特許第5966436号(P5966436)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5966436
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】撮像装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/225 20060101AFI20160728BHJP
   G03B 9/08 20060101ALI20160728BHJP
   G03B 7/091 20060101ALI20160728BHJP
   G03B 17/00 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   H04N5/225 Z
   G03B9/08 A
   G03B7/091
   G03B17/00 N
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-42862(P2012-42862)
(22)【出願日】2012年2月29日
(65)【公開番号】特開2013-179520(P2013-179520A)
(43)【公開日】2013年9月9日
【審査請求日】2015年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秋彦
【審査官】 村山 絢子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−199476(JP,A)
【文献】 特開2012−039570(JP,A)
【文献】 特開2002−252804(JP,A)
【文献】 特開2010−199884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222−5/257
H04N 5/76−5/956
G03B 7/00−7/30
G03B 9/08−9/54
G03B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、
複数の画像を記録可能な記録部と、
第1操作及び前記第1操作を経て行われる第2操作が可能な操作部と、
前記第1操作により前記撮像素子からの画像を前記記録部に記録する第1連写撮影を開始し、前記第2操作により前記撮像素子からの画像を第1画像記録間隔で前記記録部に記録する第2連写撮影を行う連写制御部と、
前記第1操作の後の第2操作が所定の条件で行われた場合に、前記第1連写撮影を行わずに、前記第2連写撮影における画像記録間隔を前記第1画像記録間隔よりも小さい第2画像記録間隔に変更する記録間隔変更部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1操作が行われてから前記第2操作が行われるまでの時間を計測する時間計測部を更に備え、
前記記録間隔変更部は前記時間計測部により計測された計測時間が所定の第1閾値未満である場合に、前記第1画像記録間隔よりも小さい前記第2画像記録間隔に変更することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1連写撮影により前記記録部に記録された画像による前記記録部の使用領域の容量を計測する使用領域計測部を更に備え、
前記記録間隔変更部は前記使用領域計測部により計測された使用領域の容量が所定の第2閾値未満である場合に、前記第1画像記録間隔よりも小さい前記第2画像記録間隔に変更することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1連写撮影により前記記録部に記録された画像による前記記録部の使用領域以外の空き領域の容量を計測する空き領域計測部を更に備え、
前記記録間隔変更部は前記空き領域計測部により計測された空き領域の容量に応じて前記第2画像記録間隔を設定することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第2画像記録間隔が前記第2連写撮影で用いるシャッター秒時以下であるか否かを判断する記録間隔判断部と、
前記記録間隔判断部が、前記第2画像記録間隔が前記シャッター秒時以下であると判断した場合に、前記第2連写撮影で用いる前記シャッター秒時を前記第2画像記録間隔以下となるように変更するシャッター秒時変更部と、
を更に備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記シャッター秒時変更部が前記シャッター秒時を変更した場合に、画像処理のゲイン値又は前記撮像素子の感度を調整する露出調整部を更に備えることを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
コンピュータに、
第1操作及び前記第1操作を経て行われる第2操作が可能な操作部に対する前記第1操作により撮像素子からの画像を記録部に記録する第1連写撮影を開始し、前記第2操作により前記撮像素子からの画像を第1画像記録間隔で前記記録部に記録する第2連写撮影を行う処理を実行させ、
前記第1操作の後の前記第2操作が所定の条件で行われた場合に、前記第1連写撮影を行わずに、前記第2連写撮影における画像記録間隔を前記第1画像記録間隔よりも小さい第2画像記録間隔に変更する処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
1つのボタンで半押し操作と全押し操作の2つのアクションが可能なレリーズボタンを備えるカメラにおいて、半押し操作で所定のフレームレートでプリ連写撮影を開始し、全押し操作後に所定のフレームレートで所定時間又は枚数のポスト連写撮影を行って、該全押し操作の前後のそれぞれにおける複数枚の画像を記録するようにした技術が知られている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−257925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような2つのアクションが可能なレリーズボタンを用いる場合、半押し操作した状態で、ある程度の時間をおいてタイミングを図り、シャッターチャンスと思われるところで全押し操作を行うのが通常の操作であると考えられるものの、シャッターチャンスが突然到来した場合やそのような操作方法を知らない場合等においては、半押し操作の直後に殆ど時間をおかずに全押し操作を行う、いわゆる一気押し操作が行われる場合がある。
【0005】
しかしながら、従来技術では、通常の操作が行われることを前提として、ポスト連写撮影におけるフレームレートは予め設定された数値で固定されており、その数値は画像が記録されるメモリ(バッファメモリ)の容量と全体(プリ連写撮影とポスト連写撮影の全体)としての撮影枚数との関係で設定されているため、一気押し操作が行われた場合には、撮影枚数が必然的に少なくなり、最良な画像を撮影できる確率が低いという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、最良な画像を撮影できる確率を高くすることができる撮像装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の撮像装置は、撮像素子と、複数の画像を記録可能な記録部と、第1操作及び前記第1操作を経て行われる第2操作が可能な操作部と、前記第1操作により前記撮像素子からの画像を前記記録部に順次記録する第1連写撮影を開始し、前記第2操作により前記撮像素子からの画像を所定の第1画像記録間隔で前記記録部に順次記録する第2連写撮影を行う連写制御部と、前記第1操作の後の第2操作が所定の条件で行われた場合に、前記第2連写撮影における画像記録間隔を、前記第1画像記録間隔よりも小さい第2画像記録間隔に変更する記録間隔変更部と、を備えることを特徴とする。
また、本発明のプログラムは、コンピュータに、第1操作及び前記第1操作を経て行われる第2操作が可能な操作部に対する前記第1操作により撮像素子からの画像を記録部に記録する第1連写撮影を開始し、前記第2操作により前記撮像素子からの画像を第1画像記録間隔で前記記録部に記録する第2連写撮影を行う処理を実行させ、前記第1操作の後の前記第2操作が所定の条件で行われた場合に、前記第1連写撮影を行わずに、前記第2連写撮影における画像記録間隔を前記第1画像記録間隔よりも小さい第2画像記録間隔に変更する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の撮像装置及びプログラムによれば、最良な画像を撮影できる確率を高くすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態のデジタルカメラの全体構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態のデジタルカメラの制御部の機能構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態のデジタルカメラにおける処理を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施の形態のデジタルカメラにおける処理の変形例を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施の形態のデジタルカメラにおける処理の他の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1に示すように、カメラ1は、カメラ本体2と光学系としての撮影レンズ3とを備えている。カメラ本体2には、CPU10が設けられており、CPU10はシステムバス11に接続されている。CPU10は、後述する各ブロックから出力される信号の入力を受け、システムバス11に接続されているフラッシュメモリ12に記憶されている制御プログラムや各種の制御データ等に基づいて所定の演算を行い、演算結果に基づく制御信号を各ブロックへ出力する。
【0011】
システムバス11には、センサ駆動回路13を介して撮像素子14が接続されている。また、システムバス11には、A/D変換回路15、タイミングジェネレータ(TG)16、画像処理部17、バッファメモリ18、画像記録媒体19、及び操作部20がそれぞれ接続されている。さらに、システムバス11には、表示駆動部(不図示)を介して画像表示モニタ(液晶パネル)21が接続されている。
【0012】
撮像素子14は、CCDまたはCMOS等により構成され、撮影レンズ3を介した被写体からの光を受光・撮像し、撮像信号(蓄積電荷としてのアナログ信号)を出力する。撮像素子14から出力された撮像信号は、A/D変換回路15においてデジタル信号に変換され、システムバス11を介してバッファメモリ18に一時的に格納される。なお、タイミングジェネレータ16は、撮像素子14を駆動するタイミング信号及びA/D変換回路15を駆動するタイミング信号を出力する。
【0013】
画像処理部17は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で構成され、RAW画像データに対してホワイトバランス(WB)調整、輪郭補償、ガンマ補正などの画像処理(現像)を行うとともに、所定の圧縮形式(例えば、JPEG等)で圧縮する圧縮処理等を行う。
【0014】
バッファメモリ18には、RAW画像データや画像処理後の画像データ等が一時的に記憶される。画像記録媒体19は、フラッシュメモリ等から構成される可搬性を有するメモリカード等であり、圧縮処理が実施された画像データ(静止画、動画)を所定の付随情報とともに記録するものである。画像記録媒体19は、カメラ本体2に設けられた所定のスロット(不図示)に交換可能に装着される。
【0015】
操作部20は、半押し操作及び全押し操作の2つのスイッチングが可能なレリーズボタン、主電源をオン/オフするメインスイッチ、コマンドダイヤル、メニューボタン、項目選択用十字キー、OKボタン(決定ボタン)、各種の撮影モードを選択するためのボタン等を含み、撮影者はこれらのスイッチやボタン等を所定の手順に従って操作することにより、撮影指示の他、各種のモード等の選択や設定の切り換え、パラメータの選択や入力、その他の撮影に伴う指示を行うことができる。
【0016】
画像処理部17から送られる画像、バッファメモリ18又は画像記録媒体19から読み出された画像、及び撮影に関する情報等は、不図示の表示駆動部を介して画像表示モニタ21に表示される。画像表示モニタ21は、カメラ本体2の背面に設けられている。
【0017】
通常撮影モードにおいては、撮影者により操作部20のレリーズボタンが半押し操作されると、露出調整やフォーカス調整が自動的に行われ、その後に全押し操作されることにより、撮像素子14からの撮像画像に係るRAW画像データがバッファメモリ18に一時的に格納され、画像処理部17にて適宜に画像処理(現像)が行われる。CPU10は、画像処理後の画像データに、所定の付随情報を付加して、exif等の形式で画像ファイルとして、所定のファイル名で画像記憶媒体19に記録する。
【0018】
連写撮影モードにおいては、撮影者により操作部20のレリーズボタンが半押し操作されると、露出調整やフォーカス調整が自動的に行われた後に、撮像素子14からの撮像画像に係るRAW画像データが所定の画像記録間隔(一の画像を記録してから次の画像を記録するまでの時間(秒)であり、1秒間に撮影する画像の枚数であるフレームレート(fps)の逆数)で順次バッファメモリ18に一時的に格納される、プリ連写撮影(プリキャプチャー)が開始される。その後に全押し操作が行われると、その全押し操作時点のRAW画像データが撮影(バッファメモリ18に一時的に格納)される(本撮影)。その本撮影の後に引き続きポスト連写撮影が行われる。このポスト連写撮影(ポストキャプチャー)では、撮像素子14からの撮像画像に係るRAW画像データが所定の画像記録間隔で所定時間又は所定枚数、順次バッファメモリ18に一時的に格納される。即ち、全押し操作時点、およびその全押し操作の前後のそれぞれにおける複数枚の画像が記録される。
【0019】
プリ連写撮影におけるRAW画像データの一時的な格納のため、バッファメモリ18には所定容量のプリ撮影用の領域が確保されている。レリーズボタンが半押し操作されている間は、予め定められた所定の画像記録間隔でRAW画像データが当該プリ撮影用の領域に順次に格納され、この領域は、画像を格納する空き領域が無くなった場合には最も早期に格納した画像を順次に消去して、画像を順次追加するFIFOバッファとなっている。
【0020】
ポスト連写撮影におけるRAW画像データの一時的な格納のため、バッファメモリ18には所定容量のポスト撮影用の領域が確保されている。レリーズボタンが半押し操作を経て全押し操作されると、プリ連写撮影が終了されるとともに、予め定められた所定の画像記録間隔で、当該ポスト撮影用の領域に空きが無くなるまで(即ち、所定枚数に達するまで又は所定時間が経過するまで)、RAW画像が当該ポスト連写撮影用の領域に順次格納され、空き領域が無くなった時点で、ポスト連写撮影が終了される。その後、プリ連写撮影及びポスト連写撮影に係る各画像は、画像処理部17にて画像処理(現像)が行われる。CPU10は、予め設定された手順又は操作者の指示に従って、画像処理後の各画像データに、所定の付随情報を付加して、exif等の形式で画像ファイルとして、各々異なる所定のファイル名で画像記憶媒体19に記録する。
【0021】
次に、図2を参照して、本実施形態のデジタルカメラの制御部30の連写撮影モードを実現するための機能構成について説明する。制御部30は、CPU10がフラッシュメモリ12に格納された所定のプログラム(連写撮影モードプログラム)を実行することによって実現される。制御部30は、連写制御部31、一気押し判断部32、記録間隔変更部33、時間計測部34、使用領域計測部35、空き領域計測部36、記録間隔判断部37、シャッター秒時変更部38、及び露出調整部39を概略備えて構成されている。
【0022】
図2において、20aはレリーズボタンであり、レリーズボタン20aは上述したように、半押し操作及び該半押し操作を経て行われる全押し操作の2つのアクションが可能な操作部である。18aは記録部としての上述したバッファメモリ18に確保されるプリ撮影用領域を、18bは同じくポスト撮影用領域を示している。
【0023】
連写制御部31は、レリーズボタン20aの半押し操作により撮像素子14からの画像を所定の画像記録間隔でバッファメモリ18のプリ撮影用領域18aに順次記録する連写動作であるプリ連写撮影を開始し、レリーズボタン20aの全押し操作により該プリ連写撮影を終了するとともに、撮像素子14からの画像を所定の画像記録間隔(第1画像記録間隔)でバッファメモリ18のポスト撮影用領域に順次記録するポスト連写撮影を行う。
【0024】
一気押し判断部32は、半押し操作の直後に殆ど時間をおかずに全押し操作を行う一気押し操作が行われた否かを判断する。記録時間変更部33は、一気押し判断部32が、一気押し操作が行われたと判断した場合に、ポスト連写撮影における画像記録間隔を、前記第1画像記録間隔よりも小さい第2画像記録間隔に自動的に変更する(換言すれば、撮影フレームレートを、第1撮影フレームレートから、その第1撮影フレームレートよりも数値の大きい第2撮影フレームレートに上げる)。一気押し判断部32は後述する時間計測部34により計測された計測時間が所定の第1閾値未満である場合に、又は使用領域計測部35により計測された使用領域の容量が所定の第2閾値未満である場合に、一気押し操作が行われたと判断する。これらの判断の何れを行うかは、予め設定しておいてもよいし、操作者の選択により任意に変更できるようにしてもよい。
【0025】
時間計測部34は、レリーズボタン20aの半押し操作が行われてから全押し操作が行われるまでの時間を計測する。使用領域計測部35は、プリ連写撮影によりバッファメモリ18に記録された画像による該バッファメモリ18の使用領域の容量を計測する。空き領域計測部36は、バッファメモリ18の連写撮影に用いられる領域のうち、プリ連写撮影によりに記録された画像による使用領域以外の空き領域の容量を計測する。記録間隔変更部33は空き領域計測部36により計測された空き領域の容量に応じて前記第2画像記録間隔を設定する。
【0026】
記録間隔判断部37は、前記第2画像記録間隔がポスト連写撮影で用いるシャッター秒時以下であるか否かを判断する。シャッター秒時変更部38は、記録間隔判断部37が、前記第2画像記録間隔が前記シャッター秒時以下であると判断した場合に、ポスト連写撮影で用いるシャッター秒時を前記第2画像記録間隔以下となるように変更する。露出調整部39は、シャッター秒時変更部38が前記シャッター秒時を変更した場合に、画像処理のゲイン値又は撮像素子14の感度を調整する。
【0027】
次に、本実施形態のデジタルカメラの制御部30による処理を、図3に示すフローチャートを参照して説明する。この処理は、操作者による操作部20を用いた所定の操作により、連写撮影モードに設定されることにより開始される。処理が開始されると、まず、画像記録間隔(換言すれば撮影フレームレート)が設定される(ステップS11)。画像記録間隔とは、上述したプリ連写撮影及びポスト連写撮影のそれぞれにおけるバッファメモリ18に対する一の画像の記録から次の画像の記録までの時間のことであり、1秒あたりの画像記録枚数を示すフレームレートの逆数に相当する間隔である。各画像記録間隔(プリ連写撮影用画像記録間隔、ポスト連写撮影用画像記録間隔)は、バッファメモリ18に設定されるプリ撮影領域18a及びポスト撮影領域18bとの関係で、予めデフォルト値が設定され、又は撮影者による設定操作により変更設定できるようになっている。プリ連写撮影用画像記録間隔と、ポスト連写撮影用画像記録間隔とは、互いに同じ値に設定されても、異なる値に設定されてもよい。
【0028】
次いで、レリーズボタン20aが半押し操作されたか否かが判断され、ここでは半押し操作がなされたものとして(ステップS12)、プリ連写画像の取得が開始される(ステップS13)。プリ連写画像の取得とは、上述したプリ連写用画像記録間隔でRAW画像データがバッファメモリ18のプリ撮影領域18aに順次格納される処理である。レリーズボタン20aが半押し操作されている間は、RAW画像データはプリ連写撮影用領域18aに順次に格納され、該プリ連写撮影用領域18aに画像を格納する空き領域が無くなった場合には最も早期に格納した画像を順次に消去して、新たな画像が追加して格納される。
【0029】
次いで、レリーズボタン20aが全押し操作されたか否かが判断され、ここでは全押し操作されたものとして(ステップS14)、その後、(半押し−全押し時間)が所定の閾値(第1閾値)Tth未満であるか否かが判断される(ステップS15)。(半押し−全押し時間)とは、半押し操作されてから全押し操作されるまでに要した時間のことである。第1閾値Tthは、一気押し操作がなされたか、なされていないかを判断するために予め設定された時間に関する値であり、例えば、コンマ数秒(ex.0.3秒)程度に設定される。なお、第1閾値Tthは固定された値であってもよいし、撮影者の選択により任意に変更設定できるようにしてもよい。
【0030】
なお、第1閾値Tthは、プリ連写撮影で撮影された画像として、全押し操作後に保持される複数のプリ連写画像の取得時間(撮影期間)よりも短い時間に設定するのが望ましい。本実施形態では、プリ連写撮影で撮影された画像として、全押し操作前の0.6秒(全押し操作時点から遡って0.6秒)の間に撮影された連写画像が、プリキャプチャー画像として保持される。このため本実施形態においては、第1閾値Tthを、少なくとも0.6秒よりも短い時間(例えば上述の0.3秒)にしている。
【0031】
ステップS15において、(半押し−全押し時間)が第1閾値Tth未満であると判断された場合(Yesの場合)には、ポスト連写撮影用画像記録間隔が変更される(ステップS16)。ステップS16におけるポスト連写撮影用画像記録間隔の変更とは、全押し操作後のポスト撮影で用いる画像記録間隔を予め決められた方法で変更することであり、画像記録間隔をステップS11で設定した第1画像記録間隔よりも短い(小さい)第2画像記録間隔に再設定する(即ち、フレームレートをより大きい値に設定する)ことを意味する。例えば、変更後のポスト連写撮影用画像記録間隔を、変更前のポスト連写撮影用画像記録間隔の1/2倍(フレームレートで2倍)とすることができる。具体的には、一例として、ステップS11において、ポスト連写撮影用画像記録間隔として1/30秒(フレームレート30fps)が設定されている場合には、ステップS16において、画像記録間隔を1/60秒(フレームレート60fps)に変更する。変更後のポスト連写撮影用画像記録間隔の変更前のポスト連写撮影用画像記録間隔に対する割合は、予め設定された値を用いるようにできる。この値の設定は、固定的に決められていてもよいし、撮影者の変更操作によって任意に変更できるようにしてもよい。
【0032】
次に、変更後のポスト連写撮影用画像記録間隔がポスト連写撮影用として設定されているシャッター秒時以下であるか否かが判断される(ステップS17)。ステップS17において、変更後のポスト連写撮影用画像記録間隔がポスト連写撮影用として設定されているシャッター秒時以下であると判断された場合(Yesの場合)には、ポスト連写撮影用のシャッター秒時を当該ポスト連写撮影用画像記録間隔よりも短い値(小さい値)に変更設定する(ステップS18)。例えば、変更後のポスト連写撮影用画像記録間隔が1/60秒(0.0167秒)であり、シャッター秒時が1/50秒(0.02秒)である場合には、ステップS17が真(Yes)となり、ステップS18において、シャッター秒時がポスト連写撮影用画像記録間隔の1/60秒(0.0167秒)より短い、例えば1/100秒(0.01秒)に変更設定される。
【0033】
次いで、シャッター秒時を変更(短く)したことによる露出の低下分を補完するため、画像処理部17で用いられる画像処理パラメータの一つであるゲイン値(DGain値)を変更設定し(ステップS19)、ステップS20に進む。ステップS15において、(半押し−全押し時間)が所定の第1閾値Tth以上であると判断された場合(Noの場合)、又はステップS17において、変更後のポスト連写撮影用画像記録間隔がシャッター秒時を越えると判断された場合(Noの場合)には、ステップS20に進む。
【0034】
次いで、ステップS20において、ポスト連写画像が取得される。ポスト連写画像の取得とは、ステップS16で変更設定したポスト連写撮影用画像記録間隔でRAW画像データをバッファメモリ18のポスト撮影領域18bに順次格納する処理である。ポスト連写撮影は、ポスト連写撮影用領域18b(又はプリ連写撮影用領域18a及びポスト連写撮影用領域18b)に空き領域が無くなった場合に、又は全押し操作がなされた後、予め設定された所定の時間が経過した場合に終了される。
【0035】
次いで、予め設定されたゲイン値、又はステップS19で設定されたゲイン値を含む画像処理パラメータを用いて、画像処理部17にて適宜に画像処理(RAW現像)が行われ(ステップS21)、一連の処理を終了する(又はステップS11に戻って次の操作に備える)。なお、現像された一連の画像は、例えば、撮影者によりカメラ背面の液晶表示モニタ21等に表示して確認され、撮影者の操作に応じて、最適な一枚若しくは良好な複数枚又は全部が画像記録媒体19に記録される。
【0036】
上述した処理では、ステップS18でシャッター秒時を短く設定することによる露出不足を、画像処理パラメータとしてのゲイン値を変更(例えば、シャッター秒時を1/2倍にした場合、ゲイン値を2倍に設定)して、画像処理部17による画像処理(ステップS21)において、補完するようにしたが、撮像素子14の感度(Sv値)を変更調整することにより補完するようにしてもよい。
【0037】
なお、本実施形態では、プリ撮影用領域18a及びポスト撮影用領域18bとして用いる領域が全体としてバッファメモリ18に設定されており、プリ撮影用領域18aの最大容量は予め決められており、ポスト撮影用領域18bは全体の領域からプリ撮影領域18aとして使用された分を引いた残りの部分に割り当てられるようになっている。従って、プリ連写撮影で使用される容量が予め設定された最大容量よりも少ない場合には、その分だけポスト撮影用領域18bの最大容量が大きくなることになる。
【0038】
半押し操作の直後に殆ど時間をおかずに全押し操作を行う一気押し操作が行われる場合としては、シャッターチャンスが突然到来したような場合、即ち撮影を急いでいる場合が想定され、このような場合には、ポスト連写撮影における画像記録間隔を短い値(又はフレームレートを大きな値)に設定することが、最良な画像を撮影する確率を向上する観点から好ましい。しかしながら、特許文献1に記載された従来技術では、連写撮影モードにおいて、全押し操作後のポスト連写撮影における画像記録間隔(又はフレームレート)は、予め設定された値で固定されているため、かかる要請に応えることができなかった。
【0039】
これに対し、本実施形態では、一気押し操作がなされたか否かを半押しから全押しに至るまでの時間を計測して、所定の閾値と比較することにより判断し、一気押し操作がなされたと判断された場合には、ポスト連写撮影における画像記録間隔を短い値に変更設定してポスト連写撮影を行うようにしたので、一気押し操作がなされた場合に最良な画像を撮影する確率を向上することができる。
【0040】
また、一気押し操作が行われ、撮影者が急いで撮影している状況である場合には、手ぶれが発生する可能性が高い状況であると言えるが、画像記録間隔をより短い値に再設定してポスト連写撮影を行うようにしているので、手ぶれの可能性も小さくすることができる。
【0041】
次に、上述した実施形態の処理の一部を変形した変形例について説明する。上述した実施形態では、図3のステップS15において、半押し操作から全押し操作までに要した時間である(半押し−全押し時間)を所定の第1閾値Tthと比較して、一気押し操作がなされたか否かを判断していたが、図4に示すように、プリ撮影用領域18aの使用量を計測(検出)して、該使用量が予め設定されたメモリ容量に関する所定の第2閾値Mth未満である場合には一気押しがなされたと判断し、該使用量が予め設定された該所定の第2閾値Mthを越える場合には一気押しがなされていないと判断するようにできる。図3のステップS15を図4のステップS15’に置き換える以外は、図3と同様であるので、その他の説明は省略する。
【0042】
また、上述した実施形態では、図3のステップS16において、全押し操作後のポスト撮影で用いる画像記録間隔を、例えば変更前のポスト連写撮影用画像記録間隔に対して1/2倍等の予め決められた割合(方法)で変更するものとしたが、図5に示すように、バッファメモリ18の撮影用領域(プリ撮影用領域18a及びポスト撮影領域18b)の残量に応じて動的に変更設定するようにしてもよい。即ち、撮影用領域(プリ撮影用領域18a及びポスト撮影領域18b)のうち、プリ連写撮影で画像が格納された領域以外の空き領域の容量を計測(検出)し、予め決められた全押し操作後の撮影時間(ポスト連写撮影を行う時間:ポスト連写撮影にかけられる撮影時間はカメラ内で予め決まっており、例えば0.4秒)、及び画像1枚あたりの容量(本実施形態の場合は、バッファメモリ18に記憶(確保)される画像は全てRAW画像データなので、被写体等によらずRAW画像1枚当りのデータ量はほぼ同じ)に基づいて、画像記録間隔(換言すれば撮影フレームレート)を決定し、自動的に設定変更する。具体的には、「(残容量/RAW画像データ量)/(ポスト連写撮影の撮影時間)」という算出式により、ポスト撮影期間(全押し時点の撮影も含む)における撮影フレームレートを算出する。なお図3のステップS16を図5のステップS16’に置き換える以外は、図3と同様であるので、その他の説明は省略する。
【0043】
<変形例>
上記実施形態では、一気押し操作がなされたか否かの判別を、(半押し−全押し時間)や、バッファメモリ18のプリ撮影用領域18aの使用量(換言すれば撮影可能残量)に基づいて決定している。しかしながら以下に述べる方法(変形例)によっても一気押し操作がなされたか否かを識別するようにカメラを構成することもできる。
【0044】
図2で既述したように、バッファメモリ18にはプリ撮影用領域18aとポスト撮影用領域18b(全押し操作時点のRAW画像データはポスト撮影用領域18bに保持される)が設けられている。既述の如くバッファメモリに記憶(確保)される画像はRAW画像であるので、一枚当りの画像データ量はいずれもほぼ同じデータ量である。このためプリ撮影用領域18aとポスト撮影用領域18bはそれぞれ、RAW画像データの枚数分で表現することができる。本変形例におけるカメラの制御部30内(図2)には、プリ撮影用領域18aと電気的に接続し且つプリ撮影用領域18a内に記憶(保持)されている画像枚数を計数する「枚数計測部」(不図示)を構成しておく。そして一気押し判定部32は、この枚数計測部による計測結果と、カメラ内のメモリ部に予め記憶されている所定の判定閾値(閾値枚数)とを比較して、当該計測結果(枚数)が当該判定閾値(閾値枚数)よりも小さければ、一気押し操作がなされたものと判定する。
【0045】
例えば、プリ撮影用領域18aの容量がRAW画像データ20枚分であり、ポスト撮影用領域18bの容量がRAW画像データ10枚分であったとする。そして上述の判定閾値(閾値枚数)が8枚であったとする。今、使用者が一気押し操作を行ったことにより、全押し操作時点で、プリ撮影用領域18aにRAW画像データが5枚分(<閾値8枚)しかなかったとすると、上述の一気押し判定部32は一気押し操作がなされたと判定する。
【0046】
一気押し操作がなされたと判定すると、カメラの制御部30は次に、上記実施形態と同様に、ポスト連写撮影用画像記録間隔(換言すれば、ポスト撮影の際の撮影フレームレート)の変更処理を開始する(図3のステップS16参照)。このとき、本変形例では、残りの撮影枚数と、ポスト撮影にかけられる撮影時間(上述の全押し後撮影時間)とに基づいて撮影フレームレートを変更する。具体的に言うと、ポスト撮影にかけられる撮影時間は予め決まっており(例えば0.4秒)、この撮影時間(例えば0.4秒)内にバッファメモリ18の残領域(プリ用領域18aとポスト用領域18bの合計領域)に保持(撮影)可能な枚数分だけ撮影を行うために必要な撮影フレームレートを算出する。具体的には、「残枚数(バッファメモリ18に保持可能な残り撮影枚数)/(ポスト連写撮影の撮影時間)」という算出式により、ポスト撮影期間(全押し時点の撮影も含む)における撮影フレームレートを算出する。
【0047】
上述の例を用いて説明すると、バッファメモリ18にはプリ用、ポスト用(全押し時点用を含む)合わせて30枚のRAW画像データを保持可能である。一気押し操作によってプリ撮影用領域18aに5枚分のRAW画像データしかなかったとすると、バッファメモリ18にはプリ用とポスト用とを合わせて、あと25枚のRAW画像データを保持可能である。このため25枚のRAW画像撮影を上述のポスト撮影時間0.4秒の間に行うための撮影フレームレートを、(25枚/0.4秒)で算出する。この例の場合、フレームレートは62.5fpsと算出されるが、実運用上はどんな撮影フレームレートでも撮影実行するわけではなく、予め用意されている制御フレームレート(例えば、5fps、10fps、15fps、24fps、30fps、60fps、120fpsなど)の中から、算出フレームレートに最も近い制御フレームレートが選択されて撮影が行われることになる。本例の場合でいえば、62.5fpsに最も近い60fpsで、全押し時点の撮影を含むポスト撮影が行われることになる。
【0048】
なお、以上説明した実施の形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。従って、上記の実施の形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0049】
1…カメラ、2…カメラ本体、3…撮影レンズ、14…撮像素子、17…画像処理部、18…バッファメモリ、18a…プリ撮影用領域、18b…ポスト撮影用領域、20…操作部、20a…レリーズボタン、30…制御部、31…連写制御部、32…一気押し判断部、33…記録間隔変更部、34…時間計測部、35…使用領域計測部、36…空き領域計測部、37…記録間隔判断部、38…シャッター秒時変更部、39…露出調整部。
図1
図2
図3
図4
図5