【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態は、従来技術のポンピングシステムおよびポンピング方法の欠点を排除するか、または少なくとも実質的に減らす、流体ポンピングのシステムおよび方法を提供する。本発明の一実施形態は、ディスペンスチャンバ内で移動可能なディスペンスダイアフラムを有するディスペンスポンプと、該ディスペンスポンプと結合したポンプコントローラとを備えるポンピングシステムを含み得る。該ポンプコントローラは、一実施形態によれば、ディスペンスポンプを制御して、ディスペンスチャンバ内のディスペンスダイアフラムを、ディスペンスポンプ定位置に達するように動かすことにより、ディスペンスポンプを部分的に満たすように動作可能である。ディスペンスポンプの定位置に対応する有効容積は、ディスペンスポンプの最大有効容積より少なく、かつ、ディスペンスサイクルにおける該ディスペンスポンプの最大有効容積である。ディスペンスポンプの定位置は、ディスペンス動作のための1つ以上のパラメータに基づいて選択される。
【0009】
本発明の別の実施形態は、供給チャンバ内を移動可能な供給ダイアフラムを有する供給ポンプと、供給ポンプの下流にある、ディスペンスチャンバ内を移動可能なディスペンスダイアフラムを有するディスペンスポンプと、供給ポンプおよびディスペンスポンプを制御するように該供給ポンプおよびディスペンスポンプと結合したポンプコントローラとを備える多段ポンピングシステムを含む。
【0010】
ディスペンスポンプは、ディスペンスポンプがディスペンスチャンバで保持し得る流体の最大体積である、最大有効容積を有し得る。コントローラは、ディスペンスポンプを制御して、ディスペンスチャンバ内のディスペンスダイアフラムを、ディスペンスポンプ定位置に達するように動かすことにより、ディスペンスポンプを部分的に満たすようにし得る。ディスペンスポンプ定位置に対応する、ディスペンスポンプの保持流体のための有効容積は、ディスペンスポンプの最大有効容積より少なく、かつ、ディスペンスサイクルにおけるディスペンスポンプの最大有効容積である。ディスペンスポンプによって保持される流体の量を、特定のディスペンスサイクルにおいてディスペンスポンプによって要求される量(または、最大有効容積から他のいくらかの減少量)にまで減らすことによって、流体の停滞体積は減らされる。
【0011】
本発明の別の実施形態は、プロセス流体に圧力を加えることと、ディスペンスサイクルの間にディスペンスポンプをディスペンスポンプ定位置まで部分的に満たすことと、ディスペンスポンプからウェーハにディスペンス体積のプロセス流体をディスペンスすることとを含む、ポンプの停滞容積を減らすための方法を含む。ディスペンスポンプは、ディスペンスポンプの最大有効容積より少なく、かつ、ディスペンスサイクルにおけるディスペンスポンプの最大有効容積である、ディスペンスポンプ定位置に対応する有効容積を有する。ディスペンスポンプのディスペンスポンプ定位置に対応する有効容積は、少なくともディスペンス体積である。
【0012】
本発明の別の実施形態は、ポンプを制御するためのコンピュータプログラム製品を含む。コンピュータプログラム製品は、プロセッサによって実行可能な、コンピュータ可読媒体上に格納されるソフトウエア命令を包含する。一組のコンピュータ命令は、ディスペンスポンプに命令して、ディスペンスダイアフラムをディスペンスポンプの定位置に達するように動かすことにより、ディスペンスポンプを部分的に満たし、ディスペンスポンプに命令して、ディスペンスポンプからディスペンス体積のプロセス流体をディスペンスさせるように実行可能な命令を含み得る。ディスペンスポンプ定位置に対応するディスペンスポンプの有効容積は、ディスペンスポンプの最大有効容積より少なく、かつディスペンスサイクルにおける、ディスペンスポンプの最大有効容積である。
【0013】
本発明の実施形態は、(単段または多段)ポンプの停滞容積を減らすことによって従来技術のポンプシステムおよび方法に勝る利益を提供し、これにより、プロセス流体の停滞を減らす。
【0014】
本発明の実施形態は、小さな体積および試験ディスペンスにおいて、使用されないプロセス流体の浪費を減らすことによって別の利益を提供する。
【0015】
本発明の実施形態は、停滞した流体のより効果的な洗浄を提供することによって、さらに別の利益を提供する。
【0016】
本発明の実施形態は、ポンプダイアフラムの効果的範囲を最適化することによって、さらに別の利益を提供する。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
ディスペンスポンプと、該ディスペンスポンプに結合されたポンプコントローラとを備えたポンピングシステムであって、
該ディスペンスポンプは、最大有効容積を有し、該ディスペンスポンプは、ディスペンスチャンバ内で移動可能なディスペンスダイアフラムをさらに備え、
該ポンプコントローラは、該ディスペンスポンプを制御して、該ディスペンスチャンバ内の該ディスペンスダイアフラムを、ディスペンスポンプ定位置に達するよう動かすことにより、該ディスペンスポンプを部分的に満たすように動作可能であり、該ディスペンスポンプ定位置に対応する有効容積は、該ディスペンスポンプの最大有効容積より少なく、かつ、ディスペンスサイクルにおける該ディスペンスポンプの最大有効容積であり、該ディスペンスポンプ定位置は、該ディ スペンス動作のための1つ以上のパラメータに基づいて選択され、
該ポンプコントローラは、該ディスペンスポンプを制御して、プロセス流体を該ディスペンスポンプからディスペンスするように動作可能である、ポンピングシステムシステム。
(項目2)
前記ディスペンスポンプの下流にあるフィルタと、
該ディスペンスポンプの上流にある入口バルブと、
該フィルタの下流にあるパージバルブと、
該フィルタの下流にある出口バルブと
をさらに備える、項目1に記載のシステム。
(項目3)
供給ポンプの下流で、かつ前記ディスペンスポンプの上流にあるフィルタと、
該供給ポンプの上流にある入口バルブと、
該供給ポンプと該フィルタの間にある分離バルブと、
該フィルタと該ディスペンスポンプとの間にある障壁バルブと、
該ディスペンスポンプの下流にあるパージバルブと、
該ディスペンスポンプの下流にある出口バルブと
をさらに備える、項目1に記載のシステム。
(項目4)
前記コントローラは、さらに前記ディスペンスポンプを制御して、流体のパージ体積をパージするように動作可能であり、前記ディスペンスポンプの定位置に対応する前記有効容積は、少なくともディスペンス体積に該パージ体積を加えたものである、項目1に記載のシステム。
(項目5)
前記ディスペンスポンプは、さらにディスペンスダイアフラムを動かすディスペンスモータを備え、前記コントローラは、
該ディスペンスモータを制御して、該ディスペンスポンプを部分的に満たす前に、該ディスペンスダイアフラムをハードストップまで動かし、
該ディスペンスモータを制御して、ステッパモータを対応するステップ数だけ逆回転させることによって、該ディスペンスダイアフラムを、該ハードストップの位置から該ディスペンスポンプの定位置に動かす
ようにさらに動作可能である、項目1に記載のシステム。
(項目6)
前記ディスペンスポンプは、
前記ディスペンスダイアフラムを動かすディスペンスモータと、
該ディスペンスモータの位置を示す位置センサと
をさらに備える、項目1に記載のシステム。
(項目7)
前記位置センサは、線形エンコーダである、項目6に記載のシステム。
(項目8)
前記位置センサは、回転エンコーダである、項目6に記載のシステム。
(項目9)
前記コントローラは、前記ディスペンスモータを制御して、前記ディスペンスダイアフラムを第1の位置から前記ディスペンスポンプの定位置に動かすように、さらに動作可能である、項目6に記載のシステム。
(項目10)
前記コントローラは、さらに、前記位置センサからのフィードバックに基づいて、前記ディスペンスダイアフラムを定位置で停止させるように動作可能である、項目9に記載のシステム。
(項目11)
供給チャンバ内を移動可能な供給ダイアフラムを含む供給ポンプを備え、
前記ポンプコントローラは、該供給ポンプに接続されており、該供給ポンプを制御して、前記プロセス流体に圧力を加えることにより、該プロセス流体を前記ディスペンスポンプに供給するように動作可能である、項目1に記載のシステム。
(項目12)
前記コントローラは、さらに、前記供給ポンプを制御して、前記供給ダイアフラムを供給ポンプ定位置に動かすことにより、該供給ポンプを部分的に満たすように動作可能である、項目11に記載のシステム。
(項目13)
前記コントローラは、さらに、前記供給ポンプを制御して、流体の排出体積を排出するように動作可能である、項目12に記載のシステム。
(項目14)
前記供給ダイアフラムが前記供給ポンプ定位置にあるときの前記供給ポンプの有効容積は、ディスペンス体積と排出体積とパージ体積とに少なくとも等しい、項目13に記載のシステム。
(項目15)
前記ディスペンスポンプ定位置に対応する前記ディスペンスポンプの有効容積は、ユーザー特定の体積と少なくとも等しい、項目1に記載のシステム。
(項目16)
前記コントローラは、
ユーザー特定の体積を受信し、
該ユーザー特定の体積に誤差体積を加えて、前記ディスペンスポンプ定位置に対応する前記ディスペンスポンプの有効容積を決定するように、
さらに動作可能である、項目15に記載のシステム。
(項目17)
供給チャンバ内で移動可能な供給ダイアフラムを含む供給ポンプをさらに備え、
前記ポンプコントローラは、該供給ポンプに接続されており、
該供給ポンプを制御して、プロセス流体に圧力を加えることにより、前記ディスペンスポンプに前記プロセス流体を提供し、
該供給ポンプに対するユーザー特定の体積を受信し、
該ユーザー特定の体積に誤差体積を加えて、前記供給ポンプ定位置に対応する供給ポンプの有効容積を決定する、
ように動作可能である、項目1に記載のシステム。
(項目18)
前記ディスペンスポンプ定位置は、前記ディスペンスダイアフラムの効果的領域を利用するために選択される、項目1に記載のシステム。
(項目19)
ポンプシステムにおけるプロセス流体の停滞容積を減らす方法であって、該方法は、
ディスペンスポンプにプロセス流体を提供することと、
ディスペンス動作のための1つ以上のパラメータに基づいて、該ディスペンスポンプに対するディスペンスポンプ定位置を選択することと、
ディスペンスサイクルに対してディスペンスポンプ定位置までディスペンスポンプを部分的に満たすことであって、該ディスペンスポンプは、該ディスペンス ポンプの最大有効容積より少なく、かつ、ディスペンスサイクルに対する該ディスペンスポンプの最大有効容積である有効容積を有する、ことと、
該ディスペンスポンプからウェーハにプロセス流体をディスペンスすることであって、プロセス流体のディスペンス体積は、該ディスペンス体積の少なくとも 一部が該ウェーハにディスペンスされて該ディスペンスポンプからディスペンスされ、該ディスペンスポンプの該ディスペンスポンプ定位置に対応する有効容積は、少なくとも該ディスペンス体積である、ことと
を包含する、方法。
(項目20)
前記ディスペンスポンプからパージ体積の流体をパージすることをさらに含む、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記ディスペンスポンプ定位置に対応する前記ディスペンスポンプの有効容積は、少なくとも前記パージ体積を加えた前記ディスペンス体積である、項目20に記載の方法。
(項目22)
パージすることは、ディスペンスの前のディスペンスサイクルで生ずる、項目21に記載の方法。
(項目23)
パージすることは、ディスペンスの後のディスペンスサイクルで生ずる、項目19に記載の方法。
(項目24)
供給ポンプを供給ポンプ定位置まで部分的に満たすことをさらに含み、該供給ポンプは、該供給ポンプの最大有効容積より少なく、かつ前記ディスペンスサイ クルの間の、該供給ポンプの最大有効容積である、前記供給ポンプ定位置に対応する有効容積を有し、該供給ポンプ定位置に対応する有効容積は、少なくとも前記ディスペンス体積である、項目19に記載の方法。
(項目25)
排出体積のプロセス流体を排出することをさらに含み、前記供給ポンプ定位置に対応する有効容積は、少なくとも該排出体積に前記ディスペンス体積を加えたものである、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記ディスペンスポンプからパージ体積のプロセス流体をパージすることをさらに含み、前記供給ポンプ定位置に対応する有効容積は、少なくとも前記排出体積に前記ディスペンス体積を加え、パージ体積を加えたものである、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記ディスペンスポンプにて、サックバック体積のプロセス流体をサックバックすることをさらに含み、前記供給ポンプ定位置に対応する、前記供給ポンプの 有効容積は、少なくとも、前記排出体積に前記ディスペンス体積を加え、前記パージ体積を加え、サックバック体積を引いたものである、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記ディスペンスダイアフラムの効果的範囲に基づいて前記ディスペンスポンプ定位置を選択することをさらに含む、項目19に記載の方法。
(項目29)
コンピュータ可読媒体に格納された一組のコンピュータ命令を包含するコンピュータプログラム製品であって、該コンピュータ命令は、
ディスペンス動作のために1つ以上のパラメータを受信することと、
該1つ以上のパラメータに基づいてディスペンスポンプのディスペンスポンプ定位置を選択することと、
ディスペンスポンプに命令して、ディスペンスダイアフラムを、該ディスペンスポンプ定位置に達するよう動かすことにより、プロセス流体で該ディスペンス ポンプを部分的に満たすことであって、該ディスペンスポンプ定位置に対応する有効容積は、該ディスペンスポンプの最大有効容積より少なく、かつ、ディスペンスサイクルにおける、該ディスペンスポンプの最大有効容積である、ことと、
該ディスペンスポンプに命令して、該ディスペンスポンプから該プロセス流体をディスペンスすることと
をプロセッサによって実行可能な命令を包含する、コンピュータプログラム製品。
(項目30)
前記一組のコンピュータ命令は、さらに、前記ディスペンスポンプに命令してパージ体積の流体をパージさせるように実行可能な命令を含み、前記ディスペン スポンプ定位置に対応する該ディスペンスポンプの有効容積は、少なくともディスペンス体積に該パージ体積を加えたものである、項目29に記載のコンピュータプログラム製品。
(項目31)
前記一組のコンピュータ命令は、さらに、
前記ディスペンスポンプに命令して、前記ディスペンスポンプを部分的に満たす前に、前記ディスペンスダイアフラムをハードストップまで動かし、
該ディスペンスポンプに命令して、ステッパモータを対応するステップ数だけ逆回転させることによって、該ディスペンスダイアフラムを該ハードストップ位置から該ディスペンスポンプ定位置まで動かす、
ように実行可能な命令をさらに包含する、項目29に記載のコンピュータプログラム製品。
(項目32)
前記一組のコンピュータ命令は、前記ディスペンスモータを制御して前記ディスペンスダイアフラムを第1の位置から該ディスペンスダイアフラムの定位置まで動かすように実行可能な命令をさらに包含する、項目29に記載のコンピュータプログラム製品。
(項目33)
前記一組のコンピュータ命令は、さらに、
前記ディスペンスポンプにて位置センサからフィードバックを受信し、
該位置センサからの該フィードバックに基づいて該ディスペンスダイアフラムを該定位置で停止する、
ように実行可能な命令をさらに包含する、項目32に記載のコンピュータプログラム製品。
(項目34)
前記一組のコンピュータ命令は、さらに、
供給ポンプに命令してプロセス流体に圧力を加えることにより、前記ディスペンスポンプに前記プロセス流体を提供し、
該供給ポンプに命令して供給ダイアフラムを供給段階定位置に動かすことにより、該供給ポンプを部分的に満たす、
ように実行可能な命令をさらに包含する、項目29に記載のコンピュータプログラム製品。
(項目35)
前記一組のコンピュータ命令は、さらに、前記供給ポンプに命令して、排出体積の流体を排出させるように実行可能なコンピュータ命令を含む、項目34に記載のコンピュータプログラム製品。
(項目36)
前記供給ダイアフラムが前記供給段階定位置であるときの前記供給ポンプの有効容積は、少なくとも前記ディスペンス体積に前記排出体積を加えて前記パージ体積を加えたものに等しい、項目35に記載のコンピュータプログラム製品。
(項目37)
前記ディスペンスダイアフラムが前記ディスペンスポンプ定位置にあるときの前記ディスペンスポンプの有効容積は、少なくともユーザー特定のディスペンスポンプ体積に等しい、項目29に記載のコンピュータプログラム製品。
(項目38)
前記ディスペンス動作のための前記1つ以上のパラメータは、ユーザー特定のディスペンスポンプ体積を含み、前記一組のコンピュータ命令は、さらに、誤差 体積を該ユーザー特定のディスペンスポンプ体積に加えて、前記ディスペンスダイアフラム定位置に対応する有効容積を決定するように実行可能な命令を含む、項目37に記載のコンピュータプログラム製品。
(項目39)
前記供給ポンプが前記供給ポンプ定位置にあるときの該供給ポンプの有効容積は、少なくともユーザー特定の供給ポンプ体積に等しい、項目29に記載のコンピュータプログラム製品。
(項目40)
前記ディスペンス動作のための前記1つ以上のパラメータは、前記ユーザー特定の供給ポンプ体積を含み、前記一組のコンピュータ命令は、さらに、該ユー ザー特定の供給ポンプ体積に誤差体積を加えて、前記ディスペンスダイアフラム定位置に対応する有効容積を決定するように実行可能な命令を包含する、項目38に記載のコンピュータプログラム製品。
(項目41)
前記一組のコンピュータ命令は、さらに、前記ディスペンスポンプ定位置を選択して、前記ディスペンスダイアフラムの効果的範囲を利用するように実行可能な命令を包含する、項目29に記載のコンピュータプログラム製品。
【0017】
本発明のより完全な理解とその利益は、上記詳細な説明を、以下の添付図面を合わせて参照することにより得ることができ、該添付図面では、同じ参照番号は、同様の特徴を示す。