特許第5966215号(P5966215)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5966215分子接着によって2枚のウェーハを互いにボンディングするための方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5966215
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】分子接着によって2枚のウェーハを互いにボンディングするための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/065 20060101AFI20160728BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20160728BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20160728BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20160728BHJP
   H01L 27/12 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   H01L25/08 B
   H01L21/02 B
   H01L27/12 B
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-520080(P2013-520080)
(86)(22)【出願日】2011年7月15日
(65)【公表番号】特表2013-531395(P2013-531395A)
(43)【公表日】2013年8月1日
(86)【国際出願番号】EP2011062153
(87)【国際公開番号】WO2012010517
(87)【国際公開日】20120126
【審査請求日】2014年5月28日
(31)【優先権主張番号】1056010
(32)【優先日】2010年7月22日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】598054968
【氏名又は名称】ソイテック
【氏名又は名称原語表記】Soitec
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】カステクス, アーノード
(72)【発明者】
【氏名】ブローカート, マルセ
【審査官】 小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−094675(JP,A)
【文献】 特開平10−079414(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02091071(EP,A1)
【文献】 特表2011−514669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/065
H01L 21/02
H01L 25/07
H01L 25/18
H01L 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子接着によって第1のウェーハ(202)を第2のウェーハ(206)上へボンディングする方法であって、前記第1及び第2のウェーハ間にボンディング波(222)の開始の点(216)を与えるステップを含む方法において、前記ボンディング波が前記ウェーハ間を伝播している間に、前記ボンディング波の伝播が減速されるように前記ボンディング波の前記開始の点に向けて前記第1のウェーハと前記第2のウェーハとの間にガス流(228)を送出するステップをさらに含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記送出されたガス流が、前記2枚のウェーハのボンディング表面(202a、206a)のうちの少なくとも一方の全体にわたって水分を離脱させるために10000ppm未満の濃度の水分を有する乾燥ガスの流れである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガス流の温度が、前記第1及び第2のウェーハの周囲温度から200℃までの範囲内である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ガス流が、少なくともアルゴンの流れ、ネオンの流れ、ヘリウムの流れ、窒素の流れ、二酸化炭素の流れ、及び空気の流れから選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ガス流の幅が、前記2枚のウェーハの直径に対応する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
第1のウェーハ(202)を第2のウェーハ(206)上へ分子接着によってボンディングするための装置(215)であって、前記第1及び第2のウェーハ間にボンディング波(222)の開始の点(216)を与えるための手段(214)を含む装置において、前記ボンディング波が前記ウェーハ間を伝播している間に、前記ボンディング波の伝播が減速されるように前記ボンディング波の前記開始の点に向けて前記第1及び第2のウェーハ間にガス流(228)を送出するように構成された送出手段(226)をさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項7】
前記送出手段が、前記2枚のウェーハのボンディング表面(202a、206a)のうちの少なくとも一方の全体にわたって水分を離脱させるために10000ppm未満の濃度の水分を有する乾燥ガスの流れを送出するように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記送出手段が、前記第1及び第2のウェーハの周囲温度から200℃までの範囲内の温度で前記ガス流を送出するように構成される、請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
前記ガス流が、少なくともアルゴンの流れ、ネオンの流れ、ヘリウムの流れ、窒素の流れ、二酸化炭素の流れ、及び空気の流れから選択される、請求項6〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記送出手段は、前記ガス流の幅が前記2枚のウェーハの直径に対応するように構成される、請求項6〜9のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野及び背景技術】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの層を最終基板上へと転写することによって製造した多層半導体構造(また、複合構造又は多層半導体ウェーハとしても知られる)を製造する分野に関係する。前記層転写は、例えば分子接着によって第1のウェーハ(又は初期基板)を第2のウェーハ(又は最終基板)上へとボンディングすることによって得られ、第1のウェーハは、一般的に、ボンディング後に薄くされる。転写した層は、1つの構成要素又は複数のマイクロコンポーネントのすべて又は一部をやはり含むことができる。
【0002】
より正確に言えば、本発明は、分子接着によってボンディングした2枚のウェーハ間のボンディング界面のところに局所的に生じることがあるボンディング欠陥の問題に関係する。
【0003】
分子接着によるウェーハボンディングは、それ自体良く知られている技術である。分子接着によるウェーハボンディングの原理は、2つの表面を直接接触させること、すなわち特定のボンディング材料(接着剤、ワックス、はんだ、等)を使用しないことに基づくことを思い出すはずである。かかる操作は、ボンディングしようとする表面が十分に平滑であり、粒子又は汚染がない表面であることを必要とし、接触を始めることを可能にするために、典型的には数ナノメートル未満の距離で互いに十分に近づけることを必要とする。2つの表面間の引力は、そのときには、分子接着すなわち「直接ボンディング」(互いにボンディングしようとする2つの表面の原子又は分子間の様々な電気的相互作用引力(ファンデルワールス(Van der Waals)力によって誘起されるボンディング)によってボンディングを引き起こさせるように十分に大きい。
【0004】
図1A図1Dは、支持ウェーハを構成する第2のウェーハ106上への第1のウェーハ102の分子接着によるウェーハボンディングを含む多層構造の製造の一例を示す。
【0005】
第1のウェーハ102は、ボンディング面102a上に一連のマイクロコンポーネント104を含む(図1A)。マイクロコンポーネント104は、製造すべきマイクロコンポーネント104に対応するパターンの形成用の区域を画定するためにマスクを採用するフォトリソグラフィによって形成される。
【0006】
本文書において使用されるように「マイクロコンポーネント」という用語は、層上に又は層内に行われる技術的ステップからもたらされ、正確に位置を決定する必要があるデバイス又は任意の別のパターンを意味する。したがって、マイクロコンポーネントを、能動的な構成要素又は受動的な構成要素、単純なコンタクト点、相互配線、等とすることができる。
【0007】
さらにその上、支持ウェーハ106は、例えば、第1のウェーハ102との分子接着によるボンディングを容易にするために、支持ウェーハの酸化によって形成した熱酸化物層108又は堆積した酸化物層108によって覆われる(図1A)。
【0008】
さらに、第1のウェーハ102のボンディング表面102a及び第2のウェーハ106のボンディング表面106aを準備するために処理が一般に行われ、前記処理は、得ようとするボンディングエネルギー(化学機械研磨、洗浄、スクラビング、疎水性/親水性処理、等)に応じて変わる。
【0009】
一旦、ウェーハが準備されると、支持ウェーハ106が、ボンディング装置115内に設置される。より正確には、支持ウェーハ106は、直接ボンディングによって第1のウェーハ102と支持ウェーハ106とを組み立てる目的でボンディング装置115の基板キャリア110上に設置される。基板キャリア110は、例えば、静電気システムによって、又は吸着によって所定の位置に第2のウェーハ106を保持する。
【0010】
次に、第2のウェーハ106と密接に接触させるために第2のウェーハ106上に第1のウェーハ102が設置される(図1B)。第1のウェーハ102に接触力(機械的圧力)を加えることによって、分子接着によるボンディングが次に始まる(図1C)。この接触力の印加が、その開始点からボンディング波122の伝播が始まることを可能にする(図1D)。ボンディング波122は、ボンディング装置115が備えている印加ツール114(例えば、テフロン(Teflon)(登録商標)触針)によって始められる。
【0011】
本文書では「ボンディング波」という用語を、開始点から伝播し、コンタクト点から2枚のウェーハ間の密接な接触の全領域(ボンディング界面)にわたる引力(ファンデルワールス力)の拡散に対応する接合先端又は分子接着先端について使用する。
【0012】
ウェーハ102及び106の全ボンディング表面にわたるボンディング波122の伝播は、次いで、多層構造112を得るために2枚のウェーハの分子接着によるウェーハボンディングを可能にする。
【0013】
一旦、ボンディングが行われると、熱アニールを行うことによってボンディングを強化することができる。支持ウェーハ106上に転写層を形成するために、第1のウェーハ102をその後薄くすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、本出願人は、2枚のウェーハ間のボンディング界面のところに、より正確には、ボンディング開始点116から遠くに位置する領域120に、局所的なボンディング欠陥118の存在を観察している(図1E)。これらの欠陥は、2枚のウェーハ102及び106が非常に弱いボンディング力を有する又はボンディングが全くない区域に対応する。
【0015】
ボンディング欠陥がウェーハ間のボンディングの品質を低下させるので、製造業者は、かかるボンディング欠陥を望まない。より一般的に、これらの欠陥は、最適化されていない製造プロセスの証拠であり、製造される多層構造の魅力を低下させる。
【0016】
したがって、現在、このようなボンディング欠陥を発現しない分子接着によるウェーハボンディングによって多層構造を製造する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的を達成するために、本発明は、分子接着によって第1のウェーハを第2のウェーハ上にボンディングする方法であって、前記第1及び第2のウェーハ間にボンディング波の開始の点を与えるステップを含む方法において、ボンディング波がウェーハ間を伝播している間にボンディング波の開始の点に向けて第1のウェーハと第2のウェーハとの間にガス流を送出するステップをさらに含むことを特徴とする方法を提案する。
【0018】
本発明は、2枚のウェーハ間の界面におけるボンディング波の伝播を機械的に減速するように作用する。ボンディング波を減速させることは、第1及び第2のウェーハ間のボンディング界面のところに望まれないボンディング欠陥の出現を都合よく減少させる又は防止するように働く。
【0019】
有利には、本発明は、また、ウェーハが直接ボンディングによってボンディングされる間に、ウェーハ内に発生する不均質変形を制限するように働くことができる。
【0020】
好ましい実施形態では、ガス流は、ウェーハ間のボンディング波の伝播の期間全体にわたって送出される。その場合、上記の機械的な抵抗の効果を最適化することが可能である。
【0021】
本発明のもう1つの態様によれば、送出されるガス流を、2枚のウェーハに関するボンディング表面のうちの少なくとも一方の全体にわたって水分を離脱させるために10000ppm未満の濃度の水分を有する乾燥ガスの流れとすることができる。
【0022】
特定の実施形態では、送出されるガス流が、1000ppm(百万分の1)未満の濃度の水分を有する。
【0023】
十分に乾燥している(例えば、10000ppm未満の濃度、さらに1000ppm未満の濃度の水分を有する)ガス流が、このように2枚のウェーハ間に送出され、これによって第1のウェーハ及び/又は第2のウェーハのボンディング表面上に凝集の形で結合した水分の離脱をトリガすることを可能にする。乾燥ガス流を送出することは、それが2枚のウェーハ間の周囲空気中に含まれる飽和水分の量を減少させることができ、これによって凝集の形で2枚のウェーハのボンディング表面上に水分が吸着するリスクを減少させるという点で、やはり有利である。
【0024】
さらに、ガス流の温度を、第1及び第2のウェーハの周囲温度から200℃までの範囲とすることができる。
【0025】
より正確に言えば、ウェーハ表面環境内に含有される飽和水分が凝集することを防止し、温度の影響下でウェーハが膨張することに起因してウェーハが変形することを防止するために、2枚のウェーハ間に送出するガス流の温度を、周囲温度、すなわち作業雰囲気の温度の程度とすることができる。或いは、離脱効果を最大にするために、送出するガス流の温度を、周囲温度よりも高くすることも低くすることもでき、例えば、200℃までとすることができる。
【0026】
2枚のウェーハ間に送出されるガス流を加熱することは、2枚のウェーハのボンディング表面から離脱させるガス流の能力を増加させることができることを意味するという点で、有利である。かかる温度のガス流は、表面に近い水分子の離脱をより容易にトリガする。
【0027】
本発明の特定の実施形態では、ガス流は、少なくともヘリウム、アルゴン、ネオン、窒素、二酸化炭素(CO)の流れ、及び空気の流れから選択される。ガス流は、前記ガス状の元素のうちの1つ又は前記元素のうちの一部の任意の組み合わせに特に対応することがある。
【0028】
さらに、ガス流の幅は、2枚のウェーハの直径に対応することがある。
【0029】
かかる流れ幅は、ボンディング欠陥の形成を2枚のウェーハ間のボンディング界面の全体にわたって制限する又は防止することができることを意味する。
【0030】
ガス流を、また、層流とすることができる。
【0031】
本発明は、また、第1のウェーハを第2のウェーハ上へ分子接着によってボンディングするための装置であって、第1及び第2のウェーハ間にボンディング波の開始の点を与えるための手段を含む装置において、ボンディング波がウェーハ間を伝播している間に、ボンディング波の開始の点に向けて第1及び第2のウェーハ間にガス流を送出するように構成された送出手段をさらに含むことを特徴とする装置を想定する。
【0032】
本発明のボンディング方法の様々な実施形態に関して上に詳しく説明した利点及びコメントは、本発明のボンディング装置の様々な実施形態に同様に適用可能である。
【0033】
本発明の一態様によれば、ボンディング装置の送出手段を、2枚のウェーハのボンディング表面のうちの少なくとも一方の全体にわたって水分を離脱させるために、10000ppm未満の濃度の水分を有し、乾燥しているガス流を送出するように構成することができる。
【0034】
特定の実施形態では、前記送出手段は、ガス流が1000ppm未満の濃度の水分を有するように構成される。
【0035】
さらに、送出手段は、第1及び第2のウェーハの周囲温度から200℃までの範囲内の温度でガス流を送出するために構成されることがある。
【0036】
さらにその上、2枚のウェーハ間に送出するガス流を、少なくともヘリウム、アルゴン、ネオン、窒素、二酸化炭素(CO)の流れ、及び空気の流れから選択することができる。特に、ガス流は、前記ガス状の元素のうちの1つ又は前記元素のうちのいくつかの任意の組み合わせに対応することがある。
【0037】
さらにその上、ガス流の幅が2枚のウェーハの直径に対応するように、送出手段を構成することができる。加えて、ガス流を、層流とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1A】既知の先行技術の直接ウェーハボンディング法の一例を図式的に示す図である。
図1B】既知の先行技術の直接ウェーハボンディング法の一例を図式的に示す図である。
図1C】既知の先行技術の直接ウェーハボンディング法の一例を図式的に示す図である。
図1D】既知の先行技術の直接ウェーハボンディング法の一例を図式的に示す図である。
図1E図1A図1Dに図示したボンディング法の間に出現するボンディング欠陥を図式的に示す図である。
図1F図1Eに示したボンディング欠陥が形成される機構を図式的に図示する図である。
図2A】本発明の第1の実施形態による直接ウェーハボンディング法を図式的に示す図である。
図2B】本発明の第1の実施形態による直接ウェーハボンディング法を図式的に示す図である。
図2C】本発明の第1の実施形態による直接ウェーハボンディング法を図式的に示す図である。
図2D】本発明の第1の実施形態による直接ウェーハボンディング法を図式的に示す図である。
図3A】本発明の第2の実施形態による直接ウェーハボンディング法を図式的に示す図である。
図3B】本発明の第2の実施形態による直接ウェーハボンディング法を図式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の他の特徴及び利点は、実施形態の一例を図示し、決して限定しない添付した図面を参照してなされる下記の説明から明確になる。
【0040】
全体として、本発明は、分子接着によって2枚のウェーハをボンディングする方法に関係し、前記方法は、ボンディング界面のところの望まれないボンディング欠陥の出現を防止するために使用される。
【0041】
上に示したように、本出願人は、第2のウェーハへの第1のウェーハの直接ウェーハボンディングによって形成される多層構造のボンディング界面のところに局在した形態で出現するボンディング欠陥を観察している。
【0042】
多層構造を構成するウェーハは、一般に円形の外形を有し、様々な直径、特に、100mm(ミリメートル)、200mm又は300mmの直径を有することができ、一般にウェーハの形態である。しかしながら、ウェーハは、例えば、長方形形状などの任意の形状を有することができる。
【0043】
前記欠陥が形成される機構を解明するため及びこれらの形成を防止する方法を考案するために、図1Eに図示したボンディング欠陥118の徹底した研究が使用されてきている。
【0044】
欠陥118の起源における機構を、図1A図1Fを参照して下記に説明する。
【0045】
上に説明したように、分子接着によるウェーハボンディングの開始は、第1のウェーハ102の側面の近くに位置する開始点116のところに接着力を加えることによって行われる(図1C)。開始点116から始まるボンディング波122の伝播を開始するために、この接着力を加えることができる(図1D)。
【0046】
ボンディング波122が伝播するにつれて、表面上に吸着した余分な水分子とともに2枚のウェーハ間に存在する周囲空気をボンディング波122が押し出す。
【0047】
表面異常124(表面トポロジ(topolpgy)又はナノトポロジ、微粒子、マイクロスクラッチ(micro−scraches)、等)が、ボンディング波122によって排出される空気中に含有されている飽和水分の凝集を前記異常のところに引き起こすことがあるように見える(図1F)。
【0048】
これゆえ、ボンディング波122が開始点116から離れた点まで伝播したときには、例えば、2枚のウェーハのボンディング表面102a及び106aの120で示された領域内などの表面異常124のところに凝集物の形で、余分な水分子がトラップされているように見えることがある(図1F)。
【0049】
領域120の表面異常124のところに凝集する水分が、次いで分子接着による2枚のウェーハの正常なボンディングを妨げる。次いで、ボンディング欠陥118がボンディング界面のところに、例えば、表面異常124のところに出現する。実際には、前記ボンディング欠陥は、ボンディングエネルギーを強化するために熱処理を行うときに発達する(端部空洞などの)気泡の形態を取る。
【0050】
かかる欠陥がウェーハ106へのウェーハ102のボンディングの品質を劣化させるので、かかる欠陥は望まれない。ウェーハ102が(例えば、研削及び/又は化学的浸食による)薄化(thinning)ステップを受けるときに、これらのボンディング欠陥118は、欠陥の近傍でウェーハ102の一部の偶発的なスナップオフ(snap−off)を特に引き起こすことがある。
【0051】
このために、本発明は、特にウェーハの側方のところに上に説明したようなボンディング欠陥の出現を防止するために、一緒に組み立てようとする2枚のウェーハ間にガス流を送出することを含む分子接着によるウェーハボンディングの方法を実行することを提案する。ボンディング波を遅くすることは、表面に近い余分な水分の排出を促進させることができることを意味する。
【0052】
本発明のボンディング法の特定の実施形態を、図2A図2Dを参照して下記に説明する。
【0053】
支持ウェーハを構成する第2のウェーハ206上への第1のウェーハ202の分子接着によるボンディングが実行される(図2A)。これらのウェーハは、図1Aで考えたウェーハ102及び106とそれぞれ同じである。
【0054】
より正確には、この例での第1のウェーハ202は、そのボンディング表面202aのところにマイクロコンポーネント204を備える。さらに、酸化を第2のウェーハ206上に実行して、その全表面を覆って熱酸化物208の層を形成する。第2のウェーハ206のボンディング表面206a上にだけ酸化物の層を堆積させることが可能であることに、留意すべきである。或いは、酸化物の層を、第1のウェーハ202のボンディング表面202aを覆って形成することができる。
【0055】
第1のウェーハ202及び第2のウェーハ206がこの事例では同じ直径を有することも、やはり指摘されるはずである。しかしながら、これらのウェーハが異なる直径を有することがある又は円形でない形状である場合がある。
【0056】
その上、ウェーハ202及び206は、ウェーハの側方のところに図1Fに図示した表面異常124に類似した表面異常を有することがある。
【0057】
本発明のこの実施形態では、まず第一に、支持ウェーハ206が、ボンディング装置215内に、より正確にはボンディング装置215上に設けられた基板キャリア210上に設置される。装置215は、ノズル226(下記に説明する)及び上に説明した印加ツール114と同一の印加ツール214をやはり備える。
【0058】
一旦、支持ウェーハ206が基板キャリア210上に設置されると、第1のウェーハ202が支持ウェーハと密接に接触して置かれる(図2B)。分子接着によって2枚のウェーハをボンディングするために、ボンディング波222がウェーハ202及び206間に次に伝えられる。
【0059】
この例では、ウェーハ202の側面の近くに位置する開始点216のところに接触力を加えるために、印加ツール214を使用することによって波222が伝えられる(図2C)。この接触力の印加は、開始点216からボンディング波222の伝播(図2D)をトリガすることができることを意味する。
【0060】
しかしながら、ボンディング波の伝播を開始するために他の動作モードを使用できることに、留意すべきである。特にある種の条件下では、上側のウェーハ202上に機械的圧力を加えずに前記波伝播の開始をトリガすることが可能である。
【0061】
一旦、ボンディング波が伝えられると、ボンディング装置215内に含まれるノズル226によって、ガス流228が2枚のウェーハ間に送出される(図2D)。ボンディング波が2枚のウェーハ202及び206間を伝播する間、ガス流228が送出される。
【0062】
好ましくは、ボンディング波の開始と同時に、ガス流の送入がトリガされる。必要であれば、ボンディング波の開始の少し前に、ガス流の送入をトリガすることができる。
【0063】
さらに好ましくは、ウェーハ間のボンディング波の伝播のための期間全体にわたり、ガス流の送入を維持する。このようにして、下記により詳細に説明する機械的な減速効果が最適化される。
【0064】
それは、空気の流れ又はガス(若しくはガス混合物)の流れ、例えば、希ガス(例えば、ヘリウム、アルゴン及び/又はネオン)の流れ、窒素の流れ並びに/又は二酸化炭素の流れとすることができる。
【0065】
一例として、前記ガス流は、密接に接触している2枚のウェーハ間に侵入することができる非常に狭いジェット(ガスナイフ又はエアーナイフとしても知られる)の形式である。ノズル226の流れ断面は、好ましくはウェーハの間隔の大きさの程度、すなわち、例えば、10μm(マイクロメートル)の程度、及びいずれにしてもウェーハの厚さ未満である。ウェーハは、例えば、ほぼ500μm厚である。
【0066】
さらに、ここで説明する例では、ガス流228は、それぞれウェーハ202及び206のボンディング表面202a及び206a全体を洗い流すことができるように十分に広い。しかしながら、下記により詳細に示すように、別のガス流形態を想定することができる。
【0067】
さらに、基板キャリア210に取り付けたブロック230A、230B、及び230C(一括して230と記す)を、ウェーハ202及び206の周囲の側面に対して隣接して設置する。ガス流228の作用の下で、第1のウェーハ202の位置が支持ウェーハ206の位置からずれることを防止するために、これらのブロックが配置される。
【0068】
しかしながら、ブロック230の別の形状及び配置が可能であることを、理解すべきである。一例として、ブロックの数を必要であれば2個にまで減らすことができる(又は採用するブロックの形状が許容する場合にはさらに1個にまで減らすことができる)。
【0069】
さらにその上、好ましくはボンディング波に垂直に開始点216の方向に全体として向けられるように、ガス流228が送出される。
【0070】
ウェーハ202及び206の表面に加えられる力が効果的であるように、ガス流228は好ましくは層流である。
【0071】
図2Dから分かるように、ここで想定したノズル226は、内側に曲がったプロファイルを有し、その結果、ノズルの側面がウェーハ202及び206の周辺から一定の距離のところに留まる。ノズルにとってこの構成は、ボンディング波222の伝播に全体として垂直な方向にガス流228を送出するために使用することができるという点で有利である。
【0072】
ここで考える例では、開始点216は、第1のウェーハ202の周囲側面の近くに置かれる。上に記したように、この構成は、ボンディング波が大きな距離にわたって伝播することを意味し、開始点216から遠い部分では、この構成がほとんど不均質変形のないゾーンを形成できるので、この構成は好ましい。開始点216は、そのときには、ノズル226から反対側に好ましくは設置される。
【0073】
しかしながら、第1のウェーハ202の露出した表面上の任意の開始点のところに接触力を加えることが可能であることに、留意すべきである。
【0074】
ウェーハ202及び206間のボンディング波222の伝播を機械的に減速するように、ガス流228が向けられる。ノズル226を開始点216の方に向けることによって、ガス流228はボンディング波222の伝播に対抗する力の印加を実際に引き起こす。ここに説明する実施形態は、ウェーハ202及び206の全ボンディング表面にわたって一様な方式でボンディング波222の伝播を効果的に減速させることができる。ガス流228がウェーハ202及び206のボンディング表面202a及び206a間に機械的な圧力を加え、前記圧力がこれによってボンディング波の通過中にウェーハの接近を減速し、余分な水分を排出することを可能にするという事実によって、この減速は説明される。
【0075】
出願人は、ボンディング波の伝播を減速させることが、上に説明したボンディング欠陥の出現を著しく減少できることを意味することを示した。
【0076】
ボンディング波222を減速させることは、2枚のウェーハ間に位置する周囲空気をより効果的に排出できることをやはり意味する。このようにして、2枚のウェーハ間の空気中に含有される飽和水分が表面異常224のところに凝集しにくくなる。
【0077】
典型的な且つ本発明を適用しない場合には、前記ウェーハが300mmの直径を有し、酸化物同士のボンディングのとき又は2枚のウェーハのうちの一方がプラズマ処理によって活性化されているときには、ボンディング波222は、ボンディング表面202a及び206aの全体にわたって伝播するために約8秒〜10秒を要する。対照的に、本発明を採用する場合には、ボンディング波は、ここで考える実施形態では遅く、ボンディング波は、ボンディング表面の全体にわたって伝播するために10秒以上を要する。それにもかかわらず、ボンディング波伝播時間は、組み立てようとする2枚のウェーハ上に行われる表面処理に応じて変化する。実際に、ボンディング表面が親水分性であるほど、ボンディング波222の伝播速度が大きくなる。
【0078】
さらにその上、ガス流228は、好ましくは乾燥している。一例として、ガス流228は、10000ppm未満の濃度、又はさらに1000ppm未満の濃度の水分を有する。
【0079】
ガス流の離脱力を高めるために、2枚のウェーハ間に送出されるガス流228を加熱することができる。ガス流228の温度が高いほど、表面異常224のところに凝集の形でトラップされた水分を蒸発させる可能性が高い。好ましくは、2枚のウェーハの環境の周囲温度から200℃までの範囲内である温度に、ガス流228を加熱することができる。
【0080】
さらにその上、上に示したように、分子接着によって2枚のウェーハをボンディングすることは、ウェーハ内の不均質変形の原因である実質的な機械的応力を発生させる。例えば、ウェーハ202がボンディングの後で薄くされ、第2の系列のマイクロコンポーネントが、第1の系列のマイクロコンポーネント204を製造するために使用したものと類似のフォトリソグラフィマスクを使用してウェーハ202の露出した表面上に製造される場合には、一様でないオーバーレイ(overlay)が、分子接着によるウェーハボンディングよって引き起こされる不均質変形のために、2つの系列のマイクロコンポーネント間に出現するはずである。
【0081】
「類似のフォトリソグラフィマスク」という用語は、製造プロセス中に組み合わせて使用されるように設計されているマスクを意味する。
【0082】
前記伝播中にガス流228を送出することからもたらされるボンディング波の伝播を減速することは、2枚のウェーハの直接ウェーハボンディング中に発生する不均質変形を減少させるために有利に働き、これによって第1のウェーハ202の2つの面間のオーバーレイのリスクを減少させる。加えて、できるだけ多くの前記不均質変形を小さくするために、ガス流228の温度は、好ましくは、ウェーハの周囲温度に又は同じ程度の温度に設定される。
【0083】
図3A図3B及び図3Cに示した本発明の第2の実施形態によれば、第1のウェーハ302は、分子接着によって第2のウェーハ306にボンディングされる。この実施形態は、ボンディング装置215とは実質的に異なるボンディング装置315を使用して行われるという点で上に説明した第1の実施形態とは異なる。より正確には、ボンディング装置315は、基板キャリア310及び第1のウェーハ302にボンディング開始点を与えるための印加ツール314を備える。しかしながら、ボンディング装置315が、316で記されたボンディング開始点の方にすべてが向けられた複数のノズル332をやはり設けられるという点で、ボンディング装置315はボンディング装置215とは異なる。
【0084】
ボンディング装置315は、また、ノズル332を調整し、ノズル332の各々によって配送されるガス流328の送出の方向を制御するためのサーボ制御機構を備える。一例として、ボンディング装置は、印加ツール314によって与えられる開始点316の位置を位置センサによって検出するように構成される。一旦、開始点316の位置が決定されると、各ガス流328が、その開始点の方に又は好ましいように波の伝播に垂直な方向に向けられるように、ボンディング装置315は、ノズル332を向ける。
【0085】
図2A図2Dの実施形態と類似した方式で、前記第2の実施形態のボンディング装置は、ボンディング波の伝播中にウェーハ間にガス流を送出するように構成される。したがって、この第2の実施形態は、2枚のウェーハ間の界面のところのボンディング波の伝播を効果的且つ一様に減速し、それ故、ボンディング欠陥の出現を著しく減少させる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C