(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、前記材料に依存するコントラストの強調に加えて、光源の条件に依存するコントラストの強調を実行可能とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
パターン検出して、画像を取得する際に、パターン検出に失敗したときにのみ、前記材料に依存するコントラストの強調処理を実行することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【背景技術】
【0002】
微細パターンを観測する必要がある分野には、半導体製造分野や医学分野などがある。例えば半導体製造分野では、半導体デバイス等の高集積化や微細化が進み、これら試料の観察、測定、検査を行う荷電粒子線装置の性能改善が求められている。荷電粒子線装置の一態様である走査型電子顕微鏡(以下、「SEM(Scanning Electron Microscope)」と称する。)においては、高い分解能や再現性が要求されている。また、高い分解能や再現性の実現のためには、SEMによる試料の観察、測定、或いは検査をするための画像においては、コントラストとブライトネスとを適切に調整する必要があり、画像処理技術には改善の余地がある。
【0003】
観測対象試料に電子線が到達し、試料表面の原子を励起することにより放出されるエネルギーの低い信号電子を二次電子という。半導体の回路パターンのように凹凸等のパターンを持った試料のパターンのエッジ部分に電子線が照射されると、エッジ効果によって発生する二次電子量が増大し、凹凸に依存するコントラストを持った像が形成される。
【0004】
一方、電子線が試料中で散乱する過程において試料表面から再放出される電子を反射電子という。反射電子はエネルギーの高い信号電子であり、試料の凹凸に依存せずに、反射電子により試料(材料)の組成に依存するコントラストを持った像が形成される。
【0005】
近年では、半導体や磁気ヘッド等のプロセスの複雑化に伴い、観察試料面に凹凸を持たない低段差試料の計測が求められている。このような場合、低段差ゆえに、検出される二次電子信号量が低下するため、二次電子に代えて又は二次電子とともに反射電子を検出し、反射電子に基づく信号や像を合成してエッジやコントラスト情報を強化することにより、像質及び測長精度を向上させることができる。また、絶縁材料を含む試料のように、SEM観察における電子線の照射によって、表面に数〜数十[V]の帯電が生じ二次電子に対する障壁が形成されるような場合でも反射電子による検出は可能である。反射電子像は、材料の原子番号に依存してコントラストが決まるため、原子番号差の大きい材料で構成されたパターンでは、メリハリのある画像になる特徴を持つ。
【0006】
下記の特許文献1には、所定のコントラストないしブライトネスで取得した元画像に対して、明るい画像と暗い画像とを取得し、明るい画像からその暗い部分を抽出し、暗い画像からその明るい部分を抽出し、抽出した暗い部分の画像と明るい部分の画像を合成することにより、適切な階調が得られるに基づいたコントラストとブライトネスの調整方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示されているようなコントラスト調整方法を用いた画像処理技術では、原子番号が近い材料で構成されたパターンの反射電子像を撮像した場合、コントラスト差の小さい画像になってしまう。
【0009】
ところで、画像のコントラスト差をつけるため、部分的にコントラストを拡張する手法の一つに中間輝度強調技術があるが、各材料の輝度をヒストグラムにした時に、ヒストグラムの波形が材料間で重なってしまい、輝度強調の範囲を適切に設定することができないという問題がある。
【0010】
そのため、特許文献1を含む従来技術によって高分解能を実現することは困難であり、画像観察を行う場合に、分解能が低いことにより測長等の再現性も低下するという大きな問題がある。
【0011】
本発明は、反射電子像の高分解能化を行うことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、画像を高分解能化すべく、コントラスト差をつけるため、原子番号から部分的に輝度強調するための指標値を決定し、画像のコントラスト・ブライトネスを調整する方法、および装置を提案する。
【0013】
本発明の一観点によれば、反射電子画像を入力画像とする画像処理を行う画像処理装置であって、前記入力画像を入力とし、材料に依存する反射電子の生成効率情報を用いて、測定位置毎に得た輝度値に基づく輝度ヒストグラムの度数のピークをもつピーク輝度値を求め、材料毎の前記ピーク輝度値を出力する材料ピーク検出部と、前記入力画像と材料毎の前記ピーク輝度値に基づいて、材料に依存するコントラストを強調する画像情報調整部とを有することを特徴とする画像処理装置が提供される。
【0014】
前記入力画像から、各材料の信号ピーク値を算出する。各材料のピーク値は、例えば、モンテカルロシミュレーション等により反射電子の生成効率を理論的に計算し、その生成効率情報を基に、輝度ヒストグラムに対してデコンボリューションすることで、算出することができる。
【0015】
反射電子像において、原子番号が近い2つ以上の材料が同一視野内に存在するような場合においても、材料の原子番号に依存した輝度変換(デコンボリューション)を実施することで、コントラスト差をつけ、反射電子像を高分解能化することができる。これにより、反射電子画像に材料に依存するコントラストを付けることができる。
【0016】
前記入力画像を入力とし、前記入力画像の輝度情報を検出することで、前記入力画像の輝度の最大値と最小値とを取得して出力する輝度情報抽出部を有し、前記画像情報調整部は、前記材料ピーク抽出部からの前記ピーク輝度値と、前記輝度情報抽出部からの輝度の最大値と最小値と、に基づいて、前記入力画像のコントラストを強調することが好ましい。
【0017】
さらに、前記材料に依存するコントラストの強調に加えて、光源の条件に依存するコントラストの強調を実行可能とすることが好ましい。
【0018】
また、パターン検出して、画像を取得する際に、パターン検出に失敗したときにのみ、前記材料に依存するコントラストの強調処理を実行することが好ましい。
【0019】
前記輝度変換をする材料を、選択可能なインターフェイスを有することが好ましい。
【0020】
又、本発明は、上記のいずれかに記載の画像処理装置を有することを特徴とする電子顕微鏡装置である。
【0021】
本発明の他の観点によれば、反射電子画像を入力画像とする画像処理を行う画像処理方法であって、前記入力画像を入力とし、材料に依存する反射電子の生成効率情報を用いて、測定位置毎に得た輝度値に基づく輝度ヒストグラムの度数のピークをもつピーク輝度値を求め、材料毎の前記ピーク輝度値を出力する材料ピーク検出ステップと、前記入力画像と材料毎の前記ピーク輝度値に基づいて、材料に依存するコントラストを強調する画像情報調整ステップと、を有することを特徴とする画像処理方法が提供される。
【0022】
また、本発明は、前記入力画像を入力とし、前記入力画像の輝度情報を検出することで、前記入力画像の輝度の最大値と最小値とを取得して出力する輝度情報抽出ステップを有し、前記画像情報調整ステップは、前記材料ピーク抽出ステップにおいて求めた前記ピーク輝度値と、前記輝度情報抽出ステップにおいて求めた輝度の最大値と最小値と、に基づいて、前記入力画像のコントラストを強調することを特徴とする画像処理方法である。
【0023】
また、本発明は、上記に記載の画像処理方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムであっても良い。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、原子番号が近い材料で構成されたコントラスト差がない画像に対しても、最適なコントラストが設定でき、反射電子像の高分解能化が実現可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、反射電子像に対して最適な明るさに調整するための画像処理技術、特に、コントラスト・ブライトネス調整技術を含む画像処理技術について、走査型電子顕微鏡システムに適用する場合を例にして図面を参照しながら詳細に説明する。試料に含まれる材料は、基本的に既知である。
【0027】
図1は、本発明の一実施の形態による走査型電子顕微鏡システムの一構成例を示す図である。走査型電子顕微鏡(SEM)1において、電子源2から発生した一次電子線4は、一次電子加速源18から電圧が印加された一次電子加速電極3によって加速される。
【0028】
コンデンサレンズ5は、電子プローブの太さとプローブ電流との制御に使用され、加速された一次電子線4の電流が制御される。制御された一次電子線4は、絞り6により絞り、走査コイル7により発生した磁界により一次元又は二次元に走査される。対物レンズ8には、制御用計算機14から制御信号15が与えられ、制御信号15に応じた磁界を発生させ、一次元又は二次元に走査された一次電子線がステージ17上の試料9面上に焦点が合うように制御される。
【0029】
一次電子4によって照射された試料9のからは、二次電子および反射電子16が発生する。反射電子16は検出器10により捕捉される。捕捉された反射電子の情報は増幅器11で信号を増幅した後に、画像処理プロセッサ12内でAD変換され、デジタル画像データへと変換される。デジタル画像データは画像表示装置13に与えられ、視野領域の試料像(視野像)として表示される。なお、画像処理プロセッサ12は、デジタル画像データを格納する画像メモリと各種の画像処理を実行する画像処理装置12a、表示制御を行う表示制御装置12b等を有している。
【0030】
この他、
図1に示す走査型電子顕微鏡システムは、検出された二次電子又は反射電子等に基づいてラインプロファイルを形成する機能を有している。ラインプロファイルは、一次電子4を一次元走査又は二次元走査した際に検出器10で検出された電子量又は試料像の輝度情報等に基づいて形成される。形成されたラインプロファイルは、試料9上に形成されたパターンの認識、寸法測定等に用いることができる。
【0031】
例えば、試料9上に形成された微細パターン等の寸法を計測する場合、制御用計算機14は、一次電子線4によって測定領域が照射されるように、制御信号19によりステージ17の駆動機構を制御し、測定対象であるパターンを一次電子4が垂直に照射するように、ステージ17の位置や傾きを決める。このとき、画像処理プロセッサ12内の画像処理装置12aは、一次電子4が走査した領域から検出されるデジタル画像データを処理してパターンの寸法を計測できる画像を形成できるように処理する。
【0032】
図2は、反射電子像の寸法を計測する様子を示す図である。
図2(a)に示すように、反射電子像21にある測定対象パターン22の寸法(例えば直径)を計測する場合には、測定対象パターン22と測定外エリア23の境界を正しく求める必要がある。実際には、
図2(b)に示すように、試料表面の2次元表面上を、x方向及びy方向に走査して画像を取得して輝度Bを測定し、(x,y,B)を2次元平面上で求めていくことで、後述するようなヒストグラムを作成することができる。
図2(a)の境界は、各領域のコントラスト・ブライトネスにより求められる。しかし、測定対象パターン22と測定外エリア23の原子番号が近い場合には、反射電子が原子番号に依存するため、コントラスト差が出ず、境界も曖昧になり、画像の分解能が低くなってしまう。
【0033】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態による画像処理技術について説明する。
図3は、本実施の形態による画像処理装置の一構成例を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、本実施の形態による画像処理装置12aは、材料ピーク検出部33と、輝度情報抽出部34と、コントラスト・ブライトネス調整部35と、を有しており、入力画像31を入力として、コントラスト・ブライトネスの調整後の画像38を出力する。
【0034】
材料ピーク検出部33は、入力画像31に基づいて、各材料毎の輝度ヒストグラムの個数のピークを示す輝度階調値として定義されるピーク値36を検出する。輝度情報抽出部34は、入力画像31に基づいて、輝度情報37を抽出する。抽出したピーク値36、輝度情報37に基づいて、コントラスト・ブライトネス調整部(画像情報調整部)35は、材料ピーク検出部33の出力のピーク値36を輝度情報抽出部34からの輝度情報37に基づいて例えば後述する中間輝度強調によりコントラスト・ブライトネスを調整した調整後画像38を作成して、この調整後画像38を出力する。以降に、各部の詳細について説明する。
【0035】
材料ピーク検出部33は、入力画像31から、各材料の信号ピーク値を算出する。各材料のピーク値は、例えば、モンテカルロシミュレーション等により反射電子の生成効率を理論的に計算し、その生成効率情報を基に、輝度ヒストグラムに対してデコンボリューションすることで、算出することができる。
【0036】
一例として、一般に知られている光源(ビーム)の条件に依るデコンボリューションに加えて、本実施の形態による材料に合わせたデコンボリューションを実施する仕組みについて説明する。
【0037】
本実施の形態の、材料に合わせたデコンボリューションは、材料に依ってデコンボリューションを実施するものである。より具体的に説明すると、材料の厚みや大きさ、原子番号に依存した信号源の広がりに依存して、デコンボリューションを実施する。
【0038】
図4は、材料A、B、Cを含む試料において、デコンボリューション処理の前後での輝度ヒストグラムの一例を示す図である。変換前の輝度ヒストグラムに依ると、材料A,B,C間の輝度ヒストグラムが輝度軸上で一部重なってしまっていることが分かる。これを変換後のように材料により輝度軸上で分離することが好ましい。
【0042】
一方、
図5は、中間輝度強調処理の原理を示す図である。
図2(b)に示すように、試料表面を走査して、位置と、輝度情報を取得すると、
図4(a)と同様の
図5(a)に示すような中間輝度強調処理前の輝度ヒストグラムが得られる。処理の詳細な流れについては、後述する。
【0043】
図5(a)に示すように、輝度値として、輝度情報抽出部34で得たBottomとPeakとの間にヒストグラムが得られる。試料9を構成する既知の材料毎のピーク値pa、pb、pcを求めておく。
【0044】
そして、
図5(b)に示すように、調整前の入力輝度値(横軸)を調整後の出力輝度値(縦軸)に調整する。このような、S字型のカーブによる調整を中間輝度強調と称する。
【0045】
図5(b)においては、材料BとCとの調整関数(調整式)は、直線L1と直線L2傾きを調整係数として設定されてグラフとして例示されている。調整のために、式を直接用いても良い。ここでは、
図5(b)に示すように、例えば、pbからbottomまでの間の輝度値を直線L1により調整し、pbからpcまでの間の輝度値を直線L2により調整する。
【0046】
尚、
図5(a)では、変換前のヒストグラムを用いており、材料ピーク検出部33における材料に依存するデコンボリューションによる変換後の輝度ヒストグラムを用いていない場合について示しているが、実際には、
図4(b)に示す変換後の輝度ヒストグラムに基づくピーク値がコントラスト・ブライトネス調整部35入力されるため、材料への依存がよりわかりやすい出力となる。
【0047】
そして、
図2(b)に示すようにして求めた位置に依存する輝度値に、
図5(b)の調整が行われることで、調整前の入力輝度値を、調整後の出力輝度値に変換することができる。調整係数は、理論値でも良く、或いは、過去の履歴に基づく設定値でも良く、或いは、材料毎にうまく分離できるように、インターフェイスから入力することができる値であっても良い。
【0048】
図5(b)の具体的な関数は、例えば、材料Bと材料Cとの調整をする際に、材料Bのピーク値pbから材料Cのピーク値pcに近づくほど傾きが大きくなる傾向を持ち、材料Bのピーク値pbから材料Cのピーク値pcと反対方向に向けて傾きが小さくなる関数となっている。この関数は、直線でなくても良く、2次関数の組み合わせ等でも良い。材料Bと材料Aとを調整するには、
図5(b)の横軸を逆にしてpaに近づくほど傾きが大きくなる傾向を持つのが好ましい。
【0049】
そして、
図5(c)に示すように、調整後の輝度ヒストグラムは、材料B、材料Cの調整を行った、すなわち、輝度軸方向により広がった、より精度の良いヒストグラムとなる。この処理は、
図2(b)に示すように、試料の2次元平面上に位置を変更する走査をしながら行うため、最終的には、調整後の出力輝度値の度数を得ることがきる。
【0050】
次に、上記
図4と
図5に示す原理に基づいた本実施の形態による画像処理について詳細に説明する。
【0051】
図6は、本実施の形態による画像処理であって中間輝度強調処理を含む全体の処理の流れの一例を示すフローチャート図である。適宜、その他の図面を参照する。
【0052】
図6に示すように、まず、走査型電子顕微鏡(SEM)装置1内に試料9を搬入し(ステップS01)、グローバルアライメントを実施する(ステップS02)。
【0053】
図2(b)に示す画像取得点毎の処理では、まず画像を取得する点(位置(x,y))にステージ17を移動させ(ステップS03)、厳密に画像取得位置を特定するため基準パターンを検出した後に、画像を取得する(ステップS04)。取得した画像に対して、本実施の形態による中間輝度強調処理(ステップS05)を実施する。
【0054】
図7は、中間輝度強調の処理の概要を示すフローチャート図である。
図7に示すように、まず、入力画像として反射電子の信号を取得する(ステップS10)。次に、輝度情報抽出部34が、画像の輝度情報(Bottom、Peak)を抽出する(ステップS11)。輝度情報(Bottom、Peak)は、
図4(a)に示すような輝度ヒストグラムの元データである。さらに、
図2のようにして材料ピーク算出部33は、各材料のピーク値(pb、pc)を算出する(ステップS12)。抽出した輝度情報と算出したピーク値を入力として、コントラスト・ブライトネス調整部35が、
図5で示すような中間輝度強調処理を行い、画像のコントラスト・ブライトネスを調整する(ステップS13)。
図5(b)は、pbとpc間を強調処理した例であるが、同様にBottomとpaとの間、paとpbとの間、pcとPeakとの間を強調することが可能である。
【0055】
図6に戻って、
図7に示す処理によってコントラスト・ブライトネスを調整したうえで、画像処理後の取得画像を保存(ステップS06)する。全ての画像取得点での処理が終了すれば、試料を装置から搬出し(ステップS07)、処理を終了する。
【0056】
本実施の形態では、光源(ビーム)の条件に依るデコンボリューションと本実施の形態による材料に依存したデコンボリューションとの組み合わせて行うことを前提として説明したが、本実施の形態によるデコンボリューションのみを単独で実行するようにしてもよい。
【0057】
図8は、材料ピーク抽出部33の処理の流れを示すフローチャート図である。
図8に示すように、まず、ステップS21において、入力画像31と変換関数(生成効率情報)を、デコンボリューションして、
図4(b)に示すような変換後の輝度ヒストグラムを生成する。次いで、ステップS22において、変換後の輝度ヒストグラム(
図4(b))から、各材料のピーク値であるPeakA(pa)、PeakB(pb)、PeakC(pc)を算出する。そして、ステップS23において、ステップS22で算出したピーク値pa、pb、pcを、コントラスト・ブライトネス調整部35に出力し、処理を終了する(ステップS24)。
【0058】
輝度情報抽出部34では、
図4(a)に示すような、入力画像の輝度情報(PeakとBottom)を検出することで、入力画像の輝度の最大値Peakと最小値Bottomとを取得し、コントラスト・ブライトネス調整部35に出力する。
【0059】
図9は、コントラスト・ブライトネス調整部35における処理の流れを示すフローチャート図である。
図9に示すように、コントラスト・ブライトネス調整部35では、材料ピーク抽出部33からの材料ピーク情報と輝度情報抽出部34からの輝度情報入力画像の輝度の最大値Peakと最小値Bottomとを受け取り(ステップS31)、材料ピーク検出部33にて算出した各材料のピーク値(pa,pb、pc)と、輝度情報抽出部34において抽出した輝度情報(Peak、Bottom)とを入力として、ステップS32において、
図5(b)に示すような変換式(関数)を、ユーザ設定などにより決定し、ステップS33において、入力画像31の輝度情報を、変換式で変換する。ステップS34において、ステップS33で変化した輝度情報(
図5(c))を持つ画像を出力し、処理を終了する(ステップS35)。すなわち、最適なコントラスト・ブライトネスに調整した画像を出力する。
【0060】
上記の調整処理は、各材料のピーク値(境界)に対してコントラスト差をつける1手法として、部分的にコントラストを拡張することができる中間輝度強調を適用した処理を例にして説明した。
以降、本明細書では、コントラスト・ブライトネス調整部35での処理として、中間輝度強調を例に挙げて説明するが、特に中間輝度強調に限定されるものではない。
【0061】
以上に説明したように、本実施の形態による画像処理技術を用いると、材料に依存するデコンボリューションによる変換を行うことで、材料による依存を強調することで、輝度分布を強調処理して生成し、画像を材料に依存する領域毎に区別しやすいようにすることができる。
【0062】
尚、中間輝度強調処理は常に実施してもよいし、実施するか否かをユーザが設定可能としても良い。また、パターンを検出して、画像を取得する(ステップS04)際に、パターン検出に失敗したときにのみ、中間輝度強調処理を実行するようにしてもよい。
【0063】
(第2の実施の形態)
次に、本発明に第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、中間輝度強調処理をマニュアルで設定するインターフェイスを有する装置に関するものである。
図10に、本実施の形態によるインターフェ−ス画面の例を示す。
【0064】
図10(a)に示す画面は、マニュアルで取得した画像に対して、コントラスト・ブライトネスに関する画像処理を実行するか否かを、符号201で示すインターフェイスを選択する(ここでは黒塗りの四角により選択されていることが示される)ことで設定する。次いで、コントラスト・ブライトネスに関する画像処理を実行する場合に、中間輝度調整処理を実行するか否かを選択するインターフェイスを有する203も備える。中間輝度強調を実行する場合は(黒塗り四角により実施することが例示される)、条件205を選択することができる。条件205とは、例えば、どの材料同士のコントラストを強調するのかを設定することができる(条件AからCまでなど)。条件の一例として、”材料Aと材料Bのコントラストを強調する”や”材料Bと材料Cのコントラストを強調する”等が挙げられる。強調すべき材料が入力されると、
図5(b)に示すような関数も選択され、強調処理が実行される。関数などを選択し直すなどにより、実行した結果を比較しながら、適切な処理を行わせることもできる。OKボタン211を押すことで処理が実行される。
【0065】
このように、予め登録していた条件を自由に選択するだけで、その材料間の輝度が強調された所望の反射電子像を得ることができる。
図2(b)の(x、y)を選択することなどにより、強調処理を局所的に行うことも可能である。
【0066】
図10(b)に示す画面は、オートの場合のインターフェイスの例を示すものである。
図10(b)に示すように、自動画像取得条件221に、座標223・倍率225・フレーム数227などの基本の情報を入力した後、マニュアルで取得した画像の場合と同様に、コントラスト・ブライトネス調整201を実行するか否か、実行する場合に、中間輝度調整処理を実行するか否かを選択する。同様に、中間輝度強調処理203を実行する場合は、条件205を選択する。そして、画像のコントラスト調整を実施するタイミング231を、
図10(b)に示す選択肢233、235、237、241、243等の中から選択して、自動画像取得条件を保存し、レシピとして実行する(OKボタン211を押す)。
【0067】
これにより、本実施の形態による画像処理について、所望の処理を簡単な走査により行うことができる。
【0068】
尚、第1の実施の形態において、材料に合わせたデコンボリューションを実施する場合に、予め、材料毎にデコンボリューションを求めておくようにしても良い。同様に、複数の材料に対してピーク値を取得し、デコンボリューションを取得するようにしても良い。複数の材料のデコンボリューションと、複数の材料の原子番号を用いてデコンボリューションとの間の近似式・係数を算出することができる。例えば、未知の材料に対して前述の近似式に対して、未知の材料の原子番号をあてはめることでデコンボリューションを求めるようにしても良い。
【0069】
以上に説明したように、本実施の形態によれば、原子番号が近い材料で構成されたコントラスト差がない画像に対しても、適切なコントラストが設定でき、反射電子像の高分解能化が可能となる。
【0070】
上記の実施の形態において、添付図面に図示されている構成等については、これらに限定されるものではなく、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0071】
また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれるものである。