(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ノズルは、第1の基板処理に用いられる第1ノズルと、前記第1の基板処理よりも後段の第2の基板処理に用いられる第2ノズルと、前記第2の基板処理よりも後段の第3の基板処理に用いられる第3ノズルとを含み、前記第1ノズルおよび前記第3ノズルが第1アームに設けられ、前記第2ノズルが第2アームに設けられており、
前記第2の基板処理中に前記第1ノズルおよび/または前記第3ノズルについての前記洗浄工程が行われること
を特徴とする請求項9に記載のノズル洗浄方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するノズル洗浄装置、ノズル洗浄方法および基板処理装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
(第1の実施形態)
<基板処理システムの構成>
【0017】
まず、第1の実施形態に係る基板処理システムの構成について
図1を用いて説明する。
図1は、第1の実施形態に係る基板処理システムの構成を示す図である。
【0018】
なお、以下においては、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。また、以下では、X軸負方向側を基板処理システムの前方、X軸正方向側を基板処理システムの後方と規定する。
【0019】
図1に示すように、基板処理システム100は、基板搬入出部2と、基板搬送部3と、基板処理部4とを備える。これら基板搬入出部2、基板搬送部3および基板処理部4は、基板処理システム100の前方から後方へ、基板搬入出部2、基板搬送部3および基板処理部4の順で連結して配置される。
【0020】
基板搬入出部2は、基板Wを複数枚(たとえば、25枚)まとめてキャリア2aで搬入及び搬出するための処理部であり、たとえば4個のキャリア2aを基板搬送部3の前壁3aに密着させた状態で左右に並べて載置可能である。
【0021】
基板搬送部3は、基板搬入出部2の後方に配置され、内部に基板搬送装置3bと基板受渡台3cとを備える。かかる基板搬送部3は、基板搬送装置3bを用い、基板搬入出部2に載置されたキャリア2aと基板受渡台3cとの間で基板Wの搬送を行う。
【0022】
基板処理部4は、基板搬送部3の後方に配置される。かかる基板処理部4は、中央部に基板搬送装置4aを備えるとともに、基板搬送装置4aの左右両側にそれぞれ複数(ここでは、6個ずつ)の基板処理装置1a〜1lを前後方向(X軸と平行な方向)に並べて収容している。
【0023】
そして、基板搬送装置4aは、基板搬送部3の基板受渡台3cと各基板処理装置1a〜1lとの間で基板Wを1枚ずつ搬送し、各基板処理装置1a〜1lは、基板Wを1枚ずつ処理する。
【0024】
<基板処理装置の構成>
次に、第1の実施形態に係る基板処理装置の構成について
図2を用いて説明する。
図2は、第1の実施形態に係る基板処理装置の構成を示す模式平面図である。
【0025】
図2に示すように、第1の実施形態に係る基板処理装置1は、ノズルから吐出される各種の処理液を用いて基板Wを処理する装置である。具体的には、基板処理装置1は、処理室10内に、基板保持部20と、処理液供給部30A,30Bと、ノズル待機部40A,40Bと、ノズル洗浄装置50とを備える。
【0026】
基板保持部20は、基板Wを回転可能に保持する回転保持機構21と、かかる回転保持機構21を取り囲むように配置された処理液回収機構22とを備える。かかる基板保持部20は、回転保持機構21によって基板Wを回転させるとともに、基板Wの回転による遠心力によって基板Wの外方へ飛散する処理液を処理液回収機構22によって回収する。
【0027】
なお、回転保持機構21は、基板Wを略水平に保持し、保持した基板Wを鉛直軸まわりに回転させる。
【0028】
処理液供給部30A,30Bは、基板保持部20によって保持された基板Wの上方から基板Wへ向けて処理液を供給する。各処理液供給部30A,30Bは、処理液を吐出する吐出機構31A,31Bと、吐出機構31A,31Bを水平に支持するアーム32A,32Bと、アーム32A,32Bを旋回および昇降させる旋回昇降機構33A,33Bとをそれぞれ備える。
【0029】
なお、アーム32A,32Bおよび旋回昇降機構33A,33Bは、ノズルを支持するとともに、該ノズルを移動させるアームの一例である。
【0030】
吐出機構31A,31Bには、処理液を基板Wへ向けて吐出するノズルが設けられている。具体的には、基板処理装置1は、SPM(Sulfuric Acid Hydrogen Peroxide Mixture)を吐出する第1ノズルと、SC1を吐出する第2ノズルと、処理液を気体と混合してミスト状に吐出する第3ノズルとを備える。そして、第1ノズルおよび第3ノズルは吐出機構31Aに設けられ、第2ノズルは吐出機構31Bに設けられる。
【0031】
なお、SPMは、H2SO4およびH2O2の混合溶液であり、SC1は、アンモニア水と過酸化水素水と水との混合液である。
【0032】
ここで、第1ノズルおよび第3ノズルを備える吐出機構31Aの構成について
図3を用いて説明する。
図3は、吐出機構31Aの構成を示す模式斜視図である。
【0033】
図3に示すように、吐出機構31Aは、ベース部311と、第1ノズル312と、第3ノズル313とを備える。
【0034】
ベース部311は、アーム32Aの先端に接続される部材である。第1ノズル312および第3ノズル313は、かかるベース部311の先端下部に互いに隣接して設けられる。
【0035】
第1ノズル312は、バルブ314を介して図示しないSPM供給源と接続され、かかるSPM供給源からバルブ314を介して供給されるSPMを鉛直下方へ向けて吐出する。
【0036】
第3ノズル313は、液体と気体とを混合して吐出する2流体ノズルである。かかる第3ノズル313は、図示しない処理液供給源とバルブ315を介して接続される第1の吐出口と、図示しない気体供給源とバルブ316を介して接続される第2の吐出口とを備える。
【0037】
第3ノズル313は、第1の吐出口から処理液を吐出するとともに、第2の吐出口から気体(N2)を吐出する。これにより、処理液と気体とが第3ノズル313の外部で混合されてミスト状の処理液が形成され、かかるミスト状の処理液が基板Wへ供給される。
【0038】
なお、第1ノズル312および第3ノズル313には、図示しない流量調整器が接続されており、かかる流量調整器によって第1ノズル312および第3ノズル313から吐出される処理液や気体の流量が調整される。流量調整器およびバルブ314〜316の制御は、後述する制御部によって行われる。
【0039】
このように、吐出機構31Aは、第1ノズル312および第3ノズル313の2つのノズルを備える。
【0040】
ここで、SPMを吐出する第1ノズル312には、SPMが乾燥固化して形成される凝集物が付着する可能性がある。さらに、吐出機構31Aにおいては、かかる凝集物が、第1ノズル312だけでなく、第1ノズル312に隣接する第3ノズル313にも付着する可能性がある。第1ノズル312や第3ノズル313にこのような凝集物が付着した状態で基板処理を行うと、かかる凝集物が基板Wに飛散して基板Wが汚損されるおそれがある。
【0041】
これに対し、第1の実施形態に係る基板処理装置1は、ノズル洗浄装置50を用いて第1ノズル312および第3ノズル313を洗浄することにより、第1ノズル312および第3ノズル313に付着した凝集物等を除去することができる。ノズル洗浄装置50は、洗浄液をオーバーフローさせながらノズルを浸漬洗浄するタイプのものであり、従来の洗浄方式と比較して、ノズルの先端から上部までムラ無く洗浄することができる。かかる点については、後述する。
【0042】
吐出機構31Bは、アーム32Bに接続されるベース部と、かかるベース部の先端下部に設けられる第2ノズルとを備える。第2ノズルは、図示しないバルブを介して図示しないSC1供給部と接続され、かかるSC1供給部から供給されるSC1を鉛直下方へ向けて吐出する。
【0043】
ノズル待機部40A,40Bは、処理液供給部30A,30Bの待機位置にそれぞれ配置されており、各処理液供給部30A,30Bが備えるノズルを収容する収容部を備える。
【0044】
具体的には、ノズル待機部40Aは、第1ノズル312を収容するための第1収容部41と、第3ノズル313を収容するための第2収容部42とを備え、ノズル待機部40Bは、第2ノズルを収容するための収容部(図示せず)を備える。処理液供給部30A,30Bは、ノズル待機部40A,40Bの収容部にノズルを収容し、処理液の劣化を防止するためにノズルから処理液を適宜吐出させながら待機する。
【0045】
ノズル洗浄装置50は、処理液供給部30Aの第1ノズル312および第3ノズル313を洗浄する洗浄装置であり、ノズル待機部40Aに隣接して配置される。
【0046】
<ノズル洗浄装置の構成>
ここで、ノズル洗浄装置50の構成について
図4を用いて説明する。
図4は、ノズル洗浄装置50の構成を示す模式斜視図である。
【0047】
図4に示すように、ノズル洗浄装置50は、第1ノズル312の洗浄を行う第1洗浄部50Aと、第3ノズル313の洗浄を行う第2洗浄部50Bとを備え、第1ノズル312および第3ノズル313を個別かつ同時に洗浄することができる。
【0048】
ここで、ノズル待機部40Aは、第1収容部41内に貯留されたSPMを外部へ排出する第1排出部43と、第2収容部42内に貯留された処理液を外部へ排出する第2排出部44とを備える。そして、ノズル洗浄装置50は、ノズル待機部40Aに連結され、ノズル洗浄装置50においてノズル洗浄に用いられる洗浄液を、ノズル待機部40Aが備える第1排出部43および第2排出部44経由で外部へ排出する。
【0049】
次に、第3ノズル313の洗浄を行う第2洗浄部50Bの構成について
図5を用いて説明する。
図5は、第2洗浄部50Bの構成を示す模式側断面図である。なお、第1洗浄部50Aは、第2洗浄部50Bと略同一の構成であるため、ここでは第2洗浄部50Bの構成について説明し、第1洗浄部50Aの構成については説明を省略する。
【0050】
図5に示すように、第2洗浄部50Bは、貯留槽51と、液吐出部52と、気体噴出部53と、オーバーフロー排出部54と、集液部55とを備える。
【0051】
貯留槽51は、円筒状の内周面61を有し、第3ノズル313を洗浄する洗浄液が内部に貯留される。洗浄液は、たとえばHDIWである。HDIWは、常温(たとえば20℃)よりも高い所定の温度(45〜80℃程度)に加熱された高温の純水である。このように、洗浄液としてHDIWを用いることにより、常温の純水であるCDIWを用いた場合と比べて高い洗浄効果を得ることができる。
【0052】
また、貯留槽51は、円筒状の内周面61と連接する漏斗状の底面62を有し、かかる底面62の頂部には、貯留槽51と集液部55とを連通する排出口63が形成される。貯留槽51に貯留された洗浄液は、かかる排出口63を通って集液部55へ集液される。
【0053】
このように、貯留槽51の底面を漏斗状に形成することにより、貯留槽51に貯留された洗浄液を排出口63から効率的に排出することができる。
【0054】
第1の実施形態において、漏斗状の底面62は、貯留槽51の内周面61の中心軸と略同軸上に頂部が配置される形状を有する。ただし、「漏斗状」の形状は、かかる形状に限定されるものではなく、貯留槽51の内周面61の中心軸からずれた位置に頂部が配置される形状であってもよい。かかる点については、第3の実施形態において後述する。
【0055】
液吐出部52は、貯留槽51内へ洗浄液を吐出する。具体的には、液吐出部52は、バルブ64を介して洗浄液であるHDIWの供給源と接続されており、かかる供給源からバルブ64を介して供給されるHDIWを貯留槽51内へ吐出する。バルブ64の開閉制御は、後述する制御部によって行われる。
【0056】
液吐出部52からは、貯留槽51の排出口63から排出される洗浄液の量を超える量の洗浄液が供給される。これにより、貯留槽51内に洗浄液が貯留される。
【0057】
また、液吐出部52は、貯留槽51の内周面61の中心軸からずれた位置へ向けて貯留槽51内に洗浄液を吐出することによって、貯留槽51内に洗浄液の旋回流を形成する。ここで、液吐出部52の配置について
図6を用いて説明する。
図6は、液吐出部52の配置を説明するための模式平断面図である。
【0058】
図6に示すように、液吐出部52は、貯留槽51の内周面61の接線方向に沿って形成された吐出口52aと、かかる吐出口52aに連通する流路52bとを備える。液吐出部52から吐出された洗浄液は、貯留槽51の内周面61に沿って流れる。これにより、貯留槽51内には洗浄液の旋回流が形成される。
【0059】
このように、液吐出部52は、貯留槽51の内周面61に沿って洗浄液を吐出することによって、貯留槽51内に洗浄液を貯留するとともに、貯留槽51内を旋回する旋回流を形成することができる。
【0060】
第2洗浄部50Bは、貯留槽51内に貯留された洗浄液を用いて第3ノズル313を浸漬洗浄する。これにより、第2洗浄部50Bは、貯留槽51に挿入された第3ノズル313を先端部から上部まで洗浄することができる。さらに、第2洗浄部50Bは、貯留槽51内に旋回流を形成することで第3ノズル313の洗浄力を高めることができる。
【0061】
また、第2洗浄部50Bは、後述するように、貯留槽51内の洗浄液をオーバーフローさせながら第3ノズル313を浸漬洗浄する。これにより、第3ノズル313から除去された凝集物等の汚れを貯留槽51の外部に排出することができるとともに、貯留槽51内に旋回流を継続して形成しておくことができる。
【0062】
なお、貯留槽51内に旋回流を形成するためには、液吐出部52から吐出された洗浄液が結果的に貯留槽51の内周面61に沿って流れればよく、液吐出部52自体が、貯留槽51の内周面61に沿って洗浄液を吐出する必要はない。すなわち、液吐出部52は、少なくとも、貯留槽51の内周面61の中心軸からずれた位置へ向けて貯留槽51内に洗浄液を吐出するものであればよい。
【0063】
また、液吐出部52は、
図5に示すように、貯留槽51内に挿入された第3ノズル313の先端面と略同一の高さに配置される。これにより、液吐出部52は、第3ノズル313の先端面の近傍に旋回流を形成することができ、SPMの凝集物が付着し易い第3ノズル313の先端面を効果的に洗浄することができる。
【0064】
気体噴出部53は、貯留槽51内へ気体(N2)を噴出する。かかる気体噴出部53は、上側噴出部53A(第1噴出部の一例に相当)と、下側噴出部53B(第2噴出部の一例に相当)とを備える。
【0065】
上側噴出部53Aおよび下側噴出部53Bは、それぞれ貯留槽51の内周面61に形成された噴出口と、かかる噴出口に連通する流路とを備える。上側噴出部53Aの流路と下側噴出部53Bの流路は互いに連通しており、図示しない気体供給源と接続される。また、上側噴出部53Aおよび下側噴出部53Bと気体供給源とを接続する配管には、第1バルブ65および第2バルブ66が並列に設けられる。
【0066】
上側噴出部53Aおよび下側噴出部53Bは、図示しない気体供給源から第1バルブ65または第2バルブ66を介して供給される気体(N2)を貯留槽51内へ噴出することにより、洗浄後の第3ノズル313の表面に残存する洗浄液を除去することができる。第1バルブ65および第2バルブ66の開閉制御は、後述する制御部によって行われる。
【0067】
ここで、
図7を参照し、上側噴出部53Aおよび下側噴出部53Bによる気体の噴出方向について具体的に説明する。
図7は、上側噴出部53Aおよび下側噴出部53Bによる気体の噴出方向を説明するための模式側断面図である。
【0068】
図7に示すように、上側噴出部53Aは、貯留槽51内に挿入された第3ノズル313の先端面よりも高い位置に配置され、気体供給源から供給される気体を斜め下方へ向けて噴出する。これにより、上側噴出部53Aは、第3ノズル313の外周面に残存する洗浄液を吹き飛ばして第3ノズル313を乾燥させることができる。
【0069】
しかも、上側噴出部53Aは、気体を斜め下方へ向けて噴出するため、第3ノズル313から除去された洗浄液が貯留槽51の外部へ飛散することを防止することができる。
【0070】
一方、下側噴出部53Bは、貯留槽51内に挿入された第3ノズル313の先端面と略同一の高さに配置され、第3ノズル313の先端面へ向けて略水平に気体を噴出する。これにより、下側噴出部53Bは、洗浄液が残存し易い第3ノズル313の先端面を集中的に乾燥させることができる。
【0071】
気体噴出部53は、これら上側噴出部53Aおよび下側噴出部53Bをそれぞれ複数備えている。ここで、複数の上側噴出部53Aおよび複数の下側噴出部53Bの配置について
図8Aおよび
図8Bを用いて説明する。
図8Aは、上側噴出部53Aの配置を説明するための模式平断面図であり、
図8Bは、下側噴出部53Bの配置を説明するための模式平断面図である。
【0072】
図8Aに示すように、気体噴出部53は、10個の上側噴出部53Aa〜53Ajを備える。このうち、上側噴出部53Aa〜53Aeは、貯留槽51の内周面61の一方側に並べて配置され、貯留槽51の他方側へ向けて気体を吐出する。また、残りの上側噴出部53Af〜53Ajは、貯留槽51の内周面61の他方側に並べて配置され、貯留槽51の一方側へ向けて気体を吐出する。
【0073】
このように、複数の上側噴出部53Aa〜53Ajは、第3ノズル313の両側から第3ノズル313に対して気体(N2)を噴出する。これにより、第3ノズル313の外周面の略全周に亘って気体を供給することができ、第3ノズル313の外周面をより確実に乾燥させることができる。
【0074】
図8Aでは、上側噴出部53Aa〜53Aeおよび上側噴出部53Af〜53Ajが、これら上側噴出部53Aa〜53Aeおよび上側噴出部53Af〜53Ajの配置方向(X軸方向)と平行に、すなわち、互いに向き合う方向へ向けて気体を噴出する場合の例を示した。
【0075】
しかし、これに限ったものではなく、第3ノズル313の一方側に配置される上側噴出部および他方側に配置される上側噴出部は、配置方向に対して斜めに気体を噴出するようにしてもよい。かかる点について
図9を用いて説明する。
図9は、上側噴出部の配置の他の例を説明するための模式平断面図である。
【0076】
図9に示すように、貯留槽51’には、第3ノズル313の一方側に4個の上側噴出部53Aa’〜53Ad’が設けられ、第3ノズル313の他方側に4個の上側噴出部53Ae’〜53Ah’が設けられる。なお、以下では、上側噴出部53Aa’〜53Ad’を一方側上側噴出部53Aa’〜53Ad’と記載し、上側噴出部53Ae’〜53Ah’を他方側上側噴出部53Ae’〜53Ah’と記載する。
【0077】
一方側上側噴出部53Aa’〜53Ad’および他方側上側噴出部53Ae’〜53Ah’は、噴出口がX軸方向に対して平行に配置される。具体的には、一方側上側噴出部53Aa’〜53Ad’は、第3ノズル313のX軸正方向側に噴出口が配置され、他方側上側噴出部53Ae’〜53Ah’は、第3ノズル313のX軸負方向側に噴出口が配置される。
【0078】
そして、一方側上側噴出部53Aa’〜53Ad’と他方側上側噴出部53Ae’〜53Ah’とは、平面視において、一方側上側噴出部53Aa’〜53Ad’および他方側上側噴出部53Ae’〜53Ah’の噴出口の配置方向(すなわち、X軸方向)に対して斜めに気体を噴出する。
【0079】
具体的には、配置方向(X軸方向)に対する気体の噴出方向の傾きは、一方側上側噴出部53Aa’〜53Ad’による気体の噴出範囲と他方側上側噴出部53Ae’〜53Ah’による気体の噴出範囲とが互いに重複しない角度に設定される。
【0080】
これにより、一方側上側噴出部53Aa’〜53Ad’から噴出される気体と、他方側上側噴出部53Ae’〜53Ah’から噴出される気体とが衝突することを確実に防止することができる。したがって、これらの気体同士が衝突して風圧が弱められて第3ノズル313の外周面に洗浄液が残ることを防止することができる。しかも、貯留槽51内に気体の旋回流を形成することができるため、第3ノズル313の外周面をより効率的に乾燥させることができる。
【0081】
なお、ここでは、一方側上側噴出部53Aa’〜53Ad’による気体の噴出範囲と他方側上側噴出部53Ae’〜53Ah’による気体の噴出範囲とが互いに重複しない角度に設定される場合について説明した。しかし、これに限ったものではなく、一方側上側噴出部53Aa’〜53Ad’による気体の噴出範囲と他方側上側噴出部53Ae’〜53Ah’による気体の噴出範囲とは、部分的に重複してもよい。かかる場合、たとえば、一方側上側噴出部53Aa’〜53Ad’と他方側上側噴出部53Ae’〜53Ah’とを互い違いに配置することで、気体の衝突を防止することができる。
【0082】
つづいて、下側噴出部53Bの配置について説明する。
図8Bに示すように、気体噴出部53は、5個の下側噴出部53Ba〜53Beを備える。これら下側噴出部53Ba〜53Beは、貯留槽51の一方側に並べて配置され、貯留槽51の他方側へ向けて気体を吐出する。
【0083】
このように、複数の下側噴出部53Ba〜53Beは、第3ノズル313の片側から第3ノズル313に対して気体(N2)を噴出する。上述したように、下側噴出部53Ba〜53Beは、第3ノズル313の先端面と略同一の高さからかかる先端面へ向けて略水平に気体を噴出する。このため、仮に、下側噴出部53Bを貯留槽51の両側に設けることとすると、気体同士が衝突し易く、第3ノズル313の先端面が適切に乾燥されないおそれがある。
【0084】
したがって、ノズル洗浄装置50は、下側噴出部53Ba〜53Beを貯留槽51の内周面61の一方側にのみ設けることにより、第3ノズル313の先端面を適切に乾燥させることができる。
【0085】
なお、ここでは、気体噴出部53が10個の上側噴出部53Aa〜53Ajと5個の下側噴出部53Ba〜53Beとを備える場合の例について説明したが、上側噴出部および下側噴出部の個数は、上記の個数に限定されない。
【0086】
また、以下においては、上側噴出部53Aa〜53Ajのうち任意の上側噴出部53Aa〜53Ajを示す場合には、単に「上側噴出部53A」と記載する。同様に、下側噴出部53Ba〜53Beのうち任意の下側噴出部53Ba〜53Beを示す場合には、単に「下側噴出部53B」と記載する。
【0087】
図5に戻り、第2洗浄部50Bの説明を続ける。オーバーフロー排出部54は、貯留槽51からオーバーフローした洗浄液を排出して集液部55へ導く排出部である。
【0088】
このように、第2洗浄部50Bは、オーバーフロー排出部54を備えることにより、貯留槽51に対して洗浄液を満杯に貯留することができ、第3ノズル313の先端部から上部まで容易に洗浄することができる。
【0089】
また、第3ノズル313から除去された凝集物等の汚れをオーバーフロー排出部54経由で貯留槽51の外部に排出することができるため、第3ノズル313から除去された汚れが第3ノズル313に再び付着することを防止することができる。
【0090】
さらに、オーバーフロー排出部54を備えることで、貯留槽51内へ洗浄液を供給し続けることができるため、洗浄処理中において貯留槽51内に旋回流を継続的に形成することができる。
【0091】
集液部55は、貯留槽51およびオーバーフロー排出部54の下部に設けられ、貯留槽51から排出口63経由で流入する洗浄液およびオーバーフロー排出部54から流入する洗浄液を集液する。
【0092】
かかる集液部55は、バルブ67を介してノズル待機部40Aの第2排出部44(
図4参照)に接続される。これにより、集液部55に集液された洗浄液は、バルブ67および第2排出部44を介して外部へ排出される。
【0093】
<ノズル洗浄装置の動作>
次に、第2洗浄部50Bを用いて行われるノズル洗浄処理について
図10A〜
図10Eを用いて説明する。
図10A〜
図10Eは、ノズル洗浄処理の動作例を示す模式側断面図である。なお、
図10A〜
図10Eに示す第2洗浄部50Bの各動作は、後述する制御部によって制御される。
【0094】
図10Aに示すように、第2洗浄部50Bは、第3ノズル313の洗浄を行う前に、洗浄液であるHDIWを貯留槽51内に供給し、一旦貯留する前処理を行う。
【0095】
かかる前処理において、制御部は、バルブ64を開放することによって液吐出部52から洗浄液であるHDIWを吐出させる。これによって、貯留槽51内に洗浄液が貯留される。また、制御部は、バルブ67を開放する。これにより、貯留槽51内に貯留され、排出口63またはオーバーフロー排出部54経由で集液部55へ集液された洗浄液は、ノズル待機部40Aの第2排出部44(
図4参照)から外部へ排出される。
【0096】
また、制御部は、貯留槽51に貯留された洗浄液の液面が下側噴出部53Bの高さに達する前のタイミングで、第1バルブ65を開放することによって、気体であるN2を上側噴出部53Aおよび下側噴出部53Bから噴出する。
【0097】
これにより、ノズル洗浄装置50は、貯留槽51に貯留された洗浄液が上側噴出部53Aおよび下側噴出部53Bの流路に流入することを防止することができる。なお、第1バルブ65開放時の気体の流量は、上側噴出部53Aおよび下側噴出部53Bの流路への洗浄液の流入を防止することができる程度の流量であればよい。
【0098】
液吐出部52からの洗浄液を所定時間吐出させた後、制御部は、バルブ64を閉じる。これにより、液吐出部52からの洗浄液の吐出が停止し、貯留槽51内に貯留された洗浄液が排出口63から排出される。なお、制御部は、第1バルブ65およびバルブ67は開放したままとしておく。
【0099】
このように、ノズル洗浄装置50は、前処理を行うことで、HDIWの供給源と液吐出部52とを接続する配管内に残留する温度の下がったHDIWを排出することができ、後段の浸漬洗浄処理時において所定温度のHDIWを直ちに吐出することができる。また、貯留槽51にHDIWを一旦貯留することで貯留槽51が温められるため、後段の浸漬洗浄処理時においてHDIWの温度低下を抑えることができる。
【0100】
貯留槽51内に貯留された洗浄液が排出口63から排出された後、制御部は、旋回昇降機構33Aを駆動させて第3ノズル313を貯留槽51内へ挿入させ(
図10B参照)、その後、
図10Cに示す浸漬洗浄処理を行う。
【0101】
なお、第3ノズル313は、貯留槽51内に貯留された洗浄液が排出口63から排出された後で貯留槽51内へ挿入されるため、第3ノズル313の挿入によって貯留槽51から洗浄液が溢れ出たり飛び跳ねたりするおそれがない。
【0102】
図10Cに示すように、制御部は、バルブ64を開放することによって液吐出部52から洗浄液であるHDIWを吐出させる。これにより、貯留槽51内には、洗浄液が貯留されるとともに、貯留槽51内を旋回する旋回流が形成される。第3ノズル313は、洗浄液に浸漬され、旋回流によってSPMの凝集物などが除去される。
【0103】
このように、第2洗浄部50Bは、第3ノズル313を浸漬洗浄する。このため、従来のような吹き付け洗浄方式と比較して、洗浄ムラを生じ難くすることができる。すなわち、洗浄残りを生じ難くすることができる。
【0104】
しかも、第2洗浄部50Bは、貯留槽51内に洗浄液の旋回流を形成して第3ノズル313を洗浄するため、第3ノズル313に付着したSPMの凝集物などをより確実に除去することができる。
【0105】
また、上述したように、貯留槽51には、内周面61の中心軸と略同軸上に排出口63が形成される。これにより、ノズル洗浄装置50は、排出口63から洗浄液が排出される際に生じる渦の中心位置と上記旋回流の中心位置とを略一致させることができ、旋回流と渦との相乗効果によって第3ノズル313の洗浄力を高めることができる。
【0106】
また、貯留槽51の底面62が漏斗状に形成されているため、旋回流を容易に形成することができる。
【0107】
また、液吐出部52は、第3ノズル313の先端面と略同一の高さに配置されるため、第3ノズル313の先端面の近傍に旋回流を形成することができ、SPMの凝集物が付着し易い第3ノズル313の先端面を効果的に洗浄することができる。
【0108】
貯留槽51内に貯留された洗浄液は、排出口63またはオーバーフロー排出部54を経由して集液部55へ集液され、集液部55から外部へ排出される。
【0109】
また、第1バルブ65は開放されたままである。このため、前処理時と同様に、上側噴出部53Aおよび下側噴出部53Bから噴出される気体によって、上側噴出部53Aおよび下側噴出部53Bの流路への洗浄液の流入が防止される。
【0110】
なお、制御部は、第1バルブ65に加えて第2バルブ66を開放させてもよい。これにより、貯留槽51内に噴出される気体の流量が増加するため、貯留槽51内に貯留された洗浄液が泡立ち、かかる泡によって第3ノズル313をより強力に洗浄することができる。このように、第2洗浄部50Bは、気体噴出部53の噴出口よりも高い位置まで洗浄液を貯留した状態で、気体噴出部53(上側噴出部53Aおよび下側噴出部53B)から気体を噴出させて洗浄液を泡立たせるバブリング処理を行ってもよい。
【0111】
液吐出部52から洗浄液を所定時間吐出させた後、制御部は、バルブ64を閉じる。これにより、液吐出部52からの洗浄液の吐出が停止し、貯留槽51内に貯留された洗浄液が排出口63から排出される。このとき、洗浄液は旋回流を形成しながら排出されるため、第3ノズル313の外周面への液残りを少なくすることができ、後段の乾燥処理に要する時間を短縮することができる。なお、制御部は、第1バルブ65およびバルブ67を開放したままとしておく。
【0112】
第2洗浄部50Bは、上記の浸漬洗浄処理を複数回繰り返し行う。具体的には、制御部は、液吐出部52からの洗浄液の吐出を停止し、貯留槽51内の洗浄液を排出した後、再び液吐出部52から洗浄液を吐出させて浸漬洗浄処理を行う。これにより、第3ノズル313をより確実に洗浄することができる。
【0113】
浸漬洗浄処理を終えると、第2洗浄部50Bは、
図10Dに示すように、第3ノズル313に気体を噴出して第3ノズル313を乾燥させる乾燥処理を行う。
【0114】
かかる乾燥処理において、制御部は、第2バルブ66を開放し、前処理時および浸漬洗浄時よりも多い流量の気体(N2)を上側噴出部53Aおよび下側噴出部53Bから噴出させる。このように、制御部は、第1バルブ65および第2バルブ66(流量調整部に相当)を制御することによって、気体噴出部53から噴出させる気体の流量を浸漬洗浄処理と乾燥処理とで異ならせることができる。
【0115】
上側噴出部53Aは、第3ノズル313の先端面よりも上方から第3ノズル313に向けて斜め下方に気体を噴出する。これにより、ノズル洗浄装置50外方への洗浄液の飛び散りを防止しつつ、第3ノズル313の外周面に残存する洗浄液を除去することができる。
【0116】
下側噴出部53Bは、第3ノズル313の先端面と略同一の高さから第3ノズル313の先端面へ向けて略水平に気体を噴出する。これにより、
洗浄液が残存し易い第3ノズル313の先端部を集中的に乾燥させることができる。
【0117】
また、乾燥処理時において、制御部は、バルブ316を開放することによって、第3ノズル313自体からも気体(N2)を噴出させる。このように、第3ノズル313から気体を噴出させることにより、浸漬処理時に第3ノズル313内に流入した洗浄液を外部へ吹き飛ばすことができる。
【0118】
なお、制御部は、第3ノズル313を上下に移動させながら上記の乾燥処理を行ってもよい。これにより、第3ノズル313をより効率的に乾燥させることができる。
【0119】
乾燥処理を開始してから所定時間が経過すると、制御部は、第2バルブ66およびバルブ316を閉める。これにより、第3ノズル313からの気体の噴出が停止し、上側噴出部53Aおよび下側噴出部53Bから噴出される気体の流量が少なくなる。その後、制御部は、バルブ67を閉める。
【0120】
そして、
図10Eに示すように、制御部は、旋回昇降機構33Aを駆動させることによって、第3ノズル313をノズル待機部40Aの第2収容部42内へ移動させて、ノズル洗浄処理を終える。
【0121】
なお、制御部は、後述するSPM処理、SC1処理および2流体処理の一連の基板処理が終了した時点で、第1バルブ65を閉めて、上側噴出部53Aおよび下側噴出部53Bからの気体の噴出を停止する。これにより、貯留槽51内の洗浄液が飛散して処理中の基板Wに付着することを防止することができる。
【0122】
<基板処理装置の他の構成>
次に、基板処理装置1の他の構成について
図11および
図12A、
図12Bを用いて説明する。
図11は、基板処理装置1の構成を示す模式側断面図である。また、
図12Aおよび
図12Bは、基板処理の動作例を示す模式側断面図である。
【0123】
図11に示すように、基板処理装置1は、制御部60を備え、かかる制御部60によって基板保持部20、処理液供給部30A,30Bおよびノズル洗浄装置50の動作が制御される。
【0124】
基板保持部20が備える回転保持機構21には、中空円筒状の回転軸21aの上端部に円環状のテーブル21bが水平に取付けられている。テーブル21bの周縁部には、基板Wの周縁部と接触して基板Wを水平に保持する複数個の基板保持体21cが円周方向に間隔をあけて取付けられている。
【0125】
回転軸21aには、回転駆動機構11が接続されており、回転駆動機構11によって回転軸21a及びテーブル21bを回転させ、テーブル21bに基板保持体21cで保持した基板Wを回転させる。この回転駆動機構11は、制御部60に接続しており、かかる制御部60によって回転制御される。
【0126】
また、基板保持部20には、回転軸21a及びテーブル21bの中央の中空部に昇降軸21dが昇降自在に挿通され、昇降軸21dの上端部に円板状の昇降板21eが取付けられている。昇降板21eの周縁部には、基板Wの下面と接触して基板Wを昇降させる複数個の昇降ピン21fが円周方向に間隔をあけて取付けられている。
【0127】
昇降軸21dには、昇降機構12が接続されており、昇降機構12によって昇降軸21d及び昇降板21eが昇降し、昇降ピン21fに保持された基板Wが昇降する。かかる昇降機構12は、制御部60に接続されており、かかる制御部60によって昇降制御される。
【0128】
処理液供給部30A,30Bは、テーブル21bよりも上方にそれぞれのアーム32A,32Bを水平移動可能に配置し、各アーム32A,32Bの先端部に吐出機構31A,31Bを取付けるとともに、各アーム32A,32Bの基端部に旋回昇降機構33A,33Bを取付けている。
【0129】
各旋回昇降機構33A,33Bには、回転駆動機構13,14が接続されており、各回転駆動機構13,14によってアーム32A,32Bおよび吐出機構31A,31Bを基板Wの外方の待機位置と基板Wの中央部上方の供給位置との間で水平に移動させる。この回転駆動機構13,14は、制御部60にそれぞれ接続されており、かかる制御部60によってそれぞれ独立に移動制御される。
【0130】
また、処理液供給部30Aの第1ノズル312には、バルブ314を介してSPM供給源91が接続される。また、処理液供給部30Aの第3ノズル313には、バルブ315を介して処理液供給源92が接続されるとともに、バルブ316を介して気体供給源93が接続される。また、処理液供給部30Bの第2ノズル317には、バルブ318を介してSC1供給源94が接続される。これらバルブ314,315,316,318は、それぞれ制御部60に接続されており、かかる制御部60によってそれぞれ独立に開閉制御される。
【0131】
基板保持部20の処理液回収機構22は、基板Wの下方及び外周外方を囲むとともに基板Wの上方を開放させた回収カップ22aを備える。回収カップ22aは、基板Wの外周外方に回収口22bを形成するとともに、下方に回収口22bに連通する回収空間22cを形成する。
【0132】
また、回収カップ22aは、回収空間22cの底部に同心リング状の仕切壁22dを形成して、回収空間22cの底部を同心二重リング状の第1回収部22eと第2回収部22fとに区画する。第1回収部22eおよび第2回収部22fの底部には、複数の排出口22g,22hが円周方向に間隔をあけて形成され、各排出口22g,22hには、吸引機構15,16を介して排液管(図示せず)が接続される。この吸引機構15,16は、制御部60によってそれぞれ独立して吸引制御される。
【0133】
また、回収カップ22aには、仕切壁22dの中途部において排出口22g,22hよりも上方に複数の排気口22iが円周方向に間隔をあけて形成される。排気口22iには、吸引機構17を介して排気管(図示せず)が接続される。この吸引機構17は、制御部60によって制御される。
【0134】
また、回収カップ22aは、仕切壁22dの中途部において排気口22iの直上方に所定の間隔をあけて固定した固定カバー22jを有する。固定カバー22jの上部には、昇降カップ22lが設けられている。
【0135】
昇降カップ22lには、仕切壁22dに昇降自在に挿通された昇降ロッド22mが接続され、昇降ロッド22mには、カップ昇降機構18が接続される。昇降ロッド22mは、カップ昇降機構18によって昇降し、かかる昇降ロッド22mの昇降にともなって昇降カップ22lが昇降する。このカップ昇降機構18は、制御部60に接続されており、かかる制御部60によって昇降制御される。
【0136】
昇降カップ22lは、上端部に回収カップ22aの回収口22bまで内側上方に向けて傾斜する傾斜壁部22pを有する。傾斜壁部22pは、回収カップ22aの回収口22bまで回収空間22cの傾斜壁に沿って平行に伸延されており、傾斜壁部22pが回収カップ22aの回収空間22cの傾斜壁と近接するようになっている。
【0137】
そして、カップ昇降機構18を用いて昇降カップ22lを降下させると、回収空間22cの内部において回収カップ22aの傾斜壁と昇降カップ22lの傾斜壁部22pとの間に回収口22bから第1回収部22eの排出口22gへと通じる流路が形成される(
図12A参照)。
【0138】
また、カップ昇降機構18を用いて昇降カップ22lを上昇させると、回収空間22cの内部において昇降カップ22lの傾斜壁部22pの内側に回収口22bから排出口22hへと通じる流路が形成される(
図12B参照)。
【0139】
なお、基板処理装置1は、基板処理を行う際、使用する処理液の種類に応じて処理液回収機構22の昇降カップ22lを昇降させて排出口22g,22hのいずれかから排液する。
【0140】
たとえば、
図12Aには、第1ノズル312から酸性の処理液であるSPMを基板Wに吐出して基板Wを処理する場合の基板処理装置1の動作例を示している。基板処理装置1は、制御部60によって回転駆動機構11を制御して基板保持部20のテーブル21bを所定回転速度で回転させた状態で、制御部60によってバルブ314を開放する。これにより、SPM供給源91から供給されるSPMが第1ノズル312から基板Wの上面に吐出される。
【0141】
このとき、基板処理装置1は、制御部60によってカップ昇降機構18を制御して昇降カップ22lを降下させて、回収口22bから第1回収部22eの排出口22gへと通じる流路を形成しておく。
【0142】
これにより、基板Wに供給されたSPMは、基板Wの回転による遠心力の作用で基板Wの外周外方へ向けて振り切られ、吸引機構15の吸引力によって基板Wの周囲の雰囲気とともに回収カップ22aの回収口22bから回収空間22cの第1回収部22eに回収される。
【0143】
また、
図12Bには、第2ノズル317からアルカリ性の処理液であるSC1を基板Wに吐出して基板Wを処理する場合の基板処理装置1の動作例を示している。基板処理装置1は、制御部60によって回転駆動機構11を制御して基板保持部20のテーブル21bを所定回転速度で回転させた状態で、制御部60によってバルブ318を開放する。これにより、SC1供給源94から供給されるSC1が第2ノズル317から基板Wの上面に吐出される。
【0144】
このとき、基板処理装置1は、カップ昇降機構18を制御して昇降カップ22lを上昇させて、回収口22bから排出口22hへと通じる流路を形成する。
【0145】
これにより、基板Wに供給されたSC1は、基板Wの回転による遠心力の作用で基板Wの外周外方へ向けて振り切られ、吸引機構16の吸引力によって基板Wの周囲の雰囲気とともに回収カップ22aの回収口22bから回収空間22cの第2回収部22fに回収される。
【0146】
基板処理装置1は、以上のように構成されており、制御部60が読み取り可能な記憶媒体(図示せず)に記憶された基板処理プログラムに従って、基板Wの基板処理および上述したノズル洗浄処理を実行する。なお、記憶媒体は、基板処理プログラム等の各種プログラムを記憶できる媒体であればよく、ROMやRAMなどの半導体メモリ型の記憶媒体であってもハードディスクやCD−ROMなどのディスク型の記憶媒体であってもよい。
【0147】
<ノズル洗浄処理の実行タイミング>
次に、基板処理およびノズル洗浄処理の実行タイミングについて説明する。
図13は、基板処理およびノズル洗浄処理の実行タイミングを示す図である。
【0148】
基板処理装置1は、まず、基板処理装置1内に搬入された基板Wを回転保持機構21(
図1等参照)を用いて保持するとともに、所定の回転数で回転させる。その後、
図13に示すように、基板処理装置1は、処理液供給部30Aが備える吐出機構31Aを基板Wの中央部上方の供給位置へ配置し、吐出機構31Aを用いてSPM処理を行う。SPM処理は、吐出機構31Aが備える第1ノズル312から吐出されるSPMを用いた基板処理である。かかるSPM処理中において、基板処理装置1は、処理液供給部30Bをノズル待機部40Bに待機させておく。
【0149】
基板処理装置1は、かかるSPM処理中に、
図10Aを用いて説明した前処理を実行することで、配管内に残留する温度の下がったHDIWを排出するとともに、貯留槽51を温める。これにより、後段の浸漬洗浄処理を適温で行うことができる。
【0150】
なお、ここでは、前処理をSPM処理中に行うこととしたが、前処理は、一連の基板処理が開始されてから浸漬洗浄処理が開始されるまでのいずれかのタイミングで行えばよい。たとえば、前処理は、基板処理装置1内への基板Wの搬入中や搬入後、あるいは、SPM処理の終了後に行ってもよい。
【0151】
SPM処理が完了すると、基板処理装置1は、吐出機構31Aを供給位置からノズル洗浄装置50へ移動させるとともに、処理液供給部30Bが備える吐出機構31Bをノズル待機部40Bから供給位置へ移動させる。そして、基板処理装置1は、吐出機構31Bを用いてSC1処理を行う。SC1処理は、吐出機構31Bが備える第2ノズル317から吐出されるSC1を用いた基板処理である。
【0152】
基板処理装置1は、かかるSC1処理中に、ノズル洗浄装置50へ移動した吐出機構31Aの第1ノズル312および第3ノズル313を洗浄するノズル洗浄処理を実行する。
【0153】
このように、基板処理装置1は、第2ノズル317を用いて行われる基板処理(SC1処理)中に、第1ノズル312および第3ノズル313のノズル洗浄処理を行うこととした。これにより、基板処理装置1は、一連の基板処理を中断させることなく、第1ノズル312および第3ノズル313の洗浄を行うことができる。
【0154】
なお、基板処理装置1は、第1ノズル312および第3ノズル313の洗浄を終えると、処理液供給部30Aをノズル待機部40Aへ移動させ、処理液供給部30Aをノズル待機部40Aに待機させておく。
【0155】
SC1処理が完了すると、基板処理装置1は、吐出機構31Bを供給位置からノズル待機部40Bへ移動させるとともに、洗浄後の吐出機構31Aを再び供給位置へ移動させる。そして、基板処理装置1は、吐出機構31Aを用いて2流体処理を行う。2流体処理は、吐出機構31Aが備える第3ノズル313から吐出されるミスト状の処理液を用いた基板処理である。
【0156】
2流体処理を終えると、基板処理装置1は、吐出機構31Aをノズル待機部40Aへ移動させる。そして、基板処理装置1は、基板Wの回転数を上げることによって基板Wの振り切り乾燥を行った後、基板Wの回転を停止して、一連の基板処理を終了する。
【0157】
上述してきたように、第1の実施形態に係るノズル洗浄装置50は、貯留槽51と、液吐出部52と、オーバーフロー排出部54とを備える。貯留槽51は、円筒状の内周面61を有し、基板処理に用いるノズル(第1ノズル312または第3ノズル313)を洗浄する洗浄液が貯留される。液吐出部52は、貯留槽51の内周面61の中心軸からずれた位置へ向けて貯留槽51内に洗浄液を吐出することによって、貯留槽51に洗浄液を貯留するとともに、貯留槽51内を旋回する旋回流を形成する。オーバーフロー排出部54は、貯留槽からオーバーフローした洗浄液を排出する。したがって、第1の実施形態に係る基板処理装置1は、ノズルの先端から上部までムラ無く洗浄することができる。
【0158】
また、第1の実施形態に係る基板処理装置1は、第1ノズル312と、第1ノズル312を用いて行われる基板処理よりも後段の基板処理に用いられる第2ノズル317と、第2ノズル317を用いて行われる基板処理よりも後段の基板処理に用いられる第3ノズル313とを備える。また、第1ノズル312および第3ノズル313はアーム32A(第1アームの一例に相当)に設けられ、第2ノズル317はアーム32B(第2アームの一例に相当)に設けられる。
【0159】
そして、基板処理装置1は、第2ノズル317を用いて行われる基板処理(SC1処理)中に、第1ノズル312および第3ノズル313のノズル洗浄処理を行うこととした。このため、一連の基板処理を中断させることなく、第1ノズル312および第3ノズル313の洗浄を行うことができる。
【0160】
なお、上述した第1の実施形態では、第1ノズル312および第3ノズル313を同時に洗浄する場合の例について説明したが、基板処理装置1は、第1ノズル312および第3ノズル313のうち一方のノズル洗浄のみを行ってもよい。
【0161】
また、上述した第1の実施形態では、基板処理装置1が、第1ノズル312、第2ノズル317および第3ノズル313を備え、第1ノズル312および第3ノズル313がアーム32Aに設けられ、第2ノズル317がアーム32Bに設けられる場合の例を示した。しかし、これに限ったものではなく、基板処理装置1は、前後する基板処理においてそれぞれ用いられるノズルが、別々のアームに設けられており、一のアームに設けられたノズルを用いて行われる基板処理中に、他のアームに設けられたノズルについてのノズル洗浄処理を行うものであってもよい。かかる場合も同様に、基板処理に要する時間の増大を防止しつつ、ノズルの洗浄を行うことができる。
【0162】
また、上述した第1の実施形態では、第3ノズル313が外部混合型の2流体ノズルである場合の例を示したが、第3ノズル313は、内部混合型の2流体ノズルであってもよい。内部混合型の2流体ノズルは、液体と気体とをノズル内部で混合し、これにより形成されるミスト状の処理液を吐出口から吐出する2流体ノズルである。
【0163】
(第2の実施形態)
ところで、ノズル洗浄処理中において、ノズル洗浄装置50の外部では基板処理が行われている。このため、ノズル洗浄装置50の気体噴出部53から噴出される気体は、できるだけノズル洗浄装置50の外部に漏れないことが好ましい。そこで、ノズル洗浄装置は、気体噴出部から噴出される気体を吸気する吸気部を備えることとしてもよい。以下では、ノズル洗浄装置が吸気部を備える場合の例について
図14を用いて説明する。
【0164】
図14は、第2の実施形態に係るノズル洗浄装置の構成を示す模式斜視図である。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同様の部分については、既に説明した部分と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0165】
たとえば、
図14に示すように、ノズル洗浄装置50’は、貯留槽51の上部に着脱可能な吸気部70を備えることとしてもよい。
【0166】
吸気部70は、第1吸気部71と第2吸気部72とを備える。第1吸気部71は、第1洗浄部50A’の近傍に位置し、主に第1洗浄部50A’の気体噴出部から噴出される気体を吸気する。また、第2吸気部72は、第2洗浄部50B’の近傍に位置し、主に第2洗浄部50B’の気体噴出部から噴出される気体を吸気する。
【0167】
これら第1吸気部71および第2吸気部72には、複数の吸気口73がそれぞれ形成される。また、吸気部70は、ノズル洗浄処理時にアーム32A(
図2参照)が位置する場所の近傍に吸気口74を備える。これらの吸気口73,74は、吸気部70の内部で互いに連通しており、配管75を介して図示しない吸気装置と接続する。吸気装置は、制御部60によって制御される。
【0168】
吸気部70は、図示しない吸気装置の吸気力により、吸気口73,74から吸気を行う。吸気部70の吸気量は、少なくともノズル洗浄装置50’の気体噴出部から噴出される気体の量以上の量に設定される。かかる吸気部70を備えることにより、ノズル洗浄装置50’は、気体噴出部から噴出される気体がノズル洗浄装置50’の外部に漏れ出ることを防止することができる。
【0169】
このように、ノズル洗浄装置50’は、貯留槽の上部に設けられ、少なくとも気体噴出部から噴出される気体の量以上の量の気体を吸気する吸気部を備えることとしてもよい。
【0170】
また、ノズル洗浄装置50’は、予備吸気部56を備える。ノズル洗浄装置50’は、たとえば吸気部70による吸気量が不足する場合に、予備吸気部56に吸気装置を接続して予備吸気部56経由でさらに吸気を行ってもよい。
【0171】
具体的には、予備吸気部56は、第1洗浄部50A’の集液部および第2洗浄部50B’の集液部(
図5の符号55参照)に接続される。かかる予備吸気部56経由で吸気を行うことにより、気体噴出部から貯留槽内へ噴出された気体は、貯留槽から排出口および集液部を経由し、予備吸気部56から外部へ排出されることとなる。
【0172】
このように、予備吸気部56は、気体噴出部から噴出される気体を洗浄液排出用の排出口経由で吸気する、すなわち、洗浄液排出用の排出口を排気用の排出口として流用するため、貯留槽に排気用の排出口を別途設ける必要がない。
【0173】
なお、ノズル洗浄装置50’は、予備吸気部56のみを用いて吸気を行ってもよい。かかる場合、予備吸気部56は、少なくとも気体噴出部から噴出される気体の量以上の量の気体を吸気する。
【0174】
(第3の実施形態)
ところで、貯留槽の構成は、第1の実施形態において示した例に限定されない。以下では、貯留槽の他の構成例について
図15Aおよび
図15Bを用いて説明する。
図15Aは、第3の実施形態に係る貯留槽の構成を示す模式側断面図であり、
図15Bは、第3の実施形態に係る貯留槽の他の構成(その1)を示す模式側断面図である。
【0175】
たとえば、
図15Aに示すように、貯留槽51_1は、内周面61の中心軸P1からずれた位置P2に漏斗状の底面62_1の頂部が配置される形状としてもよい。すなわち、洗浄液の排出口63_1を、内周面61の中心軸P1からずらした位置P2に配置してもよい。
【0176】
排出口63_1を内周面61の中心軸P1からずらして配置することで、排出口63_1から洗浄液が排出される際に生じる渦の中心位置が、貯留槽51_1の内周面61の中心軸P1からずれることとなる。これにより、第3ノズル313の先端面に空気溜まりが形成されることを防止することができ、第3ノズル313の先端面の洗浄ムラを抑えることができる。
【0177】
さらに、
図15Bに示すように、貯留槽51_2は、内周面61の中心軸P1からずらして配置された排出口63_1の上部に、内周面61の中心軸P1に向かって斜め下方に延在する仕切部材57を備える構成であってもよい。これにより、第3ノズル313の先端面に空気溜まりが形成されることを防止しつつ、洗浄液の旋回流を容易に形成することができる。
【0178】
また、第1の実施形態では、貯留槽51が備える円筒状の内周面61が略真円状に形成される場合の例を示したが(
図6参照)、貯留槽51の内周面の形状は、略真円状に限らず、たとえば所定方向に延在する横長形状であってもよい。かかる点について
図16A〜
図16Cを用いて説明する。
【0179】
図16Aは、第3の実施形態に係る貯留槽の他の構成(その2)を示す模式平断面図であり、
図16Bは、
図16Aに示す貯留槽の模式側断面図である。また、
図16Cは、第3の実施形態に係る貯留槽の他の構成(その3)を示す模式平断面図である。
【0180】
図16Aに示すように、貯留槽51_3の内周面61_3は、略楕円状に形成される。また、第3ノズル313は、貯留槽51_3の片側に寄せた状態で貯留槽51_3の内部に挿入される。
【0181】
これにより、
図16Aおよび
図16Bに示すように、貯留槽51_3の内周面61_3の中心軸P3と第3ノズル313の中心軸P4とをずらすことができる。すなわち、第3ノズル313を貯留槽51_3の内部に形成される旋回流の中心からずらして配置することができるため、第3ノズル313の先端面に空気溜まりが形成されることを防止することができる。
【0182】
また、洗浄液の排出口63_3は、第3ノズル313が配置される側と反対側の位置P5に配置される。これにより、排出口63_3から洗浄液が排出される際に生じる渦の中心位置を第3ノズル313の中心軸からずらすことができるため、第3ノズル313の先端面に空気溜まりが形成されることをより確実に防止することができる。
【0183】
なお、ここでは、貯留槽51_3の内周面61_3が略楕円状に形成される場合の例を示したが、貯留槽の内周面は、たとえば
図16Cに示すように、長方形の短辺を円弧状に突出させた形状であってもよい。
【0184】
上述した各実施形態では、気体噴出部が、上側噴出部および下側噴出部の2段構成である場合の例を示したが、気体噴出部は、1段構成であってもよいし、噴出部を3段以上備えていてもよい。
【0185】
また、上述した各実施形態では、基板処理装置が、第1ノズルおよび第3ノズルの洗浄を行うノズル洗浄装置を備える場合の例を示したが、基板処理装置は、第2ノズルの洗浄を行うノズル洗浄装置をさらに備えてもよい。かかる場合、第2ノズル用のノズル洗浄装置は、第2ノズルのノズル待機部に隣接させて配置すればよい。
【0186】
また、上述した各実施形態では、前処理やノズル洗浄処理において、気体噴出部から気体を噴出させることによって、貯留槽に貯留された洗浄液が気体噴出部の流路内に流入することを防止することとした。しかし、気体噴出部の流路内への洗浄液の流入が生じない場合には、気体噴出部から気体を噴出させなくてもよい。たとえば、洗浄液が流入しない程度に気体噴出部の径を小さくすることにより、気体噴出部の流路内への洗浄液の流入を生じなくすることができる。
【0187】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。