(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポンプによって昇圧した海水を逆浸透膜分離装置に通水して淡水と濃縮海水に分離して海水から淡水を生成する海水淡水化システムにおいて前記逆浸透膜分離装置から吐出される濃縮海水の圧力エネルギーを前記海水を昇圧するエネルギーに利用するエネルギー交換チャンバーであって、
前記エネルギー交換チャンバーは、前記濃縮海水の出入りを行う濃縮海水ポートと、前記海水の出入りを行う海水ポートと、チャンバー内に設けられるとともに前記濃縮海水ポートと前記海水ポートとを連通させる複数の流路とを備え、
前記濃縮海水ポートと前記複数の流路の間および前記海水ポートと前記複数の流路の間に、小径の前記ポートから流入する流れを大径のチャンバー内円筒部に均一に分散させ前記複数の流路に均一に流すための多孔板を備えたことを特徴とするエネルギー交換チャンバー。
【背景技術】
【0002】
従来、海水を淡水化するシステムとして、海水を逆浸透膜分離装置に通水して脱塩する海水淡水化システムが知られている。この海水淡水化システムにおいては、取水された海水は、前処理装置により一定水質の条件に整えられたのち、高圧ポンプにより加圧され、逆浸透膜分離装置へと圧送され、逆浸透膜分離装置内の高圧海水の一部は、逆浸透圧力に打ち勝って逆浸透膜を通過し、塩分が除去された淡水として取り出される。その他の海水は、塩分濃度が高くなり濃縮された状態で逆浸透膜分離装置からリジェクト(濃縮海水)として排出される。ここで、海水淡水化システムにおける最大の運用コスト(電力費)は、前処理後の海水を浸透圧に打ち勝てる圧力即ち逆浸透圧まで上昇させるためのエネルギー、つまり高圧ポンプによる加圧エネルギーに大きく依存する。
【0003】
すなわち、海水淡水化プラントにおける最大の運用コストである電力費の半分以上は、高圧ポンプによる加圧に費やされることが多い。従って、逆浸透膜分離装置から排出される高塩分濃度で高圧のリジェクト(濃縮海水)が保有する圧力エネルギーを、海水の一部を昇圧するエネルギーに利用することが行われている。そして、逆浸透膜分離装置から吐出される濃縮海水の圧力エネルギーを海水の一部を昇圧するエネルギーに利用する手段として、円筒の筒内に移動可能に嵌装されたピストンによって円筒の内部を二つの容積室に分離し、2つの分離した空間の一方に濃縮海水の出入りを行う濃縮海水ポートを設け、もう一方に海水の出入りを行う海水ポートを設けたエネルギー交換チャンバーを利用することが行われている。
【0004】
図25は、従来の海水淡水化システムの構成例を示す模式図である。
図25に示すように、取水ポンプ(図示しない)により取水された海水は、前処理装置により前処理されて所定の水質条件に整えられたのち、海水供給ライン1を介してモータMが直結された高圧ポンプ2へ供給される。高圧ポンプ2で昇圧された海水は吐出ライン3を介して逆浸透膜分離装置4に供給される。逆浸透膜分離装置4は、海水を塩分濃度の高い濃縮海水と塩分濃度の低い淡水に分離し海水から淡水を得る。この時、塩分濃度の高い濃縮海水が逆浸透膜分離装置4から排出されるが、この濃縮海水は依然高い圧力を有している。逆浸透膜分離装置4から濃縮海水を排出する濃縮海水ライン5は、方向切換弁6を介してエネルギー交換チャンバー10の濃縮海水ポートP1へ接続している。前処理された低圧の海水を供給する海水供給ライン1は、高圧ポンプ2の上流で分岐してバルブ7を介してエネルギー交換チャンバー10の海水ポートP2へ接続している。エネルギー交換チャンバー10は、内部にピストン12を備え、ピストン12はエネルギー交換チャンバー10内を二つの容積室に分離しながら移動可能に嵌装されている。
【0005】
エネルギー交換チャンバー10において濃縮海水の圧力を利用して昇圧された海水は、ブースターポンプ8に供給される。そして、ブースターポンプ8によって海水は高圧ポンプ2の吐出ライン3と同じレベルの圧力になるようにさらに昇圧され、昇圧された海水はバルブ9を介して高圧ポンプ2の吐出ライン3に合流して逆浸透膜分離装置4に供給される。
【0006】
この種の海水淡水化システムおよびエネルギー交換チャンバーは、例えば、米国特許第5306428号公報、米国特許公開第2006−0151033号公報、米国特許第7168927号公報などに記載されている。
【0007】
エネルギー交換チャンバー10においては、海水ポートP2の海水を吸込むために、方向切換弁6が濃縮海水を排水する側へ切り換わり、海水ポートP2から海水がエネルギー交換チャンバー10内に流れ込み、ピストン12が濃縮海水ポートP1側へ移動する。この状態でエネルギー交換チャンバー10内には海水がほぼ満たされる。そして、方向切換弁6が高圧の濃縮海水をエネルギー交換チャンバー10に供給する側に切り換わると、エネルギー交換チャンバー10内に流入した海水を押し出すようにピストン12が海水ポートP2側へ移動し、海水ポートP2側のバルブ7がブースターポンプ8側へ海水を供給する。
【0008】
海水ポートP2側のバルブ7は、高圧流体をブースターポンプ8側へ流し、低圧の流体をエネルギー交換チャンバー10へ流すようにチェック弁や方向切換弁などの周知の流体機器で構成されている。
【0009】
ブースターポンプ8は、エネルギー交換チャンバー10によって昇圧された海水を高圧ポンプ2と同じ程度の圧力に昇圧するので、僅かなエネルギーで駆動することができる。すなわち、逆浸透膜分離装置4に供給される海水の流量は、高圧ポンプ2とエネルギー交換チャンバー10からの海水の流量を加算した流量となり、システム全体の処理流量が多く得られ、エネルギー交換チャンバー10からの海水は高圧の濃縮海水のエネルギーを利用して昇圧されているので、システム全体としての投入エネルギーを少なくすることができる。換言すれば、同じ処理流量を得るために高圧ポンプの容量および駆動エネルギーを少なくできるシステムを構築することができる。
【0010】
前述した従来のエネルギー交換チャンバーは、海水淡水化システムで処理すべき容量(流量)によって大きさや数が適宜選定されるが、一般的に大径かつ長尺な円筒型をなし、チャンバー内を二つの容積室に分離しながら、移動可能に嵌装されているピストンを備えている。
【0011】
図26は、従来のエネルギー交換チャンバー10の構成例を示す断面図である。
図26に示すように、エネルギー交換チャンバー10は、円筒形状のシリンダ11と、シリンダ11内で往復動するピストン12と、シリンダ11の両開口端を閉塞するフランジ13とにより構成されている。フランジ13は、シリンダ11のフランジ部11fにボルト14およびナット15により固定されており、一方のフランジ13に濃縮海水ポートP1が形成され、他方のフランジ13に海水ポートP2が形成されている。
【0012】
ここで、ピストン12はシリンダ内壁との摺動性を向上させる目的から、円筒形のピストン12の円筒面には摺動リング16が嵌め込まれている。摺動リング16は低摩擦で耐摩耗性に優れた材質からなり、例えば、エンジニアリングプラスチックなどが選定されている。ピストン12は、海水をチャンバー内に流入させて濃縮海水で押し出すため、常時チャンバー内を往復動作している。このため、ピストン12は、耐摩耗性に優れた材質であっても、やがては摩耗して交換が必要になる。また、ピストン12は、チャンバー内を往復動作しているため、摩耗状態を把握することが難しい。摺動シール16が摩耗すると、ピストン12の金属部がシリンダ11の金属部と直接接触し、各部材に損傷を与えてしまう。場合によっては、チャンバー自体を交換しなければならない事態になってしまう。
【0013】
また、エネルギー交換チャンバーの内径はピストンの外径(摺動シール外径)に合わせて均一な円筒であることが必要である。したがって、チャンバーが数メートルもの長尺になると、内径の加工が難しくなり、ひいてはチャンバー自体が非常に高価な製品になってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述したように、従来のエネルギー交換チャンバーは、海水の吸い込みと吐出のためにピストンをチャンバー内で往復動作させる必要があり、チャンバー内のピストンの位置を濃縮海水ポート側と海水ポート側の間を往復動作させていた。
このため、従来のエネルギー交換チャンバー内のピストンは、シリンダ内壁と摺動することになり、ピストンの摺動部材が摩耗するので定期的な交換が必要であった。また、長尺のチャンバーの内径をピストンの外形に合わせて精度よく加工する必要があり、加工コストが非常に高価であった。
【0016】
本発明者らは、ピストンの無い形態のエネルギー交換チャンバーを海水淡水化システムに適用することを検討してみた。このエネルギー交換チャンバーにおいては、濃縮海水と海水の界面(interface)が、濃縮海水と海水の双方の圧力バランスによりチャンバー内を移動する方式である。
本方式の問題点は、界面での濃縮海水と海水の混合により、取水海水の塩分濃度がチャンバー内で高くなることである。これにより、チャンバー内で昇圧される被昇圧海水と高圧ポンプから吐出された海水が合流して、逆浸透膜分離装置に導入される際に、該被昇圧海水の塩分濃度が高くなることで、逆浸透膜の淡水化率を低下させることに加え、逆浸透膜の寿命を低下させ逆浸透膜自体の交換周期が短くなるなどの問題があると推定される。
【0017】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、海水淡水化システムの逆浸透膜分離装置から吐出される濃縮海水の圧力エネルギーにより海水の一部を昇圧するエネルギー交換チャンバーをピストンが無い形態とすることにより、摺動部材の摩耗の問題を解消し、またチャンバーに過大な加工精度が要求されることなくかつ長尺加工も必要とすることなく、さらにピストンの無い形態にも拘らずチャンバー内での濃縮海水と海水の混合を抑制することができるエネルギー交換チャンバーおよび該エネルギー交換チャンバーを備えた海水淡水化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した目的を達成するために、本発明の海水淡水化システムは、ポンプによって昇圧した海水を逆浸透膜分離装置に通水して淡水と濃縮海水に分離して海水から淡水を生成する海水淡水化システムにおいて、前記逆浸透膜分離装置から吐出される濃縮海水の圧力エネルギーを前記海水の一部を昇圧するエネルギーに利用するエネルギー交換チャンバーを備え、前記エネルギー交換チャンバーは、前記濃縮海水の出入りを行う濃縮海水ポートと、前記海水の出入りを行う海水ポートと、チャンバー内に設けられるとともに前記濃縮海水ポートと前記海水ポートとを連通させる複数
の流路とを備え
、前記濃縮海水ポートと前記複数の流路の間および前記海水ポートと前記複数の流路の間に、小径の前記ポートから流入する流れを大径のチャンバー内円筒部に均一に分散させ前記複数の流路に均一に流すための多孔板を備えたことを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、濃縮海水ポートからチャンバー内に流入した濃縮海水と海水ポートからチャンバー内に流入した海水とは、複数の区画された流路に流入し、これらの流路内で濃縮海水と海水が接触するが、流路断面積が小さい流路内で生じる渦は管路内の小さな渦になるので、大きく拡散せずに濃縮海水と海水の界面が乱れない。このように流路断面積の小さい流路が複数個集まって大きなチャンバーを構成しているため、各流路で濃縮海水と海水の界面(interface)が維持され、全体として濃縮海水と海水の界面を維持したまま、すなわち濃縮海水と海水の混合を抑制しながら、濃縮海水によって海水を加圧し吐出することができる。なお、濃縮海水と海水とが接している境界では両者が混合するため、ここで界面とは、濃縮海水と海水との境界部であって濃縮海水と海水とが所定の割合で混合した領域(後述する)を云い、この領域は所定の容積をもった領域である。
本発明によれば、チャンバー内のピストンが不要となり、メンテナンスが不要となりシステムとしての信頼性を向上することができる。また、チャンバー内の円筒の加工が容易になるので、チャンバーの製作が容易かつ安価になる。
【0020】
本発明の好ましい態様によれば、前記多孔板は前記流路の端部から所定の距離離間して配置したことを特徴とする。
本発明の
実施形態によれば、前記複数の区画された流路は、複数のチューブからな
る。
上記実施形態によれば、複数の区画された流路を複数のチューブで構成したので、チャンバー内に複数の流路を簡単に設けることができる。
本発明の
実施形態によれば、前記複数の区画された流路は、複数の仕切りによって形成されてい
る。
上記実施形態によれば、複数の区画された流路を複数の仕切りによって形成したので、チャンバー内に複数の流路を簡単に設けることができる。
本発明の
実施形態によれば、前記複数の区画された流路は、ハニカムによって形成されてい
る。
上記実施形態によれば、複数の区画された流路をハニカムによって形成したので、チャンバー内に複数の流路を簡単に設けることができる。
【0021】
本発明の
実施形態によれば、前記複数の区画された流路を保持するパイプを備え、該パイプは前記エネルギー交換チャンバー内に嵌装され
る。
上記実施形態によれば、複数の区画された流路を保持するパイプをチャンバーの内径とほぼ同径のパイプとしてチャンバーに着脱可能とすることで、チューブやハニカム等からなる流路自体の交換を容易に行うことができる。また、耐圧容器であるチャンバーへチューブやハニカム等からなる流路を実装する場合に、チャンバーへの加工や溶接、接着などを施すことなく、流路を実装したパイプを別ピースとしてチャンバーに嵌め込むだけでよく、構成が簡易となり、組立も容易となる。
【0022】
本発明の
実施形態によれば、前記パイプは長手方向に複数に分割されてい
る。
上記実施形態によれば、複数の区画された流路を保持するパイプを複数に分割することにより、パイプ内の流路も長手方向に複数に分割する構成を採用することができ、流路を構成するチューブやハニカム等の製作が容易となる。
【0023】
本発明の
実施形態によれば、前記パイプは前記エネルギー交換チャンバー内の前記複数の区画された流路の無い空間にも延設されてい
る。
上記実施形態によれば、パイプを複数の区画された流路の無い空間にも延設することにより、この延設されたパイプ内に整流手段等を設置することが可能となる。
【0024】
本発明の
実施形態によれば、前記パイプには内径側と外形側を連通する孔が設けられてい
る。
上記実施形態によれば、パイプの内径側と外径側を連通する孔が圧力バランス孔として機能するため、パイプに高い内圧がかかっても、この内圧を圧力バランス孔からリリースすることによりパイプの内外の圧力を同一とすることができ、パイプに作用する力を相殺することができる。
【0025】
本発明の
実施形態によれば、前記エネルギー交換チャンバーを複数備え、前記複数のエネルギー交換チャンバーにおける濃縮海水ポートへの濃縮海水の供給と該濃縮海水ポートからの濃縮海水の排出とを切換える少なくとも1つの切換弁を備え
ている。
上記実施形態によれば、少なくとも2個のエネルギー交換チャンバーを備えることにより、以下の動作形態をとることができる。
1)高圧の濃縮海水が切換弁を通じて第1のエネルギー交換チャンバーに導入され、第1のエネルギー交換チャンバー内の海水を濃縮海水の圧力を利用して昇圧し、昇圧された海水を第1のエネルギー交換チャンバーから吐出できる。これと併行して、第2のエネルギー交換チャンバー内に海水が導入され、同時に、第2のエネルギー交換チャンバー内の濃縮海水が切換弁を通じて排出される。
2)高圧の濃縮海水が切換弁を通じて第2のエネルギー交換チャンバーに導入され、第2のエネルギー交換チャンバー内の海水を濃縮海水の圧力を利用して昇圧し、昇圧された海水を第2のエネルギー交換チャンバーから吐出できる。これと併行して、第1のエネルギー交換チャンバー内に海水が導入され、同時に、第1のエネルギー交換チャンバー内の濃縮海水が方向切換弁を通じて排出される。
したがって、
上記実施形態によれば、昇圧された海水を常時吐出することができ、エネルギー交換チャンバーからの吐出流量を安定させることができ、ひいては逆浸透膜分離装置からの淡水の供給を安定して行うことができる。
【0026】
本発明の
実施形態によれば、前記濃縮海水の出入りを行う濃縮海水ポートと、前記海水の出入りを行う海水ポートと、チャンバー内に往復動可能に設けられたピストンとを有した別のエネルギー交換チャンバーをさらに備え
る。
上記実施形態によれば、濃縮海水ポートと海水ポートとを連通させる複数の区画された流路を備えたエネルギー交換チャンバーにおいて、各流路で濃縮海水と海水の界面が維持され、全体として濃縮海水と海水の界面を維持したまま、すなわち濃縮海水と海水の混合を抑制しながら、濃縮海水によって海水を加圧し吐出することができるとともに、チャンバー内に往復動可能に設けられたピストンを有した別のエネルギー交換チャンバーにおいて、濃縮海水によってピストンを駆動して海水を加圧し吐出することができる。
【0027】
本発明の
実施形態によれば、前記別のエネルギー交換チャンバーは、前記ピストンの位置を検出するセンサを備え
る。
上記実施形態によれば、センサでピストンの有無を検出し、センサの信号に基づいてピストンの移動方向を切り換えるために、方向切換弁の流路を切り換えることができる。ここで、ピストンが無く複数の流路を備えた形態のエネルギー交換チャンバーにおいても、前記センサの信号に基づいて濃縮海水と海水の給排水を切り換えるようにする。このように、一方のエネルギー交換チャンバー内のピストンの位置を検出することで、濃縮海水と海水の圧力や流量の変動によってピストンの移動速度が変化しても、それに応じて他方のエネルギー交換チャンバー内の給排水を切り換えることができる。そのため、ピストンが無く複数の流路を備えた形態のエネルギー交換チャンバーに、濃縮海水が多く供給されることや、海水が多く吸い込まれることなく、システムの変動に追従して的確に給排水を行うことができる。
【0028】
本発明のエネルギー交換チャンバーは、ポンプによって昇圧した海水を逆浸透膜分離装置に通水して淡水と濃縮海水に分離して海水から淡水を生成する海水淡水化システムにおいて前記逆浸透膜分離装置から吐出される濃縮海水の圧力エネルギーを前記海水を昇圧するエネルギーに利用するエネルギー交換チャンバーであって、前記エネルギー交換チャンバーは、前記濃縮海水の出入りを行う濃縮海水ポートと、前記海水の出入りを行う海水ポートと、チャンバー内に設けられるとともに前記濃縮海水ポートと前記海水ポートとを連通させる複数
の流路とを備え
、前記濃縮海水ポートと前記複数の流路の間および前記海水ポートと前記複数の流路の間に、小径の前記ポートから流入する流れを大径のチャンバー内円筒部に均一に分散させ前記複数の流路に均一に流すための多孔板を備えたことを特徴とする。
【0029】
本発明によれば、濃縮海水ポートからチャンバー内に流入した濃縮海水と海水ポートからチャンバー内に流入した海水とは、複数の区画された流路に流入し、これらの流路内で濃縮海水と海水が接触するが、流路断面積が小さい流路内で生じる渦は管路内の小さな渦になるので、大きく拡散せずに濃縮海水と海水の界面が乱れない。このように流路断面積の小さい流路が複数個集まって大きなチャンバーを構成しているため、各流路で濃縮海水と海水の界面(interface)が維持され、全体として濃縮海水と海水の界面を維持したまま、すなわち濃縮海水と海水の混合を抑制しながら、濃縮海水によって海水を加圧し吐出することができる。
本発明によれば、チャンバー内のピストンが不要となり、メンテナンスが不要となりシステムとしての信頼性を向上することができる。また、チャンバー内の円筒の加工が容易になるので、チャンバーの製作が容易かつ安価になる。
【0030】
本発明の好ましい態様は、前記多孔板は前記流路の端部から所定の距離離間して配置したことを特徴とする。
本発明の
実施形態によれば、前記複数の区画された流路は、複数のチューブからな
る。
上記実施形態によれば、複数の区画された流路を複数のチューブで構成したので、チャンバーを容易に製作することができる。
本発明の
実施形態によれば、前記複数の区画された流路は、複数の仕切りによって形成されてい
る。
上記実施形態によれば、複数の区画された流路を複数の仕切りによって形成したので、チャンバーを容易に製作することができる。
本発明の
実施形態によれば、前記複数の区画された流路は、ハニカムによって形成されてい
る。
上記実施形態によれば、複数の区画された流路をハニカムによって形成したので、チャンバーを容易に製作することができる。
【0031】
本発明の
実施形態によれば、前記複数の区画された流路を保持するパイプを備え、該パイプは前記エネルギー交換チャンバー内に嵌装され
る。
上記実施形態によれば、複数の区画された流路を保持するパイプをチャンバーの内径とほぼ同径のパイプとしてチャンバーに着脱可能とすることで、チューブやハニカム等からなる流路自体の交換を容易に行うことができる。また、耐圧容器であるチャンバーへチューブやハニカム等からなる流路を実装する場合に、チャンバーへの加工や溶接、接着などを施すことなく、流路を実装したパイプを別ピースとしてチャンバーに嵌め込むだけでよく、構成が簡易となり、組立も容易となる。
【0032】
本発明の
実施形態によれば、前記パイプは長手方向に複数に分割されてい
る。
上記実施形態によれば、複数の区画された流路を保持するパイプを複数に分割することにより、パイプ内の流路も長手方向に複数に分割する構成を採用することができ、流路を構成するチューブやハニカム等の製作が容易となる。
【0033】
本発明の
実施形態によれば、前記パイプは前記エネルギー交換チャンバー内の前記複数の区画された流路の無い空間にも延設されてい
る。
上記実施形態によれば、パイプを複数の区画された流路の無い空間にも延設することにより、この延設されたパイプ内に整流手段等を設置することが可能となる。
【0034】
本発明の
実施形態によれば、前記パイプには内径側と外形側を連通する孔が設けられてい
る。
上記実施形態によれば、パイプの内径側と外径側を連通する孔が圧力バランス孔として機能するため、パイプに高い内圧がかかっても、この内圧を圧力バランス孔からリリースすることによりパイプの内外の圧力を同一とすることができ、パイプに作用する力を相殺することができる。
【0035】
本発明の
実施形態によれば、前記濃縮海水ポートと前記複数の区画された流路との間に整流手段を備え
ている。
上記実施形態によれば、チャンバーに流入する濃縮海水を区画された流路に均一に流すことができるので、濃縮海水と海水の界面を均一にすることができる。
本発明の
実施形態によれば、前記海水ポートと前記複数の区画された流路との間に整流手段を備え
ている。
上記実施形態によれば、チャンバーに流入する海水を区画された流路に均一に流すことができるので、濃縮海水と海水の界面を均一にすることができる。
【0036】
本発明の
実施形態によれば、ポンプによって昇圧した海水を逆浸透膜分離装置に通水して淡水と濃縮海水に分離して海水から淡水を生成する海水淡水化システムにおいて前記逆浸透膜分離装置から吐出される濃縮海水の圧力エネルギーを海水を昇圧するエネルギーに利用するエネルギー交換チャンバー装置において、ケーシング内に回転可能に設けられた円筒状のロータと、前記ロータ内に設けられるとともに該ロータの回転軸心まわりに複数個設けられたエネルギー交換チャンバーと、前記ケーシングに固定されるとともに前記ロータの両端に対向するように設けられたポートプレートとを備え、前記ポートプレートの一方に前記濃縮海水の出入りを行う濃縮海水ポートを形成し、前記ポートプレートの他方に前記海水の出入りを行う海水ポートを形成して、前記ロータの回転により前記各ポートと前記エネルギー交換チャンバーの連通が切り換わるように構成し、前記エネルギー交換チャンバー内に、前記濃縮海水ポートと前記海水ポートとを連通させる複数の区画された流路を設け
ている。
【0037】
上記実施形態によれば、ロータが回転軸心を中心として回転すると、回転軸心まわりに形成された複数のエネルギー交換チャンバーが回転することによって、各チャンバーとポートブロックに形成された濃縮海水ポートと海水ポートとの連通が切り換わる。これにより、濃縮海水を1つのエネルギー交換チャンバーに導入して海水を加圧して吐出し、これと併行して、海水をもう1つのエネルギー交換チャンバー内に吸込んで濃縮海水を排水することができる。そして、エネルギー交換チャンバーに小さな断面積の複数の区画された流路を形成することによって、濃縮海水と海水の混合を抑制しながら、濃縮海水によって海水を加圧し吐出することができる。
上記実施形態によれば、チャンバー内での乱流拡散による濃縮海水と海水の混合を抑制でき、濃度の高い海水を逆浸透膜分離装置に送ってしまうことがないので、逆浸透膜分離装置の性能を十分に発揮することができるとともに、逆浸透膜自体の交換周期を長くすることができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、以下に列挙する効果を奏する。
1)チャンバー内にピストンが無い形態であるため、摺動部材の摩耗の問題を解消し、またチャンバーに過大な加工精度が要求されることなくかつ長尺加工も必要としない。したがって、チャンバーの製作コストを低減することができる。
2)チャンバー内にピストンが無い形態にも拘らずチャンバー内での濃縮海水と海水の混合を抑制し、濃縮海水と海水の界面を維持したまま、濃縮海水によって海水を加圧することができる。
3)チャンバー内での乱流拡散による濃縮海水と海水の混合を抑制でき、濃度の高い海水を逆浸透膜分離装置に送ってしまうことがないので、逆浸透膜分離装置の性能を十分に発揮することができるとともに、逆浸透膜自体の交換周期を長くすることができる。
4)複数の区画された流路を保持するパイプをチャンバーの内径とほぼ同径のパイプとしてチャンバーに着脱可能とすることで、チューブやハニカム等からなる流路自体の交換を容易に行うことができる。また、耐圧容器であるチャンバーへチューブやハニカム等からなる流路を実装する場合に、チャンバーへの加工や溶接、接着などを施すことなく、流路を実装したパイプを別ピースとしてチャンバーに嵌め込むだけでよく、構成が簡易となり、組立も容易となる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明に係る海水淡水化システムの実施形態について
図1乃至
図24を参照して説明する。なお、
図1乃至
図24において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明の海水淡水化システムの構成例を示す模式図である。
図1に示すように、取水ポンプ(図示しない)により取水された海水は、前処理装置により前処理されて所定の水質条件に整えられたのち、海水供給ライン1を介してモータMが直結された高圧ポンプ2へ供給される。高圧ポンプ2で昇圧された海水は吐出ライン3を介して逆浸透膜分離装置4に供給される。逆浸透膜分離装置4は、海水を塩分濃度の高い濃縮海水と塩分濃度の低い淡水に分離し海水から淡水を得る。この時、塩分濃度の高い濃縮海水が逆浸透膜分離装置4から排出されるが、この濃縮海水は依然高い圧力を有している。逆浸透膜分離装置4から濃縮海水を排出する濃縮海水ライン5は、方向切換弁6を介してエネルギー交換チャンバー20の濃縮海水ポートP1へ接続している。前処理された低圧の海水を供給する海水供給ライン1は、高圧ポンプ2の上流で分岐してバルブ7を介してエネルギー交換チャンバー20の海水ポートP2へ接続している。エネルギー交換チャンバー20は、チャンバー内の濃縮海水ポートP1と海水ポートP2の間に区画された流路を有しており、濃縮海水と海水の界面によって二流体を分離しながらエネルギー伝達を行うものである。
【0041】
エネルギー交換チャンバー20において濃縮海水の圧力を利用して昇圧された海水は、ブースターポンプ8に供給される。そして、ブースターポンプ8によって海水は高圧ポンプ2の吐出ライン3と同じレベルの圧力になるようにさらに昇圧され、昇圧された海水はバルブ9を介して高圧ポンプ2の吐出ライン3に合流して逆浸透膜分離装置4に供給される。一方、海水を昇圧してエネルギーを失った濃縮海水は、エネルギー交換チャンバー20から方向切換弁6を介して濃縮海水排出ライン17に排出される。
【0042】
図2は、本発明のエネルギー交換チャンバー20の構成例を示す断面図である。
図2に示すように、エネルギー交換チャンバー20は、長尺の円筒形状のシリンダ21と、シリンダ21の両開口端を閉塞するフランジ23を備えている。フランジ23は、シリンダ21のフランジ部21fにボルト14およびナット15により固定されており、一方のフランジ23に濃縮海水ポートP1が形成され、他方のフランジ23に海水ポートP2が形成されている。シリンダ21内には、シリンダ21内に形成されたチャンバーより小径の複数のチューブ25が濃縮海水ポートP1と海水ポートP2の間に配設され、チャンバー内に固定された小径の複数のチューブ25によって複数の区画された流路が形成されている。そして、これら流路によって濃縮海水ポートP1と海水ポートP2が連通されている。
【0043】
図3は、
図2のIII−III線断面図である。
図3に示すように、シリンダ21内に形成されたチャンバー内に小径の複数のチューブ25が配設されている。そして、各チューブ25内に濃縮海水および海水が流入する流路Rが形成されている。各チューブ25は小径のチューブからなるため、チューブ内の流路断面積は小さく設定されている。
【0044】
ここで、この区画された流路が無い場合、濃縮海水ポートP1から流入した濃縮海水が海水ポートP2から吸い込んだ海水に拡散し、混ざり合ってしまう。海水ポートP2から海水を吸い込む場合においても、同様に濃縮海水内に海水が拡散してしまう。これは、チャンバー内でそれぞれの流体が流入する際に渦を作って大きく拡散してしまうためである。
【0045】
本発明のエネルギー交換チャンバー20によれば、チャンバー内に吸い込まれた流体は、チャンバー内に固定してある複数のチューブ25によって構成される区画された流路断面積の小さい流路Rに流入する。この時、濃縮海水と海水が接触するが、流路断面積が小さい流路R内で生じる渦は管路内の小さな渦になるので、大きく拡散せずに濃縮海水と海水の界面が乱れない。このように流路断面積の小さい流路Rが複数個集まって大きなチャンバーを構成しているため、各流路Rで濃縮海水と海水の界面が維持され、全体として濃縮海水と海水の界面を維持したまま、すなわち濃縮海水と海水の混合を抑制しながら、濃縮海水によって海水を加圧し吐出することができる。
【0046】
図4(a)および
図4(b)は、海水が満たされているチャンバー内に濃縮海水ポートから濃縮海水が流入したときの混合の様子を示す図であり、チャンバー内に区画された複数の流路がある場合と無い場合の濃縮海水と海水の界面の状態を示す模式的断面図である。
図4(a)は、チャンバー内に区画された複数の流路が無く単一の流路のみある場合の濃縮海水と海水の界面の状態を示し、
図4(b)は、チャンバー内に区画された複数の流路がある場合の濃縮海水と海水の界面の状態を示す。
図4(a)および
図4(b)において、A10で示した領域が濃縮海水100%〜90%の領域であり、濃縮海水ポートP1から海水ポートP2に向かうにつれて各領域(A9〜A2)ごとに濃度が10%低くなり、A1で示した領域は濃縮海水10%〜0%の領域である。なお、A1で示した領域においても、領域A2との境界部や領域A2に近接した部分では濃縮海水10%であるが、海水ポートP2に近い部分では濃縮海水0%、すなわち、海水100%である。
【0047】
図4(a)に示すように、チャンバー内に区画された複数の流路が無い場合には、濃縮海水ポートP1から流入した濃縮海水が海水ポートP2から吸い込んだ海水に拡散し、広範囲にわたって混ざり合ってしまう。海水ポートP2から海水を吸い込む場合においても、同様に濃縮海水内に海水が拡散してしまう。これは、チャンバー内でそれぞれの流体が流入する際に、A9からA2で示す各領域で示すように、渦を作って大きく拡散してしまうためである。
これに対し、
図4(b)に示すように、チャンバー内に区画された複数の流路Rがある場合には、濃縮海水ポートP1から濃縮海水が区画された流路断面積の小さい各流路Rに流入し、海水ポートP2から海水が各流路Rに流入する。この時、各流路R内で濃縮海水と海水が接触するが、流路断面積が小さい流路R内で生じる渦は管路内の小さな渦になるので、大きく拡散せずに濃縮海水と海水の界面I(A9〜A2で示す領域)が乱れない。
すなわち、
図4(b)においてA10で示した領域は濃縮海水100%〜90%の領域であり、濃縮海水ポートP1から海水ポートP2に向かうにつれて各領域ごとに濃度が10%低くなり、A1で示した領域は濃縮海水10%〜0%の領域である。濃縮海水ポートP1から海水ポートP2方向にみた場合、領域A10に隣接する濃縮海水が90%〜80%の領域A9から10%ずつ濃縮海水の割合が減少していき、濃縮海水と海水の界面は、濃縮海水が90%〜80%の領域A9から濃縮海水が20%〜10%の領域A2までの8つの細い帯状の領域の集合であり、界面Iで示される。
このように流路断面積の小さい流路Rが複数個集まって大きなチャンバーを構成するため、各流路Rで濃縮海水と海水の界面Iが維持され、全体として濃縮海水と海水の界面を維持したまま、すなわち濃縮海水と海水の混合を抑制しながら、濃縮海水によって海水を加圧し吐出することができる。
【0048】
本発明によれば、
図4(b)に示すように、チャンバー内のピストンを無くしても、チャンバー内に区画された複数の流路Rを設けることにより、濃縮海水と海水をほぼ二分したままでエネルギー交換をすることができる。
【0049】
図5は、本発明のエネルギー交換チャンバーの他の実施形態を示す斜視図である。
図2及び
図3に示す実施形態においては、チャンバー内に区画された複数の流路は細いチューブ25によって構成したが、
図5に示す実施形態においては、シリンダ21内に形成されたチャンバー内に仕切り26を設けてハニカム状の複数の流路Rを形成している。なお、ハニカム状に限らず、格子状の複数の流路を形成してもよい。このように、ハニカム状や格子状の複数の流路Rを形成した場合においても、各流路R内で生じる渦は管路内の小さな渦になるので、大きく拡散せずに濃縮海水と海水の界面が乱れることなく、
図2および
図3に示す例と同様の作用効果が得られる。
【0050】
なお、チューブ25およびハニカムや格子状の仕切り26は薄いことが望ましい。チューブ25や仕切り26の大きさは、小さいほど界面での混合を少なくすることができるが、抵抗も大きくなるため、チューブの場合では、直径が5〜10mm程度が望ましい。ハニカムの場合も六角の対辺の距離が5〜10mm程度がよい。格子状の場合も四角の対辺の距離が5〜10mm程度がよい。
【0051】
図6は、
図2に示すエネルギー交換チャンバー20に整流手段を設けた実施形態を示す断面図である。
図6に示すように、濃縮海水ポートP1,海水ポートP2と流路Rの間に空間S1,S2を設け、各空間S1,S2に流入する際に流体の整流を行う整流手段27,27を設けている。整流手段27は、小径のポートから大径のチャンバー内円筒部に向かってラッパ状に拡がる円錐状の整流板からなっている。
【0052】
図7は、エネルギー交換チャンバー20に他の整流手段を設けた実施形態を示す断面図である。なお、
図7に示すエネルギー交換チャンバー20は、
図2におけるエネルギー交換チャンバー20と比較して、濃縮海水ポートP1および海水ポートP2の径に対してチャンバーの内径がより大きくなっている。
図7に示す実施形態においては、チャンバー内の空間S1,S2の中央部に流入側から拡大し、さらに縮小する円錐が底面で合わせられた形状の整流手段28,28を設けている。この整流手段28によってチャンバー中央部に供給された流体が一旦外側に広がり、再び内側へ縮小することで、小径のポートからの流れをチャンバー内の区画された各流路に均一に流すことができる。
図6において説明した小径のポートから大径のチャンバー内円筒部に向かってラッパ状に拡がる円錐状の整流板は、ポート内径とチャンバー内径の比が比較的小さい場合、すなわち、ポートからチャンバーへの拡大幅が小さい場合に有効であるが、
図7に示すように、ポート内径とチャンバー内径の比が大きい場合、すなわちポートからチャンバーへの拡大幅が大きい場合には本実施形態の整流手段28が有効である。
【0053】
図8は、
図7に示す整流手段28の斜視図である。
図8に示すように、整流手段28は、左側から右側に向かって拡大していく円錐28aと左側から右側に向かって縮小していく円錐28bとが互いに底面で合わせられた形状をしている。この整流手段28は、チャンバー中央に保持するために、円錐部材に複数の支持板28cを取り付けており、これら支持板28cをチャンバーの内壁に固定する。
【0054】
図6乃至
図8に示すように、チャンバー内に流入する流れを各流路Rに均等に流れるように整流することにより、濃縮海水と海水の界面がチャンバー内の1つの空間を2分することができる。方向切換弁やバルブによって流れの方向が変わり、濃縮海水と海水の界面が濃縮海水ポートP1と海水ポートP2の間を往復動作する。
【0055】
図9は、本発明のさらに他の実施形態におけるエネルギー交換チャンバー20の構成を示す断面図である。
図9に示す実施形態においては、他の整流手段を設けている。濃縮海水ポートP1と流路Rの間および海水ポートP2と流路Rの間に空間S1,S2を設け、各空間S1,S2に流入する際に流体の整流を行う整流手段29a,29b,29c,29dを設けている。
【0056】
図10は、
図9に示す整流手段の平面図である。
図10に示すように、整流手段29a(29b,29c,29d)は、円板状の部材に多数の孔29hを形成した多孔板から構成されている。多孔板はポートP1,P2から所定の距離離間し、また隣接する多孔板どうしも所定の距離離間して配置されている。そして、多孔板は区画された流路の端部からも所定の距離離間するように配置されている。
図9に示す本実施形態も流入するポート内径に対するチャンバーの内径の比が大きい場合に有効である。このように、多孔板を配置することによって小径のポートP1,P2から流入する流れを大径のチャンバー内に均一に分散させ複数の区画された流路に均一に流れるようにすることができる。
【0057】
図10に示す多孔板は、円板状の部材に多数の孔29hが形成されたパンチングプレートを用いている。パンチングプレートは、孔の直径や孔間ピッチによってプレート全面積に対する空孔率が計算できる。空孔率は、多孔板が大きな圧力損失にならない程度で、良好な整流作用を有するような数値を選定する。
また、一方のポート側に設けた2枚の多孔板による整流手段29a,29b(または29c,29d)は、それぞれの孔径や空孔率が異なるものでもよい。
【0058】
図11は、
図9に示す実施形態において海水が満たされているエネルギー交換チャンバー20内に濃縮海水ポートP1から濃縮海水が流入したときの混合の様子を示す図であり、濃縮海水と海水の界面の状態を示す模式的断面図である。
図11において、A10で示した領域は濃縮海水100%〜90%の領域であり、濃縮海水ポートP1から海水ポートP2に向かうにつれて各領域ごとに濃度が10%低くなり、A1で示した領域は濃縮海水10%〜0%の領域である。濃縮海水ポートP1から海水ポートP2方向にみた場合、領域A10に隣接する濃縮海水が90%〜80%の領域A9から10%ずつ濃縮海水の割合が減少していき、濃縮海水と海水の界面は、濃縮海水が90%〜80%の領域A9から濃縮海水が20%〜10%の領域A2までの8つの細い帯状の領域の集合であり、界面Iで示す。
【0059】
多孔板を整流手段29a,29b,29c,29dとして使用することにより、小径のポートから大径のチャンバーへ流路が拡大しても、濃縮海水と海水の界面Iが、チャンバー内を二つのポートP1,P2の間で流体を領域A10と領域A1とに二分割していることがわかる。濃縮海水ポートP1からさらに濃縮海水を流入させると界面Iが海水ポートP2側へ移動していき、海水ポートP2からは濃縮海水の圧力と同圧に昇圧された海水が吐出される。次に、海水ポートP2から海水を吸い込み、濃縮海水を濃縮海水ポートP1から排水する。この時も同様に海水ポートP2側の2枚の多孔板による整流手段29c,29dによってチャンバー内に均一に流れるように整流された海水が細管であるチューブ25(流路R)に均一に分散して流れ込み、細管によって乱流拡散が抑制され、界面Iによって2つの流体の混合を最小限としながら濃縮海水を排出する。
【0060】
図12は、
図9で示した細管からなる流路と多孔板からなる整流手段を4枚備えたエネルギー交換チャンバーに濃縮海水排水ポートを設けた実施形態を示す模式的断面図である。
図12において、濃縮海水排水ポートP3は、濃縮海水ポートP1側の細管と多孔板による整流手段29bの間のシリンダ21の壁面に設けられている。
チャンバーが海水の吸込みを行う工程のとき、濃縮海水を濃縮海水排水ポートP3から排水し、濃縮海水と海水の混合領域にある流体を整流手段29bの手前で濃縮海水排水ポートP3から排出するようにしている。すなわち、混合領域にある流体を整流手段29bの手前で排出したうえで、次に再度濃縮海水により海水を押し出すときには濃縮海水を濃縮海水供給ポートP1から供給する。このように、混合領域にある流体をチャンバー内から排出することによって常に新しい界面が形成され、界面の往復動作によって濃縮海水と海水の混合が拡大していくのを防ぐことができる。
なお、制御によって、吸い込み吐出しサイクルの何回かに1回、吸い込み工程の時間を長く取り、混合領域にある流体を濃縮海水排水ポートP3から排出するようにしてもよい。
【0061】
図13および
図14は、本発明のエネルギー交換チャンバー20において整流手段29a,29b,29c,29dとチューブ25とをシリンダ21内に設置する場合の具体例を示す図であり、
図13はエネルギー交換チャンバー20の断面図であり、
図14はシリンダ21の略半分を取り除いてシリンダ21の内部を示す斜視図である。
図13および
図14に示すように、エネルギー交換チャンバー20のシリンダ21内には、濃縮海水ポートP1側から海水ポートP2側に向かって、パイプPA、パイプPB、パイプPC、パイプPD、パイプPE、パイプPF、パイプPE、パイプPD、パイプPC、パイプPB、パイプPAの順序に配置されている。これらのパイプPA〜PFは、整流手段29a〜29dおよびチューブ25をチャンバーに固定するための部材として用いられている。パイプPA、パイプPB、パイプPC、パイプPD、パイプPEは、パイプPFを中心として左右対称に配置されている。整流手段29aはパイプPBとパイプPCとにより狭持され、整流手段29bはパイプPCとパイプPDにより狭持されている。また、整流手段29cはパイプPCとパイプPDとにより狭持され、整流手段29dはパイプPBとパイプPCとにより狭持されている。
【0062】
図15は、
図13の要部拡大図である。
図15に示すように、パイプPA、パイプPB、パイプPC、パイプPD、パイプPE、パイプPFは、それぞれ軸方向において、その外端部にて凹凸形状をしており、これら凹凸部55で各々嵌合されて接続されている。
ここで、整流手段29a,29b(29c,29d)は、パイプPBとパイプPC間およびパイプPCとパイプPD間の凹凸部55の空隙に挟まれるように設置され、軸方向に固定されている。
【0063】
また、
図13に示すように、チューブ25は、パイプPFと2つのパイプPE内に設置されている。ここでチューブ25の固定方法としては、接着やパイプの円周方向側からのねじ止めなど各種考えられるが、要はチューブ25がパイプPE,パイプPF内で軸方向に動かないように固定されていれば、いずれの固定手段であっても良い。
図13に示す例では、チューブ25を軸方向に3分割してチャンバー内に設置している。チューブの分割数、各チューブの軸方向の長さ、および各チューブの内外径は使用条件により適宜設定するものであり、
図13に示す形態(3分割)に限るものではない。
なお、各パイプPA〜PFには、その外周面上の1箇所もしくは複数箇所に圧力バランス孔56を設けている。圧力バランス孔56の径、圧力バランス孔56の軸方向および円周方向の数は、適宜設定する。
【0064】
図16は、
図13のXVI部の拡大断面図である。
図16に示すように、パイプPAの端部には固定ワッシャー57が設けられている。固定ワッシャー57は軸部57aを有しており、軸部57aはパイプPAの端部に形成された孔hに嵌合されている。そして、固定ワッシャー57とパイプPAの端面との間にはOリング58が設置されている。
固定ワッシャー57の軸部57aは、孔h内で軸方向に可動になっており、孔hの深さおよび軸部57aの長さは、固定ワッシャー57が軸方向に所望の距離だけ移動できるように設定されている。なお、固定ワッシャー57は、
図16に示すパイプPAと対称位置にあるもう1つのパイプPAにも設置されている(
図13参照)。
図13および
図16に示すように、パイプPAの端部に、Oリング58の弾性変形によって軸方向に移動可能な固定ワッシャー57を設置し、固定ワッシャー57をフランジ23で押さえることにより、パイプPA〜PFをチャンバー内で軸方向に固定することができる。
【0065】
上述したように、
図13乃至
図16に示すエネルギー交換チャンバー20は、下記(1)〜(3)の構成を採用している。
(1)チューブの分割化設置
本発明によるエネルギー交換チャンバーのサイズ(長さ)は、使用条件により様々となる。例えば、チャンバーの長さが1mの場合もあれば、8mの場合もあり得る。また、チャンバー内に設置されるチューブは、チャンバーとほぼ同等の長さを必要とするが、チューブは長尺のものは製作が困難であることや、製作コストが高価になる。加えて、長尺のチューブをチャンバー内に設置するには広い作業スペースを必要とする。
本発明においては、
図13に示すように、チューブを軸方向に分割する形態を採ることにより、前記問題点を解消することが可能となる。
(2)圧力バランス孔の設置
エネルギー交換チャンバーにパイプPA、パイプPB、パイプPC、パイプPD、パイプPE、パイプPFを嵌装するために、チャンバーとパイプPA〜PFとの間には半径方向にわずかに隙間(クリアランス)を設けている。
エネルギー交換チャンバー(パイプPA〜PF)の内圧は最大で8MPa以上の高圧になる可能性がある。そのため、パイプPA〜PFは、この内圧により、前記半径方向隙間の範囲でラジアル方向(半径方向)に膨らむ可能性が高い。加えて、前記内圧は周期的に低圧から高圧、高圧から低圧のように変化する。このような内圧の周期的な変化によるパイプの膨張と収縮の繰り返しは、該パイプの劣化を促進させ、疲労破壊をも発生する可能性がある。
本発明においては、圧力バランス孔56を各パイプに設置することで、該パイプの内外圧力を同一とし、該パイプに作用する力を相殺させ、前記問題点を解消することが可能となる。
(3)固定ワッシャーとOリングの設置
エネルギー交換チャンバー内の流体の流れの方向は、
図13の左から右もしくは右から左と、周期的にその向きが変わる。つまり、パイプPA、パイプPB、パイプPC、パイプPD、パイプPE、パイプPFは、チャンバー内にて軸方向で固定しなければ、前記流れに従い軸方向に動いてしまう。各パイプが軸方向に動いてしまうと、整流手段29a,29b,29c,29dにて整流化された流れが乱れ、適正な濃縮水と海水の界面が形成されない可能性があり、機器としての機能を損なう可能性がある。
また、前記チャンバー内面と各パイプの外周が軸方向で擦れ、各部品の摩擦摩耗による摩耗粉が発生する可能性もある。そして、発生した摩耗粉は、システム構成機器に流入してシステム全体の機能に支障を来す可能性がある。
本発明においては、固定ワッシャー57とOリング58を用いることで、チャンバー内にパイプPA、パイプPB、パイプPC、パイプPD、パイプPE、パイプPFを嵌装した後、フランジ23をシリンダ21に固定する際に、フランジ23のチャンバー側の端面と固定ワッシャー57のフランジ側の端面とを接触させてパイプPA、パイプPB、パイプPC、パイプPD、パイプPE、パイプPFを左右のフランジ23,23で挟む形で軸方向に固定する。この際、パイプPA、パイプPB、パイプPC、パイプPD、パイプPE、パイプPFは、Oリング58の弾性変形とそれによる反発力で固定される。固定ワッシャー57とOリング58の設置数は、使用条件に応じて適宜設定する。
ここではOリングを使用する形態としたが、要は、設置条件に応じて軸方向に弾性力を発生するものであればOリングに限るものではなく、バネなどでも良い。
本発明においては、固定ワッシャーとOリングやバネを用いることにより、各パイプがエネルギー交換チャンバー内で軸方向に固定され、前記問題点を解消することが可能になる。
【0066】
図13乃至
図16に示すエネルギー交換チャンバー20は、下記の作用効果を奏する。
(i)チャンバー内の内径とほぼ同径のパイプとしてチャンバーに着脱可能とすることで、チューブ自体の交換を容易に行うことができる。
(ii)耐圧容器であるチャンバーへチューブを実装する場合に、チャンバーへの加工や溶接、接着などを施すことなく、チューブを実装したパイプを別ピースとしてチャンバーに嵌め込むだけでよく、構成が簡易となる。
(iii)パイプに段差(凹凸部)を設け、段部に隙間を設けてできる円周溝に多孔板からなる整流手段を取り付けるようにしたので、チャンバー内周部に沿う流れに段差を設けることなく且つ別途支持部品が不要になるので、多孔板の下流に均一な流れを形成することができる。
【0067】
図13乃至
図16に示す実施形態においてはパイプPE,PF内にチューブ25を配置する例を示したが、パイプPE,PF内に、
図5に示す仕切りを設けてハニカム状の複数の流路を形成してもよい。この場合も、流路を形成したパイプPE,PFをエネルギー交換チャンバー20に嵌装することは勿論である。
【0068】
図17は、パイプPE,PF内に
図5に示す仕切り26を設けてハニカム状の複数の流路Rを形成した例を示す斜視図である。
図17に示すように、ハニカムの六角孔が濃縮海水ポートと海水ポートとを連通させる向きに円筒加工され、ハニカムをパイプPE,PFに嵌装することでパイプ内周とハニカムの加工部が線接触する。この線接触する部分を接着剤で接着することで複数の流路Rが形成されている。なお、ハニカムに代えて格子状の流路を形成してもよい。
【0069】
図18は、エネルギー交換チャンバー20への濃縮海水の導入およびエネルギー交換チャンバー20からの濃縮海水の排出を切換える方向切換弁6と、エネルギー交換チャンバー20への取水海水の供給およびエネルギー交換チャンバー20からの取水海水の排出用のバルブ7の構成を具体的に示した回路図である。方向切換弁6は、供給ポート、制御ポート、戻りポートを備えた三方弁であり、弁開度を外部信号に応じて任意に調整することができる制御弁である。また、バルブ7は、チェック弁を2個備えたチェック弁モジュールである。
【0070】
図19は、本発明のエネルギー交換チャンバーを2個備えた海水淡水化システムの構成例を示す模式図である。
図1に示す海水淡水化システムと同様に、逆浸透膜分離装置4からの高圧の濃縮海水は方向切換弁6に供給される。本実施形態においては、方向切換弁6は、出力ポートを2つ備えた四方弁であり、2つのエネルギー交換チャンバー20の何れか一方へ濃縮海水を供給し同時にもう一方のエネルギー交換チャンバー20から濃縮海水を排水するように動作する。海水ポートP2に設けたバルブ7は、
図1および
図18で説明したものと同様である。
本実施形態においては、方向切換弁6に四方弁を採用することによって、2つのエネルギー交換チャンバー20へ交互に濃縮海水を供給し、2つのエネルギー交換チャンバー20から交互に昇圧された海水を吐出するため、逆浸透膜分離装置4から得られる淡水の流量を安定に保つことができる。
【0071】
図20(a)および
図20(b)は、
図19に示す海水淡水化システムにおける方向切換弁と2個のエネルギー交換チャンバーの関係を示す模式的断面図である。
図20(a)および
図20(b)においては、2個のエネルギー交換チャンバーを区別して説明するために、一方のチャンバーを20Aで示し、他方のチャンバーを20Bで示す。
図20(a)および
図20(b)に示すように、方向切換弁6は、ハウジング101、スプール102、駆動部103からなり、ハウジング101にスプール102を嵌合させ、スプール102を移動させることにより、流路の切換えを行う方式のものである。
方向切換弁6には、1つの供給ポートP、2つの制御ポートA,B、2つの戻りポートQが形成される。本発明における方向切換弁6では、供給ポートPは濃縮海水ライン5に連通し、2つの制御ポートA,Bは、それぞれエネルギー交換チャンバー20A,20Bに連通し、戻りポートQは濃縮海水排出ライン17に連通している。
【0072】
本方向切換弁6の機能は、方向切換弁6に供給される逆浸透膜分離装置4からの高圧の濃縮海水をスプール102の動作により、エネルギー交換チャンバー20A,20Bに交互に導入しつつ、エネルギー交換チャンバー20A,20B内の海水を排出することである。
図20(a)および
図20(b)に示す実施形態による方向切換弁6の例では、スプール102は3ランドであるが、方向切換弁に1つ以上の供給ポートP、2つの制御ポートA,B、2つ以上の戻りポートQが形成され、スプールの動作(制御弁内の流路の切換)により、供給ポートPと何れか一方の制御ポートA(又はB)が連通し、また何れかもう一方の制御ポートB(又はA)と戻りポートQが連通するものであれば、回転スプール形など、本図の構造・形態例に限らない。
【0073】
次に、方向切換弁6のスプール102の動作による方向切換例を説明する。
(A)
図20(a)は、方向切換弁6の供給ポートPと制御ポートAが連通する方向にスプール102が動作した場合を示す。
高圧の濃縮海水が方向切換弁6を通じて(Pポート→Aポート)エネルギー交換チャンバー20A(
図20(a)中の上)に導入される。
エネルギー交換チャンバー20A(
図20(a)中の上)内の界面(濃縮海水と海水の界面)Iが同図中の右方向に移動する。
エネルギー交換チャンバー20A内にバルブ7(
図19参照)を通じて導入された海水が界面Iの移動により昇圧され、昇圧された海水がバルブ7を通じてブースターポンプ8(
図19参照)に供給される。
また併行して、方向切換弁6の制御ポートBと戻りポートQが連通し、エネルギー交換チャンバー20B内におけるエネルギーを失って低圧になった濃縮海水が濃縮海水排出ライン17に排出されるとともに海水供給ライン1から海水がバルブ7を通じてエネルギー交換チャンバー20B(
図20(a)中の下)に導入される。
【0074】
(B)
図20(b)は、方向切換弁6の供給ポートPと制御ポートBが連通する方向にスプール102が動作した場合を示す。
高圧の濃縮海水が方向切換弁6を通じて(Pポート→Bポート)エネルギー交換チャンバー20B(
図20(b)中の下)に導入される。
エネルギー交換チャンバー20B(
図20(b)中の下)内の界面Iが同図中の右方向に移動する。
エネルギー交換チャンバー20B内にバルブ7(
図19参照)を通じて導入された海水が界面Iの移動により昇圧され、昇圧された海水がバルブ7を通じてブースターポンプ8(
図19参照)に供給される。
また併行して、方向切換弁6の制御ポートAと戻りポートQが連通し、エネルギー交換チャンバー20A内におけるエネルギーを失って低圧になった濃縮海水が濃縮海水排出ライン17に排出されるとともに海水供給ライン1から海水がバルブ7を通じてエネルギー交換チャンバー20A(
図20(b)中の上)に導入される。
【0075】
図21は、本発明のエネルギー交換チャンバーを3個備えた海水淡水化システムの構成例を示す模式図である。本実施形態においては、3つのエネルギー交換チャンバー20,20,20のそれぞれの濃縮海水ポートに方向切換弁6を備え、海水ポートにバルブ7を備えている。3個のエネルギー交換チャンバーの濃縮海水と海水の出入りのタイミングをずらし、2個のエネルギー交換チャンバーから同時に高圧海水を吐出するようにし、併行して、1個のエネルギー交換チャンバーに海水を吸込むように3個の方向切換弁6を制御する。2個のエネルギー交換チャンバーを備えた
図19および
図20で示した実施形態の場合、2個のチャンバーから交互に海水を吐出するために2個のチャンバーで1個のチャンバー分の吐出流量が得られるのに対し、本実施形態においては、3個のエネルギー交換チャンバーを備えることで、2個のチャンバー分の吐出流量が得られる。
【0076】
図19乃至
図21に示すように、本発明のエネルギー交換チャンバー20を複数個配置して海水淡水化システムを構成することも可能であり、海水淡水化システムの造水量の規模に応じてエネルギー交換チャンバー20の数を増減することで任意の造水量に対応することができる。
【0077】
なお、
図21において、エネルギー交換チャンバー20の濃縮海水ポートに設置される方向切換弁6と、エネルギー交換チャンバー20の海水ポートに設置されるバルブ7は、配管で接続するのではなく、チャンバーのフランジに直接取り付けるように構成している。このようにすれば、チャンバーの数を増設しやすく、また管路による損失を最小限に抑えることができる。
【0078】
図22は、
図2乃至
図13に示す本発明のエネルギー交換チャンバー20と
図26に示すピストン12を備えたエネルギー交換チャンバー10とを併設した海水淡水化システムの構成を示す模式図である。
本海水淡水化システムは、2個のエネルギー交換チャンバー20,10を備え、1個は
図2乃至
図13に示す本発明のエネルギー交換チャンバー20であり、もう1個はピストン12を備えたエネルギー交換チャンバー10である。エネルギー交換チャンバー10の濃縮海水ポートP1の近傍にはセンサ40が取り付けられ、海水ポートP2の近傍にはセンサ41が取り付けられている。各センサ40,41は、それぞれの位置でピストン12の有無を検出するようになっている。
そして、各センサ40,41でピストン12の有無を検出し、センサの信号に基づいてピストン12の移動方向を切り換えるために、方向切換弁6の流路を切り換える。ここで、ピストンの無い本発明のエネルギー交換チャンバー20においても、前記センサの信号に基づいて濃縮海水と海水の給排水を切り換えるようにする。このように、一方のチャンバー10内のピストン12の位置を検出することで、濃縮海水と海水の圧力や流量の変動によってピストン12の移動速度が変化しても、それに応じてチャンバー20内の給排水を切り換えることができる。そのため、ピストンが無く複数の流路を備えた形態のエネルギー交換チャンバー20に、濃縮海水が多く供給されることや、海水が多く吸い込まれることなく、システムの変動に追従して的確に給排水を行うことができる。
なお、
図21に示した3個のエネルギー交換チャンバー20を備えた海水淡水化システムにおいて、1個のエネルギー交換チャンバー20をピストンを備えたエネルギー交換チャンバー10に置き換えるようにしてもよい。
【0079】
次に、エネルギー交換チャンバーを1個の円筒部材に複数設け、円筒部材を回転させることで濃縮海水と海水の給排水を行う回転式のエネルギー交換チャンバー装置について説明する。
図23は、回転式のエネルギー交換チャンバー装置の縦断面図である。
図24は、
図23のXXIV−XXIV断面図である。
図23および
図24に示すように、エネルギー交換チャンバー装置は、円筒状のケーシング30内に回転可能に設けられたロータ31を備えている。ロータ31の回転軸心Oを中心に等配で中空円筒状のエネルギー交換チャンバー20が複数個(実施形態では6個)設けられている。
【0080】
また、ケーシング30の両開口端には、ポートブロック33,34が設けられている。ポートブロック33には、濃縮海水ポートP1として濃縮海水供給ポートPS1と濃縮海水排水ポートPD1とが設けられている。ポートブロック34には、海水ポートP2として海水吸込ポートPS2と海水吐出ポートPD2とが設けられている。ロータ31が回転軸心Oを中心として回転すると、回転軸心Oを中心に等配に形成された中空円筒状のエネルギー交換チャンバー20が回転することによって、各チャンバー20がポートブロック33,34に形成されたポートと連通し、濃縮海水供給ポートPS1、濃縮海水排水ポートPD1、海水吸込ポートPS2、海水吐出ポートPD2が切り換わるようになっている。ポートブロック33,34のポート形状によって、濃縮海水をエネルギー交換チャンバー20に導入して海水を加圧して吐出し、海水をエネルギー交換チャンバー20内に吸込んで濃縮海水を排水するという作用は、
図1乃至
図22に示すエネルギー交換チャンバー20と同様である。
【0081】
図23および
図24に示すエネルギー交換チャンバー装置におけるエネルギー交換チャンバー20においても、濃縮海水ポートP1と海水ポートP2の間に、チャンバー内に固定された小径の複数のチューブ25によって複数の区画された流路Rが形成されている。
【0082】
ロータ31の回転軸心Oを中心に等配に形成された中空円筒状のチャンバーが単なる貫通孔である場合には、このチャンバー内で濃縮海水と海水が混合するという問題が生じてしまう。
本発明においては、
図23および
図24に示すように、ロータ31に形成された中空円筒状のエネルギー交換チャンバー20に小さな断面積の複数の区画された流路Rを形成することによって、濃縮海水と海水の混合を抑制しながら、濃縮海水によって海水を加圧し吐出することができる。
図23および
図24に示すエネルギー交換チャンバー装置においても、
図6および
図7に示す例と同様に整流手段を設けることによって、濃縮海水と海水の混合をより少なくすることが可能である。
【0083】
上述したように、方向切換弁やバルブによって流路を切り換える方式でも、回転するロータにチャンバーが形成されチャンバーが回転する方式でも、本発明のように濃縮海水ポートと海水ポートの間にチャンバー内に固定された複数の区画された流路を形成することによって濃縮海水と海水の混合を抑制することができるとともに濃縮海水によって海水を加圧し吐出することができる。
【0084】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことはいうまでもなく、例えば、エネルギー交換チャンバーの形態等は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。