(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記貨物倉の中心に上下方向に延びるように固定配置されたセンターコラムを有し、このセンターコラムを介して前記水平搬送装置からの前記貨物を前記貨物倉の外部に排出する
ことを特徴とする請求項1記載の水平スクリュー式サイロ。
前記被ロック部は鉛直方向に延びるように配置され、前記第4のクランプアーム部は先端部が前記旋回フレーム及び前記スクリューフレーム部の長手方向に沿って進退可能に配置されている
ことを特徴とする請求項10記載の水平スクリュー式サイロ。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付の図面を参照して、この発明の実施の形態に係る水平スクリュー式サイロ及びこれを備えた貨物運搬船を詳細に説明する。
【0028】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る水平スクリュー式サイロを搭載した貨物運搬船の全体構成を示す側方断面図である。また、
図2は貨物運搬船の上方平面図、
図3Aは
図2のA−A’拡大断面図、
図3Bは
図3Aの一部拡大断面図である。
図4は
図3AのB−B’拡大断面図である。更に、
図5は
図3AのC−C’拡大断面図、
図6は、水平スクリュー式サイロの水平搬送装置の一部拡大概要図である。
図7は
図4のD−D’拡大断面図である。
図1及び
図2に示すように、貨物運搬船1は、粉体、細粒、塊状、ペレット状、高水分含有物等の貨物を運搬する船舶である。
【0029】
貨物運搬船1は、底部の船底外板2の上に二重底板3を有すると共に、側面部に外側外板4を有する。また、貨物運搬船1は、上部に上甲板5が設けられている。船首部6と船体の前後方向に反対側の船尾部7の機関室の上には、船橋7aを備えている。船首部6と船尾部7との間には、貨物Cを収容する例えば円筒形の水平スクリュー式サイロ10を複数有している。貨物運搬船1は、例えば推進装置を有さないメガフロートや艀等も含むものである。
【0030】
図3Aに示すように、水平スクリュー式サイロ10は、筒形の例えば円筒形の貨物倉20を備える。貨物倉20の内部の中心部には、垂直方向に延びるセンターコラム14が固定され、その上部に貨物倉20の上部中央まで延びる旋回筒11が設けられている。貨物倉20の内部の上部位置には、旋回装置39が設けられ、この旋回装置39は、旋回筒11と共に旋回して先端が貨物倉20の内壁面まで延びる旋回フレーム30を備えている。旋回フレーム30には、水平搬送装置40が吊り下げられている。水平搬送装置40は、貨物Cの上面高さに応じて旋回装置39の旋回フレーム30からの吊り下げ量の制御によって、上下方向の位置を制御されると共に旋回フレーム30と共に旋回する。
【0031】
旋回筒11の上端には、上から貨物Cを投入するための供給シュート11cが設けられている。供給シュート11cの下方には、水平スクリューコンベア12が配置され、水平スクリューコンベア12の排出部には、上下方向に伸縮するテレスコピックシュート13が配置されている。テレスコピックシュート13の排出口は、水平搬送装置40の旋回中心側の端部上に位置している。
【0032】
水平搬送装置40は、供給シュート11c、水平スクリューコンベア12、テレスコピックシュート13を介して受け入れた貨物Cを径方向の外側に向けて搬送し、その過程で貨物Cを径方向に平均的に散布する。また、水平搬送装置40は、旋回装置39の旋回フレーム30の旋回動作に伴い旋回して、貨物Cを周方向に均一に散布する。また、水平搬送装置40は、貨物Cを掻き取って径方向の内側に搬送し、センターコラム14を介して貨物倉20の中央下端に払い出す。貨物倉20から払い出された貨物Cは、排出コンベア18を介して外部に排出される。なお、付着性が低い貨物Cを取り扱う場合には、上記供給シュート11c及び水平スクリューコンベア12を、図示しない傾斜シュートに置き換えることも可能である。
【0033】
次に、各部の詳細について説明する。
貨物倉20は、円筒側壁部20aと、この円筒側壁部20aの下端を塞ぐ底面部20bと、円筒側壁部20aの上端を塞ぐ上面部20cとを備えて構成されている。円筒側壁部20aの内面は、円筒壁面20dを形成している。底面部20b及び上面部20cは、平面形状の円板形の部材からなる。なお、底面部20bは、図示のように水平に形成することもできるが、貨物倉20からの排水性を考慮する場合は、外周側から中央側に向かって下がる構造となるように形成しても良い。
【0034】
水平スクリュー式サイロ10の上面部20cには、貨物を受け入れるための穴が形成されており、この穴の部分に旋回筒11の上端が旋回軸受11aを介して回転可能に取り付けられている。旋回筒11の中央には、固定の貨物供給口11bから続く旋回筒11と共に旋回する供給シュート11cが配置されている。
【0035】
センターコラム14は、旋回筒11の下端部に軸受11dを介して接続されている。センターコラム14は、旋回筒11の下端部から貨物倉20の中心を通り底面部20bまで延びており、底面部20bに固定されている。図示は省略するが、センターコラム14は、ほぼ全周にわたって開口し、上下方向に多段に並んで形成された受入部(受入口)を有し、後述する水平搬送装置40でセンターコラム14側に搬送されてくる貨物Cをその内部に搬入できるように構成されている。
【0036】
なお、センターコラム14の中心部には、例えば電源ケーブルや信号ケーブル等の各種ケーブルを通すケーブル通路14cが設けられ、このケーブル通路14cを通った各種ケーブルは、センターコラム14の上部に設けられた回転ブラシ14bを介して、旋回筒11の側方に引き出されたケーブル14aと電気的に接続され、旋回装置39等に電力等の供給が可能な構造となっている。
【0037】
円筒側壁部20aの円筒壁面20dの上部には、円筒壁面20dを一周するように円筒壁面20dから断続的又は連続的に突出したレール受け部20fが形成されている。このレール受け部20fの上面には、円筒壁面20dに沿ったレール台座部20g及びその上面に配置されたレール部20eが設けられている。
図3B及び
図4に示すように、旋回装置39の旋回フレーム30は、中央部を旋回筒11に支持されると共に、円筒壁面20d側の端部が円筒壁面20dのレール部20e上に走行車輪31を介して支持されている。
【0038】
例えば、走行車輪31は、駆動装置32によって駆動される。駆動装置32は、例えば走行車輪31に直結された減速機及びこの減速機を介して走行車輪31に駆動力を付与する駆動機を有する。駆動装置32は、車輪軸により支持されると共に、旋回フレーム30に図示しない部材により連結されて、駆動反力により駆動装置32が転倒しないように構成されている。走行車輪31は、旋回フレーム30の一部の荷重を支持しながら駆動装置32によって転動可能に旋回フレーム30に設けられている。
【0039】
また、旋回装置39の旋回フレーム30の円筒壁面20d側の端部には、
図4及び
図7に示すように、レール部20eを上方から径方向(水平方向)に挟み込む一対のアーム部を有するクランプアーム部51と、クランプアーム部51を開閉動作させるスプリングバック式油圧シリンダ52とを有するレールクランプ装置50(
図3においては不図示)が、少なくとも一つ配置されている。
【0040】
レールクランプ装置50は、主に水平スクリュー式サイロ10による貨物Cの積荷役又は揚荷役が行われない休止期間において、旋回装置39の旋回フレーム30の貨物運搬船1の揺れや傾きに伴う旋回移動を防止するために設けられる。
【0041】
クランプアーム部51は、それぞれアーム部の先端の対向面側に取り付けられたブレーキシュー51aと、レールクランプ装置50の筐体に固定された軸51bと、ブレーキシュー51aと反対側のアーム部の端部を可動連結するリンク部51cと、リンク部51cの中央部とスプリングバック式油圧シリンダ52のシリンダロッド52aの先端とを連結する連結ピン51dとを備えて構成されている。
【0042】
連結ピン51dの両端は、図示はしないがレールクランプ装置50の筐体に固定されたガイドの溝内を移動するように構成されている。ガイドの溝幅は、
図7中実線で示す連結ピン51dの位置では、連結ピン51dがレール部20eの径方向に自在に動けるよう十分広くなっており、また
図7中二点鎖線で示す位置では、連結ピン51dの直径より僅かに広くなるよう構成される。ガイドは、ガイドの溝の中心線が、固定ピン52dの中心を通る鉛直線に一致するようにレールクランプ装置50の筐体に固定されている。
【0043】
スプリングバック式油圧シリンダ52は、上記シリンダロッド52aと、このシリンダロッド52aの端部に設けられたピストン52bと、シリンダ内の油圧が開放されたときにこのピストン52bを上方向へ移動させるスプリング52cと、シリンダ本体をレールクランプ装置50の筐体に径方向に僅かに揺動可能に接続固定する固定ピン52dとを備えて構成されている。
【0044】
なお、レールクランプ装置50は、その他、図示は省略するが、ピストン52bの位置やシリンダ内の油圧を検出する検出器を備えている。また、レールクランプ装置50は、クランプアーム部51のアーム部間の中心線(作用中心線(連結ピン51dの鉛直方向の線))とレール部20eの中心線とが、径方向において鉛直方向にほぼ一致するように旋回フレーム30に配置されている。
【0045】
このように構成されたレールクランプ装置50は、
図7中二点鎖線で示すように、非制動時には、スプリングバック式油圧シリンダ52のシリンダ内の油圧が高められ、ピストン52bがスプリング52cの弾性力に抗して下方に押され、シリンダロッド52aがシリンダ本体から下方に押し出された状態となる。これにより、リンク部51cが連結ピン51dの方向に閉じるように動作して、クランプアーム部51は軸51bを介してアーム部の先端がそれぞれレール部20eから離れる方向に開動作された状態となり、また連結ピン51dは、前述のガイドにより、レール部20eの中心線と連結ピン51dの鉛直方向中心線がほぼ一致するように規制されるので、ブレーキシュー51aとレール部20eの側面とは接触しない。
【0046】
一方、
図7中実線で示すように、制動時には、スプリングバック式油圧シリンダ52のシリンダ内の油圧が開放されて低められ、ピストン52bがスプリング52cの弾性力によって上方に押されてシリンダロッド52aが上方に押し戻された状態となる。これにより、リンク部51cが連結ピン51dから離れる方向に開くように動作して、クランプアーム部51は軸51bを介してアーム部の先端がそれぞれレール部20eに近付く方向に閉動作された状態となるので、ブレーキシュー51aがレール部20eの側面と接触した状態でクランプアーム部51によりレール部20eが挟み込まれる。従って、これらの摩擦力により旋回装置39の旋回フレーム30の旋回動作が制動される。
【0047】
なお、制動時においては、クランプアーム部51の連結ピン51dは径方向の動きが規制されていないため、上記のようなクランプアーム部51の作用中心線とレール部20eの中心線とが多少ずれていても、レール部20eを挟持する力に変動はなく、良好に制動できる構成となっている。
【0048】
更に、旋回装置39の旋回フレーム30の上部には、吊下げワイヤ34を巻き取るためのウィンチ35やワイヤシーブ36が設けられている。水平搬送装置40は、旋回フレーム30に水平状態を維持した状態で複数の接続点34a,34b(
図5参照)で吊下げワイヤ34に接続され、この吊下げワイヤ34によって吊り下げられている。旋回装置39は、上記ウィンチ35によりこの吊下げワイヤ34を旋回フレーム30のワイヤシーブ36を介して巻き取ったり、繰り出したりすることで、水平搬送装置40全体を上下移動可能に支持している。
【0049】
水平搬送装置40は、
図5に示すように、例えばセンターコラム14の周囲に配置された旋回ローラユニット45と上記吊下げワイヤ34とを介して、貨物倉20内を旋回及び上下移動可能に取り付けられている。水平搬送装置40は、貨物倉20内の貨物Cを、貨物倉20の中心部(ここでは、センターコラム14)と円筒壁面20dとの間で水平方向に搬送して散布及び集荷を行うものである。なお、旋回ローラユニット45は、本例ではセンターコラム14に対して水平方向に加わる力のみを支持する構造であるため、上下方向には自在に動けるように構成されている。
【0050】
水平搬送装置40は、貨物倉20の中心軸から円筒壁面20dに向かって径方向に延びるスクリューフレーム部48を有する。スクリューフレーム部48は、例えば旋回ローラユニット45に一体接合されている。スクリューフレーム部48は、貨物倉20内の貨物Cを水平方向に搬送するための、水平搬送装置40の長手方向に延びてその短手方向に並設された一対の水平スクリュー41,42を支持する。
【0051】
また、スクリューフレーム部48は、水平スクリュー41,42を駆動するための駆動機43,44を円筒壁面20d側の端部に備える。駆動機43,44は、更にそれぞれ水平スクリュー41,42のスクリュー軸に取り付けられており、これにより、駆動機43,44が作動することにより発生する転倒反力をスクリューフレーム部48が受け止めて駆動機43,44が転倒しないように構成されている。
【0052】
なお、上記接続点34a,34bは、
図5に示すように、水平搬送装置40の長手方向の両端の2箇所において、それぞれ短手方向に2箇所ずつ設けられている。具体的には、接続点34aはスクリューフレーム部48の円筒壁面20d側端部に、接続点34bはスクリューフレーム部48のセンターコラム14側端部に、それぞれ設けられている。
【0053】
水平スクリュー41は、
図5及び
図6に示すように、図中矢印で示す水平搬送装置40の揚荷役時の旋回方向Tの先行側(前方側)に配置され、水平スクリュー42は後続側(後方側)に配置されている。各水平スクリュー41,42は、本例では水平スクリュー41のスクリュー外径が水平スクリュー42のスクリュー外径よりも小さくなるように異径のスクリュー外径を備えて構成され、例えば積載されている貨物Cの上面CS(
図6参照)から所定量の深さD1だけ貨物Cを掻き取り可能に配置されている。スクリュー外径が上記のように異径に形成されることにより、例えば水平スクリュー41が深さD1よりも浅い貨物Cを掻き取った後に、残りの貨物Cを水平スクリュー42が掻き取り、上記所定量の深さD1に相当する厚さの貨物Cを掻き取り可能な構成となっている。また、同径のスクリュー外径を有する水平スクリュー41,42を備えて、軸心の取付高さを調整しても同等の効果が得られる。
【0054】
水平搬送装置40の各水平スクリュー41,42は、貨物Cを貨物倉20の中心と円筒壁面20dとの間で水平方向に搬送し、散布や分散、集荷や収集を行うものである。これらは、相互に逆方向に回転するように駆動機43,44により駆動される。各水平スクリュー41,42は、例えば正回転では貨物Cが円筒壁面20d側に移動し、逆回転では貨物Cがセンターコラム14側へ移動するように構成されている。
【0055】
テレスコピックシュート13は、水平スクリューコンベア12からの貨物Cを、水平搬送装置40に対して貨物Cの自由落下(降下)により供給するものであり、水平搬送装置40の上下移動に伴って、伸縮するように構成されている。水平スクリューコンベア12は、旋回フレーム30の旋回に伴って旋回し、この水平スクリューコンベア12の一端側が供給シュート11cの下方に配置され、他端側がテレスコピックシュート13の上方に配置されている。
【0056】
テレスコピックシュート13の下端は、水平スクリュー41,42間のセンターコラム14の近傍位置に配置される。従って、テレスコピックシュート13は、積荷役の際に貨物Cを旋回する水平搬送装置40の上に確実に落とすためのフィーダの役割を担っている。
【0057】
また、
図3Aに示すように、水平スクリュー式サイロ10の外部の揚荷役設備として、一端側がセンターコラム14の排出口29の下方に配置された水平方向搬送を行う排出コンベア18と、この排出コンベア18の他端側から貨物Cを上方向に搬送する上方向搬送装置8(
図1参照)とを備える。揚荷役設備は、その他、図示は省略するが、上甲板5上に設けられた上部水平搬送装置や、陸上側荷役設備と接続される接続用搬送装置8a(
図1参照)等を備えて構成される。
【0058】
排出コンベア18は、例えばスクリューコンベアやベルトコンベア等で構成される。上方向搬送装置8は、排出コンベア18で搬送された貨物Cを、例えば上甲板5上に搬送する装置であり、垂直方向又は斜め上下方向に配置されたスクリューコンベア、ベルトコンベア、バケットコンベア等で構成され、船首部6側、船尾部7側、又はこれらの中央部分等に配置される。
【0059】
接続用搬送装置8aは、上方向搬送装置8で搬送された貨物Cを接続部を介して、陸上側荷役設備に搬送する装置であり、陸上側荷役設備に貨物Cを搬送することができる。
【0060】
一方、水平スクリュー式サイロ10の外部の積荷役設備としては、
図2に示すように、一端が接続用搬送装置8bに接続された分配装置8cに接続されると共に他端が水平スクリュー式サイロ10の貨物供給口11bに接続された供給装置9を備える。陸上側荷役設備から搬送された貨物Cは、接続用搬送装置8bを介して分配装置8cにて分配され、各供給装置9を通して水平スクリュー式サイロ10に適宜分配供給される。
【0061】
供給装置9は、分配装置8cから供給される貨物Cを水平方向に搬送して、各水平スクリュー式サイロ10の貨物供給口11bに供給する装置である。この供給管9は、例えば水平方向のスクリューコンベア、ベルトコンベア、バケットコンベア等で構成される。
【0062】
ここで、水平スクリュー式サイロ10を利用した積荷役について説明する。積荷役は、貨物Cを、陸上側荷役設備、接続用搬送装置8b、分配装置8c、供給装置9、水平スクリュー式サイロ10の上部の貨物供給口11b、供給シュート11c、水平スクリューコンベア12、テレスコピックシュート13、水平搬送装置40を経由して、貨物倉20内に収容する荷役である。
【0063】
すなわち、まず、貨物運搬船1が積荷地の岸壁に着岸すると、図示しない接続部により陸上側荷役設備と分配装置8cとを接続用搬送装置8bを介して接続する。次に、例えばレールクランプ装置50のスプリングバック式油圧シリンダ52のシリンダ内の油圧を高め、ピストン52bがスプリング52cの弾性力に抗して下方に押され、シリンダロッド52aがシリンダ本体から下方に押し出された状態にする。このようにして、クランプアーム部51の先端に取り付けられたブレーキシュー51aが、レール部20eの側面と接触しない状態にし、制動状態を解除する。
【0064】
このように、各荷役開始前にレールクランプ装置50(又は後述する旋回フレームロック装置60)による制動を解除して旋回装置39が旋回可能な状態にすると共に、例えば後述するフレームロック装置70(又はフレームロック装置80)によるロックを解除して水平搬送装置40が旋回可能な状態とする。
【0065】
そして、陸上側荷役設備から搬送された貨物Cを、接続用搬送装置8bを介して分配装置8cに供給し、供給装置9を介して各水平スクリュー式サイロ10の貨物倉20の上部に設けられた貨物供給口11bに供給する。
【0066】
貨物供給口11bに供給された貨物Cは、供給シュート11cから水平スクリューコンベア12に落下し、水平方向に搬送されてテレスコピックシュート13に供給される。テレスコピックシュート13に供給された貨物Cは、テレスコピックシュート13内を自由落下等することにより、水平搬送装置40のセンターコラム14側に搬送される。
【0067】
水平搬送装置40は、水平搬送装置40に搬送された貨物Cが、例えば水平スクリュー41,42をそれぞれ設定された正回転させることにより、水平搬送装置40のセンターコラム14側から円筒壁面20d側に水平搬送されるように構成されている。また、積荷役開始前に、水平搬送装置40は、予め設定されている水平搬送装置40の貨物倉20内における下限位置レベルから所定の高さを維持する位置に移動される。
【0068】
このような状態となった水平搬送装置40に搬送された貨物Cは、水平搬送され、水平スクリュー41,42の近傍、下方の空間に、センターコラム14側から円筒壁面20d側に向かって水平搬送装置40に沿って順次収容される。このように、貨物Cは、貨物倉20の遠心方向(放射方向)に散布される。
【0069】
そして、この遠心方向の一帯に貨物Cが均されて収容されると、旋回装置39の駆動装置32を作動させて走行車輪31を転動させ、旋回フレーム30を予定の角度だけ旋回させて水平搬送装置40を円周方向(積荷役時の旋回方向T’、
図4及び
図5中矢印参照)に移動させ、更にその遠心方向の一帯に貨物Cを均して収容する。この処理を繰り返し或いは連続的に行って、水平搬送装置40を中心軸Pを中心に360°旋回させて一周させると、その高さにおける貨物Cの均し及び収容の積荷が終了する。積荷役では、このような旋回装置39の旋回フレーム30の旋回に伴う水平搬送装置40の旋回によって、貨物Cを貨物倉20の円周方向に均等に散布して収容する。
【0070】
そして、円筒形の貨物倉20における一周分の貨物Cの均し及び収容が終了した後、旋回フレーム30に設けられたウィンチ35により水平搬送装置40を吊り下げている吊下げワイヤ34を巻き上げて、水平搬送装置40の高さを所定量高くする。その後、この高さにおける一周分の貨物Cの均し及び収容が終了したら、更に水平搬送装置40の高さを所定量高くする。
【0071】
このような処理を繰り返して、貨物Cの均し及び収容を底面部20bの直上から満載状態まで行うことで貨物倉20内に貨物Cを満載状態とし、積荷役を終了する。貨物倉20内への貨物Cの積荷役を各水平スクリュー式サイロ10で同時並行又は順次行って、全ての水平スクリュー式サイロ10を貨物Cの満載状態とする。これにより、水平スクリュー式サイロ10への貨物Cの積荷役を完了する。
【0072】
積荷役を完了したら、上述した動作と逆の動作を行うことにより、レールクランプ装置50(又は後述する旋回フレームロック装置60)により旋回装置39を制動して旋回不可能な状態にすると共に、例えば後述するフレームロック装置70(又はフレームロック装置80)により水平搬送装置40をロックして旋回不可能な状態とする。
【0073】
次に、水平スクリュー式サイロ10を利用した揚荷役について説明する。なお、積荷役において既に説明した内容については割愛する。揚荷役は、水平スクリュー式サイロ10の貨物倉20内に積載された貨物Cを、水平搬送装置40、センターコラム14、排出コンベア18、上方向搬送装置8、上甲板5上の水平搬送装置及び接続用搬送装置8a等を経由して、陸上側荷役設備に揚荷する荷役である。
【0074】
すなわち、まず、貨物運搬船1が揚荷地の岸壁に着岸すると、接続部により陸上側荷役設備と接続用搬送装置8aとを接続する。次に、上記のような制動解除(ロック解除)を行って、水平搬送装置40の水平スクリュー41,42を積荷役のときとは逆回転させ、その後、旋回装置39の旋回フレーム30から水平搬送装置40を吊り下げている吊下げワイヤ34をウィンチ35により繰り出して、水平搬送装置40を、その高さが搭載している貨物Cの上面CSに対して、所定の相対高さとなるように移動させる。
【0075】
次に、旋回装置39の駆動装置32を作動させて走行車輪31を積荷役時とは逆回転で転動させ、旋回フレーム30を所定の旋回速度で旋回させ、水平搬送装置40を積荷役のときとは反対の旋回方向Tに旋回させることにより、貨物Cを水平搬送装置40の円筒壁面20d側からセンターコラム14側へ掻き取りながら水平搬送する。この水平搬送により、貨物Cは、水平搬送装置40の排出端から、センターコラム14の受入部を通ってセンターコラム14内に搬入され、内部で落下してセンターコラム14の下部に搬送される。
【0076】
そして、旋回フレーム30を連続的に旋回させ、水平搬送装置40を中心軸P周りに360°旋回させると、その高さにおける貨物Cのセンターコラム14への搬送が終了する。揚荷役では、このような旋回装置39の旋回に伴う水平搬送装置40の旋回によって、貨物Cを貨物倉20からセンターコラム14に集荷する。なお、旋回フレーム30の旋回速度を制御することによって、時間当たりの揚荷量を制御することができる。
【0077】
そして、円筒形の貨物倉20における一周分の貨物Cの集荷が終了すると、旋回装置39の旋回フレーム30から水平搬送装置40を吊り下げている吊下げワイヤ34を繰り出して、水平搬送装置40の高さを所定量低くする。その後、この高さにおける一周分の貨物Cの集荷が終了したら、更に水平搬送装置40の高さを所定量低くする。
【0078】
このような処理を繰り返して、貨物Cの集荷を貨物倉20内で満載状態の貨物Cの上面CSから底面部20bの直上まで行うことで、貨物倉20内の貨物Cをセンターコラム14内に集荷して空荷状態とする。センターコラム14の下部に搬送され排出口29から排出された貨物Cを、水平スクリュー式サイロ10の下方に配置された排出コンベア18により水平方向に搬送する。
【0079】
そして、この排出コンベア18により搬送された貨物Cを、上方向搬送装置8により上甲板5上に搬送し、上甲板5上の水平搬送装置、接続用搬送装置8a及び接続部を介して陸上側荷役設備に搬送する。これを、各水平スクリュー式サイロ10の貨物倉20内の貨物Cの全てについて行う。これにより、水平スクリュー式サイロ10の揚荷役を完了する。揚荷役を完了したら、上記のように旋回装置39を制動し、水平搬送装置40をロックして、それぞれ旋回不可能な状態とする。
【0080】
なお、例えば自由安息面を形成して自然落下(降下)により排出可能な貨物を取り扱うように構成したセンターコラム14を有さない構造の水平スクリュー式サイロ10においては、スクリューフレーム部48は、その旋回中心と反対側に円筒壁面20dの近傍まで達するように構成すると共に、水平搬送装置40のスクリューフレーム部48の円筒壁面20d側の端部に、円筒壁面20dと接触回転するローラ(図示せず)を設け、排出口29の直下に図示しない振動払出装置を設け、更に底面部20bの表面が貨物倉20の外周側から中央に向かって傾斜するように構成することで、上記と同様に水平搬送装置40を安定的に旋回させて貨物Cを収容、排出することができる構造を実現可能である。
【0081】
このように、本発明の第1の実施形態に係る水平スクリュー式サイロ10を備えた貨物運搬船1では、旋回装置39が、レールクランプ装置50によって旋回フレーム30の旋回動作を制動し停止させるので、この旋回フレーム30を確実に停止させることができ、貨物運搬船1の揺れや傾きに生じる停止中の旋回装置39や水平搬送装置40の旋回や揺動旋回を防止することができる。従って、これらの装置39,40の機械的な故障の原因を排除すると共に、貨物運搬船1の重心移動を防止できる。この構成によれば、例えば貨物運搬船1が傾斜したり揺れたりしてレール部20eの上面が傾いた状態となっても、走行車輪31がスリップ等することなくレールクランプ装置50によって旋回フレーム30及び水平搬送装置40を確実に停止させることができる。
【0082】
[第2の実施形態]
図8は、本発明の第2の実施形態に係る水平スクリュー式サイロを示す断面図である。
図9は
図8のE−E’拡大断面図、
図10は
図9のF−F’拡大断面図、
図11は
図10のG−G’断面図である。また、
図12及び
図13は、水平スクリュー式サイロの制動装置の動作説明図である。なお、以降において、既に説明した部分と重複する箇所には同一の符号を附して説明を割愛する。
【0083】
図8〜
図11に示すように、第2の実施形態に係る水平スクリュー式サイロ10Aは、第1の実施形態に係る水平スクリュー式サイロ10の旋回装置39において採用されたレールクランプ装置50の代わりに、同じく旋回フレーム30の旋回動作を制動する制動装置として、旋回フレームロック装置60を備え、円筒壁面20dにこの旋回フレームロック装置60が係合するロック用金物69を少なくとも一つ設けた点が、第1の実施形態に係る水平スクリュー式サイロ10と相違している。
【0084】
具体的には、ロック用金物69は、円筒壁面20dのレール受け部20fと上下方向に同レベル位置に設けられ、中心軸方向に突出形成された、例えば矩形状の金属部材からなる。ロック用金物69は、円筒壁面20dと十分な強度をもって接合されている。旋回フレームロック装置60は、ロック用金物69を中心軸方向から径方向外側に向かって水平方向に挟み込む一対のアーム部を有するクランプアーム部61と、クランプアーム部61を開閉動作させるスプリングバック式油圧シリンダ62とを有する。
【0085】
クランプアーム部61は、それぞれアーム部の先端に設けられた水平方向に回転自在なローラ61aと、旋回フレームロック装置60の筐体に固定された軸61bと、ローラ61aと反対側のアーム部の端部を可動連結するリンク部61cと、リンク部61cの中央部とスプリングバック式油圧シリンダ62のシリンダロッド62aの先端とを連結する連結ピン61dとを備えて構成されている。
【0086】
スプリングバック式油圧シリンダ62は、上述したスプリングバック式油圧シリンダ52と同様に、シリンダロッド62a、ピストン62b、スプリング62c及び固定ピン62dを備えて構成されている。なお、旋回フレームロック装置60は、レールクランプ装置50と同様の検出器を備え、更に筐体に第2クランプアーム部61のストッパ63a,63bが設けられている。
【0087】
このように構成された旋回フレームロック装置60は、
図12に示すように、非制動時には、スプリングバック式油圧シリンダ62のシリンダ内の油圧が高められ、ピストン62bが円筒壁面20dの方向に押されてシリンダロッド62aがスプリング62cの弾性力に抗してロック用金物69側に押し出された状態となる。これにより、リンク部61cが互いに近付く方向に閉じるように動作してクランプアーム部61は軸61bを介してアーム部の先端のローラ61aがそれぞれ円筒壁面20dから離れる方向に開動作された状態となるので、ローラ61aとロック用金物69の側面とは接触しない。
【0088】
なお、この開動作状態のときは、旋回フレームロック装置60は、旋回フレーム30の旋回動作中にローラ61aがロック用金物69に接触しないように、ロック用金物69の中心軸側端面との間に十分な距離CLをもって位置するようにローラ61aを開動作する。このとき、クランプアーム部61は、いずれも開放限の位置に位置することとなる。ストッパ63aは、クランプアーム部61が過度に開くことを防ぐために設けられているが、好適にはクランプアーム部61のいずれか一方がストッパ63aに当接し、他方がストッパ63aと僅かな隙間を持って位置するように配置される。
【0089】
一方、
図11に示すように、制動時には、スプリングバック式油圧シリンダ62のシリンダ内の油圧が開放されて低められ、ピストン62bがスプリング62cの弾性力によってセンターコラム14の方向に押されてシリンダロッド62aがロック用金物69から離れる方向に押し戻された状態となる。これにより、リンク部61cが互いに離れる方向に開くように動作してクランプアーム部61は軸61bを介してアーム部の先端のローラ61aがそれぞれ円筒壁面20dに近付く方向に閉動作された状態となるので、ローラ61aとロック用金物69の側面とが接触する。
【0090】
従って、旋回フレームロック装置60により旋回装置39の旋回フレーム30の旋回動作が制動される。この閉動作状態のときは、クランプアーム部61のいずれか一方がストッパ63bに当接し、他方がストッパ63bに設けられた弾性部材63bbを収縮させる状態で当接する。弾性部材63bbは、収縮により適切な反発力を有し、旋回フレームロック装置60の閉動作完了状態において、上記ローラ61aとロック用金物69との確実な接触を維持しながら、旋回フレームロック装置60とロック用金物69との相対位置の変化を最小限にするよう機能する。
【0091】
なお、閉動作の途中において、ロック用金物69の円筒壁面20dの径方向の中心線と、旋回フレームロック装置60の同方向の中心線とがずれている状態となっている場合においては、
図13に示すように、いずれか一方のクランプアーム部61のローラ61aがロック用金物69の側面と接触した状態となる。
【0092】
しかし、旋回フレームロック装置60は、上述したような各部の構成によりクランプアーム部61で均等にロック用金物69を挟むように動作するので、スプリング62cの弾性力により各中心線がほぼ一致するまで旋回フレーム30を旋回させて、
図11に示すような状態で停止する。
【0093】
これにより、旋回フレームロック装置60は、制動時の閉動作に伴って旋回フレーム30を僅かに旋回動作させることができる構造となっている。このような構成により、旋回フレーム30の位置検出誤差や慣性による停止位置誤差などの一定の誤差を許容することが可能となる。
【0094】
なお、第1の実施形態において説明したレールクランプ装置50を旋回フレームロック装置60と併設する場合は、旋回フレームロック装置60の制動が完了した後にレールクランプ装置50による制動を行うようにすれば、より確実な制動が可能となる。また、ロック用金物69は、船体の傾きや揺れによる旋回フレーム30の旋回への影響を最小にする位置に設けられることが望ましく、その場合は貨物運搬船1の進行方向に対してほぼ90°となる位置に設けられれば良い。なお、各荷役開始時には、旋回フレームロック装置60の制動状態を第1の実施形態において説明したレールクランプ装置50と同様に解除する。
【0095】
[第3の実施形態]
図14は、本発明の第3の実施形態に係る水平スクリュー式サイロを示す断面図である。
図15は
図14の一部拡大断面図、
図16は
図15のH−H’断面図である。また、
図17及び
図18は、水平スクリュー式サイロのフレームロック装置の動作説明図である。
【0096】
図14〜
図16に示すように、第3の実施形態に係る水平スクリュー式サイロ10Bは、第2の実施形態に係る水平スクリュー式サイロ10Aの旋回装置39の旋回フレーム30と水平搬送装置40のスクリューフレーム部48とを互いにロックするフレームロック装置70及びロック用金物79を、旋回装置39及び水平搬送装置40に備えた点が、第2の実施形態に係る水平スクリュー式サイロ10Aと相違している。
【0097】
具体的には、ロック用金物79は、旋回装置39の方向に延びるようにスクリューフレーム部48に設けられ、
図16に示すように、スクリューフレーム部48の短手方向端部からロック用金物79の先端部に向かって斜め上方に延びるように両側に設けられた補助支持部材79aと、ロック用金物79の先端部近傍に所定の間隔を持って先端側がそれぞれ外側に広がるように設けられたローラガイド79bとを備えて構成されている。ロック用金物79は、補助支持部材79aと共にスクリューフレーム部48と十分な強度をもって接合されている。
【0098】
一方、フレームロック装置70は、水平搬送装置40の方向に突出するように旋回フレーム30に固定ピン72dを介して揺動可能に取り付けられ、ロック用金物79の先端部を挟み込むクランプアーム部71と、クランプアーム部71を開閉動作させる第3作動部としてのスプリングバック式油圧シリンダ72とを有する。フレームロック装置70は、旋回フレームロック装置60と同様に各種検出器を備える。
【0099】
クランプアーム部71は、上述したクランプアーム部61と同様に、ローラ71a、軸71b、リンク部71c及び連結ピン71dを備えて構成されている。スプリングバック式油圧シリンダ72は、上述したスプリングバック式油圧シリンダ62と同様に、シリンダロッド72a、ピストン72b、スプリング72c及び固定ピン72dを備えて構成されている。連結ピン71dは、フレームロック装置70の筐体に形成された鉛直方向に延びるガイド溝に沿って上下方向(垂直方向)に移動可能に設けられている。
【0100】
フレームロック装置70は、例えば旋回フレーム30及びスクリューフレーム部48間の距離が所定範囲内にあるときに、クランプアーム部71を閉動作させるように動作する。すなわち、フレームロック装置70は、貨物Cが貨物倉20内に満載状態であるときの旋回フレーム30及びスクリューフレーム部48間の距離よりも短い距離の範囲内に両者間の距離があるときにロック動作する。
【0101】
なお、
図17に示すように、フレームロック装置70のクランプアーム部71のローラ71aの下端とロック用金物79の先端との間の距離CL2は、貨物倉20内に貨物Cが満載状態となって、水平搬送装置40の上限位置を検出する上限センサが作動する水平搬送装置40の上下方向位置から、更に上方の位置を検知するように構成され、上限センサが上限位置を誤検出した場合を補填するための最上限センサ(上限補填センサ)が作動する上下方向位置に水平搬送装置40のスクリューフレーム部48があっても、必要最小限の距離が維持されるように設定される。
【0102】
そして、ロック動作の際には、
図17に示した状態から
図18に示すように、ウィンチ35により吊下げワイヤ34を更に所定の距離Hだけ巻き上げて、クランプアーム部71間にロック用金物79の先端部が位置するようにスクリューフレーム部48を旋回フレーム30に近付ける。このとき、水平スクリュー41,42のスクリュー羽根の下端は、貨物Cの上面CSから所定距離離れた状態となる。
【0103】
なお、ウィンチ35の巻き上げに関しては、上記のような上限センサと最上限センサ(上限補填センサ)からの信号に基づき巻き上げを制御するようにすれば良い。水平スクリュー式サイロ10Bでは、最上限センサによる検出が行われるまで、通常動作として巻き上げが可能に設定される。
【0104】
ロック動作のときに、ロック用金物79の中心線とフレームロック装置70の中心線とがずれている場合は、ローラ71aがローラガイド79bに当接して、クランプアーム部71がロック用金物79の先端部を挟持可能な位置に案内されるので、スクリューフレーム部48と旋回フレーム30との位置が多少ずれていても確実にロック動作を行うことが可能である。
【0105】
図16に示すように、スクリューフレーム部48と旋回フレーム30とがフレームロック装置70及びロック用金物79によりロックされた状態のときは、上記のように水平搬送装置40が貨物Cと接触することはないので、ロック用金物69が設けられた旋回フレーム30の係留(ロック)位置まで旋回装置39及び水平搬送装置40を旋回移動させて、旋回フレームロック装置60により所定の位置にて係留させておくことが可能である。
【0106】
なお、例えば第1の実施形態におけるレールクランプ装置50の制動状態を解除した後、次に、フレームロック装置70のスプリングバック式油圧シリンダ72のシリンダ内の油圧を高め、ピストン72bがスプリング72cの弾性力に抗して下方に押され、シリンダロッド72aがシリンダ本体から下方に押し出された状態にする。このようにして、クランプアーム部71の先端に取り付けられたローラ71aが、ロック用金物79の側面と接触しない状態にして、ウィンチ35を動作させて吊下げワイヤ34を繰り出して、ロック位置から所定の距離Hだけ水平搬送装置40の位置を下方に下げてロック状態を解除し、水平搬送装置40の旋回中心回りの旋回が可能な状態にする。また、後述するフレームロック装置80が適用されている場合も同様にしてロック状態を解除する。
【0107】
上述した第1の実施形態のレールクランプ装置50及び第2の実施形態の旋回フレームロック装置60は、個々に適用することも、併設することも可能であり、これは上記フレームロック装置70又は後述するフレームロック装置80についても、レールクランプ装置50や旋回フレームロック装置60と別々或いは併設するという点について同様である。但し、貨物運搬船1の航行中の安全性確保のため、旋回装置39及び水平搬送装置40に対しては、いずれも同時期に制動(ロック)と制動解除(ロック解除)とを行う必要がある。
【0108】
[第4の実施形態]
図19は、本発明の第4の実施形態に係る水平スクリュー式サイロの一部を示す断面図である。
図20は
図19のI−I’断面図、
図21はフレームロック装置の動作説明図である。
【0109】
図19〜
図21に示すように、第4の実施形態に係る水平スクリュー式サイロは、フレームロック装置80のクランプアーム部の構成及びロック用金物89の構成が異なる点が、第3の実施形態に係る水平スクリュー式サイロと相違している。具体的には、次に示す通りである。
【0110】
すなわち、ロック用金物89は、スクリューフレーム部48から旋回装置39の方向に延びるように形成されたステー89bと、このステー89bから径方向に沿って円筒壁面20dに向かって延びるように形成された棒状の被挟持部89aとを備えて構成され、スクリューフレーム部48に十分な強度をもって接合されている。
【0111】
フレームロック装置80は、水平搬送装置40の方向に突出するように旋回フレーム30に筐体88が取り付けられ、ロック用金物89の被挟持部89aを挟み込むクランプアーム部81と、クランプアーム部81を開閉動作させるスプリングバック式油圧シリンダ82とを備えて構成されている。
【0112】
クランプアーム部81は、開状態のときにアーム部の先端部81aが被挟持部89aを挟む方向にクロスした上で下方に向けて折れ曲がったL字形の形状を有してなり、被挟持部89aと接する部分は下方に向けてハの字形に広がるような傾斜面81aaを形成してなる。この傾斜面81aa間の最大間隔は、被挟持部89aの断面最大径よりも十分大きくなるように設定されている。
【0113】
クランプアーム部81は、その他、クランプアーム部71と同様に、軸81b、リンク部81c及び連結ピン81dを備える。スプリングバック式油圧シリンダ82は、上述したものと同様に、シリンダロッド82a、ピストン82b、スプリング82c及び固定ピン82dを備える。
【0114】
このように構成されたフレームロック装置80は、
図20に示すように、ロック時に、ロック用金物89の被挟持部89aの上端がフレームロック装置80の軸81bの外周下端から所定の距離CLrを維持するように設けられる。また、
図21に示すように、上記最上限センサが作動する上下方向位置に水平搬送装置40のスクリューフレーム部48がある非ロック時には、フレームロック装置80の軸81bの外周下端とロック用金物89の被挟持部89aの上端との間の距離は、ウィンチ35により吊下げワイヤ34を巻き上げる所定の距離Hmと上記距離CLrとの和(CLr+Hm)で表される。
【0115】
非ロック時には、フレームロック装置80のクランプアーム部81の先端部81a下端と被挟持部89aの上端との間の距離CL3は、上記距離Hmがゼロ(0)のときも、必要最小限の距離が維持されるように設定される。また、このような構成により、第3の実施形態において説明した所定の距離Hをフレームロック装置80やロック用金物89の形状や配置態様に起因する各種の要素を考慮することなく、水平スクリュー41,42のスクリュー外径の下端と貨物Cの上面CSからの最小限の必要距離のみで決定することが可能となる。
【0116】
従って、上記距離Hmを、第3の実施形態に係る所定の距離Hと比較して短くすることができるので、旋回フレーム30からスクリューフレーム部48までの距離を、第3の実施形態に係るものと比較して短くすることができ、最上限センサ(上限補填センサ)の設置位置を更に高めることができる。この結果、上限センサの設置位置を高くすることができるので、貨物Cの収容高さを高くでき、貨物倉20内に積載する貨物量を増加させることができる。
【0117】
ロック動作時には、クランプアーム部81の先端部81aの傾斜面81aaが上述したローラガイド79bと同様に、被挟持部89aをクランプアーム部81間に案内する役割を果たす。その他の作用効果は、第3の実施形態に係るものと同様である。なお、フレームロック装置80及びロック用金物89は、それぞれ上記と逆にスクリューフレーム部48及び旋回フレーム30に設けられていても良い。上記第3の実施形態についても同様である。
【0118】
[第5の実施形態]
図22は、本発明の第5の実施形態に係る水平スクリュー式サイロの一部を示す断面図である。
図23は、
図22のJ−J’断面図である。
図22及び
図23に示すように、第5の実施形態に係る水平スクリュー式サイロは、フレームロック装置80の配置態様及びロック用金物89の形状が異なる点が、第4の実施形態に係る水平スクリュー式サイロと相違している。
【0119】
具体的には、ロック用金物89は、スクリューフレーム部48から旋回装置39の方向(スクリューフレーム部48の長手方向に対して直角方向)に延びるように形成されたステー89bと、このステー89bから同方向に延びるように形成された棒状の被挟持部89aとを備えて構成され、スクリューフレーム部48に十分な強度をもって接合されている。
【0120】
フレームロック装置80は、旋回フレーム30の長手方向に筐体88の長手方向が沿うようにステー88aを介して旋回フレーム30に取り付けられ、ロック用金物89の被挟持部89aを径方向から挟み込むクランプアーム部81と、クランプアーム部81を開閉動作させるスプリングバック式油圧シリンダ82とを備えて構成されている。すなわち、フレームロック装置80は、第4の実施形態のときとは筐体88の長手方向が円筒壁面20d側に90°回転した状態で取り付けられている。
【0121】
クランプアーム部81の軸81b、リンク部81c及び連結ピン81dやその他の構成、スプリングバック式油圧シリンダ82のシリンダロッド82a、ピストン82b、スプリング82c及び固定ピン82dやその他の構成は、第4の実施形態において説明したものと同様である。
【0122】
フレームロック装置80は、径方向の中心線が旋回フレーム30の同方向の中心線とほぼ一致すると共に、ロック用金物89の被挟持部89aよりも貨物倉20の中心側に位置するように旋回フレーム30に取り付けられている。
【0123】
このように構成されたフレームロック装置80は、
図23に示すように、クランプアーム部81が開状態である非ロック時には、フレームロック装置80のクランプアーム部81の先端部81aの先端と被挟持部89aの外周面との間の距離CL3は、
図22に示すように、旋回フレーム30とスクリューフレーム部48との上下方向の距離が変化してもほぼ一定に維持される。
【0124】
従って、上記距離CL3を、先端部81aの先端と被挟持部89aの外周面とが接触しない範囲で必要最小限の寸法となるように設定することができる。具体的には、ロック時に、ロック用金物89の被挟持部89aの外周面とフレームロック装置80の軸81bの外周面との間の距離は、第4の実施形態に係る距離CLrと同一の距離にすることができる。また、距離CL3(又は距離CLr)が一定に維持されるので、第4の実施形態において説明したような、クランプアーム部81の開状態から閉状態への動作前に距離CL3を変化させるための動作や制御が不要となる。
【0125】
そして、このような構成により、第3の実施形態において説明した所定の距離Hを、第4の実施形態と同様に、フレームロック装置80やロック用金物89の形状や配置態様に起因する各種要素を考慮することなく、水平スクリュー41,42のスクリュー外径の下端と貨物Cの上面CSからの最小限の必要距離のみで決定することが可能となる。
【0126】
このように構成されたフレームロック装置80及びロック用金物89によれば、所定の距離Hを第4の実施形態に係る所定の距離Hmと同一に設定することができるので、第3の実施形態のものと比べて、旋回フレーム30とスクリューフレーム部48との間の距離を最小限にすることができる。そして、貨物倉20内における旋回フレーム30の上下方向の位置が同一位置である場合には、貨物Cの収容高さを高くして、貨物倉20内に積載する貨物量を増加させることが可能となる。
【0127】
上記距離CL3(又は距離CLr)は、上述したように、旋回フレーム30とスクリューフレーム部48との間の距離が変化してもほぼ一定に維持されるので、フレームロック装置80のクランプアーム部81が閉状態であるロック時に、ロック用金物89の被挟持部89aを良好に挟持し、且つ確実にロックすることが可能である。これと共に、上記所定の距離Hmをウィンチ35により吊下げワイヤ34を巻き上げる際の制御位置のずれが発生しても、フレームロック装置80のクランプアーム部81とロック用金物89の被挟持部89aとが衝突接触することなく、安全にロック動作可能に構成されている点において、本実施形態は第4の実施形態よりも優れている点を備えている。
【0128】
なお、上述した実施形態においては、好ましい一例として貨物倉20が円筒形である場合について説明したが、本発明における筒形は、円筒形、楕円筒形、多角筒形等を含むものである。
【0129】
また、本発明における貨物倉20の中心部(中心軸の位置)は、貨物倉20の内部に円を仮想し、この仮想した円の中心を指す。そして、好ましい中心位置は、貨物倉20が円筒形の場合は円の中心であり、貨物倉20が円筒形以外の場合(多角形や楕円形の場合)は、次のようになる。すなわち、円筒形以外で(a)貨物倉20の形状が矩形の場合や、対辺が互いに平行となる多角筒形の場合は、各辺と対辺の中点を結ぶ線の交点を貨物倉20の中心部とする。また、貨物倉20の形状が円筒形以外で上記(a)以外の場合は、筒形の壁面の少なくとも2箇所に内接し、壁面と交差しない最大直径の円を仮想し、この仮想した円の中心を貨物倉20の中心部とする。なお、条件次第で複数の円が仮想される場合は、その中の任意の一つを選択し、選択した仮想円の中心を貨物倉20の中心部としても良い。