(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965405
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】減少した粘度を有するポリウレタンホットメルト接着剤
(51)【国際特許分類】
C09J 175/06 20060101AFI20160721BHJP
C09J 175/08 20060101ALI20160721BHJP
C09J 167/00 20060101ALI20160721BHJP
C09J 11/00 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
C09J175/06
C09J175/08
C09J167/00
C09J11/00
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-530670(P2013-530670)
(86)(22)【出願日】2011年9月16日
(65)【公表番号】特表2013-540175(P2013-540175A)
(43)【公表日】2013年10月31日
(86)【国際出願番号】EP2011066094
(87)【国際公開番号】WO2012041718
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2014年9月1日
(31)【優先権主張番号】102010041855.2
(32)【優先日】2010年10月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100162710
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 真理奈
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・クレブス
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ・フランケン
【審査官】
松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−123833(JP,A)
【文献】
特開平07−196759(JP,A)
【文献】
特表2008−501049(JP,A)
【文献】
特開2009−179756(JP,A)
【文献】
特開平02−305881(JP,A)
【文献】
米国特許第05900473(US,A)
【文献】
特開平10−088077(JP,A)
【文献】
特開2005−002286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤を基準として、
・30〜70重量%未満の、少なくとも2個のイソシアネート基を有し、6000g/モル未満の分子量を有し、モル過剰のジイソシアネートとポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとに基づく少なくとも1つのプレポリマー、ここで、該プレポリマーは、プレポリマーを基準に1重量%未満のモノマージイソシアネートを含有し、
・30を超え70重量%までの、6000g/モル未満の数平均分子量(MN)を有し、1.4個未満のNCOと反応性である基を含む熱可塑性ポリエステル、および
・必要に応じて、30重量%までの触媒、樹脂、可塑剤、充填剤、顔料、安定剤、更なるポリマーまたは接着促進剤の群からの添加剤
を含有する反応性溶融接着剤であって、熱可塑性ポリエステルは、ポリエステルジオールと一価イソシアネートから選択される低分子量単官能性化合物とに基づく、溶融接着剤。
【請求項2】
90℃および130℃の間での温度にて計測した粘度は、4000mPas〜40000mPas(EN ISO 2555)である、請求項1に記載の溶融接着剤。
【請求項3】
溶融接着剤のNCO含有量は0.25〜4重量%NCOである、請求項1または2に記載の溶融接着剤。
【請求項4】
ジイソシアネートは芳香族ジイソシアネートである、請求項1〜3のいずれかに記載の溶融接着剤。
【請求項5】
プレポリマーはモル過剰のジイソシアネートとポリエーテルポリオールとに基づく、請求項1〜4のいずれかに記載の溶融接着剤。
【請求項6】
プレポリマーはモル過剰のジイソシアネートとポリエーテルジオールとに基づく、請求項1〜5のいずれかに記載の溶融接着剤。
【請求項7】
プレポリマーのモノマージイソシアネート含有量は0.1重量%未満である、請求項1〜6のいずれかに記載の溶融接着剤。
【請求項8】
熱可塑性ポリエステルの官能価は1未満である、請求項1〜7のいずれかに記載の溶融接着剤。
【請求項9】
熱可塑性ポリエステルは脂肪族ジカルボン酸に基づく、請求項1〜8のいずれかに記載の溶融接着剤。
【請求項10】
熱可塑性ポリエステルは平均1個のウレタン基を含んでなる、請求項1〜9のいずれかに記載の溶融接着剤。
【請求項11】
20重量%までの樹脂が添加剤として含まれる、請求項1〜10のいずれかに記載の溶融接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な初期接着強度および低い塗布粘度を有し、非架橋性ポリエステルを更に含有する架橋性ポリウレタン接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
溶融接着剤は、一般に知られている。これらは、非反応性熱可塑性接着剤であり得、反応性接着剤もまた既知である。これらは、NCO基より架橋する系であることが多い。より高い塗布粘度により、接着の向上した初期強度が得られることが知られている。粘度が、例えば可塑剤を添加することにより低くなる場合、凝集は一般に悪化する。塗布温度が上昇する場合、接着剤および基材は、より大きい熱応力を受ける。エネルギー消費も高くなる。これらの系は反応性であるので、モノマージイソシアネートの影響は、より高い温度処理において重要である。分子量が鎖延長性物質との反応により増加する場合、接着結合の初期強度は上昇するが粘度も上昇する。しかしながら、低い粘度および低い処理温度を得ることは、望ましい目標である。
【0003】
WO91/15530は、構成成分としてNCO基含有プレポリマーならびにNCO基を含まないポリエーテルポリエステルを含有する溶融接着剤を記載する。プレポリマーは、通常の方法で製造され、従って、これらのプレポリマーは、かなりの割合のモノマーイソシアネートを含有することが知られている。ブロックポリエーテルポリエステルは、ジオールおよびジカルボン酸の反応生成物として記載される。官能末端基の減少は記載されていない。
【0004】
WO01/46330は、反応性ポリウレタンプレポリマーならびにポリエーテルポリエステルポリオールからできた更なるプレポリマーを含む溶融接着剤を記載し、ポリエーテルポリエステルポリオールからできた更なるプレポリマーは、過剰のジイソシアネートと完全に反応させてNCOプレポリマーを生じさせる。
【0005】
DE4035280は、ポリエステルジオールに基づくNCO基を有するプレポリマーを70%より多く、および1分子当たり0.5個までのみ活性水素原子を含むポリエステルを30%まで含有する溶融接着剤を記載する。
【0006】
既存技術に記載の接着剤は、様々な欠点を有する。過剰のモノマーイソシアネートとの反応により、後者は、接着剤においてなお含まれ、有利には粘度を低下させる。しかしながら、モノマーは処理により気相中へ移行し、労働安全での問題が生じることが知られている。従って、このようなモノマーは減少させる必要がある。さらに、多官能性ポリマーの反応性基とプレポリマーとの反応は、分子量の増加、従って粘度の上昇を引き起こす。この場合、これは、あまり好ましくない接着剤の処理性をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第91/15530号パンフレット
【特許文献2】国際公開第01/46330号パンフレット
【特許文献3】独国特許第4035280号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、低モノマー形態で使用することができるにも拘わらず低い塗布粘度を呈する溶融接着剤を利用可能とすることである。接着剤は、接合により急速な接着の構築を確保することを更に目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、30〜70重量%未満の、少なくとも2個のイソシアネート基を有し、6000g/モル未満の分子量を有し、モル過剰のジイソシアネートと反応したポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールから製造された少なくとも1つのプレポリマー、ここで、該プレポリマーは1%未満のモノマージイソシアネートを含有し、30を超え70重量%までの6000g/モル未満の分子量(M
N)を有し、1.4個未満のNCOと反応性である基を含む熱可塑性ポリエステル、ならびに必要に応じて30重量%までの触媒、樹脂、可塑剤、更なるポリマー、充填剤、顔料、安定剤または接着促進剤の群からの添加剤を含有する反応性溶融接着剤により得られる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
イソシアネート基を有し、本発明に従う適当なプレポリマーは、それ自体既知の方法を用いて、ポリオールと過剰のジ−および/またはトリイソシアネートとを反応させることにより製造することができる。望ましくない高分子量または分枝副生成物の形成は、イソシアネートの量により減少させることができる。実施態様では、これにより、ポリオール骨格および末端反応性NCO基を有するプレポリマーを製造することができる。
【0011】
複数の多官能性アルコールは、本発明においてプレポリマーを合成するために適している。これらは、1分子当たり2〜10個、特に2〜3個のOH基を含むことが意図される。多数のOH基を有する化合物は、末端OH基を有する化合物であってよく、あるいは、鎖に沿って横方向に分布したOH基を含む化合物であってよい。OH基は、イソシアネートと反応することができるOH基である。これは、第1級、第2級または第3級OH基であってよいが、第1級または第2級OH基が好ましい。適当なポリオールの例は、ポリエーテル、ポリアルキレンまたはポリエステルに基づくポリオールである。
【0012】
低分子量多官能性アルコールとアルキレンオキシドとの反応生成物を構成するポリエーテルポリオールは特に適当である。アルキレンオキシドは、好ましくは2〜4個の炭素原子を有する。例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、異性体ブタンジオール、ヘキサンジオールまたは4,4’−ジヒドロキシジフェニルプロパンと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはこれらの2以上の混合物との反応生成物は適当である。また、適当なのは、ポリエーテルポリオールを生じさせる、多官能性アルコール、例えばグリセロール、トリメチロールエタンまたはトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、または糖アルコールと前記アルキレンオキシドとの反応生成物である。本発明に適当な他のポリオールは、テトラヒドロフランの重合によって製造される(ポリ−THF)。ポリエーテルポリオールは、当業者に既知の方法により製造され、市販されている。
【0013】
上記ポリエーテルポリオールの中でも、低分子量アルコールとポリプロピレンオキシドとの第2級ヒドロキシル基が部分的に生じる条件下での反応生成物は、特に適当である。
【0014】
さらにポリエステルポリオールは適当である。この種のポリエステルポリオールは、多可能性、好ましくは2官能性アルコールと、必要に応じて少量の3官能性アルコールと共に、多官能性、好ましくは2官能性および/または3官能性カルボン酸との反応生成物を包含する。遊離ポリカルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン酸無水物または対応する好ましくは1〜3個の炭素原子を有するアルコールでのポリカルボン酸エステルを用いることができる。ヘキサンジオール、ブタンジオール、プロパンジオール、エチレングリコール、1,4−ヒドロキシメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコールおよびこのようなアルコールの混合物は、この種のポリエステルポリオールを製造するために特に適当である。
【0015】
ポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族または複素環式またはいずれもがあり得る。これらは、必要に応じて、例えばアルキル基、アルケニル基、エステル基またはハロゲンで置換されてもよい。適当なポリカルボン酸は、例えばコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、グルタル酸無水物、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、ダイマー脂肪酸またはトリマー脂肪酸またはこれらの2以上の混合物である。クエン酸またはトリメリット酸は、好ましくは、トリカルボン酸として適当である。上記酸は、単独でまたはこれらの2以上の混合物として用いることができる。このようなOH官能性ポリエステルは、当業者に既知であり、市販されている。2または3個の末端OH基を含有するポリエステルポリオールは特に適当である。
【0016】
しかしながら、油化学起源のポリエステルポリオールを使用することも可能である。この種のポリエステルポリオールは、例えば少なくとも部分的にオレフィン性不飽和脂肪酸含有脂肪混合物のエポキシ化トリグリセリドを、1〜12個の炭素原子を有する1以上のアルコールで完全開環した後、トリグリセリド誘導体を部分エステル交換反応させて1〜12個の炭素原子をアルキル残基中に有するアルキルエステルポリオールを生じさせることにより製造することができる。その例はまた、ヒマシ油である。
【0017】
ポリカーボネートポリオールは、適当なポリエステルポリオールである。ポリカーボネートは、例えば、ジオール、例えばプロピレングリコール、ブタンジオール−1,4またはヘキサンジオール−1,6、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールまたはテトラエチレングリコールまたは2以上のこれらの混合物等と、ジアリールカーボネート、例えばジフェニルカーボネート等、またはホスゲンとの反応により得られる。本発明に従って用いるべきポリオールの他の群は、ε−カプロラクトンに基づくポリエステルである。1以上のウレタン基を分子鎖中に含有するポリエステルポリオールもまた適当である。
【0018】
例えば200〜5000g/モル、好ましく400〜4000g/モルの分子量(数平均分子量、GPCにより計測)を有するポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールは適当である。好ましいポリオールは、2または3個のOH基を分子中に含むことが意図され、ジオールは特に適当である。
【0019】
他の適当なポリオールは、例えば1分子当たり2〜6個のOH基を有するアルキレンポリオールである。第1級および第2級OH基を有するあるコルは、好適である。適当な脂肪族アルコールの中でも、例えば、ジオール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ダイマー脂肪アルコール、およびこれらの同族体または異性体が挙げられる。また、適当なのは、高官能性アルコール、例えばグリセロール、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトールおよび/またはトリメチロールプロパン等、または高官能性アルコール、例えばペンタエリトリトールである。これらは、少なくとも部分的に含有することができる。適当な脂肪族アルコールは、60〜400g/モルの分子量を有する。しかしながら、2〜30個の炭素原子を有し、2〜4個のOH基を含む直鎖アルコールを特に用いる。
【0020】
ポリオールは、単独でまたは混合物中で用いることができる。混合ポリウレタンプレポリマーも形成することができる。
【0021】
本発明に「適当な」モノマーイソシアネートは、2または3個のNCO基を分子中に有するものであると理解される。これらは、好ましくは、既知の脂肪族、脂環式または芳香族モノマーイソシアネートである。
【0022】
用いることができる適当なイソシアネートは、160〜500g/モルの分子量を有するイソシアネートである。これらは、例えば1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水素化または部分水素化MDI(H12MDI、H6MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ジ−およびテトラアルキレンジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート(TDI)の異性体、1−メチル−2,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,2,4−トリメチルヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,4,4−トリメチルヘキサン、塩素化および臭素化ジイソシアネート、燐含有ジイソシアネート、テトラメトキシブタン−1,4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチレン、ヘキサメチレン、ウンデカン、ドデカメチレン、および2,2,4−トリメチル−ヘキサン−2,3,3−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、メチレントリフェニルトリイソシアネート(MIT)、フタル酸ビス−イソシアナトエチルエステル、反応性ハロゲン原子を有するジイソシアネート、例えば1−クロロメチルフェニル−2,4−ジイソシアネート、1−ブロモメチルフェニル−2,6−ジイソシアネート、3,3−ビス−クロロメチルエーテル−4,4’−ジフェニルジイソシアネート等の群から選択される。更に使用可能なジイソシアネートは、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトブタン、1,12−ジイソシアナトドデカンおよびダイマー脂肪酸ジイソシアネート、リシンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネートまたは1,4−シクロヘキサンジイソシアネートである。
【0023】
適当な2つの異なった反応性のNCO基を有するジイソシアネートは、芳香族、脂肪族または脂環式ジイソシアネートの群から選択される。特に適当な異なった反応性NCO基を有するジイソシアネートの例は、トルイレンジイソシアネート(TDI)、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネートまたは2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’−MDI)の異性体、1,6−ジイソシアナト−2,2,4−トリメチルヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,4,4−トリメチルヘキサンおよびリシンジイソシアネート、1−イソシアナトメチル−3−イソシアナト−1,5,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1−メチル−2,4−ジイソシアナトシクロヘキサンまたは1,4−ジイソシアナト−2,2,6−トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)である。
【0024】
適当な3官能性イソシアネートは、ジイソシアネートの3量化またはオリゴマー化により、またはジイソシアネートと、例えば500g/モル未満の分子量を有する3官能性ヒドロキシル基含有化合物とを反応させることにより製造されるイソシアネートである。これらの例は、イソシアネートHDI、MDIまたはIPDIの3量化生成物である。
【0025】
本発明に従う適当なプレポリマーは、上記ポリオールおよびポリイソシアネートから既知の方法を用いて製造され、イソシアネートを化学両論的過剰にてポリオールと反応させる。好ましいモル質量分布を有する特に適当なプレポリマーは、4:1〜10:1のNCH:OH比にて得られる。反応は、例えば室温にて引き起こすことができるが、高温も用いることができる。出発化合物は、一般に、互いに自発的に反応するが、触媒、例えば有機金属化合物または有機アミノ化合物等を添加することも必要であり得る。既知の方法を用いて未反応モノマーポリイソシアネートを除去することができる。これは、例えばモノマーイソシアネートを沈殿または捕集することにより行うことができる。好ましい実施態様では、未反応モノマーは、真空下で、例えば薄膜蒸発器中でモノマーを留去することにより除去する。
【0026】
他の好ましい実施態様では、非対称ジイソシアネートを用いてプレポリマーを製造する。これにより、モノマー非対称ジイソシアネートとジオールとの選択反応を利用して、適当な化学量論的条件下および適当な反応操作で、反応生成物が、少量のモノマー、低分子量ジイソシアネートのみを含有することも可能である。
【0027】
本発明により使用可能な低モノマープレポリマーは、1重量%未満(プレポリマー基準)、特に0.1重量%未満のモノマー未反応ポリイソシアネートの濃度を有することが意図される。プレポリマーは、300〜6000g/モル、好ましくは4000g/モル未満、特に2000g/モル未満の分子量を有する。1分子当たりのNCO基の数は、3個、または特に2個であり、特に、専ら反応性芳香族ジイソシアネートを反応させる。プレポリマーの量は、30〜70重量%(接着剤を基準)であることが意図される。
【0028】
本発明によれば、溶融接着剤は、少なくとも1つの熱可塑性ポリエステルを含有することが意図される。熱可塑性ポリエステルの分子量は、6000g/モル未満であることが意図される。本発明によれば、ポリエステルは、低官能価のみを有さなければならず、少数のイソシアネートと反応性である基のみを含有する。その量は、プレポリマーの二重末端鎖延長が起こらないように選択する。平均1.4個未満、好ましくは1個未満のNCO基と反応性である基を各ポリマー中に含有させるべきであり、特にこれらは、実質的にNCO反応性基を含まないことが意図される。
【0029】
適当なポリエステルは、多官能性、好ましくは2官能性アルコールと、必要に応じて少量の3官能性アルコールとの、多官能性、好ましくは2官能性および/または3官能性カルボン酸との反応生成物に基づくポリエステルである。遊離ポリカルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン酸無水物または対応する好ましくは1〜3個の炭素原子を有するアルコールでのポリカルボン酸エステルを用いることもできる。それ自体既知のポリエステルを用いることができる。脂肪族ジカルボン酸に基づくポリエステルは、特に適当である。
【0030】
熱可塑性ポリエステルの官能価を減少させることが意図される。これは、種々の作用により行うことができる。例えばOHまたはCOOH含有末端基の数は、合成の間に、1価アルコールを添加することにより予め減少させることができる。他の手順は、ポリエステルの官能基の数を、低分子量単官能性化合物、例えば500g/モル未満のポリマー類似反応により減少させる。
【0031】
例えばOH基またはCOOH基を、カルボン酸ハライドと反応させることにより減少させることも可能である。反応は、このような誘導体の高い反応性により容易に行うことができる。他の手順では、存在する官能基を、エステルまたはオルトエステルと反応させる。揮発性反応生成物を除去することにより、反応は補助され、反応性基の数は減少させることができる。他の適当な手順では、存在する官能基を、カルボン酸無水物と反応させる。反応を促進するために、必要に応じて、溶媒の一部を添加することも可能である。この場合、これらは、副生成物と共に真空下で蒸留により再び除去することができる。
【0032】
好ましい実施態様では、存在するOH基またはCOOH基を、1価イソシアネートと反応させる。モノイソシアネート、例えばフェニルイソシアネート、トシルイソシアネートまたはステアリルイソシアネート等は、特に適当である。これらは、等モル(熱可塑性ポリエステルのOH基を基準)程度の量で、例えば約0.3:1〜1.02:1、特に0.98:1までのNCO:OH比で添加することができ、熱可塑性ポリエステルと反応させてウレタン基を形成することができる。このようなモノマーイソシアネートの過剰を防止する。NCOと反応性である基の量は反応により減少させることができる。
【0033】
熱可塑性ポリエステルの量は、30を超え70重量%まで(接着剤を基準)であることが意図される。ポリエステルは、好ましくは、官能価を減少させた結晶質または半結晶質ポリエステルジオールに基づくポリエステルである。特定の実施態様では、ウレタン基をも含む直鎖状ポリエステルを使用する。例えば適当な熱可塑性ポリエステルは、ウレタン基または、特に2個のウレタン基を含有することができる。溶融接着剤の粘度は、熱可塑性ポリエステルの量および選択により影響を受け得る。
【0034】
本発明による湿気硬化性溶融接着剤は、添加剤を更に含有することができる。その例は、粘着付与性樹脂、接着促進添加剤、充填剤、顔料、安定剤および/または触媒、ワックスまたはその混合物、またはこれらと他の通常のアジュバントおよび添加剤との混合物である。
【0035】
例えばアビエチン酸、アビエチン酸エステル、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、フェノール変性スチレンポリマー、フェノール変性αーメチルスチレンポリマーまたは炭化水素樹脂は、粘着付与性樹脂として用いることができる。既知の有機金属および/またはアミン型触媒、例えば錫、鉄、チタン、またはビスマスの有機金属化合物、例えばカルボン酸の錫(II)塩またはジアルキル錫(IV)カルボキシレート等は、触媒として2%までの量で適当である。抗酸化剤、例えば市販の通常の立体障害フェノールおよび/またはチオエーテルおよび/または置換ベンゾトリアゾール等、またはHALS型の立体障害アミンは、例えば安定剤として働く。特別な組成物では、可塑剤を特に使用することもできる。これらは、非反応性可塑剤、例えばナフテン鉱油、ポリプロピレンオリゴマー、ポリブテンオリゴマー、ポリイソブチレンオリゴマー、ポリイソプレンオリゴマー、水素化ポリイソプレンオリゴマーおよび/またはポリブタジエンオリゴマー、ベンゾエートエステル、フタレート、アジペートまたは炭化水素油である。典型的な接着促進剤は、例えばエチレン/アクリルアミドコモノマー、ポリマーイソシアネート、反応性有機ケイ素化合物、またはリン誘導体であり、特に加水分解性基を含有するシランもまた適当である。顔料および充填剤は、同様に、少量含むことができる。蝋は、天然由来のもの、必要に応じて化学変性形態のものであってもよく、または合成起源であってもよい。天然蝋(植物蝋、動物蝋)を用いることができるが、鉱物蝋または石油化学蝋もまた適当である。
【0036】
本発明の更なる実施態様では、添加剤として、更なる官能基を有さない他のポリマーの一部を含有することもできる。これらは、溶融接着剤について重要である特性、例えば接着性、強度および温度挙動等に影響を与える合成ポリマーであってよい。このようなポリマーは、例えば重縮合物、例えば(コ)ポリアミド、ポリアミド/EVAコポリマー、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルアミド等、重合物、例えばポリビニルピロリドン、ポリエチルオキサゾリン、ポリビニルメチルエーテル、またはエチレンコポリマー、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、エチレン/アセテートコポリマー、プロピレンコポリマーまたは(メタ)アクリレートコポリマーであってよい。ポリ(メタ)アクリレートおよびそのコポリマーの群からのポリマーは、特に適当である。これらは、例えばエチレン性不飽和化合物、例えば(メタ)アクリル酸のC1〜C18アルキルエステル、メタクリル酸、(メタ)アクリル酸と90グリコールエーテル、例えばメトキシエタノールおよび/またはエトキシエタノールとのエステル、ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等、分枝モノカルボン酸のビニルエステルである。このような(メタ)アクリレートはとりわけ、60000g/モル、特に10000〜40000g/モル未満の平均分子量(M
N)を有することが意図される。この種の更なるポリマーは、0〜20重量%、特に5〜15重量%の量で含まれてよい。合計で、30重量%未満の接着剤は、接着剤中に含まれるべきである。
【0037】
本発明による溶融接着剤は、特に30〜70重量%の少なくとも1つの6000g/モル未満の分子量を有する低モノマープレポリマーを、ポリエーテルジオール、ポリアルキレンジオール、および/またはポリエステルジオールおよび過剰の芳香族ジイソシアネートの反応生成物として、30を超え70重量%までの少なくとも1つの6000g/モル未満の分子量(M
N)を有し、1.4個未満のNCO反応性基を含む熱可塑性ポリエステル、ならびに30重量%までの添加剤を含有する。構成成分の合計は、100重量%に等しくなることが意図される。
【0038】
本発明による溶融接着剤は、有益な粘度について注目すべきであり、これは、90℃および130℃の間の温度にて測定した4000mPas〜40000mPasと等しい(EN ISO 2555により測定、Brookfield粘度計)。90および120℃の間の温度にて測定した粘度は、特に4000〜30000mPasであることが意図される。本発明による溶融接着剤は、NCO基0.25〜4重量%を含有することが意図される。
【0039】
ほとんど反応性基を有さない熱可塑性ポリエステルの選択により、本発明による接着剤が対応する低粘度を呈することを確保することができる。ポリエステルの選択は、低融点を可能とし、適当な塗布粘度は、低温にて得られる。モノマージイソシアネートの低濃度にも拘わらず、本発明による溶融接着剤は適当な低い溶融粘度をなお呈する。
【0040】
本発明による溶融接着剤は、基材の種類の接着接合に適している。特に、低塗布粘度は、感温性である基材でさえ接着接合することを可能とする。例えば敏感なフィルム、プラスチック、紙および同様の基材の接合が可能である。本発明による接着剤は、例えば150℃未満、特にまた90〜130℃を含む低温にて塗布することができる。粘度は、基材上への良好な流動を可能とする。次いで接着剤は冷却し、固体となり、および結晶化する。基材への接着は、素早く確立され、接着接合基材は、素早く更に処理することができる。接着剤は、貯蔵槽中で長期間、通常の処理において溶融状態であるので、粘度が継続してその状態であること、および接着剤が容易に処理できる状態であり続けるのは有利である。
【0041】
本発明による溶融接着剤は、冷却後、接着剤が結晶化する接着層において急速な接着の構築を呈する。従って、溶融接着剤で接着された基材は、素早く更に処理することができ、湿気の影響下での最終化学架橋反応が後に起こり得る。次いで本発明による接着剤の最終硬度および凝集が確立し始める。
【実施例】
【0043】
実施例1(比較):
加熱撹拌容器において、遊離イソシアネート基を有する反応性溶融接着剤組成物は、以下の構成成分から製造した:
【0044】
【0045】
原料成分は、加熱しながら混合し、湿気を排除する。次いで接着剤を湿気強力封止性容器中へ移し、後に用いることができる。
【0046】
NCO含有量:2.1%
【0047】
実施例2(本発明による)
【0048】
実施例1と同様に、以下を反応させた。
【0049】
【0050】
各成分の混合後、接着剤を湿気強力封止性容器中へ移し、貯蔵することができる。
NCO含有量:2.95%
【0051】
【0052】
本発明による接着剤は、より低い粘度を有し、これは熱応力後でさえ安定性である。
【0053】
接着接合試験は、塗布接着フィルムについてより早く結晶化およびより短い開放時間を示した。
【0054】
「解放時間」パラメーターを決定するための試験法
加熱カートリッジガン(130℃)を用いてホットメルトビード3mm厚を合板上へ塗布した。
【0055】
ブナ材へらを、規定の時間間隔にて連続的にホットビード中へ押し付け、それぞれ規定重量で短く押した(500g)。
【0056】
次いでへらを合板パネルから引き離した。簡単に切り離せる更なる小片がブナ材へら上で見えなくなる時間を「解放時間」として記録する。