特許第5967517号(P5967517)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5967517-内視鏡用オーバーチューブ 図000002
  • 特許5967517-内視鏡用オーバーチューブ 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5967517
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】内視鏡用オーバーチューブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20160728BHJP
【FI】
   A61B1/00 320C
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-14100(P2012-14100)
(22)【出願日】2012年1月26日
(65)【公開番号】特開2013-150751(P2013-150751A)
(43)【公開日】2013年8月8日
【審査請求日】2014年12月2日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、経済産業省、「課題解決型医療機器の開発・改良に向けた病院・企業間の連携支援事業(定圧高速自動送気内視鏡の実現に向けたオーバーチューブ・システムの開発・改良)」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(73)【特許権者】
【識別番号】501292795
【氏名又は名称】株式会社工販
(73)【特許権者】
【識別番号】390029676
【氏名又は名称】株式会社トップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 清一
(72)【発明者】
【氏名】梅原 智
(72)【発明者】
【氏名】出口 治
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 裕也
【審査官】 野田 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−075404(JP,U)
【文献】 特開平11−178786(JP,A)
【文献】 特開2010−154917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡を体内に案内する際に用いられ、該内視鏡を挿通可能なチューブ本体と、該チューブ本体の先端に該チューブ本体の外周方向に膨出している状態で装着されたバルーンと、該バルーンに気体を供給する給排気管とを備える内視鏡用オーバーチューブにおいて、
該バルーンは、伸縮可能な2枚のシートを、両シートの間隙に気体が供給されることにより膨張可能に積層してなり、先端に環状部材を備え、
該給排気管は、該両シートの間隙に連通し、
該環状部材を先端側へ押圧することにより、該バルーンを先端側へ伸張させることで前記チューブ本体の外周方向への膨出を低減可能であることを特徴とする内視鏡用オーバーチューブ。
【請求項2】
請求項1記載の内視鏡用オーバーチューブにおいて、
前記チューブ本体は、該チューブ本体に挿通可能であるとともに前記内視鏡を挿通可能な内筒を備え、
該内筒は、先端部の外周面に装着され、前記環状部材の基端面に係合可能な係合部材を備えることを特徴とする内視鏡用オーバーチューブ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の内視鏡用オーバーチューブにおいて、
前記バルーンは、周方向に沿って前記両シートを断続的に接続する帯状の接着部を軸方向に沿って複数備え、周方向に隣接する該接着部の間隙を介して供給される気体により、軸方向に隣接する該接着部間の膨張部が膨張されることを特徴とする内視鏡用オーバーチューブ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の内視鏡用オーバーチューブにおいて、
前記チューブ本体の基端部に、該チューブ本体の内部と前記給排気管とを給気装置に接続し、該給気装置からの給気先を該チューブ本体の内部又は該給排気管に切り替え可能な三方弁を、着脱可能に備えることを特徴とする内視鏡用オーバーチューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡用オーバーチューブに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡を体内に案内する際に用いられる内視鏡用オーバーチューブとして、該内視鏡を挿通可能なチューブ本体と、該チューブ本体の先端に該チューブ本体の外周方向に膨出している状態で装着されたバルーンと、該バルーンに気体を供給する給排気管とを備えるものが知られている(例えば特許文献1参照)。尚、本願明細書では、内視鏡を体内に挿入する際の進行方向を先端方向といい、その逆を基端方向という。
【0003】
前記内視鏡用オーバーチューブでは、まず、前記内視鏡を前記チューブ本体に挿通した後、その先端を消化管の狭窄部に挿入する。次に、挿通されている前記内視鏡を後退させて体内から取り出した後、前記給排気管を介して前記バルーンに気体を供給して該バルーンを膨張させることにより、前記狭窄部を拡張する。次に、前記内視鏡の先端を前記狭窄部の前方まで挿入する。このとき、前記バルーンの膨張により前記狭窄部が拡張されているので、該狭窄部の前方において前記内視鏡の視野及び可動領域を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4122024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記内視鏡用オーバーチューブでは、その先端を前記狭窄部に挿入する際、前記チューブ本体の外周方向に膨出している前記バルーンが体内の組織に接触して該組織を損傷する虞があるという不都合がある。
【0006】
本発明は、前記不都合を解消するために、その先端を消化管の狭窄部に挿入する際、バルーンが体内の組織を損傷することを防ぐことができる内視鏡用オーバーチューブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、内視鏡を体内に案内する際に用いられ、該内視鏡を挿通可能なチューブ本体と、該チューブ本体の先端に該チューブ本体の外周方向に膨出している状態で装着されたバルーンと、該バルーンに気体を供給する給排気管とを備える内視鏡用オーバーチューブにおいて、該バルーンは、伸縮可能な2枚のシートを、両シートの間隙に気体が供給されることにより膨張可能に積層してなり、先端に環状部材を備え、該給排気管は、該両シートの間隙に連通し、該環状部材を先端側へ押圧することにより、該バルーンを先端側へ伸張させることで前記チューブ本体の外周方向への膨出を低減可能であることを特徴とする。
【0008】
本発明の内視鏡用オーバーチューブでは、まず、前記環状部材を先端側へ押圧することにより、伸縮可能な2枚のシートを積層してなる前記バルーンを軸方向に伸張させる。
【0009】
次に、前記バルーンを伸張させた状態で、前記内視鏡を前記チューブ本体に挿通した後、前記内視鏡用オーバーチューブの先端を消化管の狭窄部に挿入する。このとき、前記バルーンは、軸方向に伸張されていることにより、前記チューブ本体の外周方向への膨出が低減されているので、体内の組織に接触することを抑制することができる。
【0010】
したがって、本発明の内視鏡用オーバーチューブによれば、その先端を消化管の狭窄部に挿入する際、バルーンが体内の組織に接触して該組織を損傷することを防ぐことができる。
【0011】
前記環状部材の先端側への押圧は、前記内視鏡の先端で該環状部材を押圧するようにしてもよく、可撓性を有する棒状部材からなる押圧部材を前記チューブ本体に挿通して、該押圧部材の先端で該環状部材を押圧するようにしてもよい。さらには、先端部に前記環状部材に係合可能な係合部材を有する内筒を前記チューブ本体に挿通して、該係合部材に係合させて該環状部材を押圧するようにしてもよい。
【0012】
すなわち、本発明の内視鏡用オーバーチューブは、前記チューブ本体が、該チューブ本体に挿通可能であるとともに前記内視鏡を挿通可能な内筒を備え、該内筒は、先端部の外周面に装着され、前記環状部材の基端面に係合可能な係合部材を備えるものであってもよい。
【0013】
前記内筒を備える内視鏡用オーバーチューブによれば、前記内筒を前記チューブ本体に挿通し、前記係合部材を前記環状部材の基端面に係合させて先端側へ押圧することにより、前記バルーンを軸方向に伸張させることができる。
【0014】
ところで、本発明の内視鏡用オーバーチューブでは、前記バルーンを膨張させて該狭窄部を拡張させた後、前記内視鏡を該バルーンの内周に挿通して、その先端を前記狭窄部の前方まで挿入する。しかしながら、前記バルーンが内周側に大きく膨張している場合には、前記内視鏡を挿入する際に妨げとなることがある。
【0015】
そこで、本発明の内視鏡用オーバーチューブにおいて、前記バルーンは、周方向に沿って前記両シートを断続的に接続する帯状の接着部を軸方向に沿って複数備え、周方向に隣接する該接着部の間隙を介して供給される気体により、軸方向に隣接する該接着部間の膨張部が膨張されるものであることが好ましい。
【0016】
前記バルーンが帯状の接着部を備える内視鏡用オーバーチューブにおいて、前記給排気管を介して該バルーンの両シートの間隙に気体を供給すると、該気体は該バルーンの前記周方向に隣接する接着部の間隙を流通して、該バルーンの前記軸方向に隣接する接着部の間隙に導入されるので、該バルーンは該軸方向に隣接する接着部間の膨張部がそれぞれ膨張される。このとき、前記膨張部が前記軸方向に隣接する接着部によりそれぞれ小部分に区切られているため、前記バルーンが内周側に大きく膨張することを抑制することができ、前記内視鏡を該バルーンの内周に挿通する際に妨げとなることを防ぐことができる。
【0017】
したがって、前記バルーンが帯状の接着部を備える内視鏡用オーバーチューブによれば、前記内視鏡を該バルーンの内周に容易に挿通することができる。
【0018】
ところで、本発明の内視鏡用オーバーチューブにおいて、前記チューブ本体の内部に給気することにより、該チューブ本体の先端から体内へ給気して消化管を膨張させて、内視鏡の視野及び可動領域を確保することができる。
【0019】
そこで、本発明の内視鏡用オーバーチューブは、前記チューブ本体の基端部に、該チューブ本体の内部と前記給排気管とを給気装置に接続し、該給気装置からの給気先を該チューブ本体の内部又は該給排気管に切り替え可能な三方弁を、着脱可能に備えることが好ましい。
【0020】
前記三方弁を着脱可能に備える内視鏡用オーバーチューブによれば、該三方弁を前記チューブ本体の基端部に装着して操作するだけで、給気先を前記チューブ本体の内部又は前記給排気管に切り替えることができるので、給気先の切り替えに要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態の内視鏡用オーバーチューブを示す図であり、(a)は内視鏡用オーバーチューブを示す図、(b)は内視鏡用オーバーチューブを構成する内筒を示す図。
図2】本実施形態の内視鏡用オーバーチューブの操作説明図であり、(a)は内筒をチューブ本体に挿通した状態を示す断面図、(b)はバルーンを伸張させた状態を示す断面図、(c)はバルーンを膨張させた状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図1(a)に示す内視鏡用オーバーチューブ1は、内視鏡(図示せず)を体内に案内する際に用いられ、チューブ本体2と、該チューブ本体2に挿通可能であるとともに該内視鏡を挿通可能な図1(b)に示す内筒3とを備える。
【0023】
図1(a)に示すチューブ本体2は、ポリ塩化ビニル、シリコンゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン等の軟質樹脂からなる外層と、ポリ塩化ビニル、シリコンゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン等の該外層よりも硬度の高い樹脂からなる内層とからなる。前記外層には、基端から先端まで軸方向に貫通して形成され、気体が流通可能な給排気管4が形成されている(図2(a)参照)。
【0024】
チューブ本体2の先端には、給排気管4を介して供給される気体により膨張するバルーン5が、該チューブ本体2の先端に該チューブ本体2の外周方向に膨出している状態で取着されている。
【0025】
バルーン5は、図2(a)に示すように、ポリ塩化ビニル、シリコンゴム等の軟質樹脂からなる伸縮可能な2枚のシート6,7を、両シート6,7の間隙に気体が供給されることにより膨張可能に積層されたものであり、その先端に内筒3を挿通可能な環状部材8を備えている。
【0026】
バルーン5は、周方向に沿って両シート6,7を断続的に接続する帯状の接着部9を軸方向に沿って複数備え、周方向に隣接する接着部9,9の間隙10を介して供給される気体により、軸方向に隣接する接着部9,9間の膨張部11が膨張されるように形成されている。バルーン5の周方向に隣接する接着部9,9の間隙10のうち、基端の間隙10aには、給排気管4の先端が連通している。
【0027】
チューブ本体2の基端には、患者の口に装着して歯の損傷を防ぐためのバイトブロック(図示せず)に嵌合可能な筒状の本体グリップ12が装着されている。
【0028】
本体グリップ12は、チューブ本体2の内部及び給排気管4に接続するとともに空気や二酸化炭素等の気体を供給する給排気装置(図示せず)に接続し、該給排気装置からの給気先又は排気元を該チューブ本体2の内部又は該給排気管4に切り替え可能な三方弁13を装着可能となっている。本体グリップ12は、その基端部の開口部の内周面が外方から内方に向かって縮径していて、前記内視鏡の挿入性及び操作性に優れている。
【0029】
図1(b)に示す内筒3は、ポリ塩化ビニル、シリコンゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン等の軟質樹脂からなり、チューブ本体2に挿通した際、その先端がバルーン5の先端から過剰に突出しない程度の長さに構成されている。内筒3の先端の外周面には、図2(b)に示すように、該内筒3をチューブ本体2に挿通した際、環状部材8の基端面に係合し、環状部材8を先端側に押圧してバルーン5を先端側へ伸張させることができる係合部材14を備えている。
【0030】
内筒3の先端は、軸方向に対して斜めに傾斜して形成されているか、又は先端部ほど小径の流線形状に形成されていて、体内の粘膜損傷を防ぐとともに、体内への挿入時における挿入抵抗を軽減することができる。
【0031】
内筒3の基端部には、本体グリップ12の内部に嵌合可能な筒状の内筒グリップ15が装着されていて、該内筒3をチューブ本体2に挿通した際、該内筒3を該チューブ本体2に対して固定することができる。
【0032】
内筒グリップ15は、その基端部の開口部の内周面が外方から内方に向かって縮径していて、前記内視鏡の挿入性及び操作性に優れている。
【0033】
次に、本実施形態の内視鏡用オーバーチューブ1の操作方法について説明する。まず、チューブ本体2と内筒3と前記内視鏡とに潤滑剤を塗布した後、該内筒3を該チューブ本体2に挿通する。
【0034】
次に、図2(a)に示すように、内筒3をチューブ本体2に対して前進させることにより、該内筒3の先端部に取着された係合部材14を、バルーン5の先端に位置する環状部材8の基端面に係合させた後、該内筒3をさらに前進させる。この結果、図2(b)に示すように、係合部材14により環状部材8が先端側へ押圧され、伸縮可能な2枚のシート6,7を積層してなるバルーン5は、軸方向に伸張される。
【0035】
次に、バルーン5を伸張させた状態で、前記内視鏡を内筒3に挿通した後、患者の口に前記バイトブロックを装着し、内視鏡用オーバーチューブ1を該バイトブロックに挿通して、その先端を消化管の狭窄部、例えば胃の噴門に挿入する。
【0036】
このとき、バルーン5は、図2(b)に示すように、軸方向に伸張されていることにより、図2(a)に示すように伸張されていない状態と比較して、チューブ本体2の外周方向への膨出が低減されている。したがって、本実施形態の内視鏡用オーバーチューブ1によれば、その先端を消化管の狭窄部に挿入する際、バルーン5が体内の組織に接触して該組織を損傷することを防ぐことができる。
【0037】
また、本実施形態の内視鏡用オーバーチューブ1によれば、チューブ本体2が、軟質樹脂からなる外層と、該外層よりも硬度の高い樹脂からなる内層とからなることにより、該チューブ本体2が体内の組織に接触しても該組織を損傷することを防ぐことができるとともに、該チューブ本体2の座屈を防止して操作性を確保することができる。
【0038】
次に、本体グリップ12を前記バイトブロックに嵌合させて、内視鏡用オーバーチューブ1を該バイトブロックに対して固定する。
【0039】
次に、内筒3及び前記内視鏡を後退させて体内から取り出した後、三方弁13の給気先を給排気管4に切り替え、前記給排気装置を作動させて該給排気管4を介してバルーン5に気体を供給することにより、該バルーン5を膨張させて前記狭窄部を拡張する。
【0040】
このとき、バルーン5に供給された気体は、周方向に隣接する接着部9,9の間隙10を流通して、軸方向に隣接する接着部9,9間の膨張部11に導入されるので、図2(c)に示すように、バルーン5は、軸方向に隣接する接着部9,9間の膨張部11がそれぞれ膨張される。このとき、前記膨張部11が軸方向に隣接する接着部9,9によりそれぞれ小部分に区切られているため、バルーン5が内周側に大きく膨張することを抑制することができる。
【0041】
次に、前記内視鏡をチューブ本体2及びバルーン5の内周に挿通し、その先端を前記狭窄部の前方まで挿入する。このとき、バルーン5は内周側に大きく膨張することが抑制されているので、前記内視鏡を該バルーン5の内周に挿通する際に妨げとなることを防ぎ、容易に挿通することができる。また、バルーン5の膨張により前記狭窄部が拡張されているので、該狭窄部の前方において前記内視鏡の視野及び可動領域を確保することができる。
【0042】
次に、前記内視鏡により必要な手技を行う。このとき、バルーン5がチューブ本体2の先端に装着されていることにより、チューブ本体2の外周面に装着されている場合と比較して、該バルーン5自体が径方向に自由度を有しているので、該バルーン5の内周に挿通されている前記内視鏡の可動領域を大きくすることができる。
【0043】
また、前記手技の際、必要に応じて、三方弁13の給気先をチューブ本体2の内部に切り替えて該チューブ本体2の内部に給気することにより、該チューブ本体2の先端から体内へ給気して消化管を膨張させて、前記内視鏡の視野及び可動領域を確保することができる。本実施形態の内視鏡用オーバーチューブ1によれば、三方弁13を操作するだけで、給気先をチューブ本体2の内部又は給排気管4に切り替えることができるので、給気先の切り替えに要する時間を短縮することができる。
【0044】
次に、前記内視鏡による手技が終了後、三方弁13の排気元を給排気管4に切り替え、前記給排気装置を作動させて、バルーン5内の気体を排気することにより、バルーン5を収縮させる。
【0045】
最後に、本体グリップ12の前記バイトブロックへの嵌合を解除し、チューブ本体2及び前記内視鏡を後退させて体内から取り出した後、該バイトブロックを患者の口から取り外す。このとき、バルーン5は、チューブ本体2の後退に伴って軸方向に伸張されるので、体内の組織に接触して該組織を損傷することを防ぐことができる。
【0046】
なお、内筒3をチューブ本体2に挿通し、係合部材14を環状部材8に係合させてバルーン5を軸方向に伸張させてから、チューブ本体2、内筒3及び前記内視鏡を体内から取り出すようにしてもよい。
【0047】
本実施形態では、係合部材14を備える内筒3を用い、該係合部材14により環状部材8を係合させて該環状部材8を先端側へ押圧するとしているが、内筒3を用いる代わりに、可撓性を有する棒状部材からなる押圧部材(図示せず)をチューブ本体2に挿通して、該押圧部材の先端で該環状部材8を押圧するようにしてもよく、前記内視鏡の先端で該環状部材8を押圧するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…内視鏡用オーバーチューブ、 2…外筒、 3…内筒、 4…給排気管、 5…バルーン、 6,7…シート、 8…環状部材、 9…接着部、 10…周方向に隣接する接着部の間隙、 11…膨張部、 13…三方弁、 14…係合部材。
図1
図2