特許第5964142号(P5964142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964142
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】配線基板及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20160721BHJP
   H01L 23/14 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   H01L23/12 501B
   H01L23/14 S
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-124463(P2012-124463)
(22)【出願日】2012年5月31日
(65)【公開番号】特開2013-251372(P2013-251372A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2015年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】村山 啓
(72)【発明者】
【氏名】相澤 光浩
(72)【発明者】
【氏名】原 浩児
【審査官】 豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−220781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/301
21/3205−21/3213
21/768
21/78
23/12 −23/15
23/522
23/532
25/00 −25/07
25/10 −25/11
25/16 −25/18
H05K 1/00 − 1/02
1/18
3/02 − 3/26
3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に電子部品が搭載される配線基板であって、
前記上面において、第1の方向に沿って配列され、前記電子部品の接続端子が接続される複数の第1パッドと、
結晶軸を有し、前記複数の第1パッドの配列方向に対して前記結晶軸が傾斜した基板本体と、
を有し、
前記配線基板の外形は矩形状に形成され、
前記複数の第1パッドの配列方向は前記外形と平行であること
を特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記第1パッドが形成された上面側から見て、前記基板本体の結晶軸と前記第1パッドの配列方向とが互いに傾いて形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記基板本体はシリコン単結晶基板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記基板本体には、前記基板本体を貫通する貫通電極が形成され、
前記第1パッドは前記貫通電極に接続されていること、
を特徴とする請求項1〜3のうちの何れか一項に記載の配線基板。
【請求項5】
基板本体の上面に形成された絶縁層を有し、
前記第1パッドは前記絶縁層の上面に形成されていること、
を特徴とする請求項1〜4のうちの何れか一項に記載の配線基板。
【請求項6】
上面に電子部品が搭載される配線基板であって、
前記上面に形成され、前記電子部品の接続端子が接続される複数の第1パッドと、
結晶軸を有し、前記配線基板の外形に対して前記結晶軸が傾斜した基板本体と、
を有し、
前記複数の第1パッドは、前記配線基板の外形と平行に配列されたこと
を特徴とする配線基板。
【請求項7】
前記基板本体はシリコン単結晶基板であることを特徴とする請求項6に記載の配線基板。
【請求項8】
前記基板本体には、前記基板本体を貫通する貫通電極が形成され、
前記第1パッドは前記貫通電極に接続されていること、
を特徴とする請求項6又は7に記載の配線基板。
【請求項9】
基板本体の上面に形成された絶縁層を有し、
前記第1パッドは前記絶縁層の上面に形成されていること、
を特徴とする請求項6〜8のうちの何れか一項に記載の配線基板。
【請求項10】
1つの主面に複数の接続端子が形成された電子部品と、
上面に前記電子部品の接続端子が接続される複数の第1パッドが形成された配線基板と、
を有し、
前記複数の第1パッドは、前記上面において第1の方向に沿って配列され、
前記配線基板は、結晶軸を有し、前記第1の方向に対して前記結晶軸が傾斜した基板本体を含み、
前記配線基板の外形は矩形状に形成され、
前記複数の第1パッドの配列方向は前記外形と平行であること、
を特徴とする半導体装置。
【請求項11】
前記基板本体はシリコン単結晶基板であることを特徴とする請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記基板本体には、前記基板本体を貫通する貫通電極が形成され、
前記第1パッドは前記貫通電極に接続されていること、
を特徴とする請求項10又は11に記載の半導体装置。
【請求項13】
基板本体の上面に形成された絶縁層を有し、
前記第1パッドは前記絶縁層の上面に形成されていること、
を特徴とする請求項10〜12のうちの何れか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配線基板及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品と、電子部品が実装される配線基板と、を有する半導体装置がある。配線基板は基板本体を有している。基板本体は、例えば、シリコン基板、化合物半導体基板、ガラス基板(石英ガラス基板も含む)等である。基板本体には貫通電極が形成されている。貫通電極は、基板本体の上面に形成された配線層を介して基板本体の上面に形成されたパッドと接続されている。また、貫通電極は、基板本体の下面に形成された配線層を介して外部接続用パッドと接続されている。例えば半導体装置(LSI)である電子部品は、配線基板に形成されたパッドにフリップチップ実装されている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−093088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、配線基板に搭載される電子部品の数の増加や、電子部品の大型化等により、配線基板における電子部品を搭載する主面の面積が大きくなっている。また、半導体装置(パッケージ)の薄型化により、配線基板の厚さが薄くなっている。このため、製造工程のハンドリング(搬送)等において、配線基板に生じる応力により配線基板に亀裂が生じることや、配線基板が割れる等の不良が発生する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、上面に電子部品が搭載される配線基板であって、前記上面において、第1の方向に沿って配列され、前記電子部品の接続端子が接続される複数の第1パッドと、結晶軸を有し、前記複数の第1パッドの配列方向に対して前記結晶軸が傾斜した基板本体とを有し、前記配線基板の外形は矩形状に形成され、前記複数の第1パッドの配列方向は前記外形と平行である
【発明の効果】
【0006】
本発明の一観点によれば、不良の発生を低減することが可能な配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態の半導体装置の(a)概略平面図、(b)概略断面図。
図2】配線基板の概略平面図。
図3】配線基板を形成するためのウェハの概略平面図。
図4】半導体装置の(a)概略平面図、(b)概略側面図。
図5】比較例の半導体装置の(a)概略平面図、(b)概略側面図。
図6】比較例の配線基板を形成するためのウェハの概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態を添付図面を参照して説明する。
なお、添付図面は、特徴を分かりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、寸法,比率などは実際と異なる場合がある。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部のハッチングを省略している。また、同じ図面内において同じ部材については符号を省略するものがある。
【0009】
図1(a)に示すように、半導体装置1は、第1の配線基板10、第2の配線基板20、複数(図1(a)において4つ)の半導体チップ40a〜40dを有している。
各配線基板10,20及び各半導体チップ40a〜40dは、それぞれ平面視して矩形状に形成されている。第2の配線基板20は、第1の配線基板10上に搭載されている。半導体チップ40a〜40dは第2の配線基板20上に搭載されている。半導体チップ40a〜40dは電子部品の一例である。図1(b)に示すように、半導体装置1は、基板2上に搭載される。基板2は、例えばコンピュータなどの電子回路が構成された有機基材からなる基板(マザーボード)である。
【0010】
第1の配線基板10の基板本体11上面には第2の配線基板20を接続するための接続用パッド12が形成されている。基板本体11の下面には、半導体装置1を基板2に実装するための接続用パッド13及びバンプ14が形成されている。
【0011】
基板本体11は、有機基材からなる基板(有機基板)である。基板本体11は、上面の接続用パッド12と、下面の接続用パッド13とを互いに電気的に接続する。このため、基板本体11の内部には、配線層が形成されていてもよく、配線層が形成されていなくてもよい。なお、基板本体11の内部に配線層が形成される場合には、複数の配線層が層間絶縁層を介して積層され、各配線層と各絶縁層に形成されたビアとによって接続用パッド12,13を互いに電気的に接続している。基板本体11としては、例えばコア基板を有するコア付きビルドアップ基板やコア基板を有さないコアレス基板等を用いることができる。
【0012】
第2の配線基板20の基板本体21には、2つの主面(上面及び下面)の間を貫通する貫通孔21aが形成されている。基板本体21の材料は、例えばシリコン(Si)である。貫通孔21a内には、貫通電極22が形成されている。貫通電極22の材料は、例えば銅(Cu)である。貫通電極22と基板本体21は、貫通孔21aの内周面に形成された絶縁膜23により互いに絶縁されている。絶縁膜23は、例えばシリコン酸化膜である。なお、基板本体21の材料をシリコンとした場合、貫通孔21a内の絶縁膜23と同様に、基板本体21の上面及び下面に絶縁膜を形成してもよい。
【0013】
基板本体21の上面21bには絶縁層24が形成されている。絶縁層24の上面には、第2の配線基板20に半導体チップ40a〜40dを実装するための接続用パッド25が形成されている。接続用パッド25と貫通電極22は、絶縁層24を貫通するビア26により互いに電気的に接続されている。なお、絶縁層24の上面側に、接続用パッド25を露出する開口部を有するレジスト膜(ソルダーレジスト)を設けてもよい。
【0014】
基板本体21の下面21cには絶縁層27が形成されている。絶縁層27の下面には配線層28が形成されている。配線層28と貫通電極22は、絶縁層27を貫通するビア29により互いに電気的に接続されている。
【0015】
絶縁層27の表面及び配線層28は、絶縁層30により覆われている。絶縁層30の下面には、第2の配線基板20を第1の配線基板10に実装するための接続用パッド31が形成されている。接続用パッド31と配線層28は、絶縁層30を貫通するビア32により互いに電気的に接続されている。接続用パッド31の下面にはバンプ33が形成されている。絶縁層30の表面(下面)はレジスト膜34にて覆われている。
【0016】
なお、配線層28を、複数の絶縁層と複数の配線層を積層した多層構造としてもよい。また、基板本体21の上面21b側に単層又は多層の配線層を形成してもよい。また、基板本体21の上面21b側及び下面21c側に単層又は多層の配線層を形成してもよい。
【0017】
なお、ビア26,29,32の材料は、例えば銅、ニッケル(Ni)、ニッケル合金、等である。配線層28や接続用パッド25,31の材料は、例えば銅、ニッケル(Ni)、ニッケル合金、等である。絶縁層24,27,30の材料は、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの絶縁樹脂である。
【0018】
半導体チップ40aの主面41(図1(b)において下面)には複数のバンプ42が形成されている。複数のバンプ42は、例えば主面41において、マトリックス状に配置されている。同様に、半導体チップ40bの主面41には、複数のバンプ42が形成され、これらのバンプ42はマトリックス状に配置されている。なお、図1(b)には示されていないが、図1(a)に示す半導体チップ40c,40dにおいても、同様に配置された複数のバンプを有している。第2の配線基板20の接続用パッド25は、これらのバンプ42に対応する位置に形成されている。
【0019】
第2の配線基板20に形成されたバンプ33は、第1の配線基板10に形成された接続用パッド12に接続されている。第1の配線基板10と第2の配線基板20の間にはアンダーフィル樹脂51が充填されている。アンダーフィル樹脂51は、第1の配線基板10と第2の配線基板20の間の接続強度を向上させる。また、アンダーフィル樹脂51は、接続用パッド12の腐食やエレクトロマイグレーションの発生を抑制する。アンダーフィル樹脂51の材料は、例えば例えばエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などの絶縁性樹脂、又はこれら樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材である。
【0020】
半導体チップ40a〜40dに形成されたバンプ42は、第2の配線基板20に形成された接続用パッド25に接続されている。第2の配線基板20と半導体チップ40a〜40dの間にはアンダーフィル樹脂52が充填されている。
【0021】
図2に示すように、第2の配線基板20の上面20a(図1(b)に示す絶縁層24の上面)には複数の接続用パッド25が、各半導体チップ40a〜40dに対応して、マトリックス状に配置されている。各半導体チップ40a〜40dは、図1(a)に示すように、矩形状に形成され、各半導体チップ40a〜40dのバンプは各半導体チップ40a〜40dの外形に沿って配列されている。図2には各半導体チップ40a〜40dの外形を一点鎖線で示している。
【0022】
上記したように、第2の配線基板20は基板本体21を有し、この基板本体21は例えばシリコン単結晶基板である。第2の配線基板20の上面20a、つまり基板本体21の上面21bの面方位は、例えば(100)面である。図2には、第2の配線基板20(基板本体21)における2つの結晶軸Cy,Czを二点鎖線で示している。結晶軸Cyの結晶方位は例えば<010>であり、結晶軸Czの結晶方位は例えば<001>である。なお、図2に示す結晶軸Cy,Czは、基板本体21の結晶軸を代表して示すものである。
【0023】
第2の配線基板20は、結晶軸Cy、Czと半導体チップ40a〜40dの外形とが所定の角度を成すように形成されている。例えば、図2に示すように、半導体チップ40aの外形と結晶軸Cyの間の角度を傾斜角θとする。傾斜角θの設定範囲は、例えば10度〜80度である。主面の面方位が(100)面である第2の配線基板20において、好適な傾斜角θの値は、例えば、22.5度、45度、67.5度である。なお、傾斜角θの値は、正確に上記の値である必要はない。
【0024】
上記したように、各半導体チップ40a〜40dにおいて、バンプ42は半導体チップ40a〜40dの外形と平行な直線に沿って配列されている。第2の配線基板20の上面20aに形成された接続用パッド25は、半導体チップ40a〜40dのバンプ42に対応する位置に形成されている。配列された接続用パッド25(最外周の接続用パッド)の中心を通る直線L1は、第2の配線基板20に実装された半導体チップ40aの外形(上辺)と平行である。直線L1と結晶軸Cyとが成す角度は傾斜角θとなる。従って、第2の配線基板20は、結晶軸Cy、Czと、上面に形成された接続用パッド25の中心を通り、接続用パッド25の配列方向に沿って延びる直線L1とが成す角度が所定の傾斜角θとなるように形成されている。
【0025】
第2の配線基板20の形成方法について説明する。
図3に示すように、円盤状のシリコン基板(シリコンウェハ)60には、所定の結晶方位を示す指標、例えばノッチ61が形成されている。例えば、主面60aの面方位が(100)面であるシリコン基板60において、中心Oとノッチ61を通る直線(図3において上下方向に延びる二点鎖線)L2は、例えば結晶方位が<001>であり、主面60aにおいてこの直線L2と直交する直線(図3において左右方向に延びる二点鎖線)L3は、例えば結晶方位が<010>である。例えば、直線L2は結晶軸Czと一致し、直線L3は結晶軸Cyと一致する。
【0026】
このシリコン基板60には、複数の基板形成領域62が設定される。図3における破線は、基板形成領域62を個片化するための切断線63を示している。複数の基板形成領域62は、切断線63が結晶軸Cyに対して傾斜角θをなすように傾いて形成される。シリコン基板60の各基板形成領域には、図1(b)に示す貫通電極22、ビア29,32等が形成される。そして、切断線63にそってシリコン基板60を個片化することにより、図2に示す第2の配線基板20が得られる。
【0027】
次に、上記の第2の配線基板20における作用を説明する。
図4(a)に示すように、第2の配線基板20の上面20a(図1(b)に示す基板本体21の上面21b)の面方位は(100)面である。第2の配線基板20は、外形に対して傾斜した結晶軸Cy,Czを有している。なお、図4(a)に示す結晶軸Cy,Czは、基板本体21の結晶軸を代表して示すものである。第2の配線基板20の上面20aには複数の半導体チップ40a〜40dが実装される。半導体チップ40aは、マトリックス状に配列された複数のバンプ42を有し、これらのバンプ42は第2の配線基板20の上面に形成された接続用パッド25(図2参照)に接続される。なお、図4(a)では省略したが、半導体チップ40b〜40dについても半導体チップ40aと同様に形成されたバンプが配線基板20の上面に形成された接続用パッドに接続される。そして、図4(b)に示すように、半導体チップ40a,40bと配線基板20の間にはアンダーフィル樹脂52が充填される。
【0028】
このように半導体チップ40a〜40dが実装された第2の配線基板20において、半導体チップ40a〜40dと第2の配線基板20の間に充填されたアンダーフィル樹脂52の外周、つまり半導体チップ40a,40bの外形に沿って応力が発生する。つまり、応力は、第2の配線基板20において、結晶軸Cy,Czに対して傾いた直線に沿って発生する。従って、第2の配線基板20に発生する応力は、複数の結晶軸に対して分散される。なお、図1に示す半導体チップ40c,40dにおいても、半導体チップ40a,40bと同様である。
【0029】
(比較例)
図6に示すように、シリコン基板70には、所定の結晶方位を示すノッチ71が形成されている。このシリコン基板70における結晶方位は、図3に示すシリコン基板60と同様に、直線L2(図6において上下方向に延びる二点鎖線)は結晶方位が<001>(結晶軸Cz)であり、主面70aにおいてこの直線L2と直交する直線L3(図6において左右方向に延びる二点鎖線)は結晶方位が<010>(結晶軸Cy)である。
【0030】
このシリコン基板70において、切断線73が結晶軸Cy、Czに対して平行になるように、複数の基板形成領域72が設定される。そして、このシリコン基板70を切断線73に沿って個片化して図5(a)に示す配線基板80が得られる。
【0031】
図5(a)に示すように、配線基板80は、上面80aの面方位が(100)面であり、外形と平行な結晶軸Cy,Czを有している。なお、図5(a)に示す結晶軸Cy,Czは、基板本体21の結晶軸を代表して示すものである。配線基板80の上面80aには複数の半導体チップ40a〜40dが実装される。半導体チップ40aは、マトリックス状に配列された複数のバンプ42を有し、これらのバンプ42は配線基板80の上面80aに形成された接続用パッド(図示略)に接続される。なお、図5(a)では省略したが、半導体チップ40b〜40dについても半導体チップ40aと同様に形成されたバンプが配線基板80の上面80aに形成された接続用パッドに接続される。そして、図5(b)に示すように、半導体チップ40a,40bと配線基板80の間にはアンダーフィル樹脂53が充填される。
【0032】
このように半導体チップ40a〜40dが実装された配線基板80において、半導体チップ40a〜40dと配線基板80の間に充填されたアンダーフィル樹脂53の外周、つまり半導体チップ40a〜40dの外形に沿って応力が発生する。つまり、応力は、配線基板80において、結晶軸Cy,Czと平行な直線に沿って発生する。つまり、配線基板80に発生する応力は、所定の結晶軸に集中する。このような応力によって、配線基板80において結晶軸Cy,Czに沿って亀裂81(図5(b)参照)が生じたり、結晶軸Cy、Czに沿って配線基板80が割れたりする。
【0033】
なお、半導体チップ40a〜40dを実装した配線基板80をアンダーフィル樹脂53を充填する装置に搬送(ハンドリング)する場合においても、同様の不良が発生する。即ち、図5(a)に示すように、半導体チップ40aと配線基板80を接続する複数のバンプ42のうち、半導体チップ40aの最外周のバンプ42が接続された接続用パッドにおいて、配線基板80に応力が発生する。従って、配線基板80に発生する応力は、接続用パッド、つまり半導体チップ40aにおいて最外周のバンプ42が配列された直線に沿って発生する。このように発生する応力は、所定の結晶軸に集中するため、この応力が集中する結晶軸に応じて亀裂の発生や配線基板の割れが生じる。
【0034】
これに対し、本実施形態における第2の配線基板20は、図4(a)に示すように、結晶軸Cy,Czに対して、半導体チップ40aのバンプ42が配列された直線が傾いている。従って、第2の配線基板20に発生する応力は、所定の結晶軸に集中することなく、複数の結晶軸に対して分散される。従って、不良の発生を低減することができる。
【0035】
以上記述したように、一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)半導体装置1は、第1の配線基板10の上面に搭載された第2の配線基板20と、第2の配線基板20の上面に搭載された複数の半導体チップ40a〜40dを有している。第2の配線基板20の上面20aには、半導体チップ40a〜40dのバンプ42が接続される複数の接続用パッド25が形成され、下面には第1の配線基板10に接続される接続用パッド31及びバンプ33が形成されている。
【0036】
第2の配線基板20は、結晶軸Cy,Czを有する基板本体21を含む。基板本体21の結晶軸Cyに対し、所定の傾斜角θを成すように、上面20aの接続用パッド25が配列されている。従って、矩形状に形成された第2の配線基板20の外形は、結晶軸Cyに対して傾斜角θをなすように傾斜している。また、第2の配線基板20の上面20aに搭載される複数の半導体チップ40a〜40dの外形は、第2の配線基板20の結晶軸Cyに対して傾斜角θをなすように傾斜している。
【0037】
半導体チップ40a〜40dが搭載された第2の配線基板20において発生する応力は、半導体チップ40a〜40dと第2の配線基板20の間に充填されたアンダーフィル樹脂52の端部、即ち半導体チップ40a〜40dの外形と平行な直線に沿って発生する。半導体チップ40a〜40dの外形は、第2の配線基板20の結晶軸Cyに対して傾斜角θをなすように傾斜している。従って、発生する応力は、複数の結晶軸に対して分散するため、発生する応力により第2の配線基板20に生じる亀裂などの不良を低減することができる。
【0038】
また、半導体チップ40a〜40dが搭載された第2の配線基板20をアンダーフィル樹脂52を充填する工程に搬送する。このハンドリングにおいて、配線基板20には、半導体チップ40a〜40dにおいて最外周に形成されたバンプ42の配列方向、即ち第2の配線基板20の上面20aに形成された接続用パッド25の配列方向に沿って応力が生じる。この配列方向は、基板本体21の結晶軸Cyに対して傾斜角θをなすように傾斜している。従って、このようなハンドリングにおいても、第2の配線基板20に生じる亀裂等の不良を低減することができる。
【0039】
なお、図5(a)に示す配線基板80の外形に対して、半導体チップ40a〜40dの外形を傾けて実装することも考えられる。しかし、このような実装方法は、配線基板80の大型化を招く。また、配線基板80において、外形に対して傾いた方向に沿って接続用パッドを形成しなければならないため、外部パッドや貫通電極などの製造に用いるマスク等を作成しなければならないため、製造コストの増加を招く。これに対し、本実施形態の配線基板20は、大型化やコストの増加を抑制することができる。
【0040】
なお、上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・第2の配線基板20において、基板本体21の材料を適宜変更してもよい。例えば、基板本体21として、炭化珪素(SiC)基板、ガリウム・ヒ素(GaAs)等の化合物半導体基板、ガラス基板(石英ガラス基板も含む)等を用いることができる。
【0041】
・第2の配線基板20を、マザーボード等の基板2に搭載してもよい。
・第2の配線基板20に実装する電子部品として、半導体チップ、チップ抵抗、チップコンデンサ、水晶振動子等を用いることができる。また、電子部品は、半導体チップ等を搭載した配線基板を含み、この配線基板を第2の配線基板20に実装するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
20 第2の配線基板
20a 上面
21 基板本体
21b 上面
25 接続用パッド(第1パッド)
40a〜40d 半導体チップ(電子部品)
41 主面
42 バンプ(接続端子)
Cy,Cz 結晶軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6