(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(c)前記合成されたリチウムリン酸鉄ナノ粉末を熱処理し、前記ナノ粉末の個別粒子の表面の一部または全体にコーティング層を形成する段階;をさらに含む請求項1に記載のリチウムリン酸鉄ナノ粉末の製造方法。
前記(b)段階は、グリセロール(glycerol)の沸点以下の温度で進められる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のリチウムリン酸鉄ナノ粉末の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明では、高温/高圧条件で反応が進められる水熱合成法、超臨界法または密閉型高温/高圧反応器(例えば、オートクレーブ)を用いるグリコサーマル法などにおいて問題となる工程の安全性と経済性の問題を解決するため、具体的に反応溶媒としてグリセロール(glycerol)を用いて相対的な低圧条件でリチウムリン酸鉄ナノ粉末を製造することにより、水熱合成法、超臨界法またはグリコサーマル法と比べて工程の安全性と経済性が大幅に向上し、同時に均一な粒子サイズを有しつつ粒度分布が効果的に制御されたリチウムリン酸鉄ナノ粉末を製造する。
【0014】
本発明の目的を達成するための一実施形態で、(a)グリセロール(glycerol)溶媒にリチウム前駆体、鉄前駆体及びリン前駆体を入れて混合溶液を製造する段階;及び(b)前記混合溶液を反応器に投入して加熱し、1bar以上10bar未満の圧力条件下でリチウムリン酸鉄ナノ粉末を合成する段階;を含むリチウムリン酸鉄ナノ粉末の製造方法を提供する。
【0015】
本発明のさらに他の一実施形態で、(c)前記合成されたリチウムリン酸鉄ナノ粉末を熱処理し、前記ナノ粉末の個別粒子の表面の一部または全体にコーティング層を形成する段階;をさらに含むことができる。
【0016】
先ず、リチウム前駆体、鉄前駆体及びリン前駆体を準備し、これを反応溶媒であるグリセロール(glycerol)に入れて均一な混合溶液を製造する(段階(a))。
【0017】
前記投入されるリチウム前駆体は、リチウムアセテートジハイドレート(CH
3COOLi・2H
2O)、リチウムヒドロキシドモノハイドレート(LiOH・H
2O)、リチウムヒドロキシド(LiOH)、リチウムカーボネート(Li
2CO
3)、リチウムフォスフェート(Li
3PO
4)、リチウムフォスフェートドデカハイドレート(Li
3PO
4・12H
2O)及びリチウムオキサレート(Li
2C
2O
4)からなる群より選択された1または2以上の混合物であり得る。
【0018】
前記投入される鉄前駆体は、クエン酸第二鉄(FeC
6H
5O
7)、クエン酸第二鉄水和物(FeC
6H
5O
7・nH
2O)、硫酸第一鉄七水和物(FeSO
4・7H
2O)、しゅう酸鉄二水和物(FeC
2O
4・2H
2O)、鉄アセチルアセトネート(Fe(C
5H
7O
2)
3)、リン酸第二鉄二水和物(FePO
4・2H
2O)及び水酸化第二鉄(FeO(OH))からなる群より選択された1または2以上の混合物であり得る。
【0019】
前記投入されるリン前駆体は、トリ−アンモニウムフォスフェートトリハイドレート((NH
4)
3PO
4・3H
2O)、アンモニウムフォスフェート((NH
4)
2HPO
4)、アンモニウムジハイドロジェンフォスフェート(NH
4H
2PO
4)及びリン酸(H
3PO
4)からなる群より選択された1または2以上の混合物であり得る。
【0020】
一方、前記混合溶液の製造時、リチウム、鉄及びリン前駆体の投入比率は特に制限されないが、例えば、0.1〜10:1:0.1〜10に該当するモル比で投入されてよい。
【0021】
また、反応溶媒であるグリセロール(glycerol)の量を1重量部を基準にしたとき、約0.005から1重量部の鉄前駆体が投入されてもよく、リチウム前駆体及びリン前駆体は前記鉄前駆体に対応する前記モル比で投入されてよい。
【0022】
前記混合溶液の製造時に、リチウム、鉄及びリン前駆体等が反応溶媒であるグリセロール(glycerol)内に均一に分散されるように攪拌する段階をさらに含むことができる。
【0023】
一方、本発明での反応溶媒は、非水溶液として沸点が比較的高いグリセロール(glycerol)であり得る。
【0024】
前記グリセロール(glycerol)の沸点は約290℃程度である。
【0025】
一方、リチウムリン酸鉄ナノ粉末は、約150℃以上の温度条件で合成され得るものと確認された。
【0026】
すなわち、リチウムリン酸鉄ナノ粉末の合成時、前記のような反応溶媒を用いると、反応溶媒の沸点以下の温度でも反応を進めさせることができるようになり、それに応じて反応溶媒が気化される程度が少なくなる。これにより、反応が進む間、気化される溶媒による圧力上昇が従来の水熱合成法などに比べ非常に少なくなる。これにより、工程全般の安全性が向上されるのである。
【0027】
また、前記反応溶媒のグリセロール(glycerol)は非水溶液であるため、別途の還元剤を用いなくとも鉄の酸化問題を解決することになる。
【0028】
次に、前記混合溶液を反応器内に投入して加熱し、1bar以上10bar未満の圧力条件下でリチウムリン酸鉄ナノ粉末を合成する(段階(b))。
【0029】
前記反応器は、当該技術分野で一般に用いられる反応器であってよく、開放型反応器であってもよく、リフラックス装置を連結した圧力の高くない密閉型の反応器であってもよいが、特に制限されない。
【0030】
すなわち、本発明の(b)段階での圧力条件は、特に高温/高圧に耐えるための耐圧性容器が必要な程度に該当しない。したがって、本発明は、リチウムリン酸鉄ナノ粉末の合成のために、耐圧性反応器を用いることが必須であった従来の水熱合成法(約100bar以上)、超臨界法(約220bar以上)またはグリコサーマル法(約10〜100bar)とは異なり、高圧反応器を必要としなくなるため、相対的に工程の安全性と経済性が向上される。
【0031】
一方、前記(b)段階は、リチウムリン酸鉄ナノ粉末を合成することができる最小の温度である150℃以上の温度範囲で進められ、但し、前記使用される反応溶媒の沸点以下の温度範囲で進められてよい。
【0032】
本発明で用いられる反応溶媒はグリセロールであるため、前記(b)段階は150〜約290℃で進められてよい。
【0033】
すなわち、リチウムリン酸鉄ナノ粉末を合成することができる最小の温度以上から反応溶媒の沸点以下の温度で反応が進められることで、反応溶媒の気化が鈍化され、これによって、従来の水熱合成法などと比べると、溶媒の気化による反応器の圧力上昇が少なくなる。
【0034】
一方、前記(b)段階が進められる際、反応器内の圧力条件は1bar以上10bar未満の範囲に該当するものであり得る。前記圧力条件は、従来の水熱合成法(約100bar以上)、超臨界法(約220bar以上)及びグリコサーマル法(約10から100bar)と比べると、相対的に低圧に該当するものであって、工程の安全性と経済性の側面でさらに良好な効果を有する。
【0035】
一方、前記(b)段階の進行時間は、前記のように用いられる反応溶媒及び反応温度に応じて異なり得る。
【0036】
本発明の一実施形態で、前記(b)段階は150〜290℃の温度範囲で1〜72時間の間進められてよく、より詳細には180〜290℃の温度範囲で1〜48時間の間進められてよい。
【0037】
段階(b)が終結されると、リチウムリン酸鉄ナノ粉末粒子が合成され、前記(b)段階で合成されたリチウムリン酸鉄ナノ粉末粒子を回収するための洗浄段階及び乾燥段階を順次さらに経ることができる。
【0038】
前記洗浄段階は、アセトンとメタノールを順次用いて洗浄することであり得る。
【0039】
前記乾燥段階での乾燥方法は特に制限されず、例えば20〜160℃の温度で2〜40時間の間進められることであり得る。
【0040】
一方、前記一連の過程を介して合成されたリチウムリン酸鉄ナノ粉末を熱処理し、前記粉末の個別粒子の表面の一部または全体にコーティング層を形成することができる(段階(c))。
【0041】
前記(c)段階は、熱処理を介して進められてよく、前記熱処理方法は特に制限されないが、例えば400〜900℃の温度範囲で加熱して進められてよく、前記熱処理の結果として、前記粒子表面の一部または全体に炭素コーティング層またはガラス質のリチウム化合物からなるコーティング層が形成されてよい。
【0042】
前記コーティング層が炭素コーティング層である場合、前記コーティング層の前駆体は、粒子表面に残留している用いられた反応溶媒であり得る。詳細には、前記用いられた溶媒であるグリセロール(glycerol)が乾燥段階以後にも粒子表面に一部残っていることがあり得るが、これらは400〜900℃の温度範囲で加熱される熱処理過程を介して炭化されることにより、粒子表面に炭素コーティング層として形成されてよい。
【0043】
一方、前記炭素コーティング層の前駆体として別途の有機化合物が用いられてもよく、前記別途の有機化合物がリチウムリン酸鉄ナノ粉末粒子の表面に炭素コーティング層を形成するために投入される段階は特に制限されない。
【0044】
本発明の一実施形態で、前記有機化合物はリチウム前駆体、鉄前駆体、リン前駆体とともに溶媒に混合されて反応することにより、リチウムリン酸鉄粒子が形成されるとき粒子表面に炭素コーティング層として形成されるものであり得る。
【0045】
一方、他の一実施形態で、前記有機化合物はリチウム前駆体、鉄前駆体、リン前駆体が溶媒に混合されて反応し、リチウムリン酸鉄粒子が形成された後、これに投入されて粒子の表面に炭素コーティング層として形成されるものであってもよい。
【0046】
さらに他の実施例では、リチウム前駆体、鉄前駆体、リン前駆体が溶媒に混合されて反応し、リチウムリン酸鉄粒子が形成され、これを洗浄及び乾燥した後、これに投入且つ混合され熱処理されることにより、粒子の表面に炭素コーティング層として形成されるものであってもよい。
【0047】
前記有機化合物は特に制限されないが、例えば、グルコース、スクロース、ガラクトース、フルクトース、ラクトース、澱粉、マンノース、リボース、アルドヘキソース、ケトヘキソース及びこれらの組み合わせからなる群より選択される1または2以上の混合物であり得る。
【0048】
一方、前記コーティング層がガラス質のリチウム化合物コーティング層である場合、特に制限されないが、例えば、リチウムフォスフェート系の非晶質のコーティング層であってよく、この際、前駆体物質は過量のリチウム前駆体及びリン前駆体であってよく、追加的なリチウムとリン化合物であってもよい。
【0049】
前記段階で粒子の表面に形成される炭素コーティング層またはガラス質のリチウム化合物コーティング層は特に制限されないが、例えば10nm以下の厚さを有することができる。
【0050】
リチウムリン酸鉄粉末は電気伝導度が低いため、製造された微細なサイズのリチウムリン酸鉄粉末粒子の一部の表面または全面に前記のように炭素コーティング層またはガラス質のリチウム化合物を含むコーティング層を形成することにより、リチウムリン酸鉄粉末の電気伝導度を高めることができる。
【0051】
前記一連の段階を介して合成されるリチウムリン酸鉄ナノ粉末粒子はオリビン構造を有する。
【0052】
一方、前記粒子サイズ及び粒度分布は、リチウム前駆体、鉄前駆体、リン前駆体を異にするか、反応温度及び反応時間などの工程変数を調節することにより制御することができる。例えば、リチウム前駆体としてリチウムアセテートを用いると、製造されるリチウムリン酸鉄粒子のサイズを減らすことができ、反応温度を上げるか反応時間を増やすほど、リチウムリン酸鉄粒子のサイズが大きくなる。
【0053】
前記過程で製造されるリチウムリン酸鉄ナノ粉末の粒子サイズ(以下、粒径と記す)は特に制限されないが、例えば30〜300nmであってよく、粒度分布も特に制限されないが、例えば粒径平均値の50%以下であってよい。
【0054】
リチウム二次電池の製造方法
併せて、本発明では、前記オリビン結晶構造のリチウムリン酸鉄ナノ粉末を含む正極活物質を提供することができる。前記正極活物質には、前記リチウムリン酸鉄粉末以外にも、選択的に導電材、バインダ及び充填剤などをさらに含んで構成されてよい。
【0055】
前記導電材は、電池に化学的変化を誘発せずとも導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが用いられてよい。
【0056】
前記導電材は、通常正極活物質を含む混合物の全体重量を基準に1〜30重量%で含まれてよい。
【0057】
前記バインダは、活物質と導電材などの結合及び集電体に対する結合に助力する成分であれば特に制限されず、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合剤などを挙げることができる。
【0058】
前記バインダは、通常正極活物質を含む混合物の全体重量を基準に1〜30重量%で含まれてよい。
【0059】
前記充填剤は、電極の膨張を抑制する成分として選択的に用いられてよく、当該電池に化学的変化を誘発しない繊維状材料であれば特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合剤;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質が用いられてよい。
【0060】
さらに、本発明の一実施形態では、前記正極活物質が集電体上に塗布されているリチウム二次電池用正極を提供する。
【0061】
前記リチウム二次電池用正極は、例えば、前記正極活物質を溶媒に溶解してスラリーを製造した後、これを集電体上に塗布してから、乾燥及び圧延して製造されてよい。
【0062】
前記正極集電体は、電池に化学的変化を誘発せずとも導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、ステンレス鋼;アルミニウム;ニッケル;チタン;焼成炭素;またはアルミニウムやステンレス鋼の表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが用いられ得る。
【0063】
一方、前記集電体は、通常3から500μmの厚さを有することができ、前記集電体の表面上に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもできる。例えば、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態に用いられ得る。
【0064】
さらに、本発明の一実施形態で、前記正極活物質を含む正極と、負極、分離膜、及びリチウム塩含有非水電解液より構成されたリチウム二次電池を提供することができる。
【0065】
前記負極は、例えば、負極集電体上に負極活物質を含んでいる負極合剤を塗布した後、乾燥して製造され、前記負極合剤には、必要に応じて、前記で説明したような導電材、バインダ、充填剤などの成分が含まれ得る。
【0066】
前記負極集電体は、電池に化学的変化を誘発せずとも高い導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、銅;ステンレス鋼;アルミニウム;ニッケル;チタン;焼成炭素;銅やステンレス鋼の表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム−カドミウム合金などが用いられ得る。
【0067】
一方、前記集電体は、通常3から500μmの厚さを有することができ、正極集電体と同様に、前記集電体の表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させることもできる。例えば、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態に用いられ得る。
【0068】
前記分離膜は、正極と負極との間に介在され、高いイオン透過度と機械的強度を有する絶縁性の薄い薄膜が用いられ得る。
【0069】
分離膜の気孔直径は一般に0.01から10μmであり、厚さは一般に5から300μmであり得る。
【0070】
前記分離膜は、例えば、耐化学性及び疎水性のポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマー;ガラス繊維またはポリエチレンなどで製造されたシートや不織布などが用いられ得る。
【0071】
電解質としてポリマーなどの固体電解質が用いられる場合には、固体電解質が分離膜を兼ねることもできる。
【0072】
前記リチウム塩含有非水系電解液は、電解液とリチウム塩からなされており、前記電解液には非水系有機溶媒または有機固体電解質などが用いられる。
【0073】
前記非水系有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ガンマ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒が用いられ得る。
【0074】
前記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキサイド誘導体、ポリプロピレンオキサイド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリエジテーションリジン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合剤などが用いられ得る。
【0075】
前記リチウム塩は、前記非水系電解質に溶解されやすい物質であって、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO
4、LiBF
4、LiB
10C
10、LiPF
6、LiCF
3SO
3、LiCF
3CO
2、LiAsF
6、LiSbF
6、LiAlCl
4、CH
3SO
3Li、CF
3SO
3Li、(CF
3SO
2)
2NLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4−フェニルホウ酸リチウム、イミドなどが用いられ得る。
【0076】
さらに、電解液には充放電特性、難燃性などの改善を目的として、例えば、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グライム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノン、N,N−置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2−メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどが添加されてもよい。場合によっては、不燃性を付与するために、四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含ませることもでき、高温保存特性を向上させるために二酸化炭酸ガスをさらに含ませることもできる。
【0077】
前記したように、本発明のリチウムリン酸鉄ナノ粉末の製造方法は、非水溶液として新規の反応溶媒であるグリセロール(glycerol)を用いることにより、従来の水熱合成法、超臨界水法及びグリコサーマル法と比べると、相対的な低圧条件で反応を進めさせることができるようになり、これにより高温/高圧反応器を用いないため、工程の安全性と経済性を確保しながらも、均一な粒子サイズを有する、粒度分布が制御されたリチウムリン酸鉄ナノ粉末を容易に製造することができる。
【0078】
さらに、前記製造されたリチウムリン酸鉄ナノ粉末を正極活物質として含むリチウム二次電池は、容量及び安定性の面で優れる。
【実施例】
【0079】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明に係る実施例は、幾多の異なる形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下で詳述する実施例に限定されるものとして解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0080】
実施例1a、1b及び1c
リチウムヒドロキシド(LiOH)1.44g、クエン酸第二鉄(FeC
6H
5O
7)14.7g及びリン酸(H
3PO
4)5.88gをグリセロール300mlに入れ、充分に攪拌させて混合溶液を製造した。
【0081】
充分に攪拌された前記混合溶液を500ml反応器に投入した後、260℃でそれぞれ4時間(実施例1a)、24時間(実施例1b)及び48時間(実施例1c)の間反応させた。
【0082】
前記反応後、残っている反応液を冷却し、これをアセトン及びメタノールで順次洗浄した。
【0083】
洗浄が終了した後、真空乾燥機で生成物を乾燥させた。
【0084】
前記洗浄/乾燥が終了した後、得られた反応生成物をX線回折分光法及び電子顕微鏡を用いて分析した結果、前記反応生成物は約120nmの粒子サイズを有する純粋なオリビン結晶構造のリチウムリン酸鉄ナノ粉末であることが確認できた(
図1及び
図2を参照)。
【0085】
併せて、前記方法により得られたリチウムリン酸鉄ナノ粉末(実施例1c)の粒度分布を測定したグラフは
図3の通りである。前記グラフから分かるように、粒度分布が均一であることが確認できた。
【0086】
実施例2a、2b及び2c
リチウムヒドロキシドハイドレート(LiOH・H
2O)2.52g、クエン酸第二鉄水和物(FeC
6H
5O
7・nH
2O)14.6964g及びリン酸(H
3PO
4)5.88gをグリセロール300mlに入れ、充分に攪拌させて混合溶液を製造した。
【0087】
充分に攪拌された前記混合溶液を500mlの反応器に投入した後、260℃で4時間(実施例2a)、24時間(実施例2b)及び72時間(実施例2c)の間反応させた。
【0088】
前記反応後、残っている反応液を冷却し、これをアセトン及びメタノールを用いて順次洗浄した。その次に、真空乾燥機で生成物を乾燥させた。
【0089】
前記洗浄/乾燥が終了した後、得られた反応生成物をX線回折分光法及び電子顕微鏡を用いて分析した結果、前記反応生成物は約200nmの粒子サイズを有する純粋なオリビン結晶構造のリチウムリン酸鉄ナノ粉末であることが確認できた(
図4及び
図5を参照)。
【0090】
併せて、前記方法により得られたリチウムリン酸鉄ナノ粉末(実施例2c)の粒度分布を測定したグラフは
図6の通りである。前記グラフから分かるように、粒度分布が均一であることが確認できた。
【0091】
前記実施例を介して確認できるように、本発明の方法によって製造されるリチウムリン酸鉄ナノ粉末は粒子サイズが小さく均一であり、粒度分布特性に優れる。