特許第5966489号(P5966489)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5966489-イオン交換樹脂の混合方法及び装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5966489
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】イオン交換樹脂の混合方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 47/04 20060101AFI20160728BHJP
   B01F 5/10 20060101ALI20160728BHJP
   B01F 13/02 20060101ALI20160728BHJP
   B01F 5/00 20060101ALI20160728BHJP
   B01F 3/18 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   B01J47/04
   B01F5/10
   B01F13/02 Z
   B01F5/00 D
   B01F3/18
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-67279(P2012-67279)
(22)【出願日】2012年3月23日
(65)【公開番号】特開2013-198838(P2013-198838A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2015年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(72)【発明者】
【氏名】阿部 哲
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 伸
【審査官】 手島 理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−050898(JP,A)
【文献】 特開平10−085739(JP,A)
【文献】 特開2011−011120(JP,A)
【文献】 特開平07−325195(JP,A)
【文献】 特開平06−106165(JP,A)
【文献】 特開平02−135148(JP,A)
【文献】 特開2003−236540(JP,A)
【文献】 特開2005−052738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 47/04
B01F 3/18
B01F 5/00
B01F 5/10
B01F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂、強酸性型カチオン交換樹脂と弱酸性型カチオン交換樹脂、或いは強塩基性型アニオン交換樹脂と弱塩基性型アニオン交換樹脂の組み合わせよりなる複数種のイオン交換樹脂を混合する方法であって、
計量済みの該複数種のイオン交換樹脂と水とを混合槽に入れ、一端側及び他端側がそれぞれ該混合槽に接続された循環ラインによって前記イオン交換樹脂と前記水とをポンプで循環させて撹拌するとともに、不活性ガスを該混合槽内に散気することを特徴とするイオン交換樹脂の混合方法。
【請求項2】
請求項1において、前記循環ラインにラインミキサを設けたことを特徴とするイオン交換樹脂の混合方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記不活性ガスが窒素ガスであることを特徴とするイオン交換樹脂の混合方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記混合槽から混合済みのイオン交換樹脂を排出移送しているときにも前記循環ラインによってイオン交換樹脂と水とを循環させることを特徴とするイオン交換樹脂の混合方法。
【請求項5】
カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂、強酸性型カチオン交換樹脂と弱酸性型カチオン交換樹脂、或いは強塩基性型アニオン交換樹脂と弱塩基性型アニオン交換樹脂の組み合わせよりなる複数種のイオン交換樹脂を混合する装置であって、
計量済みの該複数種のイオン交換樹脂と水とを受け入れる混合槽と、
一端側及び他端側が該混合槽に接続された循環ラインと、
該循環ラインに設けられたポンプと、
該混合槽内に不活性ガスを散気する散気手段と
を有するイオン交換樹脂の混合装置。
【請求項6】
請求項において、前記循環ラインにラインミキサを設けたことを特徴とするイオン交換樹脂の混合装置。
【請求項7】
請求項5又は6において、前記混合槽は有蓋であり、かつ上部にガス排出手段が設けられていることを特徴とするイオン交換樹脂の混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種類が異なるイオン交換樹脂(例えば、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂)を均一にかつ清浄度を保った状態で混合する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のイオン交換樹脂の混合方法としては、混合槽内のイオン交換樹脂及び水をガス又は空気でバブリングすることにより流動を与えて混合する方法がある(特開平7−116526)。
【0003】
超純水製造工程に用いられるイオン交換装置は清浄度を高く保つ必要が有り、イオン交換樹脂のコンディショニング(洗浄又は精製)方法として特開2011−50898の方法が提案されており、またイオン交換樹脂を容器に充填するイオン交換装置の製作方法として特開2011−11120の方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−116526
【特許文献2】特開2011−50898
【特許文献3】特開2011−11120
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のイオン交換樹脂の混合方法は、大気中のほこりや微粒子が混合工程で混入するおそれがあり、清浄度の高いイオン交換装置を製作するためには、適切ではなかった。
【0006】
本発明は、清浄度の高いイオン交換装置を製作する場合に好適な、高い品質が安定して得られるイオン交換樹脂の混合方法及び混合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のイオン交換樹脂の混合方法は、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂、強酸性型カチオン交換樹脂と弱酸性型カチオン交換樹脂、或いは強塩基性型アニオン交換樹脂と弱塩基性型アニオン交換樹脂の組み合わせよりなる複数種のイオン交換樹脂を混合する方法であって、計量済みの複数種のイオン交換樹脂と水とを混合槽に入れ、一端側及び他端側がそれぞれ該混合槽に接続された循環ラインによって前記イオン交換樹脂と前記水とをポンプで循環させて撹拌するとともに、不活性ガスを該混合槽内に散気することを特徴とするものである。
【0008】
本発明のイオン交換樹脂の混合装置は、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂、強酸性型カチオン交換樹脂と弱酸性型カチオン交換樹脂、或いは強塩基性型アニオン交換樹脂と弱塩基性型アニオン交換樹脂の組み合わせよりなる複数種のイオン交換樹脂を混合する装置であって、計量済みの複数種のイオン交換樹脂と水とを受け入れる混合槽と、一端側及び他端側が該混合槽に接続された循環ラインと、該循環ラインに設けられたポンプと、該混合槽内に不活性ガスを散気する散気手段とを有するものである。
【0009】
該循環ラインにラインミキサを設けることが好ましい。
【0010】
該混合槽を有蓋とし、ガス排出手段を設けることが好ましい。
【0011】
不活性ガスとしては、窒素ガスが好ましい。
【0012】
本発明では、混合槽から混合済みのイオン交換樹脂を排出移送しているときにも前記循環ラインによってイオン交換樹脂と水とを循環させることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のイオン交換樹脂の混合方法及び装置にあっては、循環ラインのポンプによって、混合槽内の下部から水とともにイオン交換樹脂が引抜かれ、循環ラインを経由して混合槽の上部に戻される。これを繰り返すことにより混合槽内の複数種のイオン交換樹脂は流動が与えられ、混合槽内で撹拌・混合される。さらに、本発明では不活性ガスを混合槽内の水中に散気(バブリング)させることにより、さらに複雑な流動が与えられ、撹拌の効率が上がるため、短時間で均一なイオン交換樹脂の混合状態を得ることが可能となる。
【0014】
本発明では、混合槽を有蓋ガス排出手段付きの半密閉状態のものとし、この混合槽内で不活性ガスを散気することにより、混合槽内には一定の圧力がかかり、常時、不活性ガスが混合槽内からガス排出手段を通して外部に放出されることになるため、大気中に含まれるほこりや微粒子の混入を防止することができる。
【0015】
循環ラインにラインミキサを設けることにより、イオン交換樹脂の混合効率が向上する。
【0016】
不活性ガスとしては、入手のし易さや清浄度及びコストの面から高純度の窒素ガスを用いることが望ましい。
【0017】
循環ラインに使用されるポンプとしては、樹脂製のエアードポンプが望ましい。樹脂製のエアードポンプを使用することにより、ポンプからの不純物の溶出を抑えることができるのに加え、ガス混入液の送液も可能である。また、圧縮エアーで駆動するためオーバーロードによる発熱もない。また、エアーレギュレータの調節で吐出圧力を容易に制御することができ、安全である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態に係るイオン交換樹脂の混合装置の系統図である。
【0020】
混合槽1は天蓋1aを有し、該天蓋1aにガス排出手段としてのガス流出口2が設けられている。このガス流出口2には、フィルターや、混合槽1内からのガス流出のみを許容する逆止弁を設けてもよい。
【0021】
混合槽1内の下部に散気管3が設けられ、不活性ガスとしての窒素ガスが窒素ボンベ等のガス源からガス配管4及びバルブ5を介して供給可能とされている。混合槽1内の上部に、イオン交換樹脂の通過を阻止し、水の通過を許容するストレーナ6が設置され、該ストレーナ6に排水配管7が接続されている。
【0022】
混合槽1の底部に循環ライン10の流入端が接続されており、該循環ライン10の流出端が混合槽1の上部に接続されている。該循環ライン10にエアードポンプ11とラインミキサ12とが設けられている。エアードポンプ11よりも流入端側の循環ライン10から移送配管13が分岐しており、該移送配管13に設けられたエアードポンプ14によって混合済みのイオン交換樹脂が充填装置(図示略)へ移送可能とされている。
この混合済みのイオン交換樹脂の移送配管としては、ラインミキサーの出口配管に分岐した配管を設けて充填装置へ移送するようにしても良い。この場合、エアードポンプが1台で済む点で望ましい。
【0023】
混合槽1の天蓋1aを貫くようにして、アニオン交換樹脂の導入配管16とカチオン交換樹脂の導入配管17と、水の導入配管18とが設置されている。
【0024】
本発明において混合される複数種のイオン交換樹脂とは、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂のようにイオン基がカチオン交換性を有するかアニオン交換性を有するかの違いの他、同じカチオン交換樹脂でも強酸性型カチオン交換樹脂と弱酸性型カチオン交換樹脂の場合であったり、同じアニオン交換樹脂でも強塩基性型アニオン交換樹脂と弱塩基性型アニオン交換樹脂の組み合わせのようにイオン基の解離性が異なるイオン交換樹脂同士の場合であっても良い。
【0025】
このように構成された混合装置によるイオン交換樹脂の混合手順は以下の通りである。
【0026】
(1) 空の混合槽1内に散気管3から窒素を流出させ、混合槽1内の空気をガス流出口2から流出させ、混合槽1内を清浄な窒素ガス雰囲気とする。
(2) 計量されたアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂を水と共に配管16,17より混合槽1内に導入する。
(3) ストレーナ6から水がオーバーフローするまで配管18より混合槽1内に水を導入する。イオン交換樹脂の混合に使用される水は超純水レベルの水であるため、電極式のレベル計では水位が計測できない。そのため、この実施の形態では、ストレーナー6を利用したオーバーフロー形式とすることにより水位を決定するようにしている。
(4) エアードポンプ11を作動させて循環ライン10にイオン交換樹脂及び水の混合スラリーを通し、混合槽1内に流動を生じさせてイオン交換樹脂を混合及び撹拌する。
(5) 所定時間、上記(4)の混合を行った後、エアードポンプ11を停止し、エアードポンプ14を作動させて充填装置へ混合済みのイオン交換樹脂を移送する。この移送工程においても混合槽1内に外気が混入しないように窒素ガスがガス流出口2から放出されるように散気管3への窒素ガス供給を継続する。なお、イオン交換樹脂の分離が生じやすい場合は、イオン交換樹脂を充填装置へ移送している間もエアードポンプ11を作動させてイオン交換樹脂の混合を継続するようにしてもよい。
【0027】
かかるイオン交換樹脂の混合方法及び混合装置によると、イオン交換樹脂の混合工程において空気中のほこりや微粒子が混合槽1内に混入することが防止される。そのため、高清浄度の混合イオン交換樹脂がイオン交換樹脂塔に充填される。これにより、水質の良好な超純水などのイオン交換水を製造することができる。本発明は、超純水製造装置の中でも特にサブシステム(二次純水システム)のイオン交換ポリッシャー(非再生型イオン交換装置)の製作(イオン交換樹脂の充填)に用いるのに好適である。本発明は、特に高純度の超純水を製造するための超純水製造装置、例えばウエハー製造、半導体製造等に用いられる超純水製造装置のイオン交換装置の製作(イオン交換樹脂の充填)に用いるのに好適である。本発明により混合されたイオン交換樹脂を充填したイオン交換装置を有する超純水製造装置によると、金属濃度が1ppt以下さらには0.1ppt以下となる超純水を製造することが容易となる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例及び比較例について説明する。
[実施例1]
図1に示す混合装置を用いて前記手順に従い、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とを容積比で1:1に混合した後、クリーンルーム内でイオン交換樹脂の容器(72L)に充填してイオン交換装置を製作した。このイオン交換装置に表1に示す金属イオン濃度の超純水をSV=60/hで24時間通水した。24時間目に採取したイオン交換装置流出水の水質を表1に示す。
[比較例1]
イオン交換樹脂の混合工程において窒素ガスの散気を行わなかったこと以外は実施例1と同様にしてイオン交換装置を製作し、通水試験した。24時間目に採取したイオン交換装置流出水の水質を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
表1より明らかな通り、本発明のイオン交換樹脂の混合方法及び混合装置を用いることにより、高水質の超純水を得ることができる。
【符号の説明】
【0031】
1 混合槽
1a 天蓋
2 ガス流出口
3 散気管
6 ストレーナ
10 循環ライン
12 ラインミキサ
図1