特許第5965733号(P5965733)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5965733パターン形成方法、及び、電子デバイスの製造方法
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  • 特許5965733-パターン形成方法、及び、電子デバイスの製造方法 図000142
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965733
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】パターン形成方法、及び、電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/40 20060101AFI20160728BHJP
   G03F 7/038 20060101ALI20160728BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20160728BHJP
   G03F 7/32 20060101ALI20160728BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   G03F7/40 511
   G03F7/038 601
   G03F7/039 601
   G03F7/32
   H01L21/30 570
【請求項の数】14
【全頁数】179
(21)【出願番号】特願2012-133229(P2012-133229)
(22)【出願日】2012年6月12日
(65)【公開番号】特開2013-257435(P2013-257435A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2014年10月29日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115107
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100151194
【弁理士】
【氏名又は名称】尾澤 俊之
(72)【発明者】
【氏名】山本 慶
(72)【発明者】
【氏名】上羽 亮介
【審査官】 倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−310314(JP,A)
【文献】 特開2013−117710(JP,A)
【文献】 特開2013−117701(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/116776(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004−7/18,7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(ア)(A)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む現像液に対する溶解性が減少する樹脂、及び、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)を用いて第1の膜を形成する工程、
(イ)前記第1の膜を露光する工程、
(ウ)前記露光した第1の膜を有機溶剤を含む現像液を用いて現像し、ネガ型のパターンを形成する工程、
(エ)前記ネガ型のパターンの上に、直接、(A’)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む除去液に対する溶解性が減少する化合物を含有する組成物(II)を用いて第2の膜を形成する工程、
(オ)前記工程(ウ)で形成されたネガ型パターンに含有される前記化合物(B)から発生した酸の作用により、前記第2の膜に含有される前記化合物(A’)の極性を増大させる工程、及び、
(カ)前記第2の膜において、前記化合物(B)から発生した酸と前記化合物(A’)とが反応していない領域を、有機溶剤を含む除去液により除去する工程
をこの順に含有し、前記工程(ウ)と前記工程(エ)との間に、更に、加熱工程を含有する、パターン形成方法。
【請求項2】
(ア)(A)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む現像液に対する溶解性が減少する樹脂、及び、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)を用いて第1の膜を形成する工程、
(イ)前記第1の膜を露光する工程、
(ウ)前記露光した第1の膜を有機溶剤を含む現像液を用いて現像し、ネガ型のパターンを形成する工程、
(エ)前記ネガ型のパターンの上に、(A’)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む除去液に対する溶解性が減少する化合物を含有する組成物(II)を用いて第2の膜を形成する工程、
(オ)前記工程(ウ)で形成されたネガ型パターンに含有される前記化合物(B)から発生した酸の作用により、前記第2の膜に含有される前記化合物(A’)の極性を増大させる工程、及び、
(カ)前記第2の膜において、前記化合物(B)から発生した酸と前記化合物(A’)とが反応していない領域を、有機溶剤を含む除去液により除去する工程
を含有し、前記組成物(II)が、酸の作用により分解して酸を発生する化合物を含有する、パターン形成方法。
【請求項3】
(ア)(A)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む現像液に対する溶解性が減少する樹脂、及び、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)を用いて第1の膜を形成する工程、
(イ)前記第1の膜を露光する工程、
(ウ)前記露光した第1の膜を有機溶剤を含む現像液を用いて現像し、ネガ型のパターンを形成する工程、
(エ)前記ネガ型のパターンの上に、(A’)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む除去液に対する溶解性が減少する化合物を含有する組成物(II)を用いて第2の膜を形成する工程、
(オ)前記工程(ウ)で形成されたネガ型パターンに含有される前記化合物(B)から発生した酸の作用により、前記第2の膜に含有される前記化合物(A’)の極性を増大させる工程、及び、
(カ)前記第2の膜において、前記化合物(B)から発生した酸と前記化合物(A’)とが反応していない領域を、有機溶剤を含む除去液により除去する工程
を含有し、前記工程(エ)と前記工程(オ)との間に、前記第2の膜を露光する工程を含有する、パターン形成方法。
【請求項4】
前記組成物(II)が、酸の作用により分解して酸を発生する化合物を含有する、請求項1又は3に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記工程(ウ)と前記工程(エ)との間に、更に、加熱工程を含有する、請求項2又は3に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
前記工程(エ)と前記工程(オ)との間に、前記第2の膜を露光する工程を含有する、請求項1又は2に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
前記化合物(A’)が、酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む除去液に対する溶解性が減少する樹脂である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
前記化合物(A’)としての樹脂が、前記樹脂(A)と同じ樹脂である、請求項7に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
前記組成物(II)中の、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下する塩基性化合物、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下するアンモニウム塩化合物、及び、前記塩基性化合物とは異なり、かつ前記アンモニウム塩化合物とは異なる塩基性化合物(N’)からなる群より選択される化合物の総含有量が前記組成物(II)の全固形分に対して1質量%以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
前記組成物(II)中の、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の含有量が前記組成物(II)の全固形分に対して1質量%以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項11】
前記工程(オ)が、前記ネガ型のパターンを加熱する工程である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項12】
前記工程(ウ)において使用される前記現像液、及び、前記工程(カ)において使用される前記除去液が、それぞれ、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項13】
前記工程(ウ)と前記工程(エ)との間、及び、前記工程(カ)の後の少なくとも一方に、更に、有機溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄する工程を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン形成方法、これに用いられる組成物、電子デバイスの製造方法、及び、電子デバイスに関する。より詳細には、本発明は、IC等の半導体製造工程、液晶及びサーマルヘッド等の回路基板の製造、更にはその他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程に好適なパターン形成方法、これに用いられる組成物、電子デバイスの製造方法、及び、電子デバイスに関する。特には、本発明は、波長が300nm以下の遠紫外線光を光源とするArF露光装置及びArF液浸式投影露光装置での露光に好適なパターン形成方法、これに用いられる組成物、電子デバイスの製造方法、及び、電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
KrFエキシマレーザー(248nm)用レジスト以降、光吸収による感度低下を補うためにレジストの画像形成方法として化学増幅という画像形成方法が用いられている。ポジ型の化学増幅の画像形成方法を例に挙げ説明すると、露光で露光部の酸発生剤が分解し酸を生成させ、露光後のベーク(PEB:Post Exposure Bake)でその発生酸を反応触媒として利用してアルカリ不溶の基をアルカリ可溶基に変化させ、アルカリ現像により露光部を除去する画像形成方法である。この化学増幅機構を用いたポジ型の画像形成方法は、現在、主流となっており、例えば、この方法を用いて、コンタクトホールを形成することも知られている(特許文献1及び2参照)。
【0003】
しかしながら、ポジ型の画像形成方法では、孤立のラインやドットパターンは良好に形成できるが、孤立のスペース(トレンチパターン)や微細なホールパターンを形成した場合には、パターンの形状が劣化しやすい。
【0004】
また近年、パターンのより一層の微細化が求められており、最近では、現在主流のポジ型だけではなく、ネガ型化学増幅レジスト組成物により得られるレジスト膜を、有機系現像液を用いて解像する技術も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
また、有機系現像液を用いて解像する技術としては、酸を発生する酸発生剤を含有したレジスト膜を有機系現像液を用いて解像してパターンを形成した後、その上に、酸の存在下で反応し、現像液に対して不溶化する架橋層を形成する材料(架橋層形成材料ともいう)を被着し、さらに加熱などの追加処理工程を経て、レジストパターンから架橋層形成材料へと酸を拡散させ、レジストパターンと架橋層形成材料の界面に現像液に対する不溶化層を形成させることにより、レジストパターンの寸法を太らせて、レジストパターンのトレンチ寸法又はホール寸法を実効的に縮小させる技術が知られている。この技術によれば、トレンチパターンやホールパターンの寸法を実効的に微細化したパターンをスカムを残さずに形成できるとされている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開2008/149701号パンフレット
【特許文献2】特開2004−361629号公報
【特許文献3】特開2008−292975号公報
【特許文献4】特開2008−310314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、更に近年では、トレンチパターン及びコンタクトホールの微細化のニーズがより一層に高まっており、これを受けて、レジスト膜に、特に超微細の幅又は孔径(例えば、40nm以下)を有するトレンチパターン又はホールパターンを形成しようとする場合、上記の従来の方法では、優れた性能を有するパターンを得ることは困難であった。
より具体的には、超微細の幅又は孔径を有するトレンチパターン又はホールパターンを形成しようとしても、上記の従来の方法では、超微細の幅又は孔径を有するものが形成しにくいとともに、ブロッブ欠陥(サイズが数10nmから数μmの、レジスト成分や現像液成分に由来すると考えられる残渣)が生じやすかった。
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、超微細の幅又は孔径(例えば、40nm以下)を有するトレンチパターン又はホールパターンを、ブロッブ欠陥の発生が充分に低減された状態で形成可能なパターン形成方法、これに用いられる組成物、電子デバイスの製造方法、及び、電子デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記の構成であり、これにより本発明の上記課題が解決される。
<1>
(ア)(A)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む現像液に対する溶解性が減少する樹脂、及び、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)を用いて第1の膜を形成する工程、
(イ)前記第1の膜を露光する工程、
(ウ)前記露光した第1の膜を有機溶剤を含む現像液を用いて現像し、ネガ型のパターンを形成する工程、
(エ)前記ネガ型のパターンの上に、直接、(A’)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む除去液に対する溶解性が減少する化合物を含有する組成物(II)を用いて第2の膜を形成する工程、
(オ)前記工程(ウ)で形成されたネガ型パターンに含有される前記化合物(B)から発生した酸の作用により、前記第2の膜に含有される前記化合物(A’)の極性を増大させる工程、及び、
(カ)前記第2の膜において、前記化合物(B)から発生した酸と前記化合物(A’)とが反応していない領域を、有機溶剤を含む除去液により除去する工程
をこの順に含有し、前記工程(ウ)と前記工程(エ)との間に、更に、加熱工程を含有する、パターン形成方法。
<2>
(ア)(A)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む現像液に対する溶解性が減少する樹脂、及び、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)を用いて第1の膜を形成する工程、
(イ)前記第1の膜を露光する工程、
(ウ)前記露光した第1の膜を有機溶剤を含む現像液を用いて現像し、ネガ型のパターンを形成する工程、
(エ)前記ネガ型のパターンの上に、(A’)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む除去液に対する溶解性が減少する化合物を含有する組成物(II)を用いて第2の膜を形成する工程、
(オ)前記工程(ウ)で形成されたネガ型パターンに含有される前記化合物(B)から発生した酸の作用により、前記第2の膜に含有される前記化合物(A’)の極性を増大させる工程、及び、
(カ)前記第2の膜において、前記化合物(B)から発生した酸と前記化合物(A’)とが反応していない領域を、有機溶剤を含む除去液により除去する工程
を含有し、前記組成物(II)が、酸の作用により分解して酸を発生する化合物を含有する、パターン形成方法。
<3>
(ア)(A)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む現像液に対する溶解性が減少する樹脂、及び、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)を用いて第1の膜を形成する工程、
(イ)前記第1の膜を露光する工程、
(ウ)前記露光した第1の膜を有機溶剤を含む現像液を用いて現像し、ネガ型のパターンを形成する工程、
(エ)前記ネガ型のパターンの上に、(A’)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む除去液に対する溶解性が減少する化合物を含有する組成物(II)を用いて第2の膜を形成する工程、
(オ)前記工程(ウ)で形成されたネガ型パターンに含有される前記化合物(B)から発生した酸の作用により、前記第2の膜に含有される前記化合物(A’)の極性を増大させる工程、及び、
(カ)前記第2の膜において、前記化合物(B)から発生した酸と前記化合物(A’)とが反応していない領域を、有機溶剤を含む除去液により除去する工程
を含有し、前記工程(エ)と前記工程(オ)との間に、前記第2の膜を露光する工程を含有する、パターン形成方法。
<4>
前記組成物(II)が、酸の作用により分解して酸を発生する化合物を含有する、<1>又は<3>に記載のパターン形成方法。
<5>
前記工程(ウ)と前記工程(エ)との間に、更に、加熱工程を含有する、<2>又は<3>に記載のパターン形成方法。
<6>
前記工程(エ)と前記工程(オ)との間に、前記第2の膜を露光する工程を含有する、<1>又は<2>に記載のパターン形成方法。
<7>
前記化合物(A’)が、酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む除去液に対する溶解性が減少する樹脂である、<1>〜<6>のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
<8>
前記化合物(A’)としての樹脂が、前記樹脂(A)と同じ樹脂である、<7>に記載のパターン形成方法。
<9>
前記組成物(II)中の、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下する塩基性化合物、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下するアンモニウム塩化合物、及び、前記塩基性化合物とは異なり、かつ前記アンモニウム塩化合物とは異なる塩基性化合物(N’)からなる群より選択される化合物の総含有量が前記組成物(II)の全固形分に対して1質量%以下である、<1>〜<8>のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
<10>
前記組成物(II)中の、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の含有量が前記組成物(II)の全固形分に対して1質量%以下である、<1>〜<9>のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
<11>
前記工程(オ)が、前記ネガ型のパターンを加熱する工程である、<1>〜<10>のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
<12>
前記工程(ウ)において使用される前記現像液、及び、前記工程(カ)において使用される前記除去液が、それぞれ、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤である、<1>〜<11>のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
<13>
前記工程(ウ)と前記工程(エ)との間、及び、前記工程(カ)の後の少なくとも一方に、更に、有機溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄する工程を含む、<1>〜<12>のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
<14>
<1>〜<13>のいずれか1項に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
なお、本発明は上記<1>〜<14>に記載の構成を有するものであるが、以下その他についても参考のため記載した。


【0009】
〔1〕
(ア)(A)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む現像液に対する溶解性が減少する樹脂、及び、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)を用いて第1の膜を形成する工程、
(イ)前記第1の膜を露光する工程、
(ウ)前記露光した第1の膜を有機溶剤を含む現像液を用いて現像し、ネガ型のパターンを形成する工程、
(エ)前記ネガ型のパターンの上に、(A’)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む除去液に対する溶解性が減少する化合物を含有する組成物(II)を用いて第2の膜を形成する工程、
(オ)前記工程(ウ)で形成されたネガ型パターンに含有される前記化合物(B)から発生した酸の作用により、前記第2の膜に含有される前記化合物(A’)の極性を増大させる工程、及び、
(カ)前記第2の膜において、前記化合物(B)から発生した酸と前記化合物(A’)とが反応していない領域を、有機溶剤を含む除去液により除去する工程
を含有するパターン形成方法。
〔2〕
前記化合物(A’)が、酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む除去液に対する溶解性が減少する樹脂である、上記〔1〕に記載のパターン形成方法。
〔3〕
前記化合物(A’)としての樹脂が、前記樹脂(A)と同じ樹脂である、上記〔2〕に記載のパターン形成方法。
〔4〕
前記組成物(II)が、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下する、塩基性化合物又はアンモニウム塩化合物(N)、及び、前記化合物(N)とは異なる塩基性化合物(N’)からなる群より選択される化合物を実質的に含有しない、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
〔5〕
前記組成物(II)が、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を実質的に含有しない、上記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
〔6〕
前記組成物(II)が、酸の作用により分解して酸を発生する化合物を含有する、上記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
〔7〕
前記工程(ウ)と前記工程(エ)との間に、更に、加熱工程を含有する、上記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
〔8〕
前記工程(エ)と前記工程(オ)との間に、前記第2の膜を露光する工程を含有する、上記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
〔9〕
前記工程(オ)が、前記ネガ型のパターンを加熱する工程である、上記〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
〔10〕
前記工程(ウ)において使用される前記現像液、及び、前記工程(カ)において使用される前記除去液が、それぞれ、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤である、上記〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
〔11〕
前記工程(ウ)と前記工程(エ)との間、及び、前記工程(カ)の後の少なくとも一方に、更に、有機溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄する工程を含む、上記〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
〔12〕
上記〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載のパターン形成方法の前記工程(エ)に供せられる、(A’)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む除去液に対する溶解性が減少する化合物を含有する組成物。
〔13〕
上記〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
〔14〕
上記〔13〕に記載の電子デバイスの製造方法により製造された電子デバイス。
【0010】
本発明は、更に、下記の構成であることが好ましい。
〔15〕
前記工程(イ)における露光がArF露光である、上記〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
〔16〕
前記工程(イ)における露光が液浸露光である、上記〔1〕〜〔11〕及び〔15〕のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、超微細の幅又は孔径(例えば、40nm以下)を有するトレンチパターン又はホールパターンを、ブロッブ欠陥の発生が充分に低減された状態で形成可能なパターン形成方法、これに用いられる組成物、電子デバイスの製造方法、及び、電子デバイスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ブロッブ欠陥の電子顕微鏡写真による観察の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線(EB)等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。
また、本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、EUV光などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
【0014】
本発明のパターン形成方法は、
(ア)(A)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む現像液に対する溶解性が減少する樹脂、及び、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)を用いて第1の膜を形成する工程、
(イ)前記第1の膜を露光する工程、
(ウ)前記露光した第1の膜を有機溶剤を含む現像液を用いて現像し、ネガ型のパターンを形成する工程、
(エ)前記ネガ型のパターンの上に、(A’)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む現像液に対する溶解性が減少する化合物を含有する組成物(II)を用いて第2の膜を形成する工程、
(オ)前記工程(ウ)で形成されたネガ型パターンに含有される前記化合物(B)から発生した酸の作用により、前記第2の膜に含有される前記化合物(A’)の極性を増大させる工程、及び、
(カ)前記第2の膜において、前記化合物(B)から発生した酸と前記化合物(A’)とが反応していない領域を、有機溶剤を含む除去液により除去する工程
を含有する。
【0015】
上記のパターン形成方法によって、超微細の幅又は孔径(例えば、40nm以下)を有するトレンチパターン又はホールパターンを、ブロッブ欠陥の発生が充分に低減された状態で形成できる理由は定かではないが以下のように推定される。
【0016】
ポジ型の画像形成方法により、微細なホールパターンを形成しようとする場合には、パターンの形状が劣化しやすく、そもそも、微細な幅又は孔径(例えば、60nm以下)を有するトレンチパターン又はホールパターンを形成することすら、困難である。これは、ポジ型の画像形成方法でこのような微細パターンを形成する場合には、トレンチ部又はホール部を形成しようとする領域が露光部となるが、超微細な領域を露光して解像することは、光学上、ほぼ不可能であるためである。
【0017】
一方、本発明によれば、先ず、上記工程(ア)〜(ウ)に記載の有機系現像液を用いたネガ型の画像形成方法を実施するため、トレンチ部又はホール部を形成しようとする領域以外の領域が露光部に対応することになり、微細な幅又は孔径(例えば、60nm以下)を有するトレンチパターン又はホールパターンを形成できる。
【0018】
次いで、上記工程(エ)〜(カ)により、例えば、トレンチパターン又はホールパターンの寸法を太らせて、トレンチ寸法又はホール寸法を実効的に縮小できる。より具体的には、本発明においては、レジストパターン上に、(A’)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む除去液に対する溶解性が減少する化合物を含有する組成物(II)を用いて形成された膜において、レジストパターンの近傍に存在する化合物(A’)の極性を増大させる反応を行った後に、この膜の未反応領域を有機溶剤を含む除去液により除去して、パターンの寸法を太らせることができる。
この方法によれば、例えば、レジストパターン上に、酸の存在下で反応し、水又はアルカリ水溶液に対して不溶化する架橋性膜を形成し、レジストパターンから架橋性膜へ酸を拡散させた後に、架橋膜における未反応領域を水又はアルカリ水溶液によって除去する場合と比較して、ブロッブ欠陥の発生が充分に低減される。これは、有機溶剤を含む除去液の膜に対する接触角が、水又はアルカリ水溶液の膜に対する接触角よりも低く、有機溶剤を含む除去液による、現像液に難溶な残渣成分の除去が、水又はアルカリ水溶液を使用する場合と比較して、より確実に行われやすいことによるものと考えられる。
【0019】
また、酸の存在下で架橋が進行し、水又はアルカリ水溶液に対して不溶化となる反応は、その反応制御が難しい。例えば、所望のトレンチ寸法又はホール寸法が残るように、トレンチパターン又はホールパターンの寸法を太らせようとしても、かえって架橋反応が不十分である等の理由により、トレンチ寸法又はホール寸法を充分に縮小させることが困難である。
一方、本発明における、酸の作用により化合物(A’)の極性を増大させ、有機溶剤を含有する除去液に対する溶解度を減少させる反応は、樹脂(A)の極性を増大させ、有機溶剤を含有する現像液に対する溶解度を減少させる反応と、反応機構が同様であり、上記した架橋性膜へ酸を拡散させる場合において生じやすい「酸の拡散が不十分である」という不具合を抑制できる。よって、本発明によれば、レジストパターンにおいて化合物(B)から発生した酸を、第2の膜に拡散させることが容易であり、ひいては、酸の拡散制御が容易であるため、トレンチパターン又はホールパターンの寸法を所望に太らせることが可能になるものと考えられる。その結果、超微細の幅又は孔径(例えば、40nm以下)を有するトレンチパターン又はホールパターンを形成できるものと考えられる。
【0020】
<パターン形成方法>
以下、本発明のパターン形成方法について詳細に説明する。
本発明のパターン形成方法は、
(ア)(A)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む現像液に対する溶解性が減少する樹脂、及び、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)を用いて第1の膜を形成する工程、
(イ)第1の膜を露光する工程、
(ウ)露光した第1の膜を有機溶剤を含む現像液を用いて現像し、ネガ型のパターンを形成する工程、
(エ)ネガ型のパターンの上に、(A’)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む現像液に対する溶解性が減少する化合物を含有する組成物(II)を用いて第2の膜を形成する工程、
(オ)工程(ウ)で形成されたネガ型パターンに含有される化合物(B)から発生した酸の作用により、第2の膜に含有される前記化合物(A’)の極性を増大させる工程、及び、
(カ)第2の膜において、化合物(B)から発生した酸と前記化合物(A’)とが反応していない領域を、有機溶剤を含む除去液により除去する工程
を含有する。
【0021】
本発明のパターン形成方法に於いて、工程(ア)、工程(イ)及び工程(ウ)は、一般的に知られている方法により行うことができる。
【0022】
工程(ア)において、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)を用いて第1の膜を形成する方法は、典型的には、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)を基板上に塗布することにより実施でき、塗布方法としては、従来公知のスピンコート法、スプレー法、ローラーコート法、浸漬法などを用いることができ、好ましくはスピンコート法により感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)を塗布する。
【0023】
第1の膜を形成する基板は特に限定されるものではなく、シリコン、SiN、SiOやSiN等の無機基板、SOG等の塗布系無機基板等、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造工程、更にはその他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程で一般的に用いられる基板を用いることができる。更に、必要に応じて反射防止膜等の下層膜を第1の膜と基板の間に形成させてもよい。下層膜としては、有機反射防止膜、無機反射防止膜、その他適宜選択することができる。下層膜材料はブリューワーサイエンス社、日産化学工業株式会社等から入手可能である。有機溶剤を含む現像液を用いて現像するプロセスに好適な下層膜としては、例えば、WO2012/039337Aに記載の下層膜が挙げられる。
【0024】
本発明のパターン形成方法は、工程(ア)と工程(イ)との間に、前加熱工程(PB;Prebake)を含むことも好ましい。
また、本発明のパターン形成方法は、工程(イ)と工程(ウ)との間に、露光後加熱工程(PEB;Post Exposure Bake)を含むことも好ましい。
加熱温度はPB、PEB共に70〜130℃で行うことが好ましく、80〜120℃で行うことがより好ましい。
加熱時間は30〜300秒が好ましく、30〜180秒がより好ましく、30〜90秒が更に好ましい。
加熱は通常の露光・現像機に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行っても良い。
ベークにより露光部の反応が促進され、感度やパターンプロファイルが改善する。
前加熱工程及び露光後加熱工程の少なくとも一方は、複数回の加熱工程を含んでいてもよい。
【0025】
工程(イ)において、露光装置に用いられる光源波長に制限は無いが、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、極紫外光、X線、電子線等を挙げることができ、好ましくは250nm以下、より好ましくは220nm以下、特に好ましくは1〜200nmの波長の遠紫外光、具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、Fエキシマレーザー(157nm)、X線、EUV(13nm)、電子線等であり、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV又は電子線が好ましく、ArFエキシマレーザーであることがより好ましい。
工程(イ)は、複数回の露光工程を含んでいてよい。
【0026】
また、工程(イ)においては液浸露光方法を適用することができる。
液浸露光方法とは、解像力を高める技術として、投影レンズと試料の間に高屈折率の液体(以下、「液浸液」ともいう)で満たし露光する技術である。
前述したように、この「液浸の効果」はλを露光光の空気中での波長とし、nを空気に対する液浸液の屈折率、θを光線の収束半角としNA=sinθとすると、液浸した場合、解像力及び焦点深度は次式で表すことができる。ここで、k及びkはプロセスに関係する係数である。
(解像力)=k・(λ/n)/NA
(焦点深度)=±k・(λ/n)/NA
すなわち、液浸の効果は波長が1/nの露光波長を使用するのと等価である。言い換えれば、同じNAの投影光学系の場合、液浸により、焦点深度をn倍にすることができる。これは、あらゆるパターン形状に対して有効であり、更に、現在検討されている位相シフト法、変形照明法などの超解像技術と組み合わせることが可能である。
【0027】
液浸露光を行う場合には、(1)基板上に第1の膜を形成した後、露光する工程の前に、及び/又は(2)液浸液を介して第1の膜に露光する工程の後、第1の膜を加熱する工程の前に、第1の膜の表面を水系の薬液で洗浄する工程を実施してもよい。
【0028】
液浸液は、露光波長に対して透明であり、かつ第1の膜上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう、屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましいが、特に露光光源がArFエキシマレーザー(波長;193nm)である場合には、上述の観点に加えて、入手の容易さ、取り扱いのし易さといった点から水を用いるのが好ましい。
【0029】
水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させる添加剤(液体)を僅かな割合で添加しても良い。この添加剤はウエハー上のレジスト層を溶解させず、かつレンズ素子の下面の光学コートに対する影響が無視できるものが好ましい。
このような添加剤としては、例えば、水とほぼ等しい屈折率を有する脂肪族系のアルコールが好ましく、具体的にはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。水とほぼ等しい屈折率を有するアルコールを添加することにより、水中のアルコール成分が蒸発して含有濃度が変化しても、液体全体としての屈折率変化を極めて小さくできるといった利点が得られる。
【0030】
一方で、193nm光に対して不透明な物質や屈折率が水と大きく異なる不純物が混入した場合、レジスト上に投影される光学像の歪みを招くため、使用する水としては、蒸留水が好ましい。更にイオン交換フィルター等を通して濾過を行った純水を用いてもよい。
【0031】
液浸液として用いる水の電気抵抗は、18.3MQcm以上であることが望ましく、TOC(有機物濃度)は20ppb以下であることが望ましく、脱気処理をしていることが望ましい。
また、液浸液の屈折率を高めることにより、リソグラフィー性能を高めることが可能である。このような観点から、屈折率を高めるような添加剤を水に加えたり、水の代わりに重水(DO)を用いてもよい。
【0032】
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)を用いて形成した第1の膜を、液浸媒体を介して露光する場合には、必要に応じて更に後述の疎水性樹脂(D)を添加することができる。疎水性樹脂(D)が添加されることにより、表面の後退接触角が向上する。第1の膜の後退接触角は60°〜90°が好ましく、更に好ましくは70°以上である。
液浸露光工程に於いては、露光ヘッドが高速でウェハ上をスキャンし露光パターンを形成していく動きに追随して、液浸液がウェハ上を動く必要があるので、動的な状態に於けるレジスト膜(第1の膜)に対する液浸液の接触角が重要になり、液滴が残存することなく、露光ヘッドの高速なスキャンに追随する性能がレジストには求められる。
【0033】
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)を用いて形成した第1の膜と液浸液との間には、膜を直接、液浸液に接触させないために、液浸液難溶性膜(以下、「トップコート」ともいう)を設けてもよい。トップコートに必要な機能としては、レジスト上層部への塗布適性、放射線、特に193nmの波長を有した放射線に対する透明性、及び液浸液難溶性が挙げられる。トップコートは、レジストと混合せず、更にレジスト上層に均一に塗布できることが好ましい。
トップコートは、193nmにおける透明性という観点からは、芳香族を含有しないポリマーが好ましい。
具体的には、炭化水素ポリマー、アクリル酸エステルポリマー、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリビニルエーテル、シリコン含有ポリマー、及びフッ素含有ポリマーなどが挙げられる。前述の疎水性樹脂(D)はトップコートとしても好適なものである。トップコートから液浸液へ不純物が溶出すると光学レンズが汚染されるため、トップコートに含まれるポリマーの残留モノマー成分は少ない方が好ましい。
【0034】
トップコートを剥離する際は、現像液を使用してもよいし、別途剥離剤を使用してもよい。剥離剤としては、第1の膜への浸透が小さい溶剤が好ましい。剥離工程が第1の膜の現像処理工程と同時にできるという点では、アルカリ現像液により剥離できることが好ましい。アルカリ現像液で剥離するという観点からは、トップコートは酸性であることが好ましいが、第1の膜との非インターミクス性の観点から、中性であってもアルカリ性であってもよい。
トップコートと液浸液との間には屈折率の差がないか又は小さいことが好ましい。この場合、解像力を向上させることが可能となる。露光光源がArFエキシマレーザー(波長:193nm)の場合には、液浸液として水を用いることが好ましいため、ArF液浸露光用トップコートは、水の屈折率(1.44)に近いことが好ましい。また、透明性及び屈折率の観点から、トップコートは薄膜であることが好ましい。
【0035】
トップコートは、第1の膜と混合せず、更に液浸液とも混合しないことが好ましい。この観点から、液浸液が水の場合には、トップコートに使用される溶剤は、本発明の組成物に使用される溶媒に難溶で、かつ非水溶性の媒体であることが好ましい。更に、液浸液が有機溶剤である場合には、トップコートは水溶性であっても非水溶性であってもよい。
【0036】
工程(ウ)において、第1の膜を有機溶剤を含有する現像液を用いて現像してネガ型のパターンを形成する工程における当該現像液(以下、有機系現像液とも言う)としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤及び炭化水素系溶剤を用いることができる。
ケトン系溶剤としては、例えば、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、2−ヘプタノン(メチルアミルケトン)、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸アミル、酢酸シクロヘキシル、イソ酪酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルー3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等を挙げることができる。
アルコール系溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デカノール等のアルコールや、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤等を挙げることができる。
エーテル系溶剤としては、例えば、上記グリコールエーテル系溶剤の他、ジオキサン、テトラヒドロフラン、フェネトール、ジブチルエーテル等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が使用できる。
炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
上記の溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤や水と混合し使用してもよい。但し、本発明の効果を十二分に奏するためには、現像液全体としての含水率が10質量%未満であることが好ましく、実質的に水分を含有しないことがより好ましい。
すなわち、有機系現像液に対する有機溶剤の使用量は、現像液の全量に対して、90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下であることが好ましい。
特に、有機系現像液は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有する現像液であるのが好ましい。
【0037】
有機系現像液の蒸気圧は、20℃に於いて、5kPa以下が好ましく、3kPa以下が更に好ましく、2kPa以下が特に好ましい。有機系現像液の蒸気圧を5kPa以下にすることにより、現像液の基板上あるいは現像カップ内での蒸発が抑制され、ウェハ面内の温度均一性が向上し、結果としてウェハ面内の寸法均一性が良化する。
5kPa以下の蒸気圧を有する具体的な例としては、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン(メチルアミルケトン)、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸アミル、酢酸シクロヘキシル、イソ酪酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等のエステル系溶剤、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デカノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤、テトラヒドロフラン、フェネトール、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドのアミド系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
特に好ましい範囲である2kPa以下の蒸気圧を有する具体的な例としては、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン等のケトン系溶剤、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸シクロヘキシル、イソ酪酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等のエステル系溶剤、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デカノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤、フェネトール、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドのアミド系溶剤、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
【0038】
有機系現像液には、必要に応じて界面活性剤を適当量添加することができる。
界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、イオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。これらのフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、好ましくは、非イオン性の界面活性剤である。非イオン性の界面活性剤としては特に限定されないが、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を用いることが更に好ましい。
界面活性剤の使用量は現像液の全量に対して、通常0.001〜5質量%、好ましくは0.005〜2質量%、更に好ましくは0.01〜0.5質量%である。
【0039】
また、本発明のパターン形成方法は、工程(イ)と工程(ウ)との間、又は、工程(ウ)と工程(エ)との間に、アルカリ現像液を用いて現像する工程を更に有していてもよい。
【0040】
本発明のパターン形成方法が、アルカリ現像液を用いて現像する工程を更に有する場合、アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
更に、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。界面活性剤としては上記したものを挙げることができる。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜15.0である。
特に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38%質量の水溶液が望ましい。
【0041】
現像方法としては、たとえば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)などを適用することができる。
上記各種の現像方法が、現像装置の現像ノズルから現像液をレジスト膜に向けて吐出する工程を含む場合、吐出される現像液の吐出圧(吐出される現像液の単位面積あたりの流速)は好ましくは2mL/sec/mm以下、より好ましくは1.5mL/sec/mm以下、更に好ましくは1mL/sec/mm以下である。流速の下限は特に無いが、スループットを考慮すると0.2mL/sec/mm以上が好ましい。
吐出される現像液の吐出圧を上記の範囲とすることにより、現像後のレジスト残渣に由来するパターンの欠陥を著しく低減することができる。
このメカニズムの詳細は定かではないが、恐らくは、吐出圧を上記範囲とすることで、現像液がレジスト膜に与える圧力が小さくなり、レジスト膜・レジストパターンが不用意に削られたり崩れたりすることが抑制されるためと考えられる。
なお、現像液の吐出圧(mL/sec/mm)は、現像装置中の現像ノズル出口における値である。
【0042】
現像液の吐出圧を調整する方法としては、例えば、ポンプなどで吐出圧を調整する方法や、加圧タンクからの供給で圧力を調整することで変える方法などを挙げることができる。
【0043】
また、有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後に、他の溶媒に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。
【0044】
本発明のパターン形成方法は、工程(ウ)と工程(エ)との間、すなわち、有機溶剤を含有する現像液を用いて現像する工程の後に、有機溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄する工程(リンス工程)を含むことが好ましい。
【0045】
有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後のリンス工程に用いるリンス液としては、レジストパターンを溶解しなければ特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用することができる。前記リンス液としては、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤の具体例としては、有機溶剤を含む現像液において説明したものと同様のものを挙げることができる。
有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後に、より好ましくは、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行い、更に好ましくは、アルコール系溶剤又はエステル系溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行い、特に好ましくは、1価アルコールを含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行い、最も好ましくは、炭素数5以上の1価アルコールを含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行う。
ここで、リンス工程で用いられる1価アルコールとしては、直鎖状、分岐状、環状の1価アルコールが挙げられ、具体的には、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、tert―ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−ヘキサノール、シクロペンタノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、3−オクタノール、4−オクタノールなどを用いることができ、特に好ましい炭素数5以上の1価アルコールとしては、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノールなどを用いることができる。
【0046】
前記各成分は、複数混合してもよいし、上記以外の有機溶剤と混合し使用してもよい。
【0047】
リンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。含水率を10質量%以下にすることで、良好な現像特性を得ることができる。
【0048】
有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後に用いるリンス液の蒸気圧は、20℃に於いて0.05kPa以上、5kPa以下が好ましく、0.1kPa以上、5kPa以下が更に好ましく、0.12kPa以上、3kPa以下が最も好ましい。リンス液の蒸気圧を0.05kPa以上、5kPa以下にすることにより、ウェハ面内の温度均一性が向上し、更にはリンス液の浸透に起因した膨潤が抑制され、ウェハ面内の寸法均一性が良化する。
【0049】
本発明のパターン形成方法が、アルカリ現像液を用いて現像する工程を更に有する場合も、リンス液を用いて洗浄する工程(リンス工程)を含むことが好ましい。この場合のリンス液としては、純水を使用し、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
【0050】
上記したリンス工程における洗浄処理の方法は特に限定されないが、たとえば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)、などを適用することができ、この中でも回転塗布方法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2000rpm〜4000rpmの回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。また、リンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含むことも好ましい。ベークによりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。リンス工程の後の加熱工程は、通常40〜160℃、好ましくは70〜95℃で、通常10秒〜3分、好ましくは30秒から90秒間行う。
【0051】
また、現像処理又はリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を行うことができる。
【0052】
工程(ウ)と、後に詳述する工程(エ)との間に、更に、加熱工程を実施してもよく、これにより、工程(ウ)において形成されたネガ型パターンの耐溶剤性をより向上できる傾向となり、引き続く工程(エ)において、ネガ型のパターンの上に、組成物(II)からなる液を塗布しても、ネガ型パターンが損傷を受けにくい。この加熱工程は、通常80℃〜240℃程度の温度で、30〜120秒程度で行なわれる。
【0053】
工程(エ)においては、上記のようにして形成したネガ型のパターンの上に、(A’)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む除去液に対する溶解性が減少する化合物を含有する組成物(II)を用いて第2の膜を形成する。
例えば、上記パターンが形成された基板に、スピンコート等の従来公知の方法により、組成物(II)を塗布して第2の膜としての被膜を形成する。この場合、必要に応じて、例えば80℃〜110℃程度、60〜120秒程度の加熱を行ってもよい。
【0054】
工程(エ)と、後に詳述する工程(オ)との間に、第2の膜を露光する工程を実施してもよい。この工程における露光方法は、工程(イ)における露光方法について上記した手法をそのまま採用できるが、通常、マスクを用いないオープンフレーム露光(全面露光)が採用される。
この露光により、ネガ型パターン中に存在する化合物(B)から酸を更に発生させることができるので、ネガ型パターンとこの上に設けられた第2の膜との界面から第2の膜中に酸を充分に拡散させることができる。その結果、第2の膜中の化合物(A’)の極性が増大する反応をより確実に起こすことができ、トレンチ寸法又はホール寸法を充分に縮小させ得る。これにより、超微細の幅又は孔径(例えば、40nm以下)を有するトレンチパターン又はホールパターンをより確実に形成できる傾向となる。
【0055】
次いで、工程(ウ)で形成されたネガ型パターンに含有される化合物(B)から発生した酸の作用により、第2の膜に含有される前記化合物(A’)の極性を増大させる工程(オ)を行う。
工程(オ)においては、ネガ型パターンに含有される、化合物(B)から発生した酸が、ネガ型パターンと上記被膜との界面から被膜中に拡散し、この酸の作用により、被膜中の化合物(A’)の極性が増大する反応が起こる。
【0056】
工程(オ)は、工程(ウ)で形成されたネガ型パターンに含有される、化合物(B)から発生した酸の作用により、第2の膜に含有される前記化合物(A’)の極性を増大させることができれば特に限定されないが、工程(ウ)で形成されたネガ型のパターンを加熱する工程である(実質的には、第2の膜としての上記被膜を加熱する工程でもある)ことが好ましい。
この加熱工程により、化合物(B)から発生した酸が、ネガ型パターンと上記被膜との界面から被膜中に確実に拡散するため、被膜において、パターンの近傍に存在する化合物(A’)の極性を増大させる反応が、より確実に進行する。
この加熱は、通常80℃〜170℃程度の温度で、30〜120秒程度で行なわれる。
【0057】
次いで、前記第2の膜において、前記化合物(B)から発生した酸と前記化合物(A’)とが反応していない領域を、有機溶剤を含む除去液により除去する工程(カ)を行う。
除去処理の方法は、上記工程(ウ)における現像処理と同様である。除去時間は、例えば、30〜120秒程度とされる。
除去処理における除去液の具体例及び好ましい例としては、工程(ウ)における有機系現像液として上述したものと同様である。
【0058】
本発明のパターン形成方法は、工程(カ)の後に、更に、有機溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄する工程(リンス工程)を含むことが好ましい。
リンス工程に用いるリンス液としては、パターンを溶解しないものであれば特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含んだ溶液を使用することができるが、工程(ウ)と工程(エ)との間に実施可能なリンス工程において説明した、上述のリンス液を好適に挙げることができる。
【0059】
リンス工程における洗浄処理の方法は特に限定されないが、例えば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、及び、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)が挙げられる。この中でも、回転塗布法で洗浄処理を行った後、基板を2000rpm〜4000rpmの回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。
【0060】
<感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)>
以下、本発明のパターン形成方法で使用する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)について説明する。
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)は、典型的にはレジスト組成物であり、ネガ型のレジスト組成物(即ち、有機溶剤現像用のレジスト組成物)である。また、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)は、典型的には化学増幅型のレジスト組成物である。
【0061】
[1](A)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む現像液に対する溶解性が減少する樹脂
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)に含有される、極性が増大して有機溶剤を含む現像液に対する溶解性が減少する樹脂(A)としては、例えば、樹脂の主鎖又は側鎖、あるいは、主鎖及び側鎖の両方に、酸の作用により分解し、極性基を生じる基(以下、「酸分解性基」ともいう)を有する樹脂(以下、「酸分解性樹脂」又は「樹脂(A)」ともいう)を挙げることができる。
酸分解性基は、極性基を酸の作用により分解し脱離する基で保護された構造を有することが好ましい。
極性基としては、有機溶剤を含む現像液中で難溶化又は不溶化する基であれば特に限定されないが、フェノール性水酸基、カルボキシル基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等の酸性基(従来レジストの現像液として用いられている、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中で解離する基)、又はアルコール性水酸基等が挙げられる。
【0062】
なお、アルコール性水酸基とは、炭化水素基に結合した水酸基であって、芳香環上に直接結合した水酸基(フェノール性水酸基)以外の水酸基をいい、水酸基としてα位がフッ素原子などの電子求引性基で置換された脂肪族アルコール(例えば、フッ素化アルコール基(ヘキサフルオロイソプロパノール基など))は除くものとする。アルコール性水酸基としては、pKaが12以上且つ20以下の水酸基であることが好ましい。
【0063】
好ましい極性基としては、カルボキシル基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、スルホン酸基が挙げられる。
【0064】
酸分解性基として好ましい基は、これらの基の水素原子を酸で脱離する基で置換した基である。
酸で脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−C(R01)(R02)(OR39)等を挙げることができる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
01及びR02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
【0065】
36〜R39、R01及びR02のアルキル基は、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、へキシル基、オクチル基等を挙げることができる。
36〜R39、R01及びR02のシクロアルキル基は、単環型でも、多環型でもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を挙げることができる。なお、シクロアルキル基中の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
36〜R39、R01及びR02のアリール基は、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等を挙げることができる。
36〜R39、R01及びR02のアラルキル基は、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
36〜R39、R01及びR02のアルケニル基は、炭素数2〜8のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロへキセニル基等を挙げることができる。
36とR37とが結合して形成される環としては、シクロアルキル基(単環若しくは多環)であることが好ましい。シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。炭素数5〜6の単環のシクロアルキル基がより好ましく、炭素数5の単環のシクロアルキル基が特に好ましい。
【0066】
酸分解性基としては好ましくは、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基、第3級のアルキルエステル基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基である。
【0067】
樹脂(A)は、酸分解性基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
【0068】
樹脂(A)は、酸分解性基を有する繰り返し単位として、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
【0069】
【化1】
【0070】
上記一般式(I)中、Xは水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。R1a、R1b及びR1cはそれぞれ独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。R1a、R1b及びR1cのうち2つが結合して環構造を形成していてもよい。
【0071】
のアルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子)が挙げられる。
のアルキル基は、炭素数1〜4のものが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基等が挙げられるが、メチル基であることが好ましい。
は、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0072】
1a、R1b及びR1cのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のものが好ましい。
1a、R1b及びR1cのシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
1a、R1b及びR1cの2つが結合して形成する環構造としては、シクロペンチル環、シクロヘキシル環などの単環のシクロアルカン環、ノルボルナン環、テトラシクロデカン環、テトラシクロドデカン環、アダマンタン環などの多環のシクロアルキル基が好ましい。炭素数5又は6の単環のシクロアルカン環が特に好ましい。
【0073】
1a、R1b及びR1cは、各々独立に、アルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基であることがより好ましい。
上記各基は、更に、置換基を有してもよく、置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基(炭素数1〜4)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜6)などが挙げられ、炭素数8以下が好ましい。
【0074】
以下、前記一般式(I)で表される繰り返し単位の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
具体例中、Rxは、水素原子、CH、CF、又はCHOHを表す。Rxa、Rxbはそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基を表す。Zは、置換基を表し、複数存在する場合、複数のZは互いに同じであっても異なっていてもよい。pは0又は正の整数を表す。Zの具体例及び好ましい例は、R1a〜R1cなどの各基が有し得る置換基の具体例及び好ましい例と同様である。
【0075】
【化2】
【0076】
一般式(I)で表される繰り返し単位は、1種類であってもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0077】
また、樹脂(A)は、下記一般式(AI)で表される繰り返し単位を有することも好ましい。
【0078】
【化3】
【0079】
一般式(AI)に於いて、
Xaは、水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。
Tは、2価の連結基を表す。
Rx〜Rxは、それぞれ独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Rx〜Rxの2つが結合して環構造を形成してもよい。
【0080】
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、−COO−Rt−基、−O−Rt−基、フェニレン基等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
Tは、−COO−Rt−基が好ましい。Rtは、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、−CH−基、−(CH−基、−(CH−基がより好ましい。
【0081】
Xaのアルキル基の具体例及び好ましい例は、上記一般式(I)におけるXのアルキル基の具体例及び好ましい例と同様である。
【0082】
Rx〜Rxのアルキル基及びシクロアルキル基の具体例及び好ましい例は、上記一般式(I)におけるR1a〜R1cのアルキル基及びシクロアルキル基の具体例及び好ましい例と同様である。
【0083】
Rx〜Rxの2つが結合して形成する環構造の具体例及び好ましい例は、上記一般式(I)におけるR1a〜R1cの2つが結合して形成する環構造の具体例及び好ましい例と同様である。
【0084】
上記各基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1〜4)、シクロアルキル基(炭素数3〜8)、ハロゲン原子、アルコキシ基(炭素数1〜4)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜6)などが挙げられ、炭素数8以下が好ましい。なかでも、酸分解前後での有機溶剤を含有する現像液に対する溶解コントラストをより向上させる観点から、酸素原子、窒素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を有さない置換基であることがより好ましく(例えば、水酸基で置換されたアルキル基などではないことがより好ましく)、水素原子及び炭素原子のみからなる基であることが更に好ましく、直鎖又は分岐のアルキル基、シクロアルキル基であることが特に好ましい。
【0085】
以下に一般式(AI)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
具体例中、Xaは、水素原子、CH、CF、又はCHOHを表す。Zは、置換基を表し、複数存在する場合、複数のZは互いに同じであっても異なっていてもよい。pは0又は正の整数を表す。Zの具体例及び好ましい例は、Rx〜Rxなどの各基が有し得る置換基の具体例及び好ましい例と同様である。
【0086】
【化4】
【0087】
【化5】
【0088】
また、樹脂(A)は、酸分解性基を有する繰り返し単位として、下記一般式(IV)で表される繰り返し単位を有することも好ましい。
【0089】
【化6】
【0090】
上記一般式(IV)中、Xは、水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。
Ry〜Ryは、各々独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。Ry〜Ryの内の2つが連結して環を形成していてもよい。
Zは、(p+1)価の、環員としてヘテロ原子を有していてもよい多環式炭化水素構造を有する連結基を表す。Zは、多環を構成する原子団として、エステル結合は含有しないことが好ましい(換言すれば、Zは、多環を構成している環として、ラクトン環を含有しないことが好ましい)。
及びLは、各々独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
pは1〜3の整数を表す。
pが2又は3のとき、複数のL、複数のRy、複数のRy、及び、複数のRyは、各々、同一であっても異なっていてもよい。
【0091】
のアルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子)が挙げられる。
のアルキル基は、炭素数1〜4のものが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基等が挙げられるが、メチル基であることが好ましい。
は、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0092】
Ry〜Ryのアルキル基及びシクロアルキル基の具体例及び好ましい例は、上記一般式(I)におけるR1a〜R1cのアルキル基及びシクロアルキル基の具体例及び好ましい例と同様である。
Ry〜Ryの2つが結合して形成する環構造の具体例及び好ましい例は、上記一般式(I)におけるR1a〜R1cの2つが結合して形成する環構造の具体例及び好ましい例と同様である。
Ry〜Ryは、各々独立に、アルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4の鎖状又は分岐状のアルキル基であることがより好ましい。また、Ry〜Ryとしての鎖状又は分岐状のアルキル基の炭素数の合計は、5以下であることが好ましい。
【0093】
Ry〜Ryは、更に、置換基を有してもよく、このような置換基としては、上記一般式(AI)におけるRx〜Rxが更に有していてもよい置換基として挙げたものと同様である。
【0094】
Zの多環式炭化水素構造を有する連結基としては環集合炭化水素環基、架橋環式炭化水素環基が含まれ、それぞれ、環集合炭化水素環から(p+1)個の任意の水素原子を除してなる基、及び、架橋環式炭化水素環から(p+1)個の任意の水素原子を除してなる基を挙げることができる。
環集合炭化水素環基の例としては、ビシクロヘキサン環基、パーヒドロナフタレン環基などが含まれる。架橋環式炭化水素環基として、例えば、ピナン環基、ボルナン環基、ノルピナン環基、ノルボルナン環基、ビシクロオクタン環基(ビシクロ[2.2.2]オクタン環基、ビシクロ[3.2.1]オクタン環基等)などの2環式炭化水素環基及び、ホモブレダン環基、アダマンタン環基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環基、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環基などの3環式炭化水素環基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン環基、パーヒドロ−1,4−メタノ−5,8−メタノナフタレン環基などの4環式炭化水素環基などが挙げられる。また、架橋環式炭化水素環基には、縮合環式炭化水素環基、例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)環基、パーヒドロアントラセン環基、パーヒドロフェナントレン環基、パーヒドロアセナフテン環基、パーヒドロフルオレン環基、パーヒドロインデン環基、パーヒドロフェナレン環基などの5〜8員シクロアルカン環基が複数個縮合した縮合環基も含まれる。
好ましい架橋環式炭化水素環基として、ノルボルナン環基、アダマンタン環基、ビシクロオクタン環基、トリシクロ[5、2、1、02,6]デカン環基、などが挙げられる。より好ましい架橋環式炭化水素環基としてノルボナン環基、アダマンタン環基が挙げられる。
【0095】
Zで表される多環式炭化水素構造を有する連結基は置換基を有していてもよい。Zが有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、ヒドロキシル基、シアノ基、ケト基(アルキルカルボニル基等)、アシルオキシ基、―COOR、―CON(R)、―SOR、−SOR、―SON(R)等の置換基が挙げられる。ここでRは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Zが有していてもよい置換基としてのアルキル基、アルキルカルボニル基、アシルオキシ基、―COOR、―CON(R)、―SOR、−SOR、―SON(R)は、更に置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子)が挙げられる。
【0096】
Zで表される多環式炭化水素構造を有する連結基において、多環を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)は、カルボニル炭素であっても良い。また、該多環は、上記したように、環員として、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有していてもよい。ただし、上記したように、Zは、多環を構成する原子団としてのエステル結合を含有しない。
【0097】
及びLで表される連結基としては、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜6)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3〜10)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜6)又はこれらの複数が組合された連結基などが挙げられ、総炭素数12以下の連結基が好ましい。
は、単結合、アルキレン基、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−アルキレン基−COO−、−アルキレン基−OCO−、−アルキレン基−CONH−、−アルキレン基−NHCO−、−CO−、−O−、−SO−、−アルキレン基−O−が好ましく、単結合、アルキレン基、−アルキレン基−COO−、又は、−アルキレン基−O−がより好ましい。
は、単結合、アルキレン基、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−COO−アルキレン基−、−OCO−アルキレン基−、−CONH−アルキレン基−、−NHCO−アルキレン基−、−CO−、−O−、−SO−、−O−アルキレン基−、−O−シクロアルキレン基−が好ましく、単結合、アルキレン基、−COO−アルキレン基−、−O−アルキレン基−、又は、−O−シクロアルキレン基−がより好ましい。
【0098】
上記の記載方法において、左端の結合手“−”は、Lにおいては主鎖側のエステル結合に、LにおいてはZに接続することを意味し、右端の結合手“−”は、LにおいてはZに、Lにおいては(Ry)(Ry)(Ry)C−で表される基に接続するエステル結合に結合することを意味する。
【0099】
なお、L及びLは、Zにおける多環を構成する同一の原子に結合してもよい。
【0100】
pは1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
【0101】
以下に一般式(IV)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが本発明はこれに限定されるものではない。下記具体例において、Xaは、水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。
【0102】
【化7】
【0103】
また、樹脂(A)は、酸分解性基を有する繰り返し単位として、以下で表されるような、酸の作用により分解し、アルコール性水酸基を生じる繰り返し単位を有していてもよい。
下記具体例中、Xaは、水素原子、CH、CF、又はCHOHを表す。
【0104】
【化8】
【0105】
酸分解性基を有する繰り返し単位は、1種類であってもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0106】
樹脂(A)に含まれる酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量(酸分解性基を有する繰り返し単位が複数存在する場合はその合計)は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、15モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましく、25モル%以上であることが更に好ましく、50モル%以上であることが特に好ましい。50モル%以上であることにより、局所的なパターン寸法の均一性をより優れたものにすることができる。
また、酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、80モル%以下であることが好ましく、70モル%以下であることが好ましく、65モル%以下であることがより好ましい。
【0107】
樹脂(A)は、ラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位を含有していてもよい。
【0108】
ラクトン構造又はスルトン構造としては、ラクトン構造又はスルトン構造を有していればいずれでも用いることができるが、好ましくは5〜7員環ラクトン構造又は5〜7員環スルトン構造であり、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているもの、又は、5〜7員環スルトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているもの、がより好ましい。下記一般式(LC1−1)〜(LC1−21)のいずれかで表されるラクトン構造、又は、下記一般式(SL1−1)〜(SL1−3)のいずれかで表されるスルトン構造、を有する繰り返し単位を有することがさらに好ましい。また、ラクトン構造又はスルトン構造が主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造としては(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−6)、(LC1−13)、(LC1−14)、(LC1−17)であり、特に好ましいラクトン構造は(LC1−4)である。このような特定のラクトン構造を用いることでLER、現像欠陥が良好になる。
【0109】
【化9】
【0110】
ラクトン構造部分又はスルトン構造部分は、置換基(Rb)を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基(Rb)としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、酸分解性基などが挙げられる。より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基、酸分解性基である。nは、0〜4の整数を表す。nが2以上の時、複数存在する置換基(Rb)は、同一でも異なっていてもよい。また、複数存在する置換基(Rb)同士が結合して環を形成してもよい。
【0111】
ラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位は、通常、光学異性体が存在するが、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体を混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)が90%以上のものが好ましく、より好ましくは95%以上である。
【0112】
ラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位は、下記一般式(III)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
【0113】
【化10】
【0114】
上記一般式(III)中、
Aは、エステル結合(−COO−で表される基)又はアミド結合(−CONH−で表される基)を表す。
は、複数個ある場合にはそれぞれ独立にアルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組み合わせを表す。
Zは、複数個ある場合にはそれぞれ独立に、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合
【0115】
【化11】
【0116】
又はウレア結合
【0117】
【化12】
【0118】
を表す。ここで、Rは、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基を表す。
は、ラクトン構造又はスルトン構造を有する1価の有機基を表す。
nは、−R−Z−で表される構造の繰り返し数であり、0〜5の整数を表し、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。nが0である場合、−R−Z−は存在せず、単結合となる。
は、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
【0119】
のアルキレン基、シクロアルキレン基は置換基を有してよい。
Zは好ましくは、エーテル結合、エステル結合であり、特に好ましくはエステル結合である。
【0120】
のアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
のアルキレン基、シクロアルキレン基、Rにおけるアルキル基は、各々置換されていてもよく、置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子やメルカプト基、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、ベンジルオキシ基等のアルコキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等のアシルオキシ基が挙げられる。
は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基が好ましい。
【0121】
における好ましい鎖状アルキレン基としては炭素数が1〜10の鎖状のアルキレンが好ましく、より好ましくは炭素数1〜5であり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。好ましいシクロアルキレン基としては、炭素数3〜20のシクロアルキレン基であり、例えば、シクロヘキシレン基、シクロペンチレン基、ノルボルニレン基、アダマンチレン基等が挙げられる。本発明の効果を発現するためには鎖状アルキレン基がより好ましく、メチレン基が特に好ましい。
【0122】
で表されるラクトン構造又はスルトン構造を有する1価の有機基は、ラクトン構造又はスルトン構造を有していれば限定されるものではなく、具体例として一般式(LC1−1)〜(LC1−21)及び、(SL1−1)〜(SL1−3)の内のいずれかで表されるラクトン構造又はスルトン構造が挙げられ、これらのうち(LC1−4)で表される構造が特に好ましい。また、(LC1−1)〜(LC1−21)におけるnは2以下のものがより好ましい。
また、Rは無置換のラクトン構造又はスルトン構造を有する1価の有機基、或いはメチル基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を置換基として有するラクトン構造又はスルトン構造を有する1価の有機基が好ましく、シアノ基を置換基として有するラクトン構造(シアノラクトン)を有する1価の有機基がより好ましい。
【0123】
以下にラクトン構造又はスルトン構造を有する基を有する繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0124】
【化13】
【0125】
【化14】
【0126】
【化15】
【0127】
本発明の効果を高めるために、2種以上のラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位を併用することも可能である。
【0128】
樹脂(A)がラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位を含有する場合、ラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、5〜60モル%が好ましく、より好ましくは5〜55モル%、更に好ましくは10〜50モル%である。
【0129】
また、樹脂(A)は、環状炭酸エステル構造を有する繰り返し単位を有していてもよい。
環状炭酸エステル構造を有する繰り返し単位は、下記一般式(A−1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
【0130】
【化16】
【0131】
一般式(A−1)中、Rは、水素原子又はアルキル基を表す。
は、nが2以上の場合は各々独立して、置換基を表す。
Aは、単結合、又は2価の連結基を表す。
Zは、式中の−O−C(=O)−O−で表される基と共に単環又は多環構造を形成する原子団を表す。
nは0以上の整数を表す。
【0132】
一般式(A−1)について詳細に説明する。
で表されるアルキル基は、フッ素原子等の置換基を有していてもよい。Rは、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表すことが好ましく、メチル基を表すことがより好ましい。
で表される置換基は、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基である。好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜5の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基等の炭素数3〜5の分岐状アルキル基等を挙げることができる。アルキル基はヒドロキシル基等の置換基を有していてもよい。
nは置換基数を表す0以上の整数である。nは、例えば、好ましくは0〜4であり、より好ましくは0である。
【0133】
Aにより表される2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合、又はその組み合わせ等が挙げられる。アルキレン基としては、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
本発明の一形態において、Aは、単結合、アルキレン基であることが好ましい。
【0134】
Zにより表される、−O−C(=O)−O−を含む単環としては、例えば、下記一般式(a)で表される環状炭酸エステルにおいて、n=2〜4である5〜7員環が挙げられ、5員環又は6員環(n=2又は3)であることが好ましく、5員環(n=2)であることがより好ましい。
Zにより表される、−O−C(=O)−O−を含む多環としては、例えば、下記一般式(a)で表される環状炭酸エステルが1又は2以上の他の環構造と共に縮合環を形成している構造や、スピロ環を形成している構造が挙げられる。縮合環又はスピロ環を形成し得る「他の環構造」としては、脂環式炭化水素基であってもよいし、芳香族炭化水素基であってもよいし、複素環であってもよい。
【0135】
【化17】
【0136】
前記一般式(A−1)で表される繰り返し単位に対応する単量体は、例えば、Tetrahedron Letters,Vol.27,No.32 p.3741(1986)、Organic Letters,Vol.4,No.15 p.2561(2002)等に記載された、従来公知の方法により、合成することができる。
【0137】
樹脂(A)には、一般式(A−1)で表される繰り返し単位のうちの1種が単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。樹脂(A)において、環状炭酸エステル構造を有する繰り返し単位(好ましくは、一般式(A−1)で表される繰り返し単位)の含有率は、樹脂(A)を構成する全繰り返し単位に対して、3〜80モル%であることが好ましく、3〜60モル%であることが更に好ましく、3〜30モル%であることが特に好ましく、10〜15モル%であることが最も好ましい。このような含有率とすることによって、レジストとしての現像性、低欠陥性、低LWR、低PEB温度依存性、プロファイル等を向上させることができる。
【0138】
以下に、一般式(A−1)で表される繰り返し単位の具体例(繰り返し単位(A−1a)〜(A−1w))を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
なお、以下の具体例中のRは、一般式(A−1)におけるRと同義である。
【0139】
【化18】
【0140】
樹脂(A)が環状炭酸エステル構造を有する繰り返し単位を含有する場合、環状炭酸エステル構造を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、5〜60モル%が好ましく、より好ましくは5〜55モル%、更に好ましくは10〜50モル%である。
【0141】
樹脂(A)は、水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位を有していても良い。これにより基板密着性、現像液親和性が向上する。水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位は、水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位であることが好ましく、酸分解性基を有さないことが好ましい。
また、水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位は、酸分解性基を有する繰り返し単位とは異なることが好ましい(すなわち、酸に対して安定な繰り返し単位であることが好ましい)。
水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造に於ける、脂環炭化水素構造としては、アダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボルナン基が好ましい。
より好ましくは、下記一般式(AIIa)〜(AIIc)のいずれかで表される繰り返し単位を挙げることができる。
【0142】
【化19】
【0143】
式中、Rは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、又は、トリフルオロメチル基を表す。
Abは、単結合、又は2価の連結基を表す。
Abにより表される2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合、又はその組み合わせ等が挙げられる。アルキレン基としては、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
本発明の一形態において、Abは、単結合、又は、アルキレン基であることが好ましい。
Rpは、水素原子、ヒドロキシル基、又は、ヒドロキシアルキル基を表す。複数のRpは、同一でも異なっていても良いが、複数のRpの内の少なくとも1つは、ヒドロキシル基又はヒドロキシアルキル基を表す。
【0144】
樹脂(A)は、水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位を含有していても、含有していなくてもよいが、樹脂(A)が水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位を含有する場合、水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、1〜40モル%が好ましく、より好ましくは3〜30モル%、更に好ましくは5〜25モル%である。
【0145】
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0146】
【化20】
【0147】
【化21】
【0148】
その他、国際公開2011/122336号明細書の〔0011〕以降に記載のモノマー又はこれに対応する繰り返し単位なども適宜使用可能である。
【0149】
樹脂(A)は、酸基を有する繰り返し単位を有してもよい。酸基としてはカルボキシル基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、ビススルホニルイミド基、ナフトール構造、α位が電子求引性基で置換された脂肪族アルコール基(例えばヘキサフロロイソプロパノール基)が挙げられ、カルボキシル基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。酸基を有する繰り返し単位を含有することによりコンタクトホール用途での解像性が増す。酸基を有する繰り返し単位としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接酸基が結合している繰り返し単位、あるいは連結基を介して樹脂の主鎖に酸基が結合している繰り返し単位、更には酸基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入、のいずれも好ましく、連結基は単環又は多環の環状炭化水素構造を有していてもよい。特に好ましくはアクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位である。
【0150】
樹脂(A)は、酸基を有する繰り返し単位を含有してもしなくても良いが、含有する場合、酸基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、25モル%以下であることが好ましく、20モル%以下であることがより好ましい。樹脂(A)が酸基を有する繰り返し単位を含有する場合、樹脂(A)における酸基を有する繰り返し単位の含有量は、通常、1モル%以上である。
【0151】
酸基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
具体例中、RxはH、CH、CHOH又はCFを表す。
【0152】
【化22】
【0153】
【化23】
【0154】
本発明における樹脂(A)は、更に極性基(例えば、前記酸基、ヒドロキシル基、シアノ基)を持たない脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を有することができる。これにより、液浸露光時にレジスト膜から液浸液への低分子成分の溶出が低減できるとともに、有機溶剤を含む現像液を用いた現像の際に樹脂の溶解性を適切に調整することができる。このような繰り返し単位としては、一般式(IV)で表される繰り返し単位が挙げられる。
【0155】
【化24】
【0156】
一般式(IV)中、Rは少なくとも1つの環状構造を有し、極性基を有さない炭化水素基を表す。
Raは水素原子、アルキル基又は−CH−O−Ra基を表す。式中、Raは、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Raは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
【0157】
が有する環状構造には、単環式炭化水素基及び多環式炭化水素基が含まれる。単環式炭化水素基としては、たとえば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基などの炭素数3〜12のシクロアルキル基、シクロへキセニル基など炭素数3〜12のシクロアルケニル基が挙げられる。好ましい単環式炭化水素基としては、炭素数3〜7の単環式炭化水素基であり、より好ましくは、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
【0158】
多環式炭化水素基には環集合炭化水素基、架橋環式炭化水素基が含まれ、環集合炭化水素基の例としては、ビシクロヘキシル基、パーヒドロナフタレニル基などが含まれる。架橋環式炭化水素環として、例えば、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、ビシクロオクタン環(ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ビシクロ[3.2.1]オクタン環等)などの2環式炭化水素環及び、ホモブレダン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環などの3環式炭化水素環、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、パーヒドロ−1,4−メタノ−5,8−メタノナフタレン環などの4環式炭化水素環などが挙げられる。また、架橋環式炭化水素環には、縮合環式炭化水素環、例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)、パーヒドロアントラセン、パーヒドロフェナントレン、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロインデン、パーヒドロフェナレン環などの5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環も含まれる。
【0159】
好ましい架橋環式炭化水素環として、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビシクロオクタニル基、トリシクロ[5、2、1、02,6]デカニル基、などが挙げられる。より好ましい架橋環式炭化水素環としてノルボニル基、アダマンチル基が挙げられる。
【0160】
これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していても良く、好ましい置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、水素原子が置換されたヒドロキシル基、水素原子が置換されたアミノ基などが挙げられる。好ましいハロゲン原子としては臭素、塩素、フッ素原子、好ましいアルキル基としてはメチル基、エチル基、n−ブチル基、t−ブチル基が挙げられる。上記のアルキル基は更に置換基を有していても良く、更に有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、水素原子が置換されたヒドロキシル基、水素原子が置換されたアミノ基を挙げることができる。
【0161】
上記水素原子の置換基としては、たとえばアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、置換メチル基、置換エチル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基、好ましい置換メチル基としてはメトキシメチル、メトキシチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル基、好ましい置換エチル基としては、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、好ましいアシル基としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6の脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基としては炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
【0162】
樹脂(A)は、極性基を持たない脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、この繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、1〜50モル%が好ましく、より好ましくは10〜50モル%である。
極性基を持たない脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、Raは、H、CH、CHOH、又はCFを表す。
【0163】
【化25】
【0164】
本発明の組成物に用いられる樹脂(A)は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更に感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)の一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を有することができる。
【0165】
このような繰り返し構造単位としては、下記の単量体に相当する繰り返し構造単位を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0166】
これにより、本発明に係る組成物に用いられる樹脂に要求される性能、特に、
(1)塗布溶剤に対する溶解性、
(2)製膜性(ガラス転移点)、
(3)アルカリ現像性、
(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、
(5)未露光部の基板への密着性、
(6)ドライエッチング耐性、等の微調整が可能となる。
【0167】
このような単量体として、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
【0168】
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
【0169】
本発明の組成物に用いられる樹脂(A)において、各繰り返し構造単位の含有モル比は感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)のドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更には感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)の一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
【0170】
本発明の組成物が、ArF露光用であるとき、ArF光への透明性の点から本発明の組成物に用いられる樹脂(A)は実質的には芳香環を有さない(具体的には、樹脂中、芳香族基を有する繰り返し単位の比率が好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下、理想的には0モル%、すなわち、芳香族基を有さない)ことが好ましく、樹脂(A)は単環又は多環の脂環炭化水素構造を有することが好ましい。
【0171】
本発明における樹脂(A)の形態としては、ランダム型、ブロック型、クシ型、スター型のいずれの形態でもよい。樹脂(A)は、例えば、各構造に対応する不飽和モノマーのラジカル、カチオン、又はアニオン重合により合成することができる。また各構造の前駆体に相当する不飽和モノマーを用いて重合した後に、高分子反応を行うことにより目的とする樹脂を得ることも可能である。
本発明の組成物が、ArF露光用であるとき、ArF光への透明性の点から本発明の組成物に用いられる樹脂(A)は実質的には芳香環を有さない(具体的には、樹脂中、芳香族基を有する繰り返し単位の比率が好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下、理想的には0モル%、すなわち、芳香族基を有さない)ことが好ましく、樹脂(A)は単環又は多環の脂環炭化水素構造を有することが好ましい。
本発明の組成物が、後述する樹脂(D)を含んでいる場合、樹脂(A)は、樹脂(D)との相溶性の観点から、フッ素原子及びケイ素原子を含有しないことが好ましい。
【0172】
本発明の組成物に用いられる樹脂(A)として好ましくは、繰り返し単位のすべてが(メタ)アクリレート系繰り返し単位で構成されたものである。この場合、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがアクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位とアクリレート系繰り返し単位とによるもののいずれのものでも用いることができるが、アクリレート系繰り返し単位が全繰り返し単位の50モル%以下であることが好ましい。
【0173】
本発明の組成物にKrFエキシマレーザー光、電子線、X線、波長50nm以下の高エネルギー光線(EUVなど)を照射する場合には、樹脂(A)は、更に、ヒドロキシスチレン系繰り返し単位を有することが好ましい。更に好ましくはヒドロキシスチレン系繰り返し単位と、酸分解性基で保護されたヒドロキシスチレン系繰り返し単位、(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル等の酸分解性繰り返し単位を有するが好ましい。
【0174】
ヒドロキシスチレン系の好ましい酸分解性基を有する繰り返し単位としては、例えば、t−ブトキシカルボニルオキシスチレン、1−アルコキシエトキシスチレン、(メタ)アクリル酸3級アルキルエステルによる繰り返し単位等を挙げることができ、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート及びジアルキル(1−アダマンチル)メチル(メタ)アクリレートによる繰り返し単位がより好ましい。
【0175】
本発明における樹脂(A)は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種及び開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。反応溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド溶剤、更には後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンのような本発明の組成物を溶解する溶媒が挙げられる。より好ましくは本発明の感光性組成物に用いられる溶剤と同一の溶剤を用いて重合することが好ましい。これにより保存時のパーティクルの発生が抑制できる。
【0176】
重合反応は窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。重合開始剤としては市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。ラジカル開始剤としてはアゾ系開始剤が好ましく、エステル基、シアノ基、カルボキシル基を有するアゾ系開始剤が好ましい。好ましい開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが挙げられる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応の濃度は5〜50質量%であり、好ましくは10〜30質量%である。反応温度は、通常10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、更に好ましくは60〜100℃である。
【0177】
反応終了後、室温まで放冷し、精製する。精製は、水洗や適切な溶媒を組み合わせることにより残留単量体やオリゴマー成分を除去する液々抽出法、特定の分子量以下のもののみを抽出除去する限外ろ過等の溶液状態での精製方法や、樹脂溶液を貧溶媒へ滴下することで樹脂を貧溶媒中に凝固させることにより残留単量体等を除去する再沈澱法やろ別した樹脂スラリーを貧溶媒で洗浄する等の固体状態での精製方法等の通常の方法を適用できる。
例えば、上記樹脂が難溶或いは不溶の溶媒(貧溶媒)を、該反応溶液の10倍以下の体積量、好ましくは10〜5倍の体積量で、接触させることにより樹脂を固体として析出させる。
【0178】
ポリマー溶液からの沈殿又は再沈殿操作の際に用いる溶媒(沈殿又は再沈殿溶媒)としては、該ポリマーの貧溶媒であればよく、ポリマーの種類に応じて、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトロ化合物、エーテル、ケトン、エステル、カーボネート、アルコール、カルボン酸、水、これらの溶媒を含む混合溶媒等の中から適宜選択して使用できる。これらの中でも、沈殿又は再沈殿溶媒として、少なくともアルコール(特に、メタノールなど)又は水を含む溶媒が好ましい。
【0179】
沈殿又は再沈殿溶媒の使用量は、効率や収率等を考慮して適宜選択できるが、一般には、ポリマー溶液100質量部に対して、100〜10000質量部、好ましくは200〜2000質量部、更に好ましくは300〜1000質量部である。
【0180】
沈殿又は再沈殿する際の温度としては、効率や操作性を考慮して適宜選択できるが、通常0〜50℃程度、好ましくは室温付近(例えば20〜35℃程度)である。沈殿又は再沈殿操作は、攪拌槽などの慣用の混合容器を用い、バッチ式、連続式等の公知の方法により行うことができる。
【0181】
沈殿又は再沈殿したポリマーは、通常、濾過、遠心分離等の慣用の固液分離に付し、乾燥して使用に供される。濾過は、耐溶剤性の濾材を用い、好ましくは加圧下で行われる。乾燥は、常圧又は減圧下(好ましくは減圧下)、30〜100℃程度、好ましくは30〜50℃程度の温度で行われる。
【0182】
なお、一度、樹脂を析出させて、分離した後に、再び溶媒に溶解させ、該樹脂が難溶或いは不溶の溶媒と接触させてもよい。即ち、上記ラジカル重合反応終了後、該ポリマーが難溶或いは不溶の溶媒を接触させ、樹脂を析出させ(工程a)、樹脂を溶液から分離し(工程b)、改めて溶媒に溶解させ樹脂溶液Aを調製(工程c)、その後、該樹脂溶液Aに、該樹脂が難溶或いは不溶の溶媒を、樹脂溶液Aの10倍未満の体積量(好ましくは5倍以下の体積量)で、接触させることにより樹脂固体を析出させ(工程d)、析出した樹脂を分離する(工程e)ことを含む方法でもよい。
また、組成物の調製後に樹脂が凝集することなどを抑制する為に、例えば、特開2009−037108号公報に記載のように、合成された樹脂を溶剤に溶解して溶液とし、その溶液を30℃〜90℃程度で30分〜4時間程度加熱するような工程を加えてもよい。
【0183】
本発明における樹脂(A)の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、上記のように7,000以上であり、好ましくは7,000〜200,000であり、より好ましくは7,000〜50,000、更により好ましくは7,000〜40,000,000、特に好ましくは7,000〜30,000である。重量平均分子量が7000より小さいと、有機系現像液に対する溶解性が高くなりすぎ、精密なパターンを形成できなくなる懸念が生じる。
【0184】
分散度(分子量分布)は、通常1.0〜3.0であり、好ましくは1.0〜2.6、更に好ましくは1.0〜2.0、特に好ましくは1.4〜2.0の範囲のものが使用される。分子量分布の小さいものほど、解像度、レジスト形状が優れ、かつ、レジストパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
【0185】
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)において、樹脂(A)の組成物全体中の配合率は、全固形分中30〜99質量%が好ましく、より好ましくは60〜95質量%である。
また、本発明において、樹脂(A)は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
【0186】
[2]活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(B)
本発明における組成物は、更に、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(B)(以下、「酸発生剤」ともいう)を含有する。活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(B)としては、活性光線又は放射線の照射により有機酸を発生する化合物であることが好ましい。
酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0187】
たとえば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
【0188】
酸発生剤の内で好ましい化合物として、下記一般式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
【0189】
【化26】
【0190】
上記一般式(ZI)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
は、非求核性アニオンを表す。
【0191】
としての非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチルアニオン等を挙げることができる。
【0192】
非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンであり、分子内求核反応による経時分解を抑制することができるアニオンである。これによりレジスト組成物の経時安定性が向上する。
【0193】
スルホン酸アニオンとしては、例えば、脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなどが挙げられる。
【0194】
カルボン酸アニオンとしては、例えば、脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなどが挙げられる。
【0195】
脂肪族スルホン酸アニオン及び脂肪族カルボン酸アニオンにおける脂肪族部位は、アルキル基であってもシクロアルキル基であってもよく、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボルニル基等を挙げることができる。
【0196】
芳香族スルホン酸アニオン及び芳香族カルボン酸アニオンにおける芳香族基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
【0197】
脂肪族スルホン酸アニオン及び芳香族スルホン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。脂肪族スルホン酸アニオン及び芳香族スルホン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の置換基としては、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルイミノスルホニル基(好ましくは炭素数1〜15)、アリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20)、アルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数7〜20)、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数10〜20)、アルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数5〜20)、シクロアルキルアルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数8〜20)等を挙げることができる。各基が有するアリール基及び環構造については、置換基として更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)を挙げることができる。
【0198】
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルブチル基等を挙げることができる。
【0199】
脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン及びアラルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、芳香族スルホン酸アニオンにおけるものと同様のハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができる。
【0200】
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、サッカリンアニオンを挙げることができる。
【0201】
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基等を挙げることができる。
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオンにおける2つのアルキル基が互いに連結してアルキレン基(好ましくは炭素数2〜4)を成し、イミド基及び2つのスルホニル基とともに環を形成していてもよい。これらのアルキル基及びビス(アルキルスルホニル)イミドアニオンにおける2つのアルキル基が互いに連結して成すアルキレン基が有し得る置換基としてはハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基等を挙げることができ、フッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
その他の非求核性アニオンとしては、例えば、フッ素化燐(例えば、PF)、フッ素化硼素(例えば、BF)、フッ素化アンチモン等(例えば、SbF)を挙げることができる。
【0202】
の非求核性アニオンとしては、スルホン酸の少なくともα位がフッ素原子で置換された脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子又はフッ素原子を有する基で置換された芳香族スルホン酸アニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが好ましい。非求核性アニオンとして、より好ましくは炭素数4〜8のパーフロロ脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子を有するベンゼンスルホン酸アニオン、更により好ましくはノナフロロブタンスルホン酸アニオン、パーフロロオクタンスルホン酸アニオン、ペンタフロロベンゼンスルホン酸アニオン、3,5−ビス(トリフロロメチル)ベンゼンスルホン酸アニオンである。
【0203】
酸発生剤は、活性光線又は放射線の照射により下記一般式(V)又は(VI)で表される酸を発生する化合物であることが好ましい。下記一般式(V)又は(VI)で表される酸を発生する化合物であることにより環状の有機基を有するので、解像性、及び、ラフネス性能をより優れたものにできる。
前記非求核性アニオンとしては、下記一般式(V)又は(VI)で表される有機酸を生じるアニオンとすることができる。
【0204】
【化27】
【0205】
上記一般式中、
Xfは、各々独立に、フッ素原子、又は、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
11及びR12は、各々独立に、水素原子、フッ素原子、又は、アルキル基を表す。
Lは、各々独立に、2価の連結基を表す。
Cyは、環状の有機基を表す。
Rfは、フッ素原子を含んだ基である。
xは、1〜20の整数を表す。
yは、0〜10の整数を表す。
zは、0〜10の整数を表す。
【0206】
Xfは、フッ素原子、又は、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。このアルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。また、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。
Xfは、好ましくは、フッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。より具体的には、Xfは、フッ素原子、CF、C、C、C、C11、C13、C15、C17、CHCF、CHCHCF、CH、CHCH、CH、CHCH、CH、又はCHCHであることが好ましく、フッ素原子又はCFであることがより好ましい。特に、双方のXfがフッ素原子であることが好ましい。
【0207】
11及びR12は、各々独立に、水素原子、フッ素原子、又は、アルキル基である。このアルキル基は、置換基(好ましくはフッ素原子)を有していてもよく、炭素数1〜4のものが好ましい。更に好ましくは炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。R11及びR12の置換基を有するアルキル基の具体例としては、例えば、CF、C、C、C、C11、C13、C15、C17、CHCF、CHCHCF、CH、CHCH、CH、CHCH、CH、及びCHCHが挙げられ、中でもCFが好ましい。
【0208】
Lは、2価の連結基を表す。この2価の連結基としては、例えば、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜6)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3〜10)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜6)又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基などが挙げられる。これらの中でも、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CO−、−O−、−SO−、−COO−アルキレン基−、−OCO−アルキレン基−、−CONH−アルキレン基−又は−NHCO−アルキレン基−が好ましく、−COO−、−OCO−、−CONH−、−SO−、−COO−アルキレン基−又は−OCO−アルキレン基−がより好ましい。
【0209】
Cyは、環状の有機基を表す。環状の有機基としては、例えば、脂環基、アリール基、及び複素環基が挙げられる。
【0210】
脂環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。単環式の脂環基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロオクチル基などの単環のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環基としては、例えば、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が挙げられる。中でも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基などの炭素数7以上のかさ高い構造を有する脂環基が、PEB(露光後加熱)工程での膜中拡散性の抑制及びMEEF(Mask Error Enhancement Factor)の向上の観点から好ましい。
【0211】
アリール基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。このアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基及びアントリル基が挙げられる。中でも、193nmにおける光吸光度が比較的低いナフチル基が好ましい。
【0212】
複素環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよいが、多環式の方がより酸の拡散を抑制可能である。また、複素環基は、芳香族性を有していてもよく、芳香族性を有していなくてもよい。芳香族性を有している複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、及びピリジン環が挙げられる。芳香族性を有していない複素環としては、例えば、テトラヒドロピラン環、ラクトン環又はスルトン環、及びデカヒドロイソキノリン環が挙げられる。複素環基における複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、又はデカヒドロイソキノリン環が特に好ましい。また、ラクトン環又はスルトン環の例としては、前述の樹脂(A)において例示したラクトン構造又はスルトンが挙げられる。
【0213】
上記環状の有機基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基(直鎖、分岐のいずれであっても良く、炭素数1〜12が好ましい)、シクロアルキル基(単環、多環、スピロ環のいずれであっても良く、炭素数3〜20が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、水酸基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基、及びスルホン酸エステル基が挙げられる。なお、環状の有機基を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)はカルボニル炭素であっても良い。
【0214】
xは1〜8が好ましく、中でも1〜4が好ましく、1が特に好ましい。yは0〜4が好ましく、0がより好ましい。zは0〜8が好ましく、中でも0〜4が好ましい。
Rfで表されるフッ素原子を含んだ基としては、例えば、少なくとも1つのフッ素原子を有するアルキル基、少なくとも1つのフッ素原子を有するシクロアルキル基、及び少なくとも1つのフッ素原子を有するアリール基が挙げられる。
これらアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、フッ素原子により置換されていてもよく、フッ素原子を含んだ他の置換基により置換されていてもよい。Rfが少なくとも1つのフッ素原子を有するシクロアルキル基又は少なくとも1つのフッ素原子を有するアリール基である場合、フッ素原子を含んだ他の置換基としては、例えば、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基が挙げられる。
また、これらアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、フッ素原子を含んでいない置換基によって更に置換されていてもよい。この置換基としては、例えば、先にCyについて説明したもののうち、フッ素原子を含んでいないものを挙げることができる。
Rfにより表される少なくとも1つのフッ素原子を有するアルキル基としては、例えば、Xfにより表される少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基として先に説明したのと同様のものが挙げられる。Rfにより表される少なくとも1つのフッ素原子を有するシクロアルキル基としては、例えば、パーフルオロシクロペンチル基、及びパーフルオロシクロヘキシル基が挙げられる。Rfにより表される少なくとも1つのフッ素原子を有するアリール基としては、例えば、パーフルオロフェニル基が挙げられる。
【0215】
また前記非求核性アニオンは、下記一般式(B−1)〜(B−3)のいずれかで表されるアニオンであることも好ましい。
まず、下記一般式(B−1)で表されるアニオンについて説明する。
【0216】
【化28】
【0217】
上記一般式(B−1)中、
b1は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基(CF)を表す。
nは1〜4の整数を表す。
nは1〜3の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましい。
b1は単結合、エーテル結合、エステル結合(−OCO−若しくは−COO−)又はスルホン酸エステル結合(−OSO−若しくは−SO−)を表す。
b1はエステル結合(−OCO−若しくは−COO−)又はスルホン酸エステル結合(−OSO−若しくは−SO−)であることが好ましい。
b2は炭素数6以上の置換基を表す。
b2についての炭素数6以上の置換基としては、嵩高い基であることが好ましく、炭素数6以上の、アルキル基、脂環基、アリール基、及び複素環基などが挙げられる。
b2についての炭素数6以上のアルキル基としては、直鎖状であっても分岐状であってもよく、炭素数6〜20の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、例えば、直鎖又は分岐ヘキシル基、直鎖又は分岐ヘプチル基、直鎖又は分岐オクチル基などが挙げられる。嵩高さに観点から分岐アルキル基であることが好ましい。
【0218】
b2についての炭素数6以上の脂環基としては、単環式であってもよく、多環式であってもよい。単環式の脂環基としては、例えば、シクロヘキシル基、及びシクロオクチル基などの単環のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環基としては、例えば、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が挙げられる。中でも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基などの炭素数7以上のかさ高い構造を有する脂環基が、PEB(露光後加熱)工程での膜中拡散性の抑制及びMEEF(Mask Error Enhancement Factor)の向上の観点から好ましい。
【0219】
b2についての炭素数6以上のアリール基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。このアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基及びアントリル基が挙げられる。中でも、193nmにおける光吸光度が比較的低いナフチル基が好ましい。
【0220】
b2についての炭素数6以上の複素環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよいが、多環式の方がより酸の拡散を抑制可能である。また、複素環基は、芳香族性を有していてもよく、芳香族性を有していなくてもよい。芳香族性を有している複素環としては、例えば、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、及びジベンゾチオフェン環が挙げられる。芳香族性を有していない複素環としては、例えば、テトラヒドロピラン環、ラクトン環、及びデカヒドロイソキノリン環が挙げられる。複素環基における複素環としては、ベンゾフラン環又はデカヒドロイソキノリン環が特に好ましい。また、ラクトン環の例としては、前述の樹脂(P)において例示したラクトン構造が挙げられる。
【0221】
上記Rb2についての炭素数6以上の置換基は、更に置換基を有していてもよい。この更なる置換基としては、例えば、アルキル基(直鎖、分岐のいずれであっても良く、炭素数1〜12が好ましい)、シクロアルキル基(単環、多環、スピロ環のいずれであっても良く、炭素数3〜20が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基、及びスルホン酸エステル基が挙げられる。なお、上述の脂環基、アリール基、又は複素環基を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)はカルボニル炭素であっても良い。
一般式(B−1)で表されるアニオンの具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0222】
【化29】
【0223】
次に、下記一般式(B−2)で表されるアニオンについて説明する。
【0224】
【化30】
【0225】
上記一般式(B−2)中、
b1はラクトン構造を有する基、スルトン構造を有する基又は環状カーボネート構造を有する基を表す。
b1についてのラクトン構造及びスルトン構造としては、例えば、先に樹脂(P)の項で説明したラクトン構造及びスルトン構造を有する繰り返し単位におけるラクトン構造及びスルトン構造と同様のものが挙げられる。具体的には、上記一般式(LC1−1)〜(LC1−17)のいずれかで表されるラクトン構造又は上記一般式(SL1−1)〜(SL1−3)のいずれかで表されるスルトン構造が挙げられる。
前記ラクトン構造又はスルトン構造が直接、上記一般式(B−2)中のエステル基の酸素原子と結合していてもよいが、前記ラクトン構造又はスルトン構造がアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基)を介してエステル基の酸素原子と結合していてもよい。その場合、前記ラクトン構造又はスルトン構造を有する基としては、前記ラクトン構造又はスルトン構造を置換基として有するアルキル基ということができる。
b1についての環状カーボネート構造としては5〜7員環の環状カーボネート構造であることが好ましく、1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オンなどが挙げられる。
前記環状カーボネート構造が直接、上記一般式(B−2)中のエステル基の酸素原子と結合していてもよいが、前記環状カーボネート構造がアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基)を介してエステル基の酸素原子と結合していてもよい。その場合、前記環状カーボネート構造を有する基としては、環状カーボネート構造を置換基として有するアルキル基ということができる。
一般式(B−2)で表されるアニオンの具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0226】
【化31】
【0227】
次に、下記一般式(B−3)で表されるアニオンについて説明する。
【0228】
【化32】
【0229】
上記一般式(B−3)中、
b2は炭素数1〜6のアルキレン基を表し、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられ、炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましい。
b2はエーテル結合又はエステル結合(−OCO−若しくは−COO−)を表す。
b2は脂環基又は芳香環を含有する基を表す。
b2についての脂環基としては、単環式であってもよく、多環式であってもよい。単環式の脂環基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロオクチル基などの単環のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環基としては、例えば、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が挙げられる。中でも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基などの炭素数7以上のかさ高い構造を有する脂環基が好ましい。
b2についての芳香環を含有する基における芳香環としては、炭素数6〜20の芳香環であることが好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環などが挙げられ、ベンゼン環又はナフタレン環であることがより好ましい。前記芳香環としては、少なくとも1つのフッ素原子により置換されていてもよく、少なくとも1つのフッ素原子で置換された芳香環としては、パーフルオロフェニル基などが挙げられる。
前記芳香環がXb2と直接結合していてもよいが、前記芳香環がアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基)を介してXb2と結合していてもよい。その場合、前記芳香環を含有する基としては、前記芳香環を置換基として有するアルキル基ということができる。
一般式(B−3)で表されるアニオン構造の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0230】
【化33】
【0231】
201、R202及びR203により表される有機基としては、例えば、後述する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)及び(ZI−4)における対応する基を挙げることができる。
【0232】
なお、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくとも1つが、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくとも一つと、単結合又は連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
【0233】
更に好ましい(ZI)成分として、以下に説明する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、及び(ZI−3)及び(ZI−4)を挙げることができる。
【0234】
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
【0235】
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基又はシクロアルキル基でもよい。
【0236】
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、アリールジシクロアルキルスルホニウム化合物を挙げることができる。
【0237】
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。アリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造としては、ピロール残基、フラン残基、チオフェン残基、インドール残基、ベンゾフラン残基、ベンゾチオフェン残基等が挙げられる。アリールスルホニウム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
【0238】
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖又は分岐アルキル基及び炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
【0239】
201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては炭素数1〜12の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
【0240】
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
化合物(ZI−2)は、式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を有さない有機基を表す化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
【0241】
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
【0242】
201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖又は分岐の2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、特に好ましくは直鎖又は分岐2−オキソアルキル基である。
【0243】
201〜R203のアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。アルキル基として、より好ましくは2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基を挙げることができる。シクロアルキル基として、より好ましくは、2−オキソシクロアルキル基を挙げることができる。
【0244】
2−オキソアルキル基は、直鎖又は分岐のいずれであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
2−オキソシクロアルキル基は、好ましくは、上記のシクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
【0245】
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
【0246】
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
【0247】
次に、化合物(ZI−3)について説明する。
化合物(ZI−3)とは、以下の一般式(ZI−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
【0248】
【化34】
【0249】
一般式(ZI−3)に於いて、
1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアリール基を表す。
及びRは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリル基又はビニル基を表す。
【0250】
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R5cとR6c、R6cとR7c、R5cとR、及びRとRは、それぞれ結合して環構造を形成しても良く、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、ケトン基、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。
上記環構造としては、芳香族若しくは非芳香族の炭化水素環、芳香族若しくは非芳香族の複素環、又は、これらの環が2つ以上組み合わされてなる多環縮合環を挙げることができる。環構造としては、3〜10員環を挙げることができ、4〜8員環であることが好ましく、5又は6員環であることがより好ましい。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRとRが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。
5cとR6c、及び、R5cとRが結合して形成する基としては、単結合又はアルキレン基であることが好ましく、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基等を挙げることができる。
【0251】
Zcは、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZと同様の非求核性アニオンを挙げることができる。
【0252】
1c〜R7cとしてのアルキル基は、直鎖又は分岐のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜20個のアルキル基、好ましくは炭素数1〜12個の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、直鎖又は分岐プロピル基、直鎖又は分岐ブチル基、直鎖又は分岐ペンチル基)を挙げることができ、シクロアルキル基としては、例えば炭素数3〜10個のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)を挙げることができる。
【0253】
1c〜R5cとしてのアリール基は、好ましくは炭素数5〜15であり、例えば、フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。
【0254】
1c〜R5cとしてのアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖及び分岐アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、直鎖又は分岐プロポキシ基、直鎖又は分岐ブトキシ基、直鎖又は分岐ペントキシ基)、炭素数3〜10の環状アルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)を挙げることができる。
【0255】
1c〜R5cとしてのアルコキシカルボニル基におけるアルコキシ基の具体例は、前記R1c〜R5cとしてのアルコキシ基の具体例と同様である。
【0256】
1c〜R5cとしてのアルキルカルボニルオキシ基及びアルキルチオ基におけるアルキル基の具体例は、前記R1c〜R5cとしてのアルキル基の具体例と同様である。
【0257】
1c〜R5cとしてのシクロアルキルカルボニルオキシ基におけるシクロアルキル基の具体例は、前記R1c〜R5cとしてのシクロアルキル基の具体例と同様である。
【0258】
1c〜R5cとしてのアリールオキシ基及びアリールチオ基におけるアリール基の具体例は、前記R1c〜R5cとしてのアリール基の具体例と同様である。
好ましくは、R1c〜R5cの内のいずれかが直鎖又は分岐アルキル基、シクロアルキル基又は直鎖、分岐若しくは環状アルコキシ基であり、更に好ましくは、R1c〜R5cの炭素数の和が2〜15である。これにより、より溶剤溶解性が向上し、保存時にパーティクルの発生が抑制される。
【0259】
1c〜R5cのいずれか2つ以上が互いに結合して形成してもよい環構造としては、好ましくは5員又は6員の環、特に好ましくは6員の環(例えばフェニル環)が挙げられる。
【0260】
5c及びR6cが互いに結合して形成してもよい環構造としては、R5c及びR6cが互いに結合して単結合又はアルキレン基(メチレン基、エチレン基等)を構成することにより、一般式(I)中のカルボニル炭素原子及び炭素原子と共に形成する4員以上の環(特に好ましくは5〜6員の環)が挙げられる。
【0261】
6c及びR7cとしてのアリール基としては、好ましくは炭素数5〜15であり、例えば、フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。
6c及びR7cの態様としては、その両方がアルキル基である場合が好ましい。特に、R6c及びR7cが各々炭素数1〜4の直鎖又は分岐状アルキル基である場合が好ましく、とりわけ、両方がメチル基である場合が好ましい。
【0262】
また、R6cとR7cとが結合して環を形成する場合に、R6cとR7cとが結合して形成する基としては、炭素数2〜10のアルキレン基が好ましく、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などを挙げることができる。また、R6cとR7cとが結合して形成する環は、環内に酸素原子等のヘテロ原子を有していてもよい。
【0263】
及びRとしてのアルキル基及びシクロアルキル基は、R1c〜R7cにおけると同様のアルキル基及びシクロアルキル基を挙げることができる。
【0264】
及びRとしての2−オキソアルキル基及び2−オキソシクロアルキル基は、R1c〜R7cとしてのアルキル基及びシクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
【0265】
及びRとしてのアルコキシカルボニルアルキル基におけるアルコキシ基については、R1c〜R5cおけると同様のアルコキシ基を挙げることができ、アルキル基については、例えば、炭素数1〜12のアルキル基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基)を挙げることができる。
【0266】
及びRとしてのアリル基としては、特に制限は無いが、無置換のアリル基、又は、単環若しくは多環のシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜10のシクロアルキル基)で置換されたアリル基であることが好ましい。
【0267】
及びRとしてのビニル基としては特に制限は無いが、無置換のビニル基、又は、単環若しくは多環のシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜10のシクロアルキル基)で置換されたビニル基であることが好ましい。
【0268】
5c及びRが互いに結合して形成してもよい環構造としては、R5c及びRが互いに結合して単結合又はアルキレン基(メチレン基、エチレン基等)を構成することにより、一般式(I)中の硫黄原子とカルボニル炭素原子と共に形成する5員以上の環(特に好ましくは5員の環)が挙げられる。
【0269】
及びRが互いに結合して形成してもよい環構造としては、2価のR及びR(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等)が一般式(ZI−3)中の硫黄原子と共に形成する5員又は6員の環、特に好ましくは5員の環(即ち、テトラヒドロチオフェン環)が挙げられる。
【0270】
及びRは、好ましくは炭素数4個以上のアルキル基又はシクロアルキル基であり、より好ましくは6個以上、更に好ましくは8個以上のアルキル基又はシクロアルキル基である。
【0271】
1c〜R7c、R及びRは、更に置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子)、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アリールカルボニル基、アルコキシアルキル基、アリールオシキアルキル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
【0272】
上記一般式(ZI−3)中、R1c、R2c、R4c及びR5cが、各々独立に、水素原子を表し、R3cが水素原子以外の基、すなわち、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基を表すことがより好ましい。
【0273】
本発明における一般式(ZI−2)又は(ZI−3)で表される化合物のカチオンとしては、以下の具体例が挙げられる。
【0274】
【化35】
【0275】
【化36】
【0276】
【化37】
【0277】
【化38】
【0278】
【化39】
【0279】
【化40】
【0280】
次に、化合物(ZI−4)について説明する。
化合物(ZI−4)は、下記一般式(ZI−4)で表される。
【0281】
【化41】
【0282】
一般式(ZI−4)中、
13は水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又はシクロアルキル基を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
14は複数存在する場合は各々独立して、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、又はシクロアルキル基を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
15は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基又はナフチル基を表す。2個のR15が互いに結合して環を形成してもよい。これらの基は置換基を有してもよい。
lは0〜2の整数を表す。
rは0〜8の整数を表す。
は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZと同様の非求核性アニオンを挙げることができる。
【0283】
一般式(ZI−4)において、R13、R14及びR15のアルキル基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましく、メチル基、エチル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が好ましい。
【0284】
13、R14及びR15のシクロアルキル基としては、単環若しくは多環のシクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基)が挙げられ、特にシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルが好ましい。
【0285】
13及びR14のアルコキシ基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等が好ましい。
【0286】
13及びR14のアルコキシカルボニル基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数2〜11のものが好ましく、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基等が好ましい。
【0287】
13及びR14のシクロアルキル基を有する基としては、単環若しくは多環のシクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基)が挙げられ、例えば、単環若しくは多環のシクロアルキルオキシ基、及び、単環若しくは多環のシクロアルキル基を有するアルコキシ基が挙げられる。これら基は、置換基を更に有していてもよい。
【0288】
13及びR14の単環若しくは多環のシクロアルキルオキシ基としては、総炭素数が7以上であることが好ましく、総炭素数が7以上15以下であることがより好ましく、また、単環のシクロアルキル基を有することが好ましい。総炭素数7以上の単環のシクロアルキルオキシ基とは、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、シクロドデカニルオキシ基等のシクロアルキルオキシ基に、任意にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、iso−アミル基等のアルキル基、水酸基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、アセトキシ基、ブチリルオキシ基等のアシルオキシ基、カルボキシ基等の置換基を有する単環のシクロアルキルオキシ基であって、該シクロアルキル基上の任意の置換基と合わせた総炭素数が7以上のものを表す。
また、総炭素数が7以上の多環のシクロアルキルオキシ基としては、ノルボルニルオキシ基、トリシクロデカニルオキシ基、テトラシクロデカニルオキシ基、アダマンチルオキシ基等が挙げられる。
【0289】
13及びR14の単環若しくは多環のシクロアルキル基を有するアルコキシ基としては、総炭素数が7以上であることが好ましく、総炭素数が7以上15以下であることがより好ましく、また、単環のシクロアルキル基を有するアルコキシ基であることが好ましい。総炭素数7以上の、単環のシクロアルキル基を有するアルコキシ基とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプトキシ、オクチルオキシ、ドデシルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、イソプロポキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、iso−アミルオキシ等のアルコキシ基に上述の置換基を有していてもよい単環シクロアルキル基が置換したものであり、置換基も含めた総炭素数が7以上のものを表す。たとえば、シクロヘキシルメトキシ基、シクロペンチルエトキシ基、シクロヘキシルエトキシ基等が挙げられ、シクロヘキシルメトキシ基が好ましい。
【0290】
また、総炭素数が7以上の多環のシクロアルキル基を有するアルコキシ基としては、ノルボルニルメトキシ基、ノルボルニルエトキシ基、トリシクロデカニルメトキシ基、トリシクロデカニルエトキシ基、テトラシクロデカニルメトキシ基、テトラシクロデカニルエトキシ基、アダマンチルメトキシ基、アダマンチルエトキシ基等が挙げられ、ノルボルニルメトキシ基、ノルボルニルエトキシ基等が好ましい。
【0291】
14のアルキルカルボニル基のアルキル基としては、上述したR13〜R15としてのアルキル基と同様の具体例が挙げられる。
【0292】
14のアルキルスルホニル基及びシクロアルキルスルホニル基としては、直鎖状、分岐状、環状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましく、例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、n−ブタンスルホニル基、シクロペンタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基等が好ましい。
【0293】
上記各基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子)、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
【0294】
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシ基等を挙げることができる。
【0295】
前記アルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−メトキシエチル基、2−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、2−エトキシエチル基等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシアルキル基等を挙げることができる。
【0296】
前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0297】
前記アルコキシカルボニルオキシ基としては、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、i−プロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、シクロペンチルオキシカルボニルオキシ基、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
【0298】
2個のR15が互いに結合して形成してもよい環構造としては、2個のR15が一般式(ZI−4)中の硫黄原子と共に形成する5員又は6員の環、特に好ましくは5員の環(即ち、テトラヒドロチオフェン環)が挙げられ、アリール基又はシクロアルキル基と縮環していてもよい。この2価のR15は置換基を有してもよく、置換基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。前記環構造に対する置換基は、複数個存在しても良く、また、それらが互いに結合して環(芳香族若しくは非芳香族の炭化水素環、芳香族若しくは非芳香族の複素環、又はこれらの環が2つ以上組み合わされてなる多環縮合環など)を形成しても良い。
一般式(ZI−4)におけるR15としては、メチル基、エチル基、ナフチル基、2個のR15が互いに結合して硫黄原子と共にテトラヒドロチオフェン環構造を形成する2価の基等が好ましい。
【0299】
13及びR14が有し得る置換基としては、水酸基、アルコキシ基、又はアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)が好ましい。
【0300】
lとしては、0又は1が好ましく、1がより好ましい。
rとしては、0〜2が好ましい。
【0301】
本発明における一般式(ZI−4)で表される化合物のカチオンとしては以下の具体例が挙げられる。
【0302】
【化42】
【0303】
【化43】
【0304】
次に、一般式(ZII)、(ZIII)について説明する。
一般式(ZII)、(ZIII)中、
204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204〜R207のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。R204〜R207のアリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造を有するアリール基の骨格としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等を挙げることができる。
204〜R207におけるアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。R204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZの非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
【0305】
酸発生剤として、更に、下記一般式(ZIV)、(ZV)、(ZVI)で表される化合物も挙げられる。
【0306】
【化44】
【0307】
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、
Ar及びArは、各々独立に、アリール基を表す。
208、R209及びR210は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
Ar、Ar、R208、R209及びR210のアリール基の具体例としては、上記一般式(ZI−1)におけるR201、R202及びR203としてのアリール基の具体例と同様のものを挙げることができる。
208、R209及びR210のアルキル基及びシクロアルキル基の具体例としては、それぞれ、上記一般式(ZI−2)におけるR201、R202及びR203としてのアルキル基及びシクロアルキル基の具体例と同様のものを挙げることができる。
Aのアルキレン基としては、炭素数1〜12のアルキレン(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基など)を、Aのアルケニレン基としては、炭素数2〜12のアルケニレン基(例えば、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基など)を、Aのアリーレン基としては、炭素数6〜10のアリーレン基(例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基など)を、それぞれ挙げることができる。
【0308】
酸発生剤の内でより好ましくは、一般式(ZI)〜(ZIII)で表される化合物である。
また、酸発生剤として、スルホン酸基又はイミド基を1つ有する酸を発生する化合物が好ましく、更に好ましくは1価のパーフルオロアルカンスルホン酸を発生する化合物、又は1価のフッ素原子若しくはフッ素原子を含有する基で置換された芳香族スルホン酸を発生する化合物、又は1価のフッ素原子若しくはフッ素原子を含有する基で置換されたイミド酸を発生する化合物であり、更により好ましくは、フッ化置換アルカンスルホン酸、フッ素置換ベンゼンスルホン酸、フッ素置換イミド酸又はフッ素置換メチド酸のスルホニウム塩である。使用可能な酸発生剤は、発生した酸のpKaが−1以下のフッ化置換アルカンスルホン酸、フッ化置換ベンゼンスルホン酸、フッ化置換イミド酸であることが特に好ましく、感度が向上する。
【0309】
酸発生剤の中で、特に好ましい例を以下に挙げる。
【0310】
【化45】
【0311】
【化46】
【0312】
【化47】
【0313】
【化48】
【0314】
【化49】
【0315】
【化50】
【0316】
また、化合物(B)の内、上記一般式(B−1)〜(B−3)のいずれかで表されるアニオンを有するものとして、特に好ましい例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0317】
【化51】
【0318】
【化52】
【0319】
酸発生剤は、公知の方法で合成することができ、例えば、特開2007−161707号公報、特開2010−100595号公報の[0200]〜[0210]、国際公開第2011/093280号の[0051]〜[0058]、国際公開第2008/153110号の[0382]〜[0385]、特開2007−161707号公報等に記載の方法に準じて合成することができる。
酸発生剤は、1種類単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(上記一般式(ZI−3)又は(ZI−4)で表される場合は除く。)の組成物中の含有量は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)の全固形分を基準として、0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜25質量%、更に好ましくは3〜20質量%、特に好ましくは3〜15質量%である。
また、酸発生剤が上記一般式(ZI−3)又は(ZI−4)により表される場合には、その含有量は、組成物の全固形分を基準として、5〜35質量%が好ましく、8〜30質量%がより好ましく、9〜30質量%が更に好ましく、9〜25質量%が特に好ましい。
【0320】
[3](C)溶剤
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)は、通常、溶剤(C)を含有する。
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)を調製する際に使用することができる溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4〜10)、環を有しても良いモノケトン化合物(好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、ピルビン酸アルキル等の有機溶剤を挙げることができる。
これらの溶剤の具体例は、米国特許出願公開2008/0187860号明細書[0441]〜[0455]に記載のものを挙げることができる。
【0321】
本発明においては、有機溶剤として構造中に水酸基を含有する溶剤と、水酸基を含有しない溶剤とを混合した混合溶剤を使用してもよい。
水酸基を含有する溶剤、水酸基を含有しない溶剤としては前述の例示化合物が適宜選択可能であるが、水酸基を含有する溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキル等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME、別名1−メトキシ−2−プロパノール)、乳酸エチルがより好ましい。また、水酸基を含有しない溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を含有しても良いモノケトン化合物、環状ラクトン、酢酸アルキルなどが好ましく、これらの内でもプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、別名1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチルが特に好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノンが最も好ましい。
水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤との混合比(質量)は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。水酸基を含有しない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含むことが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート単独溶媒、又は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する2種類以上の混合溶剤であることが好ましい。
【0322】
[4]疎水性樹脂(D)
本発明に係る感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)は、特に液浸露光に適用する際、疎水性樹脂(以下、「疎水性樹脂(D)」又は単に「樹脂(D)」ともいう)を含有してもよい。なお、疎水性樹脂(D)前記樹脂(A)とは異なることが好ましい。
これにより、膜表層に疎水性樹脂(D)が偏在化し、液浸媒体が水の場合、水に対するレジスト膜表面の静的/動的な接触角を向上させ、液浸液追随性を向上させることができる。
疎水性樹脂(D)は前述のように界面に偏在するように設計されることが好ましいが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくても良い。
【0323】
疎水性樹脂(D)は、膜表層への偏在化の観点から、“フッ素原子”、“珪素原子”、及び、“樹脂の側鎖部分に含有されたCH部分構造”のいずれか1種以上を有することが好ましく、2種以上を有することがさらに好ましい。
【0324】
疎水性樹脂(D)が、フッ素原子及び/又は珪素原子を含む場合、疎水性樹脂(D)に於ける上記フッ素原子及び/又は珪素原子は、樹脂の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。
【0325】
疎水性樹脂(D)がフッ素原子を含んでいる場合、フッ素原子を有する部分構造として、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、又は、フッ素原子を有するアリール基を有する樹脂であることが好ましい。
フッ素原子を有するアルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4)は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖又は分岐アルキル基であり、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するシクロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された単環又は多環のシクロアルキル基であり、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたものが挙げられ、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
【0326】
フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、及びフッ素原子を有するアリール基として、好ましくは、下記一般式(F2)〜(F4)で表される基を挙げることができるが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0327】
【化53】
【0328】
一般式(F2)〜(F4)中、
57〜R68は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はアルキル基(直鎖若しくは分岐)を表す。但し、R57〜R61少なくとも1つ、R62〜R64の少なくとも1つ、及びR65〜R68の少なくとも1つは、それぞれ独立に、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)を表す。
57〜R61及びR65〜R67は、全てがフッ素原子であることが好ましい。R62、R63及びR68は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)が好ましく、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基であることが更に好ましい。R62とR63は、互いに連結して環を形成してもよい。
【0329】
一般式(F2)で表される基の具体例としては、例えば、p−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル基等が挙げられる。
一般式(F3)で表される基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロブチル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、ノナフルオロブチル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロヘキシル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロイソペンチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロ(トリメチル)ヘキシル基、2,2,3,3−テトラフルオロシクロブチル基、パーフルオロシクロヘキシル基などが挙げられる。ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロイソペンチル基が好ましく、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基が更に好ましい。
一般式(F4)で表される基の具体例としては、例えば、−C(CFOH、−C(COH、−C(CF)(CH)OH、−CH(CF)OH等が挙げられ、−C(CFOHが好ましい。
【0330】
フッ素原子を含む部分構造は、主鎖に直接結合しても良く、更に、アルキレン基、フェニレン基、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びウレイレン結合よりなる群から選択される基、或いはこれらの2つ以上を組み合わせた基を介して主鎖に結合しても良い。
【0331】
以下、フッ素原子を有する繰り返し単位の具体例を示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
具体例中、Xは、水素原子、−CH、−F又は−CFを表す。Xは、−F又は−CFを表す。
【0332】
【化54】
【0333】
【化55】
【0334】
疎水性樹脂(D)は、珪素原子を含有してもよい。珪素原子を有する部分構造として、アルキルシリル構造(好ましくはトリアルキルシリル基)、又は環状シロキサン構造を有する樹脂であることが好ましい。
アルキルシリル構造、又は環状シロキサン構造としては、具体的には、下記一般式(CS−1)〜(CS−3)で表される基などが挙げられる。
【0335】
【化56】
【0336】
一般式(CS−1)〜(CS−3)に於いて、
12〜R26は、各々独立に、直鎖若しくは分岐アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)又はシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)を表す。
〜Lは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、アルキレン基、フェニレン基、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、及びウレア結合よりなる群から選択される単独或いは2つ以上の組み合わせ(好ましくは総炭素数12以下)が挙げられる。
nは、1〜5の整数を表す。nは、好ましくは、2〜4の整数である。
【0337】
以下、一般式(CS−1)〜(CS−3)で表される基を有する繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明は、これに限定されるものではない。なお、具体例中、Xは、水素原子、−CH、−F又は−CFを表す。
【0338】
【化57】
【0339】
また、上記したように、疎水性樹脂(D)は、側鎖部分にCH部分構造を含むことも好ましい。
ここで、前記樹脂(D)中の側鎖部分が有するCH部分構造(以下、単に「側鎖CH部分構造」ともいう)には、エチル基、プロピル基等が有するCH部分構造を包含するものである。
一方、樹脂(D)の主鎖に直接結合しているメチル基(例えば、メタクリル酸構造を有する繰り返し単位のα−メチル基)は、主鎖の影響により樹脂(D)の表面偏在化への寄与が小さいため、本発明におけるCH部分構造に包含されないものとする。
【0340】
より具体的には、樹脂(D)が、例えば、下記一般式(M)で表される繰り返し単位などの、炭素−炭素二重結合を有する重合性部位を有するモノマーに由来する繰り返し単位を含む場合であって、R11〜R14がCH「そのもの」である場合、そのCHは、本発明における側鎖部分が有するCH部分構造には包含されない。
一方、C−C主鎖から何らかの原子を介して存在するCH部分構造は、本発明におけるCH部分構造に該当するものとする。例えば、R11がエチル基(CHCH)である場合、本発明におけるCH部分構造を「1つ」有するものとする。
【0341】
【化58】
【0342】
上記一般式(M)中、
11〜R14は、各々独立に、側鎖部分を表す。
側鎖部分のR11〜R14としては、水素原子、1価の有機基などが挙げられる。
11〜R14についての1価の有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、シクロアルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基などが挙げられ、これらの基は、更に置換基を有していてもよい。
【0343】
疎水性樹脂(D)は、側鎖部分にCH部分構造を有する繰り返し単位を有する樹脂であることが好ましく、このような繰り返し単位として、下記一般式(II)で表される繰り返し単位、及び、下記一般式(III)で表される繰り返し単位のうち少なくとも一種の繰り返し単位(x)を有していることがより好ましい。
【0344】
以下、一般式(II)で表される繰り返し単位について詳細に説明する。
【0345】
【化59】
【0346】
上記一般式(II)中、Xb1は水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表し、Rは1つ以上のCH部分構造を有する、酸に対して安定な有機基を表す。ここで、酸に対して安定な有機基は、より具体的には、前記樹脂(A)において説明した“酸の作用により分解して極性基を生じる基”を有さない有機基であることが好ましい。
【0347】
b1のアルキル基は、炭素数1〜4のものが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基等が挙げられるが、メチル基であることが好ましい。
b1は、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0348】
としては、1つ以上のCH部分構造を有する、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、及び、アラルキル基が挙げられる。上記のシクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、及び、アラルキル基は、更に、置換基としてアルキル基を有していても良い。
は、1つ以上のCH部分構造を有する、アルキル基又はアルキル置換シクロアルキル基が好ましい。
としての1つ以上のCH部分構造を有する酸に安定な有機基は、CH部分構造を2個以上10個以下有することが好ましく、2個以上8個以下有することがより好ましい。
【0349】
に於ける、1つ以上のCH部分構造を有するアルキル基としては、炭素数3〜20の分岐のアルキル基が好ましい。好ましいアルキル基としては、具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、3−ペンチル基、2−メチル−3−ブチル基、3−ヘキシル基、2−メチル−3−ペンチル基、3−メチル−4−ヘキシル基、3,5−ジメチル−4−ペンチル基、イソオクチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、2,6−ジメチルヘプチル基、1,5−ジメチル−3−ヘプチル基、2,3,5,7−テトラメチル−4−ヘプチル基等が挙げられる。より好ましくは、イソブチル基、t−ブチル基、2−メチル−3−ブチル基、2−メチル−3−ペンチル基、3−メチル−4−ヘキシル基、3,5−ジメチル−4−ペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、2,6−ジメチルヘプチル基、1,5−ジメチル−3−ヘプチル基、2,3,5,7−テトラメチル−4−ヘプチル基である。
【0350】
に於ける、1つ以上のCH部分構造を有するシクロアルキル基は、単環式でも、多環式でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。好ましいシクロアルキル基としては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、ノルボルニル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、テトラシクロドデカニル基、トリシクロデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、ノルボルニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基である。
に於ける、1つ以上のCH部分構造を有するアルケニル基としては、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルケニル基が好ましく、分岐のアルケニル基がより好ましい。
に於ける、1つ以上のCH部分構造を有するアリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基を挙げることができ、好ましくはフェニル基である。
に於ける、1つ以上のCH部分構造を有するアラルキル基としては、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
【0351】
に於ける、2つ以上のCH部分構造を有する炭化水素基としては、具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、3−ペンチル基、2−メチル−3−ブチル基、3−ヘキシル基、2,3−ジメチル−2−ブチル基、2−メチル−3−ペンチル基、3−メチル−4−ヘキシル基、3,5−ジメチル−4−ペンチル基、イソオクチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、2,6−ジメチルヘプチル基、1,5−ジメチル−3−ヘプチル基、2,3,5,7−テトラメチル−4−ヘプチル基、3,5−ジメチルシクロヘキシル基、4−イソプロピルシクロヘキシル基、4−tブチルシクロヘキシル基、イソボルニル基などが挙げられる。より好ましくは、イソブチル基、t−ブチル基、2−メチル−3−ブチル基、2,3−ジメチル−2−ブチル基、2−メチル−3−ペンチル基、3−メチル−4−ヘキシル基、3,5−ジメチル−4−ペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、2,6−ジメチルヘプチル基、1,5−ジメチル−3−ヘプチル基、2,3,5,7−テトラメチル−4−ヘプチル基、3,5−ジメチルシクロヘキシル基、3,5−ジtert−ブチルシクロヘキシル基、4−イソプロピルシクロヘキシル基、4−tブチルシクロヘキシル基、イソボルニル基である。
【0352】
一般式(II)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を以下に挙げる。尚、本発明はこれに限定されるものではない。
【0353】
【化60】
【0354】
一般式(II)で表される繰り返し単位は、酸に安定な(非酸分解性の)繰り返し単位であることが好ましく、具体的には、酸の作用により分解して、極性基を生じる基を有さない繰り返し単位であることが好ましい。
【0355】
以下、一般式(III)で表される繰り返し単位について詳細に説明する。
【0356】
【化61】
【0357】
上記一般式(III)中、Xb2は水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表し、Rは1つ以上のCH部分構造を有する、酸に対して安定な有機基を表し、nは1から5の整数を表す。
【0358】
b2のアルキル基は、炭素数1〜4のものが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基等が挙げられるが、水素原子である事が好ましい。
b2は、水素原子であることが好ましい。
【0359】
は、酸に対して安定な有機基であるため、より具体的には、記樹脂(A)において説明した“酸の作用により分解して極性基を生じる基”を有さない有機基であることが好ましい。
【0360】
としては、1つ以上のCH部分構造を有する、アルキル基が挙げられる。
としての1つ以上のCH部分構造を有する酸に安定な有機基は、CH部分構造を1個以上10個以下有することが好ましく、1個以上8個以下有することがより好ましく、1個以上4個以下有することが更に好ましい。
【0361】
に於ける、1つ以上のCH部分構造を有するアルキル基としては、炭素数3〜20の分岐のアルキル基が好ましい。好ましいアルキル基としては、具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、3−ペンチル基、2−メチル−3−ブチル基、3−ヘキシル基、2−メチル−3−ペンチル基、3−メチル−4−ヘキシル基、3,5−ジメチル−4−ペンチル基、イソオクチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、2,6−ジメチルヘプチル基、1,5−ジメチル−3−ヘプチル基、2,3,5,7−テトラメチル−4−ヘプチル基等が挙げられる。より好ましくは、イソブチル基、t−ブチル基、2−メチル−3−ブチル基、2−メチル−3−ペンチル基、3−メチル−4−ヘキシル基、3,5−ジメチル−4−ペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、2,6−ジメチルヘプチル基、1,5−ジメチル−3−ヘプチル基、2,3,5,7−テトラメチル−4−ヘプチル基である。
【0362】
に於ける、2つ以上のCH部分構造を有するアルキル基としては、具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、3−ペンチル基、2,3−ジメチルブチル基、2−メチル−3−ブチル基、3−ヘキシル基、2−メチル−3−ペンチル基、3−メチル−4−ヘキシル基、3,5−ジメチル−4−ペンチル基、イソオクチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、2,6−ジメチルヘプチル基、1,5−ジメチル−3−ヘプチル基、2,3,5,7−テトラメチル−4−ヘプチル基、などが挙げられる。より好ましくは、炭素数5〜20であることがより好ましく、イソプロピル基、t−ブチル基、2−メチル−3−ブチル基、2−メチル−3−ペンチル基、3−メチル−4−ヘキシル基、3,5−ジメチル−4−ペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、2,6−ジメチルヘプチル基、1,5−ジメチル−3−ヘプチル基、2,3,5,7−テトラメチル−4−ヘプチル基、2,6−ジメチルヘプチル基である。
【0363】
nは1から5の整数を表し、1〜3の整数を表すことがより好ましく、1又は2を表すことが更に好ましい。
【0364】
一般式(III)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を以下に挙げる。尚、本発明はこれに限定されるものではない。
【0365】
【化62】
【0366】
一般式(III)で表される繰り返し単位は、酸に安定な(非酸分解性の)繰り返し単位であることが好ましく、具体的には、酸の作用により分解して、極性基を生じる基を有さない繰り返し単位であることが好ましい。
【0367】
樹脂(D)が、側鎖部分にCH部分構造を含む場合であり、更に、特にフッ素原子および珪素原子を有さない場合、一般式(II)で表される繰り返し単位、及び、一般式(III)で表される繰り返し単位のうち少なくとも一種の繰り返し単位(x)の含有量は、樹脂(C)の全繰り返し単位に対して、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましい。前記含有量は、樹脂(C)の全繰り返し単位に対して、通常、100モル%以下である。
【0368】
樹脂(D)が、一般式(II)で表される繰り返し単位、及び、一般式(III)で表される繰り返し単位のうち少なくとも一種の繰り返し単位(x)を、樹脂(D)の全繰り返し単位に対し、90モル%以上で含有することにより、樹脂(C)の表面自由エネルギーが増加する。その結果として、樹脂(D)がレジスト膜の表面に偏在しにくくなり、水に対するレジスト膜の静的/動的接触角を確実に向上させて、液浸液追随性を向上させることができる。
【0369】
また、疎水性樹脂(D)は、(i)フッ素原子及び/又は珪素原子を含む場合においても、(ii)側鎖部分にCH部分構造を含む場合においても、下記(x)〜(z)の群から選ばれる基を少なくとも1つを有していてもよい。
(x)酸基、
(y)ラクトン構造を有する基、酸無水物基、又は酸イミド基、
(z)酸の作用により分解する基
【0370】
酸基(x)としては、フェノール性水酸基、カルボン酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。
好ましい酸基としては、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホンイミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基が挙げられる。
【0371】
酸基(x)を有する繰り返し単位としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に、直接、酸基が結合している繰り返し単位、或いは、連結基を介して樹脂の主鎖に酸基が結合している繰り返し単位などが挙げられ、更には酸基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入することもでき、いずれの場合も好ましい。酸基(x)を有する繰り返し単位が、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有していても良い。
酸基(x)を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂(D)中の全繰り返し単位に対し、1〜50モル%が好ましく、より好ましくは3〜35モル%、更に好ましくは5〜20モル%である。
【0372】
酸基(x)を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。式中、Rxは水素原子、CH、CF、又は、CHOHを表す。
【0373】
【化63】
【0374】
【化64】
【0375】
ラクトン構造を有する基、酸無水物基、又は酸イミド基(y)としては、ラクトン構造を有する基が特に好ましい。
これらの基を含んだ繰り返し単位は、例えば、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルによる繰り返し単位等の、樹脂の主鎖に直接この基が結合している繰り返し単位である。或いは、この繰り返し単位は、この基が連結基を介して樹脂の主鎖に結合している繰り返し単位であってもよい。或いは、この繰り返し単位は、この基を有する重合開始剤又は連鎖移動剤を重合時に用いて、樹脂の末端に導入されていてもよい。
【0376】
ラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位としては、例えば、先に酸分解性樹脂(A)の項で説明したラクトン構造を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。
【0377】
ラクトン構造を有する基、酸無水物基、又は酸イミド基を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂(D)中の全繰り返し単位を基準として、1〜100モル%であることが好ましく、3〜98モル%であることがより好ましく、5〜95モル%であることが更に好ましい。
【0378】
疎水性樹脂(D)に於ける、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位は、樹脂(A)で挙げた酸分解性基を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位が、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有していても良い。疎水性樹脂(D)に於ける、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(D)中の全繰り返し単位に対し、1〜80モル%が好ましく、より好ましくは10〜80モル%、更に好ましくは20〜60モル%である。
【0379】
疎水性樹脂(D)は、更に、下記一般式(III)で表される繰り返し単位を有していてもよい。
【0380】
【化65】
【0381】
一般式(III)に於いて、
c31は、水素原子、アルキル基(フッ素原子等で置換されていても良い)、シアノ基又は−CH−O−Rac基を表す。式中、Racは、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Rc31は、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
c32は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基又はアリール基を有する基を表す。これら基はフッ素原子、珪素原子を含む基で置換されていても良い。
c3は、単結合又は2価の連結基を表す。
【0382】
一般式(III)に於ける、Rc32のアルキル基は、炭素数3〜20の直鎖若しくは分岐状アルキル基が好ましい。
シクロアルキル基は、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましい。
アルケニル基は、炭素数3〜20のアルケニル基が好ましい。
シクロアルケニル基は、炭素数3〜20のシクロアルケニル基が好ましい。
アリール基は、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、フェニル基、ナフチル基がより好ましく、これらは置換基を有していてもよい。
c32は無置換のアルキル基又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
c3の2価の連結基は、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜5)、エーテル結合、フェニレン基、エステル結合(−COO−で表される基)が好ましい。
一般式(III)により表される繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位を基準として、1〜100モル%であることが好ましく、10〜90モル%であることがより好ましく、30〜70モル%であることが更に好ましい。
【0383】
疎水性樹脂(D)は、更に、下記一般式(CII−AB)で表される繰り返し単位を有することも好ましい。
【0384】
【化66】
【0385】
式(CII−AB)中、
c11’及びRc12’は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
Zc’は、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、脂環式構造を形成するための原子団を表す。
一般式(CII−AB)により表される繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位を基準として、1〜100モル%であることが好ましく、10〜90モル%であることがより好ましく、30〜70モル%であることが更に好ましい。
【0386】
以下に一般式(III)、(CII−AB)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、Raは、H、CH、CHOH、CF又はCNを表す。
【0387】
【化67】
【0388】
疎水性樹脂(D)がフッ素原子を有する場合、フッ素原子の含有量は、疎水性樹脂(D)の重量平均分子量に対し、5〜80質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい。また、フッ素原子を含む繰り返し単位は、疎水性樹脂(D)に含まれる全繰り返し単位中10〜100モル%であることが好ましく、30〜100モル%であることがより好ましい。
疎水性樹脂(D)が珪素原子を有する場合、珪素原子の含有量は、疎水性樹脂(D)の重量平均分子量に対し、2〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。また、珪素原子を含む繰り返し単位は、疎水性樹脂(D)に含まれる全繰り返し単位中、10〜100モル%であることが好ましく、20〜100モル%であることがより好ましい。
【0389】
一方、特に樹脂(D)が側鎖部分にCH部分構造を含む場合においては、樹脂(D)が、フッ素原子及び珪素原子を実質的に含有しない形態も好ましく、この場合、具体的には、フッ素原子又は珪素原子を有する繰り返し単位の含有量が、樹脂(D)中の全繰り返し単位に対して5モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましく、1モル%以下であることが更に好ましく、理想的には0モル%、すなわち、フッ素原子及び珪素原子を含有しない。また、樹脂(D)は、炭素原子、酸素原子、水素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる原子のみによって構成された繰り返し単位のみで実質的に構成されることが好ましい。より具体的には、炭素原子、酸素原子、水素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる原子のみによって構成された繰り返し単位が、樹脂(D)の全繰り返し単位中95モル%以上であることが好ましく、97モル%以上であることがより好ましく、99モル%以上であることが更に好ましく、理想的には100モル%である。
【0390】
疎水性樹脂(D)の標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000で、より好ましくは1,000〜50,000、更により好ましくは2,000〜15,000である。
また、疎水性樹脂(D)は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
疎水性樹脂(D)の組成物中の含有量は、本発明の組成物中の全固形分に対し、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜8質量%がより好ましく、0.1〜5質量%が更に好ましい。
【0391】
疎水性樹脂(D)は、樹脂(A)同様、金属等の不純物が少ないのは当然のことながら、残留単量体やオリゴマー成分が0.01〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜3質量%、0.05〜1質量%が更により好ましい。それにより、液中異物や感度等の経時変化のない感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)が得られる。また、解像度、レジスト形状、レジストパターンの側壁、ラフネスなどの点から、分子量分布(Mw/Mn、分散度ともいう)は、1〜5の範囲が好ましく、より好ましくは1〜3、更に好ましくは1〜2の範囲である。
【0392】
疎水性樹脂(D)は、各種市販品を利用することもできるし、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種及び開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。
反応溶媒、重合開始剤、反応条件(温度、濃度等)、及び、反応後の精製方法は、樹脂(A)で説明した内容と同様であるが、疎水性樹脂(D)の合成においては、反応の濃度が30〜50質量%であることが好ましい。
【0393】
以下に疎水性樹脂(D)の具体例を示す。また、下記表に、各樹脂における繰り返し単位のモル比(各繰り返し単位と左から順に対応)、重量平均分子量、分散度を示す。
【0394】
【化68】
【0395】
【化69】
【0396】
【化70】
【0397】
【表1】
【0398】
【化71】
【0399】
【化72】
【0400】
【化73】
【0401】
【化74】
【0402】
【表2】
【0403】
【表3】
【0404】
[5−1]活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下する、塩基性化合物又はアンモニウム塩化合物(N)
本発明における感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)は、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下する、塩基性化合物又はアンモニウム塩化合物(以下、「化合物(N)」ともいう)を含有することが好ましい。
【0405】
化合物(N)は、塩基性官能基又はアンモニウム基と、活性光線又は放射線の照射により酸性官能基を発生する基とを有する化合物(N−1)であることが好ましい。すなわち、化合物(N)は、塩基性官能基と活性光線若しくは放射線の照射により酸性官能基を発生する基とを有する塩基性化合物、又は、アンモニウム基と活性光線若しくは放射線の照射により酸性官能基を発生する基とを有するアンモニウム塩化合物であることが好ましい。
化合物(N)又は(N−1)が、活性光線又は放射線の照射により分解して発生する、塩基性が低下した化合物として、下記一般式(PA−I)、(PA−II)又は(PA−III)で表される化合物を挙げることができ、LWR、局所的なパターン寸法の均一性及びDOFに関して優れた効果を高次元で両立できるという観点から、特に、一般式(PA−II)又は(PA−III)で表される化合物が好ましい。
まず、一般式(PA−I)で表される化合物について説明する。
【0406】
Q−A−(X)−B−R (PA−I)
【0407】
一般式(PA−I)中、
は、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、−SOH、又は−COHを表す。Qは、活性光線又は放射線の照射により発生される酸性官能基に相当する。
Xは、−SO−又は−CO−を表す。
nは、0又は1を表す。
Bは、単結合、酸素原子又は−N(Rx)−を表す。
Rxは、水素原子又は1価の有機基を表す。
Rは、塩基性官能基を有する1価の有機基又はアンモニウム基を有する1価の有機基を表す。
【0408】
における2価の連結基としては、好ましくは炭素数2〜12の2価の連結基であり、例えば、アルキレン基、フェニレン基等が挙げられる。より好ましくは少なくとも1つのフッ素原子を有するアルキレン基であり、好ましい炭素数は2〜6、より好ましくは炭素数2〜4である。アルキレン鎖中に酸素原子、硫黄原子などの連結基を有していてもよい。アルキレン基は、特に水素原子の数の30〜100%がフッ素原子で置換されたアルキレン基が好ましく、Q部位と結合した炭素原子がフッ素原子を有することがより好ましい。更にはパーフルオロアルキレン基が好ましく、パーフロロエチレン基、パーフロロプロピレン基、パーフロロブチレン基がより好ましい。
【0409】
Rxにおける1価の有機基としては、好ましくは炭素数4〜30であり、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基などを挙げることができる。
Rxにおけるアルキル基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜20の直鎖及び分岐アルキル基であり、アルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有していてもよい。
なお、置換基を有するアルキル基として、特に直鎖又は分岐アルキル基にシクロアルキル基が置換した基(例えば、アダマンチルメチル基、アダマンチルエチル基、シクロヘキシルエチル基、カンファー残基など)を挙げることができる。
Rxにおけるシクロアルキル基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数3〜20のシクロアルキル基であり、環内に酸素原子を有していてもよい。
Rxにおけるアリール基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数6〜14のアリール基である。
Rxにおけるアラルキル基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられる。
Rxにおけるアルケニル基としては、置換基を有していてもよく、例えば、Rxとして挙げたアルキル基の任意の位置に2重結合を有する基が挙げられる。
【0410】
塩基性官能基の好ましい部分構造として、例えば、クラウンエーテル、一〜三級アミン、含窒素複素環(ピリジン、イミダゾール、ピラジンなど)の構造が挙げられる。
アンモニウム基の好ましい部分構造として、例えば、一〜三級アンモニウム、ピリジニウム、イミダゾリニウム、ピラジニウム構造などを挙げることが出来る。
なお、塩基性官能基としては、窒素原子を有する官能基が好ましく、1〜3級アミノ基を有する構造、又は含窒素複素環構造がより好ましい。これら構造においては、構造中に含まれる窒素原子に隣接する原子の全てが、炭素原子又は水素原子であることが、塩基性向上の観点から好ましい。また、塩基性向上の観点では、窒素原子に対して、電子求引性の官能基(カルボニル基、スルホニル基、シアノ基、ハロゲン原子など)が直結していないことが好ましい。
このような構造を含む一価の有機基(基R)における一価の有機基としては、好ましい炭素数は4〜30であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基などを挙げることができ、各基は置換基を有していても良い。
Rにおける塩基性官能基又はアンモニウム基を含むアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基に於けるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基は、それぞれ、Rxとして挙げたアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基と同様のものである。
【0411】
上記各基が有してもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、カルボニル基、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜10)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜10)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20)、アミノアシル基(好ましくは炭素数2〜20)などが挙げられる。アリール基、シクロアルキル基などにおける環状構造については、置換基としては更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)を挙げることができる。アミノアシル基については、置換基として更に1又は2のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)を挙げることができる。
【0412】
Bが−N(Rx)−の時、RとRxが結合して環を形成していることが好ましい。環構造を形成することによって、安定性が向上し、これを用いた組成物の保存安定性が向上する。環を形成する炭素数は4〜20が好ましく、単環式でも多環式でもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を含んでいてもよい。
単環式構造としては、窒素原子を含む4〜8員環等を挙げることができる。多環式構造としては、2又は3以上の単環式構造の組み合わせから成る構造を挙げることができる。単環式構造、多環式構造は、置換基を有していてもよく、例えば、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、カルボニル基、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜10)、アシル基(好ましくは炭素数2〜15)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜15)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜15)、アミノアシル基(好ましくは炭素数2〜20)などが好ましい。アリール基、シクロアルキル基などにおける環状構造については、置換基としては更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を挙げることができる。アミノアシル基については、置換基として1又は2のアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を挙げることができる。
【0413】
一般式(PA−I)で表される化合物の内、Q部位がスルホン酸である化合物は、一般的なスルホンアミド化反応を用いることで合成できる。例えば、ビススルホニルハライド化合物の一方のスルホニルハライド部を選択的にアミン化合物と反応させて、スルホンアミド結合を形成した後、もう一方のスルホニルハライド部分を加水分解する方法、あるいは環状スルホン酸無水物をアミン化合物と反応させ開環させる方法により得ることができる。
【0414】
次に、一般式(PA−II)で表される化合物について説明する。
【0415】
−X−NH−X−Q (PA−II)
【0416】
一般式(PA−II)中、
及びQは、各々独立に、1価の有機基を表す。但し、Q及びQのいずれか一方は、塩基性官能基を有する。QとQは、結合して環を形成し、形成された環が塩基性官能基を有してもよい。
及びXは、各々独立に、−CO−又は−SO−を表す。
なお、−NH−は、活性光線又は放射線の照射により発生された酸性官能基に相当する。
【0417】
一般式(PA−II)に於ける、Q、Qとしての1価の有機基は、好ましくは炭素数1〜40であり、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基などを挙げることができる。
、Qにおけるアルキル基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜30の直鎖及び分岐アルキル基であり、アルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有していてもよい。
、Qにおけるシクロアルキル基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数3〜20のシクロアルキル基であり、環内に酸素原子、窒素原子を有していてもよい。
、Qにおけるアリール基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数6〜14のアリール基である。
、Qにおけるアラルキル基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられる。
、Qにおけるアルケニル基としては、置換基を有していてもよく、上記アルキル基の任意の位置に2重結合を有する基が挙げられる。
上記各基が有してもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、カルボニル基、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜10)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜10)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20)、アミノアシル基(好ましくは炭素数2〜10)などが挙げられる。アリール基、シクロアルキル基などにおける環状構造については、置換基としては更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)を挙げることができる。アミノアシル基については、置換基として更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)を挙げることができる。置換基を有するアルキル基として、例えば、パーフロロメチル基、パーフロロエチル基、パーフロロプロピル基、パーフロロブチル基などのパーフルオロアルキル基を挙げることができる。
【0418】
、Qの少なくともいずれかが有する塩基性官能基の好ましい部分構造としては、一般式(PA−I)のRが有する塩基性官能基として説明したものと同様のものが挙げられる。
【0419】
とQとが、結合して環を形成し、形成された環が塩基性官能基を有する構造としては、例えば、QとQの有機基が更にアルキレン基、オキシ基、イミノ基等で結合された構造を挙げることができる。
【0420】
一般式(PA−II)に於いて、X及びXの少なくとも片方が、−SO−であることが好ましい。
【0421】
次に、一般式(PA−III)で表される化合物を説明する。
【0422】
−X−NH−X−A−(X−B−Q (PA−III)
【0423】
一般式(PA−III)中、
及びQは、各々独立に、1価の有機基を表す。但し、Q及びQのいずれか一方は、塩基性官能基を有する。QとQは、結合して環を形成し、形成された環が塩基性官能基を有していてもよい。
、X及びXは、各々独立に、−CO−又は−SO−を表す。
は、2価の連結基を表す。
Bは、単結合、酸素原子又は−N(Qx)−を表す。
Qxは、水素原子又は1価の有機基を表す。
Bが、−N(Qx)−の時、QとQxが結合して環を形成してもよい。
mは、0又は1を表す。
なお、−NH−は、活性光線又は放射線の照射により発生された酸性官能基に相当する。
【0424】
は、一般式(PA−II)に於けるQと同義である。
の有機基としては、一般式(PA−II)に於けるQ、Qの有機基と同様のものを挙げることができる。
また、QとQとが、結合して環を形成し、形成された環が塩基性官能基を有する構造としては、例えば、QとQの有機基が更にアルキレン基、オキシ基、イミノ基等で結合された構造を挙げることができる。
【0425】
における2価の連結基としては、好ましくは炭素数1〜8のフッ素原子を有する2価の連結基であり、例えば炭素数1〜8のフッ素原子を有するアルキレン基、フッ素原子を有するフェニレン基等が挙げられる。より好ましくはフッ素原子を有するアルキレン基であり、好ましい炭素数は2〜6、より好ましくは炭素数2〜4である。アルキレン鎖中に酸素原子、硫黄原子などの連結基を有していてもよい。アルキレン基は、水素原子の数の30〜100%がフッ素原子で置換されたアルキレン基が好ましく、更にはパーフルオロアルキレン基が好ましく、炭素数2〜4のパーフルオロアルキレン基が特に好ましい。
【0426】
Qxにおける1価の有機基としては、好ましくは炭素数4〜30の有機基であり、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基などを挙げることができる。アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基は上記式(PA−I)におけるRxと同様のものを挙げることができる。
【0427】
一般式(PA−III)に於いて、X、X、Xは、−SO−であることが好ましい。
【0428】
化合物(N)としては、一般式(PA−I)、(PA−II)又は(PA−III)で表される化合物のスルホニウム塩化合物、一般式(PA−I)、(PA−II)又は(PA−III)で表される化合物のヨードニウム塩化合物が好ましく、更に好ましくは下記一般式(PA1)又は(PA2)で表される化合物である。
【0429】
【化75】
【0430】
一般式(PA1)において、
R’201、R’202及びR’203は、各々独立に、有機基を表し、具体的には、前記(B)成分における式ZIのR201、R202及びR203と同様である。
は、一般式(PA−I)で示される化合物の−SOH部位若しくは−COOH部位の水素原子が脱離したスルホン酸アニオン若しくはカルボン酸アニオン、又は一般式(PA−II)若しくは(PA−III)で表される化合物の−NH−部位から水素原子が脱離したアニオンを表す。
【0431】
前記一般式(PA2)中、
R’204及びR’205は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表し、具体的には、前記(B)成分における式ZIIのR204及びR205と同様である。
は、一般式(PA−I)で示される化合物の−SOH部位若しくは−COOH部位の水素原子が脱離したスルホン酸アニオン若しくはカルボン酸アニオン、又は一般式(PA−II)若しくは(PA−III)で表される化合物の−NH−部位から水素原子が脱離したアニオンを表す。
【0432】
化合物(N)は、活性光線又は放射線の照射により分解し、例えば、一般式(PA−I)、(PA−II)又は(PA−III)で表される化合物を発生する。
一般式(PA−I)で表される化合物は、塩基性官能基又はアンモニウム基とともにスルホン酸基又はカルボン酸基を有することにより、化合物(N)に比べて塩基性が低下、消失、又は塩基性から酸性に変化した化合物である。
一般式(PA−II)又は(PA−III)で表される化合物は、塩基性官能基とともに有機スルホニルイミノ基若しくは有機カルボニルイミノ基を有することにより、化合物(N)に比べて塩基性が低下、消失、又は塩基性から酸性に変化した化合物である。
本発明に於いて、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下することは、活性光線又は放射線の照射により化合物(N)のプロトン(活性光線又は放射線の照射により発生された酸)に対するアクセプター性が低下することを意味する。アクセプター性が低下するとは、塩基性官能基を有する化合物とプロトンとからプロトン付加体である非共有結合錯体が生成する平衡反応が起こる時、あるいは、アンモニウム基を有する化合物の対カチオンがプロトンに交換される平衡反応が起こる時、その化学平衡に於ける平衡定数が減少することを意味する。
このように、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下する化合物(N)がレジスト膜に含有されていることにより、未露光部においては、化合物(N)のアクセプター性が十分に発現されて、露光部等から拡散した酸と樹脂(A)との意図しない反応を抑制することができるとともに、露光部においては、化合物(N)のアクセプター性が低下するので、酸と樹脂(A)との意図する反応がより確実に起こり、このような作用機構の寄与もあって、線幅バラツキ(LWR)、局所的なパターン寸法の均一性、フォーカス余裕度(DOF)及びパターン形状に優れるパターンが得られるものと推測される。
なお、塩基性は、pH測定を行うことによって確認することができるし、市販のソフトウェアによって計算値を算出することも可能である。
【0433】
以下、活性光線又は放射線の照射により一般式(PA−I)で表される化合物を発生する化合物(N)の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0434】
【化76】
【0435】
【化77】
【0436】
これらの化合物の合成は、一般式(PA−I)で表される化合物又はそのリチウム、ナトリウム、カリウム塩と、ヨードニウム又はスルホニウムの水酸化物、臭化物、塩化物等から、特表平11−501909号公報又は特開2003−246786号公報に記載されている塩交換法を用いて容易に合成できる。また、特開平7−333851号公報に記載の合成方法に準ずることもできる。
【0437】
以下、活性光線又は放射線の照射により一般式(PA−II)又は(PA−III)で表される化合物を発生する化合物(N)の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0438】
【化78】
【0439】
【化79】
【0440】
これらの化合物は、一般的なスルホン酸エステル化反応あるいはスルホンアミド化反応を用いることで容易に合成できる。例えば、ビススルホニルハライド化合物の一方のスルホニルハライド部を選択的に一般式(PA−II)又は(PA−III)で表される部分構造を含むアミン、アルコールなどと反応させて、スルホンアミド結合、スルホン酸エステル結合を形成した後、もう一方のスルホニルハライド部分を加水分解する方法、あるいは環状スルホン酸無水物を一般式(PA−II)で表される部分構造を含むアミン、アルコールにより開環させる方法により得ることができる。一般式(PA−II)又は(PA−III)で表される部分構造を含むアミン、アルコールは、アミン、アルコールを塩基性下にて(R’OC)Oや(R’SOO等の無水物、R’OCClやR’SOCl等の酸クロリド化合物と反応させることにより合成できる(R’は、メチル基、n−オクチル基、トリフルオロメチル基等)。特に、特開2006−330098号公報の合成例などに準ずることができる。
化合物(N)の分子量は、500〜1000であることが好ましい。
【0441】
本発明における感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)は化合物(N)を含有してもしていなくてもよいが、含有する場合、化合物(N)の含有量は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の固形分を基準として、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。
【0442】
[5−2]塩基性化合物(N’)
本発明における感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)は、露光から加熱までの経時による性能変化を低減するために、前記化合物(N)とは異なる、塩基性化合物(N’)を含有していてもよい。
塩基性化合物(N’)としては、好ましくは、下記式(A’)〜(E’)で示される構造を有する化合物を挙げることができる。
【0443】
【化80】
【0444】
一般式(A’)と(E’)において、
RA200、RA201及びRA202は、同一でも異なってもよく、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(炭素数6〜20)を表し、ここで、RA201とRA202は、互いに結合して環を形成してもよい。RA203、RA204、RA205及びRA206は、同一でも異なってもよく、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)を表す。
上記アルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基又は炭素数1〜20のシアノアルキル基が好ましい。
これら一般式(A’)と(E’)中のアルキル基は、無置換であることがより好ましい。
【0445】
塩基性化合物(N’)の好ましい具体例としては、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、ピペリジン等を挙げることができ、更に好ましい具体例としては、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造又はピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体等を挙げることができる。
【0446】
イミダゾール構造を有する化合物としては、イミダゾール、2、4、5−トリフェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール等が挙げられる。ジアザビシクロ構造を有する化合物としては、1、4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1、5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン、1、8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカー7−エン等が挙げられる。オニウムヒドロキシド構造を有する化合物としては、トリアリールスルホニウムヒドロキシド、フェナシルスルホニウムヒドロキシド、2−オキソアルキル基を有するスルホニウムヒドロキシド、具体的にはトリフェニルスルホニウムヒドロキシド、トリス(t−ブチルフェニル)スルホニウムヒドロキシド、ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムヒドロキシド、フェナシルチオフェニウムヒドロキシド、2−オキソプロピルチオフェニウムヒドロキシド等が挙げられる。オニウムカルボキシレート構造を有する化合物としては、オニウムヒドロキシド構造を有する化合物のアニオン部がカルボキシレートになったものであり、例えばアセテート、アダマンタンー1−カルボキシレート、パーフロロアルキルカルボキシレート等が挙げられる。トリアルキルアミン構造を有する化合物としては、トリ(n−ブチル)アミン、トリ(n−オクチル)アミン等を挙げることができる。アニリン構造を有する化合物としては、2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジブチルアニリン、N,N−ジヘキシルアニリン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリス(メトキシエトキシエチル)アミン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体としては、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン等を挙げることができる。
【0447】
好ましい塩基性化合物として、更に、フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物及びスルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物を挙げることができる。
前記フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物及びスルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物は、少なくとも1つのアルキル基が窒素原子に結合していることが好ましい。また、前記アルキル鎖中に、酸素原子を有し、オキシアルキレン基が形成されていることが好ましい。オキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3〜9個、更に好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン基の中でも−CHCHO−、−CH(CH)CHO−若しくは−CHCHCHO−の構造が好ましい。
前記フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物及びスルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物の具体例としては、米国特許出願公開2007/0224539号明細書の[0066]に例示されている化合物(C1−1)〜(C3−3)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0448】
また、塩基性化合物の1種として、酸の作用により脱離する基を有する含窒素有機化合物を用いることもできる。この化合物の例として、例えば、下記一般式(F)で表される化合物を挙げることができる。なお、下記一般式(F)で表される化合物は、酸の作用により脱離する基が脱離することによって、系中での実効的な塩基性を発現する。
【0449】
【化81】
【0450】
一般式(F)において、Rは、独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。また、n=2のとき、2つのRは同じでも異なっていてもよく、2つのRは相互に結合して、2価の複素環式炭化水素基(好ましくは炭素数20以下)若しくはその誘導体を形成していてもよい。
は、独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。但し、−C(R)(R)(R)において、1つ以上のRが水素原子のとき、残りのRの少なくとも1つはシクロプロピル基又は1−アルコキシアルキル基である。
少なくとも2つのRは結合して脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環式炭化水素基若しくはその誘導体を形成していてもよい。
nは0〜2の整数を表し、mは1〜3の整数をそれぞれ表し、n+m=3である。
【0451】
一般式(F)において、R及びRが示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基は、水酸基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基、アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
前記Rのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基(これらのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基は、上記官能基、アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい)としては、
例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン等の直鎖状、分岐状のアルカンに由来する基、これらのアルカンに由来する基を、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基、
シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ノルボルナン、アダマンタン、ノラダマンタン等のシクロアルカンに由来する基、これらのシクロアルカンに由来する基を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の直鎖状、分岐状のアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基、
ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等の芳香族化合物に由来する基、これらの芳香族化合物に由来する基を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の直鎖状、分岐状のアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基、
ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、インドール、インドリン、キノリン、パーヒドロキノリン、インダゾール、ベンズイミダゾール等の複素環化合物に由来する基、これらの複素環化合物に由来する基を直鎖状、分岐状のアルキル基或いは芳香族化合物に由来する基の1種以上或いは1個以上で置換した基、直鎖状、分岐状のアルカンに由来する基・シクロアルカンに由来する基をフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等の芳香族化合物に由来する基の1種以上或いは1個以上で置換した基等或いは前記の置換基が水酸基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基で置換された基等が挙げられる。
【0452】
また、前記Rが相互に結合して、形成する2価の複素環式炭化水素基(好ましくは炭素数1〜20)若しくはその誘導体としては、例えば、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、ホモピペラジン、4−アザベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、5−アザベンゾトリアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール、1,4,7−トリアザシクロノナン、テトラゾール、7−アザインドール、インダゾール、ベンズイミダゾール、イミダゾ[1,2−a]ピリジン、(1S,4S)−(+)−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デック−5−エン、インドール、インドリン、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン、パーヒドロキノリン、1,5,9−トリアザシクロドデカン等の複素環式化合物に由来する基、これらの複素環式化合物に由来する基を直鎖状、分岐状のアルカンに由来する基、シクロアルカンに由来する基、芳香族化合物に由来する基、複素環化合物に由来する基、水酸基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基の1種以上或いは1個以上で置換した基等が挙げられる。
【0453】
一般式(F)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0454】
【化82】
【0455】
【化83】
【0456】
上記一般式(F)で表される化合物は、市販のものを用いても、市販のアミンから、Protective Groups in Organic Synthesis 第四版等に記載の方法で合成してもよい。もっとも一般的な方法としては、例えば、特開2009−199021号公報に記載の方法に準じて合成することができる。
【0457】
また、塩基性化合物(N’)としては、アミンオキシド構造を有する化合物も用いることもできる。この化合物の具体例としては、トリエチルアミンピリジン N−オキシド、トリブチルアミン N−オキシド、トリエタノールアミン N−オキシド、トリス(メトキシエチル)アミン N−オキシド、トリス(2−(メトキシメトキシ)エチル)アミン=オキシド、2,2’,2”−ニトリロトリエチルプロピオネート N−オキシド、N−2−(2−メトキシエトキシ)メトキシエチルモルホリン N−オキシド、その他特開2008−102383に例示されたアミンオキシド化合物が使用可能である。
【0458】
塩基性化合物(N’)の分子量は、250〜2000であることが好ましく、更に好ましくは400〜1000である。LWRのさらなる低減及び局所的なパターン寸法の均一性の観点からは、塩基性化合物の分子量は、400以上であることが好ましく、500以上であることがより好ましく、600以上であることが更に好ましい。
【0459】
これらの塩基性化合物(N’)は、前記化合物(N)と併用していてもよいし、単独であるいは2種以上一緒に用いられる。
【0460】
本発明における感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)は塩基性化合物(N’)を含有してもしていなくてもよいが、含有する場合、塩基性化合物(N’)の使用量は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)の固形分を基準として、通常、0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%である。
【0461】
[6]界面活性剤(F)
本発明における感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)は、更に界面活性剤を含有してもしなくても良く、含有する場合、フッ素及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素原子とケイ素原子の両方を有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することがより好ましい。
【0462】
本発明における感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)が界面活性剤を含有することにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源の使用時に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないレジストパターンを与えることが可能となる。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0276]に記載の界面活性剤が挙げられ、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431、4430(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、F113、F110、F177、F120、R08(DIC(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106、KH−20(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)、GF−300、GF−150(東亜合成化学(株)製)、サーフロンS−393(セイミケミカル(株)製)、エフトップEF121、EF122A、EF122B、RF122C、EF125M、EF135M、EF351、EF352、EF801、EF802、EF601((株)ジェムコ製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520(OMNOVA社製)、FTX−204G、208G、218G、230G、204D、208D、212D、218D、222D((株)ネオス製)等である。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0463】
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)若しくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
上記に該当する界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(DIC(株)製)、C13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体等を挙げることができる。
【0464】
また、本発明では、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0280]に記載の、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を使用することもできる。
【0465】
これらの界面活性剤は単独で使用してもよいし、また、いくつかの組み合わせで使用してもよい。
【0466】
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の使用量は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.0005〜1質量%である。
一方、界面活性剤の添加量を、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)全量(溶剤を除く)に対して、10ppm以下とすることで、疎水性樹脂の表面偏在性があがり、それにより、レジスト膜表面をより疎水的にすることができ、液浸露光時の水追随性を向上させることが出来る。
【0467】
[7]その他添加剤(G)
本発明における感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)は、カルボン酸オニウム塩を含有してもしなくても良い。このようなカルボン酸オニウム塩は、米国特許出願公開2008/0187860号明細書[0605]〜[0606]に記載のものを挙げることができる。
【0468】
これらのカルボン酸オニウム塩は、スルホニウムヒドロキシド、ヨードニウムヒドロキシド、アンモニウムヒドロキシドとカルボン酸を適当な溶剤中酸化銀と反応させることによって合成できる。
【0469】
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)がカルボン酸オニウム塩を含有する場合、その含有量は、組成物の全固形分に対し、一般的には0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜7質量%である。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)には、必要に応じて更に、後に詳述する組成物(II)において説明する酸増殖剤、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、アルカリ可溶性樹脂、溶解阻止剤及び現像液に対する溶解性を促進させる化合物(例えば、分子量1000以下のフェノール化合物、カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物)等を含有させることができる。
【0470】
このような分子量1000以下のフェノール化合物は、例えば、特開平4−122938号、特開平2−28531号、米国特許第4,916,210、欧州特許第219294等に記載の方法を参考にして、当業者において容易に合成することができる。
カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物の具体例としてはコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸などのステロイド構造を有するカルボン酸誘導体、アダマンタンカルボン酸誘導体、アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0471】
本発明における感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)は、解像力向上の観点から、膜厚30〜250nmで使用されることが好ましく、より好ましくは、膜厚30〜200nmで使用されることが好ましい。組成物中の固形分濃度を適切な範囲に設定して適度な粘度をもたせ、塗布性、製膜性を向上させることにより、このような膜厚とすることができる。
本発明における感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)の固形分濃度は、通常1.0〜10質量%であり、好ましくは、2.0〜5.7質量%、更に好ましくは2.0〜5.3質量%である。固形分濃度を前記範囲とすることで、レジスト溶液を基板上に均一に塗布することができ、更にはラインウィズスラフネスに優れたレジストパターンを形成することが可能になる。その理由は明らかではないが、恐らく、固形分濃度を10質量%以下、好ましくは5.7質量%以下とすることで、レジスト溶液中での素材、特には光酸発生剤の凝集が抑制され、その結果として、均一なレジスト膜が形成できたものと考えられる。
固形分濃度とは、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)の総重量に対する、溶剤を除く他のレジスト成分の重量の重量百分率である。
【0472】
本発明における感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)は、上記の成分を所定の有機溶剤、好ましくは前記混合溶剤に溶解し、フィルター濾過した後、所定の支持体(基板)上に塗布して用いる。フィルター濾過に用いるフィルターのポアサイズは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下、更に好ましくは0.03μm以下のポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のものが好ましい。フィルター濾過においては、例えば特開2002−62667号公報のように、循環的な濾過を行ったり、複数種類のフィルターを直列又は並列に接続して濾過を行ったりしてもよい。また、組成物を複数回濾過してもよい。更に、フィルター濾過の前後で、組成物に対して脱気処理などを行ってもよい。
【0473】
<組成物(II)>
次に、本発明のパターン形成方法で使用する組成物(II)について説明する。
【0474】
[8](A’)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む除去液に対する溶解性が減少する化合物
組成物(II)に含有される、酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む除去液に対する溶解性が減少する化合物(A’)は、樹脂であっても、低分子化合物であってもよいが、典型的には、酸の作用により分解し、極性基を生じる基(酸分解性基)を有する化合物である。
酸分解性基、極性基、及び、酸の作用により分解し脱離する基の具体例及び好ましい例は、前記した感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)の樹脂(A)について説明したものと同様である。
【0475】
また、化合物(A’)が樹脂である場合、樹脂としての化合物(A’)は、樹脂(A)において説明した各繰り返し単位を含有することができ、そのような繰り返し単位の樹脂(A)の全繰り返し単位に対する含有量の好適な範囲も、樹脂(A)において説明したものと同様である。
【0476】
更に、樹脂としての化合物(A’)は、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有していてもよい。
【0477】
【化84】
【0478】
上記一般式(I)中、
Xaは水素原子又は直鎖若しくは分岐のアルキル基を表す。
Rxは水素原子又は酸の作用により分解し脱離する基を表す。
【0479】
Xaについての直鎖若しくは分岐のアルキル基は、置換基を有していてもよく、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐のアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。置換基としては、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子)などが挙げられる。
Xaとしては水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基であることが好ましい。
Rxについての酸の作用により分解し脱離する基の具体例及び好ましい例としては、前記した樹脂(A)における酸分解性基を構成する極性基を保護している酸の作用により分解し脱離する基の具体例及び好ましい例として前述したものと同様のものが挙げられる。
【0480】
本発明における樹脂(A)において、前記一般式(I)で表される繰り返し単位の含有量(複数種類含有する場合はその合計)は、「レジストパターン上に形成された第2の膜において、化合物(A’)の極性を増大させる反応が進行した領域」の有機系現像液に対する溶解性を十分に低下させる一方、「上記第2の膜において、化合物(B)から発生した酸と化合物(A’)とが反応していない領域」の溶解性を十分に保ち、溶解コントラストを向上させる観点から、樹脂としての化合物(A’)中の全繰り返し単位に対して、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましく、理想的には0モル%であること、すなわち、前記繰り返し単位を含有しないことが特に好ましい。前記一般式(I)で表される繰り返し単位が、樹脂としての化合物(A’)中の全繰り返し単位に対して20モル%以上存在すると有機溶剤に対して溶解しすぎ、トレンチ寸法又はホール寸法を実効的に縮小させる効果が薄れる傾向となる。
【0481】
また、樹脂としての化合物(A’)は、前記一般式(I)で表される繰り返し単位以外の芳香族基を有する繰り返し単位を有してもよい。この繰り返し単位が有する芳香族基は、非フェノール系芳香族基であることが好ましい。
ここで、「非フェノール系芳香族基」とは、前記一般式(I)で表される繰り返し単位が有するような、フェノール性水酸基を有する芳香族基又はフェノール性水酸基から誘導される基(例えば、フェノール性水酸基が酸の作用により分解し脱離する基で保護された基など)を有する芳香族基ではない芳香族基のことをいう。
前記非フェノール系芳香族基としては、置換基を有していてもよく、炭素数6〜10のアリール基であることが好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記置換基としては、フェノール性水酸基ではない限り特に制限はなく、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、フッ素原子などのハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基などが挙げられる。前記置換基としての炭素数1〜4の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基は更に置換基を有していてもよく、そのような更なる置換基としては、フッ素原子などのハロゲン原子などが挙げられる。
前記非フェノール系芳香族基がフェニル基であり、該フェニル基が置換基を有する場合、該置換基はフェニル基の4位に置換することが好ましい。
前記非フェノール系芳香族基としては、エッチング耐性の点から、置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。
【0482】
前記一般式(I)で表される繰り返し単位以外の芳香族基を有する繰り返し単位は、下記一般式(II)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
【0483】
【化85】
【0484】
上記一般式(II)中、
01は、水素原子又は直鎖若しくは分岐のアルキル基を表す。
Xは単結合又は2価の連結基を表す。
Arは芳香族基を表す。
は、単結合又はアルキレン基を表す。
【0485】
01についての直鎖若しくは分岐のアルキル基の具体例及び好ましい例としては、一般式(III)におけるRについての直鎖若しくは分岐のアルキル基の具体例及び好ましい例として前述したものと同様のものが挙げられる。
Xは、2価の連結基が好ましい。この2価の連結基としては、好ましくは−COO−、−CONH−などが挙げられる。
芳香族基Arの具体例及び好ましい例としては、非フェノール系芳香族基が好ましく、その具体例及び好ましい例として前述したものと同様のものが挙げられる。
についてのアルキレン基としては、置換基を有していてもよく、炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などが挙げられる。Rについてのアルキレン基が有し得る置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、フッ素原子などのハロゲン原子などが挙げられる。
についてのアルキレン基が有し得る置換基と非フェノール系芳香族基Arが有し得る置換基とが結合して環を形成していてもよく、該環を形成する基としては、アルキレン基(例えば、エチレン基、プロピレン基)を挙げることができる。
としては、パターン形成における樹脂の好適なガラス転移温度(Tg)の観点から、単結合、又は置換基で置換されていてよいメチレン基であることが好ましい。
【0486】
前記非フェノール系芳香族基を有する繰り返し単位(好ましくは、前記一般式(II)で表される繰り返し単位)の含有量(複数種類含有する場合はその合計)は、「レジストパターン上に形成された第2の膜において、化合物(A’)の極性を増大させる反応が進行した領域」の有機系現像液に対する溶解性を十分に低下させる一方、「上記第2の膜において、化合物(B)から発生した酸と化合物(A’)とが反応していない領域」の溶解性を十分に保ち、溶解コントラストを向上させる観点及びエッチング耐性を付与する観点から、樹脂としての化合物(A’)中の全繰り返し単位に対して10〜70モル%以上であることが好ましく、20〜60モル%であることがより好ましく、30〜50モル%であることが特に好ましい。
【0487】
樹脂としての化合物(A’)のGPC法(ポリスチレン換算値)による重量平均分子量及び分散度の好ましい範囲は、前記した感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)の樹脂(A)について説明したものと同様である。
【0488】
樹脂としての化合物(A’)は、樹脂(A)と類似していることが好ましく、具体的には、化合物(A’)の溶解性パラメーターをSP(A’)と表記し、樹脂(A)の溶解性パラメータをSP(A)と表記した場合、|SP(A’)−SP(A)|≦5[(MPa)1/2]を満たすことが好ましく、|SP(A’)−SP(A)|≦3[(MPa)1/2]を満たすことがより好ましく、|SP(A’)−SP(A)|≦1[(MPa)1/2]を満たすことが更に好ましい。
【0489】
なお、本発明における前記溶解性パラメーターは、沖津法(日本接着学会誌Vol.29、No.5(1993年);接着、246 Vol.38(6)(1994年))によって算出される溶解性パラメーターであり、樹脂ないし化合物の各原子団(構造単位)のモル引力定数(F)を積算し、モル体積(V)で除して算出されるものである。
【0490】
【表4】
【0491】
前記溶解性パラメーターは、下記式に従って、上表に例示される各構造単位のモル引力定数(F)の積算値をモル体積(V)の積算値で乗じることにより計算できる。
溶解性パラメーター(SP値)=2.04549×ΣF/ΣV[(MPa)1/2
【0492】
例えば、下記繰り返し単位についてSP値を算出する場合(例1)を例示する。
【0493】
【化86】
【0494】
CH:1個
CH:1個
C(ポリマー):1個
COOH:1個
であるから、
ΣF=205+132−81.7+373=628.3
ΣV=31.8+16.5−19.2+24.4=53.5
となる。したがって、
SP値=2.04549×628.3/53.5=24.02/(MPa)1/2
となる。
【0495】
次に、樹脂のSP値を算出する場合として、下記式で表される樹脂(繰り返し単位の比はモル比換算)のSP値を算出する場合(例2)を例示する。
樹脂のSP値は、まず各繰り返し単位のΣF値及びΣV値を算出し、次いで樹脂中のモル比率を乗じた値を総和することで、樹脂のΣF値及びΣV値を計算する。
【0496】
【化87】
【0497】
したがって、
SP値=2.04549×(1652.3×0.5+1853.1×0.1+1478.6×0.4)/(163.6×0.5+168.5×0.1+162.2×0.4)=20.05[(MPa)1/2
となる。
【0498】
より好ましくは、樹脂としての化合物(A’)は、樹脂(A)と同一である。
【0499】
一方、化合物(A’)が低分子化合物である場合、低分子化合物としての化合物(A’)(以下、単に、「低分子化合物(A’)」とも言う)は、典型的には、酸分解性基を有する非ポリマー性化合物である。
低分子化合物(A’)は、分子量が500〜5000であることが好ましく、600〜4000であることがより好ましく、700〜3000であることが特に好ましい。
【0500】
「非ポリマー性」とは、単量体を重合して形成される繰り返し単位を有する高分子化合物とは異なることを表している。
非ポリマー性化合物は、不飽和結合を持った化合物(単量体)を、開始剤を使用しつつその不飽和結合を開裂させ、連鎖的に結合を成長させることによって得られる、いわゆるポリマーやオリゴマーではなく、好ましくは上記範囲内に一定の分子量を有する化合物(実質的に分子量分布を有さない化合物)である。
例えば、縮合反応により形成される、分子量が一定の環状化合物などは、「非ポリマー性」に含まれるが、数平均分子量が500〜5000であるオリゴマーなどは「非ポリマー性」に含まれない。
【0501】
低分子化合物(A’)は、芳香環を有する。芳香環は、炭素数6〜20の芳香環であることが好ましく、例えば、ベンゼン環等の単環芳香環、並びに、ナフタレン環及びアントラセン環等の縮合多環芳香族環などを挙げることができる。芳香環は単環芳香環であることが好ましく、ベンゼン環であることがより好ましい。
低分子化合物(A)は2〜10個の芳香環を有することが好ましく、2〜6個の芳香環を有することがより好ましく、3〜5個の芳香環を有することが更に好ましい。
【0502】
低分子化合物(A’)は、特に限定されないが、下記一般式(1)で表される化合物、フラーレン誘導体、多核フェノール誘導体などが好ましく、下記一般式(1)で表される化合物であることがより好ましい。
【0503】
【化88】
【0504】
上記一般式(1)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。上記一般式(1)で表される化合物中に複数存在するRは互いに同一であっても異なっていても良い。
ORは、水酸基、又は、酸の作用により分解して極性基を生じる構造を有する基を表す。上記一般式(1)で表される化合物中に複数存在するORは互いに同一であっても異なっていても良い。但し、複数のOR及び複数のRの内の少なくとも1つは、酸の作用により分解して極性基を生じる構造を有する基である。
Tは、水素原子又は置換基を表す。Tが複数存在する場合、複数のTは互いに同一であっても異なっていても良い。
pは、1〜4の整数を表す。
qは、(4−p)で表される整数を表す。
n1は、3以上の整数を表す。
n1個のp及びqは、それぞれ、互いに同一の値であっても、異なる値であってもよい。
【0505】
ORが水酸基を表す場合、Rは水素原子を表す。
ORが酸の作用により分解して極性基を生じる構造(以下、「酸分解性構造」ともいう)を有する基を表す場合、酸分解性構造は、極性基が酸の作用により脱離する基で保護された構造を有することが好ましい。
極性基としては、有機溶剤を含む現像液中で難溶化又は不溶化する基であれば特に限定されないが、フェノール性水酸基、カルボキシル基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等の酸性基(従来レジストの現像液として用いられている、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中で解離する基)、又はアルコール性水酸基等が挙げられる。
【0506】
なお、アルコール性水酸基とは、炭化水素基に結合した水酸基であって、芳香環上に直接結合した水酸基(フェノール性水酸基)以外の水酸基をいい、水酸基としてα位がフッ素原子などの電子求引性基で置換された脂肪族アルコール(例えば、フッ素化アルコール基(ヘキサフルオロイソプロパノール基など))は除くものとする。アルコール性水酸基としては、pKaが12以上且つ20以下の水酸基であることが好ましい。
【0507】
好ましい極性基としては、カルボキシル基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、スルホン酸基が挙げられる。
【0508】
は、KrFやArF用の化学増幅型レジスト組成物に用いられるヒドロキシスチレン系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂等において提案されているもののなかから適宜選択して用いることができ、例えば、置換メチル基、1−置換エチル基、1−置換−n−プロピル基、1−分岐アルキル基、シリル基、アシル基、1−置換アルコキシメチル基、環状エーテル基、アルコキシカルボニル基、及び、アルコキシカルボニルアルキル基を挙げることができる。
【0509】
ここで、Rとしては、
(a)酸の作用により、「OR」における酸素原子から脱離して、ORをOH(すなわち、極性基としてのフェノール性水酸基)とする基(以下、基(a)とも言う)、及び、(b)R中の、「OR」における酸素原子と結合する原子が、酸の作用により、「OR」の酸素原子から脱離することなく、極性基を生じる構造を有する基(以下、基(b)とも言う)を挙げることができる。
【0510】
基(a)としてのRは、酸の作用により脱離する基であり、上記した、置換メチル基、1−置換エチル基、1−置換−n−プロピル基、1−分岐アルキル基、シリル基、アシル基、1−置換アルコキシメチル基、環状エーテル基、又は、アルコキシカルボニル基であることが好ましい。
また、基(b)としてのRは、上記した、アルコキシカルボニルアルキル基であることが好ましい。この場合、Rとしてのアルコキシカルボニルアルキル基は、酸の作用により、極性基としてのカルボキシル基を発生する。
【0511】
なお、Rは、架橋性官能基(より具体的には、酸の作用により、他の一般式(1)で表される化合物と架橋し得る架橋性官能基)を有さないことが好ましい。
【0512】
置換メチル基としては、好ましくは炭素数2〜20の置換メチル基であり、炭素数4〜18の置換メチル基がより好ましく、炭素数6〜16の置換メチル基が更に好ましい。例えば、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、t−ブトキシメチル基、2−メチルプロポキシメチル基、エチルチオメチル基、メトキシエトキシメチル基、フェニルメチル基、フェニルオキシメチル基、1−シクロペンチルオキシメチル基、1−シクロヘキシルオキシメチル基、ベンジルチオメチル基、フェナシル基、4−ブロモフェナシル基、4−メトキシフェナシル基、ピペロニル基、及び下記構造群(9)で示される基等を挙げることができる。
【0513】
【化89】
【0514】
1−置換エチル基としては、好ましくは炭素数3〜20の1−置換エチル基であり、炭素数5〜18の1−置換エチル基がより好ましく、炭素数7〜16の置換エチル基が更に好ましい。例えば、1−メトキシエチル基、1−メチルチオエチル基、1,1−ジメトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−エチルチオエチル基、1,1−ジエトキシエチル基、n−プロポキシエチル基、イソプロポキシエチル基、n−ブトキシエチル基、t−ブトキシエチル基、2−メチルプロポキシエチル基、1−フェノキシエチル基、1−フェニルチオエチル基、1,1−ジフェノキシエチル基、1−シクロペンチルオキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−フェニルエチル基、1,1−ジフェニルエチル基、及び下記構造群(10)で示される基等を挙げることができる。
【0515】
【化90】
【0516】
1−置換−n−プロピル基としては、好ましくは炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基であり、炭素数6〜18の1−置換−n−プロピル基がより好ましく、炭素数8〜16の1−置換−n−プロピル基が更に好ましい。例えば、1−メトキシ−n−プロピル基及び1−エトキシ−n−プロピル基等を挙げることができる。
【0517】
1−分岐アルキル基としては、好ましくは炭素数3〜20の1−分岐アルキル基であり、炭素数5〜18の1−分岐アルキル基がより好ましく、炭素数7〜16の分岐アルキル基が更に好ましい。例えば、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、2−メチルアダマンチル基、及び2−エチルアダマンチル基等を挙げることができる。
【0518】
シリル基としては、好ましくは炭素数1〜20のシリル基であり、炭素数3〜18のシリル基がより好ましく、炭素数5〜16のシリル基が更に好ましい。例えば、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、メチルジエチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジエチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基及びトリフェニルシリル基等を挙げることができる。
【0519】
アシル基としては、好ましくは炭素数2〜20のアシル基であり、炭素数4〜18のアシル基がより好ましく、炭素数6〜16のアシル基が更に好ましい。例えば、アセチル基、フェノキシアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウリロイル基、アダマンチルカルボニル基、ベンゾイル基及びナフトイル基等を挙げることができる。
【0520】
1−置換アルコキシメチル基としては、好ましくは炭素数2〜20の1−置換アルコキシメチル基であり、炭素数4〜18の1−置換アルコキシメチル基がより好ましく、炭素数6〜16の1−置換アルコキシメチル基が更に好ましい。
例えば、1−シクロペンチルメトキシメチル基、1−シクロペンチルエトキシメチル基、1−シクロヘキシルメトキシメチル基、1−シクロヘキシルエトキシメチル基、1−シクロオクチルメトキシメチル基及び1−アダマンチルメトキシメチル基等を挙げることができる。
【0521】
環状エーテル基としては、好ましくは炭素数2〜20の環状エーテル基であり、炭素数4〜18の環状エーテル基がより好ましく、炭素数6〜16の環状エーテル基が更に好ましい。例えば、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基及び4−メトキシテトラヒドロチオピラニル基等を挙げることができる。
【0522】
アルコキシカルボニル基としては、好ましくは炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基であり、炭素数4〜18のアルコキシカルボニル基がより好ましく、炭素数6〜16のアルコキシカルボニル基が更に好ましい。例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、tert−アミルオキシカルボニル基又は下記構造群(11)のn=0で示される基等を挙げることができる。
【0523】
アルコキシカルボニルアルキル基としては、好ましくは炭素数3〜20のアルコキシカルボニルアルキル基であり、炭素数4〜18のアルコキシカルボニルアルキル基がより好ましく、炭素数6〜16のアルコキシカルボニルアルキル基が更に好ましい。例えば、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n−プロポキシカルボニルメチル基、イソプロポキシカルボニルメチル基、n−ブトキシカルボニルメチル基又は下記構造群(11)のn=1〜4で示される基等を挙げることができる。
【0524】
【化91】
【0525】
上記構造群(11)中、Rは水素原子又は炭素数1〜4の直鎖或いは分岐のアルキル基であり、nは0〜4の整数である。
【0526】
としての上記各基は、更に置換基を有していてもよく、該置換基としては特に限定されないが、例えば、Tで表される置換基として後述するものと同様のものが挙げられる。
【0527】
は、置換メチル基、1−置換エチル基、1−置換アルコキシメチル基、環状エーテル基、アルコキシカルボニル基、又は、アルコキシカルボニルアルキル基であることが好ましく、置換メチル基、1−置換エチル基、アルコキシカルボニル基、又は、アルコキシカルボニルアルキル基であることが高感度であるためより好ましく、更に炭素数3〜12のシクロアルカン、及び、炭素数6〜14の芳香族環から選ばれる構造を有する基であることがより好ましい。炭素数3〜12のシクロアルカンとしては、単環でも多環でも良いが、多環であることがより好ましい。
【0528】
Tは、水素原子又は置換基を表す。Tとしての置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、複素環基、ハロゲン原子、カルボキシル基、及び、アルキルシリル基を挙げることができる。
Tは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、又は、ハロゲン原子であることが好ましく、水素原子、又は、アラルキル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
Tで表されるアルキル基は、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。
Tで表されるシクロアルキル基は、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数5〜15のシクロアルキル基であり、更に好ましくは炭素数5〜10のシクロアルキル基である。
Tで表されるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、より好ましくは炭素数6〜15のアリール基であり、更に好ましくは炭素数6〜10のアリール基である。
Tで表されるアラルキル基は、炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数7〜15のアラルキル基であり、更に好ましくは炭素数7〜10のアラルキル基である。なおTで表されるアラルキル基は、後述の酸解離性官能基としても機能しえる。
Tで表されるアシル基は、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、アルキルカルボニル基であっても、アリールカルボニル基であってもよい。アルキルカルボニル基としては、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、アダマンタンカルボニル基、トリフルオロメチルカルボニル基、ペンタノイル基等が挙げられ、アリールカルボニル基としては、例えば、ベンゾイル基、トルイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基等が挙げられる。
Tで表されるアルコキシル基は、炭素数1〜20のアルコキシル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜10のアルコキシル基であり、更に好ましくは炭素数1〜6のアルコキシル基である。
Tで表される複素環基は、炭素数2〜20の複素環基が好ましく、より好ましくは炭素数2〜10の複素環基であり、更に好ましくは炭素数2〜6の複素環基である。Rで表される複素環基としては、ピラニル基、チオフェニル基、イミダゾリル基、フラニル基、クロマニル基等が挙げられ、ピラニル基、チオフェニル基、フラニル基が好ましい。
Tで表されるアルキルシリル基としては、炭素数1〜20のアルキルシリル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜10のアルキルシリル基であり、更に好ましくは炭素数1〜6のアルキルシリル基である。
Tとしての上記各基は、更に置換基を有していてもよく、該置換基としては特に限定されないが、例えば、Tで表される置換基として上述したものと同様のものが挙げられる。
【0529】
Rで表される置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、複素環基、カルボキシル基、アルキルシリル基、及び、酸の作用により分解して極性基を生じる構造を有する基などを挙げることができる。
Rで表されるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシル基、複素環基、及びアルキルシリル基の具体例としては、Tにおける前記具体例と同様のものを挙げることができる。
また、Rで表される「酸の作用により分解して極性基を生じる構造(以下、「酸分解性構造」ともいう)を有する基」における酸分解性構造は、極性基を酸の作用により脱離する基で保護された構造を有することが好ましく、極性基は、ORにおいて説明したものと同様の基を挙げることができる。
また、酸分解性構造における「酸の作用により脱離する基」の具体例としては、ORにおいて説明した基(a)としてのRの具体例を同様に挙げることができる。
Rとしての上記各基は、更に置換基を有していてもよく、該置換基としては特に限定されないが、例えば、Tで表される置換基として上述したものと同様のものが挙げられる。
【0530】
Rとしての置換基は、炭素数2〜20のアルキル基、又は、炭素数6〜24のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜24のアリール基であることが好ましい。
【0531】
一般式(1)においては、n1個の繰り返し単位の各々における2つのRの内、一方は水素原子であり、他方は置換基であることが好ましく、この置換基の好ましい例は、上述したものと同様である。
【0532】
上記したように、上記一般式(1)で表される化合物中の複数のOR及び複数のRの内の少なくとも1つは、酸の作用により分解して極性基を生じる構造を有する基である。
【0533】
酸の作用により分解して極性基を生じる構造(以下、「酸分解性構造」ともいう)は、極性基を酸の作用により脱離する基で保護された構造を有することが好ましく、極性基は、ORにおいて説明したものと同様の基を挙げることができる。
また、酸分解性構造における「酸の作用により脱離する基」の具体例としては、ORにおいて説明した基(a)としてのRの具体例を同様に挙げることができる。
【0534】
Rの「酸分解性構造を有する基」としては、例えば、上記Rとしての各基が酸の作用により分解して極性基を生じる構造により置換された基、及び、酸の作用により分解して極性基を生じる構造(基)自体などを挙げることができる。
【0535】
一般式(1)中の全てのORとRの総和に対する「酸分解性構造を有する基」の割合は、モル比で1〜50%であることがより好ましく、5〜40%であることが更に好ましく、10〜40%であることが特に好ましい。
pは1〜4の整数であり、1〜3の整数であることが好ましく、2又は3がより好ましく、2が特に好ましい。
n1は、3以上の整数であり、3〜8の整数が好ましく、4、6又は8がより好ましく、4、6がさらに好ましく、4が特に好ましい。
【0536】
低分子化合物(A’)の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0537】
【化92】
【0538】
【化93】
【0539】
上記の具体例中、R’は、それぞれ独立に、水素原子、又は、下記構造(*は、「−OR’」における酸素原子に結合する結合手を表す)を表す。但し、分子内に存在する複数のR’の少なくとも1つは下記構造を表す(nは1又は2を表す)。
【0540】
【化94】
【0541】
低分子化合物(A’)に関して、米国特許出願第13/381683号に記載の内容も、本願に参照として取り込まれる。
【0542】
本発明における低分子化合物(A’)は、工業的に製造されている芳香族アルデヒドをはじめとする各種アルデヒド類とレゾルシノール、ピロガロール等のフェノール類を原料として、塩酸等の非金属触媒により脱水縮合反応させることにより、高収率で製造できることから、上記した効果を発現できることのみならず、製造面にも極めて優れる。
本発明における低分子化合物(A’)は、シス体及びトランス体を取りうるが、いずれかの構造若しくは混合物でもよい。シス体及びトランス体のいずれかの構造のみを有する環状化合物を得る方法は、カラムクロマトや分取液体クロマトグラフィによる分離や製造時における反応溶媒及び反応温度等の最適化等、公知の方法で行うことができる。
【0543】
本発明の低分子化合物(A’)は、対応するアルデヒド化合物とフェノール性化合物を縮合することにより、合成することができる。本発明の低分子化合物(A’)が有する酸分解性構造は、縮合前に、アルデヒド化合物に導入しておいても良いし、縮合後に、公知の方法で導入しても良い。低分子化合物(A’)は、例えば、Proc. of SPIE Vol 72732Qや特開2009−173625等に記載の方法により、容易に合成することが可能である。
【0544】
低分子化合物(A’)の残存金属量を低減するために、必要に応じて精製してもよい。また酸触媒及び助触媒が残存すると、一般に、組成物(II)の保存安定性が低下する、又は塩基性触媒が残存すると、一般に、組成物(II)の感度が低下するので、その低減を目的とした精製を行ってもよい。精製は、低分子化合物(A’)が変性しない限り公知の方法により行うことができ、特に限定されないが、例えば、水で洗浄する方法、酸性水溶液で洗浄する方法、塩基性水溶液で洗浄する方法、イオン交換樹脂で処理する方法、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで処理する方法などが挙げられる。これら精製方法は2種以上を組み合わせて行うことがより好ましい。酸性水溶液、塩基性水溶液、イオン交換樹脂及びシリカゲルカラムクロマトグラフィーは、除去すべき金属、酸性化合物及び/又は塩基性化合物の量や種類、精製する低分子化合物(A’)の種類などに応じて、最適なものを適宜選択することが可能である。例えば、酸性水溶液として、濃度が0.01〜10mol/Lの塩酸、硝酸、酢酸水溶液、塩基性水溶液として、濃度が0.01〜10mol/Lのアンモニア水溶液、イオン交換樹脂として、カチオン交換樹脂、例えばオルガノ製Amberlyst 15J−HG Dryなどが挙げられる。精製後に乾燥を行っても良い。乾燥は公知の方法により行うことができ、特に限定されないが、低分子化合物(A’)が変性しない条件で真空乾燥、熱風乾燥する方法などが挙げられる。
【0545】
低分子化合物(A’)は、常圧下、100℃以下、好ましくは120℃以下、より好ましくは130℃以下、更に好ましくは140℃以下、特に好ましくは150℃以下において、昇華性が低いことが好ましい。昇華性が低いとは、熱重量分析において、所定温度で10分保持した際の重量減少が10%、好ましくは5%、より好ましくは3%、更に好ましくは1%、特に好ましくは0.1%以下であることが好ましい。昇華性が低いことにより、露光時のアウトガスによる露光装置の汚染を防止することができる。また低LERで良好なパターン形状を与えることができる。
【0546】
低分子化合物(A’)は、好ましくはF<3.0(Fは、全原子数/(全炭素原子数−全酸素原子数)を表す)、より好ましくはF<2.5を満たす。上記条件を満たしていることにより、耐ドライエッチング性が優れる。
【0547】
低分子化合物(A’)は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−ヘプタノン、アニソール、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、及び乳酸エチルから選ばれ、かつ、低分子化合物(A’)に対して最も高い溶解能を示す溶媒に、23℃で、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、更に好ましくは5重量%以上、特に好ましくは10重量%以上溶解する特性を有する。上記条件を満たしていることにより、半導体製造工程で安全溶媒の使用が可能となる。
【0548】
低分子化合物(A’)のガラス転移温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは140℃以上、特に好ましくは150℃以上である。ガラス転移温度が上記範囲内であることにより、半導体リソグラフィープロセスにおいて、パターン形状を維持しうる耐熱性を有し、高解像度などの性能が付与しうる。
【0549】
低分子化合物(A’)のガラス転移温度の示差走査熱量分析により求めた結晶化発熱量は20J/g未満であるのが好ましい。また、(結晶化温度)−(ガラス転移温度)は好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは100℃以上、特に好ましくは130℃以上である。結晶化発熱量が20J/g未満、又は(結晶化温度)−(ガラス転移温度)が上記範囲内であると、組成物(II)をスピンコートすることにより、アモルファス膜を形成しやすく、かつ成膜性が長期に渡り保持できる。
【0550】
本発明において、前記結晶化発熱量、結晶化温度及びガラス転移温度は、島津製作所製DSC/TA−50WSを用いて次のように測定及び示差走査熱量分析により求めることができる。試料約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス気流中(50ml/min)昇温速度20℃/minで融点以上まで昇温する。急冷後、再び窒素ガス気流中(30ml/min)昇温速度20℃/minで融点以上まで昇温する。更に急冷後、再び窒素ガス気流中(30ml/min)昇温速度20℃/minで400℃まで昇温する。ベースラインに不連続部分が現れる領域の中点(比熱が半分に変化したところ)の温度をガラス転移温度(Tg)、その後に現れる発熱ピークの温度を結晶化温度とする。発熱ピークとベースラインに囲まれた領域の面積から発熱量を求め、結晶化発熱量とする。
【0551】
以上、化合物(A)について説明したが、化合物(A)は1種で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明に用いられる上記化合物(A)の添加量は組成物(II)の全固形分(有機溶剤以外の成分)を基準として、30〜99.9質量%とすることが好ましく、50〜99.7質量%とすることがより好ましく、60〜99.5質量%とすることが特に好ましい。
【0552】
[9]その他の成分
組成物(II)は、更に、前記した感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)が含んでいてもよい、樹脂(A)以外の成分(以下、「その他の成分」とも言う)を含有してよい。
その他の成分の具体例及び好ましい例は、前記した感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)に記載した内容と同様である。
【0553】
組成物(II)は、通常、工程(エ)の第2の膜の形成のために溶剤を含有する。この溶剤は、工程(ウ)で形成されたパターンを溶解しないものを選択する必要があるが、工程(ウ)で形成されたパターンは、樹脂(A)にける酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む現像液に対する溶解性が減少する反応により、溶剤に対して既に不溶化又は難溶化しているため、組成物(I)で使用可能な溶剤を適宜利用すれば、さほど問題なく、パターンに損傷を与えることなく第2の膜を形成できる。
本発明の効果を確実に発揮する為の1つの態様として、組成物(I)及び組成物(II)が、共通の溶剤を含むことが好ましく、組成物(I)及び組成物(II)のそれぞれが含む主溶剤(溶剤を1種のみ含む場合は、その溶剤、溶剤を2種以上含む場合は、質量比で一番多く含む溶剤、但し、2種以上の溶剤を同一量ずつ含む場合は、その全てを「主溶剤」とする)が同一であることがより好ましい。
【0554】
ただし、組成物(II)は、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下する、塩基性化合物又はアンモニウム塩化合物(N)、及び、前記化合物(N)とは異なる塩基性化合物(N’)からなる群より選択される化合物を実質的に含有しない(具体的には、塩基性化合物の含有量は、組成物(II)の全固形分に対して、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、理想的には0質量%、すなわち、塩基性化合物を含有しない)ことが好ましい。これにより、化合物(B)から発生した酸が、ネガ型パターンとこの上に設けられた第2の膜との界面から第2の膜中に拡散した後に、第2の膜中にて失活しにくい。その結果、第2の膜中の化合物(A’)の極性が増大する反応をより確実に起こすことができ、トレンチ寸法又はホール寸法を充分に縮小させ得る。これにより、超微細の幅又は孔径(例えば、40nm以下)を有するトレンチパターン又はホールパターンをより確実に形成できる傾向となる。
【0555】
また、組成物(II)は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(酸発生剤)を実質的に含有しない(具体的には、酸発生剤の含有量は、組成物(II)の全固形分に対して、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、理想的には0質量%、すなわち、酸発生剤を含有しない)ことが好ましい。これにより、有機溶剤に対する親和性が低い酸発生剤(特にオニウム塩化合物等のイオン性酸発生剤)が第2の膜中に実質的に含有されていないため、上記工程(カ)において、化合物(B)から発生した酸と化合物(A’)とが反応していない領域を、有機溶剤を含む除去液によって、より除去しやすくなる傾向となり、その結果、超微細の幅又は孔径(例えば、40nm以下)を有するトレンチパターン又はホールパターンをより確実に形成しやすくなる。
【0556】
組成物(II)が更に含有してもよい上記「その他の成分」の内、塩基性化合物及び酸発生剤以外の成分の、組成物(II)の全固形分に対する好ましい含有量範囲は、前記した感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I)に記載した内容と同様である。
【0557】
また、組成物(II)は、酸の作用により分解して酸を発生する化合物(以下、単に「酸増殖剤」ともいう)を含有してもよい。
本発明に於ける、酸増殖剤は、酸が存在しない場合には安定であるが、露光により酸発生剤から発生した酸の作用により分解して、酸を生成するものである。生成する酸は、pKaが3以下のものが好ましく、2以下であるものがより好ましく、1以下であることが更に好ましく、0以下であることが特に好ましい。なお、pKa値は、無限希釈水溶液を用い、25℃での酸解離定数を測定すること等により実測してもよいし、ソフトウェア、例えば、ACD/ChemSketch(ACD/Labs 8.00 Release Product Version:8.08)などにより計算してもよい。生成する酸の酸基としては、スルホン酸基、イミド酸基、メチド酸基等が挙げられる。生成する酸については以下より詳細に後述する。
【0558】
組成物(II)が酸増殖剤を含有することにより、工程(オ)において、ネガ型パターンに含有される、化合物(B)から発生した酸が、ネガ型パターンとこの上に設けられた第2の膜との界面から第2の膜中に拡散した後に、上記酸増殖剤により、第2の膜中における酸が充分に存在することになる。その結果、第2の膜中の化合物(A’)の極性が増大する反応をより確実に起こすことができ、トレンチ寸法又はホール寸法を充分に縮小させ得る。これにより、超微細の幅又は孔径(例えば、40nm以下)を有するトレンチパターン又はホールパターンをより確実に形成できる場合がある。
【0559】
酸増殖剤は、WO95/29968号、WO98/24000号、特開平8−305262号、特開平9−34106号、特開平8−248561号、特表平8−503082号、米国特許第5,445,917号、特表平8−503081号、米国特許第5,534,393号、米国特許第5,395,736号、米国特許第5,741,630号、米国特許第5,334,489号、米国特許第5,582,956号、米国特許第5,578,424号、米国特許第5,453,345号、米国特許第5,445,917号、欧州特許第665,960号、欧州特許第757,628号、欧州特許第665,961号、米国特許第5,667,943号、特開平10−1508号、特開平10−282642号、特開平9−512498号、特開2000−62337号、特開2005−17730号等に記載の酸増殖剤を1種、或いは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0560】
酸の作用により分解して酸を発生する化合物は、下記一般式(1)〜(8)のいずれかで表される化合物であることが好ましく、下記一般式(1)、(2)、(7)又は(8)で表される化合物であることがより好ましく、下記一般式(7)又は(8)で表される化合物であることが更に好ましい。
【0561】
【化95】
【0562】
上記一般式(1)中、
は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基又はアリールオキシ基を表す。
は、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
とRが結合して単環若しくは多環の環状炭化水素構造を形成してもよい。
及びRは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
Ryは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基又はRyと結合するアルキレン基を表す。
Ryは、アリール基又はアリールオキシ基を表す。
Xは、−SO−、−SO−又は−CO−を表す。
上記一般式(2)中、
’は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基又はアリールオキシ基を表す。
’は、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
’とR’とが結合して単環若しくは多環の環状炭化水素構造を形成してもよい。
’及びR’は、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
’は、アリール基を含まない酸の作用により脱離する基を表す。
X’は、−SO−、−SO−又は−CO−を表す。
上記一般式(3)〜(6)中、
Rbは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
は、Rと結合して環を形成しても良い。
10は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基又はアルケニルオキシ基を表す。
11は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基又はアルケニル基を表す。
10とR11は、互いに結合して環を形成してもよい。
12は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基又は環状イミド基を表す。
上記一般式(7)及び(8)式中、
13〜R16、及びR19〜R23の各々は、水素原子又は1価の置換基を表す。
17及びR18の各々は1価の置換基を表す。R17及びR18は、互いに結合して環を形成していてもよい。
上記一般式(1)〜(5)、(7)及び(8)において、
、Z’、Z、Z、Z、Z、及びZは、各々独立に、下記一般式(Z−a)〜(Z−d)のいずれかで表される基であり、複数存在するZは同一であっても異なっていてもよい。
【0563】
【化96】
【0564】
上記一般式(Z−a)〜(Z−d)中、
Rb及びRbは、各々独立に有機基を表す。
Rb及びRbの有機基は、炭素数1〜30の有機基が好ましく、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はこれらの複数が、単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SON(Rc)−などの連結基で連結された基を挙げることができる。式中、Rcは、水素原子又はアルキル基を表す。
Rb、Rb及びRbは、各々独立に、有機基を表す。Rb、Rb及びRbの有機基は、Rbの有機基と同様のものを挙げることができ、炭素数1〜4のパーフロロアルキル基が特に好ましい。
RbとRbは、結合して環を形成していてもよい。RbとRbが結合して形成される基としては、アルキレン基、アリーレン基が挙げられ、好ましくは炭素数2〜4のパーフロロアルキレン基である。
Rb〜Rbの有機基として、好ましくは1位がフッ素原子又はフロロアルキル基で置換されたアルキル基、フッ素原子又はフロロアルキル基で置換されたフェニル基である。フッ素原子又はフロロアルキル基を有することにより、光照射によって発生した酸の酸性度が上がり、感度が向上する。
【0565】
以下、前記一般式(1)における各基について説明する。
一般式(1)に於いて、R、R、R、R及びRyのアルキル基としては、炭素数1〜8個のアルキル基が好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、オクチル基等が挙げられる。
、R及びRyのシクロアルキル基としては、炭素数4〜10個のシクロアルキル基が好ましく、具体的には、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、アダマンチル基、ボロニル基、イソボロニル基、トリシクロデカニル基、ジシクロペンテニル基、ノボルナンエポキシ基、メンチル基、イソメンチル基、ネオメンチル基、テトラシクロドデカニル基等が挙げられる。
及びRyのアルコキシ基は、炭素数1〜30の直鎖若しくは分岐状アルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基等を挙げることができる。
、Ry及びRyのアリール基は、炭素数6〜14のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
及びRyのアリールオキシ基は、炭素数6〜20のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基を挙げることができる。
及びRが結合して形成する単環若しくは多環の環状炭化水素構造としては、炭素数3〜15の環状炭化水素構造が好ましく、例えば、シクロペンタノン構造、シクロヘキサノン構造、ノルボルナノン構造、アダマンタノン構造等のオキソ基を有する環状炭化水素構造を挙げることができる。
Ryに於ける、Ryに結合するアルキレン基としては、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等を挙げることができる。
上記各基は、置換基を有していてもよい。上記各基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20)等を挙げることができる。シクロアルキル基、アリール基等の環状構造を有する基については、置換基として、更に、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)を挙げることができる。
【0566】
一般式(1)は、下記一般式(Ia)又は(Ib)で表されることが好ましい。
【0567】
【化97】
【0568】
一般式(Ia)及び(Ib)に於いて、
〜R、X及びZは、一般式(1)に於ける、R〜R、X及びZと同義である。
とRが結合して単環若しくは多環の環状炭化水素構造を形成してもよい。
Ryは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基又はRy若しくはRyと結合するアルキレン基を表す。
Ryは、アリール基を表す。
Ryは、アリール基を表す。
【0569】
一般式(Ia)及び(Ib)に於ける、Ry及びRyのアリール基としては、Ryに於けるアリール基と同様のものを挙げることができる。
Ryに於ける、Ry若しくはRyと結合するアルキレン基としては、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等を挙げることができる。
上記各基は、置換基を有していてもよい。上記各基が有していてもよい置換基の具体例、好ましい例としては、一般式(1)における各基が有していてもよい置換基として前述した置換基の具体例、好ましい例と同様のものが挙げられる。
【0570】
一般式(1)で表される、酸の作用により分解し、酸を発生する化合物は、まず、エステル化合物を塩基条件下で縮合させる方法、アルコールとジケテンを反応させる方法(Synthesis,1989,387−388に記載)、或いはアセト酢酸塩とクロロメチルエ−テルを反応させる方法により、活性メチレン化合物であるα−置換酢酸エステルを合成した後、J.Am.Chem.Soc.1998,120,37−45に記載の方法で活性メチレンのモノアルキル化、活性メチレンのヒドロキシメチル化を順次行い、最後に塩基下スルホン酸クロリドと反応させることにより合成できる。
【0571】
以下、一般式(1)で表される酸増殖剤の具体例を挙げるが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0572】
【化98】
【0573】
【化99】
【0574】
以下、前記一般式(2)における各基について説明する。
前記一般式(2)に於いて、R’、R’、R’及びR’のアルキル基の具体例、好ましい例としては、一般式(1)におけるR、R、R、R及びRyについてのアルキル基として前述した具体例、好ましい例と同様のものが挙げられる。
’及びR’のシクロアルキル基の具体例、好ましい例としては、一般式(1)におけるR、R及びRyについてのシクロアルキル基として前述した具体例、好ましい例と同様のものが挙げられる。
’のアルコキシ基の具体例、好ましい例としては、一般式(1)におけるR及びRyについてのアルコキシ基として前述した具体例、好ましい例と同様のものが挙げられる。
’のアリール基の具体例、好ましい例としては、一般式(1)におけるR、Ry及びRyについてのアリール基として前述した具体例、好ましい例と同様のものが挙げられる。
’のアリールオキシ基の具体例、好ましい例としては、一般式(1)におけるR及びRyについてのアリールオキシ基として前述した具体例、好ましい例と同様のものが挙げられる。
’及びR’が結合して形成する単環若しくは多環の環状炭化水素構造の具体例、好ましい例としては、一般式(1)におけるR及びRが結合して形成する単環若しくは多環の環状炭化水素構造として前述した具体例、好ましい例と同様のものが挙げられる。
上記各基は、置換基を有していてもよい。上記各基が有していてもよい置換基の具体例、好ましい例としては、一般式(1)における各基が有していてもよい置換基として前述した置換基の具体例、好ましい例と同様のものが挙げられる。
【0575】
’のアリール基を含まない酸の作用により脱離する基としては、例えば、下記一般式(pI)〜一般式(pV)で表される基を挙げることができ、単環若しくは多環の脂環炭化水素構造を有する基が好ましい。
【0576】
【化100】
【0577】
一般式(pI)〜(pV)に於いて、
11は、アルキル基を表す。
Zは、炭素原子とともにシクロアルキル基を形成するのに必要な原子団を表す。
12〜R14は、各々独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。R12〜R14の内の少なくとも1つは、シクロアルキル基であることが好ましい。
15及びR16は、各々独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。R15及びR16の少なくともいずれかは、シクロアルキル基であることが好ましい。
17〜R21は、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。但し、R19及びR21のいずれかは、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。R17〜R21の内の少なくとも1つは、シクロアルキル基であることが好ましい。
22〜R25は、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。R22〜R25の内の少なくとも1つは、シクロアルキル基であることが好ましい。
【0578】
一般式(pI)〜(pV)に於ける、R11〜R25のアルキル基としては、炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基等を挙げることができる。
12〜R25に於ける、シクロアルキル基或いはZと炭素原子が形成するシクロアルキル基は、単環式でも、多環式でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。
好ましいシクロアルキル基としては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、ノルボルニル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、テトラシクロドデカニル基、トリシクロデカニル基を挙げることができる。
これらのアルキル基、シクロアルキル基は、更なる置換基を有していてもよい。これらのアルキル基、シクロアルキル基の更なる置換基としては、アルキル基(炭素数1〜4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1〜4)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜6)が挙げられる。上記のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基等が、更に有していてもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。
【0579】
一般式(2)は、下記一般式(IIa)又は(IIb)であることが好ましい。
【0580】
【化101】
【0581】
一般式(IIa)及び(IIb)に於いて、
’〜R’、X’及びZ’は、一般式(II)に於ける、R’〜R’、X’及びZ’と同義である。
’とR’とが結合して単環若しくは多環の環状炭化水素構造を形成してもよい。
Ry’〜Ry’は、各々独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。Ry’〜Ry’の内の少なくとも2つが、結合して単環若しくは多環の環状炭化水素構造を形成してもよい。但し、Ry’〜Ry’の内の少なくとも1つがシクロアルキル基を表すか、或いは、Ry’〜Ry’の内の少なくとも2つが、結合して単環若しくは多環の環状炭化水素構造を形成する。
Ry’は、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Ry’は、シクロアルキル基を表す。
Ry’とRy’とが結合して単環若しくは多環の環状炭化水素構造を形成してもよい。
【0582】
Ry’〜Ry’のアルキル基は、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基のいずれでもよく、置換基を有していてもよい。好ましい直鎖、分岐アルキル基としては、炭素数1〜8、より好ましくは1〜4であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基である。
Ry’〜Ry’のシクロアルキル基としては、例えば、炭素数3〜8の単環のシクロアルキル基、炭素数7〜14の多環のシクロアルキル基が挙げられ、置換基を有していてもよい。好ましい単環のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピル基が挙げられる。好ましい多環のシクロアルキル基としては、アダマンチル基、ノルボルナン基、テトラシクロドデカニル基、トリシクロデカニル基、ジアマンチル基が挙げられる。
Ry’〜Ry’の内の少なくとも2つが結合して形成する単環の環状炭化水素構造としては、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造が好ましい。Ry〜Ryの内の少なくとも2つが結合して形成する多環の環状炭化水素構造としては、アダマンタン構造、ノルボルナン構造、テトラシクロドデカン構造が好ましい。
Ry’とRy’とが結合して形成する単環若しくは多環の環状炭化水素構造としては、例えば、テトラメチレンオキシド環構造、ペンタメチレンオキシド環構造、ヘキサメチレンオキシド環構造等を挙げることができる。
上記各基は、置換基を有していてもよい。上記各基が有していてもよい置換基の具体例、好ましい例としては、一般式(1)における各基が有していてもよい置換基として前述した置換基の具体例、好ましい例と同様のものが挙げられる。
【0583】
一般式(2)で表される、酸の作用により分解し、酸を発生する化合物は、まず、エステル化合物を塩基条件下で縮合させる方法、アルコールとジケテンを反応させる方法(Synthesis,1989,387−388に記載)、或いはアセト酢酸塩とクロロメチルエ−テルを反応させる方法により、活性メチレン化合物であるα−置換酢酸エステルを合成した後、J.Am.Chem.Soc.1998,120,37−45に記載の方法で活性メチレンのモノアルキル化、活性メチレンのヒドロキシメチル化を順次行い、最後に塩基下スルホン酸クロリドと反応させることにより合成できる。
【0584】
以下、一般式(2)で表される酸増殖剤の具体例を挙げるが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0585】
【化102】
【0586】
【化103】
【0587】
【化104】
【0588】
【化105】
【0589】
【化106】
【0590】
以下、下記一般式(3)〜(6)で表される化合物について説明する。
【0591】
【化107】
【0592】
上記一般式(3)〜(6)中、
、Z、Zについては前述の通りである。
Rbは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
は、Rと結合して環を形成しても良い。
10は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基又はアルケニルオキシ基を表す。
11は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基又はアルケニル基を表す。
10とR11は、互いに結合して環を形成してもよい。
12は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基又は環状イミド基を表す。
【0593】
一般式(3)〜(6)に於いて、アルキル基としては、炭素数1〜8個のアルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、オクチル基等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、炭素数4〜10個のシクロアルキル基が挙げられ、具体的には、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、アダマンチル基、ボロニル基、イソボロニル基、トリシクロデカニル基、ジシクロペンテニル基、ノボルナンエポキシ基、メンチル基、イソメンチル基、ネオメンチル基、テトラシクロドデカニル基等基等が挙げられる。
【0594】
アリール基としては、炭素数6〜14個のアリール基が挙げられ、具体的には、フェニル基、ナフチル基、トリル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数7〜20個のアラルキル基が挙げられ、具体的にはベンジル基、フェネチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、炭素数1〜8個のアルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
アルケニル基としては、炭素2〜6個のアルケニル基が挙げられ、具体的にはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
【0595】
アリールオキシ基としては、炭素数6〜14個のアリールオキシ基が挙げられ、具体的にはフェノキシ基、ナフトキシ基等が挙げられる。
アルケニルオキシ基としては、炭素数2〜8個のアルケニルオキシ基が挙げられ、具体的にはビニルオキシ基、アリルオキシ基等が挙げられる。
【0596】
上記各置換基には更に置換基を有してもよく、置換基としてはたとえば次のようなものを例示できる。すなわち、Cl、Br、Fなどのハロゲン原子、−CN基、−OH基、炭素数1〜4個のアルキル基、炭素数3〜8個のシクロアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、アセチルアミノ基などのアシルアミノ基、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基、フェノキシエチル基などのアリールオキシアルキル基、炭素数2〜5個のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜5個のアシルオキシ基等を挙げることができる。しかも、置換基の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0597】
とRとが互いに結合して形成する環としては、1,3−ジオキソラン環、1,3−ジオキサン環等が挙げられる。
とRとが互いに結合して形成する環としては、シクロペンチル環、シクロヘキシル環等が挙げられる。
10とR11とが互いに結合して形成する環としては、環内に酸素原子を含んでいてもよい、3−オキソシクロヘキセニル環、3−オキソインデニル環等が挙げられる。
の酸の作用により脱離する基としては、例えば、t−ブチル基、t−アミル基等の3級アルキル基、イソボロニル基、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−シクロヘキシロキシエチル基等の1−アルコキシエチル基、1−メトキシメチル基、1−エトキシメチル基等のアルコキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、トリアルキルシリル基、3−オキソシクロヘキシル基等を挙げることができる。
【0598】
上記Rb、R〜R11の各々の好ましいものとして以下のものが挙げられる。
Rb;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、トリフルオロメチル基、ノナフルオロブチル基、ヘプタデカフルオロオクチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、メトキシフェニル基、トルイル基、メシチル基、フルオロフェニル基、ナフチル基、シクロヘキシル基、樟脳基。
、R;水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、互いに結合してシクロペンチル環、シクロヘキシル環を形成したもの。
;メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基。
10;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ビニロキシ基、メチルビニロキシ基、互いに結合して酸素原子をふくんでよい、3−オキソシクロヘキセニル環、3−オキソインデニル環を形成したもの。
11;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ビニル基、アリル基、互いに結合して酸素原子を含んでよい、3−オキソシクロヘキセニル環、3−オキソインデニル環を形成したもの。
【0599】
一般式(6)に於いて、R12がアルキル基を表すとき、アルキル基としては、炭素原子数が1〜20の直鎖状、分岐状のアルキル基を挙げることができる。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基等を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1〜12の直鎖状、炭素原子数3〜12の分岐状のアルキル基がより好ましい。
12がシクロアルキル基を表すとき、シクロアルキル基としては、炭素原子数が3〜20のシクロアルキル基を挙げることができる。その具体例としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基等を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数5〜10のシクロアルキル基がより好ましい。
【0600】
12が置換アルキル基、置換シクロアルキル基を表すとき、その置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキルウレイド基、N′−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アリール−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリールオキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリールオキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基(−PO)及びその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスフォノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスフォノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
【0601】
これらの置換基におけるアルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。アシル基(R13CO−)におけるR13としては、水素及び上記のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を挙げることができる。
【0602】
これら置換基の内、更により好ましいものとしては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基等が挙げられる。
【0603】
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては、前述の炭素数1〜20のアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除き、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1〜12までの直鎖状、炭素原子数3〜12までの分岐状、及び炭素原子数5〜10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。該置換基とアルキレン基を組み合わせる事により得られる置換アルキル基の、好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノヘキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
【0604】
12が、アリール基を表すとき、アリール基としては、1個〜3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基等を挙げることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。また、アリール基には上記炭素環式アリール基の他、複素環式(ヘテロ)アリール基が含まれる。複素環式アリール基としては、ピリジル基、フリル基、その他ベンゼン環が縮環したキノリル基、ベンゾフリル基、チオキサントン基、カルバゾール基等の炭素数3〜20、ヘテロ原子数1〜5を含むものが用いられる。
【0605】
12が、置換アリール基を表すとき、置換アリール基としては、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、シクロアルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
【0606】
この様な、置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基、ジエチルホスフォノフェニル基、ジフェニルホスフォノフェニル基、メチルホスフォノフェニル基、メチルホスフォナトフェニル基、トリルホスフォノフェニル基、トリルホスフォナトフェニル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基等を挙げることができる。
【0607】
12が、アルケニル基、置換アルケニル基[−C(R14)=C(R15)(R16)]、アルキニル基、又は置換アルキニル基[−C≡C(R17)]を表すとき、R14〜R17としては、一価の非金属原子団を使用することができる。好ましいR14〜R17の例としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基を挙げることができる。これらの具体例としては、前述の例として示したものを挙げることができる。R14〜R17のより好ましい置換基としては、水素原子、ハロゲン原子及び炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基を挙げることができる。アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基及び置換アルキニル基の具体例としては、ビニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−オクテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−ブテニル基、2−フェニル−1−エテニル基、2−クロロ−1−エテニル基、エチニル基、プロピニル基、フェニルエチル基等を挙げることができる。
【0608】
12が環状イミド基を表すとき、環状イミドとしては、コハク酸イミド、フタル酸イミド、シクロヘキサンジカルボン酸イミド、ノルボルネンジカルボン酸イミド等の炭素原子4〜20までのものを用いることができる。
【0609】
以下、前記一般式(3)〜(6)で表される化合物の具体例を例示するが、本発明の内容がこれらに限定されるものではない。
【0610】
【化108】
【0611】
【化109】
【0612】
【化110】
【0613】
【化111】
【0614】
【化112】
【0615】
【化113】
【0616】
以下、下記一般式(7)又は(8)で表される化合物について説明する。
【0617】
【化114】
【0618】
上記一般式(7)及び(8)中、
13〜R16、及びR19〜R23の各々は、水素原子又は1価の置換基を表す。
17及びR18の各々は1価の置換基を表す。R17及びR18は、互いに結合して環を形成していてもよい。
【0619】
及びZについては前述の通りである。
なお、これら一般式(7)により表される化合物は、同一分子中に、Zで表される基を複数備えていてもよい。同様に、これら一般式(8)により表される化合物は、同一分子中に、Zで表される基を複数備えていてもよい。
【0620】
一般式(7)におけるR13〜R16について説明する。
式(7)中、R13〜R16の各々は、水素原子又は1価の置換基を表している。
1価の置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シアノ基、アルキルチオキシ基、アリールチオキシ基及び複素環基が挙げられる。なお、これらのうち、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シアノ基、アルキルチオキシ基、アリールチオキシ基及び複素環基は、置換基を有していてもよい。
【0621】
アルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基、4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基及び3−ニトロフェナシル基が挙げられる。
【0622】
シクロアルキル基は、単環構造を有していてもよく、多環構造を有していてもよい。単環構造を有したシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロオクチル基等が好ましい。多環構造を有したシクロアルキル基としては、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基及びアダマンチル基等が好ましい。炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基がより好ましい。
【0623】
アルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基及びスチリル基等が挙げられる。
【0624】
アルキニル基としては、炭素数2〜10のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル基、プロピニル基及びプロパルギル基等が挙げられる。
【0625】
アリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、並びにオバレニル基が挙げられる。
【0626】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0627】
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピオキシ基、n−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ヘキシロキシ基、t−ブトキシ基、2−エチルヘキシロキシ基、シクロヘキシロキシ基、デシロキシ基及びドデシロキシ基が挙げられる。
【0628】
アリールオキシ基としては、例えば、フェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、トリルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、クロロフェニルオキシ基、トリフルオロメチルフェニルオキシ基、シアノフェニルオキシ基及びニトロフェニルオキシ基が挙げられる。
【0629】
アルカノイル基としては、炭素数2〜20のアルカノイル基が好ましく、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロメチルカルボニル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基及び4−メトキシベンゾイル基が挙げられる。
【0630】
アルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基及びトリフルオロメチルオキシカルボニル基が挙げられる。
【0631】
アリールオキシカルボニル基としては、例えば、フェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基及び4−メトキシフェニルオキシカルボニル基が挙げられる。
【0632】
アルキルスルホニルオキシ基としては、炭素数1〜20のアルキルスルホニルオキシ基が好ましく、例えば、メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基、プロピルスルホニルオキシ基、イソプロピルスルホニルオキシ基、ブチルスルホニルオキシ基、ヘキシルスルホニルオキシ基、シクロヘキシルスルホニルオキシ基、オクチルスルホニルオキシ基、2−エチルヘキシルスルホニルオキシ基、デカノイルスルホニルオキシ基、ドデカノイルスルホニルオキシ基、オクタデカノイルスルホニルオキシ基、シアノメチルスルホニルオキシ基、メトキシメチルスルホニルオキシ基及びパーフルオロアルキルスルホニルオキシ基が挙げられる。
【0633】
アリールスルホニルオキシ基としては、炭素数6〜30のアリールスルホニルオキシ基が好ましく、例えば、フェニルスルホニルオキシ基、1−ナフチルスルホニルオキシ基、2−ナフチルスルホニルオキシ基、2−クロロフェニルスルホニルオキシ基、2−メチルフェニルスルホニルオキシ基、2−メトキシフェニルスルホニルオキシ基、2−ブトキシフェニルスルホニルオキシ基、3−クロロフェニルスルホニルオキシ基、3−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ基、3−シアノフェニルスルホニルオキシ基、3−ニトロフェニルスルホニルオキシ基、4−フルオロフェニルスルホニルオキシ基、4−シアノフェニルスルホニルオキシ基、4−メトキシフェニルスルホニルオキシ基、4−メチルスルファニルフェニルスルホニルオキシ基、4−フェニルスルファニルフェニルスルホニルオキシ基及び4−ジメチルアミノフェニルスルホニルオキシ基が挙げられる。
【0634】
アルキルスルホニル基としては、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基が好ましく、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、デカノイルスルホニル基、ドデカノイルスルホニル基、オクタデカノイルスルホニル基、シアノメチルスルホニル基、メトキシメチルスルホニル基及びパーフルオロアルキルスルホニル基が挙げられる。
【0635】
アリールスルホニル基としては、炭素数6〜30のアリールスルホニル基が好ましく、例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、2−クロロフェニルスルホニル基、2−メチルフェニルスルホニル基、2−メトキシフェニルスルホニル基、2−ブトキシフェニルスルホニル基、3−クロロフェニルスルホニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル基、3−シアノフェニルスルホニル基、3−ニトロフェニルスルホニル基、4−フルオロフェニルスルホニル基、4−シアノフェニルスルホニル基、4−メトキシフェニルスルホニル基、4−メチルスルファニルフェニルスルホニル基、4−フェニルスルファニルフェニルスルホニル基及び4−ジメチルアミノフェニルスルホニル基が挙げられる。
【0636】
アルキルチオキシ基としては、例えば、メチルチオキシ基、エチルチオキシ基、プロピルチオキシ基、n−ブチルチオキシ基、トリフルオロメチルチオキシ基、ヘキシルチオキシ基、t−ブチルチオキシ基、2−エチルヘキシルチオキシ基、シクロヘキシルチオキシ基、デシルチオキシ基及びドデシルチオキシ基が挙げられる。
【0637】
アリールチオキシ基としては、例えば、フェニルチオキシ基、1−ナフチルチオキシ基、2−ナフチルチオキシ基、トリルチオキシ基、メトキシフェニルチオキシ基、ナフチルチオキシ基、クロロフェニルチオキシ基、トリフルオロメチルフェニルチオキシ基、シアノフェニルチオキシ基及びニトロフェニルチオキシ基が挙げられる。
【0638】
複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子又はリン原子を含んだ芳香族又は脂肪族の複素環が好ましい。この複素環基としては、例えば、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基及びチオキサントリル基が挙げられる。
【0639】
13〜R16の何れかが有し得る置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基及びtert−ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びp−トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基及びフェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基及びベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びメトキサリル基等のアシル基;メチルスルファニル基及びtert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基;フェニルスルファニル基及びp−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基;メチルアミノ基及びシクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基及びピペリジノ基等のジアルキルアミノ基;フェニルアミノ基及びp−トリルアミノ基等のアリールアミノ基;メチル基、エチル基、tert−ブチル基及びドデシル基等のアルキル基;フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基及びフェナントリル基等のアリール基;ヒドロキシ基;カルボキシ基;ホルミル基;メルカプト基;スルホ基;メシル基;p−トルエンスルホニル基;アミノ基;ニトロ基;シアノ基;トリフルオロメチル基;トリクロロメチル基;トリメチルシリル基;ホスフィニコ基;ホスホノ基;トリメチルアンモニウミル基;ジメチルスルホニウミル基、並びにトリフェニルフェナシルホスホニウミル基が挙げられる。
【0640】
13〜R16は、それらの2以上が互いに結合して、環構造を形成していてもよい。この環構造は、脂肪族若しくは芳香族の炭化水素環であってもよく、へテロ原子を含んだ複素環であってもよい。また、これらR13〜R16は、多環縮合環を形成していてもよい。
【0641】
脂肪族又は芳香族の炭化水素環としては、例えば、6員環、5員環又は7員環構造のものが挙げられる。この炭化水素環としては、6員環又は5員環構造のものが好ましく、5員環構造のものが特に好ましい。
【0642】
複素環としては、例えば、ヘテロ原子として硫黄原子、酸素原子又は窒素原子を含んだものが挙げられる。この複素環としては、ヘテロ原子として硫黄原子を含んだものがより好ましい。
【0643】
多環縮合環としては、例えば、炭化水素環のみからなる縮合環が挙げられる。この多環縮合環としては、例えば、2〜4個のベンゼン環が縮合環を形成したもの及びベンゼン環と5員不飽和環とが縮合環を形成したものが挙げられる。
【0644】
多環縮合環は、少なくとも1つの複素環を含んだ縮合環であってもよい。この多環縮合環としては、例えば、ベンゼン環と5員複素環とが縮合環を形成したもの、及び、ベンゼン環と6員複素環とが縮合環を形成したものが挙げられる。
【0645】
13〜R16が形成し得る環構造としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ジチオラン環、オキシラン、ジオキシラン環、チイラン環、ピロリジン環、ピペリジン環、イミダゾール環、イソオキサゾール環、ベンゾジチオール環、オキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾジチオール環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環及びフェナジン環が挙げられる。中でも、ジチオラン環、ベンゾジチオール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環及びベンゾオキサゾール環が特に好ましい。
13〜R16としては、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であることが好ましい。
【0646】
次に、R17及びR18について説明する。
式(1)中、R17及びR18の各々は、1価の置換基を表している。1価の置換基としては、例えば、1価の有機基及びシリル基が挙げられる。1価の有機基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基及びジアルキルアミノカルボニル基が挙げられる。これら1価の有機基は、置換基を更に有していてもよい。
【0647】
アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルチオカルボニル基及びアリールチオカルボニル基としては、例えば、先にR13〜R16について列挙したのと同様のものが挙げられる。
【0648】
置換基を有していてもよいジアルキルアミノカルボニル基としては、例えば、ジメチルアミノカルボニル基、ジメエルアミノカルボニル基、ジプロピルアミノカルボニル基及びジブチルアミノカルボニル基が挙げられる。
【0649】
17及びR18は、互いに結合して環を形成していてもよく、R17及びR18は、互いに結合して、環状アセタール構造を形成していることが好ましい。この環状アセタール構造は、脂肪族若しくは芳香族の炭化水素環又はへテロ原子を含んだ複素環を置換基として備えていてもよい。また、これら炭化水素環及び/又は複素環は、環状アセタールと縮合環を形成していてもよい。なお、これら炭化水素環及び複素環としては、例えば、先にR13〜R16について列挙したのと同様のものが挙げられる。
【0650】
一般式(8)におけるR19〜R23について説明する。
19〜R23は、水素原子又は1価の置換基である。
19としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルケニルオキシ基及び水素原子が挙げられる。
20としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルケニル基及び水素原子が挙げられる。
21としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルケニル基及び水素原子が挙げられる。
22としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルケニル基及び水素原子が挙げられる。
23としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルケニル基及び水素原子が挙げられる。
【0651】
アルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基及びオクチル基が挙げられる。
【0652】
シクロアルキル基としては、炭素数4〜10のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、アダマンチル基、ボロニル基、イソボロニル基、トリシクロデカニル基、ジシクロペンテニル基、ノボルナンエポキシ基、メンチル基、イソメンチル基、ネオメンチル基及びテトラシクロドデカニル基が挙げられる。
【0653】
アリール基としては、炭素数6〜14のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基及びトリル基が挙げられる。
【0654】
アラルキル基としては、炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられ、具体的にはベンジル基、フェネチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
【0655】
アルコキシ基としては、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、シクロヘキシロキシ基及びブトキシ基が挙げられる。
【0656】
アリールオキシ基としては、炭素数6〜14のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェノキシ基及びナフトキシ基が挙げられる。
【0657】
アルケニル基としては、炭素2〜6個のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基及びシクロヘキセニル基が挙げられる。
【0658】
アルケニルオキシ基としては、炭素数2〜8個のアルケニルオキシ基が好ましく、具体的には、ビニルオキシ基及びアリルオキシ基が挙げられる。
【0659】
これらアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルケニル基及びアルケニルオキシ基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、Cl、Br及びF等のハロゲン原子、−CN基、−OH基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アセチルアミノ基等のアシルアミノ基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェノキシエチル基等のアリールオキシアルキル基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、並びに炭素数2〜5のアシルオキシ基が挙げられる。
【0660】
好ましいR19としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ビニロキシ基及びメチルビニロキシ基が挙げられる。
【0661】
好ましいR20としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ビニル基及びアリル基が挙げられる。
【0662】
好ましいR21としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ビニル基及びアリル基が挙げられる。
【0663】
好ましいR22としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ビニル基及びアリル基が挙げられる。
【0664】
好ましいR23としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ビニル基及びアリル基が挙げられる。
【0665】
19〜R23の少なくとも2つは、互いに結合して、環構造を形成していてもよい。
【0666】
前記一般式(7)又は(8)で表される化合物としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0667】
【化115】
【0668】
【化116】
【0669】
【化117】
【0670】
【化118】
【0671】
【化119】
【0672】
【化120】
【0673】
【化121】
【0674】
前記一般式(7)又は(8)で表される化合物の製造方法としては、対応するアルコール化合物とスルホニルハライド又はスルホン酸無水物とを用いて、塩基(例えば、トリエチルアミン又はピリジン)存在下で、THF、DMF及びアセトニトリル等の不活性溶媒又はピリジン等の塩基性溶媒中で反応させることにより容易に合成できる。反応温度としては、−10〜60℃が好ましい。
【0675】
また、上記のスルホニルハライドとして、アルキルスルホニルハライド及びアリールスルホニルハライド等を用いることにより、対応する種々のスルホン酸発生化合物が合成可能である。
【0676】
酸増殖剤から発生する酸としては、スルホン酸、イミド酸、カルボン酸又はメチド酸であることが好ましく、スルホン酸又はイミド酸であることがより好ましく、スルホン酸であることが更に好ましい。
換言すると、前記一般式(1)〜(5)、(7)及び(8)において、Z、Z’、Z、Z、Z、Z、及びZとしては各々独立に、前記一般式(Z−a)で表される基(Rb−SO−)であることが好ましい。
【0677】
本発明において、酸増殖剤は、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
組成物(II)は、酸増殖剤を含有してもしなくても良いが、含有する場合、酸増殖剤の含有量としては、組成物(II)の全固形分を基準として、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.5〜30質量%であることがより好ましく、1.0〜20質量%であることが更に好ましい。
【0678】
以上、本発明のパターン形成方法に使用される組成物(II)について説明したが、本発明は、本発明のパターン形成方法の前記工程(エ)に供せられる、上記した(A’)酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む除去液に対する溶解性が減少する化合物を含有する組成物にも関する。
【0679】
また、本発明は、上記した本発明のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法、及び、この製造方法により製造された電子デバイスにも関する。
本発明の電子デバイスは、電気電子機器(家電、OA・メディア関連機器、光学用機器及び通信機器等)に、好適に、搭載されるものである。
【実施例】
【0680】
<合成例(樹脂A−1の合成)>
シクロヘキサノン 102.3質量部を窒素気流下、80℃に加熱した。この液を攪拌しながら、下記構造式M−1で表されるモノマー 22.2質量部、下記構造式M−2で表されるモノマー 22.8質量部、下記構造式M−3で表されるモノマー 6.6質量部、シクロヘキサノン 189.9質量部、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル〔V−601、和光純薬工業(株)製〕2.40質量部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で更に2時間攪拌した。反応液を放冷後、多量のヘキサン/酢酸エチル(質量比9:1)で再沈殿、ろ過し、得られた固体を真空乾燥することで、本発明の樹脂(A−1)を41.1質量部得た。
【0681】
【化122】
【0682】
得られた樹脂のGPC(キャリア:テトラヒドロフラン(THF))から求めた重量平均分子量(Mw:ポリスチレン換算)は、Mw=9500、分散度はMw/Mn=1.60であった。13C−NMRにより測定した組成比(モル比)は40/50/10であった。
【0683】
<樹脂(A)・化合物(A’)>
以下、同様にして、樹脂A−2〜A−20を合成した。以下、樹脂A−1も含めて、樹脂A−2〜A−20における繰り返し単位の組成比(モル比;左から順に対応)、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を以下にに示す。
【0684】
【化123】
【0685】
【化124】
【0686】
【化125】
【0687】
【化126】
【0688】
<疎水性樹脂>
以下、同様にして、樹脂D−1〜D−13を合成した。樹脂D−1〜D−13における繰り返し単位の組成比(モル比;左から順に対応)、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を以下にに示す。
【0689】
【化127】
【0690】
【化128】
【0691】
【化129】
【0692】
<酸発生剤>
酸発生剤としては、以下の化合物を用いた。
【0693】
【化130】
【0694】
<活性光線又は放射線の照射により、塩基性が低下する塩基性化合物(N)、及び塩基性化合物(N’)>
活性光線又は放射線の照射により、塩基性が低下する塩基性化合物、あるいは、塩基性化合物として、以下の化合物を用いた。
【0695】
【化131】
【0696】
C−7:トリ−n−ペンチルアミン
【0697】
<酸増殖剤>
酸増殖剤としては、以下の化合物を用いた。
【0698】
【化132】
【0699】
<界面活性剤>
界面活性剤としては、以下のものを用いた。
W−1: メガファックF176(DIC(株)製;フッ素系)
W−2: メガファックR08(DIC(株)製;フッ素及びシリコン系)
W−3: ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製;シリコン系)
W−4: トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)
W−5: KH−20(旭硝子(株)製)
W−6: PolyFox PF−6320(OMNOVA Solutions Inc.製;フッ素系)
【0700】
<溶剤>
溶剤としては、以下のものを用いた。
SL−1: プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
SL−2: プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート
SL−3: 2−ヘプタノン
SL−4: 乳酸エチル
SL−5: プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
SL−6: シクロヘキサノン
SL−7: γ−ブチロラクトン
SL−8: プロピレンカーボネート
【0701】
<現像液・除去液>
現像液及び除去液としては、以下のものを用いた。
SG−1: 酢酸ブチル
SG−2: メチルアミルケトン
SG−3: エチル−3−エトキシプロピオネート
SG−4: 酢酸ペンチル
SG−5: 酢酸イソペンチル
SG−6: プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
SG−7: シクロヘキサノン
【0702】
<リンス液>
リンス液として、以下のものを用いた。
SR−1: 4−メチル−2−ペンタノール
SR−2: 1−ヘキサノール
SR−3: 酢酸ブチル
SR−4: メチルアミルケトン
SR−5: エチル−3−エトキシプロピオネート
【0703】
<架橋層形成材料>
架橋層形成材料(Z−1):特開2008−310314号公報の段落番号[0386]に記載の架橋層形成材料B1と同様
【0704】
〔実施例1〜21及び比較例1,2〕
【0705】
<第1の膜によるパターンの形成方法>
(組成物(I)の調製)
下記表1に示す成分を同表に示す溶剤に全固形分で3.5質量%となるように溶解させ、それぞれを0.03μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターでろ過して、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(レジスト組成物)(I−1)〜(I−21)を調製した。
【0706】
(レジスト膜(第1の膜)の形成)
シリコンウエハ上に有機反射防止膜ARC29SR(日産化学社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークを行い、膜厚95nmの反射防止膜を形成した。その上に感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(I−1)〜(I−21)を塗布し、100℃で60秒間に亘ってベーク(PB:Prebake)を行い、膜厚80nmのレジスト膜(第1の膜)を形成した。
【0707】
(レジストパターンの形成)
このレジスト膜に、ArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製;XT1700i、NA1.20、C−Quad、アウターシグマ0.900、インナーシグマ0.812、XY偏向)を用い、ピッチが500nm且つマスクサイズが80nmの孤立ホールパターン(ここでは、ネガ型パターンを形成する為、ホールに相当する部分が遮光されている)のハーフトーンマスクを介して、パターン露光を行った。液浸液としては超純水を用いた。その後、105℃で60秒間加熱(PEB:Post Exposure Bake)した。次いで、表3に示す現像液で30秒間パドルして現像し、表3に示すリンス液で30秒間パドルしてリンスした(ただし、表3の「パターン形成工程」においてリンス液の記載がない例ついては、リンス工程は実施しなかった)。続いて、2000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させたのちに、表3の「現像後ベーク」の欄に記載の温度で90秒間加熱(Post Bake)をおこない、ホールサイズ(孔径)が60nmの孤立ホールパターンを得た。
ただし、比較例1については、上記パターン露光は、ピッチが500nm且つ光透過部としてのホールサイズが80nmの孤立ホールパターンのハーフトーンマスク(ここでは、ポジ型パターンを形成する為、ホールに相当する部分以外の部分が遮光されている)を介して、パターン露光を行ち、現像液としては、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を、リンス液としては、純水を用いて、パターン形成を行った。
【0708】
<第2の膜による、ホールサイズが縮小されたパターンの形成方法(パターン微細化工程)>
(組成物(II)の調製)
下記表2に示す成分を同表に示す溶剤に全固形分で3.5質量%となるように溶解させ、それぞれを0.03μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターでろ過して、組成物(II−1)〜(II−21)を調製した。なお、組成物(II−21)は、組成物(I−21)と同内容である。
【0709】
(第2の膜の形成:実施例1〜21)
前記のようにして得られた孤立ホールパターンの上に、組成物(II−1)〜(II−21)を塗布し、表3の「塗布後ベーク」の欄に記載の温度で60秒間加熱を行い、非ホール部については膜厚80nm、ホール部については膜厚160nm(80nm+80nm)の膜(第2の膜)を形成した。
【0710】
(ホールサイズが縮小されたパターンの形成)
更に、表3の「露光」の欄において「露光あり」と記載の例については、第2の膜をArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製;XT1700i、NA1.20、C−Quad、アウターシグマ0.900、インナーシグマ0.812、XY偏向)を用い、30mJ/cmの露光量でオープンフレーム露光を行った。液浸液としては超純水を用いた。その後、120℃で、再度、60秒間加熱を行った。
次いで、表3に示す除去液で30秒間パドルして除去工程を行い、表3に示すリンス液で30秒間パドルしてリンスした(ただし、表3の「パターン微細化工程」においてリンス液の記載がない例については、リンス工程は実施しなかった)。続いて、2000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させたのちに120℃で90秒間加熱(Post Bake)を行い、ホールサイズが縮小されたパターンを得た。
【0711】
(第2の膜の形成:比較例1)
表3に示すように、アルカリ現像液によるポジ型の画像形成方法を用いた比較例1においては、ホールサイズ(孔径)が60nmの孤立ホールパターンを形成(解像)することができなかった。そのため、ホールパターンのホールサイズを縮小化させるための第2の膜の形成を行うことはできなかった。
【0712】
(第2の膜の形成:比較例2)
比較例2においては、前記のようにして得られた孤立ホールパターンの上に、架橋層形成材料(Z−1)を回転塗布し、85℃で70秒間ベークを行い、非ホール部については膜厚80nm、ホール部については膜厚160nm(80nm+80nm)の架橋層形成材料からなる膜をホールパターンの上に形成した。
その後、更に110℃で90秒間ベーク(ミキシングベーク)を行い、ホールパターンと架橋層形成材料からなる膜との界面に架橋層を形成させた。その後、純水を用いた60秒間の除去工程により非架橋層を除去し、更に、90℃で90秒間加熱(ポストベーク)を行い、ホールパターン上に架橋層が形成されることにより、ホールサイズが縮小されたパターン(以下、単に、「縮小パターン」とも言う)を得た。
【0713】
【表5】
【0714】
【表6】
【0715】
【表7】
【0716】
(レジストパタ−ンの評価)
得られた縮小パターンを下記の方法で、ブロッブ(Blob)欠陥、及び、ホールサイズ縮小幅について評価した。結果を表4に示す。
【0717】
<Blob欠陥の評価方法>
縮小パターンの観測において、KLAテンコール社製2360を用い、欠陥検査装置のピクセルサイズを0.16μmに、また閾値を20に設定して、ランダムモードで測定し、比較イメージとピクセル単位の重ね合わせによって生じる差異から抽出される現像欠陥を検出したのち、SEMVISION G3(APPLIED MATERIALS社製)により、現像欠陥の観察を行った。観察された欠陥の中から、図1で示すような、円状に発生したBlob欠陥(サイズが数10nmから数μmの、レジスト成分や現像液成分に由来すると考えられる残渣)の数を測定し、欠陥密度(ウエハー上の欠陥個数/ウエハー検査面積、単位:個/cm)を算出した。
ウエハー上に観察された欠陥密度が、0個/cm以上,0.1個/cm未満をA、0.1個/cm以上,1個/cm未満をB、1個/cm以上,10個/cm未満をC、10個/cm以上をDで表す。欠陥密度の値が小さいほど、良好なBlob欠陥性能であることを示す。
【0718】
<ホールサイズ縮小幅の評価方法>
第1の膜に形成されたパターンにおけるホールサイズと、縮小パターンにおけるホールサイズとを、測長走査型電子顕微鏡(日立社製S9380II)を使用して計測し、ホールサイズの差を算出し、これを、ホールサイズ縮小幅(nm)とした。値が大きいほど、ホールサイズの縮小効果が高いことを示しており、性能が良好であることを表す。
【0719】
【表8】
【0720】
表4に示す結果から明らかなように、実施例1〜21によれば、ブロッブ欠陥の発生が充分に低減された状態で、ホールサイズの縮小幅を向上でき、超微細の孔径(例えば、40nm以下)を有するホールパターンを形成できることが分かった。
一方、ポジ型の画像形成方法を使用した比較例1は、ホールサイズが60nmの孤立ホールパターンを形成することすらできなかった。
また、パターン形成工程においては、有機溶剤を含む現像液を用いたネガ型の画像形成方法を使用したものの、パターン微細化工程においては、酸の存在下で架橋が進行し、水に対して不溶化となる反応を利用する比較例2は、ホールサイズの縮小幅を充分に向上させることはできず、超微細の孔径(例えば、40nm以下)を有するホールパターンを形成は困難であることが分かった。
酸増殖剤を含有する組成物(II−1)〜(II−3)を使用した実施例1〜3は、ブロッブ欠陥評価及びホールサイズ縮小幅評価において、特に優れた結果を示した。
図1