(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
重量平均分子量が、ポリスチレン換算で1,000〜1,000,000の範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のアリールアミンポリマー。
パラジウム触媒及び塩基存在下、一般式(19)
【化4】
[式中、Ar
1は
フェニレン基、フルオレンジイル基、又は炭素数4〜20の二価のヘテロ芳香族炭化水素基を表し、これらは、各々独立して、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、及びハロゲン原子を有してもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい。Ar
2及びAr
3は、各々独立して、炭素数6〜24の芳香族炭化水素基又は炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基を表し、これらは、各々独立して、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、及びハロゲン原子を有してもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい。R
1、R
2、R
3及びR
4は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基(前記フェニル基は、各々独立して、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、及びハロゲン原子を有してもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる1種以上の置換基を1〜5個有していてもよい。)
を表す。mは2以上の整数を表す。]
で表される繰り返し構造を有し、且つ末端に二級アミノ基、又はハロゲン基、又はその両方を有する化合物と、一般式(6)
【化5】
(式中、Ar
4は、各々独立して、炭素数6〜24の芳香族炭化水素基又は炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基を表し、これらは、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜18のアルコキシ基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、及びハロゲン原子を有してもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい。X
5は、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。)
で表される芳香族ハロゲン化合物、又は一般式(7)
【化6】
(式中、Ar
5及びAr
6は、各々独立して、炭素数6〜24の芳香族炭化水素基又は炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基を表し、これらは、各々独立して、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、及びハロゲン原子を有してもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい。)
で表される芳香族二級アミン化合物、又はその両方とを反応させることを特徴とする、下記一般式(1)
【化7】
[式中、Ar
1は、
フェニレン基、フルオレンジイル基、又は炭素数4〜20の二価のヘテロ芳香族炭化水素基を表し、これらは、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、及びハロゲン原子を有してもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい。Ar
2、Ar
3、Ar
4、Ar
5及びAr
6は、各々独立して、炭素数6〜24の芳香族炭化水素基又は炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基を表し、これらは、各々独立して、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、及びハロゲン原子を有してもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい。R
1、R
2、R
3及びR
4は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基(前記フェニル基は、各々独立して、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、及びハロゲン原子を有してもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる1種以上の置換基を1〜5個有していてもよい。)を表す。nは2以上の整数を表す。]
で表されるアリールアミンポリマーの製造方法。
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のアリールアミンポリマーを正孔輸送層、正孔注入層、又は発光層のいずれか1層又は2層以上に含むことを特徴とする請求項15に記載の有機電界発光素子。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のアリールアミンポリマー(1)は上記一般式(1)で表される。
【0018】
アリールアミンポリマー(1)において、Ar
1は炭素数6〜24の二価の芳香族炭化水素基又は炭素数4〜20の二価のヘテロ芳香族炭化水素基を表し、これらは、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、及びハロゲン原子を有してもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい。
【0019】
Ar
1における炭素数6〜24の二価の芳香族炭化水素基としては、特に限定するものではないが、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントレンジイル基、フルオレンジイル基、9,9−ジメチルフルオレンジイル基等を挙げることができる。このうち、正孔輸送特性が優れる点、原料入手が容易な点で、フェニレン基、フルオレンジイル基が好ましい。
【0020】
Ar
1における炭素数4〜20の二価のヘテロ芳香族炭化水素基としては、特に限定するものではないが、例えば、ピリジレン基、カルバゾールジイル基、チエニレン基、ビチエニレン基、フランジイル基、ジベンゾフランジイル基、ジベンゾチエニレン基、N−置換ピロール基等を例示することができる。
【0021】
Ar
1におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0022】
Ar
1におけるハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基としては、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキサジエニル基、オクチル基、トリフルオロメチル基、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。このうち、ハロゲン原子有さない、炭素数1〜8のアルキル基が正孔輸送材の物性に優れる点で好ましく、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0023】
Ar
1におけるハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルコキシ基としては、特に限定するものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘキサジエニルオキシ基、オクチルオキシ基、テトラヒドロフラニルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等が挙げられる。このうち、ハロゲン原子を有さない、炭素数1〜8のアルコキシ基が正孔輸送材の物性に優れる点で好ましく、特に限定するものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等が挙げられる。
【0024】
Ar
1におけるハロゲン原子を有してもよい炭素数6〜24の芳香族炭化水素基としては、特に限定するものではないが、例えば、フェニル基、トリル基、クロロフェニル基、アセチルフェニル基、メチルチオフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、フェノキシ基、9,9−ジメチルフルオレニル基等が挙げられる。このうち、ハロゲン原子を有さない、炭素数6〜24の芳香族炭化水素基が正孔輸送材の物性に優れる点で好ましく、特に限定するものではないが、例えば、フェニル基、トリル基、アセチルフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0025】
Ar
1におけるハロゲン原子を有してもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基としては、特に限定するものではないが、例えば、フリル基、ピリジル基、ジフェニルアミノ基等を挙げることができる。
【0026】
なお、Ar
1は、各々独立して、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、及びハロゲン原子を有してもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる1種以上の置換基を1〜4個有していてもよいフェニレン基であることが好ましく、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基を置換基として有してもよいフェニレン基であることがさらに好ましく、メチル基又はエチル基を有してもよいフェニレン基であることが特に好ましい。
【0027】
炭素数6〜24の二価の芳香族炭化水素基又は炭素数4〜20の二価のヘテロ芳香族炭化水素基に置換してもよい置換基の数としては、特に限定するものではないが、1〜3個の範囲が好ましく、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0028】
本発明のアリールアミンポリマー(1)において、Ar
2、Ar
3、Ar
4、Ar
5及びAr
6は、各々独立して、炭素数6〜24の芳香族炭化水素基又は炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基を表し、これらは、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、及びハロゲン原子を有してもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい。
【0029】
Ar
2、Ar
3、Ar
4、Ar
5及びAr
6における炭素数6〜24の芳香族炭化水素基としては、特に限定するものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチルフルオレニル基等を挙げることができる。このうち、原料入手が容易な点で、フェニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチルフルオレニル基が好ましい。
【0030】
Ar
2、Ar
3、Ar
4、Ar
5及びAr
6における炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基としては、特に限定するものではないが、例えば、ピリジル基、カルバゾリル基、チエニル基、ビチエニル基、フリル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基等を例示することができる。このうち、正孔輸送性能に優れる点で、カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基が好ましい。
【0031】
Ar
2、Ar
3、Ar
4、Ar
5及びAr
6におけるハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、及びハロゲン原子を有してもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基としては、特に限定するものではないが、それぞれ、Ar
1で示したハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、及びハロゲン原子を有してもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基と同じ基を例示することが出来る。これらの置換基は、本願発明の効果を損なわない範囲で、炭素数6〜24の芳香族炭化水素基又は炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基に複数結合していてもよい。このうち、置換基の数としては、1〜3個の範囲が好ましく、置換基の種類は同一であっても異なっていてもよい。
【0032】
アリールアミンポリマー(1)において、Ar
2、Ar
3、Ar
4、Ar
5及びAr
6は、それぞれ、同一であっても、異なっていてもよい。ただし、合成の容易さを勘案するとAr
2、Ar
3、Ar
4、Ar
5及びAr
6は同一であることが好ましい。
【0033】
アリールアミンポリマー(1)において、R
1、R
2、R
3及びR
4は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基(前記フェニル基は、各々独立して、ハロゲン原子及び/又はヘテロ原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、及びハロゲン原子を有してもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる1種以上の置換基を1〜5個有していてもよい。)を表す。
【0034】
R
1、R
2、R
3及びR
4におけるハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基としては、特に限定するものではないが、例えば、Ar
1で示したハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基と同じ基を示すことが出来る。このうち、材料の塗布性を向上させる点で、長鎖アルキル基(例えば、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、n−オクチル基等)を導入すると好ましい。
【0035】
R
1、R
2、R
3及びR
4で示したフェニル基(前記フェニル基は、各々独立して、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、及びハロゲン原子を有してもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる1種以上の置換基を1〜5個有していてもよい。)において、当該フェニル基上の置換基である、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、及びハロゲン原子を有してもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基としては、特に限定するものではないが、それぞれ、Ar
1で示した、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、及びハロゲン原子を有してもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基と同じ基を例示することが出来る。これらの置換基は、本願発明の効果を損なわない範囲で、R
1、R
2、R
3及びR
4におけるフェニル基に複数結合していてもよい。このうち合成の要請の点で、置換基の個数は1又は2であることが好ましい。
【0036】
なお、R
3及びR
4は、正孔輸送特性及びガラス転移温度の点で、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基であることが好ましく、いずれも水素原子であることがさらに好ましい。
【0037】
R
1及びR
2は、正孔輸送特性及びガラス転移温度の点で、各々独立して、水素原子又はメチル基、エチル基であることが好ましい。
【0038】
アリールアミンポリマー(1)において、nは2以上の整数を表すが、正孔輸送特性や塗布性の点で、3〜10000の整数が好ましく、4〜1000の整数が好ましい。
【0039】
アリールアミンポリマー(1)としては、前述の定義に該当すれば特に限定するものではないが、有機電界発光素子の発光効率及び寿命等の物性の点で、下記一般式(8)〜(18)のいずれかで表される構造が好ましい。
【0041】
[上記式(8)〜(18)中、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10及びR
11は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基(前記フェニル基は、各々独立して、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、及びハロゲン原子を有してもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる1種以上の置換基を1〜5個有していてもよい。)を表す。]
R
5〜R
11におけるハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基としては、特に限定するものではないが、例えば、Ar
1で示したハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基と同じ基を示すことが出来る。
【0042】
R
5〜R
11におけるフェニル基(前記フェニル基は、各々独立して、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、及びハロゲン原子を有してもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる1種以上の置換基を1〜5個有していてもよい。)としては、特に限定するものではないが、例えば、R
1〜R
4で示したフェニル基(前記フェニル基は、各々独立して、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子を有してもよい炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、及びハロゲン原子を有してもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる1種以上の置換基を1〜5個有していてもよい。)と同じ基を挙げることができる。
【0043】
次にアリールアミンポリマー(1)の製造方法について説明する。
【0044】
アリールアミンポリマー(1)は、特に限定するものではないが、例えば、下記(反応式1)又は(反応式2)で示す重合工程によって一般式(19)で表される繰り返し構造を有する化合物を製造した後、当該繰り返し構造を有する化合物の末端の二級アミノ基、又はハロゲン基、又はその両方を保護する保護化工程を経ることによって製造することができる。
【0046】
(上記式(2)〜(5)、(19)中、Ar
1、Ar
2、Ar
3、R
1、R
2、R
3及びR
4は、各々独立して、一般式(1)と同じ定義である。X
1、X
2、X
3、及びX
4は、各々独立して、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。mは2以上の整数を表す。)
一般式(19)で表される繰り返し構造を有する化合物において、mは2以上の整数を表すが、キャリア輸送特性や塗布性の点で、3〜10000の整数が好ましく、4〜1000の整数が好ましい。
【0047】
重合工程から得られる、一般式(19)で表される繰り返し構造を有する化合物は、通常、重合末端に未反応の二級アミノ基、又はハロゲン基、又はその両方を有する。
【0048】
なお、重合工程から得られる、一般式(19)で表される繰り返し構造を有する化合物は、高いキャリア輸送特性を有するため、キャリア輸送剤として好ましく用いられる。また、一般式(19)で表される繰り返し構造を有する化合物においては、末端の二級アミノ基、又はハロゲン基、又はその両方を保護した方が、有機電界発光素子の長寿命化が期待されるため、好ましい。 未反応の二級アミノ基、又はハロゲン基、又はその両方の保護については、特に限定するものではないが、従来公知の方法で行うことができる。
【0049】
重合工程は、パラジウム触媒及び塩基の存在下、一般式(2)で表されるジアミン化合物と一般式(3)で表される芳香族ジハロゲン化合物との反応(反応式1)、または、一般式(4)で表される芳香族ジハロゲン化合物と一般式(5)で表されるジアミン化合物との反応(反応式2)によっておこなわれる。
【0050】
反応式1及び反応式2の反応をまとめて「重合反応」と称する。
【0051】
重合反応の生成物として、一般式(19)で表される繰り返し構造を有する化合物であって、末端が二級アミノ基又はハロゲン基、又は二級アミノ基とハロゲン基である化合物が得られる。
【0052】
保護化工程は、パラジウム触媒及び塩基の存在下、重合工程で得られた一般式(19)で表される繰り返し構造を有する化合物と下記一般式(6)で表される芳香族ハロゲン化合物又は下記一般式(7)で表される芳香族アミン化合物、又はその両方との反応によって行われる(本反応を「保護化反応」と称する)。
【0053】
保護化反応の生成物として、一般式(1)で表される本発明のアリールアミンポリマーが得られる。
【0055】
(式中、Ar
4は、一般式(1)と同じ定義であり、X
5は、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。)
【0057】
(式中、Ar
5及びAr
6は、各々独立して、一般式(1)と同じ定義である。)
なお、保護化反応は、重合反応に引き続きワンポットで行なってもよいし、一旦、重合反応の生成物である一般式(19)で表される繰り返し構造を有する化合物を単離した後、別途、パラジウム触媒及び塩基の存在下、行なってもよい。
【0058】
上記の一般式(2)で表されるジアミン化合物および一般式(4)で表される芳香族ジハロゲン化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、一般公知の方法に倣って合成したものを用いることができる。なお、合成の実例については、化合物(20)の合成例として詳細に後述している。
【0059】
上記の一般式(3)で表される芳香族ジハロゲン化合物、一般式(5)で表されるジアミン化合物としては、特に限定するものではないが、市販されているもの、又は一般公知の方法に倣って合成したものを用いることができる。
【0060】
(反応式1)の重合反応において、一般式で示したジアミン化合物と芳香族ジハロゲン化合物の混合比は、特に限定するものではないが、例えばジアミン化合物1モルに対して、ジハロゲン化合物が0.5〜2倍モルの範囲で行われる。このうち、重合物を得る点で、0.75〜1.5倍モルの範囲が好ましい。
【0061】
(反応式2)の重合反応において、一般式で示したジハロゲン化合物と芳香族ジアミン化合物の混合比は、特に限定するものではないが、例えばジハロゲン化合物1モルに対して、ジハロゲン化合物が0.5〜2倍モルの範囲で行われる。このうち、重合物を得る点で、0.75〜1.5倍モルの範囲が好ましい。
【0062】
保護化反応において、一般式(6)で表される芳香族ハロゲン化合物と、一般式(7)で表される芳香族アミン化合物を、同時に用いて反応を行うことも可能であるが、保護化反応の反応効率の点においては、芳香族ハロゲン化合物による保護化反応と、芳香族アミン化合物による保護化反応は、それぞれ別々に行うことが好ましい。また、別々に保護化反応を行う場合、芳香族ハロゲン化合物を用いる保護化反応と芳香族アミン化合物を用いる保護化反応はどちらを先に行ってもよい。
【0063】
芳香族ハロゲン化合物を用いる保護化反応と芳香族アミン化合物を用いる保護化反応は、ワンポットで連続的に行うこともできるし、一方の反応後、反応施生物を単離して別バッチで他方の反応を行うこともできる。
【0064】
一般式(6)で表される芳香族ハロゲン化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、置換基を有してもよいブロモベンゼン類[具体的には、ブロモベンゼン、2−ブロモトルエン、3−ブロモトルエン、4−ブロモトルエン、2−ブロモ−m−キシレン、2−ブロモ−p−キシレン、3−ブロモ−o−キシレン、4−ブロモ−o−キシレン、4−ブロモ−m−キシレン、5−ブロモ−m−キシレン、1−ブロモ−2−エチルベンゼン、1−ブロモ−4−エチルベンゼン、1−ブロモ−4−プロピルベンゼン、1−ブロモ−4−n−ブチルベンゼン、1−ブロモ−4−t−ブチルベンゼン、1−ブロモ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン、2−ブロモアニソール、3−ブロモアニソール、4−ブロモアニソール、1−ブロモナフタレン、2−ブロモナフタレン、2−ブロモビフェニル、3−ブロモビフェニル、4−ブロモビフェニル、9−ブロモアントラセン、9−ブロモフェナンスレン、N−メチル−3−ブロモカルバゾール、N−エチル−3−ブロモカルバゾール、N−プロピル−3−ブロモカルバゾール、N−ブチル−3−ブロモカルバゾール、2−ブロモフルオレン、2−ブロモ−9,9−ジメチル−フルオレン、2−ブロモ−9,9−ジエチル−フルオレン、2−ブロモ−9,9−ジイソプロピル−フルオレン、2−ブロモ−9,9−ジ−n−ブチル−フルオレン、2−ブロモ−9,9−ジ−t−ブチル−フルオレン、2−ブロモ−9,9−ジ−sec−ブチル−フルオレン、2−ブロモ−9,9−ジ−n−ヘキシル−フルオレン、2−ブロモ−9,9−ジ−n−オクチル−フルオレン等]、置換基を有してもよいクロロベンゼン類[具体的には、クロロベンゼン、2−クロロトルエン、3−クロロトルエン、4−クロロトルエン、2−クロロ−m−キシレン、2−クロロ−p−キシレン、3−クロロ−o−キシレン、4−クロロ−o−キシレン、4−クロロ−m−キシレン、5−クロロ−m−キシレン、1−クロロ−2−エチルベンゼン、1−クロロ−4−エチルベンゼン、1−クロロ−4−プロピルベンゼン、1−クロロ−4−n−ブチルベンゼン、1−クロロ−4−t−ブチルベンゼン、1−クロロ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン、2−クロロアニソール、3−クロロアニソール、4−クロロアニソール、1−クロロナフタレン、2−クロロナフタレン、2−クロロビフェニル、3−クロロビフェニル、4−クロロビフェニル、9−クロロアントラセン、9−クロロフェナンスレン、N−メチル−3−クロロカルバゾール、N−エチル−3−クロロカルバゾール、N−プロピル−3−クロロカルバゾール、N−ブチル−3−クロロカルバゾール、2−クロロフルオレン、2−クロロ−9,9−ジメチル−フルオレン、2−クロロ−9,9−ジエチル−フルオレン、2−クロロ−9,9−ジイソプロピル−フルオレン、2−クロロ−9,9−ジ−n−ブチル−フルオレン、2−クロロ−9,9−ジ−t−ブチル−フルオレン、2−クロロ−9,9−ジ−sec−ブチル−フルオレン、2−クロロ−9,9−ジ−n−ヘキシル−フルオレン、2−クロロ−9,9−ジ−n−オクチル−フルオレン等]、及び、置換基を有してもよいヨードベンゼン類[具体的には、ヨードベンゼン、2−ヨードトルエン、3−ヨードトルエン、4−ヨードトルエン、2−ヨード−m−キシレン、2−ヨード−p−キシレン、3−ヨード−o−キシレン、4−ヨード−o−キシレン、4−ヨード−m−キシレン、5−ヨード−m−キシレン、1−ヨード−2−エチルベンゼン、1−ヨード−4−エチルベンゼン、1−ヨード−4−プロピルベンゼン、1−ヨード−4−n−ブチルベンゼン、1−ヨード−4−t−ブチルベンゼン、1−ヨード−5−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン、2−ヨードアニソール、3−ヨードアニソール、4−ヨードアニソール、1−ヨードナフタレン、2−ヨードナフタレン、2−ヨードビフェニル、3−ヨードビフェニル、4−ヨードビフェニル、9−ヨードアントラセン、9−ヨードフェナンスレン、N−メチル−3−ヨードカルバゾール、N−エチル−3−ヨードカルバゾール、N−プロピル−3−ヨードカルバゾール、N−ブチル−3−ヨードカルバゾール、2−ヨードフルオレン、2−ヨード−9,9−ジメチル−フルオレン、2−ヨード−9,9−ジエチル−フルオレン、2−ヨード−9,9−ジイソプロピル−フルオレン、2−ヨード−9,9−ジ−n−ブチル−フルオレン、2−ヨード−9,9−ジ−t−ブチル−フルオレン、2−ヨード−9,9−ジ−sec−ブチル−フルオレン、2−ヨード−9,9−ジ−n−ヘキシル−フルオレン、2−ヨード−9,9−ジ−n−オクチル−フルオレン等]が挙げられる。
【0065】
上記一般式(7)で表される芳香族アミン化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、ジフェニルアミン、ジ−p−トリルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン等が挙げられる。
【0066】
重合反応及び保護化反応は、いずれも、パラジウム触媒及び塩基存在下に行われることを特徴とし、それらの反応条件については、特に限定するものではないが、いずれも以下に示すものを用いることができる。なお、パラジウム触媒は、通常、パラジウム化合物及び配位子を含んでなる。
【0067】
パラジウム触媒の構成成分であるパラジウム化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、4価のパラジウム化合物類[具体的には、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸ナトリウム四水和物、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸カリウム等)、2価のパラジウム化合物類(例えば、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウム(II)アセチルアセトナート、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラアンミンパラジウム(II)、ジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム(II)、パラジウム(II)トリフルオロアセテート等]、及び0価のパラジウム化合物類[具体的には、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等]が挙げられる。
【0068】
パラジウム触媒の構成成分である配位子としては、特に限定するものではないが、パラジウムに配位可能なものであればよく、例えば、トリアルキルホスフィン類、アリールホスフィン類、カルベン系配位子等が挙げられる。
【0069】
トリアルキルホスフィン類としては、特に限定するものではないが、例えば、トリエチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリイソブチルホスフィン、トリ−sec−ブチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン等が挙げられる。これらのうち触媒として特に高い反応活性を有することから、トリ−tert−ブチルホスフィンを使用することが好ましい。
【0070】
アリールホスフィン類としては、特に限定するものではないが、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(m−トリル)ホスフィン、トリ(p−トリル)ホスフィン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)、トリメシチルホスフィン、ジフェニルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノプロパン、ジフェニルホスフィノフェロセン等が挙げられる。
【0071】
カルベン系配位子としては、例えば、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン塩酸塩等が挙げられる。
【0072】
パラジウム触媒における配位子の使用量は、特に限定するものではないが、パラジウム原子1モルに対して通常0.01〜10000倍モルの範囲で使用すればよく、高価なトリアルキルホスフィン類、アリールホスフィン類、カルベン系配位子を使用することから、好ましくはパラジウム原子1モルに対して0.1〜10倍モルの範囲である。
【0073】
重合反応におけるパラジウム触媒の使用量は、特に限定されるものではないが、原料である一般式(3)で表される芳香族ジハロゲン化合物、又は一般式(4)で表されるジハロゲン化合物のハロゲン原子1モルに対し、パラジウム原子換算で通常0.0000001〜0.20倍モルの範囲であることが好ましい。このうち、触媒活性の点、及び高価なパラジウム化合物を使用する点から、通常0.00001〜0.05倍モルの範囲であることがより好ましい。
【0074】
保護化反応におけるパラジウム触媒の使用量は、特に限定されるものではないが、一般式(6)で表されるアリールハライド化合物、又は一般式(19)で表される繰り返し構造を有する化合物のハロゲン原子1モルに対し、パラジウム原子換算で通常0.0000001〜0.20倍モルの範囲であることが好ましい。このうち、触媒活性の点、及び高価なパラジウム化合物を使用する点から、通常0.00001〜0.10倍モルの範囲であることがより好ましい。
【0075】
重合反応及び保護化反応におけるパラジウム触媒の添加方法としては、特に限定するものではないが、重合反応又は保護化反応の反応系にパラジウム化合物及び配位子、並びにその他成分をそれぞれ単独に加えても良いし、予めこれら触媒構成成分を混合してパラジウム錯体の形態に調製したものを添加してもよい。
【0076】
重合反応及び保護化反応に用いる塩基としては、特に限定するものではないが、例えば、アルカリ金属(具体的には、ナトリウム、カリウム等)の水酸化物、炭酸塩、アルコキシド等の無機塩基、又は3級アミン等の有機塩基が挙げられる。これらのうち、好ましくはナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシドであり、それらは反応系にそのまま加えることもできるし、アルカリ金属、水素化アルカリ金属又は水酸化アルカリ金属とアルコールを反応系に供して、その場で調製することもできる。より好ましくは、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属3級アルコキシドを反応系にそのまま加える方法である。
【0077】
重合反応における塩基の使用量は、特に限定するものではないが、通常、一般式(3)で表される芳香族ジハロゲン化合物、又は一般式(4)で表されるジハロゲン化合物のハロゲン原子1モルに対して1〜1000倍モルの範囲から選ばれる。このうち、反応終了後の後処理操作を考慮すれば、1〜20倍モルの範囲がより好ましい。
【0078】
保護化反応における塩基の使用量は、特に限定するものではないが、通常、一般式(6)で表されるアリールハライド化合物のハロゲン原子1モルに対して1〜1000倍モルの範囲、好ましくは1〜20倍モルの範囲、又は一般式(19)で表される繰り返し構造を有する化合物のハロゲン原子1モルに対して1〜100000倍モルの範囲、好ましくは1〜1000倍モルの範囲から選ばれる。
【0079】
重合反応及び保護化反応は、いずれも通常は不活性溶媒存在下で実施することが好ましい。使用する溶媒としては、本反応を著しく阻害しない溶媒であればよく、特に限定するものではないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホトリアミド等を挙げることができる。これらのうち、好ましくはベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒である。
【0080】
重合反応及び保護化反応は、いずれも好ましくは常圧下、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で実施するが、例え加圧条件であっても実施することは可能である。
【0081】
重合反応及び保護化反応における反応温度は、いずれも経済的に許容できる速度で反応が進行する温度であれば特に限定するものではないが、通常20〜300℃、好ましくは50〜200℃、より好ましくは100〜150℃の範囲である。
【0082】
重合反応及び保護化反応における反応時間は、いずれも製造するアリールアミンポリマー、パラジウム触媒、反応温度等により一定ではないため特に限定するものではないが、多くの場合、数分〜72時間の範囲から選択すればよい。好ましくは24時間未満である。
【0083】
重合反応及び保護化反応によって製造されたアリールアミンポリマー(1)は、再沈殿等により未反応の低分子量化合物等から分離し、精製することができる。また、パラジウム触媒等の不純物の除去のためにシリカゲルや活性アルミナ等による吸着処理を行うことも可能である。
【0084】
本発明においてアリールアミンポリマー(1)の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、ポリスチレン換算で1,000〜1,000,000の範囲であり、より好ましくは5,000〜100,000の範囲である。
【0085】
アリールアミンポリマー(1)及び一般式(19)で表される繰り返し構造を有する化合物は、高いキャリア輸送性を示すため、電界効果トランジスタ、光機能素子、色素増感太陽電池、有機電界発光素子等の電子素子における導電性高分子材料(キャリア輸送材料)として使用される。
【0086】
キャリア輸送材料としては、具体的には、正孔注入材料、正孔輸送材料、発光材料、発光材ホスト材料、又はバッファー材料が挙げられる。
【0087】
アリールアミンポリマー(1)については、特に、その構造的特徴から、有機電界発光素子のキャリア輸送材として有用である。より具体的には、正孔注入材料、正孔輸送材料、発光材料、発光材ホスト材料、又はバッファー材料等として特に有用であり、正孔注入材料、正孔輸送材料、又は発光材ホスト材料として極めて有用である。
【0088】
本発明の有機電界発光素子としては、特に限定するものではないが、例えば、陽極、正孔注入層、正孔輸送材、電子ブロック層、発光材、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、陰極等を構成とする素子が挙げられるが、アリールアミンポリマー(1)を含有する有機層を備えていれば、素子構造は特に限定されない。
【0089】
アリールアミンポリマー(1)は、溶解性に優れることから、例えば、アリールアミンポリマー(1)そのもの、もしくはその溶液、混合液、又は溶融液等を使用して、スピンコーティング法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ロールコート法等の従来公知の塗布法によって、アリールアミンポリマー(1)を含有する有機層を備えた前記素子を作製することができる。また、インクジェット法、ラングミュア−ブロジェット法等によっても本発明のアリールアミンポリマー(1)を含有する有機層を備えた前記素子を作製することができる。
【実施例】
【0090】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0091】
ポリマー分子量:THF系GPC[HLC−8220(東ソー社製)。カラムはTSKgel−SuperH3000、TSKgel−SuperH2000、及びTSKgel−SuperH1000(いずれも東ソー社製)を連結した。]にて、合成したポリマーの分子量測定を行った。分子量は標準ポリスチレン換算で示した。
【0092】
ガラス転位温度:ネッチDSC200F3を用いて測定した。
【0093】
HOMO準位:大気中光電子分光装置測定装置AC−3(理研計器株式会社製)を用いて測定した。
【0094】
LUMO準位:UV−vis吸収スペクトルの吸収端からエネルギーギャップ(Eg)を算出し、HOMOから差し引くことで求めた。
【0095】
元素分析:全自動元素分析装置2400II(パーキンエルマー社製)を用いて分析した。
【0096】
実施例1 アリールアミンポリマー(20)の合成
冷却管、温度計を装着した200mL四つ口丸底フラスコに、室温下、化合物(20−a;2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン) 3.01g(13.3mmol)、1−ブロモ−4−n−ブチルベンゼン 5.40g(25.3mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 4.86g(50.6mmol)及びo−キシレン 57.0gを仕込んだ。
【0097】
この混合液に、予め窒素雰囲気下で調製した酢酸パラジウム(II) 56.8mg(0.253mmol)及びトリ−tert−ブチルホスフィン 204mg(1.01mmol)のo−キシレン(0.82g)溶液を添加した。その後、窒素雰囲気下、温度を120℃まで昇温し、120℃で加熱攪拌しながら3時間熟成した。
【0098】
反応終了後、放冷して80℃になった反応液に純水 50gを加えた後、攪拌しながら室温まで放冷した。得られた反応混合物にトルエン 200mLを加えて抽出し、得られた有機層を飽和食塩水 200mLで洗浄した。有機層をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通液後、減圧蒸留によりトルエンを留去し、残渣(6.26g)を得た。エタノールを溶媒とした再結晶操作により残渣を精製し、4.08gの化合物(20−b)を取得した。
【0099】
【化6】
【0100】
次に、冷却管、温度計を装着した300mL四つ口丸底フラスコに、室温下、化合物(20−b) 3.00g(6.11mmol)、1,4−ジヨードベンゼン 1.92g(5.82mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 4.47g(46.6mmol)及びo−キシレン 65.2gを仕込んだ。この混合液に、予め窒素雰囲気下で調製したトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0) 26.6mg(0.0291mmol)及びトリ−tert−ブチルホスフィン 47.1mg(0.233mmol)のo−キシレン(0.19g)溶液を添加した。その後、窒素雰囲気下、温度を120℃まで昇温し、120℃で加熱攪拌しながら3時間熟成した。
【0101】
その後、ブロモベンゼン 182mg(1.16mmol)を添加し、さらに120℃で3時間反応を行った。その後、ジフェニルアミン 3.01g(19.2mmol)を添加し、さらに120℃で3時間反応を行なった。
【0102】
反応終了後、約80℃まで放冷した反応混合物を、90%エタノール水溶液(1000mL)の攪拌溶液中へゆっくり加え、固体を析出させた。ろ過により固体をろ別回収し、 エタノール、水、エタノールの順番で洗浄した後、減圧乾燥して白色固体を得た(収率53%)。
【0103】
【化7】
【0104】
得られたアリールアミンポリマー(20)は、ポリスチレン換算で重量平均分子量12,500及び数平均分子量3,900(分散度3.2)であった。
【0105】
ガラス転移温度は122℃であった。
【0106】
HOMO準位は5.26eV、LUMO準位は1.96eVであった。
【0107】
元素分析の測定結果を表1に示す。
【0108】
元素分析の理論値は、理論的にすべての原料が反応して得られるポリマー構造に基づいて算出した。
【0109】
【表1】
【0110】
実施例2 アリールアミンポリマー(21)の合成
冷却管、温度計を装着した500mL四つ口丸底フラスコに、室温下、化合物(20−a;2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン) 6.90g(30.7mmol)、4−ブロモトルエン 10.0g(58.5mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 11.2g(116.9mmol)及びo−キシレン 133gを仕込んだ。
【0111】
この混合液に、予め窒素雰囲気下で調製した酢酸パラジウム(II) 65.6mg(0.29mmol)及びトリ−tert−ブチルホスフィン 237mg(1.17mmol)のo−キシレン(0.95g)溶液を添加した。その後、窒素雰囲気下、温度を130℃まで昇温し、130℃で加熱攪拌しながら22時間熟成した。
【0112】
反応終了後、放冷して80℃になった反応液に純水 100gを加えた後、攪拌しながら室温まで放冷した。得られた反応混合物にトルエン 500mLを加えて抽出し、得られた有機層を飽和食塩水 200mLで洗浄した。有機層をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通液後、減圧蒸留によりトルエンを留去し、残渣を得た。エタノールを溶媒とした再結晶操作を2回繰り返し、6.58gの化合物(21−b)を取得した。
【0113】
【化8】
【0114】
次に、冷却管、温度計を装着した300mL四つ口丸底フラスコに、室温下、化合物(21−b) 5.28g(12.7mmol)、1,4−ジブロモベンゼン 3.00g(12.7mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 9.78g(101.7mmol)及びo−キシレン 147gを仕込んだ。この混合液に、予め窒素雰囲気下で調製したトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0) 58.2mg(0.064mmol)及びトリ−tert−ブチルホスフィン 103mg(0.51mmol)のo−キシレン(0.41g)溶液を添加した。その後、窒素雰囲気下、温度を120℃まで昇温し、120℃で加熱攪拌しながら4時間熟成した。
【0115】
その後、ブロモベンゼン 0.50g(3.18mmol)を添加し、さらに120℃で3時間反応を行った。その後、ジフェニルアミン 1.08g(6.36mmol)を添加し、さらに120℃で3時間反応を行なった。
【0116】
反応終了後、約80℃まで放冷した反応混合物を、90%アセトン水溶液(1000mL)の攪拌溶液中へゆっくり加え、固体を析出させた。ろ過により固体をろ別回収し、アセトン、水、アセトンの順番で洗浄した後、減圧乾燥して白色固体を得た(収率91%)。
【0117】
【化9】
【0118】
得られたアリールアミンポリマー(21)は、ポリスチレン換算で重量平均分子量11,100及び数平均分子量4,900(分散度2.3)であった。
【0119】
ガラス転移温度は176℃であった。
【0120】
HOMO準位は5.28eV、LUMO準位は1.96eVであった。
【0121】
元素分析の測定結果を表1に示す。
【0122】
元素分析の理論値は、理論的にすべての原料が反応して得られるポリマー構造に基づいて算出した。
【0123】
【表2】
【0124】
実施例3 アリールアミンポリマー(20)の励起三重項準位の測定
UV−Visスペクトル測定用サンプルチューブ内でアリールアミンポリマー(20) 1mgと2−メチルテトラヒドロフラン 1mLとをよく混合し、均一な溶液を調製した。この溶液を窒素ガスで10分間バブリングすることによって脱気した後、このサンプルチューブを密栓し、燐光スペクトルを測定した。燐光スペクトルから算出されたアリールアミンポリマー(20)の励起三重項準位は、2.66eVであった。
【0125】
実施例4 アリールアミンポリマー(21)の励起三重項準位の測定
においてアリールアミンポリマー(20)の代わりにアリールアミンポリマー(21)を用いた以外は実施例3と同様の操作を行なって燐光スペクトルを測定したところ、アリールアミンポリマー(21)の励起三重項準位は、2.69eVであった。
【0126】
実施例5(有機電解発光素子の作製と評価)
厚さ200nmのITO透明電極を有するガラス基板をアセトン、イソプロピルアルコールで順次超音波洗浄し、次いで、イソプロピルアルコールで煮沸洗浄した後、乾燥した。更に、UV/オゾン処理した。
【0127】
この基板上に、スピンコート法により、ポリ−N,N′−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N′−ビス(フェニル)ベンジジン(ADS254BE:アメリカン・ダイ・ソース社製(励起三重項準位2.3eV)の0.5wt%クロロベンゼン溶液を30nmの厚みで成膜(正孔注入層)し、160℃で3時間乾燥した。その上に、スピンコート法により、アリールアミンポリマー(20)の0.5wt%トルエン溶液を30nmの厚みで成膜(正孔輸送層)し、160℃で3時間乾燥した。次に、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq
3、50nm)を蒸着した(発光層)。なお、上記蒸着は、真空度1.0×10
−4Pa、成膜速度0.3nm/秒の条件で行った。さらに、真空度1.0×10
−4Pa、成膜速度0.3nm/秒の条件で、フッ化リチウム(0.8nm)、アルミニウム(150nm)の順に蒸着した(電子輸送層)。更に、窒素雰囲気下、保護用ガラス基板を重ね、有機EL用シール剤を用いて接着、封止した(80℃、3時間)。
【0128】
以上の様にして作製した素子に、ITO電極を正極、LiF−Al電極を負極にして、20mA/cm
2の電流を印加して、素子の発光特性(駆動電圧、発光効率、電流効率)を調べた。発光特性を表3に示した。
【0129】
実施例6(有機電解発光素子の作製と評価)
実施例5において、アリールアミンポリマー(20)の0.5wt%トルエン溶液の代わりにアリールアミンポリマー(21)の0.5wt%クロロベンゼン溶液を使用した他は、実施例5と同様に素子を作製し、実施例5と同様に素子の発光特性を調べた。発光特性を表3に示した。
【0130】
比較例1
実施例5において、アリールアミンポリマー(20)の0.5wt%トルエン溶液の代わりに、市販のポリ−(N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン)(ADS254BE:アメリカン・ダイ・ソース社製)の0.5wt%クロロベンゼン溶液を使用した他は、実施例5と同様に素子を作製し、素子の発光特性を調べた。発光特性を表3に示す。
【0131】
【表3】