特許第5964635号(P5964635)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5964635操作制限装置、操作制限方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964635
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】操作制限装置、操作制限方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/40 20130101AFI20160721BHJP
【FI】
   G06F21/40
【請求項の数】12
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-81497(P2012-81497)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-210901(P2013-210901A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2014年12月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(72)【発明者】
【氏名】浅川 輝雄
(72)【発明者】
【氏名】村田 尚子
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−329284(JP,A)
【文献】 特開2008−263396(JP,A)
【文献】 特開2009−271751(JP,A)
【文献】 特開2002−297844(JP,A)
【文献】 特開2010−117885(JP,A)
【文献】 特開2009−230616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/00 − 21/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置による被処理体の処理に係る操作を制限する操作制限装置であって、
複数の使用者の認証情報と、該使用者の第1属性情報及び第2属性情報とを対応付けて記憶する記憶手段と
複数の使用者をそれぞれ認証する認証手段と、
前記複数の使用者から前記操作の要求又は該操作の許可を受け付ける受付手段と、
前記複数の使用者が認証され、かつ少なくとも所定の第1属性情報(又は第2属性情報)を有する認証された使用者からの前記操作の要求と、少なくとも他の所定の第2属性情報(又は第1属性情報)を有する認証された使用者からの前記操作の許可とを受け付けた場合、前記操作を可能にする操作可能化手段と、
前記操作に係る処理が終了した場合、又は前記操作を可能にしてから前記操作に応じた所定時間が経過した場合、前記操作可能化手段による操作可能状態を解除する解除手段と
を備え
第1属性情報は、被処理体の処理に関わるセキュリティを担保するための情報であり、
第2属性情報は、被処理体の処理に関わるセーフティを担保するための情報である
操作制限装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、
複数の操作それぞれの重要度に応じて、操作の要求及び許可に必要な第1属性情報及び第2属性情報を記憶している
請求項1に記載の操作制限装置。
【請求項3】
前記操作可能化手段は、
一連の操作における一又は複数の所要箇所で、認証された複数の使用者から前記操作の要求又は許可を受け付けて前記操作を可能にするように構成してある
請求項1又は請求項2に記載の操作制限装置。
【請求項4】
前記受付手段は、
複数の使用者から交互に又は同時的に操作の要求及び許可を受け付けるように構成してある
請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の操作制限装置。
【請求項5】
前記受付手段は、
認証された第1使用者からの第1操作の要求と、認証された第2使用者からの第1操作の許可とを受け付ける手段と、
認証された第2使用者からの第2操作の要求と、認証された第1使用者からの第2操作の許可とを受け付ける手段と
を備える請求項1乃至請求項のいずれか一つに記載の操作制限装置。
【請求項6】
前記受付手段は、
前記処理装置の状態を確認可能な位置に配された少なくとも一つの端末装置にて、前記操作の要求又は該操作の許可を受け付けるように構成してある
請求項1乃至請求項のいずれか一つに記載の操作制限装置。
【請求項7】
前記受付手段は、
複数の使用者が相互に視認できるように配された端末装置にて、前記操作の要求又は該操作の許可を受け付けるように構成してある
請求項1乃至請求項のいずれか一つに記載の操作制限装置。
【請求項8】
操作の要求を受け付けることが許された端末装置又は操作の許可を受け付けることが許された端末装置に対応付けられた識別情報を記憶する手段を備え、
前記操作可能化手段は、
記憶している識別情報に対応付けられた端末装置から操作の要求又は許可を受け付けた場合、該操作を可能にする
請求項1乃至請求項のいずれか一つに記載の操作制限装置。
【請求項9】
認証、操作の要求、操作の許可、操作、又は操作に係る処理が行われた状態を示した情報を特定の使用者へ通知する手段を備える
請求項1乃至請求項のいずれか一つに記載の操作制限装置。
【請求項10】
認証、操作の要求、操作の許可、操作、又は操作に係る処理が行われた状態を記憶する手段を備える
請求項1乃至請求項のいずれか一つに記載の操作制限装置。
【請求項11】
処理装置による被処理体の処理に係る操作を制限する操作制限方法であって、
複数の使用者をそれぞれ認証するステップと、
前記複数の使用者から前記操作の要求又は該操作の許可を受け付けるステップと、
前記複数の使用者が認証され、かつ少なくとも被処理体の処理に関わるセキュリティを担保するための所定の第1属性情報(又は被処理体の処理に関わるセーフティを担保するための第2属性情報)を有する認証された使用者からの前記操作の要求と、少なくとも他の所定の第2属性情報(又は第1属性情報)を有する認証された使用者からの前記操作の許可とを受け付けた場合、前記操作を可能にするステップと、
前記操作に係る処理が終了した場合、又は前記操作を可能にしてから前記操作に応じた所定時間が経過した場合、操作可能状態を解除するステップと
を備える操作制限方法。
【請求項12】
コンピュータに、処理装置による被処理体の処理に係る操作を制限させるコンピュータプログラムであって、
コンピュータを、
複数の使用者をそれぞれ認証する認証手段と、
前記複数の使用者から前記操作の要求又は該操作の許可を受け付ける受付手段と、
前記複数の使用者が認証され、かつ少なくとも被処理体の処理に関わるセキュリティを担保するための所定の第1属性情報(又は被処理体の処理に関わるセーフティを担保するための第2属性情報)を有する認証された使用者からの前記操作の要求と、少なくとも他の所定の第2属性情報(又は第1属性情報)を有する認証された使用者からの前記操作の許可とを受け付けた場合、前記操作を可能にする操作可能化手段と、
前記操作に係る処理が終了した場合、又は前記操作を可能にしてから前記操作に応じた所定時間が経過した場合、前記操作可能化手段による操作可能状態を解除する解除手段と
して機能させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置による被処理体の処理に係る操作を制限する操作制限装置、操作制限方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置に対する動作命令とそのパラメータ及び半導体製造装置からのデータに必要なアクセス権を設定しておき、使用者の認証時に該使用者の持つアクセス権を特定し、該使用者によって操作可能な動作命令とそのパラメータ及びデータを制限する技術がある(例えば、特許文献1,2,3)。適切なアクセス権を設定することにより、使用者の専門的知識不足に起因する半導体製造装置の誤操作を防止することができ、また、使用者の本人認証を厳格に行うことにより、半導体製造装置が有する処理レシピなどのデータの盗難を防止することができると思われる。
一方、本人確認をする認証手段としては、パスワードが一般的であり、なりすましを防ぐためには更に指紋、目の毛細血管などを対象とする生体確認技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−223901号公報
【特許文献2】特開平8−227835号公報
【特許文献3】特開2007−329284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、いかに本人認証を厳格に行い、使用者のアクセス権を管理したとしても、必ずしも個人の悪意及びミスから半導体製造装置のシステムを守ることはできない。例えば、使用者に悪意があれば、認証情報を有する本人が処理レシピを半導体製造装置から盗み出すことは容易である。また、専門知識を有する使用者として当該操作にアクセス権が与えられていたとしても、確認不足などのミスで、誤操作が行われる可能性がある。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、処理装置による被処理体の処理に関わるより強固なセキュリティ又はセーフティを実現することが可能な操作制限装置、操作制限方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
ここでセキュリティとは、被処理体の処理に関わる操作を正当に遂行し、係る情報を、作為無作為による破壊や盗難から保護することを意味し、セーフティとは、被処理体の処理に係る使用者、装置及び被処理体を危険や損傷から保護することを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る操作制限装置は、処理装置による被処理体の処理に係る操作を制限する操作制限装置であって、複数の使用者の認証情報と、該使用者の第1属性情報及び第2属性情報とを対応付けて記憶する記憶手段と複数の使用者をそれぞれ認証する認証手段と、前記複数の使用者から前記操作の要求又は該操作の許可を受け付ける受付手段と、前記複数の使用者が認証され、かつ少なくとも所定の第1属性情報(又は第2属性情報)を有する認証された使用者からの前記操作の要求と、少なくとも他の所定の第2属性情報(又は第1属性情報)を有する認証された使用者からの前記操作の許可とを受け付けた場合、前記操作を可能にする操作可能化手段と、前記操作に係る処理が終了した場合、又は前記操作を可能にしてから前記操作に応じた所定時間が経過した場合、前記操作可能化手段による操作可能状態を解除する解除手段とを備え、第1属性情報は、被処理体の処理に関わるセキュリティを担保するための情報であり、第2属性情報は、被処理体の処理に関わるセーフティを担保するための情報であることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る操作制限装置は、前記記憶手段は、複数の操作それぞれの重要度に応じて、操作の要求及び許可に必要な第1属性情報及び第2属性情報を記憶していることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る操作制限装置は、前記操作可能化手段は、一連の操作における一又は複数の所要箇所で、認証された複数の使用者から前記操作の要求又は許可を受け付けて前記操作を可能にするように構成してあることを特徴とする。
本発明に係る操作制限装置は、前記受付手段は、複数の使用者から交互に又は同時的に操作の要求及び許可を受け付けるように構成してあることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る操作制限装置は、前記受付手段は、認証された第1使用者からの第1操作の要求と、認証された第2使用者からの第1操作の許可とを受け付ける手段と、認証された第2使用者からの第2操作の要求と、認証された第1使用者からの第2操作の許可とを受け付ける手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る操作制限装置は、前記受付手段は、前記処理装置の状態を確認可能な位置に配された少なくとも一つの端末装置にて、前記操作の要求又は該操作の許可を受け付けるように構成してあることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る操作制限装置は、前記受付手段は、複数の使用者が相互に視認できるように配された端末装置にて、前記操作の要求又は該操作の許可を受け付けるように構成してあることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る操作制限装置は、操作の要求を受け付けることが許された端末装置又は操作の許可を受け付けることが許された端末装置に対応付けられた識別情報を記憶する手段を備え、前記操作可能化手段は、記憶している識別情報に対応付けられた端末装置から操作の要求又は許可を受け付けた場合、該操作を可能にすることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る操作制限装置は、認証、操作の要求、操作の許可、操作、又は操作に係る処理が行われた状態を示した情報を特定の使用者へ通知する手段を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る操作制限装置は、認証、操作の要求、操作の許可、操作、又は操作に係る処理が行われた状態を記憶する手段を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る操作制限方法は、処理装置による被処理体の処理に係る操作を制限する操作制限方法であって、複数の使用者をそれぞれ認証するステップと、前記複数の使用者から前記操作の要求又は該操作の許可を受け付けるステップと、前記複数の使用者が認証され、かつ少なくとも被処理体の処理に関わるセキュリティを担保するための所定の第1属性情報(又は被処理体の処理に関わるセーフティを担保するための第2属性情報)を有する認証された使用者からの前記操作の要求と、少なくとも他の所定の第2属性情報(又は第1属性情報)を有する認証された使用者からの前記操作の許可とを受け付けた場合、前記操作を可能にするステップと、前記操作に係る処理が終了した場合、又は前記操作を可能にしてから前記操作に応じた所定時間が経過した場合、操作可能状態を解除するステップとを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、処理装置による被処理体の処理に係る操作を制限させるコンピュータプログラムであって、コンピュータを、複数の使用者をそれぞれ認証する認証手段と、前記複数の使用者から前記操作の要求又は該操作の許可を受け付ける受付手段と、前記複数の使用者が認証され、かつ少なくとも被処理体の処理に関わるセキュリティを担保するための所定の第1属性情報(又は被処理体の処理に関わるセーフティを担保するための第2属性情報)を有する認証された使用者からの前記操作の要求と、少なくとも他の所定の第2属性情報(又は第1属性情報)を有する認証された使用者からの前記操作の許可とを受け付けた場合、前記操作を可能にする操作可能化手段と、前記操作に係る処理が終了した場合、又は前記操作を可能にしてから前記操作に応じた所定時間が経過した場合、前記操作可能化手段による操作可能状態を解除する解除手段として機能させることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、被処理体の処理に係る操作の要求又は許可を、認証された複数人の使用者から受け付け、更に、単一の操作単位又は所定の操作群単位で操作を可能にし、前記操作に係る処理が終了した場合、又は前記操作に応じた所定時間が経過した場合、操作可能状態を解除する。従って、強固なセキュリティ又はセーフティを担保することが可能である。
なお、処理装置による被処理体の処理に係る操作には、処理装置に対する操作のみならず、関連する情報処理装置上での被処理体の処理に関連する情報処理の操作も含まれる。また、操作が可能な状態になった場合、要求された操作に係る処理が即時実行されても良いし、操作に係る処理が実行できる状態で待機するようにしても良い。更に、操作制限方法における「認証するステップ」と、「前記操作の要求又は該操作の許可を受け付けるステップ」とは、逆順で実行しても良い。また、「認証するステップ」は作業の期間を通して当該端末の使用者が変わっていないことを確認するために随時適宜入れることができる。
【0020】
本発明にあっては、複数の使用者から操作の要求又は許可を受け付けた場合に前記使用者に当該操作に必要な属性情報が対応づけられていることを確認して当該操作を可能にする。
【0021】
本発明にあっては、所定の第1属性情報及び/又は第2属性情報を有する認証された使用者からの前記操作の要求を受け付ける。また、他の所定の第1属性情報及び/又は第2属性情報を有する認証された使用者からの前記操作の許可を受け付ける。
第1属性情報及び第2属性情報は、例えば、使用者が有する権限及び資格である。
権限は、役割又は役職という観点から、使用者に操作の要求又は許可を行うことを認める範囲を示す概念である。従って、ある操作について権限を有しているからと言って、該操作に関する十分な専門知識を有しているとは限らない。権限は、主に被処理体の処理に関わるセキュリティを担保するための情報である。
資格は、能力という観点から、つまり使用者が操作を要求又は許可するのに必要な専門知識を有するか否かという観点から、使用者に操作の要求又は許可を行うことを認める範囲を示す概念である。従って、ある操作の要求又は許可を行う資格を有しているからと言って、その要求又は許可を行う権限を有しているとは限らない。資格は、主に被処理体の処理に関わるセーフティを担保するための情報である。
【0022】
本発明にあっては、操作の重要度に応じて操作毎に該操作の要求又は許可を行うのに必要な属性情報を記憶する。従って、被処理体の処理に関わるより適正なセキュリティ及びセーフティを実現できる。
【0023】
本発明にあっては、一連の操作における一又は複数の所要箇所で、認証された複数の使用者から操作の要求又は許可を受け付けて前記操作を可能にする。例えば、複数の操作からなる操作群が複数ある一連の操作の操作群毎に操作の要求及び許可を受け付けて、前記操作群の操作を許可する。この場合、操作群毎に操作の許可を行うため、操作許可手続きの煩わしさを軽減しつつ、被処理体の処理に関わるより適正なセキュリティ及びセーフティを担保することができる。また、一つ一つの操作毎に該操作の要求及び許可を受け付けて、前記操作を許可する場合も本発明に含まれる。この場合、操作単位で許可及び解除を行うため、被処理体の処理に関わるより適正なセキュリティ及びセーフティをより確実に実現できる。
【0024】
本発明にあっては、複数の使用者から交互に操作の要求及び許可を受け付ける。例えば、第1使用者が第1操作の要求を行い、これに対して第2使用者が操作の許可を行う場合もあれば、第2使用者が第2操作の要求を行い、第1使用者が第2操作の許可を行うこともある。
【0025】
本発明にあっては、処理装置の状態を視認可能な位置に配された端末装置にて、操作の要求又は許可を受け付けるため、被処理体の処理に関わるセーフティをより確実に実現することができる。
【0026】
本発明にあっては、複数の使用者が相互に視認できるように配された端末装置にて、操作の要求又は許可を受け付けるため、被処理体の処理に関わるセキュリティをより確実に実現することができる。
【0027】
本発明にあっては、特定の端末装置から操作の要求又は許可を受け付けた場合に、操作を可能にするように構成してあるため、被処理体の処理に関わるセキュリティ及びセーフティをより確実に実現することができる。
【0028】
本発明にあっては、認証、操作の要求、操作の許可、操作、又は操作に係る処理が行われた状態を示した情報を特定の使用者へ通知することによって、被処理体の処理に関わるセキュリティ及びセーフティを間接的に向上させることが可能である。
【0029】
本発明にあっては、認証、操作の要求、操作の許可、操作、又は操作に係る処理が行われた状態を記憶することによって、被処理体の処理に関わるセキュリティ及びセーフティを間接的に向上させることが可能である。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、処理装置による被処理体の処理に関わるより強固なセキュリティ又はセーフティを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本実施の形態1に係る操作制限装置を含む半導体処理装置の一構成例を示したブロック図である。
図2】操作制限装置の一構成例を示したブロック図である。
図3】使用者DBのレコードレイアウトの一例を概念的に示す説明図である。
図4】重要操作DBのレコードレイアウトの一例を概念的に示す説明図である。
図5】複数使用者の認証及び操作可能化に係る操作制限装置の制御部の処理手順を示したフローチャートである。
図6】複数人作業処理の全体を示すフローチャートである。
図7】操作要求処理に係る制御部の処理手順を示したフローチャートである。
図8】操作実行処理を示すフローチャートである。
図9】操作終了処理を示すフローチャートである。
図10】操作可能化処理に係る使用者と制御部との間の手続きを概念的に示した説明図である。
図11】操作可能化処理に係る使用者と制御部との間の手続きを概念的に示した説明図である。
図12】操作可能化処理に係る使用者と制御部との間の手続きを概念的に示した説明図である。
図13】操作可能化処理に係る使用者と制御部との間の手続きを概念的に示した説明図である。
図14】操作可能化処理に係る使用者と制御部との間の手続きを概念的に示した説明図である。
図15】実施の形態2に係る操作制限装置を含む半導体処理装置の一構成例を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1に係る操作制限装置2を含む半導体処理装置1の一構成例を示したブロック図である。本実施の形態1に係る半導体処理装置1は、半導体処理装置1による被処理体の処理に係る操作を制限する操作制限装置2を有し、半導体処理装置1に対する操作の要求を受け付けるための第1端末装置31及び第2端末装置32が接続されている。第1及び第2端末装置31,32は、各端末の使用者が相互に視認できるように配されている。また、操作の内容に依っては各端末は相互に離れた場所、例えば第1端末装置31は装置の動作を視認できる場所に、第2端末装置32は工場全体を監視する監視室に配することもできる。半導体処理装置1は、例えば、半導体デバイス等製造用のシリコンウエハ等の被処理体を処理するレジスト塗布現像装置、熱処理炉装置、プラズマCVD装置、プラズマエッチング装置、PVD装置等の基板処理装置である。また、本実施の形態1では主に半導体処理装置1を例示して説明するが、半導体処理装置1のみならず、LCD製造に係る処理装置、太陽電池製造に係る処理装置、有機ELに係る処理装置、及び前記処理装置に係る情報処理装置等に本発明を適用することができる。
【0033】
図2は、操作制限装置2の一構成例を示したブロック図である。操作制限装置2は、該操作制限装置2の各構成部の動作を制御する制御部21、例えばCPU(Central Processing Unit)を備えたコンピュータである。制御部21は半導体処理装置1の制御を司るコンピュータの一部であっても良い。制御部21には、バスを介して、一次記憶装置22、二次記憶装置23、通信部24及び端末インタフェース部25が接続されている。
【0034】
一次記憶装置22は、コンピュータの初期動作に必要な制御プログラムを記憶したマスクROM、EEPROM等の不揮発性メモリおよび、コンピュータの動作に必要な制御プログラムを記憶し、制御部21の演算処理を実行する際に生ずる各種データを一時記憶するDRAM、SRAM等の揮発性メモリとで構成される。
二次記憶装置23は、ハードディスクドライブ、若しくはソリッドステートドライブ等の読み出しが可能なディスクドライブ、可搬式の記録媒体41からデータの読み出しが可能なCD−ROMドライブ等の装置である。記録媒体41には、本実施の形態1に係るコンピュータプログラム42が読み出し可能に記録されている。本実施の形態1に係るコンピュータプログラム42は、コンピュータ読み取り可能に記録された可搬式メディアであるCD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)等の記録媒体41を介すなどしてハードディスクドライブやソリッドステートドライブで構成されるディスクドライブに記録されている。制御部21はこれらコンピュータプログラム42が記録された記録媒体41又はディスクドライブなどから、コンピュータプログラム42を読み出し、一次記憶装置22に記憶させる。また、言うまでもなく、光ディスクは、記録媒体41の一例であり、フレキシブルディスク、磁気光ディスク、外付けハードディスク、半導体メモリ等にコンピュータプログラム42をコンピュータ読み取り可能に記録し、二次記憶装置23にて読み出すように構成しても良い。また、通信網に接続されている図示しない外部コンピュータから本発明に係るコンピュータプログラム42をダウンロードするようにしても良い。
通信部24は、外部の遠隔操作装置4、遠隔操作用端末5等との間で情報を送受信するためのインタフェースである。通信部24による各種情報の送受信は制御部21によって制御される。
端末インタフェース部25は、半導体処理装置1に対する操作の要求又は許可を受け付けると共に該操作を実行するための第1及び第2端末装置31,32との間で情報を送受信するためのインタフェースである。
また、二次記憶装置23のディスクドライブは、データベース20を記憶している。データベース20は、本実施の形態1に係る操作制限方法を実施するために必要な各種情報を記憶している。例えば、データベース20は、使用者の本人認証や権限及び資格の確認に必要な情報を記憶する使用者DB20a、半導体処理装置1に対する重要な操作に必要な権限や資格、操作の要求又は許可を受け付けることが許された端末装置の端末ID、ログの通知先などの各種情報を記憶する重要操作DB20bを有する。また、データベース20は、半導体処理装置1による作業予定を示した情報を記憶している。作業予定は、実行すべき作業を記述した肯定的情報であっても良いし、実行すべきでは無い作業を記述した否定的情報であっても良く、また、肯定的情報及び否定的情報の組み合わせであっても良い。作業予定は、使用者から予め受け付けた操作の要求であるため、広義には操作の要求に含まれる。更に、データベース20は、半導体処理装置1に対する操作に必要な時間を、複数の操作毎に記憶している。一般的に、操作に必要な時間は操作内容によって異なる。
【0035】
図3は、使用者DB20aのレコードレイアウトの一例を概念的に示す説明図である。使用者DB20aは、複数の列、例えば「使用者ID」列、「使用者名」列「認証情報」列、各々の操作に関する「権限」列、「資格」列等から構成されており、各行には、各列に格納された情報を有する。
「使用者ID」列と「使用者名」列とは、半導体処理装置1の使用者をそれぞれ識別する識別情報と名称とを格納し、「認証情報」列は、各使用者を認証するためのパスワードなどの認証情報を格納している。各々の操作に関する「権限」列及び「資格」列は、前記使用者の持つ操作の権限及び資格を重要操作内容に対応付けて格納している。権限及び資格は、第1属性情報及び第2属性情報の一例である。
【0036】
図4は、重要操作DB20bのレコードレイアウトの一例を概念的に示す説明図である。重要操作DB20bの表は、複数の列、例えば「重要操作内容」列、「認証形式」列、「使用者」列、「ログ通知先」列等から構成されており、各行には、各列に格納された情報を有する。
「重要操作内容」列は、半導体処理装置1に対する操作の内容を格納し、「認証形式」列は、操作の重要度に沿った認証の形式を格納し、「使用者」列には前記認証形式にて必要とする複数の使用者の要件と操作端末の制限とを格納し、「ログ通知先」列には、認証、操作の要求、操作の許可、操作、又は操作に係る処理が行われた状態の情報を通知する通知先の情報を格納している。「認証形式」は、例えば、操作が制限されている状態を解除し、操作を可能にするために必要な認証された使用者の数によって表される。「操作端末の制限」は、操作の要求を受け付けることが許された端末装置又は操作の許可を受け付けることが許された端末装置に対応する付けられた識別情報である。通知先の情報は使用者のIDであっても、ディスク上のログファイルであっても良い。使用者である場合には使用者が操作をしている操作端末への表示であっても良いし、使用者が保有している携帯端末へのメール送付などでも良い。
なお、重要操作DB20bの表の内容は、特定の権限を有する使用者が適宜変更できるように構成しても良いし、その作業自体が複数人の合意を要する重要作業として登録されても良い。
【0037】
図5は、複数使用者の認証及び操作可能化に係る操作制限装置2の制御部21の処理手順を示したフローチャートである。制御部21は、まず一連の手順に必要な初期化処理を行なう(ステップS1)。ここで初期化処理とは、使用者のログインを可能とする処理や半導体製造装置の操作を可能とする処理などを含む。初期化処理が終了すると、制御部21は操作要求受け付け可能状態となる。使用者は必要性に沿って第1及び第2端末装置31,32のいずれかを用いて、使用者ID及び認証情報を入力してログインし、制御部21は、端末インタフェース部25にて、当該端末装置に入力された使用者ID及び認証情報を取得し、取得した使用者ID及び認証情報と、使用者DB20aが記憶する使用者ID及び認証情報とを照合し、使用者を認証し、当該使用者は作業要求の発行または作業要求に基づいて発行される複数人作業への参加要請への応答をすることが可能となる。次いで、制御部21は端末インタフェース部25を介して操作要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS2)。操作要求を受け付けていないと判定した場合(ステップS2:NO)、制御部21は処理をステップS2へ戻し、該ステップS2の処理をくり返す。制御部21は操作要求を受けたと判定した場合(ステップS2:YES)、重要操作DB20bを参照し、受け付けた操作要求が重要操作内容に該当するか否かを判定する(ステップS3)。重要操作内容に該当すると判定した場合(ステップS3:YES)、制御部21は複数人作業処理を実行し(ステップS4)、重要作業内容に該当しないと判定した場合(ステップS3:NO)、通常作業処理を実行し(ステップS5)、当該処理を終了すると操作要求待ち状態に戻り、次の操作要求を待つ。更に並行して実行可能な操作要求が存在する系に於いては複数人作業処理の実行中にも並行して他の複数人作業要求を受け付けることができる。
【0038】
図6は複数人作業処理の全体を示すフローチャートである。制御部21は重要操作DB20bを参照して操作要求処理を行い(ステップS11)、当該操作要求処理が正常に終了したか否かを判定する(ステップS12)。当該操作要求処理が正常に終了したと判定した場合(ステップS12:YES)、操作実行処理を行い(ステップS13)、当該操作実行処理が正常に終了したか否かを判定する(ステップS14)。当該操作実行処理が正常に終了したと判定した場合(ステップS14:YES)、制御部21は、操作終了処理を行い(ステップS15)、複数人作業処理を終了して戻る。操作要求処理が正常に終了しなかったと判定した場合(ステップS12:NO)、又は操作実行処理が正常に終了しなかったと判定した場合(ステップS14:NO)、複数人作業処理フローにおける異常終了処理を行い(ステップS16)、複数人作業処理を終了して戻る。
【0039】
図7は、操作要求処理に係る制御部21の処理手順を示したフローチャートである。制御部21は操作要求を入力した使用者をその使用者IDと対応付けて記憶しており、重要操作DB20bの使用者1の要件欄を参照して、まず操作要求を発行した使用者の正当性を検証し(ステップS31)、操作要求を発行した使用者が正当な要件を有しているか否かを判定する(ステップS32)。
【0040】
制御部21は、操作要求を発行した使用者がその操作に対する正当な要件を有すると判定した場合(ステップS32:YES)、その操作要求を受け付けた端末装置の適合性を判定する(ステップS33)。具体的には制御部21は、その使用者が使用している端末装置の端末IDを取得し、重要操作DB20bの使用者1の端末欄の記載と比較して端末装置の適合性を検証し、操作要求を受け付けた端末装置が、該操作要求を受け付ける端末装置としての適合性を有しているか否かを判定する(ステップS34)。
【0041】
制御部21は、操作要求を受け付けた端末が適合性を有すると判定した場合(ステップS34:YES)、その操作要求が予め指示された予定に適合しているかを検証し(ステップS35)、その適合性を判定する(ステップS36)。具体的には、制御部21は、データベース20が記憶する作業予定の情報を読み出し、ステップS2で受け付けた操作要求の内容が作業予定に適合しているか否かを判定する(ステップS36)。ここで、データベース20が記憶する作業予定自体も複数人での作業に登録することができ、該半導体製造装置の全体の予定を司る規範とすることができる。また、この作業予定に基づいて、作業ミス防止などの観点から、操作要求を発行すべき使用者や後述する他の共同作業者に前以て操作要求を開始すべき日時を通報することも可能である。
【0042】
制御部21は、作業予定に適合と判定した場合(ステップS36:YES)、重要操作DB20bを参照して複数人作業に必要な一人以上の他の使用者への通報と他の使用者の検証とを行う(ステップS37)。他の使用者が未だログインしていない場合には、他の使用者に本願に係らない携帯電話へのメールなどの一般的な手法を用いてメッセージを送り、ログインを促す。他の使用者のログイン状態を確認すると制御部21は当該使用者に当該作業への参加を促す表示を送る。次いで、制御部21は、他の使用者から肯定応答を受け付けたか否かを判定する(ステップS38)。他の使用者から肯定応答を受け付けたと判定した場合(ステップS38:YES)、制御部21は、重要操作DB20bを参照して使用者2、又は使用者2及び使用者3の正当性を検証し(ステップS39)、肯定応答を発行した使用者がその操作に対する正当な要件を有しているか否かを判定する(ステップS40)。使用者が正当であると判定した場合(ステップS40:YES)、制御部21は、その肯定応答を受け付けた端末装置の適合性を判定する(ステップS41)。具体的には制御部21は、その使用者が使用している端末装置の端末IDを取得し、重要操作DB20bの使用者2又は使用者3の端末欄の記載と比較して端末装置の適合性を検証し、肯定応答を受け付けた端末装置が、該肯定応答を受け付ける端末装置としての適合性を有しているか否かを判定する(ステップS42)。肯定応答を受け付けた端末が適合性を有すると判定した場合(ステップS42:YES)、制御部21は、複数人作業の受理をし(ステップS43)、操作要求処理を完結し、図6の複数人作業処理に戻る。具体的には、制御部21は、ステップS43の処理で、使用者から要求された操作を可能にする。
【0043】
制御部21は、操作要求を発行した使用者の要件が満たされない場合、つまり、操作要求を発行した使用者が正当な要件を有していないと判定した場合(ステップS32:NO)、操作要求を発行した使用者の端末装置の適合性が満たされない場合(ステップS34:NO)、操作要求の作業予定への適合性が満たされない場合(ステップS36:NO)、他の使用者を引き当てられなかった場合もしくは肯定応答が得られなかった場合(ステップS38:NO)、他の使用者の要件が満たされなかった場合(ステップS40:NO)、又は肯定応答を発行した他の使用者の端末装置の適合性が満たされなかった場合(ステップS42:NO)、当該状況に対応した異常終了処理を行って(ステップS44)、図6の複数人作業処理に戻る。
【0044】
図8は操作実行処理を示すフローチャートである。制御部21は、操作要求処理が正常に終了すると、操作実行処理に移る。操作実行処理に於いては、制御部21は要求された操作に対応する予め準備されている操作プログラムを呼び出して実行する。ここではそれらの操作プログラムに共通する判断要件を記述する。まず、操作プログラムには、要求された操作が、その操作を実現する為の1つ以上の詳細操作からなる構成として記述されており、制御部21は、その詳細操作ごとに詳細操作条件確認を行う(ステップS51)。
詳細操作条件の確認には、要求された操作もしくはその操作を構成する一連の詳細操作に半導体製造装置が対応できる状態にあるかどうか、その操作の重要度に応じた端末を操作する使用者による確認のための打鍵応答、又は使用者の本人認証の再確認などが含まれる。また、詳細操作条件の確認には、ステップS43で複数人作業を受理してから操作内容に応じた所定時間が経過していないかどうかの確認を含めても良い。ステップS43で複数人作業を受理してからの経過時間は、制御部21が図示しない計時部に計時させることによって把握し、所定の経過時間が経過した場合、操作可能化状態を解除するように構成すると良い。更に、セーフティーの観点から問題がない場合は操作可能化状態を解除し、問題がある場合には、しかるべき自動プロシジャーが設定可能なときには、所定の手順に沿って操作可能化状態を解除する。自動プロシジャーが設定困難な場合には、半導体処理装置1の使用者を呼び、該使用者による確認指示を受け付けた後に操作可能化状態を解除するように構成しても良い。また、操作内容に応じた所定時間は、例えば操作プログラムが記憶している。制御部21は、詳細操作が正当、つまり、詳細操作を実行する条件が満たされているか否かを判定する(ステップS52)。詳細操作が正当であると判定した場合(ステップS52:YES)、制御部21は、操作プログラムに記述された当該詳細操作を実行する(ステップS53)。次いで、制御部21は、実行された詳細操作が正常に終了したか否かを判定する(ステップS54)。正常に終了したと判定した場合(ステップS54:YES)、制御部21は、操作プログラムに記述された全ての詳細操作を実行したか否かを判定する(ステップS55)。実行されていない操作があると判定した場合(ステップS55:NO)、制御部21は、処理をステップS51に戻し、全ての詳細操作が終了するまでステップS51〜ステップS55の処理を繰り返す。全ての詳細操作を実行したと判定した場合(ステップS55:YES)、制御部21は、操作正常終了処理を行って(ステップS56)、図6の複数人作業処理に戻る。詳細操作条件確認で正当と認められない場合(ステップS52:NO)、又は一の詳細操作が正常に終了しなかったと判定した場合(ステップS54:NO)、制御部21は、当該状況に対応した異常終了処理を行って(ステップS57)、図6の複数人作業処理に戻る。
【0045】
図9は操作終了処理を示すフローチャートである。操作実行処理を正常終了すると、制御部21は操作終了処理を行う。操作終了処理において、制御部21は、操作の許可、操作、又は操作に係る処理が行われた状態を示した情報を含むログを作成しデータベース20に記憶する(ステップS71)。次いで、制御部21は、作業予定にその操作によって為された作業の結果を記述する(ステップS72)。そして制御部21は、重要操作DB20bを参照して、ログの通知先を特定し、操作の許可、操作、又は操作に係る処理が行われた状態を示した情報を含むログ、操作を正常終了した旨を示した情報などを、特定した通知先へ送信する(ステップS73)。そして、制御部21は、操作可能化状態、つまりステップS43の処理で、操作が可能になった状態を解除する(ステップS74)。
また、図5図8のフローチャートには図示されていないが、制御部21は、使用者A,Bの認証、操作の要求、操作の許可、又は操作に係る処理などが行われる都度、認証、操作の要求、操作の許可、操作、又は操作に係る処理が行われた状態を示した情報を二次記憶装置23又はデータベース20に記憶する。また、制御部21は、認証、操作の要求、操作の許可、操作、又は操作に係る処理が行われた状態を示した情報を、重要操作DB20bに登録されているログ通知先に通知する処理を行っている。制御部21は前述のログや通知を最終化すると共に、作業予定にその操作によって為された作業の結果を記述し、操作の正常終了を必要な使用者に通報する。
同様に、操作実行処理を異常終了した場合には異常終了処理を行う。操作のログを作成すると共に、作業予定にその操作によって為された作業の結果を記述し、操作の異常終了を必要な使用者に通報する。複数人作業処理を終了すると、制御部21は図5に示したステップS2の操作要求の待ち受けに戻る。
【0046】
図10から図14は、操作可能化処理に係る使用者A,Bと制御部21との間の手続きを概念的に示した説明図である。当該図中の矢印は、その方向に向かって手続きが行われていることを示し、矢印内の文字はその手続きの内容を示す。
【0047】
図10は基本的な手続きを示す。使用者Aが操作要求を発行すると制御部21は操作要求処理を開始し、重要操作DB20bを参照して使用者Aの要件を確認し、正当であれば同じく重要操作DB20bを参照して使用者2の要件に該当する使用者Aを除く1人以上の使用者に操作許可要請を発行する。この図では使用者Bに操作許可要請を発行している。使用者Bが操作許可を発行すると制御部21は使用者Aに操作許可を伝えると共に対応する操作プログラムを起動して操作実行処理に入る。使用者Aは操作を行い制御部21はその操作指令を操作プログラムに依って半導体製造装置の制御に反映する。その情報は使用者Bに適宜通報することも可能である。操作を終了すると使用者Aは操作終了報告を発行し、これを受けた制御部21は操作終了処理に移行し、使用者Bに操作終了報告を発行し、これを受けた使用者Bが操作終了承認を発行すると、制御部21は使用者Aに操作終了承認通知を発行して一連の操作を終了する。
【0048】
図11に一回の操作要求が複数の詳細操作から成る場合の手続きを示す。図11に於いて、操作要求処理と操作終了処理は図10と同じであるが、操作実行処理の部分は複数回の詳細操作から構成され、使用者Bには適宜通報を行うことができる。この方法を用いれば、詳細操作群単位で操作の要求及び許可を行うことが可能であり、一つ一つの詳細操作に対して操作の要求及び許可を行う必要が無いため、適度に半導体処理装置1のセキュリティ又はセーフティを保持しつつ、効率的に半導体処理装置1の操作を進めることができる。
【0049】
図12は詳細操作にも承認手続きを行う場合を示す。ここで操作実行処理は重要な詳細操作の前に使用者Aに詳細操作要求を発行することを求め、これを受信すると使用者Bに詳細操作許可要請を発行し、使用者Bが詳細操作許可を発行すると、使用者Aに詳細操作許可を発行し、使用者Aは続く詳細操作が可能になる。
【0050】
図13は、会話的に行われる操作実行処理を概念的に示した説明図である。使用者Aによる詳細操作の情報は制御部21に依って使用者Bに通報され、それに基づいて使用者Bが詳細操作を行い、その情報は制御部21に依って使用者Aに通報される。このようにして使用者Aと使用者Bは交互に会話的に相手の詳細操作を確認しつつ操作を進めることが可能である。使用者Aの操作は、次に行われる使用者Bの操作に対する許可になっており、使用者Bの操作は、次に行われる使用者Aの操作に対する許可になっている。
【0051】
図14は特に重要な詳細操作の前に再認証を行う場合の手続きを示す。制御部21は、操作実行処理の中で特に重要な詳細操作の前に使用者Aに対して認証要求を発行することが可能であり、使用者Aは認証入力を行う。制御部21は認証入力に依って得られた認証情報を使用者DB20aに記憶されている認証情報と比較して認証を行い、一致すると使用者Aに認証許諾を与え、これに依って使用者Aに依る詳細操作を可能とする。
【0052】
本実施の形態1にあっては、複数人の使用者A,Bの認証を求め、複数人の使用者A,Bが立ち会った上で合意許諾していることを確認した上で、操作の許可を行っているため、主に半導体処理装置1による被処理体の処理に関わるより強固なセキュリティを実現することができる。例えば、被処理体の処理に係る処理レシピの持ち出し等を効果的に防止することができる。
【0053】
また、操作単位又は詳細操作群単位で操作の許可と、操作可能状態の解除を行っているため、より強固なセキュリティを実現することができる。
【0054】
更に、操作の重要度に応じて予め設定された権限又は資格を有する複数の使用者から操作の要求又は許可を受け付けた場合に操作を可能にするように構成されているため、被処理体の処理に関わるより適正なセキュリティを担保することができる。
【0055】
更にまた、操作内容によっては、複数の詳細操作群単位毎に、操作の許可及び解除を行うため、操作許可手続きの煩わしさを軽減しつつ、被処理体の処理に関わるより適正なセキュリティを担保することができる。
【0056】
更にまた、認証、操作の要求、操作の許可、操作、又は操作に係る処理が行われた状態を示した情報を記憶し、更に特定の使用者へ通知することによって、被処理体の処理に関わるセキュリティを間接的に向上させることが可能である。
【0057】
更にまた、複数人の使用者による操作の要求及び許可があっても、予め登録されている作業予定の内容に適合していない場合、操作を許可しないように構成してあるため、被処理体の処理に関わるセキュリティを更に向上させることができる。
【0058】
更にまた、各使用者の権限を変更する特別の権限が与えられている使用者は、他の使用者の権限を動的に変更させることができる。
【0059】
なお、上述した実施の形態1では、使用者Aが操作の要求を行い、引き続き、使用者Bが操作の許可を行う例を説明したが、逆順で操作の許可を行い、次いで操作の要求を行うように構成しても良いし、同時的に操作の要求及び許可を受け付けるように構成しても良い。また、半導体処理装置1の作業者が操作の要求を行っても良いし、操作の許可を行っても良い。また、半導体処理装置1を直接操作しない非作業者が操作の要求を行っても良いし、操作の許可を行っても良い。
【0060】
また、操作の要求及び許可をそれぞれ一人の使用者が行う例を示したが、三人以上の使用者によって操作の要求及び許可を受け付けた場合に操作を可能にするように構成しても良い。
【0061】
更に、操作の許可は、上位の権限又は資格を有する使用者が、下位の権限又は資格を有する使用者による操作の要求を許可する場合のみならず、下位の権限又は資格を有する使用者が、上位の権限又は資格を有する使用者による操作の要求を許可するように構成しても良い。また同等の権限又は資格を有する複数の使用者が操作の要求及び許可を行うように構成しても良い。
【0062】
更にまた、操作の要求を使用者が入力する例を説明したが、予め登録されている操作要求を半導体処理装置1又は操作制限装置2が発信し、他の使用者に該操作の許可を求めるように構成しても良い。
【0063】
更にまた、実施の形態1では、互いに視認可能な位置に配された第1及び第2端末装置31,32を用いて操作要求及び許可を受け付ける例を説明したが、操作の重要度によっては、第1及び第2端末装置31,32を地理的に異なる箇所に配置しても良い。
【0064】
(実施の形態2)
図15は、実施の形態2に係る操作制限装置2を含む半導体処理装置1の一構成例を示したブロック図である。実施の形態2に係る半導体処理装置1には、該半導体処理装置1の動作を遠隔操作する遠隔操作装置4が有線又は無線の通信線で接続されている。遠隔操作装置4には、操作用の遠隔操作用端末5が設けられている。実施の形態2では、操作制限装置2の制御部21は、認証された使用者Cによって遠隔操作装置4に入力された操作要求を、通信部24を介して受け付け、認証された使用者A,Bによって第1及び第2端末装置31,32に入力された操作許可を受け付けた場合、前記操作を可能にするように構成されている。操作要求を受け付ける端末装置の位置と、操作許可を求める使用者の人数を除き、制御部21による処理手順は、実施の形態1と同様である。
【0065】
実施の形態2にあっては、半導体処理装置1の状態を視認できない使用者Cによって入力された操作要求を、半導体処理装置1の状態を視認できる使用者A,Bが許可するように構成されているため、半導体処理装置1による被処理体の処理に関わるセーフティを実現することができる。
また、互いに視認できるような位置に配された第1及び第2端末装置31,32にて操作許可を受け付けるように構成してあるため、実施の形態1と同様、半導体処理装置1による被処理体の処理に関わるより強固なセキュリティを実現することができる。
その他、実施の形態1と同様にして、被処理体の処理に係る強固なセキュリティ及びセーフティを実現することができる。
【0066】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0067】
1 半導体処理装置
2 操作制限装置
4 遠隔操作装置
5 遠隔操作用端末
20 データベース
20a 使用者DB
20b 重要操作DB
21 制御部
22 一次記憶装置
23 二次記憶装置
24 通信部
25 端末インタフェース部
31 第1端末装置
32 第2端末装置
41 記録媒体
42 コンピュータプログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15