特許第5965906号(P5965906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの特許一覧

特許5965906水性研磨組成物、及び酸化ケイ素誘電体膜とポリシリコン膜を含む基板の化学機械的な研磨方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965906
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】水性研磨組成物、及び酸化ケイ素誘電体膜とポリシリコン膜を含む基板の化学機械的な研磨方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/14 20060101AFI20160728BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20160728BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20160728BHJP
【FI】
   C09K3/14 550D
   C09K3/14 550Z
   H01L21/304 622D
   H01L21/304 622X
   B24B37/00 H
【請求項の数】12
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-527714(P2013-527714)
(86)(22)【出願日】2011年9月5日
(65)【公表番号】特表2013-540849(P2013-540849A)
(43)【公表日】2013年11月7日
(86)【国際出願番号】IB2011053867
(87)【国際公開番号】WO2012032451
(87)【国際公開日】20120315
【審査請求日】2014年9月3日
(31)【優先権主張番号】61/380,719
(32)【優先日】2010年9月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】リー,ユツホウ
(72)【発明者】
【氏名】チュー,チョア‐チュイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカタラマン,シアム スンダール
(72)【発明者】
【氏名】チュー,ウェイ ラン ウイリアム
(72)【発明者】
【氏名】ピンダー,ハーヴェイ ウエイン
【審査官】 小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−186898(JP,A)
【文献】 特開2004−331686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分(C)を含まないpHが3〜9の範囲にある水性媒体中に分散した時、電気泳動移動度から証明される正に荷電したセリアを含むか又はセリアからなる少なくとも一種の研磨剤粒子、
(B)線状および分岐状のアルキレンオキサイドホモポリマーとコポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一種の水溶性または水分散性のポリマー、及び
(C)少なくとも一種のアニオン性リン酸塩(anionic phosphate)分散剤、
を含む水性研磨組成物であって、当該組成物が前記水溶性ポリマー(B)を0.001質量%〜5質量%の量で含み、
当該研磨組成物総質量に対して0.01〜6質量%の上記研磨剤粒子(A)を含み、
アニオン性リン酸塩分散剤(C)が、セリア/アニオン性リン酸塩分散剤(C)の質量比が20〜1000となる量で用いられる組成物。
【請求項2】
上記研磨剤粒子(A)がセリアからなる請求項1に記載の水性研磨組成物。
【請求項3】
上記線状および分岐状のアルキレンオキサイドホモポリマーとコポリマー(B)が、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのホモポリマーとコポリマーからなる群から選ばれる請求項1又は2に記載の水性研磨組成物。
【請求項4】
上記エチレンオキサイドホモポリマー(B)としてポリエチレングリコールPEGを含む請求項3に記載の水性研磨組成物。
【請求項5】
上記アニオン性リン酸塩分散剤(C)が水溶性縮合リン酸誘導体の群から選ばれる請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性研磨組成物。
【請求項6】
上記水溶性縮合リン酸誘導体(C)が、一般式I:
[M(PO] (I);
のメタリン酸塩並びに、一般式II及びIII:
3n+1 (II);
3n+1 (III);
のポリリン酸塩
(式中、Mはアンモニウム、ナトリウム、又はカリウムであり、指数nは2〜10,000である)
からなる群から選ばれる請求項5に記載の水性研磨組成物。
【請求項7】
成分(A)、(B)及び(C)とは異なる少なくとも一種のpH調整剤または緩衝剤(E)を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の水性研磨組成物。
【請求項8】
前記組成物のpH値が3〜10である請求項1〜7のいずれか一項に記載の水性研磨組成物。
【請求項9】
基板を少なくとも一度水性研磨組成物に接触させ、且つ当該基板材料を所望の平面性が得られるまで研磨する電気装置、機械装置及び光学装置用の基板の研磨方法であって、前記水溶性研磨組成物として、請求項1〜8のいずれか一項に記載の水性研磨組成物が用いられることを特徴とする方法。
【請求項10】
上記基板が、少なくとも一種の酸化ケイ素誘電体材料を含むか、又は酸化ケイ素誘電体材料からなる少なくとも一層、及びポリシリコンを含むか、又はポリシリコンからなる少なくとも一層を含み、且つ酸化物/ポリシリコン選択性が50より大きい請求項9に記載の方法。
【請求項11】
上記基板材料がさらに窒化ケイ素を含むか、又は窒化ケイ素からなる少なくとも一層を含み、且つ酸化物/窒化物選択性が3〜6の範囲にある請求項10に記載の方法。
【請求項12】
上記電気装置が、集積回路装置である請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体酸化ケイ素誘電体膜とポリシリコン膜、また任意に窒化ケイ素膜を含む基板を研磨するのに特に適切な新規の水性研磨組成物に関する。
【0002】
本発明はまた、電気装置や機械装置・光学装置製造のための基板あって、該基板材料が酸化ケイ素膜とポリシリコン膜、また任意に窒化ケイ素膜を含むものの研磨方法に関する。
【0003】
引用文書
本明細書中で引用される文書の全体を参照文献として採用する。
【背景技術】
【0004】
化学機械的な平坦化または研磨(CMP)は、集積回路(IC)装置の局所的また全面的な平面性を確保するために最も重要な方法である。この方法では通常、荷重がかかった状態で回転している基板表面と研磨パッド間に、活性化学物質としての研磨剤と他の添加物とを含むCMP組成物あるいはスラリーが供給される。したがって、CMPプロセスでは、研磨などの物理プロセスと酸化またはキレート化などの化学プロセスが並存している。基板の除去または研磨が純粋な物理作用や純粋な化学作用で起こることは望ましくなく、速やかに均一な除去のためには両作用の相乗的な組合せが望ましい。
【0005】
このように、所望の平面性が得られるか、下バリア層またはストップ層が露出されるまで基板材料を研磨する。最後に、無欠陥の平面的な表面が得られ、続くフォトリソグラフィーやパターニング・エッチング・薄膜加工による適当な多層IC装置の組み立てが可能となる。
【0006】
シャロートレンチアイソレーション(shallow trench isolation)(STI)はある特定のCMPの用途であり、この場合には、一般的には、回路パターンが形成されたウエハー基板上で、窒化ケイ素まで二酸化ケイ素を選択的に除去することが必要となる。この場合、エッチングで設けられたトレンチが誘電体材料、例えば二酸化ケイ素で過充填され、これが窒化ケイ素バリアフィルムをストップ層として研磨される。このCMPプロセスは、露出された窒化ケイ素とトレンチの酸化ケイ素の除去を最低に抑えながらバリアフィルムから二酸化ケイを除いて終了する。
【0007】
このためには、二酸化ケイ素材料除去率(MRR)と窒化ケイ素材料除去率(MRR)の相対比(従来技術では酸化物/窒化物選択性を呼ばれている)を高くすることができるCMPスラリーが必要である。
【0008】
最近、ポリシリコンフィルムもまたバリアフィルムまたは電極材料として使用されている(米国特許US6,626,968B2参照)。したがって、酸化ケイ素誘電体膜とポリシリコン膜を含む基板の全面的な平坦化を可能とするCMPスラリーや方法が存在することが極めて望ましくなってきた。このためには、高い酸化物/ポリシリコン選択性を示すCMPスラリーが必要である。
【0009】
さらにシリコン窒化膜を含む基板の全面的な平坦化が可能なCMPスラリーや方法があることがより望ましい。
【0010】
この場合、ケイ素と窒化ケイ素、ポリシリコン領域を含む全面的に平坦化させ、不均一で回路パターンが形成された表面中でのディッシング等の破損や欠陥を防止するためには、酸化物/窒化物選択性が高過ぎてはならない。しかし、窒化ケイ素/ポリシリコン選択性も高い必要がある。
【0011】
セリア系のCMPスラリーは、セリアの二酸化ケイ素に対する高い化学的親和性のため比較的高い酸化物/窒化物選択性を持つことができ(当分野ではセリアの「ケミカルトゥース作用(chemical tooth action)」とよばれている)、STI用途でかなり大きな注目を集めている。
【0012】
しかし、セリア系CMPスラリーの酸化物/ポリシリコン選択性は、この選択性を「望むように変更(tailor)」できる添加物を用いて改善する必要がある。
【0013】
セリア系CMPスラリーの選択性を望むように変更するためにいろいろな検討がなされた。
【0014】
Jae−Don Leeらは、Journal of the Electrochemical Society, 149 (8), G477−G481,2002に、異なる親水性/親油性バランス(HLB)値をもつノニオン性界面活性剤、例えばポリエチレンオキサイドやエチレンオキサイドプロピレンオキサイドコポリマー、エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド・エチレンオキシトリブロックコポリマーの、CMPの間の酸化物/ポリシリコン選択性に及ぼす効果を開示している。しかしながら、研磨剤としてヒュームドシリカが用いられている。
【0015】
P. W. Carterらは、Electrochemical and Solid−State Letters, 8 (8) G218−G221 (2005)「セリア表面と二酸化ケイ素表面と窒化ケイ素表面間の界面反応性、有機添加物の効果」に、グルタミン酸やピコリン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、イミダゾール、酢酸、ギ酸、3−ヒドロキシピコリン酸、アントラニル酸、ピロールカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、ピペラジン、ピリジン、2−フェニル酢酸、安息香酸、3−アミノフェノール、コハク酸、ベタイン、グリシン、プロリン、ベンゼンスルホン酸、モルホリン、サリチル酸、テレフタル酸、リンゴ酸、イソプロパノール、クエン酸、シュウ酸の酸化物/窒化物選択性に与える影響を開示している。
【0016】
Y. N. Prasadらは、Electrochemical and Solid−State Letters, 9 (12) G337−G339 (2006)「STI−CMP中のシリカ表面と窒化ケイ素表面でのアミノ酸吸着の役割」に、プロリンとアルギニンの影響を開示している。
【0017】
Hyun−Goo Kangらは、Journal of Material Research, volume 22, No. 3,2007, pages 777 to 787に、シャロートレンチアイソレーション法による化学機械平坦化におけるSiO /Siフィルムの除去選択性に及ぼすセリアスラリー中の研磨剤粒子のサイズとポリ(アクリル酸)の分子量の効果を開示している。
【0018】
S. Kimらは、Journal of Colloid and Interface Science, 319 (2008), pages 48 to 52に、化学機械的研磨(CMP)用のアニオン性高分子電解質の吸着挙動を開示している。
【0019】
S.V. Babuらは、Electrochemical and Solid−State Letters, 7 (12) G327−G330 (2004)「CMP中の窒化ケイ素除去抑制へのスラリー添加物の効果」で、アルギニンとリシン、プロリン、N−メチルグリシン、アラニン、グリシン、ピコリン酸、N,N−ジメチルグリシン、3−アミノ酪酸、イソニコチン酸の影響を検討している。
【0020】
Jae−Dong Leeらは、Journal of the Electrochemical Society, 149 (8) G477−G481, 2002に、化学機械的研磨の際の酸化物/ポリシリコン選択性に与えるノニオン性界面活性剤の効果や、ポリエチレンオキサイド(PEO)やエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド・エチレンオキサイドトリブロックコポリマーなどの界面活性剤の同選択性に与える影響を開示している。しかし酸化物/窒化物選択性は報告されていない。
【0021】
米国特許US5,738,800とUS6,042,741、US6,132,637、US6,218,305Bは、リンゴ酸や酒石酸、グルコン酸、クエン酸、オルトジ−およびポリヒドロキシ安息香酸、フタル酸、ピロカテコール、ピロガロール、没食子酸、タンニン酸、これらの塩類などの錯化剤を含むセリア系CMPスラリーを開示している。
【0022】
また、このセリア系CMPスラリーは、アニオン性、カチオン性、両性またはノニオンの性界面活性剤を含む。このセリア系CMPスラリーは、高い酸化物/窒化物選択性を持つとされている。
【0023】
米国特許US5,759,917とUS6,689,692B1、US6,984,588B2には、酢酸やアジピン酸、酪酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、クエン酸、グルタル酸、グリコール酸、ギ酸、フマル酸、乳酸、ラウリン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、ミリスチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、フタル酸、プロピオン酸、ピルビン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、吉草酸、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸、ポリ(エチレングリコール)ビス(カルボキシメチル)エーテル、これらの誘導体や塩類などのカルボン酸を含むセリア系CMPスラリーが開示されている。またこのセリア系CMPスラリーは、水溶性の有機塩や硝酸塩・リン酸塩・硫酸塩などの無機塩を含んでいる。このセリア系CMPスラリーは、窒化ケイ素層よりも酸化ケイ素過充填物をよく研磨するとされている。
【0024】
米国特許US6,299,659B1には、酸化物/窒化物選択性を向上させるための、シランやチタン酸塩、ジルコン酸塩、アルミニウム、リン酸塩カップリング剤で処理された研磨剤粒子を含むセリア系CMPスラリーが開示されている。
【0025】
米国特許出願US2002/0034875A1と米国特許US6,626,968B2には、界面活性剤と、水酸化カリウム・硫酸・硝酸・塩酸またはリン酸などのpH調整剤と、ポリビニルメチルエーテル(PVME)やポリエチレングリコール(PEG)・ポリオキシエチレン23ラウリルエーテル(POLE)・ポリプロパン酸(PPA)・ポリアクリル酸(PM)・ポリエーテルグリコールビスエーテル(PEGBE)などの親水性官能基と疎水性官能基をもつポリマーを含むセリア系CMPスラリーが開示されている。このセリア系CMPスラリーは酸化物/ポリシリコン選択性を上昇させる。
【0026】
米国特許US6,436,835B1には、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸・ナフタレンスルホン酸−ホルマリン縮合物・リンゴ酸・乳酸・酒石酸・グルコン酸・クエン酸・コハク酸・アジピン酸・フマル酸・アスパラギン酸・グルタミン酸・グリシン4−アミノ酪酸・6−アミノヘキサン酸・12−アミノラウリン酸・アルギニン・グリシルグリシン・ラウリルベンゼンスルホン酸・これらのアンモニウム塩などのカルボン酸またはカルボキシレートまたはスルホン酸またはスルファミン酸基を持つ水溶性の有機化合物を含むシャロートレンチアイソレーションプロセス用のセリア系CMPスラリーが開示されている。このセリア系CMPスラリーは、高い酸化物/窒化物選択性を持つといわれている。
【0027】
米国特許US6,491,843B1とUS6,544,892B2、US6,627,107B2には、酸化物/窒化物選択性の改善のための、リシンやアラニン・プロリンなどのα−アミノ酸を含むセリア系CMPスラリーが開示されている。
【0028】
米国特許US6,616,514B1には、酸化物/窒化物選択性の改善のために、少なくとも3個の水性媒体で解離不能なヒドロキシル基をもつ有機ポリオール;または3個の水性媒体で解離不能なヒドロキシル基を持つ少なくとも一種のモノマーからのポリマー、例えばマンニトールやソルビトール・マンノース・キシリトール・ソルボース・スクロース・デキストリンからのポリマーを含むセリア系CMPスラリーが開示されている。
【0029】
米国特許US7,071,105B2と米国特許出願US2006/0144824A1には、pKaが4〜9の官能基をもつ研磨添加物を含むセリア系CMPスラリーが開示されている。この研磨添加物は、アリールアミンやアミノアルコール、脂肪族アミン、複素環式アミン、ヒドロキサム酸、アミノカルボン酸、環状モノカルボン酸、不飽和モノカルボン酸、置換フェノール、スルホンアミド、チオールと、これらの塩(特に、塩化物、臭化物、硫酸塩、リン酸塩、トリフルオロメチルスルホン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ピクリン酸塩、ペルフルオロ酪酸塩、またナトリウムやカリウム・アンモニウム塩)からなる群から選ばれる。
【0030】
上記のアリールアミンは、アニリン、4−クロロアニリン、3−メトキシアニリン、N−メチルアニリン、4−メトキシアニリン、p−トルイジン、アントラニル酸、3−アミノ−4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、アミノベンジルアルコール、アミノベンジルアミン、1−(−アミノフェニル)ピロール、1−(3−アミノフェニル)エタノール、2−アミノフェニルエーテル、2,5−ビス−(4−アミノフェニル)−1,3,4−オキシジアゾール、2−(2−アミノフェニル)−1H−1,3,4−トリアゾール、2−アミノフェニル、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、ジメチルアミノフェノール、2−アミノチオールフェノール、3−アミノチオールフェノール、4−アミノフェニルメチルスルフイド、2−アミノベンゼンスルホンアミド、オルタニル酸、3−アミノベンゼンボロン酸、5−アミノイソフタル酸、スルファセタミド、スルファニル酸、o−またはp−アルサニル酸、(3R)−3−(4−トリフルオロメチルフェニルアミノ)ペンタン酸である。
【0031】
上記のアミノアルコールは、トリエタノールアミンやベンジルジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシルメチル)アミノメタン、ヒドロキシルアミン、、テトラサイクリンである。
【0032】
上記の脂肪族アミンは、メトキシアミンやヒドロキシルアミン、N−メチルヒドロキシルアミン、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン、β−ジフルオロエチルアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ジエチル((ブチルアミノ)(2−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート、イミノエタン、イミノブタン、トリアリルアミン、アミノアセトニトリルやジメチルアミノアセトニトリル・2−アミノ−2−シアノプロパン・イソプロピルアミノプロピオニトリル・ジエチルアミノプロピオニトリル・アミノプロピオニトリル・ジシアノジエチルアミンなどのシアノアミン、ヒドラジン、メチルヒドラジン、テトラメチルヒドラジン、N,N−ジメチルヒドラジン、フェニルヒドラジン、N,N−ジエチルヒドラジン、トリメチルヒドラジン、エチルヒドラジン、これらの塩である。
【0033】
上記の複素環式アミンは、イミダゾールや1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−ヒドロキシルメチルイミダゾール、1−メチル−2−ヒドロキシルメチルイミダゾール、ベンゾイミダゾール、キノリン、イソキノリン、ヒドロキシキノリン、メラミン、ピリジン、ビピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、5−ブチル−2−ピリジンカルボン酸,、2−ピリジンカルボン酸、3−ヒドロキシ−2−ピリジンカルボン酸、4−ヒドロキシ−2−ピリジンカルボン酸、3−ベンゾイル−2−ピリジンカルボン酸、6−メチル−2−ピリジンカルボン酸、3−メチル−2−ピリジンカルボン酸、6−ブロモ−2−ピリジンカルボン酸、6−クロロ−2−ピリジンカルボン酸、3,6−ジクロロ−2−ピリジンカルボン酸、4−ヒドラジノ−3,5,6−トリクロロ−2−ピリジンカルボン酸、2−キノリンカルボン酸、4−メトキシ−2−キノリンカルボン酸、8−ヒドロキシ−2−キノリンカルボン酸、4,8−ヒドロキシ−2−キノリンカルボン酸、7−クロロ−4−ヒドロキシ−2−キノリンカルボン酸、5,7−ジクロロ−4−ヒドロキシ−2−キノリンカルボン酸、5−ニトロ−2−キノリンカルボン酸、1−イソキノリンカルボン酸、3−イソキノリンカルボン酸、アクリジン、ベンゾキノリン、ベンズアクリジン、クロニジン、アナバシン、ノルニコチン、トリアゾロピリジン、ピリドキシン、セロトニン、ヒスタミン、ベンゾジアゼピン、アジリジン、モルホリン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DABCO)、ヘキサメチレンテトラミン、ピペラジン、N−ベンゾイルピペラジン、1−トシルピペラジン、N−カルボキシエチルピペラジン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、2−アミノチアゾール、ピロール、ピロール−2−カルボン酸、3−ピロリン−2−カルボン酸、エチルピロリン、シクロヘキシルピロリン、トリルピロリン、テトラゾール、5−シクロプロピルテトラゾール、5−ヒドロキシテトラゾール、5−フェノキシテトラゾール、5−フェニルテトラゾール、フルオロウラシル、メチルチオウラシル、5,5−ジフェニルヒダントイン、5,5−ジメチル−2,4−オキサゾリジンジオン、フタルイミド、スクシンイミド、3,3−メチルフェニルグルタルイミド、3,3−ジメチルスクシンイミド、イミダゾール[2,3−b]チオオキサゾール、ヒドロキシイミダゾール[2,3−a]イソインドール、5,5−メチルフェニルバルビツール酸、1,5,5−トリメチルバルビツール酸、ヘキソバルビタール、5,5−ジメチルバルビツール酸、1,5−ジメチル−5−フェニルバルビツール酸、これらの塩である。
【0034】
上記のヒドロキサム酸は、ホルモヒドロキサム酸やアセトヒドロキサム酸、ベンゾヒドロキサム酸、サリチルヒドロキサム酸、2−アミノベンゾヒドロキサム酸、2−クロロベンゾヒドロキサム酸、2−フルオロベンゾヒドロキサム酸、2−ニトロベンゾヒドロキサム酸、3−ニトロベンゾヒドロキサム酸、4−アミノベンゾヒドロキサム酸、4−クロロベンゾヒドロキサム酸、4−フルオロベンゾヒドロキサム酸、4−ニトロベンゾヒドロキサム酸、これらの塩である。
【0035】
上記のアミノカルボン酸は、グルタミン酸やβ−ヒドロキシグルタミン酸、アスパラギン酸、アスパラギン、アザセリン、システイン、ヒスチジン、3−メチルヒスチジン、シトシン、7−アミノセファロスポラニン酸、カモシンである。
【0036】
上記の環状モノカルボン酸は、ナフタレン−2−カルボン酸やシクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキシル酢酸、2−フェニル乳酸、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、2−ピリジンカルボン酸、シス−及びトランス−シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、これらの塩である。
【0037】
上記の不飽和モノカルボン酸は、桂皮酸やアクリル酸、3−クロロプロプ−2−エンカルボン酸、クロトン酸、4−ブツ−2−エンカルボン酸、シス−またはトランス2−ペンタン酸、2−メチル−2−ペンタン酸、2−ヘキセン酸、3−エチル−2−ヘキセン酸、これらの塩である。
【0038】
上記のフェノールは、ニトロフェノールや2,6−ジハロ−4−ニトロフェノール、2,6−ジ−C1−12−アルキル−4−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、3,4−ジニトロフェノール、2−C1−12−アルキル−4,6−ジニトロフェノール、2−ハロ−4,6−ジニトロフェノール、ジニトロ−オルトクレゾール、ピクリン酸、これらの塩である。
【0039】
上記のスルホンアミドは、N−クロロトリルスルホンアミドやジクロロフェナミド、マフェニド、ニメスリド、スルファメチゾール、スルファペリン、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファジメトキシン、スルファメタジン、スルファピリジン、スルファキノキサリン、これらの塩である。
【0040】
上記のチオールは、硫化水素やシステアミン、システイニルシステイン、メチルシステイン、チオフェノール、パラクロロチオフェノール、o−アミノチオールフェノール、o−メルカプトフェニル酢酸、p−ニトロベンゼンチオール、2−メルカプトエタンスルホネート、N−ジメチルシステアミン、ジプロピルシステアミン、ジエチルシステアミン、メルカプトエチルモルホリン、メチルチオグリコレート、メルカプトエチルアミン、N−トリメチルシステイン、グルタチオン、メルカプトエチルピペリジン、ジエチルアミノプロパンチオール、これらの塩である。
【0041】
この研磨添加物は、酸化物/窒化物選択性を上げると考えられている。
【0042】
米国特許出願US2006/0124594A1には、ポリエチレングリコール(PEG)などのノニオン性ポリマーを含む増粘剤を含む、粘度が少なくとも1.5cPであるセリア系CMPスラリーが開示されている。このセリア系CMPスラリーは、高い酸化物/窒化物選択性と低いウエハー内不均一性WIWNUを持つといわれる。
【0043】
米国特許出願US2006/0207188A1には、ポリアクリル酸またはポリ(メタクリル酸アルキル)などのポリマーとアクリルアミド・メタクリルアミド・エチルメタクリルアミド・ビニルピリジン・ビニルピロリドンなどのモノマーとの間の反応生成物を含むセリア系CMPスラリーが開示されている。これらの反応生成物も酸化物/窒化物選択性を上げると考えられている。
【0044】
米国特許出願US2006/0216935A1には、タンパク質とリシン及び/又はアルギニンに加えて、ポリビニルピロリドン(PVP)やN−オクチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、n−ブチル−2−ピロリドン、N−ヘキシル−2−ピロリドン、N−デシル−2−ピロリドン、N−オクタデシル−2−ピロリドン、N−ヘキサデシル−2−ピロリドンなどのピロリドン化合物を含むセリア系CMPスラリーが開示されている。このセリア系CMPスラリーは、さらにポリアクリル酸やグリコール、ポリグリコールなどの分散剤を含むことができる。具体的な例では、プロリンやポリビニルピロリドンまたはN−オクチル−2−ピロリドン、PPO/PEOブロックコポリマー、グルタルアルデヒドが用いられている。このセリア系CMPスラリーは、トレンチの二酸化ケイ素を激しく除かず、最小ステップ高さを大きく増加させることなく終点を越えてさらに研磨を可能とすると考えられている。
【0045】
米国特許出願US2007/0077865A1には、ポリエチレンオキサイド/ポリプロピレンオキサイドコポリマーを、好ましくはBASF社から販売されているプルオニック・シリーズのコポリマーを含むセリア系CMPスラリーが開示されている。このセリア系CMPスラリーは、さらにアミノアルコールを、例えば2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール(DMAMP)や、2−アミノ−2−エチル−1−プロパノール(AMP)、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−(イソプロピルアミノ)エタノール、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(ジエチルアミノ)エタノール、2−(2−ジメチルアミノ)エトキシ)エタノール、1,1’−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル]イミノ]−ビス−2−プロパノール、2−(2−ブチルアミノ)エタノール、2−(tert−ブチルアミノ)エタノール、2−(ジイソプロピルアミノ)エタノール、N−(3−アミノプロピル)モルホリンを含んでいてもよい。このセリア系CMPスラリーはさらに、テトラメテルアンモニウムヒドロキシドなどの四級アンモニウム化合物や、このセリア系CMPスラリーはさらに、水酸化テトラメテルアンモニウムなどの四級アンモニウム化合物や、アルキルアミンやアルカノールアミン、ヒドロキシルアミン、リン酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルホスホネート、ポリマレート、ポリスチレンスルホネート、ポリビニルスルフェート、ベンゾトリアゾール、トリアゾール、ベンゾイミダゾールなどのフィルム成形剤、さらにはアセチルアセトンや酢酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩、没食子酸、シュウ酸塩、フタール酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、エチレンジアミン四酢酸、エチレングリコール、ピロカテコール、ピロガロール、タンニン酸、ホスホニウム塩、ホスホン酸などの錯化剤を含んでいてもよい。このセリア系CMPスラリーは、ポリシリコンに対するより酸化ケイ素及び/又は窒化ケイ素に対して良い選択性を与えると考えられている。
【0046】
米国特許出願US2007/0175104A1には、アクリルアミドとメタクリルアミド、これらのα−置換誘導体;ポリエチレングリコール;ポリビニルピロリドン;およびアルキルオキシ化線状脂肪族アルコールとアセチレン系ジオールのエチレンオキサイド付加物とから選ばれるいずれかの基で置換されたN−一置換またはN,N−二置換の骨格をもつ水溶性ポリマーからなる群から選ばれるポリシリコン研磨阻害剤を含むセリア系CMPスラリーが開示されている。このセリア系CMPスラリーは、さらに水溶性ポリマーを含むことができ、例えばアルギン酸やペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、寒天、カードラン、プルランなどの多糖類;ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリジン、ポリリンゴ酸、ポリメタクリル酸、ポリイミド酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリフマール酸、ポリ(p−スチレンカルボン酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アミノポリアクリルアミド、ポリグリオキサル酸などのポリカルボン酸とその塩類;またポリビニルアルコールやポリアクロレインなどのビニルポリマーを含むことができる。このセリア系CMPスラリーは、高い酸化ケイ素/ポリシリコン選択性を持つといわれている。
【0047】
米国特許出願US2007/0191244A1には、重量平均分子量が30〜500で、ヒドロキシル基、カルボキシル基または両方を持つ化合物を含むセリア系CMPスラリーが、例えばクエン酸塩やリンゴ酸塩、グルコン酸塩、酒石酸塩、2−ヒドロキシイソ酪酸塩、アジピン酸塩、オクタン酸塩、コハク酸塩、EDTA含有化合物、グルタレート、メチレンスクシナート、マンノース、グリセロ−ガラクト−ヘプトース、エリトロ−マンノ−オクトース、アラビノ−ガラクト−ノノース、グルタミンを含むセリア系CMPスラリーが開示されている。このセリア系CMPスラリーはさらに、アルコキシポリアルキレングリコール側鎖をもつ線状高分子酸またはグラフト型高分子酸を含んでいてもよい。
【0048】
このセリア系CMPスラリーは、全面平面性が改善された研磨ウエハーを与えるといわれている。
【0049】
米国特許出願US2007/0218811A1には、pHが4〜7.5であり、分散剤とポリカルボン酸と、第1解離酸性基のpKaが3.2以下である強酸を100〜1000ppmの量で含むセリア系CMPスラリーが開示されている。例えば、アクリル酸とメタクリル酸のポリマーがアニオン性分散剤として記述され、ポリオキシエチレン誘導体がノニオン性の分散剤として、ポリビニルピロリドンがカチオン性の分散剤として記述されている。具体的に記述されている強酸は、硫酸とHCl、硝酸、リン酸、シュウ酸、マレイン酸、ピクリン酸、亜硫酸、チオ亜硫酸、アミド硫酸、塩素酸、過塩素酸、亜塩素酸、ヨウ化水素酸、過ヨウ素酸、ヨウ素酸、臭酸、過臭素酸、クロム酸、亜硝酸、ジホスホン酸、トリポリリン酸、ホスフィン酸、ピコリン酸、ホスホン酸、イソニコチン酸、ニコチン酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、クロロ酢酸、シアノ酢酸、オキサロ酢酸、ニトロ酢酸、ブロモ酢酸、フルオロ酢酸、フェノキシ酢酸、o−ブロモ安息香酸、o−ニトロ安息香酸、o−クロロ安息香酸、p−アミノ安息香酸、アントラニル酸、フタル酸、フマル酸、マロン酸、酒石酸、クエン酸、o−クロロアニリン、2,2’−ビピリジン、4,4’−ビピリジン、2,6−ピリジンジカルボン酸、ピルビン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリスルホン酸、グルタミン酸、サリチル酸、アスパラギン酸、2−アミノエチルホスホン酸、リシン、アルギニン、イソロイシン、サルコシン、オルニチン、グアノシン、シトルリン、チロシン、バリン、ヒポキサンチン、メチオニン、リシン、ロイシンである。このセリア系CMPスラリーは、効率的な高速運転を可能とし、工程管理を容易にし、パターン密度の差による膜厚の変動を小さくさせるといわれる。
【0050】
米国特許出願US2008/0085602A1とUS2008/0124913A1には、エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド・エチレンオキサイドトリブロックコポリマーとポリアクリル酸から選ばれるノニオン性界面活性剤を分散剤として0.001〜0.1質量%の量で含むセリア系CMPスラリーが開示されている。このセリア系スラリーは、ポリシリコンと較べて酸化ケイ素と窒化ケイ素に高い選択性を持つといわれる。
【0051】
電気装置、特に半導体集積回路(IC)の組立には、特に高選択性のCMPなどの高精度の方法が必要である。
【0052】
先行技術のセリア系CMPスラリーは、満足できる酸化物/窒化物選択性を示し、全面的にも局所的にも好ましい(具体的には、ウエハー内不均一性(WIWNU)やウエハー間不均一性(WTWNU)において好ましい)平面性を持つ研磨ウエハーを与えるが、IC構造物、特にLSI(大規模集積回路)またはVLSI(超大規模集積回路)をもつIC構造物の大きさは減少を続けており、これに対応するために増大する集積回路装置製造業者の技術的・経済的ニーズを満たすためには、セリア系CMPスラリーの継続的な改良が必要となる。
【0053】
しかしながら、先行技術のセリア系CMPスラリーを常に向上を求めるこの強いニーズは、集積回路装置の分野にのみに存在するのではない。液晶パネルや有機電界発光パネル、プリント基板、マイクロマシン、DNAチップ、マイクロプラント、太陽電池セル、磁気ヘッドなどの他の電気装置や、高精度の機械装置や光学装置の分野、特にフォトマスクやレンズ、プリズムなどの光学ガラス、酸化インジウムスズ(ITO)などの無機導電膜、光学集積回路、光学開閉素子、光導波路、光ファイバー端面やシンチレータなどの光学的単結晶、固体レーザー単結晶、青色レーザーLED用サファイア基板、半導体単結晶、磁気ディスク用ガラス基板などの製造の分野でも、研磨効率と平坦化効率を改善する必要がある。これらの電気装置や光学装置の製造にも高精度のCMP加工工程が必要である。
【0054】
欧州特許出願EP1338636A1には、セルロースと結晶セルロース、セルロース誘導体、シリカ、アルギン酸塩、β−ナフタレンスルホネートホルマリン縮合物、第二リン酸カルシウム、タンパク質、ポリペプチドと有機高分子フロック形成剤からなる群から選ばれる抗凝固剤、さらにはピロリン酸やピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウムまたはヘキサメタリン酸ナトリウムなどの縮合リン酸誘導体などの分散剤または界面活性剤を含むセリア系CMPスラリーが開示されている。しかしながら、ガラスの研磨が開示されているのみである。
【0055】
日本特許出願JP2005−336400Aには、ピロリン酸塩とトリポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩などの水溶性縮合リン酸誘導体と水溶性の炭酸塩または炭酸水素塩を含むセリア系CMPスラリーが開示されている。このセリア系CMPスラリーはさらに、メタノールやエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール1,2,3−プロパントリオール、さらにはアセトンやメチルエチルケトンなどのケトン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,4−ジオキサンなどの水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。このセリア系CMPスラリーは、研磨精度や洗浄・初期研磨速度・研磨速度の面で改善された研磨を行うといわれる。しかしながら、ガラスの研磨が開示されているのみである。
【0056】
日本特許出願JP2001−240850Aには、研磨剤としてアルミナ、ジルコニアまたは炭化ケイ素を含み、分散剤としてアルキレンオキサイドエチレンオキサイドブロックまたはランダムコポリマーを含み、「防錆剤」としてリン酸ナトリウムまたはポリリン酸ナトリウムを含むCMPスラリーが開示されている。このCMPスラリーは、シリコンウエハーやガラス・アルミニウム・セラミック・合成シリカ・石英・サファイアの研磨に使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】
【特許文献1】US6,626,968B2
【特許文献2】US5,738,800
【特許文献3】US6,042,741
【特許文献4】US6,132,637
【特許文献5】US6,218,305B
【特許文献6】US5,759,917
【特許文献7】US6,689,692B1
【特許文献8】US6,984,588B2
【特許文献9】US6,299,659B1
【特許文献10】US2002/0034875A1
【特許文献11】US6,626,968B2
【特許文献12】US6,436,835B1
【特許文献13】US6,491,843B1
【特許文献14】US6,544,892B2
【特許文献15】US6,627,107B2
【特許文献16】US6,616,514B1
【特許文献17】US7,071,105B2
【特許文献18】US2006/0144824A1
【特許文献19】US2006/0124594A1
【特許文献20】US2006/0207188A1
【特許文献21】US2006/0216935A1
【特許文献22】US2007/0077865A1
【特許文献23】US2007/0175104A1
【特許文献24】US2007/0191244A1
【特許文献25】US2007/0218811A1
【特許文献26】US2008/0085602A1
【特許文献27】US2008/0124913A1
【特許文献28】EP1338636A1
【特許文献29】JP2005−336400A
【特許文献30】JP2001−240850A
【非特許文献】
【0058】
【非特許文献1】Journal of the Electrochemical Society, 149 (8), G477−G481,2002。
【非特許文献2】Electrochemical and Solid−State Letters, 8 (8) G218−G221 (2005)。
【非特許文献3】Electrochemical and Solid−State Letters, 9 (12) G337−G339 (2006)。
【非特許文献4】Journal of Material Research, volume 22, No. 3,2007, pages 777 to 787。
【非特許文献5】Journal of Colloid and Interface Science, 319 (2008), pages 48 to 52。
【非特許文献6】Electrochemical and Solid−State Letters, 7 (12) G327−G330 (2004)。
【非特許文献7】Journal of the Electrochemical Society, 149 (8) G477−G481, 2002。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0059】
したがって本発明の目的は、先行技術の研磨組成物の欠点や問題点を示さない新規の水性研磨組成物、特に新規の化学機械的研磨(CMP)組成物、特に新規のセリア系CMPスラリーを提供することである。
【0060】
特にこの新規の水性研磨組成物、特に新規の化学機械的研磨(CMP)組成物、特に新規のセリア系CMPスラリーは、かなり改善された酸化物/窒化物選択性とを示すとともに、ウエハー内不均一性(WIWNU)とウエハー間不均一性(WTWNU)などで示されるように、優れた全面的及び局所的な平面性を持つ研磨ウエハーを与える必要がある。
【0061】
したがって、IC構造物、特に大きさが50nm未満の構造を持つ、LSI(大規模集積回路)またはVLSI(超大規模集積回路)をもつIC製造物に、極めて適している必要がある。
【0062】
また、この新規の水性研磨組成物、特に新規の化学機械的研磨(CMP)組成物、特に新規のセリア系CMPスラリーは、集積回路装置の分野で極めて有用であるばかりか、液晶パネルや有機電界発光パネル、プリント基板、マイクロマシン、DNAチップ、マイクロプラント、磁気ヘッドなどの他の電気装置や、特に光マスクなどの光学ガラスや、レンズとプリズム、酸化インジウムスズ(ITO)などの無機導電膜、光学集積回路、光学開閉素子、光導波路、光ファイバーやシンチレータの端面などの光学単結晶、固体レーザー単結晶、青色レーザーLED用サファイア基板、半導体単結晶、磁気ディスク用ガラス基板などの高精度の機械装置や光学装置の製造の分野でも、効率が最も高く好適である必要がある。
【0063】
特にこれらの新規のセリア系CMPスラリーは、また高い窒化物/ポリシリコン選択性と適度な酸化物/窒化物選択性を示す必要がある。
【0064】
本発明のもう一つの目的は、新規の電気装置や機械装置・光学装置用の基板の化学機械的研磨方法であって、その基板材料が酸化ケイ素誘電体膜とポリシリコン膜を含み、また必要ならシリコン窒化膜を含む方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0065】
本発明において、新規の水性研磨組成物が見出された。この水性研磨組成物は、
(A)成分(C)を含まないpHが3〜9の範囲にある水性媒体中に分散した時、電気泳動移動度から証明される正に荷電した少なくとも一種の研磨剤粒子、
(B)線状および分岐状のアルキレンオキサイドホモポリマーとコポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一種の水溶性または水分散性のポリマー、及び
(C)少なくとも一種のアニオン性リン酸塩(anionic phosphate)分散剤、
を含む。
【0066】
これ以降、この新規の水性研磨組成物を「本発明の組成物」とよぶ。
【0067】
また、機械装置、電気装置及び光学装置用の基板を研磨する新規の方法であって、この基板材料を少なくとも一度、本発明の組成物に接触させ、且つ所望の平面性が得られるまでこの基板材料を研磨する方法が見出された。
【0068】
以降、この新規の電気装置や機械装置・光学装置用の基板の化学機械的研磨方法を「本発明の方法」とよぶ。
【0069】
[本発明の長所]
先行技術を鑑みるに、本発明の目的が、本発明の組成物や本発明の方法で解決できるとは、熟練者には驚きであり予想もされていなかった。
【0070】
本発明の組成物が、大きく改善された酸化物/ポリシリコン選択性を示し、ウエハー内不均一性(WIWNU)やウエハー間不均一性(WTWNU)で例示されるように優れた全面的かつ局所的な平面性をもつ研磨ウエハーを与えることは特に驚きである。したがって、これらは、IC構造物の、特に大きさが50nm未満の構造のLSI(大規模集積回路)またはVLSI(超大規模集積回路)をもつIC構造物の製造に優れて適している。
【0071】
また本発明の組成物は、長期間の輸送や保管の間安定であり、このためその安定性が輸送や工程管理を大幅に改善した。
【0072】
また、本発明の組成物は、集積回路装置の分野で極めて有用であるばかりか、液晶パネルや有機電界発光パネル、プリント基板、マイクロマシン、DNAチップ、マイクロプラント、磁気ヘッドなどの他の電気装置や、特に光マスクなどの光学ガラスや、レンズとプリズム、酸化インジウムスズ(ITO)などの無機導電膜、光学集積回路、光学開閉素子、光導波路、光ファイバーやシンチレータの端面などの光学単結晶、固体レーザー単結晶、青色レーザーLED用サファイア基板、半導体単結晶、磁気ディスク用ガラス基板などの高精度の機械装置や光学装置の製造の分野でも、効率が最も高く、好適である。
【0073】
特に本発明の組成物はまた、高い窒化物/ポリシリコン選択性と適度な酸化物/窒化物選択性を示した。
【0074】
したがって、本発明の組成物は本発明の利用に極めて好適である。本発明の方法は、液晶パネルや有機電界発光パネル、プリント基板、マイクロマシン、DNAチップ、マイクロプラント、磁気ヘッドなどの電気装置用の基板材料や、高精度の機械装置や光学装置、特に光学ガラスやフォトマスク、レンズやプリズム、酸化インジウムスズ(ITO)などの無機導電膜、光学集積回路、光学開閉素子、光導波路、光ファイバー端面やシンチレータなどの光学単結晶、固体レーザー単結晶、青色レーザーLED用サファイア基板、半導体単結晶、磁気ディスク用ガラス基板用の基板材料の研磨、特に化学機械的研磨に最も好ましく用いられる。
【0075】
しかしながら本発明の方法は、特に酸化ケイ素誘電体膜とポリシリコン膜と、任意に窒化ケイ素膜を含む半導体ウエハーの研磨に極めて適している。本発明の方法は、ウエハー内不均一性(WIWNU)やウエハー間不均一性(WTWNU)で例示されるように、ディッシング、カッピングまたはホットスポットを形成することなく、優れた全面的かつ局所的平面性とバランスをもつ研磨ウエハーを与える。したがってこれらは、IC構造物の、特に大きさが50nm未満の構造のLSI(大規模集積回路)またはVLSI(超大規模集積回路)をもつIC構造物の製造に優れて適している。
【発明を実施するための形態】
【0076】
[発明の詳細な説明]
本発明の組成物は水性の組成物である。この組成物が水、特に超純水を、主たる溶媒と分散剤として含むことを意味する。しかし本発明の組成物は少なくとも一種の水混和性有機溶媒を含んでいてもよい。ただしその量は、本発明の組成物の水性を変化させない程度の少量である。
【0077】
本発明の組成物は、水を、本発明の組成物総質量に対して好ましくは60〜99.95質量%の量で含み、より好ましくは70〜99.9質量%、さらに好ましくは80〜99.9質量%、最も好ましくは、90〜99.9質量%で含む。
【0078】
「水溶性」は、本発明の組成物の関連する成分または構成要素が、分子レベルで水相中に溶解していることを意味する。
【0079】
「水分散性」は、本発明の組成物の関連する成分または構成要素が、水相に分散可能であり、安定な乳化液または懸濁液を形成することを意味する。
【0080】
本発明の組成物の第一の必須の構成要素は、少なくとも一種の、好ましくは一種の研磨剤粒子(A)である。
【0081】
この研磨剤粒子(A)は、pHが3〜9の範囲にあり下記のアニオン性リン酸塩分散剤(C)を含まない水性媒体中に分散されると、正に荷電する。この正電荷は、この研磨剤粒子(A)の電気泳動移動度μ(μm/s)(V/cm)で証明される。この電気泳動移動度μは、マルバーン社のゼータサイザー・ナノなどの装置を用いて直接測定できる。
【0082】
研磨剤粒子(A)の平均粒度は広く変動することができ、このため本発明の組成物と方法の特定の要件に応じて調整することが最も好ましい。ダイナミックレーザー光散乱で測定した平均粒度は、好ましくは1〜2000nmの範囲であり、好ましくは1〜1000nm、より好ましくは1〜750、最も好ましくは1〜500nmの範囲である。
【0083】
この研磨剤粒子(A)の粒度分布は、単峰性であっても、二峰性または多峰性であってもよい。研磨剤粒子(A)の性質が容易に再現可能であり、本発明の方法で容易に条件が再現可能であるためには、この粒度分布が単峰性であることが好ましい。
【0084】
またこの研磨剤粒子(A)の粒度分布は、狭くても広くてもよい。研磨剤粒子(A)の性質が容易に再現可能であり、本発明の方法で容易に条件が再現可能であるためには、この粒度分布が狭く、小型粒子と大型粒子がほんの少量であることが好ましい。
【0085】
この研磨剤粒子(A)はいろいろな形状をとることができる。この粒子は、単一形状、あるいは実質的に単一形状であってもよい。しかしこの研磨剤粒子(A)が異なる形状をとることもできる。特にある特定の本発明の組成物中に、二種の形状の異なる研磨剤粒子(A)が含まれていてもよい。形状に関しては、これらが、立方体であっても、角のとれた立方体、八面体、二十面体、節状、突起または窪みを有するあるいは有さない球状であってよい。この形状が、突起または窪みをまったくあるいはほとんど含まない球状であることが最も好ましい。この形状が原則として好ましいのは、これにより、CMPプロセス中で研磨剤粒子(A)が暴露される機械的な力への抵抗が増加するためである。
【0086】
原則として、いずれの種類の研磨剤粒子(A)も上記の性質profileを持っている限り、本発明の組成物中で使用することができる。したがって、この研磨剤粒子(A)は、有機粒子または無機粒子であっても、有機無機ハイブリッド粒子であってもよい。好ましくは、この研磨剤粒子(A)は無機粒子である。
【0087】
原則として、いずれの種類の無機研磨剤粒子(A)も、上記のいろいろな性質を持つ限り、本発明の組成物中で使用することができる。しかしながら、セリアを含む、あるいはセリアからなる無機研磨剤粒子(A)を使用することが最も好ましい。
【0088】
このセリア含有研磨剤粒子(A)は、少量の他の希土類酸化物を含んでいてもよい。
【0089】
このセリア含有研磨剤粒子(A)は、セリアとは異なる少なくとも一種の他の研磨剤粒子状の材料、特にアルミナかシリカチタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、これらの混合物を含むか、これからなるコアを含む複合粒子(A)であることが好ましい。
【0090】
このような複合粒子(A)は、例えば、WO2005/035688A1やUS6,110,396、US6,238,469B1、US6,645,265B1、K. S. Choi et al., Mat. Res. Soc. Symp. Proc. Vol. 671, 2001 Materials Research Society, M5.8.1 to M5.8.10, S.−H. Lee et al., J. Mater. Res., Vol. 17, No. 10, (2002), pages 2744 to 2749, A. Jindal et al., Journal of the Electrochemical Society, 150 (5) G314−G318 (2003), Z. Lu, Journal of Materials Research, Vol. 18, No. 10, October 2003, Materials Research Society, or S. Hedge et al., Electrochemical and Solid−State Letters, 7 (12) G316−G318 (2004)から既知である。
【0091】
複合粒子(A)が、コアサイズが20〜100nmである、アルミナとシリカチタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、及びこれらの混合物からなる群から選ばれるコアを含み、そのコアが粒度が10nm未満のセリア粒子で覆われているラズベリー型の被覆粒子であることが最も好ましい。
【0092】
本発明の組成物中で用いられる研磨剤粒子(A)の量は広く変動でき、このため、本発明の組成物と方法の特定の要件応じて調整することが最も好ましい。好ましくは、本発明の組成物が、本発明の組成物総質量に対して0.005〜10質量%の研磨剤粒子(A)を含み、より好ましくは0.01〜8質量%、最も好ましくは0.01〜6質量%の研磨剤粒子(A)を含む。
【0093】
本発明の組成物の第二の必須の構成要素は、線状および分岐状のアルキレンオキサイド(好ましくはエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド)のホモポリマーやコポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一種の、好ましくは一種の水溶性ポリマー(B)である。
【0094】
この好ましいエチレンオキサイド・プロピレンオキサイドコポリマー(B)は、ランダムコポリマーであっても、交互コポリマーまたはポリエチレンオキサイドブロックとポリプロピレンオキサイドブロックとを含むブロックコポリマーであってもよい。
【0095】
エチレンオキサイド・プロピレンオキサイドブロックコポリマー中で、ポリエチレンオキサイドブロックの親水性/親油性バランス(HLB)値が10〜15であることが好ましい。これらのポリプロピレンオキサイドブロックのHLB値は28〜約32であることが好ましい。
【0096】
この水溶性ポリマー(B)は、従来から使用されている既知の市販材料である。適当な水溶性ポリマー(B)は、日本特許出願JP2001−240850Aの請求項2と段落[0007]〜[0014]、米国特許出願US2007/0077865A1の欄1、段落[0008]〜頁2、段落[0010]、米国特許出願US2006/0124594A1の頁3、段落[0036]〜[0037]、米国特許出願US2008/0124913A1の頁3、段落[0031]〜[0033]と請求項14に記載されているか、BASF社の会社文書「プルオニック&テトロニック・ブロックコポリマー界面活性剤、1996」または米国特許US2006/0213780A1に示されるように、BASF社よりプルオニックTM、テトロニックTM、バセンソルTMという商標で販売されている。
【0097】
ポリエチレングリコール(PEG)の使用が最も好ましい。
【0098】
本発明の組成物中の水溶性ポリマー(B)の濃度は広く変動でき、このため、本発明の組成物と方法の特定の要件応じて調整することが最も好ましい。本発明の組成物は水溶性ポリマー(B)を、好ましくは0.001〜5質量%の量で含み、より好ましくは0.005〜2.5質量%、さらに好ましくは0.0075〜1質量%、最も好ましくは0.0075〜0.5質量%の量で含む。
【0099】
本発明の組成物は、少なくとも一種の、好ましくは一種のアニオン性リン酸塩分散剤(C)を含む。
【0100】
好ましくは、このアニオン性リン酸塩分散剤(C)は、水溶性縮合リン酸誘導体からなる群から選ばれる。
【0101】
水溶性の縮合リン酸誘導体(C)の例には、塩類、特に一般式I:
[M(PO] (I);
のメタリン酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩、若しくはカリウム塩、又は一般式II及びIII:
3n+1 (II);
3n+1 (III);
のポリリン酸塩
(式中、Mはアンモニウム、ナトリウム又はカリウムであり、指数nは2〜10,000である)があげられる。
【0102】
式IとIIとIIIのポリリン酸塩に関して、指数nは好ましくは2〜2,000であり、より好ましくは2〜300、最も好ましくは2〜50、特に2〜15、例えば3〜8である。
【0103】
特に好適な水溶性縮合リン酸塩(C)の例は、グレアム塩(NaPO40−50や、カルゴンTM(NaPO15−20、クロール塩(NaPO(ただし、n=約5000)、並びにヘキサメタリン酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩が含まれる。
【0104】
本発明の組成物中の上記水溶性アニオン性リン酸塩分散剤(C)の濃度は広く変動でき、このため、本発明の組成物と方法の特定の要件応じて調整することが最も好ましい。このアニオン性リン酸塩分散剤(C)が、セリア/アニオン性リン酸塩分散剤(C)の質量比が10〜2000となる量で用いられることが好ましく、20〜1000となる量で用いられることがより好ましい。

【0105】
本発明の組成物は、任意に構成要素または成分(A)と(B)と(C)とは異なる少なくとも一種の機能性成分(D)を含むことができる。
【0106】
この機能性成分(D)が、セリア系CMPスラリー中で通常使用される化合物の群から選ばれることが好ましい。このような化合物類(D)の例は、冒頭に述べたが、例えば、Y. N. Prasad et al. in Electrochemical and Solid−State Letters, 9 (12) G337−G339 (2006), Hyun−Goo Kang et al. in Journal of Material Research, volume 22, No. 3,2007, pages 777 to 787, S. Kim et al. in Journal of Colloid and Interface Science, 319 (2008), pages 48 to 52, S. V. Babu et al. in Electrochemical and Solid−State Letters, 7 (12) G327−G330 (2004), Jae−Dong Lee et al. in Journal of the Electrochemical Society, 149 (8) G477−G481,2002に記載されてあり、また米国特許US5,738,800とUS6,042,741、US6,132,637、US6,218,305 B、US5,759,917、US6,689,692B1、US6,984,588B2、US6,299,659B1、US6,626,968B2、US6,436,835B1、 US6,491,843B1、US6,544,892B2、US6,627,107B2、US6,616,514B1、US7,071,105B2、米国特許出願 US2002/0034875A1とUS2006/0144824A1、US2006/0207188A1、US2006/0216935A1、US2007/0077865A1、US2007/0175104A1、US2007/0191244A1 and US2007/0218811A1、また日本特許出願JP2005−336400Aに記載されている。
【0107】
また、この機能性成分(D)は、粒子(D)とは異なる有機、無機、複合有機・無機研磨剤粒子と、下限臨界溶解温度LCSTまたは上限臨界溶解温度UCSTを持つ材料、酸化剤、不動態化剤、電荷反転剤、3個の水性媒体で解離不能なヒドロキシル基をもつ有機ポリオール、少なくとも3個の水性媒体で解離不能なヒドロキシル基をもつ少なくとも一種のモノマーからのオリゴマーとポリマー、錯化剤またはキレート剤、摩擦剤、安定化剤、pH調整剤、緩衝剤、レオロジー剤、界面活性剤、金属カチオン、有機溶媒からなる群から選ばれる。
【0108】
適当な有機研磨剤粒子(D)とこれらの効果的な量は、例えば、米国特許出願US2008/0254628A1の頁4、段落[0054]から、あるいは国際出願WO2005/014753A1から既知であり、ここでは、メラミンに加えて、アセトグアナミンやベンゾグアナミン、ジシアンジアミドなどのメラミン誘導体とからなる固体粒子が開示されている。
【0109】
適当な無機研磨剤粒子(D)とこれらの効果的な量は、例えば国際特許出願WO2005/014753A1の頁12、行1〜8または米国特許US6,068,787の欄6、行41〜欄7、行65から既知である。
【0110】
適当なハイブリッド有機の−無機研磨剤粒子(D)とこれらの効果的な量は、例えば、米国特許出願US2008/0254628A1の頁4、段落[0054]、あるいはUS2009/0013609A1の頁3、段落[0047]〜頁6、段落[0087]から既知である。
【0111】
適当な酸化剤(D)とこれらの効果的な量は、例えば欧州特許出願EP1036836A1の頁8、段落[0074]と[0075]、あるいは米国特許US6,068,787の欄4、行40〜欄7、行45、あるいはUS7,300,601B2の欄4、行18〜34から既知である。好ましくは有機酸化物および無機過酸化物が、より好ましくは無機過酸化物が用いられる。特に過酸化水素が用いられる。
【0112】
適当な不動態化剤(D)とこれらの効果的量は、例えば米国特許US7,300,601B2の欄3、行59〜欄4、行9から、あるいは米国特許出願US2008/0254628A1の頁4と5に示される段落[0058]から既知である。
【0113】
適当な錯化剤またはキレート剤(D)(時には摩擦剤ともよばれる(米国特許出願US2008/0254628A1の頁5、段落[0061]参照))またはエッチング剤またはエッチング液(米国特許出願US2008/0254628A1の頁4、文節[0054]参照)とこれらの効果的な量は、例えば米国特許US7,300,601B2の欄4、行35〜48から既知である。アミノ酸、特にグリシンと、さらにジシアンジアミドと少なくとも一個、好ましくは二個、より好ましくは三個の一級アミノ基を持つトリアジン(例えば、メラミンや水溶性のグアナミン、特にメラミンやホルモグアナミン、アセトグアナミン、2,4−ジアミノ−6−エチル−1,3,5−トリアジン)が最も好ましく用いられる。
【0114】
適当な安定化剤(D)とこれらの効果的な量は、例えば米国特許US6,068,787の欄8、行4〜56から既知である。
【0115】
適当なレオロジー剤(D)とこれらの効果的な量は、例えば米国特許出願US2008/0254628A1の頁5、段落[0065]〜頁6、段落[0069]から既知である。
【0116】
適当な界面活性剤(D)とこれらの効果的量は、例えば国際特許出願WO2005/014753A1の頁8、行23〜頁10、行17、あるいは米国特許US7,300,601B2の欄5、行4〜欄6、行8から既知である。
【0117】
適当な多価金属イオン(D)とこれらの効果的な量は、例えば欧州特許出願EP1036836A1の頁8、段落[0076]〜頁9、段落[0078]から既知である。
【0118】
適当な有機溶媒(D)とこれらの効果的な量は、例えば米国特許US7,361,603B2の欄7、行32〜48、あるいは米国特許出願US2008/0254628A1の頁5、段落[0059]から既知である。
【0119】
下限臨界溶解温度LCSTまたは上限臨界溶解温度UCSTを示す適当な材料(D)は、例えば、H. Mori、H. Iwaya、A. Nagai and T. Endo, Chemical Communication, 2005, 4872−4874「 RAFT重合によるL−プロリン由来の熱応答性ポリマーの制御された合成」、あるいはD. Schmaljohann, Advanced Drug Delivery Reviews, volume 58 (2006), 1655−1670 「熱応答性及びpH応答性ポリマーと薬物輸送」に記載され、また米国特許出願US2002/0198328A1とUS2004/0209095A1・US2004/0217009A1・US2006/0141254A1・US2007/0029198A1・US2007/0289875A1・US2008/0249210A1・US2008/0050435A1・US2009/0013609A1、米国特許US5,057,560とUS5,788,82・US6.682.642B2、国際特許出願WO01/60926A1とWO2004/029160A1・WO2004/0521946A1・WO2006/093242A2・WO2007/012763A1、欧州特許出願EP0583814A1とEP1197587B1・EP1942179A1、ドイツ特許出願DE2610705に記載されている。
【0120】
原則として、CMPの分野で従来から用いられている公知の何れの電荷反転剤(D)も使用可能である。この電荷反転剤(D)は、カルボキシレートとスルホネート、スルフェート、ホスホネート基からなる群から選ばれる少なくとも一種のアニオン性基を有するモノマー状・オリゴマー状・高分子状化合物からなる群から選ばれることが好ましい。
【0121】
存在する場合、この機能性成分(D)はいろいろの量で含まれる。(D)の総量は、相当するCMP組成物の総質量に対して、好ましくは10質量%(「質量%」は「質量当りのパーセント」を意味する)以下であり、より好ましくは2質量%以下、最も好ましくは0.5質量%以下、特に0.1質量%以下、例えば0.01質量%以下である。(D)の総量は、相当する組成物の総質量に対して、好ましくは少なくとも0.0001質量%であり、より好ましくは少なくとも0.001質量%、最も好ましくは少なくとも0.008質量%、特に少なくとも0.05質量%、例えば少なくとも0.3質量%である。
【0122】
本発明の組成物は、必要なら構成要素(A)と(B)と(C)とは物質的に異なる少なくとも一種のpH調整剤または緩衝剤(E)を含むことができる。
【0123】
適当なpH調整剤または緩衝剤(E)とこれらの効果的な量は、例えば、欧州特許出願EP1036836A1の頁8、段落[0080]と[0085]と[0086]から、国際特許出願WO2005/014753A1の頁12、行19〜24、米国特許出願US2008/0254628A1の頁6、段落[0073]または米国特許US7,300,601B2の欄5、行33〜63から既知である。pH調整剤または緩衝剤(E)の例は、水酸化カリウムとアンモニウムヒドロキシド、テトラメテルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、硝酸、硫酸である。
【0124】
存在する場合、このH調整剤または緩衝剤(E)はいろいろな量で含まれる。(E)の総量は、相当するCMP組成物の総質量に対して、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは7質量%以下、最も好ましくは2質量%以下、特に0.5質量%以下、例えば0.1質量%以下である。(E)の総量は、相当するP組成物の総質量に対して、好ましくは少なくとも0.001質量%であり、より好ましくは少なくとも0.01質量%、最も好ましくは少なくとも0.05質量%、特に少なくとも0.1質量%、例えば少なくとも0.5質量%である。
【0125】
好ましくは上記のpH調整剤(E)を用いて。本発明の組成物のpHは、好ましくは3と10の間に設定され、より好ましくは3〜8、さらに好ましくは3〜7、最も好ましくは5〜7に設定される。
【0126】
本発明の組成物の製造は特殊なものではなく、上記構成要素(A)と(B)と(C)、また任意に(D)及び/又は(E)を水性媒体中に、特に脱イオン水中に溶解または分散させて行われる。このために、従来から用いられている標準的な混合方法や、攪拌器やインライン溶解機、高せん断インペラー、超音波ミキサー、ホモジナイサーノズルまたは向流ミキサーなどの混合装置を使用できる。このようにして得られる本発明の組成物を適当な開口のフィルターを通して濾過して、固い微分散研磨剤粒子(A)の凝集物または会合物などの粗大粒子を除くことが好ましい。
【0127】
本発明の組成物は、本発明の方法に極めて好適である。
【0128】
本発明の方法では、電気装置や機械装置・光学装置用の、特に電気装置用、最も好ましくは集積回路装置用の基板を少なくとも一度本発明の組成物と接触させ、所望の平面性が得られるまで研磨、特に化学的機械的に研磨する。
【0129】
本発明の方法は、低誘電率のまたは超低誘電率の酸化ケイ素材料とからなる分離層と、ストップ層またはバリア層としての窒化ケイ素層とをもつケイ素半導体ウエハーのCMPにおいて、その特定の長所を示す。
【0130】
適当な低誘電率または超低誘電率材料と適度な絶縁性の誘電体層の製造方法が、例えば、米国特許出願US2005/0176259A1の頁2、段落[0025]〜[0027]に、US2005/0014667A1の頁1、段落[0003]、US2005/0266683A1の頁1、段落[0003]と頁2、段落[0024]、またはUS2008/0280452A1の段落[0024]〜[0026]、米国特許US7,250,391B2の欄1、行49〜54、欧州特許出願EP1306415A2の頁4、段落[0031]に記載されている。
【0131】
本発明の方法は、回路パターンが形成されたウエハー基板上で、ポリシリコンより二酸化ケイ素を選択的に除去することが必要であるシャロートレンチアイソレーション(STI)に特に適している。この方法では、エッチングされたトレンチが誘電体材料、例えば二酸化ケイ素で過充填され、窒化ケイ素バリアフィルムをストップ層としてこれを研磨する。この好ましい実施様態においては、本発明の方法は、バリアフィルムから二酸化ケイ素を除き、露出されるポリシリコンとトレンチ酸化ケイ素の除去を最小限に抑えて終了する。
【0132】
また、本発明の組成物は、高い酸化物/ポリシリコン選択性と適度な酸化物/窒化物選択性を示すため、本発明の方法はまた窒化ケイ素層も存在するシャロートレンチアイソレーション(STI)に特に良く適している。
【0133】
したがって、本発明の方法は、50より大きな酸化物/ポリシリコン選択性を示し、好ましくは75を越える、最も好ましくは100を越える酸化物/ポリシリコン選択性を示し、10より大きな窒化物/ポリシリコン選択性、好ましくは20を越える、最も好ましくは25を越える窒化物/ポリシリコン選択性を示す。
【0134】
この酸化物/窒化物選択性は好ましくは3〜10の範囲である。
【0135】
この窒化物/ポリシリコン選択性は好ましくは>10である。
【0136】
本発明の方法は特殊なものではなく、半導体ウエハーにICを形成する際のCMPで従来から用いられている方法や装置を用いて実施できる。
【0137】
当分野では既知のように、代表なCMP装置は、回転プラテンとこれを覆う研磨パッドとからなる。ウエハーは、支持体またはチャック上に、上面を下向きに研磨パッドに向けて取り付けられる。支持体がこのウエハーを水平の姿勢に保持する。この特定の研磨・保持装置の配列は、「ハード・プラテン」デザインとしても知られている。この支持体が、支持体の保持表面とウエハーの非研磨表面間に位置する支持体パッドを保持してもよい。
このパッドは、ウエハーのクッションとして働くことができる。
【0138】
この支持体の下で、より大きな直径をもつプラテンも一般的には水平に位置しており、研磨ウエハーの表面に平行な表面を提供する。平坦化プロセスの間に、研磨パッドはウエハー表面と接触する。本発明のCMP方法の間に、連続流としてあるいは滴下により本発明の組成物が研磨パッド上に塗布される。
【0139】
支持体とプラテンの両方が、支持体とプラテンから垂直に延びるそれぞれのシャフトの回りを回転している。この回転する支持体シャフトは、回転するプラテンに対して位置的に固定されていてもよいし、プラテンに対して水平に往復移動してもよい。支持体の回転方向は、通常(必ずしも必須ではないが)、プラテンの回転方向と同じである。支持体とプラテンの回転速度は、一般的には(必ずしも必須ではないが)、異なる値に設定される。
【0140】
通常プラテンの温度は、10〜70℃の温度に設定される。
【0141】
さらに詳細には、国際特許出願WO2004/063301A1の、特に頁16、段落[0036]〜頁18、段落[0040]と図1を参照されたい。
【0142】
本発明の方法により、優れた平面性を持つ、パターン状ポリシリコン層と低誘電率および超低誘電率材料層、特に二酸化ケイ素層を含むICを持つ半導体ウエハーが得られる。このため優れた平面性をもつ銅ダマシンパターンが得られ、最終的には優れた電気的機能をもつICが得られる。
【実施例】
【0143】
[実施例と比較試験]
[実施例1]
水性研磨組成物1〜6の製造
水性研磨組成物1〜6の製造のために、セリア(ダイナミックレーザー光散乱による平均粒度d50:120〜140nm)と、ポリエチレングリコール(PEG10k;重量平均分子量:10,000)、ヘキサメタリン酸ナトリウム(PP;セリア/PP質量比=200、以降PP200と表記)を超純水中に分散たまたは溶解した。これらの使用量を表1に示す。
【0144】
【表1】
【0145】
[実施例2、3及び比較例C1〜C4]
ケイ素半導体ウエハー上のポリシリコン層のCMP
実施例1の組成物No.5を、実施例2に用いた。実施例1の組成物No.6を、実施例3に用いた。
【0146】
実施例1の組成物1〜4を、それぞれ比較試験C1からC4に用いた。
【0147】
以降、次のCMPプロセスパラメーターを使用した:
−研磨装置:ストラスバー6EGnHance型(回転型):
−プラテン速度:90rpm;
−支持体速度:70rpm;
−ローム・アンド・ハース社製IC1000/Suba400K溝研磨パッド;
−S603Mダイヤモンドコンディショナを用いる系内コンディショニング;
−スラリー流速:200ml/分;
−基板:200mmの熱酸化物とPETEOS、窒化ケイ素ウエハー、ポリシリコンウエハー;
−ダウン力:3.5psi(240mbar);
−研磨時間:1分
【0148】
ポリシリコン材料除去率MRRは、レーザー干渉分光法(フィルムテックTM2000)を用いて、ポリシリコンウエハーの中心部のある一点(位置1)とウエハーの端に近い、位置1の回りに等距離に存在する4点(位置2〜5)で測定した。
【0149】
高MRRを示す位置を、これ以降「ホットスポット」とよぶ。
表2に、得られたMRRの概要を示す。
【0150】
【表2】
【0151】
表2の結果から、この組成物がセリアのみを含むときはポリシリコンMRRが非常に高いことがわかる。PEG10kの添加で平均MRRが低下した。しかしながら、ホットスポットの外観からは不均一なポリシリコン除去が観察された。PEG10kの濃度を増加するとレンジとMRRが低下した。PP200の添加もMRRを低下させ、この低下はPEG10kとPP200の併用で抑制された。
【0152】
これに加えて、試験2と3では、ウエハー上に吸着された粒子の数が、比較試験の場合よりかなり減少した。
【0153】
[実施例4、5]
PP200とPEG10kを含む水性研磨組成物の選択性
実施例4には、実施例1の水性研磨組成物5を使用した。
【0154】
実施例5には、0.25質量%のセリアと0.05質量%のPEG10kとPP200を含む研磨組成物を使用した。
【0155】
熱酸化物(TOX)とPETEOS、窒化ケイ素ウエハー、ポリシリコンウエハーのMRRは、上述のようにして測定した。得られたMRRを表3に示す。
【0156】
【表3】
【0157】
選択性の計算値を表4に示す。
【0158】
【表4】
【0159】
これらの結果から、これらの水性研磨組成物が、二酸化ケイ素と窒化ケイ素とポリシリコン層を含む半導体ウエハーのCMPに極めて適していることが分る。このように、酸化物/ポリシリコンが極めて高く、他方、酸化物/窒化物選択性は、全面的に平坦化され、不均一で回路パターンが形成された、二酸化ケイ素と窒化ケイ素とポリシリコン領域を含む表面にディッシングなどの損傷や欠陥を避けるのに有利な範囲にあった。また、窒化物/ポリシリコン選択性は10より大きかった。
【0160】
これらのウエハーを、CMP後に望ましくない残留フィルムが成形されているかどうかを検査した。しかし望ましくない残留フィルムは形成されていなかった。
【0161】
[実施例6〜9]
0.5質量%のセリアと0.1質量%のPEG10kといろいろな量のPPを含む水性研磨組成物の選択性
セリアとPPの比率が、熱酸化物(TOX)とPETEOS、窒化ケイ素ウエハー、ポリシリコンウエハーのMRRに与える影響を、上述のようにして測定した。得られたMRRを表5に示す。
【0162】
【表5】
【0163】
選択性の計算値を表6に示す。
【0164】
【表6】
【0165】
これらの結果から、セリア:PP比を変更することでMRRと選択性を、最も好ましく調整できることが分る。極めて高い酸化物/ポリシリコン選択性と高い窒化物/ポリシリコン選択性が得られたが、酸化物/窒化物選択性は、全面的に平坦化された、不均一で回路パターンが形成された二酸化ケイ素と窒化ケイ素とポリシリコン領域を含む表面にディッシングなどの損傷や欠陥を避けるのに適当な範囲にあった。