(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
吸収性物品を構成するシート部材である第1シートを所定の搬送方向に搬送する第1搬送工程と、前記第1シートの一側の面に接着剤を塗布する第1接着剤塗布工程と、前記第1シートの前記接着剤が塗布された領域に粒状体を自重により落下させる落下工程とを有し、前記落下工程では、前記粒状体を落下させる落下口の鉛直下方向において前記搬送方向の上流側から下流側に向かって斜め下方向に搬送される前記第1シートに対して、前記落下口から少なくとも鉛直下方向の成分を有する方向に前記粒状体を落下させる吸収性物品の製造方法が明らかとなる。これにより、前記落下口から落下した前記粒状体の前記第1シートに対する跳ね返りが小さくなり、前記粒状体の飛散を抑制することができる。
【0011】
かかる吸収性物品の製造方法であって、前記落下口の鉛直下方向よりも前記第1シートの搬送方向の下流側において、前記第1シート共に前記吸収性物品を構成する第2シートを前記第1シートの搬送方向と交差する方向から前記第1シートに向かって搬送する第2搬送工程と、前記粒状体を間に挟んで前記第2シートを前記第1シートと接触させる接触工程とを有する、ことが望ましい。これにより、例えば気流によって飛ばされた前記粒状体を前記第1シートと前記第2シートとの間の領域に落下させることができ、前記粒状体の飛散をより抑制することができる。
【0012】
かかる吸収性物品の製造方法であって、前記第2シートの前記第1シートと接触する側の面のうち、少なくとも前記第1シートの前記接着剤が塗布された領域と接触する領域に接着剤を塗布する第2接着剤塗布工程を有する、ことが望ましい。これにより、前記第1シート及び前記第2シートに対して前記粒状体をより定着させることができる。
【0013】
かかる吸収性物品の製造方法であって、前記第1接着剤塗布工程の前に前記第1シートの少なくとも一部を幅方向に折り畳む折り畳み工程を有し、折り畳まれた前記第1シートは、前記幅方向の長さが前記第2シートよりも長い、ことが望ましい。これにより、前記第2シートが前記第1シートに接触する際に幅方向にずれが生じた場合でも、当該ずれを吸収しながら粒状体を前記第1シートと前記第2シートとの間に挟み込むことができる。
【0014】
かかる吸収性物品の製造方法であって、前記第1搬送工程では、第1搬送ドラムの外周面に前記第1シートを保持させながら前記第1搬送ドラムを回転させることによって前記第1シートを搬送すると共に、前記外周面に形成された複数の通気穴を介して前記外周面の外側から内側に向かってエアを通過させる、ことが望ましい。これにより、前記第1シートを安定して搬送することができると共に、前記外周面における前記第1シートの保持がより確実となることに加え、前記落下口から落下した前記粒状体をエアで吸引することで飛散を抑制することができる。
【0015】
かかる吸収性物品の製造方法であって、前記第1搬送ドラムの前記外周面の最も高い位置において前記第1シートが前記外周面に保持されている、ことが望ましい。これにより、水平方向における前記落下口の位置決めがしやすくなる。
【0016】
かかる吸収性物品の製造方法であって、前記落下口は、前記搬送ドラムの前記外周面の最も高い位置よりも低い位置に配置されている、ことが望ましい。これにより、前記落下口から前記第1シートの前記吸収体側の面までの距離を近づけることができ、前記粒状体の飛散をより抑制することができる。
【0017】
かかる吸収性物品の製造方法であって、前記第1シートと共に前記吸収性物品を構成する第2シートを第2搬送ドラムの外周面に保持させながら前記第2搬送ドラムを回転させることによって前記第2シートを搬送する第2搬送工程と、前記粒状体を間に挟んで前記第2シートを前記第1シートと接触させる接触工程とを有し、前記第2搬送工程では、前記第2搬送ドラムの前記外周面の最も高い位置よりも低い位置に配置された前記落下口の鉛直下方向よりも前記第1シートの搬送方向の下流側において前記第2シートを前記第1シートの搬送方向と交差する方向から前記第1シートに向かって搬送する、ことが望ましい。これにより、前記第2搬送ドラムを介して搬送される前記第2シートからはみ出して前記粒状体が飛散することを抑制することができる。
【0018】
かかる吸収性物品の製造方法であって、前記落下工程では、粒径が40〜80μmである前記粒状体を落下させる、ことが望ましい。これにより、前記粒状体の飛散を抑制することができる。
【0019】
かかる吸収性物品の製造方法であって、前記第1シートは不織布であり、前記第1シートの前記一側の面の表面粗さの平均SDM値が4〜6μmである、ことが望ましい。これにより、落下した前記粒状体の前記第1シートの前記吸収体側の面への定着性がより良好になる。
【0020】
かかる吸収性物品の製造方法であって、前記第1接着剤塗布工程の前に前記第1シートを加熱する加熱工程を有する、ことが望ましい。これにより、落下した前記粒状体の前記第1シートの前記吸収体側の面への定着性がより良好になる。
【0021】
また、吸収性物品を構成するシート部材である第1シートを搬送する第1シート搬送部と、前記第1シートの一側の面に接着剤を塗布する第1接着剤塗布部と、搬送される前記第1シートの前記接着剤が塗布された領域に粒状体を自重により落下させる落下部とを備え、前記落下部は、落下口から、少なくとも鉛直下方向の成分を有する方向へ前記粒状体を落下させ、前記第1シート搬送部は、前記落下口の鉛直下方向において前記第1シートの搬送方向の上流側から下流側に向かって斜め下方向に前記第1シートを搬送する吸収性物品の製造装置が明らかとなる。これにより、前記落下口から落下した前記粒状体の前記第1シートに対する跳ね返りが小さくなり、前記粒状体の飛散を抑制することができる。
【0022】
===実施形態===
本発明の実施形態に係る吸収性物品の製造方法、及び吸収性物品の製造装置により製造される吸収性物品の一例として、生理用ナプキン1について説明する。なお、当該吸収性物品には、所謂おりものシート(例えばパンティライナー)等も含まれており、生理用ナプキンに限定されるものではない。
【0023】
<生理用ナプキン1の構成>
図1は、生理用ナプキン1の構成を説明する平面図である。
図2は、生理用ナプキン1の構成を説明する概略断面図である。
【0024】
生理用ナプキン1は、
図1に示すように、細長い形状を有し、その長手方向には「前側」及び「後側」がある。「前側」とは、生理用ナプキン1を使用する際に使用者の腹側に位置する部分であり、「後側」とは、使用者の背側に位置する部分である。また、生理用ナプキン1の短手方向を「幅方向」とし、この幅方向及び長手方向と直交する方向を「厚さ方向」とする。この厚さ方向において、生理用ナプキン1の使用時に使用者の肌と当接する側を「肌側」、その逆側を「非肌側」とする(
図2参照)。
【0025】
図2に示すように、生理用ナプキン1は、体液や排血等の液体を吸収する吸収体10と、吸収体10の一側の面を覆う第1シートとしてのトップシート20と、吸収体10をトップシート20との間に挟む第2シートとしてのバックシート30とを備える。
【0026】
吸収体10は、親水性繊維やパルプ等を含んだ細長い部材であり、体液や排血等の液体を効率的に吸収及び保持することができる。吸収体10は、例えば親水性繊維又は粉体をエアレイド法によって積層して形成される。
【0027】
トップシート20は、体液や排血等の液体を透過させる透過性のシート部材であり、使用者の肌側から吸収体10の当該肌側に位置した全面を覆っている。すなわち、トップシート20は、長手方向及び幅方向において吸収体10よりも大きく形成されている。本実施形態では、トップシート20には不織布が用いられている。
図2に示すように、トップシート20と吸収体10との間には、トップシート20と同様の部材によって構成されたセカンドシート25が設けられている。
【0028】
また、トップシート20は、厚さ方向に折り重ねられたΩ折り領域20frを有する。より具体的には、トップシート20は、吸収体10の幅方向の両端側において、いったん幅方向内側に折り畳まれた後、幅方向外側に折り返されてそのまま幅方向外側に延出している。Ω折り領域20frでは、厚さ方向にエンボス加工が施されることにより、折り重ねられたトップシート20同士が厚さ方向に接合されている。したがって、Ω折り領域20frは、その厚さがその他の領域(トップシート20のΩ折り領域20fr以外の領域)の厚さよりも厚く形成されている。
【0029】
図1に示すように、吸収体10及びトップシート20には、使用者の肌側に、一対のヒンジ部110と、複数の孔部120とが形成されている。一対のヒンジ部110は、吸収体10及びトップシート20の長手方向に延びて形成された線状の部位である。本実施形態では、一対のヒンジ部110は、吸収体10及びトップシート20に対して使用者の肌側から厚さ方向にエンボス加工等を施すことにより形成されている。複数の孔部120は、一対のヒンジ部110に挟まれた領域に形成され、吸収体10及びトップシート20を厚さ方向に貫通している。
【0030】
バックシート30は、非透過性のシート部材であり、例えばポリエチレン等を主体としたフィルムや、スパンボンド等の不織布に通気性を有する樹脂フィルムが接合されたシート等が用いられる。バックシート30は、トップシート20と略同一形状を有しており、使用者の非肌側から吸収体10の当該非肌側に位置した全面を覆っている。
【0031】
トップシート20及びバックシート30はそれぞれ、吸収体10の幅方向外側に延出した領域を有し、当該領域を接合することによりサイドフラップ50を形成している。なお、これに限らず、サイドフラップ50は、トップシート20及びバックシート30とは異なる別の部材によって形成されていてもよい。
【0032】
図1に示すように、サイドフラップ50は、吸収体10の長手方向中央部よりも前側に設けられた膣口当接領域から幅方向外側に延出した一対のウイング部51と、当該膣口当接領域よりも長手方向後側の領域から幅方向外側に延出した一対のヒップフラップ部52とを有する。なお、「膣口当接領域」とは、生理用ナプキン1の使用時において使用者の膣口と当接する領域をいう。また、サイドフラップ50において、トップシート20とバックシート30との間には、サイドフラップ50を補強するための補強シート55が設けられている。
【0033】
サイドフラップ50には、生理用ナプキン1の使用時に使用者に清涼感を与える冷感領域CRが設けられている。この冷感領域CRは、幅方向に所定の距離を有しながら長手方向に延びる帯状の一対の領域である。本実施形態では、
図2に示すように、トップシート20の吸収体10を覆う側の面(非肌側の面)20aに冷感剤を配置させることにより冷感領域CRが設けられている。
【0034】
冷感剤は、メントールやカンファー等の清涼剤を核として、その周囲をでんぷん等の水溶性物質によって覆った多重カプセル構造を有する粒状体である。清涼剤は、通常の状態では外部に露出していないが、所定量の水分(例えば使用者の汗や水蒸気)が接触すると水溶性物質が溶解して内部の清涼剤が外部に放出される。これにより、使用者に清涼感を与えることができる。なお、これに限らず、冷感剤は、多数の細孔に分子を吸着できる多孔質材料(例えばシリカゲルやゼオライト等)によって清涼剤が覆われる構造を有する粒状体であっても良い。
【0035】
<生理用ナプキン1の製造方法>
次に、生理用ナプキン製造装置14を用いた生理用ナプキン1の製造方法について説明する。
【0036】
本実施形態に係る生理用ナプキン1の製造方法は、第1搬送工程としてのトップシート搬送工程と、トップシート200を加熱する加熱工程と、トップシート200の少なくとも一部を幅方向に折り畳む折り畳み工程と、トップシート200の一側の面に接着剤を塗布する第1接着剤塗布工程と、トップシート200に冷感剤16を落下させる落下工程と、第2搬送工程としてのバックシート搬送工程と、トップシート200と接触する側の面に接着剤を塗布する第2接着剤塗布工程と、バックシート300をトップシート200に接触させる接触工程とを有する。
【0037】
なお、トップシート搬送工程において搬送されるトップシート200、及びバックシート搬送工程において搬送されるバックシート300は、製品としての生理用ナプキン1の形状(
図1参照)にカッティングされる前の帯状のものであるため、前述の<生理用ナプキン1の構成>において使用した符号(トップシート20,バックシート30)と異なる符号(トップシート200,バックシート300)を付している。
【0038】
(生理用ナプキン製造装置14の概略構成)
生理用ナプキン製造装置14の概略構成について、
図3及び
図4を参照して説明する。
【0039】
図3は、生理用ナプキン製造装置14の構成を説明する概略図である。
図4は、トップシート200の吸収体10を覆う側の面200aを垂直方向から見た平面図である。
図4では、Ω折り領域20frの図示を省略すると共に、第1接着剤塗布部44の接着剤出口441、落下部46の落下口461、並びにトップシート200の第1接着剤塗布部44及び落下部46によって隠れた部分を、それぞれ破線で示している。また、
図4では、右方向をトップシート200の搬送方向としている。
【0040】
生理用ナプキン製造装置14は、第1シート搬送部としてのトップシート搬送部41と、第2シート搬送部としてのバックシート搬送部42と、トップシート200を加熱する加熱部43と、トップシート200の少なくとも一部を幅方向に折り畳む折り畳み部47と、トップシート200の吸収体10を覆う側の面200aに接着剤を塗布する第1接着剤塗布部44と、バックシート300の吸収体10を覆う側の面300aに接着剤を塗布する第2接着剤塗布部45と、搬送されるトップシート200に向かって冷感剤16を落下させる落下部46とを備える。なお、以下の説明において、吸収体10を覆う側の面200a,300aを単に「吸収体10側の面200a,300a」とする。
【0041】
トップシート搬送部41は、円筒状の第1搬送ドラム411を有し、この第1搬送ドラム411の外周面411aの一部にトップシート200を保持させながら第1搬送ドラム411を回転させることによってトップシート200を搬送している。本実施形態では、
図3に示すように、第1搬送ドラム411の外周面411aの最も高い位置H1においてトップシート200が外周面411aに保持されており、第1搬送ドラム411は回転軸を中心に時計回りに回転している。なお、第1搬送ドラム411の具体的な構成については後述する。
【0042】
また、トップシート搬送部41は、落下部46の落下口461の鉛直下方向(
図3における矢印Y方向)においてトップシート200の搬送方向の上流側から下流側に向かって斜め下方向にトップシート200を搬送する。
【0043】
バックシート搬送部42は、円筒状の第2搬送ドラム421を有し、この第2ドラム421の外周面421aの一部にバックシート300を保持させながら第2搬送ドラム421を回転させることによってバックシート300を搬送している。
図3に示すように、第2搬送ドラム421を第1搬送ドラム411の回転方向と逆方向に回転させることによって、バックシート搬送部42は、搬送されるトップシート200に向かってバックシート300を搬送している。本実施形態では、第2搬送ドラム421は回転軸を中心に反時計回りに回転している。
【0044】
より具体的には、バックシート搬送部42は、落下口461の鉛直下方向よりもトップシート200の搬送方向の下流側において、トップシート200の搬送方向と交差する方向からトップシート200に向かってバックシート300を搬送し、バックシート300をトップシート200に接触させる。なお、トップシート200とバックシート300との間には、吸収体10、セカンドシート25、補強シート55、及び落下部46から落下した冷感剤16が挟み込まれる。
【0045】
加熱部43は、不織布からなるトップシート200を加熱する。加熱部43の内部では、トップシート200に対して使用者の肌側の面200bから吸収体10側の面200aに向かって加熱エアが吹き付けられる。すなわち、
図3において、搬送されるトップシート200は、厚さ方向の下側から加熱エアが吹き付けられる。トップシート200に吹き付けられた加熱エアは、トップシート200の厚さ方向に貫通するように流れてトップシート200の内部まで加熱する。このとき、トップシート200の絡み合った繊維間の隙間(空隙)が加熱エアの流路となる。
【0046】
加熱部43は、第1接着剤塗布部44よりも、トップシート200の搬送方向の上流側に配置されている。すなわち、トップシート200は、第1接着剤塗布部44によって接着剤が塗布される前に加熱部43によって加熱されることにより繊維間の空隙が広がる。
【0047】
折り畳み部47は、トップシート200の幅方向において後述する第1接着剤塗布部44によって形成される一対の接着剤塗布領域BAよりも内側に前述のΩ折り領域20fr(
図1及び
図2参照)を形成する。折り畳み部47によって折り畳まれたトップシート200は、幅方向の長さがバックシート300の幅方向の長さよりも長い。
【0048】
第1接着剤塗布部44は、トップシート200の吸収体10側の面200aに、例えばホットメルト接着剤等の接着剤を接触塗工により塗布する。より具体的には、
図4に示すように、第1接着剤塗布部44は、トップシート200の幅方向に所定の間隔で配置された一対の接着剤出口441を有し、トップシート200の吸収体10側の面200aにトップシート200の搬送方向に延びるように帯状に接着剤を塗布する。これにより、トップシート200の吸収体10側の面200aに接着剤塗布領域BAが形成される。
【0049】
本実施形態では、接着剤塗布領域BAは、冷感領域CR(
図1参照)となる領域である。なお、
図4において、接着剤塗布領域BAのうち、接着剤が塗布されていない部分を二点鎖線で示し、接着剤が塗布された部分を網掛けのハッチングで示している。
【0050】
第2接着剤塗布部45は、バックシート300の吸収体10側の面(トップシート200と接触する側の面)300aのうち、少なくともトップシート200の接着剤が塗布された領域(接着剤塗布領域BA)と接触する領域、すなわち冷感領域CRとなる領域に接着剤を塗布する。なお、第2接着剤塗布部45においても、第1接着剤塗布部44と同様に、例えばホットメルト接着剤等の接着剤が用いられる。
【0051】
落下部46は、搬送されるトップシート200の接着剤塗布領域BAに粒状の冷感剤16を自重により落下させる。より具体的には、落下部46は、一対の落下口461からそれぞれ、少なくとも鉛直下方向の成分を有する方向へ冷感剤16を落下させる。換言すれば、冷感剤16は、落下口461から少なくとも鉛直下方向の成分を有する方向へ落下する。
【0052】
「少なくとも鉛直下方向の成分を有する方向へ落下する」とは、落下部46は落下口461から冷感剤16を自重により落下させるが、例えばトップシート搬送部41によるトップシート200の搬送速度が速いため落下口461の鉛直下方向において搬送方向に沿った気流が発生し、冷感剤16が鉛直下方向にまっすぐ落下せず気流によって飛ばされる場合が考えられることを考慮したものである。
【0053】
接着剤塗布領域BAに到達した冷感剤16は、接着剤によってトップシート200に接合されて冷感領域CRが形成される。本実施形態では、落下部46から落下する冷感剤16の粒径が40〜80μmである。
【0054】
落下部46の一対の落下口461は、第1搬送ドラム411の外周面411aの最も高い位置H1、及び第2搬送ドラム421の外周面421aの最も高い位置H2よりも低い位置(鉛直下方向)に配置されている。すなわち、落下口461は、位置H1、位置H2、及びトップシート200とバックシート300との接触位置の3点を結ぶ領域内に配置されている。なお、
図4では、トップシート200の幅方向に所定の間隔で設けられた一対の落下部46を示しているが、これに限らず、第1接着剤塗布部44と同様に、一体となった落下部46に一対の落下口461が設けられていてもよい。また、
図4において、接着剤塗布領域BAに冷感剤16が散布された部分を砂地模様のハッチングで示している。
【0055】
(第1搬送ドラム411の構成)
次に、トップシート搬送部41の第1搬送ドラム411の構成について、
図5A〜Cを参照して説明する。
図5Aは、第1搬送ドラム411の外周面411aの断面構造の説明図である。
図5Bは、金属板412の説明図である。
図5Cは、網状部材413の説明図である。
【0056】
第1搬送ドラム411の外周面411aは、
図5Aに示すように、金属板412と網状部材413とを重ね合わせて構成されている。より具体的には、搬送されるトップシート200側に金属板412が配置され、金属板412の内側に網状部材413が配置されている。
【0057】
図5Bに示すように、金属板412には、エアが通過する通気穴となる打ち抜き穴412aが複数形成されている。本実施形態では、打ち抜き穴412aは、丸形状を有しており、千鳥列状に配置されている。
【0058】
図5Cに示すように、網状部材413は、線材413aを平織りして網目413bを構成した網状の部材であり、網目413bが通気穴となる。すなわち、通気穴は、金属板412の打ち抜き穴412aと網状部材413の網目413bとによって構成される。網状部材413は、例えば金属線材を平織りした金網やプラスチックワイヤーを平織りしたプラスチック製の網で形成される。網状部材413の網目413bは、金属板412の打ち抜き穴412aの直径よりも小さく設定されている。
【0059】
図5Aに示すように、第1搬送ドラム411では、通気穴を介して外周面411aの外側から内側に向かってエアが通過している。なお、第1搬送ドラム411の構造についてはこの限りではない。
【0060】
(トップシート200への冷感剤16の定着性)
次に、トップシート200への冷感剤16の定着性について、
図6A及び
図6B、
図7、並びに
図8を参照して説明する。
【0061】
図6Aは、比較例に係る生理用ナプキン製造装置における落下部46から落下した冷感剤16の様子を説明する説明図である。
図6Bは、本実施形態に係る生理用ナプキン製造装置14における落下部46から落下した冷感剤16の様子を説明する説明図である。なお、
図6A及び
図6Bにおいては、落下部46から落下した冷感剤16は落下口461の鉛直方向真下に落下するものとして説明する。
【0062】
前述したように、冷感剤16は落下部46の落下口461から自重により落下してトップシート200の接着剤塗布領域BA(
図4参照)に着弾して接着されるが、落下口461から落下した冷感剤16の中には、トップシート200の接着剤塗布領域BAに接着されずに跳ね返ってしまうものもある。
【0063】
図6Aに示すように、比較例に係る生理用ナプキン製造装置では、落下口461の鉛直下方向(矢印Y方向)においてトップシート200が搬送方向の上流側から下流側に向かって鉛直方向に直交する方向(矢印X方向)に搬送されている。この場合、落下口461から落下した冷感剤16は、搬送されるトップシート200に対して垂直に衝突して跳ね返る。
【0064】
一方、
図6Bに示すように、本実施形態に係る生理用ナプキン製造装置14では、落下口461の鉛直下方向においてトップシート200が搬送方向の上流側から下流側に向かって斜め下方向に搬送されている。この場合、落下口461から落下した冷感剤16は、搬送されるトップシート200に対して斜めに衝突する。このため、トップシート200に衝突した冷感剤16は、トップシート200の下方向への搬送による影響を受けて鉛直下方向の力が比較例の場合よりも小さくなり跳ね返りが小さくなる。したがって、比較例の場合よりも冷感剤16の飛び散りが抑制される。
【0065】
また、本実施形態では、前述したように冷感剤16は多重カプセル構造をとるため、衝撃に弱く壊れやすい。これに対して、落下部46は、冷感剤16を自重により落下させるため、例えばスプレー等の噴射によって落下させる場合と異なり、冷感剤16に対して衝撃を与えることなくトップシート200に落下させることができる。
【0066】
図7は、落下口461の鉛直下方向よりもトップシート200の搬送方向の下流側において、バックシート300がトップシート200に接触する様子を説明する説明図である。
【0067】
本実施形態に係る生理用ナプキン製造装置14では、例えばトップシート搬送部41が高速で駆動することにより落下口461から落下した冷感剤16がトップシート200に到達する前に気流の影響を受けて搬送方向の下流側へ飛ばされてしまう可能性がある。
【0068】
落下口461の鉛直下方向よりもトップシート200の搬送方向の下流側においてトップシート200の搬送方向と交差する方向からトップシート200に向かってバックシート300が搬送されるため、気流によって飛ばされた冷感剤16はトップシート200とバックシート300との間の領域に落下する。したがって、バックシート300は、トップシート200の接着剤塗布領域BAに接着した冷感剤16のみならず気流によって飛ばされた冷感剤16も間に挟んでトップシート200と接触する。
【0069】
なお、本実施形態では、落下口461の中心からトップシート200とバックシート300との接触位置までの距離Dが10cm程度であり、この距離Dは最大15cm程度までが望ましい。
図7において、距離Dは、水平方向、すなわち紙面に垂直な方向及び鉛直方向(鉛直下方向)に直交する方向(矢印X方向)における所定の距離を示す。
【0070】
図8は、トップシート200の表面粗さの平均SDM値とトップシート200への冷感剤16の定着性との関係を示す表である。より具体的には、トップシート200の吸収体10側の面200aの搬送方向における粗さと幅方向における粗さとの平均SDM値に対して、落下部46から落下した冷感剤16がトップシート200の吸収体10側の面200aにどの程度定着(接着)しているかについて示している。
【0071】
ここで、「表面粗さのSDM値」とは、風合い計測機(例えば、カトーテック株式会社製、KES-FB4 AUTO-A)を使用した風合い計測技術(風合い計測システム、KESシステム等とも呼ぶ)を用いて、トップシート200の風合いを計測した場合に得られた力学特性値の1つである表面の凹凸の変動を表す表面特性値(SDM値)のことをいう。本実施形態では、「トップシート200の搬送方向のSDM値の平均」及び「トップシート200の幅方向のSDM値の平均」の平均をとった値を「表面粗さの平均SDM値」としている。
【0072】
当該平均SDM値が4.34μm、4.41μm、5.59μm、5.43μmであった実施例1〜4では、いずれもトップシート200の吸収体10側の面200aに対して冷感剤16の定着性が良好であった。一方、当該平均SDM値が0.72μm、3.70μm、7.88μmであった比較例1〜3では、いずれもトップシート200の吸収体10側の面200aに対して冷感剤16が定着しづらかった。
【0073】
当該平均SDM値が4μmよりも小さい場合には、トップシート200の吸収体10側の面200aの目が細かく密であるため、落下した冷感剤16はトップシート200に衝突して跳ね返ってしまい定着しづらいと考えられる。また、当該平均SDM値が6μmよりも大きい場合には、トップシート200の吸収体10側の面200aの目が粗く隙間が多く存在するため、落下した冷感剤16はトップシート200を貫通してしまい定着しづらいと考えられる。これにより、当該平均SDM値が4〜6μmの範囲にある場合、冷感剤16は、トップシート200の吸収体10側の面200aへの定着性が良好であり、飛散しにくい。
【0074】
<本実施形態の作用及び効果>
以上説明した実施形態によれば、以下の作用及び効果を得ることができる。
【0075】
(1)落下工程では、落下口461の鉛直下方向においてトップシート200の搬送方向の上流側から下流側に向かって斜め下方向に搬送されるトップシート200に対して、落下口461から少なくとも鉛直下方向の成分を有する方向に粒状の冷感剤16を自重により落下させるため、落下口461から落下した冷感剤16のトップシート200に対する跳ね返りが小さくなり、冷感剤16の飛散を抑制することができる。
【0076】
(2)落下口461の鉛直下方向よりもトップシート200の搬送方向の下流側において、バックシート搬送工程ではバックシート搬送部42によってバックシート300をトップシート200の搬送方向と交差する方向からトップシート200に向かって搬送し、接触工程では冷感剤16を間に挟んでバックシート300をトップシート200と接触させるため、例えばトップシート搬送部41の高速駆動によって発生する気流によって飛ばされた冷感剤16をトップシート200とバックシート300との間の領域に落下させることができ、冷感剤16の飛散をより抑制することができる。
【0077】
(3)第2接着剤塗布部45は、バックシート300のトップシート200と接触する側の面300aのうち、少なくともトップシート200の接着剤塗布領域BAに接着剤を塗布するため、トップシート200の接着剤塗布領域BAに落下した冷感剤16をバックシート300側に塗布された接着剤でさらに接着させることにより、バックシート300側に接着剤が塗布されていない場合と比較して、トップシート200及びバックシート300に対して冷感剤16をより定着させることができる。
【0078】
(4)折り畳み部47によって折り畳まれたトップシート200は、幅方向の長さがバックシート300よりも長いため、バックシート300がトップシート200に接触する際に幅方向にずれが生じた場合でも、当該ずれを吸収しながら冷感剤16をトップシート200とバックシート300との間に挟み込むことができる。
【0079】
(5)トップシート搬送部41は、第1搬送ドラム411の外周面411aにトップシート200を保持させながら第1搬送ドラム411を回転させることによってトップシート200を搬送するため、トップシート200を安定して搬送することができる。また、トップシート搬送部41は、外周面411aに形成された複数の通気穴を介して外周面411aの外側から内側に向かってエアを通過させるため、外周面411aにおけるトップシート200の保持がより確実となることに加え、落下口461から落下した冷感剤16をエアで吸引することで飛散を抑制することができる。
【0080】
(6)トップシート搬送部41では、第1搬送ドラム411の外周面411aの最も高い位置H1においてトップシート200が外周面411aに保持されているため、位置H1からトップシート200とバックシート300とが接触する位置までの水平方向の領域において落下部46を配置することができ、落下部46の位置決めがしやすい。
【0081】
(7)落下部46の落下口461は、第1搬送ドラム411の外周面411aの最も高い位置H1及び第2搬送ドラム421の外周面421aの最も高い位置H2よりも低い位置に配置されているため、落下口461からトップシート200の吸収体10側の面200aまでの距離を近づけることができると共に、バックシート300からはみ出して冷感剤16が飛散することを抑制することができる。
【0082】
(8)落下部46から落下する冷感剤16の粒径が40〜80μmであるため、冷感剤16がトップシート200を貫通してしまうといった問題や、トップシート200に対しての跳ね返りが大きくなるといった問題を回避し、冷感剤16の飛散を抑制することができる。
【0083】
(9)トップシート200は不織布であり、吸収体10側の面200aの表面粗さの平均SDM値が4〜6μmであるため、落下した冷感剤16のトップシート200の吸収体10側の面200aへの定着性がより良好になる。
【0084】
(10)加熱部43は、第1接着剤塗布部44によってトップシート200に接着剤が塗布される前にトップシート200を加熱するため、トップシート200の繊維間の空隙が広がり、落下した冷感剤16のトップシート200の吸収体10側の面200aへの定着性がより良好になる。
【0085】
===その他===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
【0086】
上記の実施形態では、第1シートをトップシート200とし、第2シートをバックシート300として説明したが、これに限らず、第1シートをバックシート300とし、第2シートをトップシート200としてもよい。
【0087】
上記の実施形態では、粒状体として清涼剤を含んだ冷感剤16について説明したが、これに限らず、例えば芳香剤等であってもよい。
【0088】
上記の実施形態では、トップシート搬送部41は第1搬送ドラム411を用いてトップシート200を、バックシート搬送部42は第2搬送ドラム421を用いてバックシート300を、それぞれ搬送していたが、これに限らず、例えば複数のローラーを用いてトップシート200及びバックシート300を搬送してもよい。
【0089】
上記の実施形態では、落下口461の鉛直下方向よりもトップシート200の搬送方向の下流側においてトップシート200の搬送方向と交差する方向からトップシート200に向かってバックシート300が搬送されて、トップシート200とバックシート300との間の領域に落下した冷感剤16が挟まれる旨説明したが、これに限らず、例えば落下した冷感剤16がトップシート200の接着剤塗布領域BA上に接着して定着した状態でトップシート200がしばらく搬送された後にバックシート300がトップシート200と接触してもよい。
【0090】
上記の実施形態では、バックシート300は、トップシート200と接触する側の面300aのうち、トップシート200の接着剤塗布領域BAに接着剤が塗布されていたが、本発明を実施する際に必ずしもバックシート300側に接着剤が塗布されている必要はない。ただし、冷感剤16のトップシート200及びバックシート300に対する定着性を鑑みれば、バックシート300側にも接着剤が塗布されていることが望ましい。