特許第5965985号(P5965985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5965985
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】着色料
(51)【国際特許分類】
   C09B 61/00 20060101AFI20160728BHJP
   C09B 67/54 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   C09B61/00 Z
   C09B67/54 Z
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-265128(P2014-265128)
(22)【出願日】2014年12月26日
(62)【分割の表示】特願2014-81(P2014-81)の分割
【原出願日】2009年8月14日
(65)【公開番号】特開2015-110784(P2015-110784A)
(43)【公開日】2015年6月18日
【審査請求日】2014年12月26日
(31)【優先権主張番号】特願2008-245585(P2008-245585)
(32)【優先日】2008年9月25日
(33)【優先権主張国】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 Tetrahedron Letters,50,2003−5,2009:Available online 2009.02.15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構のホームページ:平成20年度 九州沖縄農業研究成果情報:イネ品種「初山吹」胚乳由来の新規黄色色素oryzamutaic acid Aの構造:掲載日2009.07.01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構のホームページ:平成20年度 九州沖縄農業研究成果情報:胚乳が黄色い水稲新品種「初山吹」:掲載日2009.07.01
【微生物の受託番号】FERM  BP-11149
(73)【特許権者】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(73)【特許権者】
【識別番号】304028346
【氏名又は名称】国立大学法人 香川大学
(73)【特許権者】
【識別番号】598041795
【氏名又は名称】神戸天然物化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100101904
【弁理士】
【氏名又は名称】島村 直己
(72)【発明者】
【氏名】中野 洋
(72)【発明者】
【氏名】坂井 真
(72)【発明者】
【氏名】梶 亮太
(72)【発明者】
【氏名】吉田 充
(72)【発明者】
【氏名】小瀬村 誠治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 利貞
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 克利
【審査官】 早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−339884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 61/00
C09B 67/54
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イネ品種初山吹(FERM BP−11149)又はその後代の種子、玄米、胚乳又は糠から水又はアルコール水溶液で抽出し、デンプンを除去した抽出物からなる着色料。
【請求項2】
デンプンを除去した抽出物を、さらに固定相に吸着させ、溶媒により溶出させた画分からなる請求項1に記載の着色料。
【請求項3】
イネ品種初山吹(FERM BP−11149)又はその後代の種子、玄米、胚乳又は糠から水又はアルコール水溶液で抽出し、デンプンを除去し、得られた抽出物を着色料とする、着色料の製造方法。
【請求項4】
デンプンを除去した抽出物を、さらに固定相に吸着させ、溶媒により溶出させ、得られた画分を着色料とする、請求項3に記載の着色料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色素化合物及びその製造方法、並びに着色料に関する。さらに詳しくは、天然由来の着色料として好適に用いられる、色素化合物及びその製造方法、並びに着色料に関する。なお、本発明において「色素化合物」には、黄色等を呈する化合物の他、無色であるその類縁化合物も含むものとする。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な色調を持った着色料が、各業界より強く要望されている。特に、植物等の抽出物から得られる天然由来の色素を用いた着色料は、食品、医薬品、化粧品、工業薬品及びその他の技術分野で広く使用することができる。
【0003】
天然由来の食用黄色色素として、カロテノイド系(クチナシのクロシン及びクロセチン、アブラヤシのサフロミン、マリーゴールドのルテイン)並びにフラボノイド系(ウコンのクルクミン)の物質が知られている(非特許文献1)。
【0004】
また、特許文献1には、クチナシ抽出液を吸着樹脂処理あるいは膜分離処理することなくキレート樹脂で処理する、クチナシ黄色素の精製方法が開示されている。さらに、特許文献2には、紅花抽出液を活性炭に接触させ色素成分を含む固形分を吸着させる工程、及びアルカリ溶液で色素成分を抽出する工程を含む、紅花黄色色素の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−131633号公報
【特許文献2】特開平10−306224号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】栄養学・食品学教育研究会編集、「エスカ食品化学」、東京同文書院、p.107〜121
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
食品等に用いられる天然由来の黄色色素は、カロテノイド系及びフラボノイド系の物質が知られ、その色調も限られていた。そのため、天然由来の優れた黄色色素の新たな開発が望まれていた。
【0008】
九州沖縄農業研究センター稲育種ユニットでは、イネ品種「キヌヒカリ」に突然変異処理を施すことにより、これまでに報告例の全くない、胚乳全体が黄色を呈する品種「初山吹」(旧系統名:西海黄256号)を育成した。しかし、「初山吹」の黄色物質の本体は未だ特定されていない。
【0009】
そこで本発明は、「初山吹」の黄色物質を特定し、それによって植物由来の新規な色素化合物を提供することを目的とする。また、この色素化合物を成分として含む着色料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明者らは、「初山吹」の胚乳のアルコール/水抽出物から黄色物質及び無色物質を単離することに成功し、この黄色物質及び無色物質の物理化学的性質を分析することにより、本物質が従来のカロテノイド系やフラボノイド系の色素と異なる未知の新規物質であることを明らかにした。また、その工業的製法を確立し、本発明の完成に至った。すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
【0011】
(1)イネ品種初山吹(FERM BP−11149)又はその後代の種子、玄米、胚乳又は糠から水又はアルコール水溶液で抽出し、デンプンを除去した抽出物からなる着色料。
【0012】
(2)デンプンを除去した抽出物を、さらに固定相に吸着させ、溶媒により溶出させた画分からなる上記(1)に記載の着色料。
【発明の効果】
【0013】
本発明によって得られる黄色又は無色の新規色素化合物は、植物由来の着色料として、食品、医薬品、化粧品、工業薬品、及びその他の技術分野において有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る色素化合物の構造を示す図である。
図2】本発明に係る色素化合物の紫外吸収スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る色素化合物は、式Iで表される。
【化1】
【0016】
上記式Iにおいて、R及びRは、それぞれ独立してヒドロキシル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基であり、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜4のアシル基又は炭素数1〜4のアルキル基であり、
【化2】


は単結合又は二重結合であり、R及びRは、それぞれ独立して水素原子であるか、あるいは、アミノ基及び/又は−COR(Rはヒドロキシル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基である)を有しても良い、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又は含窒素複素環基である。
【0017】
上記R、R及びRに関し、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。また、炭素数1〜4のアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられ、さらに炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。
【0018】
また、「アミノ基及び/又は−CORを有しても良い、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又は含窒素複素環基」としては、−(CHCH(COOH)(NH)等の構造を有する直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基や含窒素複素環基が挙げられる。この場合、アルキル基及び複素環基の炭素数(−CORの炭素を含まず)は、1〜8であることが好ましく、特に好ましくは4〜6である。なお、環を形成する場合、環員としてアミノ基の窒素原子を含み、その結果2級アミノ基−NH−を有していても良い。
【0019】
好ましくは、本発明に係る色素化合物は式IIの構造を有している。
【化3】
【0020】
上記式IIにおいて、R及びR、R及びRは上記定義の通りである。Rは、ヒドロキシル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基であり、この炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。
【0021】
特に好ましくは、本発明に係る色素化合物は式IIIの構造を有している。
【化4】
【0022】
また、特に好ましくは、本発明に係る色素化合物は式IVの構造を有している。
【化5】
【0023】
また、特に好ましくは、本発明に係る色素化合物は式Vの構造を有している。
【化6】
【0024】
また、特に好ましくは、本発明に係る色素化合物は式VIの構造を有している。
【化7】
【0025】
また、別の実施形態として、本発明に係る色素化合物は、式VIIで表される。
【化8】
【0026】
上記式VIIにおいて、R及びR10は、それぞれ独立してヒドロキシル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基である。この炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
【0027】
好ましくは、本発明に係る色素化合物は式VIIIの構造を有している。
【化9】
【0028】
式III〜VI及びVIIIの色素化合物は、イネ品種初山吹(旧系統名:西海黄256号)又はその後代の種子(籾殻が付いた状態のもの)、玄米、胚乳(精米)又は糠から得ることができる。この初山吹は、1998年5月農業生物資源研究所放射線育種場において、新規形質を備えた品種の育成を目標に「キヌヒカリ」にγ線照射(照射線量:300Gy、線量率:15Gy/h)を行った種子から育成された。その後、1998年6月に国際農林水産業研究センター沖縄支所において、M世代を屋外苗箱放置栽培で養成し、1999年に九州農業試験場(現・九州沖縄農業研究センター)の圃場においてMを養成して株毎にM種子を採種した。Mの玄米の外観調査により玄米が黄色を呈する突然変異を選抜した後、系統育種法により選抜固定を行った。
【0029】
2002年Mより「泉1275」の名で生産力検定試験、特性検定試験に供試したところ、精米も黄色を呈する黄色胚乳突然変異であることが明らかになった。2003年以降も、生産力検定試験、特性検定試験に供試し、黄色胚乳をはじめとする主要形質が実用的に固定されたため、2005年Mより「西海黄256号」の地方名を付した。2008年11月に「初山吹」の品種名で種苗法に基づく品種登録出願を行い、2009年2月に出願公表された(出願番号:第23176号)。初山吹の特性は次の通りである。
【0030】
1)形態的特徴
「キヌヒカリ」と比較して稈長はやや短く、穂長は同程度、穂数はやや少ない中間型である。止葉は立ち草姿・熟色は良い。芒は無く、粒着密度は中、ふ先色は黄白である。脱粒性は難である。
【0031】
2)生態的特徴
出穂期は「キヌヒカリ」と同程度で、「ミネアサヒ」より5日早い。成熟期は「キヌヒカリ」と同程度で「ミネアサヒ」より2日程度早く、暖地では極早生に属する粳種である。収量性は「キヌヒカリ」よりやや少収である。耐倒伏性は「キヌヒカリ」並である。葉いもち、穂いもちとも「キヌヒカリ」並のやや弱である。縞葉枯病抵抗性は不明である。白葉枯病抵抗性は「キヌヒカリ」並のやや弱である。穂発芽性は「キヌヒカリ」並のやや易である。
【0032】
3)品質、食味特性
玄米は千粒重が22g前後で、「キヌヒカリ」並かやや小さい中粒である。玄米の外観品質は粒色がやや黄色を呈するが、腹白、心白、乳白の発現は「キヌヒカリ」と同程度である。精米、飯米は黄色を呈する。食味は「日本晴」並である。
【0033】
なお、初山吹の種子は、2008年9月3日、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(郵便番号305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に受託番号FERM P−21664として寄託され、2009年7月27日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、受託番号FERM BP−11149が付与されている。
【0034】
なお、本発明において「後代」とは、初山吹を母本又は父本として用いて人工交配を行った雑種の後代に由来する、あるいは初山吹の種子又は組織に対して突然変異又は形質転換等の遺伝的変異を生じせしめる処理を行った後代に由来する品種又は系統であって、初山吹の持つ黄色胚乳形質を有しているものをいう。
【0035】
色素化合物は、初山吹又はその後代の種子(籾殻が付いた状態のもの)、玄米、胚乳(精米)又は糠から溶媒で抽出し、抽出液より分離精製して得ることができる。抽出溶媒としては、一般には水又は有機溶媒、好ましくは水又はアルコール水溶液が用いられる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等が挙げられるがこれに限定されるものではない。また場合により、抽出剤としてキレート剤や酸・アルカリ等を加えても良い。得られた抽出液は、必要に応じてアルコール沈殿、限外濾過等の手段によりデンプンを取り除き、さらに濾過・濃縮した後に精製することによって目的とする色素化合物を効率良く得ることができる。
【0036】
精製は、従来知られた方法が用いられ、例えばシリカゲルクロマトグラフィー、逆相シリカゲルクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等を適宜組み合わせて行うことができる。
【0037】
抽出液から分離精製することで上記式III〜VI及びVIIIの色素化合物が得られる。その際、溶出液の組成を変えること等によって、所望の化合物を単離することができる。そして、これらの化合物を精製後、あるいは精製前に適切な試薬で処理することにより、式III〜VI及びVIIIの化合物の誘導体を得ることができる。具体的には、例えば上記式I、式II又は式VIIにおいてR〜R、R及びR10がアルコキシ基である誘導体は、必要に応じて脱水剤を添加した上で適切なアルコールと例えば式IIIや式VIII等の対応する化合物とを反応させ、エステル化することで得ることができる。式IにおけるR及びRが−CORを有する場合も、同様にしてカルボキシル基をエステル化することにより得ることができる。また、R及びRが炭素数1〜4のアシル基であるアミド誘導体は、式III等の化合物と、対応するカルボン酸ハロゲン化物もしくはカルボン酸無水物とを反応させるか、DCC等の脱水剤を用いてカルボン酸と反応させることにより得ることができる。さらに、R及びRがアルキル基である誘導体は、R及びRが水素原子である式III等の化合物を、金属塩とした後ハロゲン化アルキルで処理するか、あるいは銅、ビスマス等からなるアルキル化金属試薬で処理してN−アルキル化することにより得ることができるが、この方法に限定されるものではない。特に色素化合物を食品、医薬品、化粧品等の着色剤として利用する場合は、毒性等を考慮して、用いる試薬に留意するものとする。
【0038】
本発明によって得られる化合物は黄色又は無色を呈する新規な色素化合物である。植物由来であるため、食用の着色剤として好適であり、その他、医薬品、化粧品、工業薬品等の着色剤としても幅広く利用することができる。なお、式I〜式VIIIで表される色素化合物は、例えば水中においてカルボキシル基がCOOとして存在する等、イオン化した状態となり得るが、このようなイオン化した色素化合物も本発明に包含されることは無論である。
【0039】
また、着色料として利用するためには、必ずしも色素化合物として単離する必要はなく、分離精製工程の途中で得られる、色素化合物を一成分として含む組成物の状態を着色料として用いても良い。具体的には、例えば、イネ品種初山吹又はその後代の種子、玄米、胚乳又は糠から水又はアルコール水溶液で抽出し、デンプンを除去し、必要に応じて乾燥させた抽出物(式III〜式VI及びVIIIの化合物の混合物を含む)をそのまま着色料として利用することができる。ここで、抽出物の固形分中、式III〜式VI及びVIIIの化合物群の含有率は、抽出方法によって異なるが、通常、0.01〜0.50重量%程度である。あるいは、デンプンを除去した抽出物を、さらにカラムクロマトグラフィー等の固定相に吸着させ、適切な溶媒により溶出させた画分(通常、式III〜式VI及びVIIIの化合物のいずれか一以上を含む)を、そのまま着色料とすることができる。なお、初山吹の種子にはフラボノイド化合物はほとんど含まれないため、これらの着色料にもフラボノイド化合物はほとんど含まれない。
【実施例】
【0040】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
(実施例1)
イネ品種初山吹(旧系統名:西海黄256号)の胚乳20kgを、メタノール水溶液100L(メタノール:水=10:90(v/v))により1日間25℃の条件下で抽出した。この抽出液を濾過し、35℃減圧下で濃縮した後、メタノール水溶液(メタノール:水=5:1(v/v))を用いてメタノール沈殿(3500×g、10分間、25℃)させた。
【0041】
続いて、黄色を示した上清画分(184g)を、35℃減圧下で濃縮し、Sep−pak C18カートリッジクロマトグラフィーによって、メタノール水溶液(メタノール:水=0:100、5:95、10:90、15:85、20:80、100:0(v/v))で6分画した。黄色を示したメタノール水溶液(メタノール:水=10:90(v/v))画分(2g)を、35℃減圧下で濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(ODS−80Ts、4.6×250mm、東ソー、メタノール:水=10:90(v/v)、0.8ml/分)に供した。保持時間9〜11分の黄色を示した画分から目的の黄色を呈する色素化合物35mgを得た。
【0042】
得られた色素化合物について、単結晶X線構造解析、高分解能エレクトロスプレー質量分析(HRESIMS)及びNMRにより構造決定を行った。単結晶X線構造解析の使用機器は、ビームラインがSPring−8のBL26B1、検出器がRigaku RAXIS V imaging plate area detectorである。その結果、上記式IIIに示される平面化学構造式及び図1に示される絶対構造式を得た。また、本化合物は、その紫外-可視吸収スペクトル(図2)がカロテノイド系やフラボノイド系の物質とは異なり、これらの物質とは別の色調を有していた。
【0043】
色素化合物の物理化学的性質は次の通りである。また、色素化合物の13C NMR及びH NMRスペクトル(測定溶媒:DO)を表1に示す。
【0044】
(1)外観
黄色粉末
(2)紫外-可視吸収スペクトルλmax(水)
395nm(ε17200)
(3)分子式
2332
(4)HRESIMSによる分子量
461.247558(M+H)
459.208096(M+H)
【0045】
【表1】
【0046】
(実施例2)
上記実施例1におけるメタノール水溶液(メタノール:水=20:80)画分を、35℃減圧下で濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(ODS−80Ts、4.6×250mm、東ソー、メタノール:水=3:17(v/v)、0.8ml/分)に供した。保持時間10〜15分の黄色を示した画分から目的の黄色を呈する色素化合物1.7mgを得た。
【0047】
得られた色素化合物について、実施例1と同様に単結晶X線構造解析、高分解能エレクトロスプレー質量分析(HRESIMS)及びNMRにより構造決定を行った。その結果、上記式IVに示される構造式を得た。この色素化合物の物理化学的性質は次の通りである。また、色素化合物の13C NMR及びH NMRスペクトル(測定溶媒:DO)を表2に示す。
【0048】
(1)外観
黄色粉末
(2)紫外-可視吸収スペクトルλmax
395nm
(3)分子式
1723
(4)HRESIMSによる分子量
334.1759(M+H)
【0049】
【表2】
【0050】
(実施例3)
上記実施例1におけるメタノール水溶液(メタノール:水=20:80)画分を、35℃減圧下で濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(ODS−80Ts、4.6×250mm、東ソー、メタノール:水=3:17(v/v)、0.8ml/分)に供した。保持時間10〜15分の画分から目的の無色を呈する色素化合物6.9mgを得た。
【0051】
得られた色素化合物について、実施例1と同様に単結晶X線構造解析、高分解能エレクトロスプレー質量分析(HRESIMS)及びNMRにより構造決定を行った。その結果、上記式Vに示される構造式を得た。この色素化合物の物理化学的性質は次の通りである。また、色素化合物の13C NMR及びH NMRスペクトル(測定溶媒:DO)を表3に示す。
【0052】
(1)外観
無色粉末
(2)紫外-可視吸収スペクトルλmax
360nm
(3)分子式
1725
(4)HRESIMSによる分子量
336.1915(M+H)
【0053】
【表3】
【0054】
(実施例4)
上記実施例1におけるメタノール水溶液(メタノール:水=15:85)画分を、35℃減圧下で濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(ODS−80Ts、4.6×250mm、東ソー、メタノール:水=3:22(v/v)、0.8ml/分)に供した。保持時間12〜14分の画分から目的の無色を呈する色素化合物0.6mgを得た。
【0055】
得られた色素化合物について、実施例1と同様に単結晶X線構造解析、高分解能エレクトロスプレー質量分析(HRESIMS)及びNMRにより構造決定を行った。その結果、上記式VIに示される構造式を得た。この色素化合物の物理化学的性質は次の通りである。また、色素化合物の13C NMR及びH NMRスペクトル(測定溶媒:DO)を表4に示す。
【0056】
(1)外観
無色粉末
(2)紫外-可視吸収スペクトルλmax
360nm
(3)分子式
2335
(4)HRESIMSによる分子量
465.2705(M+H)
【0057】
【表4】
【0058】
(実施例5)
上記実施例1におけるメタノール水溶液(メタノール:水=20:80)画分を、35℃減圧下で濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(ODS−80Ts、4.6×250mm、東ソー、メタノール:水=3:17(v/v)、0.8ml/分)に供した。保持時間10〜15分の黄色を示した画分から目的の黄色を呈する色素化合物0.7mgを得た。
【0059】
得られた色素化合物について、実施例1と同様に単結晶X線構造解析、高分解能エレクトロスプレー質量分析(HRESIMS)及びNMRにより構造決定を行った。その結果、上記式VIIIに示される構造式を得た。この色素化合物の物理化学的性質は次の通りである。また、色素化合物の13C NMR及びH NMRスペクトル(測定溶媒:DO)を表5に示す。
【0060】
(1)外観
黄色粉末
(2)紫外-可視吸収スペクトルλmax
395nm
(3)分子式
1925
(4)HRESIMSによる分子量
360.1900(M+H)
【0061】
【表5】
図1
図2