流状態で供給するための整流板と、前記反応室の残留ガスを排気するためのガス排出部と、前記基板を加熱するための加熱部と、前記基板を支持するための支持部材と、前記基板を回転させるための回転駆動機構と、前記整流板上の内周部設けられ前記第1のプロセスガスをON状態又はOFF状態に制御可能な第1の制御手段と、前記整流板上の外周部に設けられ、前記第2のプロセスガスをON状態又はOFF状態に制御可能な第2の制御手段と、
備えることを特徴とする。
【0008】
上記態様の半導体製造装置において、前記第1の制御手段は、反復移動する閉開機構であることが望ましい。
【0009】
上記態様の半導体製造装置において、前記第1の制御手段は、前記整流板に設けられた孔に対応する位置に孔を有する遮蔽板であることが望ましい。
【0010】
上記態様の半導体製造装置において、前記第2のプロセスガスは、希釈ガス、成膜反応抑制ガス、又は、クリーニングガスであることが望ましい。
【0011】
本発明の一態様の半導体製造方法は、反応室内に基板を搬入し、前記基板を、反応室に収納された支持部材上に載置し、前記基板の表面に、ソースガスを含む第1のプロセスガスを、整流板を用いて整流状態で供給し、前記反応室の残留ガスを排出すると共に、前記反応室内を所定の圧力となるように調整し、前記基板を回転させながら加熱して、前記基板の表面に成膜する半導体製造方法において、前記整流板上の内周部に設けられ、前記第1のプロセスガスをON状態又はOFF状態に制御可能な第1の制御手段によって、前記第1のプロセスガスをON状態又はOFF状態に制御し、前記整流板上の外周部に設けられ、前記第1のプロセスガスと異なる第2のプロセスガスをON状態又はOFF状態に制御可能な第2の制御手段によって、前記第2のプロセスガスをON状態又はOFF状態に制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、生産性高く、ウェハに均一な成膜を行う半導体製造装置および半導体製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施の形態の半導体製造装置の模式断面図である。
図2】第1の実施の形態の整流板と遮蔽板の模式上面図である。
図3】第1の実施の形態の第1の制御手段の作用を説明する図である。
図4】第2の実施の形態の半導体製造装置の模式断面図である。
図5】第2の実施の形態の整流板と遮蔽板の模式上面図である。
図6】第2の実施の形態の第1の制御手段の作用を説明する図である。
図7】第3の実施の形態の半導体製造装置の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
本実施の形態の半導体製造装置は、基板が収容される反応室と、反応室の上部に配置され、ソースガスを含む第1のプロセスガスを供給するためのガス供給部と、第1のプロセスガスを基板上に整流状態で供給するための整流板と、反応室の残留ガスを排気するためのガス排出部と、基板を加熱するための加熱部と、基板を支持するための支持部材と、基板を回転させるための回転駆動機構と、を備える。そして、整流板上に、第1のプロセスガスの量を制御可能な第1の制御手段を備えている。
【0016】
図1は、本実施の形態の半導体製造装置の模式断面図である。本実施の形態の半導体製造装置は、枚葉型エピタキシャル成長装置である。
【0017】
図1に示すように、エピタキシャル成長装置は、例えばステンレス製で円筒状中空体の反応室10、この反応室上部に配置され、ソースガスを含む第1のプロセスガスを供給するためのガス供給部12を備えている。そして、ガス供給部12から導入された第1のプロセスガスを整流し、下方に配置される半導体ウェハW(基板)にソースガスを整流状態で供給する整流板14を備える。そして、半導体ウェハW表面等で反応した後の反応生成物および反応室の残留ガスを反応炉10外部にその底部から排出するガス排出部16を備える。なお、ガス排出部(第1のガス排出部)16は真空ポンプ(図示せず)に接続してある。
【0018】
上述した反応室10内部には、半導体ウェハWを載置支持するウェハ支持部材の環状ホルダー18をその上面に配置し回転する回転体ユニット20、環状ホルダー18に載置された半導体ウェハWを輻射熱により加熱する加熱部をしてヒーター22を備えている。ここで、回転体ユニット20は、その回転軸24が下方に位置する回転駆動機構26に接続され、高速回転が可能に取り付けられている。
【0019】
円筒状の回転体ユニット20の径は環状ホルダー18の外周径とほぼ同じにしてあると好適である。また、この円筒状の回転軸24は中空の回転体ユニット20内を排気するための真空ポンプに接続され、この吸引により半導体ウェハWが環状ホルダー18に真空吸着する構成になっていてもよい。なお、回転軸24は、反応室10の底部に真空シール部材を介して回転自在に挿設されている。
【0020】
そして、ヒーター22は、回転軸24の内部に貫通する支持軸28に固定される支持台30上に固設してある。この支持台30には半導体ウェハWを環状ホルダー18から脱着させるための例えば突き上げピン(図示せず)が形設されている。
【0021】
なお、上記ウェハ支持部材としては、環状ホルダー18の替わりに半導体ウェハW裏面のほぼ全面に接する構造のサセプタを使用してもよい。ここで、このウェハ支持部材は、通常、円板状のウェハ基板を載置することからその縁端の平面形状が円状であり、ヒーター22の輻射熱を遮断しない材質により形成されていると好適である。
【0022】
上述した枚葉型エピタキシャル成長装置において、整流板14は例えば石英ガラス製の円板体でありガス吐出口が形成されている。ガス吐出口は多数の孔36である。
【0023】
なお、図1に示した枚葉型エピタキシャル成長装置では、反応室10の側壁箇所において、半導体ウェハを出し入れするための図示しないウェハ出入口およびゲートバルブが設けられている。そして、このゲートバルブで連結する例えばロードロック室と反応室10との間において、ハンドリングアームにより半導体ウェハWを搬送できるようになっている。ここで、例えば合成石英製のハンドリングアームは、ガス整流板14とウェハ保持部材である環状ホルダー18とのスペースに挿入されるようになる。
【0024】
さらに、整流板14上に、第1のプロセスガスの量を制御可能な第1の制御手段を備えている。本実施の形態では、この第1の制御手段は、反復移動する閉開機構である。具体的には、整流板14に設けられた孔に対応する孔38を有する遮蔽板32と、この遮蔽板を回転運動で反復移動させる遮蔽板駆動機構34を備えている。遮蔽板32に設けられる回転軸36を遮蔽板駆動機構34が駆動する。遮蔽板32は、整流板14に密着して設けられる。
【0025】
図2は、本実施の形態の整流板と遮蔽板の模式上面図である。図2(a)が整流板、図2(b)が遮蔽板である。
【0026】
整流板14には、ガスを通過させるための多数の孔36が開孔されている。そして遮蔽板32には、整流板14に設けられた孔36に対応する位置に孔38が設けられている。
【0027】
図3は、本実施の形態の第1の制御手段の作用を説明する図である。図3は、重なった整流板14と遮蔽板32を上面から見た図である。
【0028】
図3(a)が第1のプロセスガスをウェハW上に供給しない場合の整流板14と遮蔽板32との位置関係を示す図、すなわち第1のプロセスガスがOFF状態の場合の図である。図3(b)が第1のプロセスガスをウェハW上に供給する場合の整流板14と遮蔽板32との位置関係を示す図、すなわち第1のプロセスガスがON状態の場合の図である。
【0029】
図3(a)に示すように、第1のプロセスガスがOFF状態の場合は、整流板14の孔36と、その孔36に対応する遮蔽板32の孔38の位置を、遮蔽板32の回転によりずらした位置、すなわち重ならない位置にする。これにより、第1のプロセスガスの流れを遮断することが可能となる。
【0030】
図3(b)に示すように、第1のプロセスガスがON状態の場合は、整流板14の孔36と、その孔36に対応する遮蔽板32の孔38の位置を、遮蔽板32の回転により重なった位置にする。これにより、第1のプロセスガスが整流板14を通過することが可能となる。
【0031】
なお、遮蔽板32の位置を適切に制御することにより、整流板14の孔36が一部のみ開いた状態とすることも可能である。すなわち、第1のプロセスガスの流量をOFF状態とON状態の間で連続的に制御することが可能である。
【0032】
本実施の形態の第1の制御手段は、このように整流板14に密着した遮蔽板32が、回転を伴う反復移動する閉開機構である。
【0033】
なお、第1のプロセスがガスのON−OFFをより上流側で切り替える図示しないガス切替えバルブが、ガス供給部12の上流側に設けられていてもかまわない。あるいは、第1のプロセスガスのガス種を切り替える機構が、ガス供給部12の上流側に設けられていてもかまわない。
【0034】
次に、本実施の形態の半導体製造方法について説明する。本実施の形態の半導体製造方法は、反応室内に基板を搬入し、基板を、反応室に収納された支持部材上に載置し、基板の表面に、ソースガスを含む第1のプロセスガスを、整流板を用いて整流状態で供給し、反応室の残留ガスを排出すると共に、反応室内を所定の圧力となるように調整し、基板を回転させながら加熱して、基板の表面に成膜する半導体製造方法である。そして、整流板上に設けられる、第1のプロセスガスの量を制御可能な第1の制御手段によって、第1のプロセスガスの量を制御する。
【0035】
本実施の形態の半導体製造方法は、図1に示した枚葉型エピタキシャル成長装置を用いて行う。
【0036】
まず、反応室10内の環状ホルダー18に半導体ウェハWを公知の枚葉方式により載置する。ここで、反応室10のウェハ出入口のゲートバルブを開きハンドリングアームにより例えばロードロック室内の半導体ウェハを反応室10内に搬送する。そして、半導体ウェハWは例えば突き上げピン(図示せず)を介して環状ホルダー18に載置され、ハンドリングアームはロードロック室に戻され、ゲートバルブは閉じられる。
【0037】
そして、図示しない真空ポンプを作動して反応室10内のガスをガス排気口16から排気して所定の真空度にする。ここで、環状ホルダー16に載置した半導体ウェハWは、ヒーター22により所定温度に予備加熱しているので、ヒーター22の加熱出力を上げて半導体ウェハWをエピタキシャル成長温度に昇温する。そして、上記真空ポンプによる排気を続行すると共に、回転体ユニット20を所要の速度で回転させながら、ガス供給口12から所定の成膜用ガス(第1のプロセスガス)を供給する。そして、遮蔽板駆動機構34を駆動させ、遮蔽板32を回転させることで、整流板14と遮蔽板32との位置関係を、図3(a)に示すOFF状態から図3(b)に示すON状態にする。これにより、ウェハW上に成膜用ガスが整流状態で供給され、所定の真空度において半導体ウェハW表面にエピタキシャル層を成長させる。
【0038】
例えば、シリコンエピタキシャル層を成長させる場合には、予備加熱の温度は500〜900℃の範囲で所望の温度に設定され、エピタキシャル成長温度は1000〜1200℃の範囲で所望の温度に設定される。そして、シリコンのソースガスとしてはSiH、SiHClやSiHCl、そしてドーパントガスとしては、B、PHまたはAsHが用いられる。また、キャリアガスとしてHが通常用いられる。これ等のガスが成膜用ガス(第1のプロセスガス)である。
このシリコンエピタキシャル層の成長時における処理炉11内は、約2×10Pa(15Torr)〜約9.3×10Pa(700Torr)の範囲で所望の圧力に設定される。また、回転体ユニット16の回転は、例えば900〜1500rpmの範囲で所望の回転数に設定される。
【0039】
そして、エピタキシャル成長終了時には、遮蔽板駆動機構34を駆動させ、遮蔽板32を、例えば、エピタキシャル成長開始時とは逆方向に回転させることで、整流板14と遮蔽板32との位置関係を、図3(b)に示すON状態から図3(a)に示すOFF状態にする。これにより、ウェハW上に成膜用ガス(第1のプロセスガス)のウェハW上への供給が遮断され、エピタキシャル層の成長が終了される。
【0040】
整流板14上に設けられる、第1のプロセスガスの量を制御可能な第1の制御手段によって、第1のプロセスガスの量を制御する。
【0041】
エピタキシャル成長後は、エピタキシャル層の形成された半導体ウェハWの降温を始める。ここで、上記成膜用ガスの供給および回転体ユニット20の回転を停止させ、エピタキシャル層が形成された半導体ウェハWを環状ホルダー18に載置したままにして、ヒーター22の加熱出力を初めに戻し予備加熱の温度に低下するように自動調整する。
【0042】
そして、今度は、反応室10内に冷却用ガスをガス供給口12から流入させ、第1の制御手段をON状態にし、ガス整流板14により整流した冷却用ガスにより半導体ウェハWをガス冷却する。ここで、冷却用ガスは、例えば上記成膜用ガスのキャリアガスと同じHガスであってもよいし、アルゴン、ヘリウムのような希ガスあるいはNガスであっても構わない。また、この冷却用ガスが流入した反応室10内の圧力はエピタキシャル層の成長時の圧力と同程度にする。
【0043】
次に、半導体ウェハWが所定の温度に安定した後、例えば突き上げピンにより半導体ウェハWを環状ホルダー18から脱着させる。なお、半導体ウェハWを環状ホルダー18から脱着するには、突き上げピンでなく、静電接着方式を用いたり、また、半導体ウェハW自身を浮かせるベルヌイチャック方式を用いたりしても構わない。そして、再びゲートバルブを開いてハンドリングアームをガス整流板14および環状ホルダー18の間に挿入し、その上に半導体ウェハWを載せる。そして、半導体ウェハWを載せたハンドリングアームをロードロック室に戻す。
【0044】
以上のようにして、一回の半導体ウェハに対するエピタキシャル層の成膜サイクルが終了し、引き続いて他の半導体ウェハに対する成膜が上述したのと同一のプロセスシーケンスに従って行われる。
【0045】
本実施の形態の半導体製造装置では、第1の制御手段を設けることで、遮蔽板32の小さな反復移動により第1のプロセスガスのON−OFFの切り替え、および流量の連続的な調整が可能となる。このため、流量の切り替え、調整が迅速に行われることになる。また、ウェハWに近い位置かつ直上で第1のプロセスガスの流量調整をすることが可能となる。このため、制御手段による第1のプロセスガスの流量変更と、実際のウェハW上での第1のプロセスガスの流量変化までの遅延時間が短くなる。また、整流板14の孔36を用いて第1のプロセスガスを切り替えることで、反応室10ないでの第1のプロセスガスの流量の均一性を保った流量の調整が可能となる。
【0046】
したがって、生産性高く、ウェハに不純物濃度、膜厚等が均一な成膜を行う半導体製造装置が実現される。そそして、本実施の形態の半導体製造装置を用いた半導体製造方法により、生産性高く、ウェハに均一な成膜を行う半導体製造方法が可能となる。
【0047】
(第2の実施の形態)
本実施の形態の半導体製造装置は、第1の制御手段に加えて、整流板上の外周部に設けられ、希釈ガス、成膜反応抑制ガスあるいはクリーニングガスのいずれかを含む第2のプロセスガスの量を制御可能な第2の制御手段を備える点で第1の実施の形態と異なっている。以下、第1の実施の形態と重複する内容については記述を省略する。
【0048】
図4は、本実施の形態の半導体製造装置の模式断面図である。本実施の形態の半導体製造装置は、枚葉型エピタキシャル成長装置である。
【0049】
図5は、本実施の形態の整流板と遮蔽板の模式上面図である。図5(a)が整流板、図5(b)が遮蔽板である。
【0050】
図4に示すように、エピタキシャル成長装置は、ソースガスを含む第1のプロセスガスを供給するためのガス供給部(第1のガス供給部)12に加えて、希釈ガス、成膜反応抑制ガスあるいはクリーニングガスのいずれかを含む第2のプロセスガスを供給するためのガス供給部(第2のガス供給部)52を備えている。
【0051】
希釈ガス、成膜反応抑制ガスは、例えば、H、Ar、N等である。また、クリーニングガスは、たとえばHClである。
【0052】
整流板14上に、第1のプロセスガスの量を制御可能な第1の制御手段に加えて、第2のプロセスガスの量を制御可能な第2の制御手段を備えている。本実施の形態では、この第1および第2の制御手段は、反復移動する閉開機構である。
【0053】
具体的には、整流板14上の内周部には、整流板14の内周部に設けられた孔36に対応する孔42を有する第1の遮蔽板40が設けられている。そして、この第1の遮蔽板40を回転運動で反復移動させる第1の遮蔽板駆動機構34を備えている。
【0054】
さらに、整流板14上の外周部には、整流板14の外周部に設けられた孔37に対応する孔46を有する第2の遮蔽板44が設けられている。そして、この第2の遮蔽板44を回転運動で反復移動させる第2の遮蔽板駆動機構(図示せず)を備えている。第2の遮蔽板駆動機構は、例えば、第1の遮蔽板駆動機構34と同軸で別動作をする機構、反応室10の外周に取り付けられ、第2の遮蔽板44の外周縁に駆動力を与える機構等が考えられる。第1の遮蔽板40と、第2の遮蔽板44は同心で独立して移動する構成となっている。
【0055】
また、ガス供給部(第1のガス供給部)12、ガス供給部(第2のガス供給部)52と第1および第2の遮蔽板40、44との間には、仕切り板50が設けられている。仕切り板50は、第1および第2の遮蔽板40、44の境界に沿って設けられ、第1のプロセスがガスと第2のプロセスガスとが混合することを抑制している。
【0056】
図6は、本実施の形態の第1および第2の制御手段の作用を説明する図である。図6は、重なった整流板14と第1および第2の遮蔽板40、44を上面から見た図である。
【0057】
図6(a)が第1のプロセスガスのみをウェハW上に供給する場合の整流板14と第1および第2の遮蔽板40、44との位置関係を示す図、すなわち第1のプロセスガスがON状態、第2のプロセスガスがOFF状態の場合の図である。図6(b)が第2のプロセスガスのみをウェハW上に供給する場合の整流板14と第1および第2遮蔽板40、44との位置関係を示す図、すなわち第1のプロセスガスがOFF状態、第2のプロセスガスがON状態の場合の図である。
【0058】
図6(a)に示すように、第1のプロセスガスがON状態、第2のプロセスガスがOFF状態の場合は、整流板14の内周部の孔36と、その孔36に対応する第1の遮蔽板40の孔42の位置を、第1の遮蔽板40の回転により重なった位置にする。これにより、第1のプロセスガスが整流板14を通過することが可能となる。一方、整流板14の外周部の孔37と、その孔37に対応する第2の遮蔽板44の孔46の位置を、第2の遮蔽板44の回転によりずらした位置、すなわち重ならない位置にする。これにより、第2のプロセスガスの流れを遮断することが可能となる。
【0059】
図6(b)に示すように、第1のプロセスガスがOFF状態、第2のプロセスガスがON状態の場合は、整流板14の内周部の孔36と、その孔36に対応する第1の遮蔽板40の孔42の位置を、第1の遮蔽板40の回転によりずらした位置、すなわち重ならない位置にする。これにより、第1のプロセスガスの流れを遮断することが可能となる。一方、整流板14の外周部の孔37と、その孔37に対応する第2の遮蔽板44の孔46の位置を、第2の遮蔽板44の回転により重なった位置にする。これにより、第2のプロセスガスが整流板14を通過することが可能となる。
【0060】
なお、第1および第2の遮蔽板40、44の位置を適切に制御することにより、整流板14の孔36、37が一部のみ開いた状態とすることも可能である。すなわち、第1および第2のプロセスガスの流量をOFF状態とON状態の間で連続的に制御することが可能である。
【0061】
本実施の形態の第1および第2の制御手段は、このように整流板14に密着した第1および第2の遮蔽板40、44が、回転を伴う反復移動する閉開機構である。
【0062】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果にくわえ、反応室10の外周部に選択的に流したい希釈ガス、成膜反応抑制ガスあるいはクリーニングガスの流量を、第1のプロセスガスと独立して精度よく制御することが可能である。したがって、例えば、反応室10内壁への反応生成物の付着の抑制や、その除去を均一性高く精度よくおこなうことが可能となる。よって、歩留りの高いエピタキシャル成長を実現することが可能となる。
【0063】
(第3の実施の形態)
図7は本実施の形態の半導体製造装置の模式断面図である。第1の実施の形態に加え、ガス供給部12と、遮蔽板32との間にガス排出部(第2のガス排出部)60が設けられている。その他は、第1の実施の形態と同様である。したがって、第1の実施の形態と重複する内容については記述を省略する。
【0064】
本実施の形態の半導体製造装置によれば、ガス供給部12と、遮蔽板32との間の反応室10内の第1のプロセスガスの残留ガスを排気することが可能となる。したがって、第1の実施の形態の効果に加え、ウェハW上に供給される第1のプロセスガスの流量をさらに精度よく調整することが可能である。あるいは、例えば、成膜用ガスの組成を成膜途中で切り替えるような場合に、ウェハW上に供給される成膜用ガスの組成をより精度高く制御することが可能である。
【0065】
以上、装置構成や製造方法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や製造方法等を適宜選択して用いることができる。その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての半導体製造装置および半導体製造方法は、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0066】
10 反応室
12 ガス供給部
14 整流板
16 ガス排出部
18 環状ホルダー(支持部材)
22 ヒーター(加熱部)
26 回転駆動機構
32 遮蔽板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7