【文献】
Cho, Hoon-Je et al.,Synthesis and characterization of thermally stable bluelight-emitting polyfluorenes containing siloxane bridges,Macromolecules,2003年,36(18),6704-6710
【文献】
Severn, John R. et al.,Silsesquioxane-bonded zirconocene complexes as soluble modelsfor silica-tethered olefin polymerization catalysts,Dalton Transactions,2003年,(11),2293-2302
【文献】
Lo, Mee Yoon et al.,Silsesquioxane-based nanocomposite dendrimers with photo-luminescent and charge transport properties,Chemical Record,2006年,6(3),157-168
【文献】
Brick, Chad M. et al.,Robust Polyaromatic Octasilsesquioxanes fromPolybromophenylsilsesquioxanes, BrxOPS, via Suzuki Coupling,Macromolecules,2005年,38(11),4661-4665
【文献】
Liu, Zonglin; Lu, Hongfang,Synthesis and characterization of (7,10-diphenylfluoranthene-8-)silicon compounds,Phosphorus, Sulfur and Silicon and the Related Elements,1997年,122,151-154
【文献】
Chen, You-Xian et al.,Silylene-bridged fluorenyl-containing ligands and zirconium complexes with C1 and Cs symmetry: general synthesis and olefin polymerization catalysis,Journal of Organometallic Chemistry,1995年,497(1-2),1-9
【文献】
Schubert, Ulrich et al.,Fluorenylsilanes. V. Rearrangements of silyl-substitutedfluorenylsilanes,Chemische Berichte,1985年,118(12),4774-81
【文献】
Schubert, Ulrich; Rengstl, Alfred,Fluorenylsilane. Part II. a fulvene-like silaolefin,Journal of Organometallic Chemistry,1980年,192(2),C25-C30
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1の方法では、未反応の蛍光性化合物の完全な除去が困難であり、保存中や使用中にこれが凝集して析出するため外観や光学特性が変化し、好ましくない。また、高分子であるために、分子量分布を有しており、分子ごとの化学構造が不均一であるため、蛍光性化合物を樹脂内部で均一に分散した状態にすることが難しい。更に、分子内に複数の蛍光性置換基が近接して存在している場合、エキシマ発光により色調が変化する可能性もある。
また、特許文献2の化合物は有機溶剤に対する溶解性が乏しく、脂肪族炭化水素やシリコーン樹脂のような極性の低い溶剤や樹脂にはほとんど溶解しない。
【0010】
特許文献3の方法では、有機溶剤に対する溶解性は向上するものの、脂肪族炭化水素やシリコーン樹脂のような極性の低い溶媒や樹脂に対する溶解性はほとんど改善されず、これらの溶媒や樹脂中で染料や蛍光材料として用いることは難しい。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、有機溶媒への溶解性及び樹脂又はプレポリマーやモノマーとの相溶性、特にシリコーン樹脂との相溶性に優れ、簡便な方法で樹脂組成物をつくることができる蛍光性化合物及びその製造方法並びにこれを含有する蛍光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有する新規な蛍光性化合物を見出し、これを用いることによって上記課題が解決できることを知見し、本発明をなすに至った。
【0013】
即ち、本発明は、下記蛍光性化合物及びその製造方法並びにそれを含有する蛍光性樹脂組成物を提供する。
[I]
下記一般式(1)で表される蛍光性化合物。
【化1】
[式(1)において、R
3〜R
10は同一でも異なってもよく、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状の一価炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリーロキシ基、ハロゲン原子、水素原子、アミノ基、シアノ基及び下記式(2)で表されるシロキサン含有基から選択される置換基を表す
。R3とR
4、R
4とR
5、R
5とR
6、R
7とR
8、R
8とR
9、R
9とR
10は、それぞれ互いに結合してそれらが結合する一つ又は二つの炭素原子を含む構成炭素原子数が5〜8の環構造を形成してもよい。但し、
R1及びR2の両方は式(2)で表されるシロキサン含有基である。
【化2】
(式(2)において、Sxはケイ素原子数2〜10であって、該ケイ素原子に炭素数1〜20の一価炭化水素基が結合した直鎖状、分岐鎖状又は環状のオルガノシロキサニル基を表し、ケイ素原子がAと結合している。Aは単結合又は1個以上の−O−、−S−、−NR−もしくはそれらの組み合わせを含んでもよい炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状の二価炭化水素基を表す。但し、環状の二価炭化水素基の場合を除き酸素原子、硫黄原子及び窒素原子のヘテロ原子同士は隣接しない。Rは炭素数1〜20の一価炭化水素基である。)]
[II]
一般式(1)において、式(2)で表されるシロキサン含有基のケイ素原子数の総和が5以上である[I]記載の蛍光性化合物。
[
III]
一般式(1)において、R
4及びR
9のいずれか一方又は両方がビフェニル基である[I]
又は[II]記載の蛍光性化合物。
[
IV][I]〜[
III]のいずれかに記載の蛍光性化合物及び樹脂を含有する蛍光性樹脂組成物。
[
V]
樹脂が、シリコーン樹脂である[
IV]記載の蛍光性樹脂組成物。
[
VI]
下記一般式(3)で表されるオレフィン化合物と、下記一般式(4)で表されるSi−H基を有するシロキサン化合物を、白金触媒存在下で反応させることを特徴とする下記一般式(1’)で表される蛍光性化合物の製造方法。
【化2】
(式(3)において、R
13〜R
20は同一でも異なってもよく、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状の一価炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリーロキシ基、ハロゲン原子、水素原子、アミノ基及びシアノ基から選択される置換基を表す
。R13とR
14、R
14とR
15、R
15とR
16、R
17とR
18、R
18とR
19、R
19とR
20はそれぞれ互いに結合してそれらが結合する一つ又は二つの炭素原子を含む構成炭素原子数が5〜8の環構造を形成してもよい。但し、R
11〜R
20のうち少なくとも一つは1個以上の−O−、−S−、−NR−又はそれらの組み合わせを含んでもよい末端に脂肪族炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数2〜20の一価炭化水素基を表す
が、R11及びR12の両方は上記一価炭化水素基である。但し、環状の一価炭化水素基の場合を除き酸素原子、硫黄原子及び窒素原子のヘテロ原子同士は隣接しない。Rは炭素数1〜20の一価炭化水素基である。)
【化4】
(式(4)において、Sxはケイ素原子数2〜10であって、該ケイ素原子に炭素数1〜20の一価炭化水素基が結合した直鎖状、分岐鎖状又は環状のオルガノシロキサニル基を表す。)
【化5】
[式(1’)において、R
3’〜R
10’は同一でも異なってもよく、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状の一価炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリーロキシ基、ハロゲン原子、水素原子、アミノ基、シアノ基及び下記式(2’)で表されるシロキサン含有基から選択される置換基を表す
。R3’とR
4’、R
4’とR
5’、R
5’とR
6’、R
7’とR
8’、R
8’とR
9’、R
9’とR
10’は、それぞれ互いに結合してそれらが結合する一つ又は二つの炭素原子を含む構成炭素原子数が5〜8の環構造を形成してもよい。但し、
R1’及びR2’の両方は下記式(2’)で表されるシロキサン含有基である。
【化6】
(式(2’)において、Sxはケイ素原子数2〜10であって、該ケイ素原子に炭素数1〜20の一価炭化水素基が結合した直鎖状、分岐鎖状又は環状のオルガノシロキサニル基を表し、ケイ素原子がA’と結合している。A’は1個以上の−O−、−S−、−NR−又はそれらの組み合わせを含んでもよい炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状の二価炭化水素基を表す。但し、環状の二価炭化水素基の場合を除き酸素原子、硫黄原子及び窒素原子のヘテロ原子同士は隣接しない。Rは炭素数1〜20の一価炭化水素基である。)]
【発明の効果】
【0014】
本発明の蛍光性化合物は、有機溶媒や樹脂との相溶性に優れており、種々の媒体に均一に分散させることができるため、透明性や明度、彩度の高い蛍光性樹脂組成物が容易に得られる。また、分子量分布を持たない単一化合物であるため、高純度まで精製することができ、蛍光効率が高い。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の蛍光性化合物は、下記一般式(1)で表される。
【化7】
【0016】
一般式(1)において、R
1〜R
10は同一でも異なってもよく、炭素数1〜20、特に炭素数1〜12の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状の一価炭化水素基、炭素数1〜20、特に炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜20、特に炭素数6〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、水素原子、アミノ基、シアノ基及び下記式(2)で表されるシロキサン含有基から選択される置換基を表す。
【0017】
一価炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、イソペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基等の直鎖状、分岐鎖状、環状のアルキル基等の飽和炭化水素基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、1−メチルプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、オクタデセニル基等のアルケニル基、アルキニル基等の不飽和炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、ビフェニル基等のアリール基、アラルキル基等の芳香族炭化水素基が挙げられる。これらのなかでも、特にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ビニル基、アリル基、フェニル基が好ましい。
アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
アリーロキシ基の例としては、フェノキシ基、p−メチルフェノキシ基、ナフトキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
アミノ基の例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等が挙げられる。
【0018】
上記の一般式(1)における置換基R
1とR
2、R
3とR
4、R
4とR
5、R
5とR
6、R
7とR
8、R
8とR
9、R
9とR
10は互いに結合してそれらが結合する一つ又は二つの炭素原子を含む構成炭素原子数が5〜8の脂環又は芳香族環の環構造を形成してもよい。この場合、一般式(1)の構造は、具体的には、下記式(1a)〜(1g)のように表される縮環構造を形成する。但し、環構造を形成する場合、下記式においてR
1a、R
2a、R
3a、R
4a、R
5a、R
6a、R
7a、R
8a、R
9a、R
10aは、それぞれR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10から水素原子1個又は2個を除くことにより得られる二価又は三価の基である。
【0020】
上記一般式(1)で表される本発明の蛍光性化合物において、置換基R
1〜R
10のうち少なくとも一つ、特にR
1及び/又はR
2は、下記式(2)で表されるシロキサン含有基である。従って、上記一般式(1)で表される化合物には、一つ以上の一般式(2)で表される基が含まれている。この場合、特にR
1及びR
2のいずれか一方又は両方が一般式(2)で表される基であることが好ましい。また、上記一般式(1)に含まれるケイ素原子数の総和は2以上が好ましいが、より好ましくは5以上である。ケイ素原子数が少ない場合には十分な溶解性が得られない可能性がある。上限は特に制限されず、例えば10以下が好ましい。特にR
4及びR
9は、いずれか一方又は両方がビフェニル基であることが好ましい。
【0021】
【化9】
一般式(2)において、Sxはケイ素原子数2〜10、特に3〜10、とりわけ5〜10であって、該ケイ素原子に炭素数1〜20、特に炭素数1〜6の一価炭化水素基、例えばアルキル基が結合してもよい、直鎖状、分岐鎖状又は環状のオルガノシロキサニル基を表す。Sxはケイ素原子がAと結合しており、ケイ素−水素結合やケイ素−アルコキシ結合のような反応性の置換基を含まない。
【0022】
ケイ素原子に結合する一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基等が挙げられる。
【0023】
Sxの具体例としては、ペンタメチルジシロキサン−1−イル基、3,3,3−トリエチル−1,1−ジメチルジシロキサン−1−イル基、ペンタエチルジシロキサン−1−イル基、3−ビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、3−tert−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、3,3,3−トリイソプロピル−1,1−ジメチルジシロキサン−1−イル基、1,1−ジフェニル−3,3,3−トリメチルジシロキサン−1−イル基、3−メチル−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン−1−イル基、1−シクロヘキシル−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、ヘプタメチルトリシロキサン−1−イル基、ノナメチルテトラシロキサン−1−イル基、ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル基、トリデカメチルヘキサシロキサン−1−イル基、ペンタデカメチルヘプタシロキサン−1−イル基、ヘプタデカメチルオクタシロキサン−1−イル基、ノナデカメチルノナシロキサン−1−イル基、ヘンイコサメチルデカシロキサン−1−イル基等の直鎖状オルガノシロキサニル基;1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン−1−イル基、1−ペンタメチルジシロキサニルオキシ−1,3,3,5,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン−1−イル基、1−トリメチルシロキシ−1,3,3,5,5,7,7,7−オクタメチルテトラシロキサン−1−イル基、1,1−ビス(トリメチルシロキシ)−3,3,3−トリメチルジシロキサン−1−イル基等の分岐鎖状オルガノシロキサニル基;1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル基、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン−1−イル基等の環状オルガノシロキサニル基等が挙げられる。これらのなかでも、特にペンタメチルジシロキサン−1−イル基、ヘプタメチルトリシロキサン−1−イル基、ノナメチルテトラシロキサン−1−イル基、ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル基、1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル基、1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル基が好ましい。
【0024】
上記一般式(2)において、Aは単結合又は1個以上の不連続な−O−、−S−、−NR−もしくはそれらの組み合わせを含んでもよい炭素数1〜20、特に炭素数1〜12の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状の二価炭化水素基を表す。但し、環状の二価炭化水素基の場合を除き酸素原子、硫黄原子及び窒素原子のヘテロ原子同士は隣接しない。
【0025】
Rは炭素数1〜20、特に炭素数1〜12の一価炭化水素基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、イソペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基等の直鎖状、分岐鎖状、環状のアルキル基等の飽和炭化水素基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、1−メチルプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、オクタデセニル基等のアルケニル基、アルキニル基等の不飽和炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基等のアリール基、アラルキル基等の芳香族炭化水素基が挙げられる。これらのなかでも、特にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ビニル基、アリル基、フェニル基が好ましい。化合物中、複数のRが含まれることがあるが、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0026】
Aで表される基の具体例としては、メチレン基、1,2−エタンジイル基、1,1−エタンジイル基、1,2−エテンジイル基、1,1−エテンジイル基、1,3−プロパンジイル基、1,2−プロパンジイル基、2−メチル−1,3−プロパンジイル基、1,3−ブタンジイル基、1,4−ブタンジイル基、1,5−ペンタンジイル基、1,6−ヘキサンジイル基、1,4−シクロヘキサンジイル基、1,7−ヘプタンジイル基、1,8−オクタンジイル基、1,9−ノナンジイル基、1,10−デカンジイル基、1,11−ウンデカンジイル基、1,12−ドデカンジイル基、1,13−トリデカンジイル基、1,14−テトラデカンジイル基、1,15−ペンタデカンジイル基、1,16−ヘキサデカンジイル基、1,17−ヘプタデカンジイル基、1,18−オクタデカンジイル基、1,19−ノナデカンジイル基、1,20−イコサンジイル基等の直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族二価炭化水素基;1,3−ベンゼンジイル基、1,4−ベンゼンジイル基、2−メチル−1,4−ベンゼンジイル基、3−メチル−1,4−ベンゼンジイル基、2,5−ジメチル−1,4−ベンゼンジイル基、3−プロピルベンゼン−1−イル基、4−プロピルベンゼン−1−イル基、1,8−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基、1,3−ナフタレンジイル基、1,4−ナフタレンジイル基、1,3−アントラセンジイル基、1,4−アントラセンジイル基、1,5−アントラセンジイル基、2,6−アントラセンジイル基、9,10−アントラセンジイル、1,6−ピレンジイル基、1,8−ピレンジイル基、2,7−ピレンジイル基、4,9−ピレンジイル基、4−エチルベンゼン−1,2’−ジイル基、4−プロピルベンゼン−1,3’−ジイル基、4,4’−ビフェニルジイル基、4,3’−ビフェニルジイル基、3’−プロピルビフェニル−4−イル基、4’−プロピルビフェニル−4−イル基等の芳香族二価炭化水素基;2−オキサ−1,3−プロパンジイル基、3−オキサ−1,5−ペンタンジイル基、3−オキサ−2−メチル−1,5−ペンタンジイル基、3−オキサ−1,6−ヘキサンジイル基、3−オキサ−2−メチル−1,5−ヘキサンジイル基、3−オキサ−2−メチル−1,6−ヘキサンジイル基、3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジイル基、3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基、3−メチル−3−アザ−1,5−ペンタンジイル基、3−メチル−3−アザ−1,6−ヘキサンジイル基、3−フェニル−3−アザ−1,6−ヘキサンジイル基、3−メチル−3−アザ−7−オキサ−1,9−ノナンジイル基、3−チア−1,5−ペンタンジイル基、3,6−ジチア−1,8−オクタンジイル基、2,5−フランジイル基、2,5−チオフェンジイル基、1,2,4−オキサジアゾール−3,5−ジイル基、1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル基、1,2,4−チアジアゾール−3,5−ジイル基、1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジイル基等のヘテロ原子を含む二価炭化水素基等が挙げられる。これらのなかでも、特にメチレン基、1,2−エタンジイル基、1,3−プロパンジイル基、2−メチル−1,3−プロパンジイル基、1,4−ブタンジイル基、1,5−ペンタンジイル基、1,6−ヘキサンジイル基、1,7−ヘプタンジイル基、1,8−オクタンジイル基、1,9−ノナンジイル基、1,10−デカンジイル基、1,11−ウンデカンジイル基が好ましい。
【0027】
一般式(2)において、Sx、Aは任意の組み合わせが可能である。Sxがウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル基である場合について例示すると、一般式(2)で表されるシロキサン含有基の具体例としては、ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル基、ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イルメチル基、2−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)エチル基、1−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)エチル基、2−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)エテニル基、3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロピル基、2−メチル−3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロピル基、4−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)ブチル基、5−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)ペンチル基、6−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)ヘキシル基、7−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)ヘプチル基、8−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)オクチル基、9−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)ノニル基、10−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)デシル基、11−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)ウンデシル基、12−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)ドデシル基、14−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)テトラデシル基、16−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)ヘキサデシル基、18−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)オクタデシル基、20−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)イコシル基、4−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)フェニル基、3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)フェニル基、4−[2−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)エチル]フェニル基、4−[3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロピル]フェニル基、4−[2−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロピル]フェニル基、2−{2−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)エトキシ}エチル基、3−{2−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)エトキシ}プロピル基、2−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロポキシ}エチル基、2−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロポキシ}プロピル基、2−{2−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロポキシ}エトキシ}エチル基、2−{2−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロポキシ}プロポキシ}エチル基、2−{2−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロポキシ}プロポキシ}プロピル基等の置換炭化水素基;(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)メトキシ基、2−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)エトキシ基、3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロポキシ基、2−メチル−3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロポキシ基、3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)ブトキシ基、4−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)ブトキシ基、4−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)フェノキシ基、2−{2−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)エトキシ}エトキシ基、3−{2−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)エトキシ}プロポキシ基、2−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロポキシ}エトキシ基、2−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロポキシ}プロポキシ基、2−{2−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロポキシ}エトキシ}エトキシ基、2−{2−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロポキシ}プロポキシ}エトキシ基、2−{2−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロポキシ}プロポキシ}プロポキシ基、2−[N−メチル−N−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロピル}アミノ]エトキシ基、2−[N−メチル−N−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロピル}アミノ]エトキシ基、1−メチル−2−[N−メチル−N−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロピル}アミノ]エトキシ基、2−{2−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)エチルスルファニル}エトキシ基等の置換オルガノキシ基;(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)メトキシカルボニル基、2−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)エトキシカルボニル基、3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロポキシカルボニル基、2−メチル−3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロポキシカルボニル基、3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)ブトキシカルボニル基、4−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)フェノキシカルボニル基、2−{2−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)エトキシ}エトキシカルボニル基、3−{2−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)エトキシ}プロポキシカルボニル基、2−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロポキシ}エトキシカルボニル基、2−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロポキシ}プロポキシカルボニル基、2−{2−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロポキシ}エトキシ}エトキシカルボニル基、2−{2−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロポキシ}プロポキシ}エトキシカルボニル基、2−{2−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロポキシ}プロポキシ}プロポキシカルボニル基、2−[N−メチル−N−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロピル}アミノ]エトキシカルボニル基、2−[N−メチル−N−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロピル}アミノ]エトキシカルボニル基、1−メチル−2−[N−メチル−N−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロピル}アミノ]エトキシカルボニル基、2−{2−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)エチルスルファニル}エトキシカルボニル基等の置換オルガノキシカルボニル基;(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)アセトキシ基、3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロピオニルオキシ基、2−メチル−3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロピオニルオキシ基、5−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)ペンタノイルオキシ基、6−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)ヘキサノイルオキシ基、11−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)ウンデカノイルオキシ基、4−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)ベンゾイルオキシ基、{2−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)エトキシ}アセチル基、3−{2−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)エトキシ}プロピオニルオキシ基、{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロポキシ}アセトキシ基、3−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロポキシ}プロピオニルオキシ基、{2−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロポキシ}エトキシ}アセトキシ基、{2−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロポキシ}プロポキシ}アセトキシ基、3−[N−メチル−N−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロピル}アミノ]プロピオニルオキシ基、3−[N−メチル−N−{3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロピル}アミノ]プロピオニルオキシ基等の置換アシロキシ基等が挙げられる。
【0028】
式(2)で示される基としては、Sxの好ましい例、Aの好ましい例を組み合わせて得られる基が好ましい。特に、3−(ペンタメチルジシロキサン−1−イル)プロピル基、3−(ヘプタメチルトリシロキサン−1−イル)プロピル基、3−(ノナメチルテトラシロキサン−1−イル)プロピル基、3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロピル基、3−(1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル)プロピル基、3−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)プロピル基、4−(ペンタメチルジシロキサン−1−イル)ブチル基、4−(ヘプタメチルトリシロキサン−1−イル)ブチル基、3−(ノナメチルテトラシロキサン−1−イル)ブチル基、4−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)ブチル基、4−(1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル)ブチル基、4−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)ブチル基、5−(ペンタメチルジシロキサン−1−イル)ペンチル基、5−(ヘプタメチルトリシロキサン−1−イル)ペンチル基、5−(ノナメチルテトラシロキサン−1−イル)ペンチル基、5−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)ペンチル基、5−(1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル)ペンチル基、5−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)ペンチル基、6−(ペンタメチルジシロキサン−1−イル)ヘキシル基、6−(ヘプタメチルトリシロキサン−1−イル)ヘキシル基、6−(ノナメチルテトラシロキサン−1−イル)ヘキシル基、6−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)ペンチル基、6−(1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル)ヘキシル基、6−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)ヘキシル基、7−(ペンタメチルジシロキサン−1−イル)ヘプチル基、7−(ヘプタメチルトリシロキサン−1−イル)ヘプチル基、7−(ノナメチルテトラシロキサン−1−イル)ヘプチル基、7−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)ヘプチル基、7−(1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル)ヘプチル基、7−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)ヘプチル基、8−(ペンタメチルジシロキサン−1−イル)オクチル基、8−(ヘプタメチルトリシロキサン−1−イル)オクチル基、8−(ノナメチルテトラシロキサン−1−イル)オクチル基、8−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)オクチル基、8−(1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル)オクチル基、8−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)オクチル基、9−(ペンタメチルジシロキサン−1−イル)ノニル基、9−(ヘプタメチルトリシロキサン−1−イル)ノニル基、9−(ノナメチルテトラシロキサン−1−イル)ノニル基、9−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)ノニル基、9−(1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル)ノニル基、9−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)ノニル基、10−(ペンタメチルジシロキサン−1−イル)デシル基、10−(ヘプタメチルトリシロキサン−1−イル)デシル基、10−(ノナメチルテトラシロキサン−1−イル)デシル基、10−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)デシル基、10−(1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル)デシル基、10−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)デシル基、11−(ペンタメチルジシロキサン−1−イル)ウンデシル基、11−(ヘプタメチルトリシロキサン−1−イル)ウンデシル基、11−(ノナメチルテトラシロキサン−1−イル)ウンデシル基、11−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)ウンデシル基、11−(1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル)ウンデシル基、11−(1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン−1−イル)ウンデシル基がより好ましい。
【0029】
上記一般式(1)で表される化合物としては、下記式で示されるものが挙げられる。なお、下記式中、Sxは上述した通りである。
【化10】
【0034】
上記一般式(1)で表される化合物として、より具体的には、例えば、
2,7−ジブロモ−9,9’−ジ−[3−(1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル)プロピル]−フルオレン、
2,7−ビス(ビフェニル)−9,9’−ジ−[3−(1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル)プロピル]−フルオレン、
2,7−ジブロモ−9,9’−ジ−[3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロピル]−フルオレン、
2,7−ビス(ビフェニル)−9,9’−ジ−[3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロピル]−フルオレン
等を挙げることができる。
【0035】
本発明の上記一般式(1)で表される蛍光性化合物は、シロキサン含有基を含むが、シロキサン部分は構造が明確に規定されており、分子量分布を有するシロキサン混合物ではない。従って、一般式(1)で表される化合物も混合物ではなく単一化合物である。組成物を製造する際には、蛍光発色団のモル濃度が組成物の蛍光特性を決定する重要な因子であるので、モル濃度を正確に決定するために単一化合物であることが望ましい。
【0036】
本発明の蛍光性化合物は、蛍光特性を最大に発揮させるために、できる限り高純度に精製することが望ましい。上述のように、一般式(1)の本発明の蛍光性化合物は単一化合物であるため、高純度まで精製することが可能である。精製方法としては、例えば通常の有機化合物と同様に、再結晶や晶析、溶媒による洗浄、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー等の方法が挙げられる。本発明の蛍光性化合物の純度は、液体クロマトグラフィー法で精製して95%以上が好ましく、より好ましくは98%以上、更に好ましくは99%以上である。不純物を多く含む場合には式(1)の化合物自体の蛍光特性が低下することがあり、また蛍光性樹脂組成物を製造する際に濁りが生じることがあるため、組成物としても蛍光特性が低下する場合がある。液体クロマトグラフィー法による純度決定は、順相、逆相のいずれの条件でも可能である。順相では、例えばGLサイエンス社製Inertsil(登録商標)Diolカラムを、逆相では、例えばウォーターズ社製XBridge(登録商標)C18カラムを使用することができる。また、サイズ排除クロマトグラフィーも有効な方法であり、例えば東ソー(株)製TSK−GEL SuperHZ2000カラムを使用することができる。
【0037】
本発明の蛍光性化合物は、例えば公知のフルオレン構造に、シロキサン含有基を結合させることにより製造することができる。シロキサン含有基を結合させる方法としては、例えばSi−H結合を有するシロキサンを用いる脂肪族不飽和基へのヒドロシリル化反応が挙げられるが、これに限定されない。
【0038】
より具体的には、本発明の一般式(1)で表される化合物の製造方法は、例えば、下記一般式(3)で表されるオレフィン化合物と、下記一般式(4)で表されるSi−H基を有するシロキサン化合物を、白金触媒存在下で反応させて製造する。
【化15】
【0039】
式(3)において、R
11〜R
20は同一でも異なってもよく、炭素数1〜20、特に炭素数1〜12の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状の一価炭化水素基、炭素数1〜20、特に炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜20、特に炭素数6〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、水素原子、アミノ基、シアノ基から選択される置換基を表す。R
11とR
12、R
13とR
14、R
14とR
15、R
15とR
16、R
17とR
18、R
18とR
19、R
19とR
20は、それぞれ互いに結合してそれらが結合する一つ又は二つの炭素原子を含む構成炭素原子数が5〜8の脂環又は芳香環の環構造を形成してもよい。
【0040】
一価炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、イソペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基等の直鎖状、分岐鎖状、環状のアルキル基等の飽和炭化水素基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、1−メチルプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、オクタデセニル基等のアルケニル基、アルキニル基等の不飽和炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、ビフェニル基等のアリール基、アラルキル基等の芳香族炭化水素基が挙げられる。これらのなかでも、特にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ビニル基、アリル基、フェニル基が好ましい。
アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
アリーロキシ基の例としては、フェノキシ基、p−メチルフェノキシ基、ナフトキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
アミノ基の例としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等が挙げられる。
【0041】
但し、一般式(3)で表される化合物において、R
11〜R
20のうち少なくとも一つ、特にR
11及び/又はR
12は、末端に脂肪族炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数2〜20、特に2〜10の一価炭化水素基であることが好ましく、1個以上の−O−、−S−、−NR−又はそれらの組み合わせを含んでもよい。但し、環状の一価炭化水素基の場合を除き酸素原子、硫黄原子及び窒素原子のヘテロ原子同士は隣接しない。Rは炭素数1〜20、特に1〜12の一価炭化水素基である。置換基中に複数のRが含まれることがあるが、それらは同一でも異なっていてもよく、上述したものと同様のものが例示される。
【0042】
これらの具体例としては、ビニル基、イソプロペニル基、アリル基、1−メチルプロペニル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基、8−ノネニル基、9−デセニル基、10−ウンデセニル基、11−ドデセニル基、12−トリデセニル基、13−テトラデセニル基、14−ペンタデセニル基、15−ヘキサデセニル基、16−ヘプタデセニル基、17−オクタデセニル基、18−ノナデセニル基、19−イコセニル基、エチニル基、プロパルギル基、3−ブチニル基、4−ペンチニル基、5−ヘキシニル基、6−ヘプチニル基、7−オクチニル基、8−ノニニル基、9−デシニル基、10−ウンデシニル基、11−ドデシニル基等の不飽和炭化水素基、アリロキシ基、2−オキサ−4−ペンテニル基、3−オキサ−2−メチル−4−ペンテニル基、3−オキサ−5−ヘキセニル基、3−オキサ−2−メチル−5−ヘキセニル基、3,6−ジオキサ−7−オクテニル基、3−メチル−3−アザ−4−ペンテニル基、3−チア−4−ペンテニル基、5−ビニルフラン−2−イル基、5−ビニルチオフェン−2−イル基、5−ビニル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル基、5−ビニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル基、5−ビニル−1,2,4−チアジアゾール−3−イル基、5−ビニル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル基等のヘテロ原子を含む一価炭化水素基が挙げられる。
【0044】
式(4)において、Sxはケイ素原子数2〜10、特に3〜10、とりわけ5〜10であって、該ケイ素原子に炭素数1〜20、特に1〜6の一価炭化水素基が結合した直鎖状、分岐鎖状又は環状のオルガノシロキサニル基を表す。上記一価炭化水素基の具体例としては、上記したものと同様のものが挙げられる。式(4)で表される化合物はヒドロシリル化反応に供されるSi−H結合を有している。
【0045】
式(4)の具体例は、ペンタメチルジシロキサン、3,3,3−トリエチル−1,1−ジメチルジシロキサン、ペンタエチルジシロキサン、3−ビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、3−tert−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、3,3,3−トリイソプロピル−1,1−ジメチルジシロキサン、1,1−ジフェニル−3,3,3−トリメチルジシロキサン、3−メチル−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1−シクロヘキシル−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン、ヘプタメチルトリシロキサン、ノナメチルテトラシロキサン、ウンデカメチルペンタシロキサン、トリデカメチルヘキサシロキサン、ペンタデカメチルヘプタシロキサン、ヘプタデカメチルオクタシロキサン、ノナデカメチルノナシロキサン、ヘンイコサメチルデカシロキサン等の直鎖状オルガノシロキサン;1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、1−ペンタメチルジシロキサニルオキシ−1,3,3,5,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、1−トリメチルシロキシ−1,3,3,5,5,7,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1,1−ビス(トリメチルシロキシ)−3,3,3−トリメチルジシロキサン等の分岐鎖状オルガノシロキサン;1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン等の環状オルガノシロキサンが挙げられる。これらのなかでも、特にペンタメチルジシロキサン、ヘプタメチルトリシロキサン、ノナメチルテトラシロキサン、ウンデカメチルペンタシロキサン、1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサンが好ましい。
【0046】
本発明の製造方法においては、式(3)のオレフィン化合物と式(4)のオルガノシロキサンとを白金触媒下で反応させて製造する。白金触媒の具体例としては塩化白金酸、白金(0)ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、白金(0)テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン錯体、テトラキストリフェニルホスフィン白金、ジクロロビストリフェニルホスフィン白金、ジクロロビスアセトニトリル白金、ジクロロビスベンゾニトリル白金、ジクロロシクロオクタジエン白金等の白金化合物、活性炭担持白金、シリカゲル担持白金等の固体担持白金が挙げられる。白金触媒の使用量は特に限定されないが、式(3)のオレフィン化合物1モルに対し、白金換算で0.000001〜0.01モル、特に0.00001〜0.001モルの範囲が好ましい。
【0047】
また、式(3)で表されるオレフィン化合物と式(4)で表されるオルガノシロキサンの配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、式(3)の化合物1モルに対し、式(4)の化合物の使用量は、0.5〜2モル、特に1.0〜1.2モルが好ましい。
【0048】
上記反応の反応温度は、0〜200℃、特に20〜100℃が好ましく、反応時間は0.1〜20時間、特に1〜3時間が好ましい。反応温度及び時間は、当業者が適宜これを決定することができる。溶媒としては、エーテル系や炭化水素系溶媒、非プロトン性極性溶媒が好ましく、具体的には、ペンタン、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。
【0049】
上記反応によって、例えば、下記一般式(1’)で示される化合物を得ることができる。
【化17】
[式(1’)において、R
1’〜R
10’は同一でも異なってもよく、炭素数1〜20、特に炭素数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状の一価炭化水素基、炭素数1〜20、特に炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜20、特に炭素数6〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、水素原子、アミノ基、シアノ基及び下記式(2’)で表されるシロキサン含有基から選択される置換基を表す。R
1’とR
2’、R
3’とR
4’、R
4’とR
5’、R
5’とR
6’、R
7’とR
8’、R
8’とR
9’、R
9’とR
10’は、それぞれ互いに結合してそれらが結合する一つ又は二つの炭素原子を含む構成炭素原子数が5〜8の脂環又は芳香環の環構造を形成してもよい。但し、R
1’〜R
10’のうち少なくとも一つは、下記式(2’)で表されるシロキサン含有基である。
【化18】
(式(2’)において、Sxはケイ素原子数2〜10、特に3〜10、とりわけ5〜10であって、該ケイ素原子に炭素数1〜20、特に炭素数1〜6の一価炭化水素基が結合した直鎖状、分岐鎖状又は環状のオルガノシロキサニル基を表し、ケイ素原子がA’と結合している。A’は1個以上の−O−、−S−、−NR−又はそれらの組み合わせを含んでもよい炭素数2〜20、特に炭素数2〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状の二価炭化水素基を表す。但し、環状の二価炭化水素基の場合を除き酸素原子、硫黄原子及び窒素原子のヘテロ原子同士は隣接しない。Rは炭素数1〜20の一価炭化水素基である。)]
【0050】
R
1’〜R
10’の具体例としては、R
1〜R
10について挙げたものと同様のものを挙げることができる。
A’の具体例としては、Aの具体例として挙げたもの(炭素数1のものを除く)と同じものを挙げることができる。また、式(2’)の具体例としては式(2)の具体例として挙げたもの(Aが炭素数1の場合を除く)と同じものを例示できる。
【0051】
なお、一般式(2)で表されるシロキサン含有基のAが単結合又は炭素数1の二価炭化水素基である場合の製造方法は、一般式(5)で表されるハロゲン化合物と金属又は有機金属を反応させてメタロフルオレン誘導体を調製し、これを一般式(7)で表されるケイ素化合物と反応させて製造する。
【化19】
【0052】
式(5)において、R
21〜R
30は同一でも異なってもよく、炭素数1〜20、特に炭素数1〜12の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状の一価炭化水素基、炭素数1〜20、特に炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜20、特に炭素数6〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、水素原子、アミノ基、シアノ基から選択される置換基を表す。
【0053】
但し、一般式(5)で表される化合物において、R
21〜R
30のうち少なくとも一つ、特にR
21及び/又はR
22は、下記一般式(6)で表される置換基を含む。
【化20】
【0054】
式(6)において、Halは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子を表し、Bは単結合、又は1個以上の−O−、−S−、−NR−もしくはそれらの組合せを含んでもよい炭素数1の二価炭化水素基を表す。但し、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子のヘテロ原子同士は隣接しない。Rは炭素数1〜20、特に炭素数1〜12の一価炭化水素基である。置換基中に複数のRが含まれることがあるが、それらは同一でも異なっていてもよい。Rの具体例は上述した通りである。
【0055】
これらの具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、クロロメトキシ基、ブロモメトキシ基、ヨードメトキシ基等が挙げられる。
【0056】
R
21とR
22、R
23とR
24、R
24とR
25、R
25とR
26、R
27とR
28、R
28とR
29、R
29とR
30は、それぞれ互いに結合してそれらが結合する一つ又は二つの炭素原子を含む構成炭素原子数が5〜8の脂環又は芳香環の環構造を形成してもよい。
【0057】
一価炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、イソペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基等の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基等の飽和炭化水素基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、1−メチルプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、オクタデセニル基等のアルケニル基、アルキニル基等の不飽和炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、ビフェニル基等のアリール基、アラルキル基等の芳香族炭化水素基が挙げられる。これらのなかでも、特にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ビニル基、アリル基、フェニル基が好ましい。
アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
アリーロキシ基の例としては、フェノキシ基、p−メチルフェノキシ基、ナフトキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
アミノ基の例としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等が挙げられる。
【0058】
金属又は有機金属の具体例としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、メチルリチウム、フェニルリチウム、金属リチウム、金属マグネシウム、メチルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド等が挙げられる。金属又は有機金属の使用量は特に限定されないが、式(5)の化合物1モルに対し1〜10モル、特に1〜1.5モルの範囲が好ましい。
【0059】
上記反応の反応温度は、100〜−100℃、特に−30〜−80℃が好ましく、反応時間は30分〜10時間、特に30分〜1時間が好ましい。溶媒はエーテル系溶媒や炭化水素系溶媒が好ましく、具体的には、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ペンタン又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。
【0060】
次に、上記で調製したメタロフルオレン誘導体を下記一般式(7)で表されるケイ素化合物と反応させることで一般式(1)で表される化合物を製造する。
【化21】
【0061】
式(7)において、Sxはケイ素原子数2〜10、特に3〜10、とりわけ5〜10であって、該ケイ素原子に炭素数1〜20、特に炭素数1〜6の一価炭化水素基が結合した直鎖状、分岐鎖状又は環状のオルガノシロキサニル基を表す。上記一価炭化水素基の具体例としては上述したものと同様のものが挙げられる。Yはハロゲン原子又は炭素数1〜10のオルガノキシ基を表す。Yの例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、フェノキシ基等が挙げられる。
【0062】
式(7)の具体例は、クロロペンタメチルジシロキサン、メトキシペンタメチルジシロキサン、3,3,3−トリエチル−1−クロロ−1,1−ジメチルジシロキサン、3−ビニル−1−クロロ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、3−tert−ブチル−1−クロロ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−クロロ−3,3,3−トリイソプロピル−1,1−ジメチルジシロキサン、1−クロロ−1,1−ジフェニル−3,3,3−トリメチルジシロキサン、1−クロロ−3−メチル−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1−クロロ−1−シクロヘキシル−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン等の直鎖状オルガノシロキサン;1−クロロ−1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−メトキシ−1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−クロロ−1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、1−クロロ−1−ペンタメチルジシロキサニルオキシ−1,3,3,5,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、1−クロロ−1−トリメチルシロキシ−1,3,3,5,5,7,7,7−オクタメチルテトラシロキサン等の分岐鎖状オルガノシロキサン;1−クロロ−1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1−メトキシ−1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1−クロロ−1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン等の環状オルガノシロキサンが挙げられる。これらのなかでも、特にクロロペンタメチルジシロキサン、1−クロロ−1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−クロロ−1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサンが好ましい。
【0063】
また、上記で調製したメタロフルオレン誘導体と式(7)で表される化合物の配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、メタロフルオレン誘導体1モルに対し、式(7)の化合物の使用量は、0.5〜2モル、特に1.0〜1.2モルが好ましい。
【0064】
上記反応の反応温度は、0〜200℃、特に20〜100℃が好ましく、反応時間は0.1〜20時間、特に1〜3時間が好ましい。反応温度及び時間は、当業者が適宜これを決定することができる。溶媒としては、エーテル系や炭化水素系溶媒、非プロトン性極性溶媒が好ましく、具体的には、ペンタン、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。
【0065】
本発明の蛍光性樹脂組成物は、本発明の蛍光性化合物を含有している樹脂である。マトリクスとなる樹脂は限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルアルコール、シリコーン樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン等の熱可塑性あるいは熱硬化性樹脂、天然ゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、EPDM、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等のエラストマー等が挙げられる。特にシリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーンレジン、シリコーンゲル等のシリコーン樹脂が好ましい。本発明の蛍光性樹脂組成物は液体、固体、ゴム、ゲル等のいずれの状態であってもよい。
【0066】
本発明の蛍光性樹脂組成物中では、蛍光性化合物は凝集せず均一に分散していることが好ましい。また、本発明の蛍光性樹脂組成物においては、本発明の蛍光性化合物を含めて蛍光性化合物を二種類以上含有していても構わない。
【0067】
本発明の蛍光性樹脂組成物において、蛍光性化合物の含有量は任意であるが、通常組成物中に0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。マトリクス樹脂に相溶する範囲で蛍光性化合物の含有量を決定することが好ましい。蛍光性化合物の性質やマトリクス樹脂の性質によるが、蛍光性化合物の含有量が多すぎると濃度消光によって蛍光強度が低下することがあり、含有量が少なすぎると蛍光強度が十分でなくなる可能性がある。
【0068】
本発明の蛍光性樹脂組成物は、樹脂以外の成分を含んでいてもよい。例えば、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、イソオクタン、デカン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の溶媒、シリカゲル、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボン、水酸化マグネシウム等のフィラー、シランカップリング剤やテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のケイ素化合物、アゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイル等のラジカル重合開始剤、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等の光重合開始剤、塩化白金酸、白金(0)ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、ベンジリデンジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム等の金属化合物、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維、ベンゾフェノン誘導体やヒンダードアミン化合物等の紫外線吸収剤及び光安定剤、フタル酸エステルやアジピン酸エステル等の可塑剤、リン酸エステル等の難燃剤等が挙げられる。これらの成分の含有量は、組成物の発光特性を妨げない範囲で任意に決定することができ、通常組成物中に0.01〜80質量%の範囲である。
【0069】
本発明の蛍光性樹脂組成物への蛍光性化合物の添加方法としては、例えば樹脂と蛍光性化合物を混練して分散させる方法、液状の樹脂モノマーやプレポリマーに蛍光性化合物をあらかじめ混合溶解させてから付加重合あるいは縮重合させる方法、樹脂ワニスに蛍光性化合物を溶解させる方法等が挙げられる。
【実施例】
【0070】
次に、本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。以下の構造式中、Meはメチル基を示す。
【0071】
[実施例1]2,7−ジブロモ−9,9’−ジ−[3−(1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル)プロピル]−フルオレン(化合物1)の合成
100mLの3つ口フラスコに還流冷却器、攪拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、2,7−ジブロモ−9,9’−ジアリルフルオレン845.0mg(2.11ミリモル)、白金(0)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の2質量%キシレン溶液15.2mgと脱水トルエン5mLを仕込み、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン1.01g(4.54ミリモル)を10分かけて滴下した。滴下終了後、反応液を室温で6時間攪拌した。得られた溶液を減圧濃縮し、水とトルエンを加えた後、分液操作により有機層を抽出した。得られた溶液を硫酸マグネシウムにより乾燥し、ロータリーエバポレーターにて減圧濃縮し、薄黄色液体1.70gを得た。
この溶液のMALDI−TOFMSスペクトルを測定した結果、2,7−ジブロモ−9,9’−ジ−[3−(1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル)プロピル]−フルオレンであることが確認された。
MALDI−TOFMS m/z:846.2(M
+)
【0072】
実施例1で製造された化合物1の構造を下記式(8)に示す。
【化22】
【0073】
[実施例2]2,7−ビス(ビフェニル)−9,9’−ジ−[3−(1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル)プロピル]−フルオレン(化合物2)の合成
100mLの3つ口フラスコに還流冷却器、攪拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、2,7−ジブロモ−9,9’−ジ−[3−(1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル)プロピル]−フルオレン1.70g(2.00ミリモル)、ビフェニルボロン酸1.02g(5.15ミリモル)、テトラキストリフェニルホスフィン131.4mg(0.11ミリモル)、ジメトキシエタン20mLを仕込み、炭酸カリウム1.10g(7.96ミリモル)を水4mLに溶解させた溶液を加えた。滴下終了後、反応液を67℃で4.5時間攪拌した。得られた溶液に、水とトルエンを加えた後、分液操作により有機層を抽出した。得られた溶液を硫酸マグネシウムにより乾燥し、ロータリーエバポレーターにて減圧濃縮した後、HPLCにより精製して白色固体1.48gを得た。
この固体のNMRスペクトル及びMALDI−TOFMSスペクトルを測定した結果、2,7−ビス(ビフェニル)−9,9’−ジ−[3−(1−トリメチルシロキシ−1,3,3,3−テトラメチルジシロキサン−1−イル)プロピル]−フルオレンであることが確認された。
1H−NMR(600MHz,d in CDCl
3):−0.18(s,6H),−0.10(s,36H),0.25−0.30(m,4H),0.77−0.89(m,4H),7.26(t,2H),7.49(t,4H),7.61−7.63(m,4H),7.67−7.76(m,12H),7.78−7.81(m,2H)
MALDI−TOFMS m/z:994.6(M
+)
【0074】
実施例2で製造された化合物2の構造を下記式(9)に示す。
【化23】
化合物2の紫外可視吸収スペクトル及び蛍光スペクトルをエタノール中で測定した。最長吸収極大波長は338nm、モル吸光係数は7.07×10
4であり、最大蛍光波長は385nm(励起波長:338nm)であった。
【0075】
[実施例3]2,7−ジブロモ−9,9’−ジ−[3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロピル]−フルオレン(化合物3)の合成
100mLの3つ口フラスコに還流冷却器、攪拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、2,7−ジブロモ−9,9’−ジアリルフルオレン1.33g(3.29ミリモル)、白金(0)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の2質量%キシレン溶液15.0mgと脱水トルエン6mLを仕込み、1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,9−ウンデカメチルトリシロキサン3.00g(8.09ミリモル)を10分かけて滴下した。滴下終了後、反応液を室温で7時間攪拌した。得られた溶液に水とトルエンを加えた後、分液操作により有機層を抽出した。得られた溶液を硫酸マグネシウムにより乾燥し、ロータリーエバポレーターにて減圧濃縮した後、シリカゲルクロマトグラフィーによる精製を行い薄黄色液体2.63gを得た。
この溶液のMALDI−TOFMSスペクトルを測定した結果、2,7−ジブロモ−9,9’−ジ−[3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロピル]−フルオレンであることが確認された。
MALDI−TOFMS m/z:1142.2(M
+)
【0076】
実施例3で製造された化合物3の構造を下記式(10)に示す。
【化24】
【0077】
[実施例4]2,7−ビス(ビフェニル)−9,9’−ジ−[3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロピル]−フルオレン(化合物4)の合成
100mLの3つ口フラスコに還流冷却器、攪拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、2,7−ジブロモ−9,9’−ジ−[3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロピル]−フルオレン2.02g(1.76ミリモル)、ビフェニルボロン酸807.3mg(4.08ミリモル)、テトラキストリフェニルホスフィン98.0mg(0.085ミリモル)、ジメトキシエタン13mLを仕込み、炭酸カリウム848.0mg(6.14ミリモル)を水5mLに溶解させた溶液を加えて84℃で7時間攪拌した。得られた溶液に、水とトルエンを加えた後、分液操作により有機層を抽出した。得られた溶液を硫酸マグネシウムにより乾燥し、ロータリーエバポレーターにて減圧濃縮した後、HPLCにより精製して無色液体1.15gを得た。
この溶液のNMRスペクトル及びMALDI−TOFMSスペクトルを測定した結果、2,7−ビス(ビフェニル)−9,9’−ジ−[3−(ウンデカメチルペンタシロキサン−1−イル)プロピル]−フルオレンであることが確認された。
1H−NMR(600MHz,d in CDCl
3):−0.12(s,12H),−0.10(s,12H),−0.012(s,12H),−0.010(s,12H),0.070(s,18H),0.35−0.40(m,4H),0.80−0.86(m,4H),2.08−2.14(m,4H),7.36−7.40(m,2H),7.46−7.51(m,4H),7.60−7.65(m,4H),7.66−7.69(m,4H),7.69−7.78(m,8H),7.78−7.81(m,2H)
MALDI−TOFMS m/z:1290.5(M
+)
【0078】
実施例4で製造された化合物4の構造を下記式(11)に示す。
【化25】
化合物4の紫外可視吸収スペクトル及び蛍光スペクトルをエタノール中で測定した。最長吸収極大波長は338nm、モル吸光係数は6.81×10
4であり、最大蛍光波長は383nm(励起波長:338nm)であった。
【0079】
[実施例5]化合物2を含有するシリコーン樹脂組成物の製造
ガラスバイアル中に実施例2で製造した化合物2を114.2mg秤量し、透明シリコーン樹脂SIM−360主剤(信越化学工業(株)製)を室温下で攪拌しながら少量ずつ添加した。溶液が透明となったときに溶解したと判断し、溶解度を計算すると1.3ミリモル/Lであった。この混合物に主剤に対して10質量%の硬化剤を添加して混合し、脱泡後に150℃で30分加熱して硬化させ、蛍光性のシリコーン樹脂組成物を得た。なお、化合物2の濃度は上記の濃度以下で任意に変更することが可能であった。
【0080】
[実施例6]化合物4を含有するシリコーン樹脂組成物の製造
実施例5と同様にして化合物4のSIM−360主剤への溶解度を測定したところ、6.0ミリモル/Lであった。この混合物に主剤に対して10質量%の硬化剤を添加して混合し、脱泡後に150℃で30分加熱して硬化させ、蛍光性のシリコーン樹脂組成物を得た。なお、化合物4の濃度は上記の濃度以下で任意に変更することが可能であった。
【0081】
[比較例1]2,7−ビス(ビフェニル)−9,9’−ジヘキシルフルオレン(化合物5)のシリコーン樹脂への溶解度測定
比較例1で使用した化合物5の構造を下記式(12)に示す。実施例5と同様にして化合物5のSIM−360主剤への溶解度を測定したところ、懸濁状態となり全く溶解しなかった。
【化26】