特許第5965553号(P5965553)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5965553カメラシステム、カメラ本体、交換レンズ及び通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965553
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】カメラシステム、カメラ本体、交換レンズ及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/14 20060101AFI20160728BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20160728BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   G03B17/14
   H04N5/225
   H04N5/232
【請求項の数】17
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2015-546338(P2015-546338)
(86)(22)【出願日】2014年9月29日
(86)【国際出願番号】JP2014075861
(87)【国際公開番号】WO2015068492
(87)【国際公開日】20150514
【審査請求日】2016年4月8日
(31)【優先権主張番号】特願2013-232423(P2013-232423)
(32)【優先日】2013年11月8日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】今村 賢司
(72)【発明者】
【氏名】林 健吉
【審査官】 高橋 雅明
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/14
H04N 5/225
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ本体と前記カメラ本体に着脱自在な交換レンズとからなるカメラシステムであって、
前記カメラ本体は、
前記交換レンズとの間で通信を行う本体側通信部と、
前記本体側通信部を介してリクエスト信号を前記交換レンズに送信し、前記送信したリクエスト信号に対応する回答信号を前記本体側通信部を介して前記交換レンズから受信する本体側制御部と、を備え、
前記交換レンズは、
前記カメラ本体との間で通信を行うレンズ側通信部と、
前記レンズ側通信部を介してリクエスト信号を受信すると、前記受信したリクエスト信号に対応する回答信号を前記レンズ側通信部を介して前記カメラ本体に送信するレンズ側制御部と、を備え、
前記本体側制御部は、少なくとも動画記録モードにおいて、レンズ駆動を含むリクエスト信号を前記本体側通信部を介して前記交換レンズに送信し、
前記レンズ側制御部は、少なくとも動画記録モードにおいて、前記レンズ側通信部を介して前記レンズ駆動を含むリクエスト信号を前記カメラ本体から受信すると、前記受信したリクエスト信号に対応する回答信号を前記カメラ本体に送信し、かつ、前記カメラ本体からレンズ情報のリクエスト信号を受信せずに、動画のフレームに同期してレンズ情報を前記カメラ本体に送信し、
1フレームに対応する通信期間内にフレームに同期したレンズ情報の送信と、リクエスト信号及び回答信号の送受信とが混在するカメラシステム。
【請求項3】
前記レンズ側制御部は、送信頻度を変えて前記レンズ情報を送信する請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項4】
前記本体側制御部は、リクエスト信号と回答信号の送受信のみを行う第1の通信モードと、1フレームに対応する通信期間内に前記動画のフレームに同期した前記交換レンズから前記カメラ本体への前記レンズ情報の送信と、前記リクエスト信号と前記回答信号の送受信とが混在する第2の通信モードとを切り替える通信モード切替部を有し、
前記通信モード切替部は、前記第1の通信モードにより1フレームの期間内に必要なレンズ情報を取得できない場合に、前記第2の通信モードに切り替える請求項1又は3に記載のカメラシステム。
【請求項5】
前記本体側制御部は、リクエスト信号と回答信号の送受信のみを行う第1の通信モードと、1フレームに対応する通信期間内に前記動画のフレームに同期した前記交換レンズから前記カメラ本体への前記レンズ情報の送信と、前記リクエスト信号と前記回答信号の送受信とが混在する第2の通信モードとを切り替える通信モード切替部と、動画のフレームの画像処理に必要な単位時間あたりのレンズ情報の数が閾値未満の第1の画像処理モードと、動画のフレームの画像処理に必要な単位時間あたりのレンズ情報の数が閾値以上の第2の画像処理モードとを切り替える画像処理モード切替部と、を有し、
前記通信モード切替部は、前記第2の画像処理モードの場合に前記第2の通信モードに切り替える請求項1又は3に記載のカメラシステム。
【請求項6】
前記第1の画像処理モードはライブビュー撮影及び表示を行うライブビューモードであり、前記第2の画像処理モードは動画記録モードである請求項5に記載のカメラシステム。
【請求項7】
前記第1の画像処理モードは点像復元処理が行われない動画記録モードであり、前記第2の画像処理モードは点像復元処理が行われる動画記録モードである請求項5に記載のカメラシステム。
【請求項8】
前記レンズ側制御部は、前記カメラ本体または前記交換レンズに設置される撮像素子の同期信号に基づいて動画のフレームに同期してレンズ情報を送信する請求項1及び3から7のいずれか1項に記載のカメラシステム。
【請求項9】
前記交換レンズの前記レンズ情報は、複数の種類のレンズ情報から構成され、
前記レンズ側制御部は、前記複数の種類のレンズ情報を一つにまとめて前記カメラ本体へ送信する請求項1及び3から8のいずれか1項に記載のカメラシステム。
【請求項10】
前記交換レンズの前記レンズ情報は、複数の種類のレンズ情報から構成され、
前記レンズ側制御部は、前記レンズ情報の種類を変えて、前記複数の種類のレンズ情報を送信し、
前記カメラ本体は、フレーム内で前記動画の画像処理に不足している種類のレンズ情報を他のフレームが有するレンズ情報を使用して補間する補間部を有する請求項1及び3から8のいずれか1項に記載のカメラシステム。
【請求項11】
前記交換レンズの前記レンズ情報は、複数の種類のレンズ情報から構成され、
前記レンズ側制御部は、前記複数の種類のレンズ情報の各々に優先順位を付与し、前記優先順位に基づいて送信頻度を付与し、前記複数の種類のレンズ情報の各々を前記送信頻度に基づいて送信し、
前記カメラ本体は、フレーム内で前記動画の画像処理に不足している種類のレンズ情報を他のフレームが有するレンズ情報を使用して補間する補間部を有する請求項1及び3から8のいずれか1項に記載のカメラシステム。
【請求項12】
前記カメラ本体は、レンズ情報が送信されてこないフレームに関してのレンズ情報を他のフレームが有するレンズ情報を使用して補間する補間部を有する請求項1及び3から9のいずれか1項に記載のカメラシステム。
【請求項13】
前記交換レンズの前記レンズ情報は、絞り情報、ズーム情報、フォーカス位置のレンズ情報から構成され、
前記本体側制御部は、点像復元処理が設定された通知及び動画記録モードが開始された通知に関するリクエスト信号を前記交換レンズに送信し
前記レンズ側制御部は、前記リクエスト信号を受信し、前記フレーム毎に前記レンズ情報を絞り情報、ズーム情報、フォーカス位置の順に送信する請求項11又は12に記載のカメラシステム。
【請求項14】
前記カメラ本体は、前記カメラ本体内部で生成される動画データに対して画像補正を行う画像補正部を有し、
前記画像補正部は、前記レンズ情報を使用して、前記動画データに対して画像補正を行う請求項1及び3から13のいずれか1項に記載のカメラシステム。
【請求項15】
前記画像補正部が行う画像補正は、点像復元処理である請求項14に記載のカメラシステム。
【請求項16】
交換レンズと通信するカメラ本体であって、
前記カメラ本体は、
前記交換レンズとの間で通信を行う本体側通信部と、
前記本体側通信部を介してリクエスト信号を前記交換レンズに送信し、前記送信したリクエスト信号に対応する回答信号を前記交換レンズから受信する本体側制御部と、を備え、
前記本体側制御部は、前記交換レンズが、少なくとも動画記録モードにおいて、前記カメラ本体からレンズ情報のリクエスト信号を受信せずに、動画のフレームに同期して送信するレンズ情報を受信し、かつ、少なくとも動画記録モードにおいて、レンズ駆動を含むリクエスト信号を前記本体側通信部を介して前記交換レンズに送信し、前記送信したリクエスト信号に対応する回答信号を前記交換レンズから受信し、
1フレームに対応する通信期間内にフレームに同期したレンズ情報の送信と、リクエスト信号及び回答信号の送受信とが混在するカメラ本体。
【請求項17】
カメラ本体と通信する交換レンズであって、
前記カメラ本体との間で通信を行うレンズ側通信部と、
前記レンズ側通信部を介してリクエスト信号を受信すると、前記受信したリクエスト信号に対応する回答信号を前記カメラ本体に送信するレンズ側制御部と、を備え、
前記レンズ側制御部は、少なくとも動画記録モードにおいて、前記カメラ本体からレンズ情報のリクエスト信号を受信せずに、動画のフレームに同期してレンズ情報を送信し、かつ、少なくとも動画記録モードにおいて、前記レンズ側通信部を介してレンズ駆動を含むリクエスト信号を受信すると、前記受信したリクエスト信号に対応する回答信号を前記カメラ本体に送信し、
1フレームに対応する通信期間内にフレームに同期したレンズ情報の送信と、リクエスト信号及び回答信号の送受信とが混在する交換レンズ。
【請求項18】
カメラ本体がリクエスト信号を交換レンズに送信し、前記交換レンズが前記送信されたリクエスト信号に対応する回答信号を前記カメラ本体に送信する通信方法であって、
少なくとも動画記録モードにおいて、前記カメラ本体は、レンズ駆動を含むリクエスト信号を前記交換レンズに送信し、
少なくとも動画記録モードにおいて、前記交換レンズは、前記レンズ駆動を含むリクエスト信号を前記カメラ本体から受信すると、前記受信したリクエスト信号に対応する回答信号を前記カメラ本体に送信し、かつ、前記カメラ本体からレンズ情報のリクエスト信号を受信せずに、動画のフレームに同期してレンズ情報を送信し、
1フレームに対応する通信期間内にフレームに同期したレンズ情報の送信と、リクエスト信号及び回答信号の送受信とが混在する通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換レンズとカメラ本体に関し、特に交換レンズとカメラ本体との間の通信に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタルカメラは、撮像素子の高速化によりFull−HD(High Definition)動画等の高品質な動画撮影が可能なカメラが増えている。同様に、レンズ交換式カメラでも高品質な動画撮影が可能になっている。レンズ交換式カメラにおいて、レンズ特性に合わせて動画に画像処理を行うためには、カメラ本体は、動画撮影中においてもレンズの状態(フォーカス位置、絞り情報、ズーム情報等)をフレーム毎に取得することが好ましい。
【0003】
また、従来、カメラ本体は動画のフレームとは関係無く定期的に、レンズの状態の変化の有無についての確認を行うリクエスト(リクエスト信号)を交換レンズへ送り、交換レンズは変化のあった項目のレンズの状態についてレスポンス(回答信号)をカメラ本体に送るという通信方法がある(リクエスト・レスポンス方式)。
【0004】
特許文献1では、リクエスト・レスポンス方式により通信することが開示されている。このリクエスト・レスポンス方式は、必要なときに必要な情報を取得することができる。また、リクエスト・レスポンス方式は、カメラ本体が多くの情報を必要としない場合に有効である。カメラ本体が多くの情報を必要としない場合とは、例えば、カメラ本体がレンズ駆動制御の通信を優先するように設定されている場合、ライブビュー表示モードに設定されている場合、及び動画記録モードに設定されており且つ動画の画像処理に大量の情報を必要としない場合等である。
【0005】
また、特許文献2では、第1及び第2の伝送経路によるカメラ本体と交換レンズとの通信に関する技術が提案されている。この技術は、第1の伝送経路を単方向の通信に使用し、第2の伝送経路を双方向の通信に使用している。
【0006】
ところで、画像処理として点像復元処理を行う場合には、F値(絞り情報)、ズーム情報、及びフォーカス位置など多くのレンズ情報が点像復元処理を行うフレーム毎に必要であり、特にF値、ズーム情報、及びフォーカス位置の3つの情報は重要となる。
【0007】
特許文献3では、取得した画像に対して点像復元処理を行うことが開示されている。ここで、点像復元処理とは、点像分布関数に基づいて生成された復元フィルタ(逆フィルタ)を撮影画像データにかけることによって、画像劣化をキャンセルする処理である。すなわち、点像復元処理は、収差等による画像劣化が点像分布関数(PSF:Point Spread Function)により表現され、画質劣化した撮影画像に対し点像分布関数に基づく画像処理を行うことで画質を回復することができる処理である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2009/139118号
【特許文献2】特開2012−58524号公報
【特許文献3】特表2012−505562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されるようなリクエスト・レスポンス方式は、カメラ本体が短時間に多くの情報を必要とする際には、レンズ情報の通信が間に合わない場合がある。カメラ本体が短時間に多くの情報を必要とする場合とは、例えば、動画モードにおいて、点像復元処理を動画に対して行う場合などである。なお、一般に、動画モードではフレームレートが24fps(frame per second)、30fps、又は、60fpsである。また、動画モードにおいて点像復元処理を行う場合にはフレーム毎に多くのレンズ情報を取得する必要がある。したがって、動画モードにおいて点像復元処理を行う場合にリクエスト・レスポンス方式によりレンズ情報を取得すると、通信頻度が多くなり必要な情報の取得が間に合わなくなることがある。
【0010】
さらに、特許文献2に開示される第1及び第2の伝送経路によりカメラ本体と交換レンズとの通信を行う場合、カメラ本体と交換レンズは第1及び第2の伝送経路用に端子を余分に有する必要がある。このように端子を余分に設けることにより、カメラ本体と交換レンズとの通信不具合が発生する確率が増す。さらに、端子を余分に設けるため生産コストが増す。さらに、特許文献2はフレームに同期させて通信を行うことに関しては言及されていなく、特許文献2に記載の技術は、フレームに対して画像処理を行う場合に、所望のレンズ情報を取得できない場合がある。
【0011】
また、特許文献3に開示されるような画像に対して点像復元処理を行う場合はフレーム毎にレンズ情報が必要となる。フレーム毎にリクエスト・レスポンス方式によりレンズ情報を交換レンズとカメラ本体との間で通信すると、マウント通信の通信量、通信速度の制限から交換レンズとカメラ本体との間の通信が間に合わなくなり、カメラ本体は、適切な情報を使用して点像復元処理を行うことができない場合がある。
【0012】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、短期間により多くの情報を送信することができ、動画のフレームの画像処理に必要な情報を適切なタイミングで送信することができるカメラシステム、カメラ本体、交換レンズ、及び通信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一の態様であるカメラシステムは、カメラ本体とカメラ本体に着脱自在な交換レンズとからなるカメラシステムであって、カメラ本体は、交換レンズとの間で通信を行う本体側通信部と、本体側通信部を介してリクエスト信号を交換レンズに送信し、送信したリクエスト信号に対応する回答信号を本体側通信部を介して交換レンズから受信する本体側制御部と、を備え、交換レンズは、カメラ本体との間で通信を行うレンズ側通信部と、レンズ側通信部を介してリクエスト信号を受信すると、受信したリクエスト信号に対応する回答信号をレンズ側通信部を介してカメラ本体に送信するレンズ側制御部と、を備え、本体側制御部は、少なくとも動画記録モードにおいて、レンズ駆動を含むリクエスト信号を本体側通信部を介して交換レンズに送信し、レンズ側制御部は、少なくとも動画記録モードにおいて、レンズ側通信部を介してレンズ駆動を含むリクエスト信号を受信すると、受信したリクエスト信号に対応する回答信号をカメラ本体に送信し、かつ、カメラ本体からレンズ情報のリクエスト信号を受信せずに、動画のフレームに同期してレンズ情報をカメラ本体に送信し、1フレームに対応する通信期間内にフレームに、同期したレンズ情報の送信と、リクエスト信号及び回答信号の送受信とが混在する。
【0014】
本態様によれば、交換レンズは、少なくとも動画記録モードにおいて、レンズ情報のリクエスト信号無しにレンズ情報を回答信号としてレンズ側通信部を介してカメラ本体に送信する。これにより、本態様は、カメラ本体から送られるリクエスト信号を待って回答信号を送信するよりも短期間に多くの情報を送信することができる。
【0015】
また、本態様によれば、交換レンズは、少なくとも動画記録モードにおいて、動画のフレームに同期してレンズ情報を送信する。これにより、本態様は、動画のフレームの画像処理に必要な情報を適切なタイミングで送信することができる。
【0017】
本態様によれば、交換レンズは、少なくとも動画記録モードにおいて、カメラ本体からのリクエスト信号を受信して、そのリクエスト信号に対応する回答信号を送信する。これにより、本態様は、1フレームの通信期間内に、リクエスト信号を受信せずにフレームと同期したレンズ情報の送信とリクエスト信号に対応する回答信号の送信とが混在するフレームを有する。したがって、本態様は、レンズ情報等を1フレームの期間内に早く且つ大量に送受信することができ、レンズ駆動情報等を必要な時に送受信することができる。
【0018】
好ましくは、レンズ側制御部は、送信頻度を変えてレンズ情報を送信する。
【0019】
本態様によれば、重要なレンズ情報に関してはより頻度が多く送信することができる。これにより、本態様は、より効率的にレンズ情報の送信をすることができる。
【0020】
好ましくは、本体側制御部は、リクエスト信号と回答信号の送受信のみを行う第1の通信モードと、1フレームに対応する通信期間内に動画のフレームに同期した交換レンズからカメラ本体へのレンズ情報の送信と、リクエスト信号と回答信号の送受信とが混在する第2の通信モードとを切り替える通信モード切替部を有し、通信モード切替部は、第1の通信モードにより1フレームの期間内に必要なレンズ情報を取得できない場合に、第2の通信モードに切り替える。
【0021】
本態様によれば、カメラ本体は通信モード切替部を有し、その通信モード切替部によってリクエスト信号と回答信号の送受信のみを行う第1の通信モードと、交換レンズから動画のフレームに同期してレンズ情報をフレーム毎に送信させる第2の通信モードとを、カメラ本体が1フレーム期間内に必要なレンズ情報を取得することができるか否かにより切替えて通信を行う。これにより、本態様は、1フレームの期間内に必要なレンズ情報に応じて、適切な通信を行うことができる。
【0022】
好ましくは、本体側制御部は、リクエスト信号と回答信号の送受信のみを行う第1の通信モードと、1フレームに対応する通信期間内に動画のフレームに同期した交換レンズからカメラ本体へのレンズ情報の送信と、リクエスト信号と回答信号の送受信とが混在する第2の通信モードとを切り替える通信モード切替部と、動画のフレームの画像処理に必要な単位時間あたりのレンズ情報の数が閾値未満の第1の画像処理モードと、動画のフレームの画像処理に必要な単位時間あたりのレンズ情報の数が閾値以上の第2の画像処理モードとを切り替える画像処理モード切替部と、を有し、通信モード切替部は、第2の画像処理モードの場合に第2の通信モードに切り替える。
【0023】
本態様によれば、カメラ本体は通信モード切替部を有し、その通信モード切替部によってリクエスト信号と回答信号の送受信のみを行う第1の通信モードと、交換レンズから動画のフレームに同期してレンズ情報をフレーム毎に送信させる第2の通信モードとを、カメラ本体が1フレーム期間内に必要なレンズ情報を取得することができるか否かにより切替えて通信を行う。さらに、本態様によれば、カメラ本体は画像処理モード切替部を有し、その画像処理モード切替部によって動画のフレームの画像処理に必要な単位時間あたりのレンズ情報の数が閾値未満の第1の画像処理モードと、フレームの画像処理に必要な単位時間あたりのレンズ情報の数が閾値以上の第2の画像処理モードとを切り替えて動画に対して画像処理を行う。これにより、本態様は、画像処理モードに必要なレンズ情報の量に適した交換レンズとカメラ本体との通信を行うことができる。
【0024】
好ましくは、第1の画像処理モードはライブビュー撮影及び表示を行うライブビューモードであり、第2の画像処理モードは動画記録モードである。
【0025】
本態様によれば、画像処理モード切替部は、ライブビューモードと動画記録モードとに応じて、第1の通信モードと第2の通信モードとを切り替える。これにより、本態様は、ライブビューモード及び動画記録モードにおいて、適切にレンズ情報の通信を行うことができる。
【0026】
好ましくは、第1の画像処理モードは点像復元処理が行われない動画記録モードであり、第2の画像処理モードは点像復元処理が行われる動画記録モードである。
【0027】
本態様によれば、画像処理モード切替部は、点像復元処理が行われない動画記録モードと点像復元処理が行われる動画記録モードとを切り替える。これにより、本態様は、点像復元処理が行われない動画記録モード及び点像復元処理が行われる動画記録モードにおいて、適切にレンズ情報の通信を行うことができる。
【0028】
好ましくは、レンズ側制御部は、カメラ本体または交換レンズに設置される撮像素子の同期信号に基づいて動画のフレームに同期してレンズ情報を送信する。
【0029】
本態様によれば、レンズ側制御部は、撮像素子の同期信号を使用して動画のフレームに同期してレンズ情報を送信する。これにより、本態様は、より正確に動画のフレームに同期する送信を行うことができる。
【0030】
好ましくは、交換レンズのレンズ情報は、複数の種類のレンズ情報から構成され、レンズ側制御部は、複数の種類のレンズ情報を一つにまとめてカメラ本体へ送信する。
【0031】
本態様によれば、レンズ側制御部は、複数の種類のレンズ情報を一つにまとめてカメラ本体へ送信する。これにより、本態様は、より短期間で多くの情報を送信することができる。
【0032】
好ましくは、交換レンズのレンズ情報は、複数の種類のレンズ情報から構成され、レンズ側制御部は、レンズ情報の種類を変えて、複数の種類のレンズ情報を送信し、カメラ本体は、フレーム内で、動画の画像処理に不足している種類のレンズ情報を他のフレームが有するレンズ情報を使用して補間する補間部を有する。
【0033】
本態様によれば、レンズ側制御部は、フレーム毎にレンズ情報の種類を変えて送信する。また、本態様によれば、補間部は、動画の画像処理に不足している種類のレンズ情報を他のフレームが有するレンズ情報を使用して補間する。これにより、本態様は、動画の画像処理に必要なレンズ情報が多数ある場合であっても、フレーム毎に適切なレンズ情報を使用して画像処理を行うことができるように通信を行うことができる。
【0034】
好ましくは、交換レンズのレンズ情報は、複数の種類のレンズ情報から構成され、レンズ側制御部は、複数の種類のレンズ情報の各々に優先順位を付与し、優先順位に基づいて送信頻度を付与し、複数の種類のレンズ情報の各々を送信頻度に基づいて送信し、カメラ本体は、フレーム内で動画の画像処理に不足している種類のレンズ情報を他のフレームが有するレンズ情報を使用して補間する補間部を有する。
【0035】
本態様によれば、レンズ側制御部は、複数の種類のレンズ情報の各々に優先順位及びその優先順位に応じた送信頻度を付与して、その送信頻度に基づいてレンズ情報を送信する。また、本態様によれば、補間部は、画像処理に不足しているレンズ情報を他のフレームのレンズ情報を使用して補間する。これにより、本態様は、動画の画像処理に必要なレンズ情報が多数ある場合であっても、画像処理を行う上で重要な情報を優先的に送信することができる。
【0036】
好ましくは、カメラ本体は、レンズ情報が送信されてこないフレームに関してのレンズ情報を他のフレームが有するレンズ情報を使用して補間する補間部を有する。
【0037】
本態様によれば、レンズ情報が送信されてこないフレームに関しては、他のフレームが有するレンズ情報を使用して、送られてきてないレンズ情報を補間する。これにより、本態様は、レンズ情報が送られてこないフレームであっても適切に処理を行うことができる。なお、レンズ情報が送信されてこないフレームとは、フレームを処理するのにレンズ情報が必要であるが、そのフレームに関してのレンズ情報が送信されてきていないフレームのことをいう。ここで、処理とは、例えばフレームの画像処理のことを意味する。
【0038】
好ましくは、交換レンズのレンズ情報は、絞り情報、ズーム情報、フォーカス位置のレンズ情報から構成され、本体側制御部は、点像復元処理が設定された通知及び動画記録モードが開始された通知に関するリクエスト信号を交換レンズに送信し、レンズ側制御部は、リクエスト信号を受信し、フレーム毎にレンズ情報を絞り情報、ズーム情報、フォーカス位置の順に送信する。
【0039】
本態様によれば、レンズ側制御部は、レンズ情報が絞り情報、ズーム情報、フォーカス位置のレンズ情報から構成されている場合に、絞り情報、ズーム情報、フォーカス位置の順にカメラ本体へ送信する。これにより、本態様は、レンズ情報の種類が3つある場合でも、適切に通信することができる。
【0040】
なお、ここで絞り情報とは、絞り値(F値)又は絞り開口径を示す情報であり、ズーム情報とは、ズームレンズの位置、焦点距離又はズーム倍率を示す情報であり、フォーカス位置とは、合焦状態におけるレンズの位置に関する情報である。
【0041】
好ましくは、カメラ本体は、カメラ本体内部で生成される動画データに対して画像補正を行う画像補正部を有し、画像補正部は、レンズ情報を使用して、動画データに対して画像補正を行う。
【0042】
本態様によれば、カメラ本体は画像補正部を有する。これによれば、本態様は、画像補正部で行われる画像補正に使用されるレンズ情報を適切に送信する通信を行うことができる。
【0043】
好ましくは、画像補正部が行う画像補正は、点像復元処理である。
【0044】
本態様によれば、画像補正部が点像復元処理を行う。これによれば、本態様は、動画に対して点像復元処理に必要なレンズ情報を適切に送信する通信を行うことができる。
【0045】
本発明の他の態様であるカメラ本体は、交換レンズと通信するカメラ本体であって、カメラ本体は、交換レンズとの間で通信を行う本体側通信部と、本体側通信部を介してリクエスト信号を交換レンズに送信し、送信したリクエスト信号に対応する回答信号を交換レンズから受信する本体側制御部と、を備え、本体側制御部は、交換レンズが、少なくとも動画記録モードにおいて、カメラ本体からレンズ情報のリクエスト信号を受信せずに、動画のフレームに同期してレンズ情報を受信する。
【0046】
本発明の他の態様である交換レンズは、カメラ本体と通信する交換レンズであって、交換レンズは、カメラ本体との間で通信を行うレンズ側通信部と、レンズ側通信部を介してリクエスト信号を受信すると、受信したリクエスト信号に対応する回答信号をカメラ本体に送信するレンズ側制御部と、を備え、レンズ側制御部は、少なくとも動画記録モードにおいて、カメラ本体からレンズ情報のリクエスト信号を受信せずに、動画のフレームに同期してレンズ情報を送信する。
【0047】
本発明の他の態様である通信方法は、カメラ本体がリクエスト信号を交換レンズに送信し、交換レンズが送信されたリクエスト信号に対応する回答信号をカメラ本体に送信する通信方法であって、少なくとも動画記録モードにおいて、交換レンズは、カメラ本体からレンズ情報のリクエスト信号を受信せずに、動画のフレームに同期してレンズ情報を送信する。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、交換レンズは、カメラ本体からのリクエスト信号を受信せずに、動画のフレームに同期してレンズ情報を送信するため、短期間により多くの情報を送信することができ且つ動画の画像処理に必要な情報を適切なタイミングで送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】撮像装置の外観を示す斜視図である。
図2】撮像装置の背面を示す背面図である。
図3】撮像装置の構成を示すブロック図である。
図4】マウント周辺部を示す説明図である。
図5】交換レンズとカメラ本体との通信を説明するタイミングチャートである。
図6】カメラシステムに関してのフロー図である。
図7】変形例1の通信を説明するタイミングチャートである。
図8】変形例2の通信を説明するタイミングチャートである。
図9】変形例3の通信を説明するタイミングチャートである。
図10】応用例1の撮像装置の要部ブロック図である。
図11】応用例1の撮像装置の動作フロー図である。
図12】応用例2の撮像装置の要部ブロック図である。
図13】応用例2の撮像装置の動作フロー図である。
図14】応用例3の撮像装置の要部ブロック図である。
図15】応用例3の撮像装置の動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、添付図面に従って、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0051】
図1は本発明の実施形態のカメラシステム(撮像装置10)に関する斜め前方の外観を示す斜視図である。
【0052】
図1に示すように、撮像装置10は、交換レンズ100及びカメラ本体200を備える。交換レンズ100は、カメラ本体200に備えられた本体マウント260に着脱自在なレンズマウント160(図3)を備える。本例の交換レンズ100は円筒状であり、その交換レンズ100の端部にレンズマウント160が形成されている。カメラ本体200は、交換レンズ100のレンズマウント160を着脱自在な本体マウント260を備える。本例のカメラ本体200は箱状であり、そのカメラ本体200の正面のほぼ中央に本体マウント260が形成されている。交換レンズ100のレンズマウント160をカメラ本体200の本体マウント260に装着することにより、交換レンズ100がカメラ本体200に着脱自在に装着される。
【0053】
レンズマウント160と本体マウント260には、それぞれ接点としての複数の端子が設けられている。図1では本体マウント260の複数の端子260a(本体側端子)を図示している。レンズマウント160を本体マウント260に装着すると、レンズマウント160及び本体マウント260の互いの端子が当接して導通する(図3及び図4を参照)。本例では、交換レンズ100の周方向に沿って、本体マウント260に複数の端子260a及びレンズマウント160に複数の端子(図4を参照)が設けられている。
【0054】
カメラ本体200の正面には、主に光学ファインダ窓20が設けられている。カメラ本体200の上面には、主としてシャッタレリーズボタン22、シャッタスピードダイヤル23、露出補正ダイヤル24が設けられている。
【0055】
シャッタレリーズボタン22は、撮像開始の指示を入力するための操作手段であり、いわゆる「半押し」と「全押し」とからなる2段ストローク式のスイッチで構成されている。撮像装置10は、シャッタレリーズボタン22が半押しされることによってS1オンの信号、半押しから更に押し込む全押しがされることによってS2オンの信号が出力され、S1オン信号が出力されると自動焦点調節(AF処理)や自動露出制御(AE処理)などの撮影準備処理を実行し、S2オン信号が出力されると撮影処理を実行する。また、動画撮影モードの場合は、シャッタレリーズボタン22が全押しされることにより、動画記録モードが開始される。
【0056】
なお、シャッタレリーズボタン22は半押しと全押しとからなる2段ストローク式のスイッチの形態に限られず、1回の操作でS1オンの信号、S2オンの信号を出力しても良く、それぞれ個別のスイッチを設けてS1オンの信号、S2オンの信号を出力しても良い。また、タッチ式パネル等により操作指示を行う形態では、操作手段は、タッチ式パネルの画面に表示される操作指示に対応する領域をタッチすることで操作指示を出力するようにしても良い。本発明においては、撮影準備処理や撮影処理を指示するものであれば操作手段の形態はこれらに限られない。また、1つの操作手段への操作指示で撮影準備処理と撮影処理を連続して実行するようにしても良い。
【0057】
ユーザは、シャッタスピードダイヤル23によりシャッタ速度の調節を行い、露出補正ダイヤル24により露出の補正を行う。
【0058】
図2は撮像装置10の背面図である。図2に示すようにカメラ本体200の背面には、主として液晶モニタ216、光学ファインダの接眼部26、MENU/OKキー27、十字キー28、再生ボタン29等が設けられている。
【0059】
液晶モニタ216は、ライブビュー画像を表示したり、再生ボタン29が押されると撮影した画像を表示したり、撮影された動画を表示したりする。ユーザは、MENU/OKキー27及び十字キー28により撮像装置10の様々な設定を行うことができる。例えば、ユーザは、MENU/OKキー27及び十字キー28を使用して静止画撮影モードと動画撮影モードとの切替えや、特定の画像処理(点像復元処理)を実行するか否かの設定を行うことができる。
【0060】
図3は、撮像装置10の全体構成を示すブロック図である。
【0061】
交換レンズ100は、撮影光学系102(ズームレンズ104、フォーカスレンズ106及び絞り108)、ズームレンズ制御部114、フォーカスレンズ制御部116、絞り制御部118、レンズ側CPU120(レンズ側制御部)、フラッシュROM(Read Only Memory)126、レンズ側通信部150、及びレンズマウント160(レンズ側装着部)を備える。
【0062】
撮影光学系102は、ズームレンズ104、フォーカスレンズ106、及び絞り108を有する。ズームレンズ制御部114は、レンズ側CPU120からの指令に従って、ズームレンズ104の位置を制御する。フォーカスレンズ制御部116は、レンズ側CPU120からの指令に従って、フォーカスレンズ106の位置を制御する。絞り制御部118は、レンズ側CPU120からの指令に従って、絞り108の開口面積を制御する。
【0063】
レンズ側CPU120は、交換レンズ100のCPU(中央処理装置)であり、ROM124及びRAM(Random Access Memory)122を内蔵している。
【0064】
フラッシュROM126は、カメラ本体200からダウンロードされたプログラム等を格納する不揮発性のメモリである。
【0065】
レンズ側CPU120は、ROM124又はフラッシュROM126に格納された制御プログラムに従い、RAM122を作業領域として、交換レンズ100の各部を制御する。
【0066】
レンズ側通信部150は、レンズマウント160がカメラ本体200の本体マウント260に装着されている状態で、レンズマウント160に設けられた複数の信号端子を介して、カメラ本体200との通信を行う。
【0067】
カメラ本体200は、撮像素子(CMOS型またはCCD型)201、撮像素子制御部202、アナログ信号処理部203、A/D変換器204、画像入力コントローラ205、デジタル信号処理部206、RAM207、圧縮伸張処理部208、メディア制御部210、メモリカード212、表示制御部214、モニタ216、本体側CPU(本体側制御部)220、操作部222、時計部224、フラッシュROM226、ROM228、AF検出部230、AE/AWB検出部232、電源制御部240、バッテリ242、本体側通信部250、及び本体マウント260を備える。なお、図3では、撮像素子201はカメラ本体200に設置されているが、これに限定されるものではない。撮像素子201は、例えば、交換レンズ100の内部に設置されていてもよい。
【0068】
撮像素子201は、被写体を撮像するイメージセンサで構成されている。交換レンズ100の撮影光学系102によって撮像素子201の受光面に結像された被写体の光学像は、撮像素子201によって電気信号に変換される。撮像素子201の例として、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサ、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサが挙げられる。
【0069】
撮像素子制御部202は、本体側CPU220の指令に従って、撮像素子201の撮像タイミング、露出時間等を制御する。
【0070】
アナログ信号処理部203は、撮像素子201で被写体を撮像して得られたアナログの画像信号に対して、各種のアナログ信号処理を施す。本例のアナログ信号処理部203は、サンプリングホールド回路、色分離回路、ゲイン調整回路等を含んで構成されている。
【0071】
A/D変換器204は、アナログ信号処理部203から出力されたアナログの画像信号をデジタルの画像信号に変換する。
【0072】
画像入力コントローラ205は、A/D変換器204から出力されたデジタルの画像信号を、画像データとして、RAM207に一時的に格納させる。なお、撮像素子201がCMOS型撮像素子である場合は、A/D変換器204は撮像素子201内に内蔵されていることが多い。なお、上述のアナログ信号処理部203、A/D変換器204、及び画像入力コントローラ205によりAFE(アナログフロント・エンド)262(図10)が構成されている。
【0073】
デジタル信号処理部206は、RAM207に格納されている画像データに対して、各種のデジタル信号処理を施す。本例のデジタル信号処理部206は、輝度及び色差信号生成回路、ガンマ補正回路、シャープネス補正回路、コントラスト補正回路、ホワイトバランス補正回路、点像復元処理回路等を含んで構成されている。
【0074】
圧縮伸張処理部208は、RAM207に格納されている非圧縮の画像データに、圧縮処理を施す。また、圧縮伸張処理部208は、圧縮された画像データに、伸張処理を施す。
【0075】
メディア制御部210は、圧縮伸張処理部208で圧縮された画像データを、メモリカード212に記録する制御を行う。また、メディア制御部210は、メモリカード212から、圧縮された画像データを読み出す制御を行う。
【0076】
表示制御部214は、RAM207に格納されている非圧縮の画像データを、モニタ216に表示させる制御を行う。モニタ216は、液晶モニタ、有機ELモニタを採用することができる。
【0077】
モニタ216にライブビュー画像を表示させる場合には、デジタル信号処理部206で連続的に生成されたデジタルの画像信号が、RAM207に一時的に記憶される。表示制御部214は、このRAM207に一時記憶されたデジタルの画像信号を表示用の信号形式に変換して、モニタ216に順次出力する。これにより、モニタ216に撮像画像がリアルタイムに表示され、モニタ216を電子ビューファインダとして使用しながらの撮影が可能になる。
【0078】
被写体の撮像及び被写体の画像の記録を行う場合には、シャッタレリーズボタン22の半押しにより、本体側CPU220の制御の下、AE制御及びAF制御が行われ、全押しで撮影が実行される。撮像により取得された画像は、圧縮伸張処理部208において所定の圧縮フォーマット(例えば、静止画はJPEG形式、動画はH264等)で圧縮される。圧縮された画像データは、撮影日時や撮影条件等の所要の付属情報が付加された画像ファイルとされた後、メディア制御部210を介してメモリカード212に格納される。
【0079】
本体側CPU220は、撮像装置10全体の動作を統括制御する。また、本体側CPU220は、本体マウント260に交換レンズ100が装着されたか否かを判定する装着判定部を構成している。
【0080】
操作部222は、図1に示したシャッタレリーズボタン22、シャッタスピードダイヤル23、露出補正ダイヤル24、MENU/OKキー27、十字キー28、及び再生ボタン29を含んで構成される。本体側CPU220は、操作部222等からの入力に基づき撮像装置10の各部を制御する。
【0081】
時計部224は、タイマとして、本体側CPU220からの指令に基づいて時間を計測する。また、時計部224は、カレンダとして、現在の年月日及び時刻を計測する。
【0082】
フラッシュROM226は、読み取り及び書き込みが可能な不揮発性メモリであり、設定情報を記憶する。
【0083】
ROM228には、本体側CPU220が実行する制御プログラムや制御に必要な各種データが記録されている。本体側CPU220は、ROM228に格納された制御プログラムに従い、RAM207を作業領域としながら撮像装置10の各部を制御する。
【0084】
AF検出部230は、デジタルの画像信号に基づいて、AF(オートフォーカス)制御に必要な数値を算出する。いわゆるコントラストAFの場合、例えば所定のAFエリア内におけるG(緑)画素の信号の高周波成分の積算値(焦点評価値)を算出する。本体側CPU220は、この焦点評価値が極大となる位置にフォーカスレンズ106を移動させる。尚、AFは、コントラストAFには限定されない。例えば位相差式のAFを行ってもよい。
【0085】
AE/AWB検出部232は、デジタルの画像信号に基づいて、AE(自動露出)制御及びAWB(自動ホワイトバランス)制御に必要な数値を算出する。本体側CPU220は、AE/AWB検出部232から得た数値に基づいて被写体の明るさ(被写体輝度)を算出し、所定のプログラム線図から絞り情報(F値)とシャッタスピードを決定する。
【0086】
電源制御部240は、本体側CPU220の指令に従って、バッテリ242から供給される電源電圧をカメラ本体200の各部に与える。また、電源制御部240は、本体側CPU220の指令に従って、本体マウント260及びレンズマウント160を介して、バッテリ242から供給される電源電圧を交換レンズ100の各部に与える。
【0087】
レンズ電源スイッチ244は、本体側CPU220の指令に従って、本体マウント260及びレンズマウント160を介して交換レンズ100に与える電源電圧のオン及びオフの切り替えとレベルの切り替えを行う。
【0088】
本体側通信部250は、本体側CPU220の指令に従って、本体マウント260及びレンズマウント160を介して接続された交換レンズ100のレンズ側通信部150との間で、信号の送受信(通信)を行う。一方、レンズ側通信部150は、レンズ側CPU120の指令に従って、レンズマウント160及び本体マウント260を介して接続されたカメラ本体200の本体側通信部250との間で、信号の送受信(通信)を行う。
【0089】
図4は、本体マウント260及びレンズマウント160とその周辺部を示す説明図である。レンズマウント160が本体マウント260に装着された状態で、本体マウント260の複数の端子260a(本例では図4の番号「01」〜番号「10」の10個の端子)
は、それぞれレンズマウント160の複数の端子に当接する。
【0090】
本体マウント260の第1端子(+5V端子)は、カメラ本体200から交換レンズ100に、バッテリ242の+5V電圧を与えるための第1の本体側電源端子である。本体マウント260の第1端子(+5V端子)は、レンズ電源スイッチ244を介して、電源制御部240及びバッテリ242に接続されている。
【0091】
本体マウント260の第2端子(GND端子)及び第3端子(DGND端子)は、カメラ本体200から交換レンズ100に、0V(グランド電圧)を与えるための本体側グランド端子である。第2端子及び第3端子は、カメラ本体200のグランドに接続されている。
【0092】
本体マウント260の第4端子〜第8端子は、交換レンズ100との信号送受信用の複数の本体側信号端子である。
【0093】
本体マウント260の第4端子(INTR_BUSY信号端子)は、交換レンズ100又はカメラ本体200の特定の動作の期間中であるか否かを通知するための本体側ビジー信号端子である。
【0094】
本体マウント260の第5端子(VSYNC信号端子)は、カメラ本体200と交換レンズ100との同期用の本体側信号端子である。
【0095】
本体マウント260の第6端子(MT_MOSI信号端子)、第7端子(MT_SCK信号端子)、及び第8端子(MT_SIMO信号端子)は、カメラ本体200と交換レンズ100とのシリアル通信用の本体側通信信号端子である。MT_MOSI信号は、マスタとしてのカメラ本体200から出力し、スレーブとしての交換レンズ100に入力する信号である。MT_SCK信号は、マスタとしてのカメラ本体200からスレーブとしての交換レンズ100に与えるクロック信号である。MT_SIMO信号は、スレーブとしての交換レンズ100から出力し、マスタとしてのカメラ本体200に入力する信号である。
【0096】
本体マウント260の第9端子(LENS_DET端子)は、交換レンズ100の検出専用の本体側端子である。本例では、ハイレベル(高電位)で本体マウント260のLENS_DET端子とレンズマウント160のLENS_DET端子とが非当接状態(未装着状態)であることを示し、ローレベル(低電位)で本体マウント260のLENS_DET端子とレンズマウント160のLENS_DET端子とが当接状態(装着状態)であることを示す。
【0097】
本体マウント260の第10端子(+3.3V端子)は、カメラ本体200から交換レンズ100にバッテリ242の+3.3V電圧を与えるための第2の本体側電源端子である。
【0098】
本体マウント260の第9端子(LENS_DET端子)は、プルアップ抵抗R1を介して、電源制御部240及びバッテリ242に接続されている。また、本体マウント260の信号送受信(通信)用の複数の信号端子(第4端子〜第8端子)のうちで第6端子(MT_MOSI信号端子)は、プルアップ抵抗R2及びレンズ電源スイッチ244を介して、バッテリ242に接続されている。
【0099】
第2のプルアップ抵抗R2はレンズ電源スイッチ244に接続されており、レンズ電源スイッチ244がオフされた状態(交換レンズ100の非電源投入状態)では、第6端子(MT_MOSI信号端子)はプルアップされない。本体側CPU220によりレンズ電源スイッチ244がオンされた状態(交換レンズ100の電源投入状態)にて、第6端子(MT_MOSI信号端子)がプルアップされる。即ち、カメラ本体200の電源スイッチをオンしただけでは、交換レンズ100の第6端子(MT_MOSI信号端子)の電圧はハイレベルとならず、本体側CPU220によりレンズ電源スイッチ244がオンされてはじめて、交換レンズ100の第6端子(MT_MOSI信号端子)の電圧がハイレベルとなる。これにより、交換レンズ100側のLensMC152(集積回路)の誤動作を防止する。
【0100】
カメラ本体200の本体側CPU220(装着判定部)は、本体マウント260の本体側電源端子を介した交換レンズ100のプレ電源投入前に、第9端子(LENS_DET端子)のみを判定対象として、第9端子(LENS_DET端子)がローレベルであるか否かを判定し、該判定でLENS_DET端子がローレベルである場合には、本体マウント260の本体側電源端子を介したレンズユニットのプレ電源投入後に、LENS_DET端子及び非通信時の第6端子(MT_MOSI信号端子)の両方がローレベルであるか否かを判定する。
【0101】
レンズマウント160の第9端子(LENS_DET端子)は、 グランド(GND端子及びDGND端子)に接続されている。また、レンズマウント160の複数の信号端子(第4端子〜第8端子)のうちで第6端子(MT_MOSI信号端子)は、プルアップ抵抗R2に対して十分に小さい抵抗値であるプルダウン抵抗R3を介して、グランドに接続されている。
【0102】
本体側CPU220は、装着判定部として、本体マウント260の第9端子(LENS_DET端子)の電圧(ハイ/ローレベル)と、非通信時の特定の本体側信号端子(本例ではMT_MOSI信号端子)の電圧(ハイ/ローレベル)とに基づいて、レンズマウント160が本体マウント260に装着されているか否かの判定(即ち交換レンズ100がカメラ本体200に装着されているか否かの判定)を行う。本体側CPU220は、具体的には、カメラ本体200のLENS_DET端子の電圧及び非通信時のMT_MOSI信号端子の電圧の両方がローレベルになったとき、本体マウント260に交換レンズ100が装着されたと判定する。
【0103】
また、レンズ側CPU120は、レンズマウント160の第9端子(LENS_DET端子)の電圧と、非通信時の特定のレンズ側信号端子(本例ではMT_MOSI信号端子)の電圧とに基づいて、レンズマウント160が本体マウント260に装着されているか否かの判定(即ち交換レンズ100がカメラ本体200に装着されているか否かの判定)を行ってもよい。レンズ側CPU120は、具体的には、交換レンズ100のLENS_DET端子の電圧及び非通信時のMT_MOSI信号端子の電圧の両方がローレベルになったとき、交換レンズ100が本体マウント260に装着されたと判定する。
【0104】
本体側通信部250を構成するASIC252(集積回路)は、本体マウント260の第4端子(INTR_BUSY信号端子)の電位の変化(ハイ/ロー)を検出するための端子254と、本体マウント260の第5端子(VSYNC信号端子)に同期信号を与えるための端子255と、本体マウント260の第6〜第8端子(以下「通信信号端子」ともいう)を用いたシリアル通信のためのインタフェースSPIと、本体マウント260の第9端子(LENS_DET端子)の電位の変化(ハイ/ロー)を検出するための端子257と、交換レンズ100のファームウェアをアップデートするための端子258及び259を有する。
【0105】
レンズ側通信部150を構成するLensMC152(集積回路)は、レンズマウント160の第4端子(INTR_BUSY信号端子)の電位の変化(ハイ/ロー)を検出するための端子154と、レンズマウント160のレンズ側第6〜第8端子(通信信号端子)を用いたシリアル通信のためのインタフェースSPIと、交換レンズ100のファームウェアをアップデートするための端子158を有する。
【0106】
[通信方法]
次に、本発明の通信方法について説明する。
【0107】
図5は、定常通信モード(第1の通信モード)の通信方法と同期信号同期式の通信モード(以下「同期通信モード」という。(第2の通信モード))の通信方法を説明するタイミングチャートである。また、カメラ本体200から交換レンズ100への通信は本体マウント260の第6端子(MT_MOSI信号端子)により行われ、交換レンズ100からカメラ本体200への通信は本体マウント260の第8端子(MT_SIMO信号端子)により行われる。
【0108】
図5に示すように定常通信モードは、本実施形態ではライブビューモードにおいて使用される通信モードである。定常通信モードでは、カメラ本体200がレンズ情報等を取得する際に、撮像素子201の同期信号VSYNC(図5(a))に依らずに、図5(b)に示すように一定の周期Tでレンズ情報の取得を要求するリクエスト信号A1,A2,A3を、カメラ本体200から交換レンズ100に送信し、図5(c)に示すようにリクエスト信号A1,A2、A3に対応する回答信号B1、B2、B3を、交換レンズ100からカメラ本体200に送信する。
【0109】
本実施形態のライブビューモードでは、被写体の輝度条件に応じて、露出を追従させるために、フレームレートを可変させて対応している。従って、暗いシーンの場合には、フレームレートが低下する(1フレームの期間が長くなる)。定常通信モードでは、1フレームの期間が長くなっても、一定の周期Tでレンズ情報を取得し、レンズ駆動に反映させることができるため、表示遅れのない適切なライブビューの表示が可能であるという利点がある。
【0110】
一方、動画記録モードにおいては、フレームレートは、例えば、24fps、30fps、60fps等に、通常固定されている。このフレームレートは、ユーザにより設定可能である。レンズ光学特性に応じた補正(例えば点像復元処理)等を動画の各フレームに適用する場合には、各フレームにおけるレンズ状態を正確にカメラ本体200に通知する必要がある。
【0111】
ただし、カメラ本体200と交換レンズ100との通信は、レンズ情報等の通知以外にもレンズの駆動要求等の様々なやりとりが存在するため、カメラ本体200からのリクエストに対して回答を行うという通信形式を採る。しかし、カメラ本体200は、フレーム単位という限られた時間の中で、レンズ駆動を行いつつ、各種レンズ情報を取得することが困難となる可能性がある。
【0112】
そこで、本発明は、動画記録モードが指示された場合には、定常通信モードから同期通信モードに切り替えるようにしている。
【0113】
同期通信モードは、動画記録モードにおいて採用した新規の通信モードである。同期通信モードでは、同期信号VSYNC(図5(a))に同期して、図5(c)に示すように交換レンズ100のレンズ情報を示す回答信号C1,C2,C3,C4,…を、自動的に交換レンズ100からカメラ本体200に送信する。回答信号C1,C2,C3,C4はカメラ本体200からのリクエスト信号を受信せずに送信されるため、少なくともリクエスト信号の送受信に必要となる時間だけ通信時間の短縮化を図ることができる。
【0114】
本例の同期通信モードでは、交換レンズ100は、同期信号VSYNCを受信した直後にレンズ情報を示す回答信号C1,C2,C3,C4,…を送信するが、もともと同期信号VSYNCを受信した直後の、交換レンズ100からカメラ本体200への通信ラインには空き時間がある。この空き時間にレンズ情報を示す回答信号を送信することにより、空き時間を有効に活用することができる。
【0115】
また、同期通信モードでは、レンズ情報の取得以外の通信も行われるが、この通信も同期信号VSYNCに同期して行われる。すなわち、カメラ本体200は、同期信号VSYNCに同期して、例えばレンズ駆動を要求するリクエスト信号A5,A6,A7,A8,…を送信し、交換レンズ100は、リクエスト信号A5,A6,A7,A8,…に対応する回答信号B5,B6,B7,B8,…をカメラ本体200に送信する。これにより、同期通信モードの通信と定常通信モードの通信が一つのフレームで混在することになる。
【0116】
また、図5に示した例では、フレーム毎にレンズ情報を送信しているが、レンズ情報の送信頻度を変えてもよい。例えば、交換レンズ100は、30fpsや60fpsの場合は毎フレームにレンズ情報に関する情報を送信するが、動画の高画質化のために120fpsや240fpsのように高いフレームレートが設定された場合は、2フレーム1に1回、3フレームに1回など送信頻度を下げてもよい。これにより、交換レンズ100の性能に応じた通信ができ、また、レンズ駆動に関しては、十分な情報の通信が可能となる。さらに、レンズ駆動に関する情報の通信に関しても毎フレームにリクエスト信号を送る場合に限られず、上述したようにフレームレートに応じて送信頻度を変えても良い。
【0117】
また、レンズ駆動に関する情報の通信は、上述したように、リクエスト信号A5,A6,A7,A8に対応して回答信号B5,B6,B7,B8を送信する通信方法を維持している。これにより、交換レンズ100は、レンズの駆動に有効なタイミングでレンズ駆動に関する情報を取得することができ、レンズを適切に駆動することを維持することができる。
【0118】
また、ライブビューモードから動画記録モードに切り替える場合、カメラ本体200は、動画記録モードへの切り替えを通知するリクエスト信号A4を交換レンズ100に送信し、交換レンズ100は、このリクエスト信号A4に対する通知確認を示す回答信号B4をカメラ本体200に送信するとともに、交換レンズ100側の通信モードを同期通信モードに切り替える。
【0119】
このように、交換レンズ100は、動画記録モードの通知により同期通信モードに切り替わり、各種のレンズ情報を取得してカメラ本体200への通知に対する準備を行い、フレームに同期した同期信号VSYNCに合わせて、準備した各種のレンズ情報を示す回答信号をカメラ本体200に送信する。カメラ本体200は、各種レンズ情報の取得を要求して回答というステップを省略して、すぐさま各種レンズ情報を受け取るという形を採ることができるため、短いフレーム時間の間でも確実にレンズ情報を取得することができる。
【0120】
さらに、リクエスト信号に応じて回答信号を送信することにより他のレンズ駆動等を要求する通信も行うことができるため、レンズの駆動に有効なタイミングでレンズ駆動を要求することができ、ユーザの設定等によりフレームレートが変わったとしても、レンズの駆動に有効なタイミングでレンズを駆動することを維持することができる。
【0121】
図5に示した場合では、ライブビューモードと動画記録モードとの切り替えに応じて、定常通信モードと同期通信モードを切り替えられることを示したが、これに限定されるものではない。
【0122】
例えば、定常通信モードと同期通信モードとの切り替えを、定常通信モードでは、1フレームの期間内に必要なレンズ情報を取得できないことを基準に行ってもよい。すなわち、カメラ本体が、定常通信モードではレンズ情報が多くて1フレーム期間内にレンズ情報を取得できない場合に、同期通信モードを使用してレンズ情報を取得するように切り替えてもよい。これにより、レンズ情報が多く必要な場合や、1フレームの期間が短い場合であってもレンズ情報を適切に取得することができる。
【0123】
また、カメラ本体200と交換レンズ100の通信は、動画のフレームの画像処理に必要な単位時間あたりのレンズ情報の数が閾値未満の場合(第1の画像処理モード)と、フレームの画像処理に必要な単位時間あたりのレンズ情報の数が閾値以上の場合(第2の画像処理モード)とに応じて切り替えられてもよい。すなわち、カメラ本体200と交換レンズ100との通信は、第1の画像処理モードの場合には定常通信モードを使用し、第2の画像処理モードの場合には同期通信モードを使用してもよい。これにより、画像処理モードに必要なレンズ情報の量に適した交換レンズ100とカメラ本体200との通信を行うことができる。なお、ここでいう閾値とは、交換レンズ100とカメラ本体200との通信能力に応じて決定される数値であり特に限定されるものではない。例えば、閾値として、レンズ情報の数を5つ、さらに好ましくは3つとすることができる。
【0124】
さらに、例えば、カメラ本体200と交換レンズ100の通信は、点像復元処理が行われない動画記録モード(第1の画像処理モード)と点像復元処理が行われる動画記録モード(第2の画像処理モード)とに応じて切り替えられてもよい。すなわち、点像復元処理が行われない動画記録モードの場合は定常通信モードにより通信が行われ、点像復元処理が行われる動画記録モードの場合は同期通信モードにより通信が行われてもよい。後述するように点像復元処理では交換レンズから多くのレンズ情報を取得する必要があるが、本例は、点像復元処理が行われない動画記録モード及び点像復元処理が行われる動画記録モードにおいて、適切に十分なレンズ情報の通信を行うことができる。なお、画像処理モードの切り替えは、画像処理モード切替部(図示せず)により行われる。画像処理モード切替部は、本体側CPU220内に設置される。
【0125】
また、定常通信モードと同期通信モードとの切り替えは通信モード切替部により行われる。具体的には、通信モード切替部は、本体側CPU220に備えられ、定常通信モードと同期通信モードとを切り替える。
【0126】
また、動画記録モードでは記録する動画を高画質にするため、本例による通信方式を適用し交換レンズ100からレンズ情報を取得し、レンズ情報に基づく画像処理を行うことが好ましいが、本例による通信方式を適用するのは動画記録モードに限られない。例えば、ライブビューモードにおいてもフレームレートが固定されていてもよく、ライブビューモードにおいて、カメラ本体200は、本例の通信方式を適用して交換レンズからレンズ情報を取得し、レンズ情報に基づく画像処理を行ってもよい。
【0127】
図6は、図5で示す通信を行うカメラ本体200と交換レンズ100とのカメラシステム(撮像装置10)に関してのフロー図である。
【0128】
先ず、交換レンズ100がカメラ本体200に装着されると、本体側CPU220は、本体側通信部250を介して、装着された交換レンズ100の製品情報を取得する(ステップS10)。その後、表示制御部214は、ライブビュー表示を開始する(ステップS12)。そして、本体側CPU220は、取得した交換レンズ100の製品情報を基に、交換レンズ100が動画記録モードにおいて、同期通信モード対応の製品であるか否かを判断する(ステップS14)。本体側CPU220が同期通信モード対応の製品と判断した場合(ステップS14のYesの場合)は、本体側CPU220は、ライブビュー表示が行われている間、定常通信モードによる通信でレンズ情報を取得する(ステップS16)。その後、本体側CPU220は、操作部222により動画記録モードに変更するよう要求があるか否かの判断を行う(ステップS18)。本体側CPU220が操作部222より動画記録モードへの変更要求がないと判断した場合(ステップS18のNoの場合)は、引き続き、本体側CPU220は、定常通信モードによる通信でレンズ情報を取得する。
【0129】
一方、本体側CPU220が操作部222より動画記録モードへの変更要求を検出した場合(ステップS18のYesの場合)は、本体側CPU220は、交換レンズ100に動画記録モードへの変更を通知する(ステップS20)。そして、本体側CPU220は、カメラ本体200を動画記録モードに変更する(ステップS22)。その後、本体側CPU220内の通信モード切替部は、交換レンズ100とカメラ本体200との通信を、同期通信モードに切り替える(ステップS24)。
【0130】
その後、本体側CPU220は、操作部222からの動画記録モードを終了する要求があるか否かの判断を行う(ステップS26)。本体側CPU220が動画記録モードを終了する要求を検出しない場合(ステップS26のNoの場合)は、引き続き、交換レンズ100とカメラ本体200との通信は、同期通信モードにより行われる。
【0131】
一方、本体側CPU220が動画記録モードを終了する要求を検出した場合(ステップS26のYesの場合)は、本体側CPU220は、操作部222からの動画撮影を終了する要求があるか否かの判断を行う(ステップS28)。本体側CPU220が動画撮影終了の要求を検出しない場合(ステップS28のNoの場合)は、本体側CPU220内に設置される通信モード切替部は、ステップS16に遷移させ、交換レンズ100とカメラ本体200との通信を定常通信モードに切り替える。一方、本体側CPU220が動画撮影終了の要求を検出した場合(ステップS28のYes)の場合は、動画の撮影は終了する。
【0132】
一方、本体側CPU220が同期通信モードに非対応の製品と判断した場合(ステップS14のYesの場合)は、本体側CPU220は、交換レンズ100とカメラ本体200との通信を定常通信モードに設定し(ステップS30)、動画記録モードに変更されても定常通信モードを維持する。その後、本体側CPU220は、操作部222から動画撮影を終了する要求があるか否かを判断する(ステップS32)。本体側CPU220が動画撮影を終了する要求を検出しない場合(ステップS32のNoの場合)には、引き続き、交換レンズ100とカメラ本体200との通信は、定常通信モードによる通信が行われる。一方、本体側CPU220が動画撮影を終了する要求を検出した場合は、動画撮影は終了する。
【0133】
[送信形態の変形例]
次に、同期通信モードの送信形態の変形例を説明する。
【0134】
[変形例1]
変形例1では、交換レンズ100は、複数の種類のレンズ情報から成るレンズ情報を一つにまとめてカメラ本体200へ送信する。これにより、複数の種類からなるレンズ情報であっても、本例は、短期間で確実に複数のレンズ情報を送信することができる。
【0135】
図7は、変形例1における、フレームの同期信号、カメラ本体200と交換レンズ100との間のシリアル通信の通信内容を説明するタイミングチャートである。
【0136】
図7(A)には、カメラ本体200が同期信号に同期してリクエスト信号を送信し、交換レンズ100がリクエスト信号に応じてレンズ情報を送信する形態を示している。具体的には、カメラ本体200は、一つのフレーム期間内でフォーカス位置のリクエスト信号A1、絞り情報のリクエスト信号A2、及びズーム情報のリクエスト信号A3を別々に送信し、交換レンズ100は、それらのリクエスト信号に応じて、フォーカス位置B1、絞り情報B2、及びズーム情報B3を回答する。この際、例えばフォーカス位置B1の回答を行う場合のデータの構造は、図7(A)(Q)に示すように、フォーカス位置データと、フォーカス位置回答コマンド、及びチェックサムで構成されている。
【0137】
図7(A)の場合、カメラ本体200が送信するリクエスト信号に応じて交換レンズ100はレンズ情報を送信する(定常通信モードによる通信)ため、交換レンズ100がリクエスト信号を受信せずにレンズ情報を送信する(同期通信モード)場合よりも、レンズ情報の送信に時間が必要となる。また、図7(A)の送信形態は、複数の種類のレンズ情報の各々を個別に送信しているため、レンズ情報の送信に時間が必要となる。
【0138】
これに対して、本例にかかる同期通信モードでの通信では、動画記録モードに切り替えられると同期後の最初の通信内容が固定化されるため、動画記録モードへの切り替えを契機に、カメラ本体200と交換レンズ100との通信は、通信ワード長及び通信フォーマットを変更する。具体的には、図7(B)に示すように、カメラ本体200は初めに動画モード続行通知C1を送信し、交換レンズ100は、フォーカス位置、絞り情報、及びズーム情報のデータを一つにまとめたレンズ情報D1を送信する。この時、交換レンズ100は、カメラ本体200からのレンズ情報のリクエスト信号は受信せずに送信する。
【0139】
図7(A)で示す形態は、フォーカス位置、絞り情報、ズーム情報のレンズ情報を取得する際、それぞれ、32bit長(内訳:データ16bit,コマンド:10bit,チェックサム:6bit)で送受信していたとすると、計96bit分のデータ送信が必要となる。一方、図7(B)で示す形態は、各データを一つにまとめることで、64bit長(フォーカスデータ:16bit,絞りデータ:16bit,ズームデータ16bit,コマンド:10bit,チェックサム:6bit)(図7(B)(R)を参照)に圧縮できる。
【0140】
さらに、複数のレンズ情報を一つにまとめて送信することにより、各コマンド間のブランキング時間も省略できるため、bit長以上の時短効果が期待できる。なお、図7(B)に示す例では、フレームが切り替わった最初の通信するデータの通信のワード長を変更して、複数のレンズ情報を一つにまとめて送信している。これにより、最初に、レンズ情報を取得した後、必要に応じて、レンズに対する駆動要求等を行うことで、各フレームにて確実にレンズデータを取得しつつ、レンズ制御が可能となる。ここで、通信のワード長を変更するのは、1フレーム期間の最初の通信に限られるものではない。また、絞り情報とは、絞り値(F値)又は絞り開口径を示す情報であり、ズーム情報とは、ズームレンズの位置、焦点距離又はズーム倍率を示す情報であり、フォーカス位置とは、合焦状態におけるレンズの位置に関する情報である。
【0141】
以上のように変形例1によれば、レンズ側制御部は、同期通信モードにおいて、複数の種類のレンズ情報を一つにまとめてカメラ本体200へ送信する。これにより、変形例1は、より短期間で多くの情報を送信することができる。また、複数の種類のレンズ情報を、各フレームにおいて確実に送れることで、フレームごとの正確な補正処理を行うことができ、動画の画質を向上することができる。
【0142】
[変形例2]
変形例2では、交換レンズ100は、同期通信モードにおいて、複数の種類のレンズ情報をレンズ情報の種類を変えて送信し、カメラ本体200の補間部は、フレーム内で動画の画像処理に不足している種類のレンズ情報を他のフレームが有するレンズ情報を使用して補間する。これにより、本例は、動画の画像処理に必要なレンズ情報が多数ある場合であっても、フレーム毎に適切なレンズ情報を使用して画像処理を行うことができるように通信を行うことができる。
【0143】
図8は、変形例2における、フレームの同期信号、カメラ本体200と交換レンズ100との間のシリアル通信の通信内容を説明するタイミングチャートである。
【0144】
図8には、交換レンズ100がリクエスト信号を受信せずにレンズ情報の種類を変えて送信する様子が示されている。具体的には、交換レンズ100は、フレームnにおいてフォーカス位置A1を送信し、フレームn+1において絞り情報A2を送信し、フレームn+2においてズーム情報A3を送信し、フレームn+3においてフォーカス位置A4を送信し、フレームn+4において絞り情報A5を送信する。なお、フレームn、フレームn+1、フレームn+2、フレームn+3、及びフレームn+4は動画記録モードでの任意の連続するフレームを示す。
【0145】
また、送信がされないレンズ情報は、補間部で補間される。補間部は、フレーム内で動画の画像処理に不足している種類のレンズ情報を他のフレームが有するレンズ情報を使用して補間したり、レンズ情報が送信されてこないフレームに関してのレンズ情報を他のフレームが有するレンズ情報を使用して補間したりする。
【0146】
交換レンズ100はフレームnにおいてフォーカス位置のみレンズ情報として送信しているので、絞り情報及びズーム情報がフレームnにおいて不足している。したがって、補間部は、フレームnにおいて、絞り情報及びズーム情報を補間する。補間の方法は様々の方法を採用することができる。例えば、補間部は、他のフレームが有する絞り情報及びズーム情報や前回送信されてきた絞り情報及びズーム情報を基に、フレームnにおける絞り情報及びズーム情報を補間することができる。なお、補間部の設置場所は特に限定されず、例えば、補間部は本体側CPU220の内部に設置されている。
【0147】
以上に説明したように変形例2によれば、交換レンズ100は、フレーム毎にレンズ情報の種類を変えて送信する。また、カメラ本体200は補間部を有し、その補間部は動画の画像処理に不足している種類のレンズ情報を他のフレームが有するレンズ情報を使用して補間する。これにより、変形例2は、動画の画像処理に必要なレンズ情報が多数ある場合であっても、フレーム毎に適切なレンズ情報を使用して画像処理を行うことができるように通信を行うことができる。
【0148】
[変形例3]
変形例3では、交換レンズ100は、複数の種類のレンズ情報の各々に優先順位を付与し、優先順位に基づいて送信頻度を付与し、動画のフレーム毎にレンズ情報を送信頻度に基づいて送信する。これにより、本例は、動画の画像処理に必要なレンズ情報が多数ある場合であっても、画像処理を行う上で重要な情報を優先的に送信することができる。
【0149】
図9は、変形例3における、フレームの同期信号、カメラ本体200と交換レンズ100との間のシリアル通信の通信内容を説明するタイミングチャートである。
【0150】
図9には、交換レンズ100がリクエスト信号を受信せずにレンズ情報を送信し、且つ複数の種類のレンズ情報に優先順位及び送信頻度を付与し、その送信頻度に応じてレンズ情報を送信する形態が示されている。
【0151】
図9に示す場合は、絞り情報、フォーカス位置、ズーム情報によりレンズ情報が構成されている。そして、レンズ側CPU120は、これらのレンズ情報に優先順位及び送信頻度を付与する。レンズ側CPU120は、絞り情報に対して優先順位を一番に設定し、フォーカス位置とズーム情報に対して優先順位を二番に設定する。そして、レンズ側CPU120は、優先順位に基づいて送信頻度をそれぞれのレンズ情報に付与する。レンズ側CPU120は、絞り位置の優先順位が一番であるため、絞り情報に対して送信頻度を高く設定する。具体的には、交換レンズ100は、フレームn、フレームn+2、及びフレームn+4において絞り情報A1、A3、及びA5を送信する。一方、交換レンズ100は、フレームn+1においてフォーカス位置A2を送信し、フレームn+3においてズーム情報A4を送信する。なお、1フレームの期間内に送信されないレンズ情報は、上述した変形例2と同様に補間部で処理される。このように、送信頻度が高く設定された絞り情報は、5フレームで3回送信され、送信頻度が低く設定されたフォーカス位置とズーム情報の各々は、5フレームで1回送信される。
【0152】
ここで、レンズ側CPU120は、優先順位及び送信頻度を様々な観点より決定することができる。例えば、レンズ側CPU120は、カメラ本体200で行われる画像処理に対する影響に応じて、レンズ情報に優先順位及び送信頻度を付与してもよい。ここで、画像処理とは、例えば、点像復元処理、シェーディング補正、ディストーション補正、及び色収差補正等である。
【0153】
以上に説明したように変形例3によれば、交換レンズ100は、複数の種類のレンズ情報の各々に優先順位及びその優先順位に応じた送信頻度を付与して、その送信頻度に基づいてレンズ情報を送信する。これにより、必要なレンズ情報を優先的に、且つ頻度を高く取得することができる。特に、カメラ本体200でレンズ情報に応じて画像処理を行う場合であって、動画の画像処理に必要なレンズ情報が多数ある場合であっても、本例によれば、カメラ本体200は、画像処理を行う上で重要な情報を優先的に送信することができる。
【0154】
[レンズ情報の応用例]
次に、以上で説明したような通信態様によって、レンズ情報を取得し、そのレンズ情報の応用例に関して説明する。
【0155】
[応用例1]
応用例1では、撮像装置10は、取得したレンズ情報を画像補正処理に使用する。
【0156】
図10は、図3で説明した撮像装置10の要部ブロック図である。図10に示す撮像装置10は、レンズ情報を画像補正処理に使用する。なお、図10では、図3に示すブロックのうち説明に必要なブロックのみを記載する。なお、図3で説明を行った箇所は説明を省略する。
【0157】
被写体像は、交換レンズ100を介して撮像素子201により捉えられる。その後、アナログ信号処理部203、A/D変換器204、及び画像入力コントローラ205で構成されるAFE262は、撮像素子201から取得したアナログ信号をデジタル信号の動画データへ変換する。デジタル信号処理部206内にある画像補正処理部(画像補正部)266は、AFE262から動画データを取得して画像補正処理を行う。具体的には、画像補正処理部266は、交換レンズ100からフレーム毎に取得するレンズ情報を基に、シェーディング補正や、ディストーション補正、及び色収差補正等をフレーム毎の動画データに対して行う。
画像補正処理部266による画像補正処理はこれに限られず、レンズ情報に基づいて取得した画像に行われる画像補正処理であればよく、絞り情報、ズーム情報またはフォーカス位置等に基づいて、画像補正処理の一部または全部を調整したり変更したりする処理であればよい。例えば画像補正処理がフィルタ処理である場合は、レンズ情報に基づいて、フィルタの強度またはゲイン、またはフィルタの種類を変えてもよい。また、レンズ情報に基づいて画像補正処理のパラメータを変えてもよく、例えば、絞り情報から得られる撮影時の被写体の明るさ情報を用いて処理精度を上げるホワイトバランス処理を行ってもよい。また、レンズ情報は、画像補正処理に使用される頻度の高い絞り情報とフォーカス位置または絞り情報とズーム情報の組み合わせが望ましいがこれに限られない。更に、レンズ情報は、光学手振れ補正機構における補正レンズの位置情報を含んでも良い。光学手振れ補正機構における補正レンズの位置によってディストーション等の光学特性が変わるため、補正レンズの位置情報に応じた画像補正処理を行うことでより高精度な画像補正処理が行えるようになる。
【0158】
本体側CPU220は、本体側通信部250を介して、交換レンズ100から時間軸(各フレームごと)に変化するレンズ情報を取得する。本体側CPU220内にある補正処理制御部264は、レンズ情報を基に画像補正処理の制御パラメータを算出しデジタル信号処理部206へ送信する。なお、レンズ情報とは、絞り情報、ズーム情報、フォーカス位置等のことである。
【0159】
図11は、図10のブロック図で示す撮像装置10の動作を示すフロー図である。先ず、本体側通信部250は、交換レンズ100からレンズ情報を取得する(ステップS34)。次に、本体側CPU220内にある補正処理制御部264は画像補正処理の制御パラメータを取得する(ステップS36)。そして、デジタル信号処理部206内に設置されている画像補正処理部266は、制御パラメータに基づいて動画データに対して画像補正処理を行う(ステップS38)。
【0160】
以上説明した応用例1のように、レンズ情報を動画データに対しての画像補正処理に使用する場合に、交換レンズ100がレンズ情報をフレームに同期し且つリクエスト信号を受信せずに送信することにより、カメラ本体200は、フレームに対して適切に画像補正処理を行うことができる。
【0161】
[応用例2]
応用例2では、撮像装置10は、取得したレンズ情報を使用して動画データに対して点像復元処理を行う。
【0162】
図12は、図3で説明した撮像装置10の要部ブロック図である。図12に示す撮像装置10は、取得したレンズ情報を点像復元処理に使用する。なお、図10では、図3に示すブロックのうち説明に必要なブロックのみを記載する。また、既に説明を行った箇所の説明は省略する。
【0163】
デジタル信号処理部206内にある点像復元処理部268は、動画データに対して、本体側CPU220から送信される点像復元処理の制御パラメータを使用して点像復元処理を行う。
【0164】
ここで、点像復元処理及び点像復元処理に使用する復元フィルタに関して説明する。点像の撮像により取得したボケた画像をG(X,Y)、元の点像をF(X,Y)、点像分布関数(PSF)をH(X,Y)とすると、次式で関係を表すことができる。
【0165】
[式1]
G(X,Y)=H(X,Y)*F(X,Y)
ただし、*はコンボリューションを示す。
【0166】
点像の撮像により取得したボケた画像G(X,Y)に基づいて[式1]のH(X,Y)(即ち、点像分布関数(Point Spread Function))を求める。
【0167】
次に、上記求めた点像分布関数(PSF)の逆関数を求める。この逆関数をR(X,Y)とすると、次式のように位相変調された画像G(X,Y)を、R(X,Y)によりコンボリューション処理することにより、元の画像F(X,Y)に対応する復元画像が得られる(点像復元処理)。
【0168】
[式2]
G(X,Y)*R(X,Y)=F(X,Y)
このR(X,Y)を復元フィルタという。復元フィルタは、原画像と復元画像との2乗平均誤差を最小にする最小2乗フィルタ(ウィナーフィルタ)、制限付き逆畳み込みフィルタ、再帰フィルタ、準同形フィルタ等を利用することができる。
【0169】
本例では、交換レンズ100から取得したレンズ情報を使用して、様々な点像復元処理に使用する制御パラメータを取得する。これにより、本例は、レンズ情報に適合した点像復元処理をフレーム毎の動画データに実行することができる。なお、レンズ情報とは、絞り情報、ズーム情報、フォーカス位置等のことである。レンズを含む撮影光学系102のPSFは、絞り値、ズーム位置、フォーカス位置等により異なるため、点像復元処理を行うフレームごとにこれらレンズ情報を交換レンズから取得し、適切な制御パラメータを取得することが望ましい。
【0170】
取得したレンズ情報に適合する点像復元処理の制御パラメータを取得する一つの形態として、レンズ情報に基づいて復元フィルタを選択する形態がある。具体的には、予めカメラ本体200のROM228は、レンズ情報に対応する複数の復元フィルタを格納し、本体側CPU220内にある点像復元処理制御部270は、取得したレンズ情報に基づいてROM228に格納されている復元フィルタを選択する。そして、選択された復元フィルタを使用して、点像復元処理部268は、フレーム毎の動画データに対して点像復元処理を行う。
【0171】
また、交換レンズ100が複数の復元フィルタを予めレンズ側のROM124に保有していてもよい。すなわち、カメラ本体200は、交換レンズ100が予め保有する複数の復元フィルタを受信しフラッシュROM226に格納し、点像復元処理制御部270は、格納されている複数の復元フィルタから取得したレンズ情報に基づいて復元フィルタを選択してもよい。
【0172】
取得したレンズ情報に適合する点像復元処理の制御パラメータを取得する他の形態として、レンズ情報に基づいてPSFを選択し復元フィルタを算出する形態がある。具体的には、交換レンズ100のROM124は複数のPSFが予め格納し、カメラ本体200はその複数のPSFを受信しフラッシュROM226に格納する。そして、点像復元処理制御部270は、レンズ情報に適合するPSFを選択して復元フィルタを算出する。そして、算出された復元フィルタを使用して、点像復元処理部268は、フレーム毎の動画データに対して点像復元処理を行う。
【0173】
図13は、図12のブロック図で示す撮像装置10の動作を示すフロー図である。先ず、本体側通信部250は、交換レンズ100からレンズ情報を取得する(ステップS40)。次に、本体側CPU220内にある点像復元処理制御部270は点像復元処理の制御パラメータを取得する(ステップS42)。そして、デジタル信号処理部206内に設置されている点像復元処理制御部270は、点像復元処理の制御パラメータに基づいて動画データに対して点像復元処理を行う(ステップS44)。
【0174】
以上説明した応用例2のように、レンズ情報を動画データに対しての点像復元処理に使用する場合に、レンズ情報がフレームに同期し且つリクエスト信号を受信せずに送信されるので、カメラ本体200は点像復元処理に必要な情報を適切に取得することができる。
【0175】
[応用例3]
応用例3では、撮像装置10は、カメラ本体200が点像復元処理を行うことの通知及び動画記録モードに設定された通知を交換レンズ100に送信し、交換レンズ100が複数の種類のレンズ情報をフレーム毎に種類を変えて送信する。すなわち、応用例3では、カメラ本体200と交換レンズ100との通信は上述した変形例2の形態により行われ、カメラ本体200は取得したレンズ情報を使用して点像復元処理を動画に対して行う。
【0176】
図14は、図3で説明した撮像装置10の要部ブロック図である。図14に示す撮像装置10は、フレーム毎に異なるレンズ情報取得し、取得したレンズ情報に基づいて動画に対して点像復元処理を行う。なお、図14では、図3に示すブロックのうち説明に必要なブロックのみを記載する。なお、既に説明を行った箇所は説明を省略する。
【0177】
操作部222は、ユーザからの点像復元処理の実行指示及び動画記録モードの設定指示を受け付ける。そして、操作部222は、本体側CPU220に点像復元処理の実行指示及び動画記録モードの設定指示を通知する。その後、本体側CPU220は、本体側通信部250を介して、交換レンズ100に点像復元処理が設定された通知及び動画記録モードに設定された通知を行う。
【0178】
交換レンズ100(レンズ側CPU120)は、点像復元処理が設定された通知及び動画記録モードに設定された通知を受信し、レンズ情報をカメラ本体200へ送信する。この際、交換レンズ100は、絞り情報、ズーム情報、及びフォーカス位置の順に、フレーム毎に変更して一つずつ送信する。
【0179】
本体側CPU220内にある補間部272は、フレーム毎に、動画の画像処理に不足している種類のレンズ情報を他のフレームが有するレンズ情報を使用して補間する。例えば、絞り情報が送信されるフレームにおいては、ズーム情報及びフォーカス位置を他のフレームが有するズーム情報及びフォーカス位置を使用して補間する。
【0180】
本体側CPU220内にある点像復元処理制御部270は、フレーム毎に変更して送られてくる絞り情報、ズーム情報、及びフォーカス位置のレンズ情報、及び補間部272により補間されたレンズ情報を使用して、点像復元処理の制御パラメータを取得する。ここで、点像復元処理の制御パラメータとは、例えば復元フィルタ等である。
【0181】
図15は、図14のブロック図で示す撮像装置10の動作を示すフロー図である。先ず、カメラ本体200は、交換レンズ100に点像復元処理が設定されたことの通知及び動画記録モードに設定されたことの通知を行う(ステップS50)。次に、交換レンズ100は、絞り情報をレンズ情報として送信する。その後、補間部272は、ズーム情報を他のフレームが有するズーム情報を使用して補間し(ステップS54)、フォーカス位置を他のフレームが有するフォーカス位置を使用して補間する(ステップS56)。次に、本体側CPU220は、絞り情報、ズーム情報、フォーカス位置のレンズ情報を取得する(ステップS58)。その後、点像復元処理制御部270は、取得したレンズ情報及び補間部272により補間されたレンズ情報を基に、点像復元処理の制御パラメータを取得する(ステップS60)。その後、点像復元処理部268は、点像復元処理の制御パラメータに基づいて動画データに対して点像復元処理を行う。
【0182】
以上説明した応用例3では、レンズ情報が複数の種類によって構成されている場合に、フレーム毎に異なるレンズ情報が送信される。したがって、カメラ本体200は、情報量が多いレンズ情報であっても点像復元処理を行う際に適切に取得することができる。
【0183】
[応用例4]
応用例4では、交換レンズ100(レンズ側CPU120)は、複数の種類が存在するレンズ情報を、点像復元処理の制御パラメータの取得に影響が大きいレンズ情報に関して高頻度で送信する。すなわち、応用例4では、カメラ本体200と交換レンズ100との通信は上述した変形例3の形態により行われ、カメラ本体200は取得したレンズ情報を使用して点像復元処理を動画に対して行う。これにより、本例は、レンズ情報の送信を効率的に行うことができ且つ点像復元処理を適格に行うことができる。
【0184】
本例の場合、レンズ情報の優先順位及び送信頻度は、点像復元処理の制御パラメータの取得の際に影響を考慮して決定される。すなわち、カメラ本体200は動画に対して点像復元処理を行うので、点像復元処理の制御パラメータ(例えばPSF)に影響が大きい絞り情報に関して優先順位を高く設定し、高い送信頻度を付与する。例えば、交換レンズ100は、4フレームおきに、2フレームでは絞り情報を送信し、1フレームではズーム情報を送信し、1フレームではフォーカス位置を送信し、このパターンを繰り返して送信する。(図9を参照)。
【0185】
その後、カメラ本体200は、交換レンズ100から取得したレンズ情報を使用して点像復元処理の制御パラメータを取得する。なお、1フレーム内で送信されてこないレンズ情報は、本体側CPU220内にある補間部272により補間される。具体的には、交換レンズ100が絞り情報を送信するフレームでは、補間部272は、ズーム情報及びフォーカス位置を他のフレームが有するズーム情報及びフォーカス位置を使用して補間する。
【0186】
以上説明した応用例4では、レンズ情報が複数の種類によって構成されている場合に、点像復元処理の制御パラメータの決定に影響がある種類のレンズ情報を優先的に高頻度に送信する。これにより、カメラ本体200は、点像復元処理の制御パラメータを適切に決定することができる。
【0187】
<他の実施態様>
以上の説明では主に、交換レンズ100とカメラ本体200とのカメラシステム(撮像装置10)に関して説明を行ってきたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明を実現する交換レンズ、カメラ本体、通信方法等の実施態様も採用することができる。
【0188】
また、以上の説明では主に、有線での通信に関して説明を行ってきたが、本発明の効果を阻害しない範囲でこれに限定されるものではない。例えば、カメラシステムは、無線通信により機能してもよい。
【符号の説明】
【0189】
10…撮像装置、20…光学ファインダ窓、22…シャッタレリーズボタン、23…シャッタスピードダイヤル、24…露出補正ダイヤル、26…接眼部、27…OKキー、28…十字キー、29…再生ボタン、100…交換レンズ、102…撮影光学系、104…ズームレンズ、106…フォーカスレンズ、108…絞り、114…ズームレンズ制御部、116…フォーカスレンズ制御部、118…絞り制御部、120…レンズ側CPU、122…RAM、124…ROM、126…フラッシュROM、150…レンズ側通信部、160…レンズマウント、200…カメラ本体、201…撮像素子、202…撮像素子制御部、203…アナログ信号処理部、204…A/D変換器、205…画像入力コントローラ、206…デジタル信号処理部、206…デジタル信号処理部、207…RAM、208…圧縮伸張処理部、210…メディア制御部、212…メモリカード、214…表示制御部、216…モニタ、220…本体側CPU、222…操作部、224…時計部、226…フラッシュROM、228…ROM、230…AF検出部、232…AWB検出部、240…電源制御部、242…バッテリ、244…レンズ電源スイッチ、250…本体側通信部、252…ASIC、260…本体マウント、262…AFE
図1
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