(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
押出成形後の円柱形状のグリーンハニカム成形体の側面を前記グリーンハニカム成形体の長手方向を水平にした状態で支持するためのグリーンハニカム成形体用受台であって、
可撓性を有する本体部を備え、
前記本体部は、前記本体部の上部に前記グリーンハニカム成形体の前記側面を支持する溝部を有し、
前記本体部の前記溝部の下方に空洞部が形成されており、
前記空洞部は、前記溝部が延びる方向に前記本体部を貫通している、
グリーンハニカム成形体用受台。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
グリーンハニカム成形体が受台に支持された状態では、受台の溝とグリーンハニカム成形体の側面との間にクリアランス(隙間)が存在している。クリアランスが大きい場合、焼成前の乾燥していないグリーンハニカム成形体は、受台に支持されている間に自重により重力方向に潰れて水平方向に広がり、その断面は楕円状に扁平した形状となってしまう。このことは、グリーンハニカム成形体の寸法精度を低下させる原因となる。
【0006】
そこで本発明は、グリーンハニカム成形体の寸法精度の低下を抑制することができるグリーンハニカム成形体用受台、及びディーゼルパティキュレートフィルタの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、押出成形後の円柱形状のグリーンハニカム成形体の側面をグリーンハニカム成形体の長手方向(中心軸)を水平にした状態で支持するためのグリーンハニカム成形体用受台であって、可撓性を有する本体部を備え、本体部は、本体部の上部にグリーンハニカム成形体の側面を支持する溝部を有し、本体部の溝部の下方に空洞部が形成されて
おり、空洞部は、溝部が延びる方向に本体部を貫通している。
【0008】
本発明によれば、本体部の上部の溝部にグリーンハニカム成形体が支持されたときに、溝部の下方にある空洞部が鉛直方向に潰れ、これに伴い、可撓性を有する本体部の形状が変化し、溝部とグリーンハニカム成形体の側面との間のクリアランスが減少する。つまり、グリーンハニカム成形体が水平方向へ広がり得る空間が狭くなることになる。そのため、本発明によれば、グリーンハニカム成形体の中心軸が水平である状態において、グリーンハニカム成形体の変形(歪み)が抑制され、成形体の円形の断面が楕円状に扁平な形状になることが抑制される。従って、本発明によれば、グリーンハニカム成形体の寸法精度の低下を抑制することができる。
【0009】
本発明においては、溝部は、グリーンハニカム成形体の側面の下部半周分が当接する曲面部と、曲面部の曲面方向の両縁から上方に向かって延びる一対の側面部とを有することが好ましい。これによれば、溝部の長手方向の縁がグリーンハニカム成形体の側面に触れ難くなり、クリアランスが減少するように本体部が変形した場合に、グリーンハニカム成形体の側面が溝部の縁との接触により傷つくことを抑制することができる。
【0010】
本発明の第一の態様では
、溝部及び空洞部が延びる方向に直交する鉛直面における溝部及び空洞部の断面形状は、互いに共通する鉛直方向の対称軸について線対称であり、鉛直面における空洞部の断面形状は、少なくとも一部が水平かつ互いに平行である対辺を有し、対辺のうち少なくとも上辺は、その両側において上方に向かって傾斜した傾斜部を有し、
上辺の水平部の長さとその両側の傾斜部の水平方向の長さとの合計からなる上辺の両端部間の水平距離は、鉛直面における溝部の幅よりも長いことが好ましい。
【0011】
空洞部が本体部を貫通しており、且つ溝部及び空洞部が上記の対称性を有すると、グリーンハニカム成形体を支持した本体部の形状が変形したときにクリアランスが均等に減少するため、グリーンハニカム成形体の寸法精度の低下がバランスよく抑制される。また、空洞部の断面形状が上記態様であると、本体部の形状変化に伴ってクリアランスが適度に減少する。すなわち、断面形状における上辺の両端部間の水平距離が溝部の幅よりも長いため、グリーンハニカム成形体を支持したときに、溝部がグリーンハニカム成形体の側面を包み込むように本体部が変形しやすい。このとき、空洞部の断面形状が、少なくとも一部が水平かつ互いに平行である対辺を有しているため、その包み込みの程度が過度にならず、クリアランスが適度に減少する。
【0012】
本発明の第二の態様では
、溝部及び空洞部が延びる方向に直交する鉛直面における溝部及び空洞部の断面形状は、互いに共通する鉛直方向の対称軸について線対称であり、鉛直面における空洞部の断面形状は、上辺が下辺よりも短く且つ下辺の長さが鉛直面における溝部の幅以下である仮想の台形形状の頂点を少なくとも辿る線からなる形状であり、線のうち、上辺側の頂点間を辿る線は、上辺側の頂点の位置よりも下方の位置で対称軸と交差し、頂点側から対称軸側に向けて下方に傾斜した傾斜部を含んでいてもよい。
【0013】
空洞部が本体部を貫通しており、且つ溝部及び空洞部が上記の対称性を有すると、グリーンハニカム成形体を支持した本体部の形状が変形したときにクリアランスが均等に減少するため、グリーンハニカム成形体の寸法精度の低下がバランスよく抑制される。また、空洞部の断面形状が上記態様であると、グリーンハニカム成形体の側面が溝部の縁との接触により傷つくことをより抑制することができる。すなわち、断面形状が、上辺が下辺よりも短く且つ下辺の長さが溝部の幅以下である仮想の台形形状の頂点を少なくとも辿る線からなる形状であるため、グリーンハニカム成形体を支持したときに、溝部がグリーンハニカム成形体の側面を包み込むように本体部が変形する。この第二の態様では、断面形状が少なくとも一部が水平かつ互いに平行である対辺を有している場合に比べて、グリーンハニカム成形体は本体部で包み込まれ難い。しかし第二の態様の空洞部の断面形状では、上記線のうち上辺側の頂点間を辿る線が上辺側の頂点の位置よりも下方の位置で対称軸と交差しているため、グリーンハニカム成形体の変形を抑制することができる程度に、本体部がグリーンハニカム成形体を包み込むことができる。
【0014】
本発明の第三の態様では
、溝部及び空洞部が延びる方向に直交する鉛直面における溝部及び空洞部の断面形状は、互いに共通する鉛直方向の対称軸について線対称であり、鉛直面における空洞部の断面形状は、水平方向の上辺及び下辺の長さが鉛直面における溝部の幅よりも長い仮想の長方形形状の頂点を少なくとも辿る線からなる形状であり、線のうち、上辺側の頂点間を辿る線は、上辺側の頂点の位置よりも下方の位置で対称軸と交差し、頂点側から対称軸側に向けて下方に傾斜した2対以上の下方傾斜部と、下方傾斜部の間で頂点側から対称軸側に向けて上方に傾斜した上方傾斜部と、を含んでいてもよい。
【0015】
空洞部が本体部を貫通しており、且つ溝部及び空洞部の上記の対称性を有すると、グリーンハニカム成形体を支持した本体部の形状が変形したときにクリアランスが均等に減少するため、グリーンハニカム成形体の寸法精度の低下がバランスよく抑制される。また、空洞部の断面形状が上記態様であると、本体部の形状変化に伴ってクリアランスが顕著に減少する。すなわち、断面形状が、水平方向の上辺及び下辺の長さが鉛直面における溝部の幅よりも長い仮想の長方形形状の頂点を少なくとも辿る線からなる形状であるため、グリーンハニカム成形体を支持したときに、溝部がグリーンハニカム成形体の側面を包み込むように本体部が変形しやすい。このとき、上記線のうち上辺側の頂点間を辿る線が上辺側の頂点の位置よりも下方の位置で対称軸と交差しているため、その包み込みの程度がより大きくなり、クリアランスが顕著に減少する。
【0016】
本発明の第四の態様では、溝部の曲面部は、溝部が延びる方向から見て半円状であり、空洞部は、曲面部全体の下方に位置し
、空洞部は、水平な底面、底面に対向する上面、及び対向する一対の鉛直な側面によって囲まれており、上面において溝部が延びる方向に平行な両端部が、曲面部に向かって折れ曲がっている。第四の態様においても、グリーンハニカム成形体の変形が抑制され、その寸法精度の低下を抑制することができる。
【0017】
本発明の第五の態様では、溝部の曲面部は、溝部が延びる方向から見て半円状であり
、空洞部の底面、及び底面に対向する空洞部の上面は、曲面部全体に沿って曲がった曲面であり、空洞部は底面及び上面の2つの曲面のみによって囲まれている。第五の態様によれば、上記態様に比べて、グリーンハニカム成形体の変形を抑制し易くなり、グリーンハニカム成形体の寸法精度が向上し易い。なお、第五の態様では、曲面部と上面との間における本体部の厚さは均一であることが好ましい。これにより、さらにグリーンハニカム成形体の変形を抑制し易くなる。
【0018】
本発明に係るグリーンハニカム成形体用受台は、溝部の表面を覆う内張り部を備えてもよい。内張り部は、可撓性を有し、かつ本体部よりも可撓性が高い材質からなる。溝部は、内張り部を介して、グリーンハニカム成形体の前記側面を支持する。
【0019】
内張り部が本体部よりも可撓性が高い材質からなるため、受台の溝の終端部がグリーンハニカム成形体の側面に食い込むことが抑制される。一方、搬送性は、内張り部よりも可撓性の低い材質からなる本体部の剛性によって維持されている。従って、グリーンハニカム成形体用受台は、内張り部を有することにより、搬送性を維持しつつ、グリーンハニカム成形体の側面に周方向に沿う傷がつくことを抑制することができる。
【0020】
内張り部の厚さは、グリーンハニカム成形体の円状の断面の半径に対して0.05〜0.2倍であることが好ましい。これによれば、グリーンハニカム成形体の側面が傷つくことを抑制し易くなる。
【0021】
内張り部は、本体部よりも硬さが小さい材質からなることが好ましい。また、内張り部は、本体部よりも反発弾性が小さい材質からなることが好ましい。これによれば、グリーンハニカム成形体の側面が傷つくことを抑制し易くなる。
【0022】
本発明に係るディーゼルパティキュレートフィルタの製造方法は、上記グリーンハニカム成形体用受台を用いた製造方法であって、セラミックスの原料粉末を含む混合物を押出成形機から水平方向に押し出すことにより、長尺の円柱体を形成する工程と、円柱体の下側の側面をグリーンハニカム成形体用受台の溝部で支持し、円柱体を円柱体の長手方向に垂直に切断して、グリーンハニカム成形体用受台で支持されたグリーンハニカム成形体を形成する工程と、グリーンハニカム成形体用受台で支持されたグリーンハニカム成形体を、グリーンハニカム成形体用受台とともに搬送する工程と、を備える。本発明に係る製造方法によれば、グリーンハニカム成形体の変形を抑制して、その寸法精度を向上させることが可能となる。また内張り部を備える上記受台を用いた製造方法によれば、グリーンハニカム成形体の変形を抑制することができるのみならず、搬送性が維持されるとともに、グリーンハニカム成形体の側面に周方向に沿う傷がつくことを抑制して、歪みがなく傷の少ないディーゼルパティキュレートフィルタの製造が可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、グリーンハニカム成形体の寸法精度の低下を抑制することができるグリーンハニカム成形体用受台、及びディーゼルパティキュレートフィルタの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付す。また、上下左右の位置関係は図面に示す通りであるが、寸法の比率は図面に示すものに限定されない。
【0026】
[グリーンハニカム成形体用受台]
本発明に係るグリーンハニカム成形体用受台(以下、「受台」という。)は、
図8に示されるように、円柱状のグリーンハニカム成形体70の側面をグリーンハニカム成形体70の長手方向を水平にした状態で支持するものである。グリーンハニカム成形体とは、ディーゼルパティキュレートフィルタ等に用いられるハニカム構造体の製造における中間体である。グリーンハニカム成形体は、セラミックスの原料粉末を含むペースト状の混合物を押出成形することにより形成されるため、柔らかく、傷付き易く、変形し易い。なお、グリーンハニカム成形体70の長手方向とは、円柱状のグリーンハニカム成形体70の円状の断面の中心を通る軸(中心軸)の方向と言い換えられる。
【0027】
図13(a)及び
図13(b)に示すように、グリーンハニカム成形体70はその中心軸に平行である複数の隔壁70cを有する。つまり、グリーンハニカム成形体70は、その中心軸方向に垂直な断面において格子構造を有する。換言すれば、グリーンハニカム成形体70には、同一方向(中心軸方向)に延びる多数の貫通孔70a(流路)が形成されており、各貫通孔70aは隔壁70cによって隔てられる。複数の貫通孔70aは互いに平行である。グリーンハニカム成形体70の第一端面とその反対側の第二端面において、各貫通孔の開口部が位置している。各貫通孔70aはグリーンハニカム成形体70の両端面に垂直である。各隔壁70cが互いになす角は、特に限定されず、90°であってもよく、120°であってもよい。貫通孔の断面が正方形である場合、正方形の一辺の長さは、例えば0.8〜2.5mmであればよい。
【0028】
グリーンハニカム成形体70の貫通孔が延びる方向の側面の長さは特に限定されないが、例えば、30〜350mmとすることができる。また、グリーンハニカム成形体70の外径も特に限定されないが、例えば、10〜320mmとすることできる。グリーンハニカム成形体70の外径は、140〜180mmであってもよく、150〜170mmであってもよい。
【0029】
(グリーンハニカム成形体用受台の第一の態様)
図1は、本発明に係る受台の第一の態様(受台1A)の断面図である。
図1に示されるように、受台1Aは、可撓性を有するゴム、スポンジ等の材質からなる本体部3を備えている。可撓性とは、曲げや撓みが生じうる性質をいう。本体部3は、その上部にグリーンハニカム成形体70の側面を支持する溝部7を有し、溝部7の下方に空洞部5を有する。
【0030】
溝部7は、本体部3の上部に設けられた凹みであり、
図1の紙面手前と奥の方向に延びている。溝部7は、円柱形状であるグリーンハニカム成形体70を支持したときにグリーンハニカム成形体70の側面の下部半周分が当接する曲面部9と、曲面部9の曲面方向の両縁からそれぞれ上方に向かって所定の高さb8で延びる側面部11とを有する。
【0031】
曲面部9の曲率は、溝部7の最深部にグリーンハニカム成形体70の側面が当接するように、グリーンハニカム成形体の円柱形状の曲率と同等又は小さくされている。溝部7の上端部の幅、すなわち側面部11の縁間の距離は、グリーンハニカム成形体70がその長手方向を水平にした状態で側面部11の縁に接することなく溝部7に進入できるように、グリーンハニカム成形体70の直径よりも広くされている。
【0032】
空洞部5は、溝部7が延びる方向に本体部3を貫通している。
図1における溝部7及び空洞部5の断面形状(つまり、溝部7及び空洞部5が延びる方向に直交する鉛直面における断面形状)は、互いに共通する鉛直方向の対称軸a1について線対称である。
【0033】
上記鉛直面における空洞部5の断面形状は、一部が水平かつ互いに平行な対辺である下辺L1及び上辺L2を有し、そのうち上辺L2は、その両側において上方に向かって傾斜した一対の傾斜部L2aを有する。一対の傾斜部L2aの最下部は、それぞれ鉛直下方に延びて一対の垂直部L2bを形成し、上辺L2の水平部分の両端部と結合している。また、一対の傾斜部L2aの最上部、すなわち上辺L2の両端部は、それぞれ鉛直下方に延びて一対の側辺L3を形成し、下辺L1の両端部と結合している。ここで、上辺L2の両端部間の水平距離(下辺L1の両端部間の水平距離)d1は、同鉛直面における溝部7の幅b3よりも長い。
【0034】
図1に示される受台1Aの断面図において、b3は溝部7の幅を示し、b4は側面部11の幅を示し、b5は受台1Aの幅を示し、b6は、受台1Aの幅の半分の長さを示し、b7は曲面部9の上端までの受台1Aの高さを示し、b8は側面部11の高さを示し、b9は溝部7の最深部までの受台1Aの高さを示す。また、同図においてd1は、空洞部5の下辺L1の長さを示し、d2は空洞部5の上辺L2の水平部分の長さを示し、d3は空洞部5の傾斜部L2aの水平長さを示し、d4は空洞部5の側辺L3と本体部3の側面との距離を示し、d5は空洞部5の側辺L3の長さを示し、d6は空洞部の下辺L1と本体部の底面との距離を示し、d7は空洞部5の傾斜部L2aの垂直長さを示し、d8は空洞部5の上辺L2の水平部分と下辺L1との距離を示す。
【0035】
ここで、受台1Aの作用及び効果について説明する。空洞部を有しない従来の受台では、
図2に示されるように、グリーンハニカム成形体(破線)70が受台100に支持された状態では、受台100の溝部47とグリーンハニカム成形体(破線)70の側面との間にクリアランスCが存在している。乾燥・焼成前のグリーンハニカム成形体(破線)70は、受台100に支持されて次の加工工程を待つ間に、自重(重力)F1及び可撓性を有する受台100の本体部3からの反発力F2を受け、水平方向に広がろうとする内部応力F3が働く。内部応力F3の方向にはクリアランスCが存在するため、グリーンハニカム成形体(破線)70が重力方向に潰れて水平方向に広がり、楕円状に扁平した形状(実線)となってしまう。このことは、グリーンハニカム成形体70の寸法精度が低下する原因となる。
【0036】
これに対し、受台1Aでは、グリーンハニカム成形体70を支持したときに空洞部5が鉛直方向に潰れる。より具体的には、
図3に示されるように、上辺L2が下方へ落ち込み、このとき上辺L2の両端部間の水平距離d1が溝部7の幅b3よりも長いため、一対の傾斜部L2a及び側辺L3が対称軸a1に向かって傾斜するように本体部3が変形し、空洞部5全体が鉛直方向に潰れた形状となる。すなわち、溝部7において、側面部11及び曲面部9の一部が対称軸a1に向かって傾き、本体部3上部全体がグリーンハニカム成形体70の側面を包み込むように変形する。このとき、空洞部5の断面形状が、少なくとも一部が水平かつ互いに平行である下辺L1及び上辺L2を有しているため、その包み込みの程度が過度にならない。
【0037】
このような本体部3全体の形状変化により、溝部7とグリーンハニカム成形体70の側面との間のクリアランスが減少し、更にはグリーンハニカム成形体70に溝部7の表面が当接する。そして、グリーンハニカム成形体70が水平方向に広がろうとする内部応力F3に対して、当接した溝部7による反発力F4が働き、グリーンハニカム成形体70の水平方向の広がりが抑制される。
【0038】
このような作用により、受台1Aがグリーンハニカム成形体70を支持したときに、グリーンハニカム成形体70が水平方向へ広がり得る空間が狭くなることになるため、グリーンハニカム成形体が楕円状に扁平した形状となることが抑制される。従って、受台1Aによれば、グリーンハニカム成形体70の寸法精度の低下を抑制することができる。
【0039】
これに加え、受台1Aでは、溝部7が側面部11を有しているため、受台1Aがグリーンハニカム成形体70を支持して本体部3の形状が変化したときに、溝部7の縁がグリーンハニカム成形体70の側面に触れない。従って、グリーンハニカム成形体70の側面が溝部7の縁との接触により傷つくことが防止される。
【0040】
また、受台1Aでは、空洞部5は、溝部7が延びる方向に本体部3を貫通しており、且つ、溝部7及び空洞部5の断面形状は、互いに共通する鉛直方向の対称軸a1を有しているため、クリアランスが本体部3全体にわたって均等に減少し、グリーンハニカム成形体70の寸法精度の低下がバランスよく抑制される。
【0041】
(グリーンハニカム成形体用受台の第二の態様)
図4は、本発明に係る受台の第二の態様(受台1B)の断面図である。受台1Bが第一の態様(受台1A)と異なる点は、溝部が側面部を有しない点、及び、空洞部の断面形状が異なる点である。
【0042】
受台1Bの溝部17及び空洞部15の断面形状(つまり、溝部17及び空洞部15が延びる方向に直交する鉛直面における断面形状)は、互いに共通する鉛直方向の対称軸a2について線対称である。
【0043】
上記鉛直面における空洞部15の断面形状は、水平な下辺L11と、下辺11の両端からそれぞれ鋭角に上方に向かって延びる一対の側辺L13と、一対の側辺L13の上端同士を結ぶ上辺L12からなる。上辺12は、一対の側辺L13の上端からそれぞれ、対称軸a2に向けて下方に傾斜して延び、対称軸a2上で互いに結ばれている。
【0044】
換言すれば、上記鉛直面における空洞部の断面形状は、上辺が下辺よりも短い仮想の台形形状の頂点を辿る線からなる形状である。線のうち、下辺及び一対の側辺は、当該台形形状そのままの形状を辿っている。そして、上辺側の頂点間を辿る線は、その中点で折れ曲がっており、且つ上辺側の頂点の位置よりも下方の位置で対称軸a2と交差している。つまり、上記線は、上辺側の頂点側から対称軸側に向けて下方に傾斜した一対の傾斜部である上辺L12を含んでいる。
【0045】
ここで、下辺d11の長さは、溝部17の幅b13の幅以下である。
【0046】
受台1Bでは、空洞部15が上記断面形状を有するため、上記第一の態様(受台1A)と比べて、グリーンハニカム成形体70を支持したときの空洞部15の潰れ具合が小さい。すなわち、上辺L12が下辺L11よりも短く且つ下辺L11の長さが溝部17の幅b13以下である受台1Bでは、溝部17がグリーンハニカム成形体の側面を包み込むように本体部13が変形するとき、受台1Aに比べて、その包み込みの程度は弱いが、一対の上辺L12同士の交点が側辺L13の上端の位置よりも下方の位置で対称軸a2と重なるため、その包み込みがある程度は確保される。そして、本体部13全体としての形状の変化も小さく、クリアランスの減少度合いも小さい。従って、グリーンハニカム成形体70の側面が溝部17の縁との接触により傷つくことを防止することができる。
【0047】
(グリーンハニカム成形体用受台の第三の態様)
図5は、本発明に係る受台の第三の態様(受台1C)の断面図である。受台1Cが第一の態様(受台1A)と異なる点は、溝部が側面部を有しない点、及び、空洞部の断面形状が異なる点である。
【0048】
受台1Cの溝部27及び空洞部25の断面形状(つまり、溝部27及び空洞部25が延びる方向に直交する鉛直面における断面形状)は、互いに共通する鉛直方向の対称軸a3について線対称である。
【0049】
上記鉛直面における空洞部25の断面形状は、水平な下辺L21と、下辺21の両端からそれぞれ直角に上方に向かって立ち上がる一対の側辺L23と、一対の側辺L23の上端同士を結ぶ上辺L22からなる。上辺L22は、一対の側辺L23の上端からそれぞれ、順に、対称軸a3に向けて下方に傾斜した第1の下方傾斜部L22aと、第1の下方傾斜部L22aから、より急角度で下方に傾斜した第2の下方傾斜部L22bと、第2の下方傾斜部L22bから上方に傾斜した上方傾斜部L22cと、上方傾斜部L22cから下方に傾斜した第3の下方傾斜部L22dとからなり、第3の下方傾斜部L22dが対称軸a3上で互いに結ばれている。
【0050】
換言すれば、上記鉛直面における空洞部25の断面形状は、仮想の長方形形状の頂点を少なくとも辿る線からなる形状である。線のうち、下辺及び一対の側辺は、当該長方形形状そのままの形状を辿っている。そして、上辺側の頂点間を辿る線は、上辺側の頂点の位置よりも下方の位置で対称軸と交差している。そして、当該線は、頂点側から対称軸a3側に向けて下方に傾斜した2対以上の下方傾斜部と、下方傾斜部の間で頂点側から対称軸a3側に向けて上方に傾斜した上方傾斜部とを含んでいる。
【0051】
ここで、下辺d21の長さは、溝部27の幅b23の幅よりも長い。
【0052】
受台1Cでは、空洞部25が上記断面形状を有するため、第一の態様(受台1A)と比べて、グリーンハニカム成形体70を支持したときの空洞部25の潰れ具合が大きい。すなわち、下辺L21の長さが溝部27の幅b23よりも長い受台1Cでは、溝部27がグリーンハニカム成形体70の側面を包み込むように、本体部23が変形しやすい。また、第3の下方傾斜部L22dが側辺L23の上端の位置よりも下方の位置で対称軸a3と交差しているため、本体部23全体としての形状の変化も大きく、クリアランスの減少度合いも大きい。従って、本体部の形状変化によるクリアランスの減少がより顕著であり、グリーンハニカム成形体70の寸法精度の低下をより抑制することができる。
【0053】
(グリーンハニカム成形体用受台の第四の態様)
以下、本発明に係るグリーンハニカム成形体用受台の第四の態様(受台1D及び受台1E)について説明する。
図6(a)に示されるように、受台1Dは、可撓性を有する材質からなる本体部63を備えている。本体部63は、その上部に溝部67を有し、溝部67の下方に空洞部65を有する。
【0054】
溝部67は、本体部63の上部に設けられた凹みであり、
図6(a)の紙面手前と奥の方向Xに延びている。溝部67は、円柱状であるグリーンハニカム成形体70を支持したときにグリーンハニカム成形体70の側面の下部半周分が収容される曲面部69と、曲面部69の両縁からそれぞれ上方に向かって延びる側面部71とを有する。なお、曲面部69の両縁とは、曲面部69において溝部67が延びる方向Xに平行な両端部と言い換えられる。曲面部69の曲率は、グリーンハニカム成形体の円柱状の曲率と同等であるか、又は小さい。
【0055】
溝部67の幅b61は、グリーンハニカム成形体70の直径よりも大きい。よって、グリーンハニカム成形体70の長手方向を水平にした状態で、グリーンハニカム成形体70を溝部67の縁に接触させることなく溝部内に進入させることができる。グリーンハニカム成形体70は、溝部67に直接接触する。換言すれば、受台1Dの溝部67がグリーンハニカム成形体70を支持する。
【0056】
空洞部65は、溝部67が延びる方向Xに本体部63を貫通している。
図6(a)の溝部67の断面形状(溝部67が延びる方向Xに直交する断面)は、断面の中心において鉛直方向Zに延びる軸a61に対して線対称である。
図6(a)の空洞部65の断面形状(空洞部65が延びる方向Xに直交する断面)は、上記軸a61に対して線対称である。
【0057】
上記鉛直面における空洞部65の断面形状は、一部が水平かつ互いに平行な対辺である下辺L61及び上辺L62を有する。そのうち上辺L62は、その両側において上方に向かって傾斜した一対の傾斜部L62aを有する。一対の傾斜部L62aの最下部は、上辺L62の水平部分の両端部と結合している。また、一対の傾斜部L62aの最上部、すなわち上辺L62の両端部は、それぞれ鉛直下方に延びて一対の側辺L63を形成し、下辺L61の両端部と結合している。ここで、上辺L62の両端部間の水平距離(下辺L61の両端部間の水平距離)d61は、溝部67の幅b61よりも長い。
【0058】
上記の受台1Dは、以下のように言い換えられる。受台1Dでは、溝部67の曲面部69は、溝部が延びる方向Xから見て半円状である。本体部63に空洞部65が形成されている。空洞部65は、曲面部69全体の下方に位置し、かつ溝部67が延びる方向Xに本体部63を貫通している。空洞部65は、水平な底面(下辺L61を含む面)、底面に対向する上面(上辺L62を含む面)、及び対向する一対の鉛直な側面(側辺L63を含む面)によって囲まれている。上面において溝部が延びる方向Xに平行な両端部(傾斜部L62aを含む部分)が、曲面部69に向かって折れ曲がっている。溝部67が延びる方向Xに沿って溝部67を二等分する面(軸a61を含む面)に対して、空洞部65は面対称である。水平方向(方向Xに垂直且つ水平な方向Y)における空洞部65の底面の幅d61は、同方向における溝部67の幅b61よりも長い。
【0059】
受台1Dでは、グリーンハニカム成形体70を支持したときに空洞部65が鉛直方向に潰れる。より具体的には、上辺L62が下方へ落ち込み、このとき上辺L62の両端部間の水平距離d61が溝部67の幅b61よりも長いため、一対の傾斜部L62a及び側辺L63が対称軸a61に向かって傾斜して、空洞部65全体が鉛直方向に潰れる。これに伴い、可撓性を有する本体部63が変形する。すなわち、溝部67において、側面部71及び曲面部69の一部が対称軸a61に向かって傾き、本体部63の上部全体がグリーンハニカム成形体70の側面を包み込むように変形する。このとき、空洞部65の断面形状が、少なくとも一部が水平かつ互いに平行である下辺L61及び上辺L62を有しているため、その包み込みの程度が過度にならない。
【0060】
このような本体部63全体の変形により、溝部67とグリーンハニカム成形体70の側面との間の間隔が減少し、グリーンハニカム成形体70に溝部67の表面が当接する。そして、重力によりグリーンハニカム成形体70に水平方向に広がろうとする内部応力に対して、当接した溝部67による反発力が働き、グリーンハニカム成形体70の中心軸に垂直な断面の水平方向の広がりが抑制される。
【0061】
このような作用により、受台1Dがグリーンハニカム成形体70を支持したときに、グリーンハニカム成形体70が水平方向へ広がり得る空間が狭くなるため、グリーンハニカム成形体の断面が扁平な楕円状になることが抑制される。従って、受台1Dによれば、空洞部を備えない受台を用いた場合に比べて、グリーンハニカム成形体70の寸法精度が向上する。
【0062】
これに加え、受台1Dでは、溝部67が側面部71を有しているため、受台1Dがグリーンハニカム成形体70を支持して本体部63の形状が変化したときに、溝部67の縁がグリーンハニカム成形体70の側面に触れない。したがって、グリーンハニカム成形体70の側面が内張り部73の縁との接触により傷つくことが防止される。
【0063】
また、受台1Dでは、空洞部65は、溝部67が延びる方向に本体部63を貫通しており、且つ、溝部67及び空洞部65の断面形状は、それぞれ軸a61に対して線対称である。そのため、本体部63全体の変形に伴い、溝部67とグリーンハニカム成形体70の側面との間の間隔が、本体部63全体にわたって均等に減少するので、グリーンハニカム成形体70の寸法精度が向上する。
【0064】
グリーンハニカム成形体用受台の第四の態様は、
図6(b)、
図7(a)及び
図7(b)に示す受台1Eのように、本体部63よりも可撓性の高い材質からなる内張り部73を備えてもよい。受台1Eの内張り部73は溝部67の表面全体を被覆する。受台1Eは、内張り部73を備えること以外は、上記の受台1Dと同様の寸法及び構造を有するものである。なお、受台1Eでは、上辺L62の両端部間の水平距離(下辺L61の両端部間の水平距離)d61は、内張り部73の上端部間の距離b61よりも長い。また、水平方向(方向Xに垂直且つ水平な方向Y)における空洞部65の底面の幅d61は、同方向における内張り部73の幅b61よりも長い。
【0065】
本体部63の材質としては、可撓性を有するゴム、スポンジ等が挙げられ、より具体的には、ポリウレタン、発泡ポリスチレン、又は発泡ポリエチレンが挙げられる。本体部63としては、例えば後述する表1に挙げたNo.1〜10のものを使用することができる。ここで可撓性とは、曲げや撓みが生じうる性質をいい、「可撓性が高い」とは、例えば25%硬さが小さいことや、反発弾性が小さいことを意味する。
【0066】
溝部67の曲面部69及び側面部71は、その全面がシート状の内張り部73により覆われている。ここで、内張り部73の厚さは、支持するグリーンハニカム成形体の半径の0.05〜0.2倍であることが好ましい。
【0067】
内張り部73の上端部間の距離b61は、グリーンハニカム成形体70の直径よりも大きい。よって、グリーンハニカム成形体70の長手方向を水平にした状態で、グリーンハニカム成形体70を内張り部73の縁に接触させることなく内張り部73の溝形状内に進入させることができる。グリーンハニカム成形体70は、内張り部73に当接され、内張り部73に直接的に支持される。換言すれば、受台1Eの本体部63は、溝部67の表面を覆う内張り部73を介してグリーンハニカム成形体70を支持する。
【0068】
内張り部73の材質としては、本体部63の材質よりも可撓性の高いものを使用する。内張り部73の材質としては、例えば、軟質ゴム、軟質ポリウレタン又はシリコーンゲル等が挙げられる。内張り部73としては、例えば後述する表2に挙げたNo.11〜25のものを使用することができる。
【0069】
本体部63の25%硬さ(圧縮率25%での硬さ)は130N以上であることが好ましく、内張り部73の25%硬さは100N以下であることが好ましい。なお、25%硬さとは、試料(本体部を構成する材料)を所定の方向に25%圧縮したときの試料の硬さである。25%硬さは、JIS K6401規格に基づいて測定される。また、本体部63の反発弾性は30%以上であることが好ましく、内張り部73の反発弾性は5〜50%であることが好ましい。25%硬さ及び反発弾性が上記範囲内になる本体部63の材質と内張り部73の材質とを組み合わせることが好ましい。これにより、グリーンハニカム成形体70が傷つくことを抑制し易くなる。本体部63に適用可能な材質の例を表1に示し、内張り部73に適用可能な材質の例を表2に示す。
【0072】
ここで、受台1Eの作用及び効果について説明する。従来の受台10は、一般的に、
図8に示されるように、グリーンハニカム成形体70の長手方向の長さが受台10の溝部が延びる方向の長さよりも長い。よって、グリーンハニカム成形体70はその両端が受台10からはみ出した状態で支持される。このため、グリーンハニカム成形体70が従来の受台10に支持されているときに、受台10の溝の終端部(
図8の矢印で示した部分)がグリーンハニカム成形体70の側面に食い込む。その結果、
図9に示されるように側面に周方向に沿う傷Sがついて、グリーンハニカム成形体70の外観が不良になることがあった。一方、このような食い込みを防止すべく、受台の材質を軟らかいものとした場合、グリーンハニカム成形体70を支持したときに受台10の形状が大きく変形してしまい、搬送性が劣るものとなる。ここで、搬送性とは、グリーンハニカム成形体を支持する受台の保形性をいう。
【0073】
一方、受台1Eでは、内張り部73が本体部63よりも可撓性が高い材質からなるため、受台1Eの溝の終端部がグリーンハニカム成形体の側面に食い込むことが抑制される。また、本体部63が内張り部73よりも可撓性の低い材質からなるため、搬送性が維持されている。したがって、受台1Eによれば、搬送性を維持しつつ、グリーンハニカム成形体70の側面に周方向に沿う傷がつくことを抑制することができる。また、受台1Eにおいて、内張り部73の厚さがグリーンハニカム成形体70の円形の断面の半径に対して0.05〜0.2倍である場合、上記効果が一層奏される。更に、内張り部73が本体部63よりも25%硬さが小さい材質からなっている場合、上記効果がより一層奏される。また、内張り部73が本体部63よりも反発弾性が小さい材質からなっている場合、上記効果がより一層奏される。
【0074】
受台1Eでは、グリーンハニカム成形体70を支持したときに空洞部65が鉛直方向に潰れる。より具体的には、上辺L62が下方へ落ち込み、このとき上辺L62の両端部間の水平距離d61が内張り部73の上端部間の距離b61よりも長いため、一対の傾斜部L62a及び側辺L63が対称軸a61に向かって傾斜して、空洞部65全体が鉛直方向に潰れる。これに伴い、可撓性を有する本体部63が変形する。すなわち、溝部67において、側面部71及び曲面部69の一部が対称軸a61に向かって傾き、本体部63の上部全体がグリーンハニカム成形体70の側面を包み込むように変形する。このとき、空洞部65の断面形状が、少なくとも一部が水平かつ互いに平行である下辺L61及び上辺L62を有しているため、その包み込みの程度が過度にならない。
【0075】
このような本体部63全体の変形により、内張り部73とグリーンハニカム成形体70の側面との間の間隔が減少し、グリーンハニカム成形体70に内張り部73の表面が当接する。そして、重力によりグリーンハニカム成形体70に水平方向に広がろうとする内部応力に対して、当接した内張り部73による反発力が働き、グリーンハニカム成形体70の中心軸に垂直な断面の水平方向の広がりが抑制される。
【0076】
このような作用により、受台1Eがグリーンハニカム成形体70を支持したときに、グリーンハニカム成形体70が水平方向へ広がり得る空間が狭くなるため、グリーンハニカム成形体の断面が扁平な楕円状になることが抑制される。従って、受台1Eによれば、空洞部を備えない受台を用いた場合に比べて、グリーンハニカム成形体70の寸法精度が向上する。
【0077】
これに加え、受台1Eでは、溝部67が側面部71を有しているため、受台1Eがグリーンハニカム成形体70を支持して本体部63の形状が変化したときに、溝部67の縁がグリーンハニカム成形体70の側面に触れない。したがって、グリーンハニカム成形体70の側面が内張り部73の縁との接触により傷つくことが防止される。
【0078】
また、受台1Eでは、空洞部65は、溝部67が延びる方向に本体部63を貫通しており、且つ、溝部67及び空洞部65の断面形状は、それぞれ軸a61に対して線対称である。そのため、本体部63全体の変形に伴い、内張り部73とグリーンハニカム成形体70の側面との間の間隔が、本体部63全体にわたって均等に減少するので、グリーンハニカム成形体70の寸法精度が向上する。
【0079】
(グリーンハニカム成形体用受台の第五の態様)
本発明に係るグリーンハニカム成形体用受台の第五の態様(受台1F及び受台1G)について説明する。
図11(a)に示す受台1Fは、空洞部80の位置及び形状を除いて、上記の第四の態様(受台1D)とほぼ同じものである。受台1Fによれば、上記の受台1Dと略同様の作用及び効果が達成される。
図11(b)、
図12(a)及び
図12(b)に示す受台1Gは、空洞部80の位置及び形状を除いて、上記の第四の態様(受台1E)とほぼ同じものである。そして、受台1Gによれば、上記の受台1Eと略同様の作用及び効果が達成される。以下では、第五の態様に固有の特徴(第五の態様の第四の態様との相違点)についてのみ説明する。
【0080】
受台1F(又は受台1G)では、溝部87の曲面部89は、溝部87が延びる方向Xから見て半円状である。受台1F(又は受台1G)の本体部は、第一本体部83aと、第二本体部83bとから構成されている。第一本体部83aにおいて方向Xに平行な端部と、第二本体部83bにおいて方向Xに平行な端部とは、接着部82において、接着剤を介して接している。以下、接着された第一本体部83a及び第二本体部83bを「本体部」と総称する。本体部には空洞部80が形成されている。換言すれば、空洞部80は、第一本体部83aと第二本体部83bとの間に位置する。空洞部80は、溝部87が延びる方向Xに本体部を貫通している。空洞部80の底面C81、及び底面C81に対向する空洞部80の上面C82は、曲面部89全体に沿って曲がった曲面である。空洞部80は底面C81及び上面C82の2つの曲面のみによって囲まれている。溝部87が延びる方向Xに垂直な空洞部80の断面は、略三日月状、又は略弓状である。溝部87が延びる方向Xに沿って溝部87を二等分する面(軸a81を含む面)に対して、空洞部80は面対称である。水平方向(方向Xに垂直且つ水平な方向Y)における空洞部80の底面C81の幅d82は、同方向における溝部87の幅b81(又は内張り部93の幅b81)よりも長い。曲面部89が位置する部分における第二本体部83bの厚さは略均一である。換言すれば、曲面部89と空洞部の上面C82との間における第二本体部83bの厚さは略均一である。
【0081】
受台1F(又は受台1G)では、第四の態様と同様に、グリーンハニカム成形体70を支持したときに空洞部80が鉛直方向に潰れて、空洞部80の底面C81及び上面C82の全体が略完全に密着する。これに伴い、可撓性を有する本体部3が変形する。すなわち、溝部87において、側面部91及び曲面部89がグリーンハニカム成形体70に向かって傾き、第一本体部83aの上部及び第二本体部83bの全体がグリーンハニカム成形体70の側面を包み込む。そして、溝部87(又は内張り部93)の全体がグリーンハニカム成形体70の側面に略完全に密着する。そのため、受台1Gでは、第四の態様の場合に比べて、溝部87(又は内張り部93)に接するグリーンハニカム成形体70の側面に作用する内部応力がグリーンハニカム成形体70の側面全域に分散する。換言すれば、受台1Gでは、第四の態様の場合に比べて、溝部87(又は内張り部93)に接するグリーンハニカム成形体70の側面の一部に内部応力が集中し難い。その結果、受台1Gでは、第四の態様の場合に比べて、グリーンハニカム成形体70の中心軸に垂直な断面の水平方向の広がりが顕著に抑制される。
【0082】
第五の態様(受台1F又は受台1G)では第四の態様に比べてグリーンハニカム成形体70の変形がより抑制される要因は、第五の態様の空洞部80の断面が略三日月状であることである。また、受台1F(又は受台1G)では第四の態様に比べてグリーンハニカム成形体70の変形がより抑制される要因は、第五の態様の曲面部89と空洞部80の上面C82との間における第二本体部83bの厚さは略均一である一方で、第四の態様の曲面部69と空洞部65の上面との間における本体部63の厚さが不均一であることである。これらの要因により、受台1F(又は受台1G)では空洞部80の底面C81及び上面C82の全体が略完全に密着して、溝部87(又は内張り部93)の全体がグリーンハニカム成形体70の側面に略完全に密着する。一方、第四の態様では、空洞部65の底面及び上面が略完全には密着せずに両面間に隙間が残り、側面部71近傍(又は側面部71を覆う内張り部73)がグリーンハニカム成形体70の側面に完全には密着せず、グリーンハニカム成形体70の側面と溝部67(又は内張り部73)との間に隙間が残る。以上の点において受台1F(又は受台1G)と第四の態様とは異なるため、受台1F(又は受台1G)では、第四の態様に比べて、グリーンハニカム成形体70の側面に内部応力が集中し難く、グリーンハニカム成形体70の変形がより抑制される。なお、第四の態様及び第五の態様においてグリーンハニカム成形体70に作用する内部応力は、有限要素法に基づくシミュレーション等によって確認することができる。
【0083】
溝部87で支持される前のグリーンハニカム成形体70の中心軸に垂直な断面の直径が140〜180mmであり、グリーンハニカム成形体70が接触する前の溝部87の幅b81(又は内張り部93の端部間の距離b81)が140〜180mmであるとき、受台1F(又は受台1G)では、溝部87で支持されたグリーンハニカム成形体70の上記断面の真円度は0.4mm程度である。第四の態様では、溝部67で支持されたグリーンハニカム成形体70の上記断面の真円度は、0.6mm程度である。仮に第四の態様において空洞部65がない場合、溝部67で支持されたグリーンハニカム成形体70の上記断面の真円度は1.9mm程度である。これらの真円度は、本発明者らの実験によって測定されたものである。なお、真円度とは、例えば、JIS規格に基づいて測定されるものであり、溝部で支持されたグリーンハニカム成形体の断面の外周上のすべての点が二つの同心円の間にあり、円の半径方向の距離の差が最小となる場合の、二つの同心円の半径方向の距離の差である。
【0084】
受台1F(又は受台1G)の第一本体部83a及び第二本体部83bの材質、組成、25%硬さ及び反発弾性は、受台1Eの本体部3と同じであってよい。受台1Gの内張り部93の材質、組成、25%硬さ及び反発弾性は、受台1Eの内張り部73と同じであってよい。ただし、受台1Gの第一本体部83a及び第二本体部83bの25%硬さは150N以上又は200N以上であることが好ましい。受台1Gの内張り部93の25%硬さは50N以下であることが好ましい。また、受台1Gの第一本体部83a及び第二本体部83bの反発弾性は30%以上であることが好ましい。受台1Gの内張り部93の反発弾性は20%以下であることが好ましい。受台1Gがこれらの条件を満たすことにより、グリーンハニカム成形体70の変形が抑制され易くなる。
【0085】
[ディーゼルパティキュレートフィルタの製造方法]
(原料混合物の調製工程)
セラミックスの原料粉末、有機バインダ及び添加物等を混練機等により混合して、原料混合物を調製する。
【0086】
セラミックスの原料粉末としては、アルミナ、シリカ、ムライト、コーディエライト、ガラス、チタン酸アルミニウム等の酸化物、シリコンカーバイド、窒化珪素等が挙げられる。なお、チタン酸アルミニウムは、更に、マグネシウム及び/又はケイ素を含むことができる。セラミックスの原料粉末は、これらに限定されない。
【0087】
チタン酸アルミニウム又はチタン酸アルミニウムマグネシウムからなるディーゼルパティキュレートフィルタを製造する場合、原料粉末は、αアルミナ粉等のアルミニウム源粉末、及び、アナターゼ型やルチル型のチタニア粉末等のチタニウム源粉末を含む。原料粉末は、必要に応じて、更に、マグネシア粉末やマグネシアスピネル粉末等のマグネシウム源粉末及び/又は、酸化ケイ素粉末やガラスフリット等のケイ素源粉末を含むことができる。
【0088】
有機バインダとしては、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロースなどのセルロース類;ポリビニルアルコールなどのアルコール類;リグニンスルホン酸塩が挙げられる。
【0089】
添加物としては、例えば、造孔剤、潤滑剤及び可塑剤、分散剤、溶媒が挙げられる。
【0090】
造孔剤としては、グラファイト等の炭素材;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂類;でんぷん、ナッツ殻、クルミ殻、コーンなどの植物材料;氷;及びドライアイス等などが挙げられる。
【0091】
潤滑剤及び可塑剤としては、グリセリンなどのアルコール類;カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸アルミニウムなどのステアリン酸金属塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(POAAE)などが挙げられる。
【0092】
分散剤としては、例えば、硝酸、塩酸、硫酸などの無機酸;シュウ酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸;メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;ポリカルボン酸アンモニウムなどの界面活性剤などが挙げられる。
【0093】
溶媒としては、アルコール類及び水などを用いることができる。アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノールなどの一価アルコール類;プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールなどの二価アルコール類;などを用いることができる。
【0094】
(原料混合物の成形工程)
上述の原料混合物を押出成形機のダイから水平方向に押し出すことにより、長尺の円柱体を形成する。ダイは格子状の開口部を有するため、円柱体にはその長尺方向に延びる複数の貫通孔が形成される。なお、押出成形機内で原料混合物を混練してもよい。押出成形機から押し出された円柱体を受台(上記受台1A、1B、1C、1D,1E、1F又は1G)で支持する。つまり、円柱体の下側の側面の一部を受台の溝部で支持する。円柱体をその長手方向に垂直に切断して、受台で支持されたグリーンハニカム成形体70を形成する。受台で支持されたグリーンハニカム成形体を、受台とともに乾燥機へ搬送する。搬送中に、グリーンハニカム成形体を受台から搬送板に移して、搬送板上に載置した状態でグリーンハニカム成形体を搬送してもよい。搬送されたグリーンハニカム成形体70を熱風やマイクロウエーブ等により乾燥して溶媒を除去する。さらに、グリーンハニカム成形体70の寸法を正確に調整するための切断工程を実施してもよい。また、切断後のグリーンハニカム成形体70の除塵を行ってもよい。
【0095】
(封口工程)
封口工程では、グリーンハニカム成形体70において複数の貫通孔70aの一方の開口部が位置する第一端面に第一マスクを貼り付ける。第一マスクでは、貫通孔70aと略同様の寸法を有するマスク部と複数の開口部とが千鳥状に配置されている。各貫通孔70aと各マスク部及び開口部とが重なるように、グリーンハニカム成形体70の第一端面に第一マスクを貼り付ける。また、グリーンハニカム成形体70において第一端面とは反対側の第二端面に、第二マスクを貼り付ける。第二マスクが有する開口部とマスク部の配置関係は第一マスクとは真逆である。したがって、第一端面側で第一マスクのマスク部に塞がれた貫通孔70aは、第二端面側で第二マスクの開口部と重なる。第二端面側で第二マスクのマスク部に塞がれた貫通孔70aは、第一端面側で第一マスクの開口部と重なる。したがって、グリーンハニカム成形体70に形成された複数の貫通孔70aのいずれも、第一端面又は第二端面のいずれか一方において開いており、他方においてマスク部で塞がれる。
【0096】
第一端面に対する封口工程では、第一マスクの開口部と重なる各貫通孔70aの開口部(端部)内に上記の封口材を導入する。なお、貫通孔70aに封口材を導入した後、グリーンハニカム成形体70全体を振動器により振動させてもよい。これにより、貫通孔70aの端部の隙間に隈なく封口材が充填され易くなる。封口材としては、上記の原料混合物と略同様の物を用いればよい。
【0097】
以上の第一端面に対する封口工程後、第一端面に対する封口工程と同様に、第二マスクが貼られた第二端面に対する封口工程を実施する。両端面に封口工程を施した後に、各端面から各マスクを剥がす。
【0098】
(グリーンハニカム成形体70の仮焼き工程及び焼成工程)
封口工程後、グリーンハニカム成形体70を仮焼き(脱脂)し、且つ焼成する。以上の工程によって、多孔質のセラミックスからなるディーゼルパティキュレートフィルタ170を得ることができる(
図14参照。)。
【0099】
仮焼(脱脂)は、グリーンハニカム成形体70中の有機バインダや、必要に応じて配合される有機添加物を、焼失、分解等により除去するための工程である。仮焼き工程は、焼成工程の初期段階、すなわちグリーンハニカム成形体70が焼成温度に至るまでの昇温段階(例えば、300〜900℃の温度範囲)に相当する。仮焼(脱脂)工程おいては、昇温速度を極力抑えることが好ましい。
【0100】
グリーンハニカム成形体70の焼成温度は、好ましくは1300℃以上、より好ましくは1400℃以上であればよい。また、焼成温度は、好ましくは1650℃以下、より好ましくは1550℃以下である。焼成温度までの昇温速度は特に限定されるものではないが、通常、1℃/時間〜500℃/時間である。
【0101】
焼成は通常、大気中で行なわれる。用いる原料粉末、すなわちアルミニウム源粉末、チタニウム源粉末、マグネシウム源粉末およびケイ素源粉末の種類や使用量比によっては、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス中で焼成を行ってもよいし、一酸化炭素ガス、水素ガスなどのような還元性ガス中で焼成を行ってもよい。また、水蒸気分圧を低くした雰囲気中で焼成を行なってもよい。
【0102】
焼成は、通常、管状電気炉、箱型電気炉、トンネル炉、遠赤外線炉、マイクロ波加熱炉、シャフト炉、反射炉、ロータリー炉、ローラーハース炉などの通常の焼成炉を用いて行なわれる。焼成は回分式で行なってもよいし、連続式で行なってもよい。また、静置式で行なってもよいし、流動式で行なってもよい。
【0103】
焼成に要する時間は、グリーンハニカム成形体70を構成する原料粉末の組成及び量、焼成炉の形式、焼成温度、焼成雰囲気などにより異なるが、10分〜24時間であればよい。
【0104】
仮焼きと焼成を個別に行ってもよい。仮焼き工程では、有機バインダその他の有機添加物の熱分解温度以上であり無機化合物粉末の焼結温度よりも低い温度でグリーンハニカム成形体70を加熱すればよい。焼成工程では、仮焼き工程後のハニカム成形体を原料粉末の焼結温度以上の温度で加熱すればよい。
【0105】
[ディーゼルパティキュレートフィルタ]
ディーゼルパティキュレートフィルタ170では、第一端面側で封口部70bに塞がれた貫通孔70aは、第二端面側に開口部を有する。第二端面側で封口部70bに塞がれた貫通孔70aは、第一端面側に開口部を有する(
図14参照。)。貫通孔70aの隔壁表面に、アルミナ等の担体に担持された白金系金属触媒や、セリア又はジルコニア等の助触媒を付着させてもよい。
【0106】
ディーゼルパティキュレートフィルタ170の寸法は限定されない。貫通孔70aの長手方向に垂直な断面の内径(正方形の一辺の長さ)は、例えば0.5〜2.5mmである。貫通孔70aが延びる方向におけるディーゼルパティキュレートフィルタの長さは、例えば30〜350mmである。また、ディーゼルパティキュレートフィルタの外径は、例えば10〜320mmである。ディーゼルパティキュレートフィルタの端面に開いている貫通孔70aの数(セル密度)は、例えば150〜450cpsiである。なお、cpsiとの単位は「/inch
2」を意味し、「/(0.0254m)
2」に等しい。貫通孔70aの隔壁の厚さは、例えば0.1〜0.76mmである。隔壁70cの気孔率(開気孔率)は、例えば30〜70体積%である。
【0107】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、例えば、空洞部の断面形状は、溝部がグリーンハニカム成形体を支持したときに本体部の変形に伴ってクリアランスが減少するものであれば、他の形状であってもよい。また、本体部及び内張り部として使用することができる材質は、表1及び表2に挙げたものに限られない。上記第一の態様(
図1の受台1A)、第二の態様(
図4の受台1B)及び第三の態様(
図5の受台1C)がそれぞれ内張り部を備えてもよい。
【0108】
ディーゼルパティキュレートフィルタは、コージェライトやシリコンカーバイド等からなる多孔質のセラミックスであってもよい。この場合、原料粉末として、コージェライト若しくはシリコンカーバイド又はこれらの混合物をもちいればよい。貫通孔の断面形状は、正方形には限定されず、矩形、円形、楕円形、三角形、六角形、八角形等にすることができる。断面の形状及び寸法が互いに異なる複数の種類の貫通孔がディーゼルパティキュレートフィルタに形成されていてもよい。貫通孔同士の間隔や、貫通孔の配置も特に限定されない。
【実施例】
【0109】
<グリーンハニカム成形体の支持>
(実施例1)
押出成形機の出口の口金の内周径を153mmとした押出成形機から連続的に押し出されるグリーンハニカム成形体を、
図1に示す受台で支持し、240mmの切断長設定にて切断した。合計32本のグリーンハニカム成形体を受台で支持した。受台の寸法は、b3=155mm,b4=67.5mm,b5=290mm,b6=145mm,b7=155mm,b8=45mm,b9=77.5mm,d1=200mm,d2=130mm,d3=35mm,d4=45mm,d5=50mm,d6=25mm,d7=25mm,d8=25mmであった。
【0110】
(比較例1)
押出成形機の出口の口金の内周径を153mmとした押出成形機から連続的に押し出されるグリーンハニカム成形体を、
図2に示す受台で支持し、240mmの切断長設定にて切断した。合計20本のグリーンハニカム成形体を受台で支持した。受台の材質は、実施例1で用いたものと同一である。受台の寸法は、b3=155mm,b4=67.5mm,b5=290mm,b7=155mm,b9=77.5mmであった。
【0111】
<寸法の測定>
実施例1及び比較例1において、受台で支持したグリーンハニカム成形体の各種寸法を測定した。ここで、グリーンハニカム成形体を長手方向から見たときの鉛直方向の直径(グリーンハニカム成形体の端面の鉛直方向の直径)を「高さ寸法」とした。グリーンハニカム成形体を長手方向から見たときの水平方向の直径(グリーンハニカム成形体の端面の水平方向の直径)を「幅寸法」とした。また、幅寸法となる直径の一端の位置を0°の位置とし、そこからグリーンハニカム成形体の側面を下方へ回り、鉛直方向最下部となる位置を90°の位置とし、そこから側面を上方へ回り、0°の位置と正反対の位置を180°の位置とし、そこから更に側面を上方へ回り、側面の最上部となる位置を270°の位置とした。このとき、45°に相当する位置から225°に相当する位置を結ぶ直径を「対角寸法」とした。
【0112】
実施例1における9番目から32番目までのグリーンハニカム成形体、及び、比較例1における9番目から20番目までのグリーンハニカム成形体について、押出成形から約2分間経過後に、上記各直径について平均値を求めた。また、高さ寸法と幅寸法との差について、その最大値と平均値を求めた。これらの結果を表3に示す。
【0113】
【表3】
【0114】
<結果>
表3に示すデータから、実施例1は比較例1に比べて、支持したグリーンハニカム成形体の高さ寸法、幅寸法及び対角寸法が互いに接近した値となっており、断面形状がより真円に近い形状となっていることが分かった。また、各ロット間の寸法のばらつきが小さいことも分かった。つまり、
図1に示された形状の受台を用いることにより、従来の受台に比べてグリーンハニカム成形体の寸法精度の低下が抑制されたことが分かったる。
【0115】
<他の実験>
(実施例2)
押出成形機の出口の口金の内周径を163mmとした押出成形機から連続的に押し出されるグリーンハニカム成形体を、
図1に示す受台で支持し、300mmの切断長設定にて切断した。合計75本のグリーンハニカム成形体を受台で支持した。受台の寸法は、b3=164mm,b4=63mm,b5=290mm,b6=145mm,b7=155mm,b8=30mm,b9=73mm,d1=200mm,d2=130mm,d3=35mm,d4=45mm,d5=45mm,d6=25mm,d7=25mm,d8=10mmであった。
【0116】
(比較例2)
押出成形機の出口の口金の内周径を166mmとした押出成形機から連続的に押し出されるグリーンハニカム成形体を、
図2に示す受台で支持し、220mmの切断長設定にて切断した。合計80本のグリーンハニカム成形体を受台で支持した。受台の寸法は、b3=167mm,b4=61.5mm,b5=290mm,b7=152mm,b9=68.5mmであった。
【0117】
<寸法の測定>
実施例2及び比較例2において、受台で支持したグリーンハニカム成形体の各種寸法を測定した。測定結果を
図15及び
図16に示す。「高さ寸法」、「幅寸法」及び「対角寸法」の定義は実施例1及び比較例1と同様である。
【0118】
<結果>
図15及び
図16のグラフから、実施例2は比較例2に比べて、支持したグリーンハニカム成形体の高さ寸法、幅寸法及び対角寸法が互いに接近した値となっており、断面形状がより真円に近い形状となっていることが分かった。また、各ロット間の寸法のばらつきが小さいことも分かった。つまり、
図1に示された形状の受台を用いることにより、従来の受台に比べてグリーンハニカム成形体の寸法精度の低下が抑制されたことが分かった。
【0119】
(実施例3)
以下、本発明の実施例3について説明する。本体部63として表1のNo.9の材質を使用し、内張り部73として表2のNo.17の材質を使用した
図6(b)に示す受台1Eを構成した。この受台1Eでグリーンハニカム成形体70を約8分間支持したところ、
図10に示されるように、グリーンハニカム成形体70の側面には傷がついていなかった。