(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記両親媒性非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンとポリジメチルシロキサン、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレン、又はポリオキシエチレンとポリエチレンを含むブロック又はグラフトコポリマーである、請求項1に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
基材表面を平坦化又は研磨するための、特には化学機械研磨(CMP)のための組成物及び方法が当技術分野でよく知られている。(研磨用スラリーとしても知られる)研磨用組成物は、典型的には水溶液中に研磨材を含有し、研磨用組成物で飽和した研磨パッドと表面を接触させることによって表面に適用される。典型的な研磨材には、二酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、及び酸化スズがある。米国特許第5,527,423号明細書では、例えば、水性媒体中に高純度の微細金属酸化物粒子を含む研磨用スラリーと金属層の表面を接触させることにより、金属層を化学機械研磨する方法が記載されている。研磨用スラリーは、研磨パッド(例えば、研磨クロス又はディスク)とともに典型的に使用される。好適な研磨パッドは、米国特許第6,062,968号明細書、同第6,117,000号明細書、及び同第6,126,532号明細書において記載されており、これらの明細書では、連続泡の多孔質網目構造を有する焼結ポリウレタン研磨パッドの使用が開示されている。米国特許第5,489,233号明細書では、ある表面組織又はパターンを有する固体研磨パッドの使用が開示されている。あるいはまた、研磨材は研磨パッドに取り込むことができる。米国特許第5,958,794号明細書では、固定砥粒研磨パッドが開示されている。
【0003】
ケイ素をベースとした金属間誘電層のための研磨用組成物は、半導体産業において特に十分に開発されており、ケイ素をベースとした誘電体の研磨及び摩耗の化学的及び機械的性質はかなりよく理解されている。しかしながら、ケイ素をベースとした誘電材料に関する1つの問題は、その誘電率が、残留含水量などの因子に依存して比較的高く、およそ3.9以上であるということである。結果として、導電層間のキャパシタンスも同様に比較的高くなり、回路が作動できる速度(周波数)が制限される。キャパシタンスを下げるために開発されている方法は、(1)より低い抵抗率値を有する金属(例えば、銅)を組み込むこと、及び(2)二酸化ケイ素に比べてより低い誘電率を有する絶縁体を電気的分離に提供することを含む。
【0004】
二酸化ケイ素の基材上に平面の銅回路トレースを製作する1つの方法は、ダマシンプロセスと称される。このプロセスに従って、二酸化ケイ素の誘電体表面は、通常のドライエッチプロセスによってパターニングされ、垂直及び水平の相互接続のためのホール及びトレンチが形成される。パターニングされた表面は、チタン若しくはタンタルなどの接着促進層及び/又は窒化チタン若しくは窒化タンタルなどの拡散バリア層で被覆される。次いで、接着促進層及び/又は拡散バリア層は、銅層でさらに被覆される。化学機械研磨により、二酸化ケイ素表面の上の部分が露出した平面を得るまで、銅の上方層の厚さと、接着促進層及び/又は拡散バリア層の厚さを低減する。ビア及びトレンチは、回路の相互接続を形成する導電性の銅で満たされたままである。
【0005】
これまで、銅並びに接着促進層及び/又は拡散バリア層の除去速度はその両方とも、二酸化ケイ素の上の部分が露出した際、研磨を効果的に停止するように二酸化ケイ素の除去速度を大きく上回らなければならないと考えられてきた。銅の除去速度/二酸化ケイ素ベースの除去速度の比は「選択性」と呼ばれる。最低50の選択性がこのような化学機械研磨に関して望まれる。しかしながら、高選択性の銅スラリーが用いられると、銅層は容易に過研磨され、銅のビア及びトレンチにおいて窪み又は「ディッシング」の作用が生じる。この特徴の変形は、平版印刷の制約や半導体の製造における他の制約のために許容できない。半導体の製造に適していない別の特徴の変形は「エロージョン」と呼ばれる。エロージョンは、酸化ケイ素の領域と銅のビア又はトレンチの高密度配列との間のトポグラフィーの差である。化学機械研磨においては、高密度配列の材料が、酸化ケイ素の周囲領域よりも速い速度で除去又は侵食される。これによって、酸化ケイ素の領域と高密度の銅配列との間にトポグラフィーの差が生じる。エロージョンに関する業界標準は、典型的には500オングストローム(Å)未満である。
【0006】
銅の化学機械研磨に関する幾つかの系が開示されている。Kumarらは、「Chemical−Mechanical Polishing of Copper in Glycerol Based Slurries」と題した論文(Materials Research Society Symposium Proceedings,1996)において、グリセロールと研磨用アルミナ粒子を含有するスラリーを開示している。「Chemical−Mechanical Polishing of Copper with Oxide and Polymer Interlevel Dielectrics」と題したGutmannらによる論文(Thin Solid Films,1995)では、銅の溶解の抑制剤としてベンゾトリアゾール(BTA)を含むことができる硝酸又は水酸化アルミニウムのいずれかに基づいたスラリーが開示されている。Luoらは、「Stabilization of Alumina Slurry for Chemical−Mechanical Polishing of Copper」と題した論文(Langmuir,1996)において、ポリマー界面活性剤とBTAを含有するアルミナ−硝酸第二鉄のスラリーを開示している。Carpioらは、「Initial Study on Copper CMP Slurry Chemistries」と題した論文(Thin Solid Films,1995)において、酸化剤としての過酸化水素又は過マンガン酸カリウムとともにアルミナ又はシリカ粒子、硝酸又は水酸化アンモニウムを含有するスラリーを開示している。今日の化学機械研磨系は二酸化ケイ素基材から銅の被覆層を除去することができるが、この系は半導体産業の厳しい要求を完全には満足していない。これらの要件は以下のようにまとめることができる。第一に、処理量の要求を満足させるため銅の高い除去速度に関するニーズがある。第二に、基材全体にわたりトポグラフィーの均一性が優れていなければならない。最後に、CMP法は、絶えず増加する平版印刷の要求を満足させるために、局部的なディッシング及びエロージョンの作用を最小限に抑えなければならない。
【0007】
銅を研磨するための研磨用組成物における界面活性剤の使用が開示されている。例えば、米国特許第6,270,393号明細書では、アルミナ、無機塩、水溶性キレート化剤、及びその称するところによれば研磨剤のための分散剤として作用する界面活性剤を含む研磨用スラリーが開示されている。この米国特許第6,270,393号明細書において、界面活性剤は、親水性と親油性のバランス(HLB)値が10以上である非イオン性界面活性剤であることができると開示されている。米国特許第6,348,076号明細書では、界面活性剤、特にはアニオン界面活性剤を含む金属層CMPのための研磨用組成物が開示されている。米国特許第6,375,545号明細書では、無機研磨剤、酸化剤及び有機酸と組み合わせたポリマー粒子の研磨剤を含む研磨用組成物が開示されている。米国特許第6,375,693号明細書では、酸化剤、腐食抑制剤及びアニオン界面活性剤(例えば、脂肪酸のスルホン酸エステル界面活性剤)を含む研磨用組成物が開示されている。米国特許第6,383,240号明細書では、研磨粒子とHLB値が6以下の両親媒性界面活性剤を含むCMPのための水性分散液が開示されている。米国特許出願公開第2001/0008828号明細書では、研磨剤、有機酸、複素環式化合物、酸化剤、及び任意選択で界面活性剤を含む銅及びバリア膜のための水性研磨用組成物が開示されている。米国特許出願公開第2002/0023389号明細書では、基材表面層のエロージョン及びスクラッチングを最小限に抑えるために、アニオン、カチオン又は非イオン性の界面活性剤であることができる界面活性剤の使用が開示されている。米国特許出願公開第2002/0037642号明細書では、酸化剤と、カルボン酸と、平均粒子サイズが50〜500nmの主として塊状のθ−アルミナ粒子を含有する研磨剤とを含む銅の研磨で使用するための研磨用組成物が開示されている。研磨粒子は、アニオン、カチオン、両性又は非イオン性の界面活性剤から選択された界面活性剤の分散剤を用いて分散することができる。国際公開第01/32794号パンフレットでは、その称するところによればシリカ又は銅の基材表面と結合を形成してシリカ沈殿物及び銅ステインの形成を抑える、種々の界面活性剤のうち任意のものであることができる有機添加物を含む、タンタルのバリア層を有する基材を研磨するためのCMPスラリーが開示されている。国際公開第02/04573号パンフレットでは、有機酸、ベンゾトリアゾール及び界面活性剤をさらに含むシリカ研磨剤の存在下で安定化された過酸化水素を含む研磨用組成物が開示されている。欧州特許出願公開第1150341号明細書では、100nm未満の粒子サイズを有する研磨剤、酸化剤、有機酸、ベンゾトリアゾール及び界面活性剤を含む研磨用組成物が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、金属層(例えば、少なくとも1つの金属層)を含む基材を研磨する方法に向けられる。本発明は、(i)基材を化学機械研磨(CMP)系と接触させる工程と、(ii)該基材の少なくとも一部を削って該基材を研磨する工程とを伴う。第1及び第2実施態様においては、基材の金属層は銅を含む。第1及び第2実施態様のCMP系は、(a)研磨剤、(b)両親媒性非イオン性界面活性剤、(c)銅を含む金属層を酸化するための手段、(d)有機酸、(e)腐食抑制剤、及び(f)液体キャリヤーを含む。
【0013】
第3の実施態様においては、基材は第1金属層と第2金属層を含み、その方法は、該第1金属層を第1CMP系と接触させ、続いて該第2金属層を第2CMP系と接触させることを含む2工程の方法である。第1CMP系は、少なくとも研磨剤と液体キャリヤーを含む。第2CMP系は、(a)研磨剤、(b)両親媒性非イオン性界面活性剤、及び(c)液体キャリヤーを含む。第1及び第2CMP系は、金属層を酸化するための手段、有機酸又は腐食抑制剤を任意選択でさらに含む。第2CMP系は、金属層を酸化するための手段を含むことが好ましい。第1及び第2CMP系は、第1及び第2実施態様に関して記載されたCMP系のいずれでもよい。第1CMP系と第2CMP系は異なる。
【0014】
本明細書で記載されるCMP系は、研磨剤と任意選択で研磨パッドを含む。好ましくは、CMP系は研磨剤と研磨パッドの両方を含む。研磨剤は、任意の好適な形態(例えば、研磨粒子)であることができる。研磨剤は、研磨パッド上に固定することができるか及び/又は粒子形態で液体キャリヤー中に懸濁させることができる。研磨パッドは、任意の好適な研磨パッドであることができる。研磨剤(液体キャリヤー中に懸濁している場合)とともに液体キャリヤー中に懸濁している他の任意の成分が、CMP系の研磨用組成物を形成する。
【0015】
第1実施態様においては、研磨剤は、100nm以上(例えば、105nm以上、110nm以上、又はさらには120nm以上)の平均一次粒子サイズを有する。典型的には、研磨剤は、500nm以下(例えば、250nm以下、又はさらには200nm以下)の平均一次粒子サイズを有する。好ましくは、研磨剤は、100nm〜250nm(例えば、105nm〜180nm)の平均一次粒子サイズを有する。研磨剤は、平均粒子サイズが平均一次粒子サイズと同じであるように、実質的に凝集した研磨粒子がないものであることができる。研磨剤は、任意の好適な研磨剤、例えば、アルミナ(例えば、α−アルミナ、γ−アルミナ、δ−アルミナ、及びヒュームドアルミナ)、シリカ(例えば、コロイド分散された縮合重合シリカ、沈殿シリカ、ヒュームドシリカ)、セリア、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア、マグネシア、それらの共形成された製品、及びそれらの組み合わせから成る群より選択された無機金属酸化物の研磨剤であることができる。金属酸化物の研磨剤は、反対に帯電された高分子電解質で静電気コーティングすることができる。研磨剤はまた、架橋ポリマー研磨剤を含むこともできる。好ましくは、研磨剤は、シリカ研磨剤であるか又は高分子電解質被覆のアルミナ研磨剤(例えば、ポリスチレンスルホン酸被覆のアルミナ研磨剤)である。
【0016】
第2実施態様においては、研磨剤は、任意の好適な粒子サイズを有することができ、シリカ、セリア、チタニア、ジルコニア、それらの共形成粒子、ポリマー粒子、それらのポリマー被覆粒子、ポリマー被覆アルミナ、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される。好ましくは、研磨剤は、シリカ研磨剤であるか又は高分子電解質被覆のアルミナ研磨剤(例えば、ポリスチレンスルホン酸被覆のアルミナ研磨剤)である。シリカ研磨剤及びポリマー被覆のアルミナ研磨剤は、アルミナ研磨剤などの硬質の研磨剤によって容易に引っ掻くことができる銅などの軟質の金属層を研磨する際に特に望ましい。研磨剤は、典型的には20nm以上(例えば、30nm以上又はさらには50nm以上)の平均一次粒子サイズを有する。平均一次粒子サイズは、1μm以下(例えば、500nm以下)であることが好ましい。第2実施態様の研磨剤は、第1実施態様の研磨剤の特徴をさらに有することができ、その逆もまた同様である。
【0017】
第3実施態様においては、第1及び第2CMP系の研磨剤は、任意の好適な研磨剤であることができる。典型的には、研磨剤は、アルミナ、シリカ、セリア、チタニア、ジルコニア、それらの共形成粒子、ポリマー粒子、それらのポリマー被覆粒子、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される。研磨剤は、典型的には20nm以上(例えば、30nm以上又はさらには50nm以上)の平均一次粒子サイズを有する。平均一次粒子サイズは、1μm以下(例えば、500nm以下)であることが好ましい。好ましくは、第1CMP系の研磨剤は、ポリマー被覆のアルミナ(例えば、ポリスチレンスルホン酸被覆のアルミナ研磨剤)である。好ましくは、第2CMP系の研磨剤は、80nm以上(例えば、100nm以上)でかつ250nm以下(例えば、200nm以下)の平均一次粒子サイズを有するシリカである。
【0018】
本明細書で記載される実施態様のいずれの研磨剤も、コロイド安定であることができる。コロイドとは、液体キャリヤー中での研磨粒子の懸濁を言うものである。コロイド安定性とは、時間を通したその懸濁の持続を言うものである。本発明の範囲内において、研磨剤は、それを100mlのメスシリンダーに入れ、2時間撹拌しないで放置したままにしたときに、メスシリンダーの下部50mlの粒子濃度([B](g/ml))とメスシリンダーの上部50mlの粒子濃度([T](g/ml))との差を研磨用組成物の初期粒子濃度([C](g/ml))で割ったものが0.8以下(即ち、{[B]−[T]}/[C]≦0.8)である場合には、コロイド安定であるとみなされる。
【0019】
研磨系は、液体キャリヤーとその中に溶解又は懸濁している全成分の質量に基づいて、0.1wt%〜20wt%(例えば、0.5wt%〜15wt%又は1wt%〜10wt%)の研磨剤を典型的に含む。
【0020】
両親媒性非イオン性界面活性剤は、親水性部分と疎水性部分を有する界面活性剤である。本発明の目的のために、両親媒性非イオン性界面活性剤は、頭部基と末端基を有すると規定される。頭部基は界面活性剤の疎水性部分であり、末端基は界面活性剤の親水性部分である。任意の好適な頭部基と任意の好適な末端基を使用することができる。両親媒性非イオン性界面活性剤は、頭部基と末端基の任意の好適な組み合わせを含むことができる。例えば、両親媒性非イオン性界面活性剤は、1つの末端基と組み合わせて1つのみの頭部基を含むことができるか、又は幾つかの実施態様においては、複数(例えば、2つ以上)の頭部基及び/又は複数(例えば、2つ以上)の末端基を含むことができる。好ましくは、両親媒性非イオン性界面活性剤は水溶性である。
【0021】
頭部基は、実質的に疎水性の任意の好適な基であることができる。例えば、好適な頭部基は、ポリシロキサン、テトラ−C
1-4−アルキルデシン、飽和若しくは部分不飽和のC
6-30アルキル、ポリオキシプロピレン、C
6-12アルキルフェニル、C
6-12アルキルシクロヘキシル、ポリエチレン、又はそれらのうち2種以上を含む。飽和又は部分不飽和のC
6-30アルキルは、任意選択で官能基、例えば、短鎖(C
1-5)アルキル、C
6-30アリール、短鎖(C
1-5)フルオロカーボン、ヒドロキシル基、ハロ基、カルボン酸、エステル、アミン、アミド、グリコールなどで置換することができる。好ましくは、頭部基が飽和又は部分不飽和のC
6-30アルキルである場合には、親水性基との置換の程度は非常に低い(例えば、3つ又は2つの親水性基より少ない)。より好ましくは、頭部基は親水性基(例えば、ヒドロキシル基及びカルボン酸基)と置換されない。
【0022】
末端基は、実質的に親水性の任意の好適な基であることができる。例えば、好適な末端基は、好ましくは4以上(例えば、8以上又はさらには10以上)のエチレンオキシド反復単位を有するポリオキシエチレン基を含むもの、ソルビタン基、高度に置換された飽和若しくは部分不飽和のC
6-30アルキル、ポリオキシエチレンソルビタン基、又はそれらのうち2種以上を含む。高度に置換された飽和又は部分不飽和のC
6-30アルキルは、親水性官能基、例えば、ヒドロキシル基及びカルボン酸基で置換されることが好ましい。
【0023】
両親媒性非イオン性界面活性剤は、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールエトキシレート界面活性剤と同様、テトラアルキルデシンの頭部基とオキシエチレンの末端基を含むアセチレングリコール界面活性剤であることができる。両親媒性非イオン性界面活性剤はまた、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとポリオキシエチレンアルキル酸エステルから成る群より選択することができ、アルキルはC
6-30アルキルであり、飽和又は部分不飽和であることができ、任意選択で枝分かれである。例えば、両親媒性非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、モノラウリン酸ポリオキシエチレン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン、ジステアリン酸ポリオキシエチレン、又はモノオレイン酸ポリオキシエチレンであることができる。同様に、両親媒性非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルシクロヘキシルエーテルであることができ、アルキルはC
6-30アルキルであり、飽和又は部分不飽和であることができ、任意選択で枝分かれであることができ、例えば、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル又はポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルである。
【0024】
両親媒性非イオン性界面活性剤は、ソルビタンアルキル酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタンアルキル酸エステルであることができ、アルキルはC
6-30アルキルであり、飽和又は部分不飽和であることができ、任意選択で枝分かれであることができる。このような界面活性剤の例には、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、又はトリステアリン酸ソルビタン、並びにモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、又はテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンがある。両親媒性非イオン性界面活性剤は、ソルビタンアルキル酸エステルである場合には、モノラウリン酸ソルビタンとモノパルミチン酸ソルビタンが好ましい。
【0025】
両親媒性非イオン性界面活性剤は、ポリジメチルシロキサンとポリオキシエチレン、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレン、又はポリオキシエチレンとポリエチレンを含むブロック又はグラフトコポリマーであることができる。両親媒性非イオン性界面活性剤はまた、ポリオキシエチレンアルキルアミン(例えば、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン)、エトキシル化アミド、エトキシル化アルキルアルカノールアミド、アルキルポリグルコース、又はアルキルグルコースのエトキシレートエステル若しくはジエステル(例えば、PEG−120のジオレイン酸メチルグルコースなど)であることもできる。
【0026】
好ましい両親媒性非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンアルキル酸エステル(例えば、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、セスキオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、及びトリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)、アルキルフェニルポリオキシエチレン、並びにアセチレンジオールに基づいた界面活性剤を含む。特には、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル界面活性剤、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールエトキシレート界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルアミン界面活性剤、及びポリジメチルシロキサン/ポリオキシエチレン界面活性剤が、好ましい両親媒性非イオン性界面活性剤である。
【0027】
研磨系は、液体キャリヤーとその中に溶解又は懸濁している全配合物の質量に基づいて、0.1wt%以下の両親媒性非イオン性界面活性剤を典型的に含む。好ましくは、研磨系は、液体キャリヤーとその中に溶解又は懸濁している全配合物の質量に基づいて、0.001wt%〜0.06wt%(例えば、0.01wt%〜0.04wt%)の両親媒性非イオン性界面活性剤を含む。
【0028】
両親媒性非イオン性界面活性剤又は複数の両親媒性非イオン性界面活性剤の混合物は、6を超える(例えば、7以上、10以上、12以上又はさらには14以上の)親水性と親油性のバランス(HLB)値を典型的に有する。HLB値は典型的には20以下(例えば、19以下)である。幾つかの実施態様については、HLB値は、6よりも大きくかつ18以下であることが好ましい(例えば、7〜17又は8〜16)。HLB値は、水中の界面活性剤の溶解性を示し、したがって、界面活性剤の親水性部分のwt%量(例えば、酸化エチレンのwt%量)に関係している。界面活性剤のHLB値は、場合によっては、酸化エチレン基を含有する非イオン性界面活性剤について酸化エチレン基のwt%量を5で割ったものに等しいとして近似することができる。両親媒性非イオン性界面活性剤の配合物が本明細書で記載される研磨系において使用される場合には、系のHLB値は、界面活性剤の質量平均として評価できる場合がある。例えば、2つの両親媒性非イオン性界面活性剤の混合物に関して、HLB値は、(界面活性剤1の量)(界面活性剤1のHLB)と(界面活性剤2の量)(界面活性剤2のHLB)の合計を、界面活性剤1と2の量の合計で割ったものにほぼ等しい。低いHLB値は、新油性の(即ち、少数の親水性基を有する)界面活性剤であることを示し、高いHLB値は、親水性の(多くの親水性基を有する)界面活性剤であることを示す。
【0029】
両親媒性非イオン性界面活性剤は、500g/mol以上で10,000g/mol以下の分子量を典型的に有する。好ましくは、分子量は750g/mol〜5,000g/mol(例えば、1,000g/mol〜3,000g/mol)である。
【0030】
金属層を酸化するための手段は、基材を酸化するための任意の好適な手段であることができ、任意の物理的又は化学的手段を含む。電気化学研磨系においては、基材を酸化するための手段は、経時変動する電位(例えば、陽極電位)を基材に印加する装置(例えば、電子ポテンショスタット)を含むことが好ましい。CMP系においては、基材を酸化するための手段は化学酸化剤であることが好ましい。
【0031】
経時変動する電位を基材に印加する装置は、任意の好適なこのような装置であることができる。基材を酸化するための手段は、研磨の最初の段階の間に第1電位(例えば、より酸化性の電位)を印加し、研磨の後の段階の時点又はその間に第2電位(例えば、より酸化性でない電位)を印加する装置、又は研磨の中間段階の間に第1電位から第2電位まで変化させる装置、例えば、中間段階の間に電位を連続的に減少させるか若しくは第1のより高い酸化電位で所定の時間経過した後、第1のより高い酸化電位から第2のより低い酸化電位まで急激に減少させる装置を含むことが好ましい。例えば、研磨の最初の1つ又は複数の段階の間に、比較的高い酸化電位を基材に適用し、基材の比較的高い酸化/溶解/除去速度を助長する。研磨が後の段階にある場合には、例えば、下地のバリア層に近くなると、相当により低いか又は無視できる基材の酸化/溶解/除去速度を作り出すレベルまで印加電位を下げ、それにより、ディッシング、腐食及びエロージョンをなくすか又は相当に低減する。経時変動する電気化学電位は、制御可能な可変のDC電源、例えば、電子ポテンショスタットを用いて印加されることが好ましい。米国特許第6,379,223号明細書では、電位を印加することによって基材を酸化する手段がさらに記載されている。
【0032】
化学酸化剤は、任意の好適な酸化剤であることができる。好適な酸化剤には、無機及び有機の過化合物、臭素酸塩、硝酸塩、塩素酸塩、クロム酸塩、ヨウ素酸塩、鉄及び銅の塩(例えば、硝酸塩、硫酸塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びクエン酸塩)、希土類及び遷移金属の酸化物(例えば、四酸化オスミウム)、フェリシアン化カリウム、重クロム酸カリウム、ヨウ素酸などがある。(Hawley’s Condensed Chemical Dictionaryで定義される)過化合物とは、少なくとも1つのペルオキシ基(−O−O−)を含有する化合物であるか、又はその最も高い酸化状態の元素を含有する化合物である。少なくとも1つのペルオキシ基を含有する化合物の例には、過酸化水素並びにその付加物(例えば、過酸化尿素)及びその過炭酸塩と、過酸化ベンゾイル、過酢酸、及びジ−tert−ブチルペルオキシドなどの有機過酸化物と、モノ過硫酸塩(SO
52-)と、ジ過硫酸塩(S
2O
82-)と、過酸化ナトリウムとが含まれるがそれらに限定されない。その最も高い酸化状態の元素を含有する化合物の例には、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩、過臭素酸、過臭素酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、過ホウ酸、過ホウ酸塩、及び過マンガン酸塩が含まれるがそれらに限定されない。酸化剤は過酸化水素が好ましい。研磨系、特にはCMP系(とりわけ研磨用組成物)は、液体キャリヤーとその中に溶解又は懸濁している全配合物の質量に基づいて、0.1wt%〜15wt%(例えば、0.2wt%〜10wt%、0.5wt%〜8wt%、又は1wt%〜5wt%)の酸化剤を典型的に含む。
【0033】
有機酸は、任意の好適な有機酸であることができる。典型的には、有機酸は、カルボン酸、例えば、モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸である。好適なカルボン酸には、酢酸、グリコール酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸、没食子酸、シュウ酸、フタル酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、プロピオン酸、それらの組み合わせ、それらの塩などがある。好ましくは、有機酸は、酢酸、シュウ酸、酒石酸、乳酸、フタル酸、プロピオン酸、それらの塩、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される。研磨系で用いられる有機酸の量は、典型的には0.01〜5wt%、好ましくは0.05〜3wt%である。
【0034】
腐食抑制剤(即ち、膜形成剤)は、任意の好適な腐食抑制剤であることができる。典型的には、腐食抑制剤は、ヘテロ原子含有官能基を含む有機化合物である。例えば、腐食抑制剤は、活性な官能基として少なくとも1つの5又は6員の複素環を有する複素環式有機化合物であって、該複素環が少なくとも1つの窒素原子を含有する化合物であり、例えば、アゾール化合物である。腐食抑制剤は、好ましくはトリアゾール;より好ましくは1,2,4−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール、又はベンゾトリアゾールである。研磨系で用いられる腐食抑制剤の量は、典型的には0.0001〜3wt%、好ましくは0.001〜2wt%である。
【0035】
液体キャリヤーは、研磨剤(それが液体キャリヤー中に存在及び懸濁している場合)並びに液体キャリヤー中に溶解又は懸濁している全成分を研磨(例えば、平坦化)されるべき好適な基材表面に適用することを促進するのに用いられる。液体キャリヤーは、典型的には水性キャリヤーであり、水のみであることができるか、水と好適な水溶性溶剤を含むことができるか、又はエマルジョンであることができる。好適な水溶性溶剤には、アルコール、例えば、メタノール、エタノールなどがある。水性キャリヤーは、好ましくは水、より好ましくは脱イオン水から成る。
【0036】
研磨用組成物は、任意の好適なpHを有することができる。例えば、研磨用組成物は、2〜12のpHを有することができる。典型的には、研磨用組成物は、3以上(例えば、5以上又は7以上)で、12以下(例えば、10以下)のpHを有する。
【0037】
CMP系は、任選択で他の成分をさらに含むことができる。このような他の成分には、錯化剤、キレート化剤、殺生物剤、消泡剤などがある。
【0038】
錯化剤又はキレート化剤は、除去される基材層の除去速度を高める任意の好適な化学添加剤である。好適なキレート化剤又は錯化剤には、例えば、カルボニル化合物(例えば、アセチルアセトネートなど)、ジアルコール、トリアルコール、多価アルコール(例えば、エチレングリコール、ピロカテコール、ピロガロール、タンニン酸など)及びアミン含有化合物(例えば、アンモニア、アミノ酸、アミノアルコール、ジアミン、トリアミン、ポリアミンなど)を含めることができる。キレート化剤又は錯化剤の選択は、研磨用組成物によって基材を研磨する間に除去される基材層のタイプに依存している。研磨系で用いられる錯化剤の量は、典型的には0.1〜10wt%、好ましくは1〜5wt%である。
【0039】
殺生物剤は、任意の好適な殺生物剤、例えば、イソチアゾリノン殺生物剤であることができる。研磨系で用いられる殺生物剤の量は、典型的には1〜50ppm、好ましくは10〜20ppmである。
【0040】
消泡剤は、任意の好適な消泡剤であることができる。例えば、消泡剤は、ポリジメチルシロキサンポリマーであることができる。研磨系において存在する消泡剤の量は、典型的には40〜140ppmである。
【0041】
上記化合物の多くは、塩(例えば、金属塩、アンモニウム塩など)、酸の形態で存在することができるか、又は部分塩として存在することができると考えられる。例えば、クエン酸塩は、クエン酸並びにそのモノ塩、ジ塩及びトリ塩を含み;フタル酸塩は、フタル酸並びにそのモノ塩(例えば、フタル酸水素カリウム)及びジ塩を含み;過塩素酸塩は、対応する酸(即ち、過塩素酸)並びにその塩を含む。さらには、幾つかの化合物又は試薬は、2つ以上の機能を発揮することができる。例えば、幾つかの化合物は、キレート化剤と酸化剤の両方として機能することができる(例えば、特定の硝酸第二鉄など)。
【0042】
CMP系は、任意選択でpHの調整剤、調節剤又は緩衝剤などのような1つ又は複数の成分をさらに含むことができる。好適なpHの調整剤、調節剤又は緩衝剤には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、クエン酸、リン酸カリウム、それらの混合物などを含めることができる。
【0043】
第1及び第2実施態様のCMP系は、銅を含む少なくとも1つの金属層を含む基材の研磨(例えば、平坦化)に使用することを意図している。基材は、好ましくはマイクロエレクトロニクス(例えば、半導体)の基材である。基材は、任意選択で第2金属層及び/又は誘電層をさらに含む。好ましくは、基材は銅とタンタルの両方を含む。誘電層は、任意の好適な誘電率を有することができる。例えば、誘電層は、二酸化ケイ素又は有機修飾シリコンガラス、例えば、炭素をドープした二酸化ケイ素を含むことができる。両親媒性非イオン性界面活性剤の存在によって、銅含有金属層のディッシングを低減することができる。基材が銅含有金属層と誘電層を含む場合には、さらに、両親媒性非イオン性界面活性剤の存在によって、誘電層のエロージョンを低減することができる。第1及び第2実施態様のCMP系は、多量の銅が除去されることが望ましい第1工程の銅研磨の方法で使用することができるか(例えば、大部分の銅の除去)又は少量の銅のみ除去される第2工程の銅研磨の方法で使用することができる(例えば、タンタルなどのバリア層の除去後)。
【0044】
第3実施態様の第1及び第2CMP系は、第1金属層と第2金属層を含む基材の研磨(例えば、平坦化)に使用することを意図している。基材の第1金属層と第2金属層は、銅、タンタル、チタン、アルミニウム、タングステン、白金、イリジウム、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、それらの合金、及びそれらの組み合わせから成る群より選択された金属を含め、任意の好適な金属を含むことができる。第1金属層と第2金属層は、異なる金属を典型的に含む。第1金属層は、好ましくは銅又はタングステン、より好ましくは銅を含む。第2金属層は、好ましくはタンタル又はチタン、より好ましくはタンタルを含む。基材は、典型的にマイクロエレクトロニクス(例えば、半導体)の基材であり、任意選択で誘電層をさらに含む。誘電層は、任意の好適な誘電率(例えば、3.5以上又は3.5以下)を有することができる。例えば、誘電層は、二酸化ケイ素又は有機修飾シリコンガラス、例えば、炭素をドープした二酸化ケイ素を含むことができる。マイクロエレクトロニクス基材は、酸化膜などの誘電層にトレンチ又はビアをエッチングすることによって形成される。次いで、トレンチ又はビアが、例えば、物理気相成長法(PVD)(例えば、スパッタリング)又は化学気相成長法(CVD)により、Ti、TiN、Ta又はTaNなどの薄いバリア膜でライニングされる。次いで、導電性金属層(例えば、銅又はタングステン)が、トレンチ及びビアを完全に満たしバリア膜を覆うようバリア膜全体に堆積される。第1CMP系を用いた第1CMPプロセスが、導電性金属層(即ち、第1金属層)をバリア膜まで除去するために行われる。次いで、第2CMP系を用いた第2CMPプロセスが、バリア膜(即ち、第2金属層)と任意の余分な導電性金属層を誘電体酸化物材料まで除去するために行われる。第2CMPプロセスの際、ビア又はトレンチにおける導電性金属層の許容できないディッシング、並びに誘電材料の望ましくないスクラッチング又はエロージョンが生じる場合がある。第2CMP系において6を超えるHLBを有する両親媒性非イオン性界面活性剤が存在することで、第2金属層(例えば、バリア膜)を除去する際の第1金属層(例えば、導電性金属層)のディッシング量を低減することができるか、並びに/又は誘電層(例えば、酸化物層)のスクラッチング及び/若しくはエロージョンを低減することができる。
【0045】
本明細書で記載されるCMP系は、化学機械研磨(CMP)装置とともに使用するのに特に適している。典型的には、この装置は、使用の際に動き、軌道、直線又は円運動から生じる速度を有するプラテンと、このプラテンと接触し、プラテンが動くとそれとともに動く研磨パッドと、研磨すべき基材と接触させるための研磨パッドの表面に対して接触し動くことにより研磨すべき基材を保持するキャリヤーとを含む。基材の研磨は、基材を研磨パッドとの接触に置くこと、次いで、研磨パッドを基材に対して動かすことにより、典型的には基材の少なくとも一部を削って基材を研磨するために、研磨パッド中の本発明の研磨用組成物を用いて行われる。CMP装置は、任意の好適なCMP装置であることができ、その多くが当技術分野で公知である。
【0046】
以下の例によって本発明はさらに説明されるが、当然ながら、如何なる形であれその範囲を限定するものと解されるべきではない。
【実施例】
【0047】
[例1]
この例により、界面活性剤のHLB値の関数として、銅のディッシング値とエロージョン値に関する研磨用組成物中の両親媒性非イオン性界面活性剤の効果が説明される。
【0048】
銅、タンタル及び二酸化ケイ素を含有する同様のパターニングされた基材(Sematech 931 mask wafers)を、異なる研磨用組成物(研磨用組成物1A〜1E)で研磨した。各研磨用組成物は、12wt%の凝縮沈殿シリカと、0.10wt%のベンゾトリアゾールと、0.30wt%の酢酸と、3wt%の過酸化水素と、200ppmの界面活性剤とをpH10(KOHで調整)で含んでいた。研磨用組成物1A(比較)と1B〜1E(本発明)は、それぞれHLBが4.6のポリオキシエチレン(2)イソオクチルフェニルエーテルと、HLBが10のポリオキシエチレン(5)イソオクチルフェニルエーテルと、HLBが13のポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテルと、HLBが17.8のポリオキシエチレン(40)ノニルフェニルエーテルと、HLBが19のポリオキシエチレン(100)ノニルフェニルエーテルとを含んでいた。銅のディッシングに関する値の変化(Å)は、120μmの線領域、100μmの線領域、50μmの線領域及び10μmの線領域を含む基材の4つの異なる領域について測定した。二酸化ケイ素のエロージョンに関する値の変化(Å)は、銅線密度の2つの異なる領域について測定した。第1領域(E90)は90%の銅線密度(4.5μmのCu線が0.5μmの間隔で隔てられている)を有し、第2領域(E50)は50%の銅線密度(2.5μmのCu線が2.5μmの間隔で隔てられている)を有していた。ディッシング値又はエロージョン値の負の変化は、両親媒性非イオン性界面活性剤を全く含まない同様の研磨用組成物を用いて得たディッシング値とエロージョン値に関して、銅のディッシング又は誘電体のエロージョンにおける改善(又は補正)を示す。
【0049】
結果を表1及び
図1にまとめる。界面活性剤のHLBの関数として50μm線に関する%銅ディッシング補正のプロットを
図2に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
表1並びに
図1、
図2の結果は、銅のディッシングと誘電体のエロージョンの値が、両親媒性非イオン性界面活性剤の存在によって相当に低減され、銅のディッシングと誘電体のエロージョンの値が、両親媒性非イオン性界面活性剤のHLB値の増加とともに一般に改善されることを示している。とりわけ、HLB値が6を超える両親媒性非イオン性界面活性剤を含む研磨用組成物(例えば、研磨用組成物1B〜1E)は、銅のディッシングと誘電体のエロージョンにおいて大きな低減を示している。
【0052】
[例2]
この例により、界面活性剤の濃度の関数として、銅のディッシング値とエロージョン値に関する研磨用組成物中の両親媒性非イオン性界面活性剤の効果が説明される。
【0053】
銅、タンタル及び二酸化ケイ素を含有する同様のパターニングされた基材(Sematech 931 mask wafers)を、異なる研磨用組成物(研磨用組成物2A〜2D)で研磨した。各研磨用組成物は、12wt%の凝縮沈殿シリカと、0.10wt%のベンゾトリアゾールと、0.30wt%の酢酸と、3wt%の過酸化水素とをpH10(KOHで調整)で含んでいた。研磨用組成物2A〜2D(本発明)は、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールエトキシレート界面活性剤をそれぞれ0、100、125及び250ppmさらに含んでいた。パターニングされた基材の50μm線領域に関する%ディッシング補正を研磨用組成物のそれぞれについて測定した。
【0054】
界面活性剤の濃度の関数として50μm線に関する%銅ディッシング補正のプロットを
図3に示す。
【0055】
図3の結果は、銅のディッシングが、研磨用組成物中に6を超えるHLB値を有する両親媒性非イオン性界面活性剤が存在することによって相当に低減され、そのディッシング値が、両親媒性非イオン性界面活性剤濃度の増加とともに改善されることを示している。
【0056】
[例3]
この例は、本発明の研磨用組成物における両親媒性非イオン性界面活性剤の存在が、大部分の銅の除去に関する第1工程の銅研磨で使用できることを示している。
【0057】
銅、タンタル又は二酸化ケイ素を含む同様のブランケットウェハ基材を異なる研磨用組成物(研磨用組成物3A〜3F)で研磨した。研磨用組成物3A(対照標準)は、0.7wt%の乳酸と、1.11wt%のポリアクリル酸と、0.111wt%のベンゾトリアゾールと、3wt%の過酸化水素と、0.556wt%のポリスチレンスルホン酸でコーティングされたヒュームドアルミナ(0.5wtのアルミナと0.052wt%のポリスチレンスルホン酸)とをpH4.5で含み、両親媒性非イオン性界面活性剤は含まなかった。研磨用組成物3B〜3E(本発明)は、ポリアルキレンオキシド修飾ポリジメチルシロキサン界面活性剤(HLBが約13〜17)をそれぞれ0.02wt%、0.05wt%、0.075wt%及び0.10wt%さらに含む以外は研磨用組成物3Aと同じであった。研磨用組成物3F(本発明)は、ポリアルキレンオキシド修飾エチレンジアミン(HLBが約7)を0.025wt%さらに含む以外は研磨用組成物3Aと同じであった。
【0058】
銅、タンタル及び二酸化ケイ素の層についての除去速度を各研磨用組成物について測定した。その結果を表2にまとめる。
【0059】
【表2】
【0060】
表2に示す結果は、6を超えるHLB値を有する両親媒性非イオン性界面活性剤の添加によって、銅の除去速度とタンタルの除去に対する銅の除去の選択性は大きくは変化しないが、二酸化ケイ素の除去に対する銅の除去の選択性が相当に向上することを示している。
【0061】
[例4]
この例は、本発明の研磨用組成物における両親媒性非イオン性界面活性剤の存在が、第1工程の銅研磨において銅のディッシングを低下させることを示している。
【0062】
銅、タンタル及び二酸化ケイ素の層を含む同様のパターニングされたウェハ基材を異なる研磨用組成物(研磨用組成物4A〜4C)で研磨した。研磨用組成物4A(対照標準)は、0.7wt%の乳酸と、1.11wt%のポリアクリル酸と、0.111wt%のベンゾトリアゾールと、3wt%の過酸化水素と、0.556wt%のポリスチレンスルホン酸でコーティングされたヒュームドアルミナ(0.5wtのアルミナと0.052wt%のポリスチレンスルホン酸)とをpH4.5で含み、両親媒性非イオン性界面活性剤は含まなかった。研磨用組成物4B及び4C(本発明)は、それぞれポリアルキレンオキシド修飾ポリジメチルシロキサン界面活性剤(HLBが約13〜17)を0.02wt%、ポリアルキレンオキシド修飾エチレンジアミン(HLBが約7)を0.025wt%さらに含む以外は研磨用組成物4Aと同じであった。120μm線、100μm線及び50μm線の領域を含む基材の3つの異なる領域について銅のディッシング量(Å)を測定した。銅のディッシング値を各研磨用組成物について決定し、その結果を表3にまとめる。
【0063】
【表3】
【0064】
表3に示す結果は、研磨用組成物中に6を超えるHLB値を有する両親媒性非イオン性界面活性剤が存在することによって、銅のディッシングが相当に低減されることを示している。